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2014年7月20日 (日)

夢のシネマパラダイス181番シアター:ダーク・シャドウ

ダーク・シャドウ

O0421060411975170358 出演:ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ヘレナ・ボナム=カーター、エヴァ・グリーン、ジャッキー・アール・へイリー、ジョニー・リー・ミラー、クリストファー・リー

監督:ティム・バートン

(2012年・アメリカ・113分)WOWOW

内容:ポートコリンズの町の名家コリンズ家。その2代目当主バーナバスは、魔女アンジェリークの呪いを受けてヴァンパイアに変えられ、墓に生き埋めにされてしまう。それから200年後の1972年。墓から解放され甦った彼は、すっかり落ちぶれてしまったコリンズ家の再興のために尽力しようとするのだが・・・。

評価★★/45点

ティム・バートン&ジョニデ作品でここまで無感動な映画を見せられるとは思いもよらなかった。

なに、これってジャンル的には何なの!?ていう中途半端というかどっちつかずな散漫さに序盤からついて行けず・・。

「アダムスファミリー」のようなブラックコメディ路線でいけばティム・バートンお得意のB級映画に仕立て上げられるはずなのに、意外にもシリアス要素が随所にまぶされていて逆に気持ちが悪いw

200年の眠りから覚めた主人公が直面するカルチャーギャップにしても、落ちぶれた旧家の復活劇にしても、主人公の200年越しの昼ドラ恋愛劇にしても、ちゃんと整理して掘り下げれば話のとっかかりとして面白くなるのは目に見えてるのに、なぜに犬も食わないような痴話ゲンカに堕してしまうのか理解に苦しむところだ。。

しかし、まさかカーペンターズのトップオブザワールド♪を丸ごと1曲使うとは思いもしなかったわ。キモッww

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永遠に美しく・・・(1992年・アメリカ・103分)NHK-BS

 監督:ロバート・ゼメキス

 出演:メリル・ストリープ、ゴールディ・ホーン、ブルース・ウィリス、イザベラ・ロッセリーニ

 内容:落ち目の女優マデリーン(ストリープ)と、学生時代から彼女に対抗意識むき出しのヘレン(ゴールディ)が整形外科医アーネスト(B.ウィリス)を取り合って骨肉の争いを繰り広げるブラック・コメディ。過食症に陥るヘレンと容色衰えて精神的にも崩壊寸前のマデリーンは、藁にもすがる思いで不老不死の薬を飲むのだが・・・。

評価★★★/65点

例えば、吉永小百合、三田佳子クラスの大女優がマデリーンとヘレン役をやっているのと同じなのだと思うと、この映画の異様さ、凄さ、寛容さが急に実感として湧いてくる。恐ろしい映画だ。。

夢のシネマパラダイス516番シアター:運命を打破せよ!

TIME/タイム

Poster 出演:ジャスティン・ティンバーレイク、アマンダ・セイフライド、アレックス・ぺティファー、キリアン・マーフィ、オリヴィア・ワイルド

監督:アンドリュー・ニコル

(2011年・アメリカ・109分)WOWOW

内容:医学の発達で人間の成長が25歳で止まる近未来。25歳になると腕に人生の残り時間を示すデジタル時計が表示され、買い物などもその時間で清算され、数字がゼロになると死んでしまう。富める者は永遠の命を享受する一方、貧しき者は早死にする残酷な世界。そんなある日、貧しい青年ウィルは、ふとしたことから大量の時間を受け継ぐが・・・。

評価★★★☆/70点

現在、世界中の人が必要な量の2倍の穀物が生産されている。しかし、先進国に住む世界の2割の人がその半分以上を消費、さらに途上国の人をまかなえる以上の量をムダに廃棄している。その結果、10億の人がメタボで苦しみ、10億の人が飢えに苦しんでいる・・・。

そんな現実をふと思い浮かべてしまったけど、タイム・イズ・マネーが寿命に直結するという設定はSFとしてはもちろん、行き過ぎた資本主義社会のゆがんだ経済原則を皮肉るメタファーとしても機能していて抜群に面白い。

片や100年以上の余命を持て余し、片や24時間を切ったその日暮らしをしなければならないという二極化された世界観は見事。

しかしだ。

この突き抜けた面白さの設定以上に映画自体が突き抜けていないのはどうしたことだろう(笑)。。

具体的にいえば、「俺たちに明日はない」のボニー&クライドのようなカップル強盗に帰結するアクションムービーとしてしか見れないことにある。

もちろんそれはそれとして普通に楽しめるのだけども、自分が求めていたのは、「猿の惑星」のごとき空前絶後のオチを求めるものではないにしても、「アイランド」のようなディストピア社会の裏側にある真相や黒幕を暴いていこうとする展開だっただけに、伏線や設定の回収が中途半端だったのも含めて消化不良な感は否めず・・・。

例えば、25歳になったら問答無用でその後の運命が決まってしまうのだとしたら、まだ25歳になっていない未成年者(?)の中には、その運命に抗い世界の真実を追い求める者が出てきてもいいはずだ。

そっちの方が物語としては自然だし、ウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)を未成年(24歳以下)にしてシルビア(アマンダ・セイフライド)の方はそのまま25歳にするとかした方が良かった気も・・・。

まぁ、時間をシェアし合ってなんとか生き延びている貧民層のディストピアに対峙するものとして、不老不死が確約されているニュー・グリニッジというユートピアが周知の事実として描かれているので、謎や秘密どうこう言うより方向性としてアクションムービーにしか行かざるをえなかったのかもしれない。

しかし、惜しい作品である。その一言に尽きる。。

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アイランド

Ojtbtmimnb 出演:ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン、ジャイモン・フンスー、スティーブ・ブシェミ

監督:マイケル・ベイ

(2005年・アメリカ・136分)MOVIX仙台

評価★★★★/75点

 

内容:西暦2029年。地球のほとんどがウイルスに侵され、人々は外界から隔絶され徹底的に管理された“センター”で暮らしていた。そんな人々の唯一の希望は、抽選に当たって、汚染を免れた理想郷“アイランド”に渡ることだった。そんなある日、リンカーン(ユアン・マクレガー)が想いを寄せていたジョーダン(S・ヨハンソン)が抽選に当たり、アイランドに渡ることになったが、リンカーンはそこに恐るべき真実が隠されていたことを突き止める・・・。

“悪夢的でシリアスな題材などなんのその、ハリウッドいちの破壊王マイケル・ベイが今回も暴れまくる!”

破壊することは得意中の得意だが、そこから新たなものを生み出す、創造する、構築することは大の苦手な、まるでどこぞやの国とイメージが合致してしまう(!?)破壊王マイケル・ベイが、今回もやっちゃってくれました(笑)。

前半では徹底的に管理された無機質な都市空間における日常から、悪夢的なクローン技術の進歩、さらにはクローン人間の存在意義とアイデンティティといった哲学的、倫理的要素をも孕んだ問題提起まで描いてみせる。

前半部分に関しては、スタイリッシュな映像以外は「らしからぬ」素振りを見せたマイケル・ベイ。

が、しかし、やはり我慢できなかったのだろう。前半がジキル博士の顔ならば、後半になるや先の問題提起など無かったかのような破壊の悪魔ハイド氏の顔に豹変する。

おそらくこの豹変ぶりをどう捉えるかでこの映画の評価は決まると思うのだけど、個人的には上手くまとめたんじゃないかなと。まぁ、その基準となるレベルは相当低く設定した上でだけど・・。

そもそものところ、前半がジキル博士で後半がハイドというのも、マイケル・ベイには当てはまらないんじゃないかと思うわけで。マイケル・ベイにとっては前半がハイドで後半がジキル博士なのだ。そして、自分はそんなマイケル・ベイのスタンスが嫌いになれない。。

だってマイケル・ベイから燦々と照りつける太陽と真っ青な青空とド派手な破壊アクションを取っちゃったら何が残るってんだ。

しょせんマイケル・ベイのスタンスと、この作品が突きつめるはずだった(?)問題提起とは相容れないものなのだ。はっきりいって。

そのかわりこの映画は、妥協点として「人は生き残るためだったら何だってする」というサバイバルへの執念と必死さを持ち出してきて、それをアクションに転化し絶望から希望への橋渡しとして描いてみせた。

そう妥協して見れればw、純粋に楽しい映画なのです。

アルマゲドンやパール・ハーバーで妥協できなかった自分のご都合主義的成長ですかな・・。

しかし、感情や思い出がないと臓器が成長しないので、クローンに人間と同じような社会生活を送らせているというのはちょっと戦慄を覚えちゃったな。

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わたしを離さないで

155587_01出演:キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ、シャーロット・ランプリング、サリー・ホーキンス

監督:マーク・ロマネク

(2010年・英/米・105分)WOWOW

内容:緑に囲まれた寄宿学校ヘールシャムで暮らすキャシー、トミー、ルース。しかし、学校は外界と完全に隔絶され、「あなた方は特別だ」と言う校長らのもとで育ってきた。やがて18歳になった3人はヘールシャムを卒業、農場のコテージに移り、初めて外の世界に出ることを許される。そして、かつてキャシーが恋したトミーがルースと恋仲になったことで3人の関係も終わりを迎えようとしていたが・・・。

評価★★★/65点

1952年、不治の病を治すことができるようになる。1967年、人類の平均寿命は100歳を超える。

そして舞台は1978年、って自分が生まれた年じゃんwwしかも、そこに何ら説明もないっていう・・。

でも、人間のクライアントに臓器を提供するためのクローンというバリバリのディストピアSF設定をハリウッドでやるとマイケル・ベイの「アイランド」になり、イギリスでやると今回の映画になるって考えると、ストンと胸に落ちるところもある。

それは、現実世界とは異なるイマジネーションあふれた世界観の構築に労力を費やすハリウッドに対し、逆に未来感を削ぎ落とした現実世界の風景をSF設定の中に落とし込むヨーロッパという違いがあって。

例えば、パリの街をそのまま未来都市として流用しているゴダールの「アルファヴィル」(1965)やトリュフォーの「華氏451」(1966)、近年でもロンドンを舞台にした「トゥモローワールド」(2006)などがあり、どうもヨーロッパ映画には未来社会をどう描くかということよりも、人としてどう生きるかという内省的かつ叙情的な描写に重きを置く傾向があるのかも。

その点でみても、「アイランド」が生存本能に突き上げられるかのように主人公が自分の運命に抗う闘いに身を投じるのに対し、今作では淡々と運命を受け入れ従容として死に就く。

もうこんな臓器提供はやめろー!と叫ぶのではなく、好きな人がいるのでもう少しだけ猶予してほしい、ってどんだけ謙虚やねんww!ていう話なんだけど、英国の寂寥感を伴なう風景と合わさると妙に納得させられてしまうんだよね。。にしても、切ない余韻しか残らないっていうのも・・。

ああ、「アイランド」の真っ青な快晴からさんさんと降り注ぐ陽光に当たりたい(笑)。

2014年7月 6日 (日)

夢のシネマパラダイス461番シアター:幸せの処方箋はいかが?

ヤング≒アダルト

O0480064011770706731 出演:シャーリーズ・セロン、パットン・オズワルト、パトリック・ウィルソン、エリザベス・リーサー、コレット・ウォルフ

監督:ジェイソン・ライトマン

(2011年・アメリカ・94分)WOWOW

内容:ヤングアダルト小説のゴーストライターをしている37歳のバツイチ女メイビスは、大都会の高層マンションで一人暮らしをしていた。小説のシリーズ終了を告げられ、うだつの上がらない日々を過ごす中、高校時代の元彼バディから赤ちゃんの誕生パーティを知らせるメールが届く。彼女は、再会すればバディは必ず自分のほうを向いてくれると確信して意気揚々と田舎に帰郷するのだが・・・。

評価★★★/65点

とことん自己チューなKY女王が勘違い上等!といわんばかりに周りをかき回すだけかき回して、嫌われキャラのまま退散していく話にいったい何を見出せばよいのか・・・

コメディとしての笑いも、スウィートな味わいも、ハートウォーミングな温かみも一切ない、ビターを超えた残酷さに面白さよりも気の毒さの方が上回ってしまったかんじ。

いったい誰をターゲットにした映画なんだろこれって(笑)。

ただ、コーラをボトルでガブ飲みし、酒に溺れ、のべつ幕なしに罵声を浴びせるタカビー女をリアルに演じたシャーリーズ・セロンの卓越した演技力にはあらためて目を見張るものがある。

ヌーブラ&パンスト姿の色気ゼロの痛々しさをあそこまで出せる女優はそうはいないだろう。「モンスター」の殺人鬼よりもこっちの方がよっぽどモンスター級だと思う。

最近は貫禄ある悪役もすっかり板についてきたシャーリーズだけど、ハリウッド一のクラシカルな美人女優でありながら様々な役柄に体当たりで挑戦する女優魂は今後も買いたいところだ。

しかし、「アタシはアタシよ!」と開き直った清々しさとは程遠いサバサバした顔で締めた主人公が、大都会に戻ってどう復活を遂げるのか見てみたいような、見たくないような・・・w

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アメリカン・スウィートハート

Sweethearts 出演:ジュリア・ロバーツ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ジョン・キューザック、ビリー・クリスタル

監督:ジョー・ロス

(2001年・アメリカ・103分)MOVIX仙台

評価★★★☆/70点

内容:共演をきっかけに結ばれた映画スターのエディとグウェンだったが、1年後、グウェンの浮気が原因で別居。グウェンの妹キキは姉の付き人をしているが、エディに密かに恋心を抱いていて・・・。

“ハリウッドの奇怪な業界人どもの中でフツー人のジュリア・ロバーツの存在感が埋没しちゃっているのはストーリーを進めていく上では明らかにマイナスだった。”

ハリウッドの内幕ものはけっこう好きなんだけど、今回は細かいところまで妙にツボにハマって笑ってしまった。

オードリーとキャサリンのヘプバーン間違いを手始めに、一日中プレスインタビューで作り笑いをふりまき続けるエディとグウェンの別居カップル、人妻を寝取った男とその男を殺し損ねた男の失笑バトル、映画の興行成績を上げるためなら手段を選ばずハプニング・トラブル・スキャンダル大歓迎の宣伝マンのリー、オスカー3度受賞の巨匠?ワイドマンの迷作「時を超えて」など、クセのあるキャラの小ネタが散らばっていて面白おかしく見れる。

ビリー・クリスタルが脚本に携わっている効果は大きいといえよう。

しかし、一方では、それら小ネタが小ネタ以上にストーリーを転がしていかない文字通り散発的なものに終始していることも否めず。。

それゆえ、肝心の恋愛パートにテンポがつながっていかず、さらにそれを担うべきジュリア・ロバーツもゴーマニズム女優グウェン(キャサリン・ゼタ)の陰に隠れる役柄そのもので、いまいちパッとしない。

これだけの豪華なメンツを取りそろえているわりには、あまりにもさっぱりとしすぎた中身になっているのは、見終わったあと何にも残らない映画に成り下がっているという点でちょっと残念。

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ディボース・ショウ(2003年・アメリカ・102分)WOWOW

 監督:ジョエル・コーエン

 出演:ジョージ・クルーニー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ジェフリー・ラッシュ、ビリー・ボブ・ソーントン

 内容:結婚前に財産分与を決めておく婚前契約を題材に、コーエン兄弟が贈るラブコメ。離婚訴訟専門の辣腕弁護士マイルズが、財産目当ての結婚と離婚を繰り返す女マリリンと出会う。壮絶な騙し合いを重ねるうち、弁護士は女に惹かれてしまい・・・。

評価★★★★/75点

自分に血清と免疫が備わったのか、それともコーエン兄弟の毒牙がすり減ったのか分からんが、毒素が消え去って自分の頭はいたって正常。しかし、毒素が抜けたら抜けたで、いっぱしの軽妙洒脱なショウになっており、フツーに楽しめてしまうのであった。

「レディ・キラーズ」(2004)になると、毒素どころじゃなく匂いまで消えちゃってるのには思わず閉口しちゃったけどね。。

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スコルピオンの恋まじない(2001年・アメリカ・101分)NHK-BS

 監督・脚本:ウディ・アレン

 出演:ウディ・アレン、ヘレン・ハント、シャーリズ・セロン、ダン・エイクロイド

 内容:1940年のNY。保険会社に勤めるブリッグズは腕利きの保険調査員だが、彼は最近入社した同僚のフィッツジェラルドと犬猿の仲。しかし、同僚の誕生パーティに居合わせた2人は、催眠術をかけられて互いに惹かれあうようになってしまう。そんな頃、巷では宝石泥棒が頻発していて・・・。

評価★★★☆/70点

ウディ・アレンの妄想が相当入り込んではいるが、ヘナヘナR2-D2と悪のオーラ漂う女ダース・ベイダーの奇々怪々ワールドツアーに思わず舌鼓を打つ。

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Dr.Tと女たち(2000年・アメリカ・122分)WOWOW

 監督:ロバート・アルトマン

 出演:リチャード・ギア、ヘレン・ハント、ファラ・フォーセット、ローラ・ダーン、シェリー・ロング

 内容:Dr.Tはダラスのモテモテ産婦人科医。患者に婦長に愛妻に娘に義理の妹にさらにその娘に魅惑的な恋人に、、、振り回されるリチャード・ギアなのですた。。

評価★★/40点

もうこうなったら最後の手段だ。

ケーシー高峰を派遣するっきゃない!

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10日間で男を上手にフル方法(2003年・アメリカ・115分)WOWOW

 監督:ドナルド・ペトリ

 出演:ケイト・ハドソン、マシュー・マコノヒー、アダム・ゴールドバーグ、マイケル・ミシェル

 内容:人気女性誌の編集者アンディは、「こうすれば男に嫌われる!」という企画をダメもとで出すが、あっさりとゴーサインが出てしまう。彼女は次号までの10日間で男性と出会い、恋をして、フラれなくてはいけなくなった。そんな彼女は、これまたワケありの広告マンのベンと、とあるパーティで出会う。。

評価★★★/65点

ケイト・ハドソンの笑顔はゼロコンマ1秒でオイラの顔面を自然に脱力させる超強力魔法なのだ!それでなんとか見続けたようなものなのだ・・。フ~。。

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チャーリーと14人のキッズ(2003年・アメリカ・92分)WOWOW

 監督:スティーブ・カー

 出演:エディ・マーフィ、ジェフ・ガーリン、スティーブ・ザーン、レジーナ・キング

 内容:E・マーフィ扮するエリートサラリーマンが仲間とともに自宅に保育園を開園。キッズパワーに圧倒されながらも大奮闘!が、ライバル保育園が登場し・・・。

評価★★★★/75点

見どころは、負け組3羽ガラスと子供たちとのドタバタハッピーバトルだが、何にもましてアンジェリカ・ヒューストンの制服お化け姿が1番強烈。。

夢のシネマパラダイス80番シアター:八日目の蝉

八日目の蝉

Poster2 出演:井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子、田中哲司、市川美和子、余貴美子、平田満、風吹ジュン、劇団ひとり、田中泯

監督:成島出

(2011年・松竹・147分)DVD

内容:会社の上司と不倫して妊娠、中絶手術の後遺症で子供を産めない身体となった希和子(永作博美)は、不倫相手の夫婦(田中哲司・森口瑤子)の赤ん坊・恵理菜を連れ去り、4年間の逃亡の末に逮捕された・・。やがて21歳になった恵理菜(井上真央)は、妻子ある男(劇団ひとり)の子供を身ごもってしまう。誘拐犯の希和子を憎みつつも同じ轍を踏もうとしていることに苛立つ恵理菜は、封印していた記憶と向き合うべく、ルポライター千草(小池栄子)とともに希和子の逃避行を辿る旅に出る・・・。

評価★★★★/80点

「その子はまだご飯を食べてないんです。どうかよろしくお願いします。」と、小豆島のフェリー乗り場で警察に見つかった時に頭を下げて願う希和子の姿に思わず涙

そしてラスト。「なんでだろ、顔も見てないのに、私この子のこともう好きだ!」と顔をクシャクシャにしながら吐露する恵理菜の言葉を聞いて、こりゃお手上げだ、男の出る幕はあるわけないなと観念したw

しかし、女心を理解できない自分はそれでもこの映画に強く胸を打たれた。

それは誰もが平等に恩恵を受けてきたであろう母なるものの無償の愛を純粋な形で感じられたからかもしれない。

子供を産めない身体になってしまった希和子が不倫相手の妻に子供が産まれたことを知って、ひと目だけでも赤ちゃんを見たいと思ったという心理は男からすると理解しかねるのだけども、赤ちゃんをひと目見た瞬間、“空っぽのがらんどう”が母性で満たされる姿はあまりにも自然なものとして目に映った。

一方、かけがえのない母性の発動を奪われた恵津子の絶望が怨念に取って代わる姿も痛切だった。

そして“薫”という記号的呪縛を小豆島の原風景で解きほぐし、失われた4年間-与えられた愛-を取り戻した恵理菜の母親としての決断-愛を与える決意-が胸にしみわたった。

まさに女の映画である。

とともに、悲しいほどに男不在の映画でもある。

劇団ひとりはどこまでも軽薄な姿をさらけ出し、あげくの果てにいつの間にかフェードアウトしてしまうし、この誘拐事件の元凶ともいうべき田中哲司は焦点の合わないフレームの隅で申し訳なさそうに佇んでいるだけだ。

そして極めつけは、女性の駆け込み寺エンジェル・ホームの存在であり、男は確信犯的に無視されつづける。

しかし、どうだろう。

女性だけのコミュニティで育ったがために男性恐怖症になってしまった千草もまたもう一方の被害者とはいえないだろうか。

恵理菜との旅を通して封印していた自分の殻を破ることができるのか、八日目の蝉が七日目までには見られなかった美しい景色を見ることができるのだとしたら、それが信頼しあえる男性とめぐり会って素敵な家庭を築いてみえる幸せな景色であってほしいものだ。

2014年7月 5日 (土)

夢のシネマパラダイス327番シアター:伊坂幸太郎×中村義洋鉄板コンビ

ポテチ(2012年・日本・68分)WOWOW

 監督・脚本:中村義洋

 出演:濱田岳、木村文乃、中林大樹、松岡茉優、大森南朋、石田えり

 内容:空き巣を生業とする今村はある日、自殺しようとしていたところを助け今は恋人となった若葉を連れて、とあるマンションの一室に忍び込む。そこはプロ野球のスター選手・尾崎の部屋だったが、突然かかってきた電話を取ったことから事件に巻き込まれていく・・・。

評価★★★☆/70点

68分。

ムダに長い映画が幅を利かせている今時分にあって、このコンパクトさはなんとも清々しいし、伊坂幸太郎×中村義洋の鉄板コンビにあって、役者陣含め座組の自由度というか余裕が感じられて非常に心地良い作品になっていたと思う。

なんというかホント3時のおやつにパリッと食べられるライト感覚を狙って作れているのが美味い。

役者陣がまたイイんだ。特に大森南朋の無表情な訳知り顔は最高に可笑しかったw

あとは木村文乃のキュートさに触れないわけにはいくまい。おもいっきりブッ飛ばされたいです

あと、濱田岳については鉄板なので何も言うことはないけど、親分役の中村義洋はもう役者としては出てこなくていいからねとアドバイスしてさしあげたい(笑)。

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フィッシュストーリー

O0335050010149033299 出演:伊藤淳史、高良健吾、多部未華子、濱田岳、森山未來、大森南朋

監督:中村義洋

(2009年・日本・112分)

内容:2012年、彗星の衝突による人類滅亡まであと5時間。店長(大森南朋)がいつもと変わらず営業を続けているレコード店では、パンクバンド・逆鱗が1975年に発表した曲“FISH STORY”が流れていた。1982年、曲の途中で音が途絶える部分がある“FISH STORY”の無音部分には女の悲鳴が聞こえるという噂話に大学生・雅史(濱田岳)は怯えていた。2009年、修学旅行中にフェリーに取り残されて落ち込んでいた麻美(多部未華子)は船のコック(森山未來)に声をかけられるが、その直後にシージャックが発生してしまう・・・。

評価★★★☆/70点

例えばタランティーノのような、時間軸を錯綜させ同じ場面を様々な視点から切り取る面白さはこの映画にはない。

各エピソードのつながりは後付けのような薄さで糊付けされており、ヤラレた感には正直乏しい。形としては短編オムニバスをつなげて無理やり納得させられたかんじだ。

しかし、全く悪い気は起こらない。

各エピソードがなかなかよく出来ていて、話に引き込まれる面白さがあり、それが一本の線につながるタネ明かしも、フルコースを食べた後にまだ美味しいフルーツタルトがあったんかいと喜べるオマケ感覚で見れてしまうし、また、なにより世代と時代を超えて人と人、意志と思いがつながっているんだという気持ちの良さと、人々を結びつける普遍的な歌の力に魅了されてしまうのだ。

しかも、“フィッシュストーリー=ホラ話”を“魚の話”と誤訳するバカバカしい偶然が事の発端になっているのもアイロニーに満ちていて面白く、運命とは単なる偶然の産物であり、その積み重ねが人生なのだという必然にたどり着くのも絶妙。

そして思う。

今、自分がココに生きているのは、まさに奇跡なのだと。

意味のないような人生にも意味はあるんだ!いい音楽聴いて一秒一秒を大事に生きよう!

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ゴールデンスランバー

Img_lineup  出演:堺雅人、竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり、柄本明、濱田岳、永島敏行、伊東四朗、香川照之

監督・脚本:中村義洋

(2009年・東宝・139分)盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

 

内容:仙台で暮らす30歳の独身男、青柳雅春(堺雅人)。新首相の凱旋パレードの日、青柳は学生時代の同級生・森田(吉岡秀隆)に呼び出され久々に再会するが、「お前、オズワルドにされるぞ。とにかく逃げろ!」とわけの分からないことを言われてしまう。が、その直後、パレード会場で爆発音が鳴り響く。さらに2人の前に現れた警官がいきなり発砲してきて、わけも分からないまま青柳は逃走するのだが・・・。

“大変よくできました!”

仙台生まれで、高校卒業後かの地にに7年間住んでいた自分からすると、オール仙台ロケというだけでかなりシンパシーを感じてしまうわけで、当然点数も甘くなりますw

“KHBお天気情報~♪”とか八木山ベニーランドのCM曲とか仙台人にしか分からないご当地ネタが出てきて思わずニンマリ。

ケネディ暗殺をネタにしたと思われる荒唐無稽な展開もがぜんリアリティが増してくるというもので、オープニングが老舗デパート藤崎というところからして、もうこれはキターッと思ってしまった。

また、堺雅人の飄々とした演技も当事者意識ゼロのド素人と現実を見据えた逃亡者-ユーモアとシリアス-の狭間で絶妙な味わいを醸し出していて、荒唐無稽さを逆手にとった上手さを見せているし、濱田岳のキルオや、永島敏行の微笑ヒットマンなど脇も個性豊かで二重丸!

このての娯楽作品ならばフツーは陰謀の真相を暴いて黒幕を追いつめるというのが常道だし、青柳と樋口(竹内結子)が再会してハッピーエンドという展開になると思うんだけど、せつなさ満点の現実的な着地点はかえって心に残って良かった。

まぁ、、舞台が仙台てだけで何でもいいんだけど(笑)。

でも、自分が1番好きなシーンは、運送会社の元同僚・岩崎が青柳を見て開口一番「やってないんだろ」と言うところ。

この映画のテーマである“信頼”を語る上で最も端的なシーンだったと思う。

学生時代を仙台で過ごした自分からすると、やや青柳の学生時代の過去シーンが弱いかなとは思ったけど、これだけ時間と空間を共有できた作品もなく、十分満足できる映画だったな。

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アヒルと鴨のコインロッカー

Ahiru_kamo 出演:濱田岳、瑛太、関めぐみ、田村圭生、松田龍平、大塚寧々

監督・脚本:中村義洋

(2006年・日本・110分)2007/07/11・盛岡フォーラム

評価★★★☆/70点

 

内容:大学入学のため仙台へ引っ越してきた椎名(濱田岳)。ボブ・ディランの「風に吹かれて♪」を口ずさみながら荷物の整理をしていると、アパートの隣室の住人・河崎(瑛太)に声をかけられる。そして椎名に奇妙な計画を持ちかける。それは、同じアパートに住むブータン人留学生に広辞苑をプレゼントするため、本屋を襲うというものだった・・・。伊坂幸太郎の同名小説の映画化。

“実はボク、住んでました。あそこに。”

仙台生まれの仙台育ちの自分としては、懐かしさに包まれながら、かなり入れ込んで見入ってしまった。

なんてったって椎名らが住むアパートがある泉区歩坂町に2年ほど住んでましたからっ!そして、椎名が通う東北学院大学(映画では青葉学院大学)にも通っていたので。

立地的には仙台市北部にある大学の泉キャンパス(1・2年は泉で、3・4年になると仙台市中心部の土樋キャンパスに移るんです)の真後ろに歩坂町はありまして、その名の通り坂、坂、坂だらけで、その坂のてっぺんにドデカイ鉄塔タワーがドッカンドッカン立ってて、よく友達と「電磁波に侵されて病気になっちゃう~」て言ってたっけ。

そんな歩坂町は、ほとんどが色とりどりのアパート群で占められておりまして、学生タウンのようなかんじになってるんです。

だから、歩坂町のアパートと泉キャンパスなんて徒歩5分くらいで着く距離なので、椎名がバスに乗って帰るというのはありえないんだけどね(笑)。

まぁ、そういう細かいとこは置いとくとしても、原作は読んだことないんだけど、仙台の情景もあいまってかなり心に染み入るせつない映画に仕上がっていたと思う。

最初の方は、家賃4,5万のアパートに住んでるくせして広辞苑目当てで本屋を襲うというどこかミステリアスな河崎という男がよく分からないキャラクターだったし、ドルジ(田村圭生)も本当にブータン人なのか?というかんじで、全体的にしっくりこなくて、2年前と現在のプロット、ペット殺傷事件と本屋襲撃がどういうふうに繋がって着地するんだろう、と思いながら見ていたのだけども。

ところが、な、なぬっ!?とおもわず後ろにのけぞってしまうほどのネタ晴らしが明らかになったあとは、すべての伏線がつながり、まるで流しそうめんがスルスルと落ちてくるように一気に引きずり込まれてしまった。

久々に身震いするほどのどんでん返しに気圧された気がする。こりゃ原作も読んでみないとイカンな。

ていうか、“となりのとなり”をそう解釈する奴はおらへんよなぁ(笑)。やられますた。。

キャラクターを見事に演じきった瑛太をはじめとして、役者陣も大変よろしく、松田龍平の存在感は抜群だったし、あとは特に人の良いドギマギ系の椎名を演じた濱田岳がヨカッタな。

もう一回見たいと思わせる作品です。

2014年7月 1日 (火)

夢のシネマパラダイス165番シアター:真夏の方程式

真夏の方程式

T0015786p 出演:福山雅治、吉高由里子、北村一輝、杏、山崎光、風吹ジュン、前田吟、塩見三省、白竜、西田尚美

監督:西谷弘

(2013年・東宝・129分)WOWOW

内容:手つかずの美しい海が見える町、玻璃ヶ浦で進められている海底鉱物資源の開発計画。その地元説明会に招かれた物理学者・湯川学(福山雅治)は、川畑夫妻(前田吟・風吹ジュン)が経営する小さな旅館“緑岩荘”に滞在することに。彼はそこで、親の仕事の都合で夏休みの間だけ親戚である川畑家に滞在することになった少年、恭平(山崎光)と出会う。そんな中、緑岩荘の宿泊客で、元警視庁の刑事、塚原(塩見三省)の変死体が海岸で発見される・・・。

評価★★★★/80点

原作既読。

サスペンス映画を劇場で見ようと思わないのは火サスレベルのテレビドラマを見るハメになるリスクは負えないからだけど、今回は劇場で見たいと思わせるほど原作が心に残って。

で、結局見に行かなかったんだけど(笑)。おいっ!

いや、しかし、悪人と呼べる人が出てこない中でそれぞれの人物が愛する者のために無償の愛をそそぐ“献心”とそのために背負う十字架を、罪を憎んで人を憎まずの人情ドラマに仕立てた筋立ては前作以上に心に染み渡ったし、哀しく切ない余韻をキラキラと光り輝く夏の海が受けとめてくれるロケーションも印象的で、これはぜひとも映像化を見てみたいと思った次第。

で、結果見てみたらものすごく良くて、涙腺も大いに緩み、とても心に残る作品になっていたと思う。

TVドラマからのバージョンアップを意識する上で、ロジカルな謎解きよりもエモーショナルな人間模様にウェイトを置いた手法はガリレオシリーズに関しては切に正しく、その上で、病身の身につまされるような特殊メイクであるとか、マジックミラー越しの父娘の抱擁といった情感を盛り上げるための演出上のあざとさを役柄がピタリとはまった役者陣がしっかり映画へと昇華しているのも強みだ。

特に杏の憂いを秘めた存在感には瞠目した。子役もそれ以上に素晴らしく、この二人が作品の底上げに大いに貢献したといっていいだろう。

月9の明度の高さから逃れられないTVドラマよりも数段映画の方が味わい深くて良いと思う。

あと、印象に残ったのが環境問題の是非を問う議論で、0か100かで対立することは答えを最初から放棄しているようなもので意味を成さないという湯川先生の言葉だ。

お互いの対立軸において、全てを明示し知った上でベストな方法を選択すべきというのはなるほどなぁと思った。

人生においてもすぐには答えを出せない問題はいくつも現れるだろうけど、どんな問題にも答えは必ずある!

なんか分かんないけど、人生くじけずにもうちょっと努力して頑張っていこうって思った(笑)。なんて単純w

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容疑者Xの献身

Yougisya_x_no_kensin 出演:福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、松雪泰子、長塚圭史、堤真一

監督:西谷弘

(2008年・東宝・128分)WOWOW

内容:ある冬の日、顔を潰され指も焼かれた全裸の絞殺死体が発見される。が、ほどなく身元は富樫という男性であることが判明。貝塚北警察署の刑事・内海薫(柴咲コウ)と警視庁刑事・草薙(北村一輝)は、富樫の元妻・花岡靖子(松雪泰子)を容疑者と睨むが、彼女には完璧なアリバイがあった。困り果てた2人は、さっそくガリレオこと物理学者の湯川(福山雅治)に相談を持ちかける。そこで偶然にも、靖子のアパートの隣に住むサエない男・石神哲哉(堤真一)が、湯川の大学時代の同級生であることが分かる。やがて、湯川は石神がこの事件に関わっているのではと疑念を抱き始めるが・・・。

評価★★★★/80点

普段、小説をほとんど読むことがない自分だけど、本屋大賞と直木賞受賞作だけは読むようにしていて。

その中でも、東野圭吾の直木賞受賞作の今回の原作は、宮部みゆきの「火車」と並んで今までで1,2を争うほど印象に残った小説。

なんて哀しく、そして心洗われる作品なんだろうと、サスペンス・ミステリーという範疇を超えた人間ドラマのエンタメ作として一気に読破してしまった。

だから、映画化されると聞いたときは、イエー^^ヾ(。・ω・)人(・ω・)ノーいと飛び上がって喜んだけど、月9ドラマと同じ軽妙なタッチで描かれたら原作のテイストが損なわれやしないかという不安要素があって。。

、、だったんだけど、それは全くの杞憂に終わったようだ。

原作には登場しない内海薫を捨て駒にしてまで、あくまで石神と花岡靖子をメインに据え、TVドラマとは一転シリアスなトーンにして、音楽も月9でおなじみの曲はほとんど使わず、、フムフムよく分かっていらっしゃるなという印象。

石神も原作では小太りで目が細い冴えないオッサンで、堤真一はもの凄っかけ離れたイメージだったんだけども、なんともまぁ彼の演技には脱帽しちゃいましたわ。もう彼の独壇場というかんじで、映画の空気を彼一人の存在感で確定させちゃったような。

役者に引き込まれてしまうというのはこういうことを言うのかもしれないなってことを久々に感じさせてくれますた。。

その点では、柴咲コウはホント今回はご愁傷さまでしたとしか言いようがなくて、福山ガリレオとの丁々発止の掛け合いもほとんどなく、、、何の見せ場もなかったな。

ま、それは次回作に期待するとしてだ。ともかく、東野圭吾の文体がそもそもシナリオ的な要素を多分に含んでいるので映像化しやすいという面はあるのかもしれないけど、今回は「手紙」(2006)並みに心に残る秀作になったと思いまッス。

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麒麟の翼~劇場版・新参者~(2011年・東宝・129分)WOWOW

 監督:土井裕泰

 出演:阿部寛、新垣結衣、溝端淳平、松坂桃季、山崎努、三浦貴大、劇団ひとり、田中麗奈、中井貴一

 内容:ある日、東京・日本橋で男性の刺殺体が発見される。被害者はカネセキ金属の製造本部長・青柳武明(中井貴一)。彼は死の直前、腹部を刺されながら歩き続け、日本橋の麒麟像の下までやって来るという不可解な行動をとっていた。一方、容疑者として挙がった八島冬樹(三浦貴大)は職質からの逃走中トラックに轢かれて意識不明の重体になってしまう。その恋人・中原香織(新垣結衣)は懸命に無実を訴えるが・・・。

評価★★★☆/70点

原作未読が功を奏したのか、先の展開がなかなか読めなくて、けっこう楽しんで見れてしまった。

いや、楽しくというよりラストの方は悲しくなっちゃったんだけど、不思議と悪人らしい悪者がいない中、身近にあるちょっとした齟齬が積み重なって大きな悪循環を生んでいくのが見ててツラくなって・・

で、エンディングに流れるJUJUの歌にとどめを刺されてしまいますた。。

映画のつくりもかなり丁寧なつくりになっていて、伏線をこれみよがしに強調するバカ親切さもご愛嬌w、ひとつひとつ確実にそれを回収していくバカ正直さは飽きさせない。

って、ホメてるんだよねこれ?ハイww

いや結局、中井貴一をはじめとする役者陣がいいんだよね。いかにもなクサい演出をさりげないベクトルに持っていく演技力はさすがの一言。

中井貴一が出てると安心できる所以が分かった気がする。

あと、TVドラマの方も未見だけど、本庁刑事・溝端がショカツの阿部寛のパシリに使われているのも踊るシリーズなんかとは逆になってて面白かったし、自分は好きだな、これ。

ただ、音楽の使い方が突飛で素人でも分かるくらい明らかに合っていなかったのは気になった。

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白夜行

337910_02_01_02 出演:堀北真希、高良健吾、姜暢雄、緑友利恵、粟田麗、田中哲司、戸田恵子、船越英一郎

監督:深川栄洋

(2010年・日本・149分)WOWOW

内容:昭和55年、質屋の店主が殺される事件が発生。被害者の愛人とその若い情夫に容疑がかかるが、その後2人は事故死。決め手を欠いたまま、事件は被疑者死亡のまま一応の決着をみる。しかし担当刑事の笹垣は腑に落ちないものを感じ、単独で捜査を続ける。彼の心を捉えて放さなかったのは、愛人の娘・雪穂と、被害者の息子・亮司の姿だった・・・。

評価★★★/65点

内容はともかく、昭和の空気感を色濃く映し出すことにかけてはかなり良い仕事をしていると思う。

暖色のノスタルジーというより、寒色の喪失感を指し示した映像は昭和という時代の残像をせつなく浮かび上がらせて印象的だったし、船越英一郎、粟田麗や緑友利恵など役者陣も非常によくなじんでいて見入ってしまった。

しかし、三丁目の夕日で暖色のノスタルジー色に染まりまくってきた堀北真希はその点でいえば明らかなミスキャストだったといわざるをえない。

大いなるチャレンジだったとは思うけど、まぁ、端的にいえば大竹しのぶにはなりえないんだよね(笑)。

いや、これは決してけなしているのではなく、吉永小百合の系譜を受け継ぐ堀北真希はそもそものところで悪女たりえない稀な女優なのだ。

ってことを自覚してもらいたい。

内容はともかくといった通り、ちょっと物足りなかっただけに、役者で見せるという点で肝心かなめがミスキャストだったのは残念だ。

夢のシネマパラダイス45番シアター:YES,WE CAN!!CHANGE WE NEED!!

オール・ザ・キングスメン

Kkz105 出演:ブロデリック・クロフォード、マーセデス・マッケンブリッジ、ジョン・アイアランド、アン・シーモア

監督・脚本:ロバート・ロッセン

(1949年・アメリカ・109分)DVD

内容:不正を憎む実直な下級役人だったウィリーは、苦労の末に州知事に就任する。やがて権力を増大させた彼は、いつしか腐敗政治に手を染めていた。そんな時、彼の息子が事故を起こす。事故隠しに奔走するウィリーは、やがて自ら破滅を招いていくのだった・・・。アカデミー作品・主演男優・助演女優賞を受賞。

評価★★★★/80点

今、このての映画作ったら、絶対サスペンスとかアクション方面に舵が行っちゃうんだろうな。。

日本を牛耳ってるどこぞやの政党じゃないけど、あまりにも現実政治がアホらしいから、テレビのワイドショーとかTVタックルの永田町時代劇で十分だもんな(笑)。あるいはキムタク総理みたいに、現実逃避としておもいっきり理想的にヒーローとして描いちゃうとかしかないだろ。

でも、逆にそういう中で今回の映画を見るとすごく新鮮だし面白いわけ。

シンプルな話の筋立ての中に典型的な金権政治の何たるかが凝縮されているわけで、日本でいえば鈴木何某の政治人生そのものじゃんみたいな。

ド田舎出身で理想に燃えてた1人の男が金権政治の権化と化していく様が非常に分かりやすく描写されていく。

撃たれても、なぜ俺は撃たれたんだ?とのたまうウィリー・スタークと同じように鈴木何某も、なんで政治家やめなきゃならんの?と涙流しながら訴えるわけだ。(結局復活しちまったけど・・)悪の道を突き進んでるなんて自分じゃこれっぽっちも思ってなかったんだろうな。

さらに、この映画の面白いところは、ウィリー・スタークの右腕がセイディという女性だということ。非常に有能な参謀でありながら金権力の虜となっていく様は大きなインパクトを与える。アカデミー賞で助演女優賞獲ったのも納得。

理想論を語ることは誰にだってできるけど、その理想を現実のものにするために自ら立ち上がる奴ってのはそうなかなかいるもんじゃない。

まさに正義の人。

しかし、その理想を実現する先に必ず立ちはだかる様々な抵抗勢力や敵と闘わなければならない中で、理想を実現するための手段、必勝法は金だ!ということにウィリーは行き着いてしまうわけだ。

理想を実現するためにはどんな手段も厭わないというやり方が悪の道へと知らず知らずのうちに引き寄せていき、しまいには自分の理想さえねじ曲がってしまう。けど、自分では正しいことをしていると信じきったまま。。

こうなっちゃうと、もう手がつけられませんわな・・。

映画の中で印象的に使われていた「善は悪から生まれる」という言葉の意味はそういうところにあるのだと思った。

でも、この言葉自体すでにねじ曲がっちゃってるけどね。。

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スーパー・チューズデー~正義を売った日~(2011年・アメリカ・101分)WOWOW

 監督・脚本:ジョージ・クルーニー

 出演:ライアン・ゴズリング、ジョージ・クルーニー、フィリップ・シーモア・ホフマン、ポール・ジアマッティ、マリサ・トメイ、ジェフリー・ライト、エヴァン・レイチェル・ウッド

 内容:アメリカ大統領選を前に行われる民主党予備選で最有力候補に躍り出たペンシルベニア州知事マイク・モリス。そんなモリス陣営の優秀な選挙スタッフとして辣腕を発揮していたスティーヴンだったが、ライバル陣営の選挙参謀から巧みな引き抜き工作を仕掛けられる・・・。

評価★★★/60点

クリーンな政治家なんていないってことは今までイヤというほど見せつけられてきたわけで、それからすると二十歳の女のコに手を出した云々というのはスケール小さすぎて拍子抜けもいいところ。。

もうちょっと「大統領の陰謀」のような骨太な人間ドラマを期待していたので・・・。

ただ、民主党支持者のジョージ・クルーニーが民主党側から選挙戦裏側のダークサイドを描いているのが見どころといえば見どころで、しかも自らのセックススキャンダルをもみ消してしまう議員を自ら演じるというのは、良い意味でふてぶてしいまでの底意地の悪さが垣間見えて、反骨精神にあふれた映画人としての確かな見る目を感じさせてくれる。

ただ、どうだろう、、ソダーバーグに撮らせてたらどうだったのかなぁなんて思ってしまう自分もいたりして・・

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候補者ビル・マッケイ(1972年・アメリカ・112分)NHK-BS

 監督:マイケル・リッチー

 出演:ロバート・レッドフォード、メルヴィン・ダグラス、カレン・カールソン

 内容:カリフォルニア州の上院議員選挙で、民主党は共和党の現職候補ジャーモンに対して、党の長老で州知事も務めたジョン・マッケイの息子ビル・マッケイを候補者に立てた。清新で有能な若手弁護士でもあるビルは、はじめは選挙参謀たちの思惑通りに、対立候補の現実主義に対抗した主張を続けるのだったが・・・。

評価★★☆/50点

途中からビルが勝ってもジャーモンが勝ってもどっちでもよくなった・・・。

うーん、オイラがこの映画の製作者だったら、レッドフォードをジャーモン側の参謀にして、ビル役はダスティン・ホフマンにするけどなぁ。当て馬候補とはいえ、レッドフォードだとカッコ良すぎる。。

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エディ・マーフィのホワイトハウス狂騒曲(1992年・アメリカ・112分)WOWOW

 監督:ジョナサン・リン

 出演:エディ・マーフィ、レイン・スミス、ヴィクトリア・ローウェル

 内容:詐欺師のトーマスは、ある日地元の有力議員が選挙戦を前に急死したことを知り、自分と名前が似ていたことからちゃっかり下院議員選に立候補。巧みなペテンぶりで見事当選したトーマスは、いざワシントンDCへ乗り込む!!

評価★★★☆/70点

ほんと安っぽくて分かりきった展開なのだけど、なにせ現実の政治もホント安っぽいレベルだから、悲しいことに面白いんだわこれ(笑)。。

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アメリカン・プレジデント(1995年・アメリカ・114分)NHK-BS

 監督:ロブ・ライナー

 出演:マイケル・ダグラス、アネット・ベニング、マイケル・J・フォックス、マーティン・シーン

 内容:妻を病気で亡くしてから男手ひとつで娘を育ててきた合衆国大統領アンドリューと、彼の政策に否定的な美人ロビイストのシドニー。そんな2人が次期大統領選を目前にして恋に落ちた。周囲の狼狽ぶりなどお構いなしに堂々と恋愛を楽しむ2人だったが・・・。

評価★★★/65点

“ハリウッドは民主党がお好き!?”

リビア問題や銃規制などタイムリーな問題を取り上げて、さらには京都議定書を批准しもしないくせして地球温暖化対策としてCO2の20%削減法案を打ち出すなどまさに夢のようなリベラリスト大統領、、、ってなに?民主党の大統領になればこうなっちゃうのかしら。。

まぁ、支持率63%というG8ではありえないくらい高人気の大統領を描いているだけに、逆に政治ものとしてはなんとも味気ないものになっているのだけど、アネット・ベニングとのロマコメはフツーに見られるし、後年人気TVドラマ「ザ・ホワイトハウス」で大統領になったマーティン・シーンがこの作品では大統領補佐官になっているというのも見所で、豪華キャストも相まってなかなかどうして面白い作品になっていたと思う。

あ、でもそういえば昔、民主党だったクリントン大統領とモニカ・ルインスキーの不適切な関係てのもあったっけな。結局ホワイトハウスってそういう所なんだね・・・(笑)。

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パーフェクト・カップル(1998年・アメリカ・144分)NHK-BS

 監督:マイク・ニコルズ

 出演:ジョン・トラボルタ、エマ・トンプソン、キャシー・ベイツ、ビリー・ボブ・ソーントン

 内容:トラボルタが脳天気で女ったらしの大統領(=ビル・クリントン?)、エマ・トンプソンが優秀で気丈なファースト・レディ(=ヒラリー?)を演じ、米大統領選の舞台裏を痛烈に暴きだした作品。

評価★★/40点

プロレスの試合中継と化した大統領選という題材を見せられても何ら興味が湧かないんですけど・・・。

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オール・ザ・キングスメン(2006年・アメリカ・128分)WOWOW

 監督・脚本:スティーヴン・ザイリアン

 出演:ショーン・ペン、ジュード・ロウ、アンソニー・ホプキンス、ケイト・ウィンスレット、マーク・ラファロ

 内容:1949年、ルイジアナ州の小さな市の出納官を務めていたウィリー・スターク。小学校建設に絡む役人の汚職を告発していた彼は逆に職を追われてしまうが、その学校で欠陥工事が原因の事故が起こったことから一躍注目の存在となる。そんな彼に新聞記者ジャックは興味を抱き交流を持つ。やがてウィリーは州知事選に出馬し、貧困層の心をつかんだ彼は地滑り的勝利を収めるが・・・。ロバート・ペン・ウォーレンのピュリツァー賞受賞作を1949年作に続いて再映画化した政治ドラマ。

評価★★/40点

あの名作がここまでチンケなものになってしまうのかと半ば唖然としてしまった。はっきりいって何を描きたいのか、何を描こうとしているのかが全くつかめなかった・・・。

ただ単に、あの時彼女とエッチしとけばよかったとモーレツに悔やむ男が上司に寝取られてウガーッとなってたら、その上司が銃で撃たれちゃってそれをボー然と眺めている男の回想としか見られないというか・・・。

“善は悪から生まれる”と言うに至ったスタークの心の変遷ぶりもほとんど描かれていなくて、やけに動きまくるショーン・ペンの演技もウザく感じてしまう始末。。

政治と女はつきものだけど、いったい何に比重を置きたいのかが中途半端な上、そこに加えてジャック(ジュード・ロウ)とアン(ケイト・ウィンスレット)の青春の苦い思い出なんていうプロットを突っ込んでくるので、ますます視点がボヤけていってしまう。

このメンツでギャング映画作った方がよっぽどマシちゃうか(笑)。。

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