夢のシネマパラダイス578番シアター:戦火の馬
戦火の馬
出演:ジェレミー・アーヴァイン、エミリー・ワトソン、デヴィッド・シューリス、ピーター・ミュラン、トム・ヒドルストン、ベネディクト・カンバーバッチ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
(2011年・アメリカ・146分)WOWOW
内容:第一次大戦前夜のイギリス。一頭の美しい仔馬が貧しい農家に引き取られる。ジョーイと名付けられたその馬は、一家の少年アルバートの愛情を一身に受けて、賢く気高い名馬へと成長していく。しかし戦争が始まると、ジョーイは軍馬としてアルバートが知らないうちにイギリス軍へ売られてしまい・・・。
評価★★★★/80点
一言でいえば世界名作アニメ劇場みたいだった。
可もなく不可もなくなベターな印象なのだけど、ジョン・フォードの「我が谷は緑なりき」とか「西部戦線異状なし」、また「風と共に去りぬ」をほうふつとさせるラストシーンとかクラシックな要素を多分に含んだ詩情豊かな雰囲気は、はっきりいって好きだ!
特に夕焼けの中で家族が再会を果たすラストシーンの画作りには思わず身震いしてしまうほどの感動を覚えた。
スピルバーグ&ヤヌス・カミンスキーの鉄板コンビの凄さを久々に味わわせてもらった。
児童文学が原作とあって、少年少女にも見てもらえるようレイティングを下げるために過剰な描写を避けているのだけど、そのことがかえって彼らの視覚的なストーリーテリングの手腕を際立たせていて、それを十分堪能できた気がする。
また、馬の演技もいったいどうやって仕込んだのだろうと驚いてしまうほどにピュアで良くて、ジョーイ頑張れー!と童心に帰ったように見入ってしまった。
なんか見終わった後に心が浄化されたかんじ(笑)。秀作です。
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シービスケット
出演:トビー・マグワイア、ジェフ・ブリッジス、クリス・クーパー、エリザベス・バンクス
監督・脚本:ゲイリー・ロス
(2003年・アメリカ・141分)MOVIX仙台
評価★★★/68点
内容:1930年代、世界恐慌下のアメリカ。息子を亡くして失意のどん底にあるオーナーのチャールズ・ハワード、今や変人扱いされているかつての名調教師スミス、破産した家族との別離に苦しむ騎手のレッド。小柄で気性の荒いサラブレッド“シービスケット”にすべてを賭けた3人の男の生きざまをドラマチックに描いたヒューマンドラマ。原作は実在した競走馬の活躍を綴った、L・ヒレンブランドのベストセラー。
“ほんとのところどのくらいもの凄い馬だったのかがほとんど伝わってこないのが玉に瑕だが、あの時代をノスタルジックに包み込むセピア色の英雄伝説として割り切ってみれば上々の出来だと思う。”
この映画を少年ジャンプに例えてみる。
まず80年代ジャンプは、対決する相手との力関係が主人公が100だとすれば、相手は1000だぞぉっと数値化されていて、そこから主人公の血のにじむ努力と鍛錬と数値3、400レベルの中ボスとの戦いで経験値を上げていくというまさに血と汗と涙の結晶による段階的レベルアップが主流だった。
しかし、ワンピースをはじめとするここ最近の主流には数値レベルもなければ血と汗と涙の結晶も、無い。
強さを測る物差しは努力と鍛錬ではなくなり、夢と勝利への純粋で素直な希望と意志の強さになったのだ。
それゆえほとんど数値レベルは関係なくなった。1000だろうが10000だろうがみんなの意志が強ければ勝てるのだ。
さて、この映画はまさに後者の方。
しかもみんなの意志が強ければ勝てるわけだから、競馬場に集まった数万人の観衆の力を得たシービスケットはそりゃあ勝って当然だわなぁ。。
しかし、この映画、肝心かなめの観衆の視点を完全に捨てているという致命的なミスを犯してしまっているのがちょっと救いがたいのである。
それでも甘点なのは、冒頭にも述べたようにあの時代をノスタルジックに包み込む映画だと思ったからだ。だから登場人物みんな良い人なんだよね。
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