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2014年7月17日 (木)

夢のシネマパラダイス574番シアター:アーティスト

アーティスト

Artist2 出演:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・べジョ、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェル

監督・脚本:ミシェル・アザナヴィシウス

(2011年・フランス・101分)WOWOW

内容:1927年ハリウッド。人気絶頂の大スター、ジョージ・ヴァレンティンは女優の卵ペピーと出会い、自身の新作でエキストラの役を手にした彼女に優しくアドバイスを送る。やがて時代はサイレントからトーキー映画へ。ジョージはサイレントにこだわり続けるが、映画は大コケし、瞬く間にスターの座を滑り落ちていく。一方、ジョージとは対照的に、ぺピーは時代の波に乗ってスターの階段を駆け上っていく・・・。

評価★★★★★/100点

文句の付けようがない映画だ。

特上A5ランクの神戸牛に誰もケチをつけられないのと同じくらい文句の付けようがない(笑)。

もちろんそこには用意周到な計算づくの演出があるわけだけど、サイレント&モノクロであることも含めて、それが嫌らしさやあざとさとして感じさせないだけの魅力と求心力がこの映画にはある。

スター男優がプレミアショーで出会った新人女優と恋に落ちるものの、成功への階段を登っていく彼女を尻目に下り坂のスター男優は酒に溺れる日々を過ごし、彼女の愛も空しく彼は自らの命を絶とうとする、、というプロットはジュディ・ガーランドの「スタア誕生」そのまんまだし、サイレント映画の時代が終わりを告げ、ミュージカル映画が産声を上げた瞬間であるトーキー初期のハリウッドのドタバタを描いているという点では、ジーン・ケリーの「雨に唄えば」を髣髴とさせる。

また、忘れられたスターの悲劇を描いた作品としてはチャップリンの「ライムライト」とかグロリア・スワンソンの「サンセット大通り」があり、今回のフランス映画は少なくとも一介の映画ファンにとっては至極スタンダードな筋立てになっている。

しかし、これらの名作と今回の作品が決定的に違うのはそのラストだ。

一連の作品は破滅的なスターの末路を描いているのに対し、今回はトーキーの象徴ミュージカル映画によって見事に復活をとげる。

また、「雨に唄えば」でサイレント映画のスター女優が聞くに堪えない甲高い声の持ち主だったためトーキーの流れに取り残される顛末が描かれるけど、今回ジョージがラストに発する声は、ダミ声かと思いきや実にシブい声。トーキーに移行しても絶対に生き残っていける声だろっていう(笑)。

で、終わってみると、憎まれ役もいなければ悲劇もないという実にハッピーな映画に仕上がっていて清々しい気持ちにさせてくれるし、メガネの上から3Dメガネをかけなければ映画を見られない時代にあって、役者の表情やしぐさ、カメラの動き、映画の映像だけを頼りに想像力を働かせながら感情、台詞、文脈を読み取るという、よりシンプルに映画を見る面白さを味わわせてくれた。

また、要所要所でジョージの焦燥や悪夢、喜びといった心象を表すものとしてコップを置く音やヒラヒラと舞い上がった羽毛が地面に落ちた時につんざく爆発音、そしてラストのタップダンスで軽快に鳴り響く靴の音など効果音が文字通り効果的に使われているし、スクリーンに映った自分の影がスクリーンから退場していったり、飲んだくれになったジョージをミニチュアサイズの自分がはやし立てるシーンなど現代技術も印象的に使われていて、単なる懐古趣味なサイレント映画にはなっていないところも良い。

難クセのつけられない映画だ。

アカデミー賞を獲ったのも納得である。ブラボー!!

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