太平洋戦争の記憶シリーズ第3回:二・二六事件
今回は昭和11年(1936)の二・二六事件。
教科書で習ったうろ覚え程度の知識しかない自分からすると、二・二六事件って、政治権力を我が物にしようとした軍部が政権中枢に刺客を送り込んだクーデターというイメージがあって、実行部隊となった青年将校を上層部が裏で操ってたと思い込んでたのだけど、ちょっと違うんだね。。
そもそも首謀者といわれる青年将校たちが死刑になってたとはこれまた知らなかったけど、この事件の背景に政財界の腐敗や地方農村の窮乏状態への憂いがあり、それを糺すための決起だったというのは意外だった。
そこで出てくるのが、首謀者たちに大きな影響を与えた革命思想家・北一輝。
この北一輝という名前にはちょっとした思い出があって、学生時代に赤点以下しか取れなくて唯一落としたコマが政治学入門だったんだけど、その時に講師がよく口に出してのが北一輝だったんだよね。
どういう経緯でこの人の名前が出てきたのか、ちょっと思い出せないけどw、自分の記憶では右翼の中の右翼だとばかり思ってただけに、「維新革命の本義は実に民主主義にあり」と謳い、言論の自由や基本的人権の尊重、普通選挙の実施、財閥解体などの実現を目指していたとは知らなかった。
自由民権運動の気風の中で育ち、当初は社会主義思想に耽っていたということだけど、大逆事件で死刑になった幸徳秋水とも交流があったというのだからその傾倒ぶりは本物だったのだろう。
しかし、日露戦争で非戦論を唱え、階級闘争による下からの突き上げでそれを実現しようとする秋水に対し、北一輝はあくまで国家を前提とした上からの統制によりそれを実現するべき(国家社会主義)という考え方の違いから袂をわかつことになる。
そして折りしも世の中は不況、政党政治への不信、格差・階級社会の不満と閉塞感が充満しており、それを打破するためにはもういちど維新-昭和維新-を行うほかないと考えていくようになる。
その維新の最終の理想形は、天皇親政(直接統治)による平等社会の実現。つまり、世の中がダメになったのは天皇と国民の間にいる財界・資本家・華族・国会議員などが私利私欲に走っているからであり、これを叩き潰すことによって天皇と国民が共に行動できる公民国家-明治維新本来の理念-が実現できると説いた。
ようするに大日本帝国憲法にある天皇は神聖にして侵すべからずという、国民にとって遠い存在である天皇をもっと近い存在に置き、“天皇の国民”から“国民の天皇”に変えていくということ。
そして、それをサポートしていくのは唯一堕落していない軍人であり、これも天皇の軍隊-皇軍-から国民の軍隊-人民軍-とし、武力革命・クーデターによって維新を成すとした。
これが貧農出の青年将校の共感を呼び、実行に移されるわけだけど、結局ここに待ったをかけたのが昭和天皇だったというのがなんとも皮肉だよね。。お前らは逆賊だ!となるわけでしょ。
まぁ結局二・二六事件は反乱として鎮圧されるわけだけど、これをきっかけにある意味たなぼた式に軍部の発言権が増し、北一輝の思想は天皇制ファシズムへといいように変容され、この翌年には盧溝橋事件が起こり日中戦争へと突き進んでいくわけだ・・・。
でも、国民の天皇とか、基本的人権の尊重や普通選挙の実施など北一輝が実現しようとしてたものって敗戦を経て日本国憲法下で実現したのだからこれまたなんとも皮肉。
さて、次はオペレーション&ファクトファイルで取り上げられた昭和17年(1942)の蘭印侵攻作戦。
アメリカのとった経済制裁・禁輸措置によりアメリカからの石油輸入が大きく制限され、日本の生命線である石油獲得のために行われた作戦だけど、ななんと当時の日本って石油の8割をアメリカから輸入してたんだね。
現在の日本は中東依存度が8割だけど、昔はアメリカだったんだ・・。しかもたった1カ国だけで8割ってww
他に頼る所があればまだしも、自らリスクを負って外に打って出なければそれも無いような中で、エネルギー依存度8割の相手と戦争するって、、どう考えても自殺行為だろーー(笑)。なんでこんなバカでも分かるようなことを・・。政治は一体何をやってたんだ。
軍部の暴走があったとしたって、その軍上層部だって今の東大出くらい頭の良いエリートの集まりだろw!?
あ、そっか、、官僚化しちゃうとバカの集まりになるってのは今も昔も同じだったか(爆)。
次は新聞アラカルト♪
今回はシンガポール陥落を大々的に報じた大阪毎日新聞のどでかい見出しが目を引いたけど、企業広告にまで“祝シンガポール陥落”と銘打ってるのは驚き。
だって、“祝シンガポール陥落!薬用クラブ歯磨き!”とか、“シンガポールに凱歌あがる!1億の決意いよいよ固し、進め貫け米英に、最後のとどめ刺す日まで!さくらフィルム”って、広告としておかしいだろ(笑)。
でも、シンガポール陥落記念国債なんてものまであったとは驚きだね。
あと広告で面白かったのが、STAP細胞でお騒がせした理化学研究所がもの凄いものを開発していたというもの。
それは、なんと、、
“権威ある財団法人、理化学研究所製品!便秘薬!!”
今から70年以上前にはそんなもん作ってたんだねw
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