夢のシネマパラダイス568番シアター:ツリー・オブ・ライフ
ツリー・オブ・ライフ
出演:ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャステイン、フィオナ・ショウ、ハンター・マクラケン、ララミー・エップラー、タイ・シェリダン
監督・脚本:テレンス・マリック
(2011年・アメリカ・138分)WOWOW
内容:成功した実業家ジャック・オブライエンは人生の岐路に立ち、テキサスの田舎町で3人兄弟の長男として育った自らの少年時代に思いをはせていた。強圧的な父親と神の恵みを説く愛情深い母親の狭間で葛藤を抱えながら過ごした日々を・・・。
評価★★☆/50点
テレンス・マリックの映画は他の凡百の映画とは異なる時間の流れを有している。
常に締め切りとの格闘を余儀なくされる日常生活を駆け抜けるせわしない時間とは別に、人間のあずかり知らない頃から流れている悠久の時の流れだ。
それは欲望に憑かれた愚かな人間の行いとは全くお構いなしに何千万年も繰り返されてきたであろう自然の営みであり、それが風となって、また陽射しとなって頬をかすめ耳元でささやく時、そこに神の御手が降りてきた瞬間を垣間見るのだ。
そして、そのたゆたうような時の流れに身を任せてみれば心地良く感じられることもあれば、退屈きわまりなく感じてしまうこともあるのだけれど、今回はその神の御手をあからさまに、しかも執拗に視覚化してきて、その鬱陶しさに正直萎えた。
この押し付けがましさはもはやKYの域を超えている。
映画を見るつもりが教会で牧師の独り言を延々聞かされることになるとは思いもよらなかった・・
しかも、神の啓示を語るのに、フツーの家で当たり前に繰り広げられる物語にもならないような小さい話を持ち出してくるのだから恐れ入る。
例えば、巨人の星で星一徹がちゃぶ台返しをすることとオーバーラップして宇宙創成のビッグバンから太古の恐竜時代をめぐる叙述詩を描いちゃえ!なんて誰が考えつく(笑)!?
これはさすがについて行けない。
しかし、見所もあるといえばある。
役者陣は子役も含めて健闘していて、なかでもブラピの役者としての存在感には思わず目を見張るものがある。
郷愁と兄弟の愛憎を描いた「リバー・ランズ・スルー・イット」(1992)から20年。今や兄弟の弟の方ではなく、兄弟の厳格な父親を演じるまでになったことに何か感慨を抱いてしまうけど、なにより斜め後ろから見た姿がマーロン・ブランドそっくりなことに驚いてしまった。
かの作品でレッドフォードの再来と呼ばれ1作ごとにスター街道を駆け上がっていくのをリアルタイムで見てきた自分としては、今度は真の名優への階段を登っていくのを見れるかと思うと楽しみでならない。
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