夢のシネマパラダイス187番シアター:鉄路の闘い
ミッション:8ミニッツ
出演:ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン、ヴェラ・ファーミガ、ジェフリー・ライト、マイケル・アーデン
監督:ダンカン・ジョーンズ
(2011年・アメリカ・93分)盛岡フォーラム
内容:列車の中で目を覚ましたコルター・スティーヴンス大尉は、見知らぬ女性から親しげに話しかけられる。しかも鏡を見ると自分の顔ではなく別人の顔になっていた。その直後、大爆発が起こり、再び意識を取り戻すと、そこは真っ暗なカプセルの中だった。そして、その中のモニターには軍関係者とおぼしき女性が映っていて、今朝シカゴ郊外で列車爆破テロが起こり、犠牲者の脳に残る死の直前8分間の記憶の世界へ入り込むプログラムの中で犯人を捜すミッションを実行していると告げるのだった・・。
評価★★★★/80点
死者の脳には死の直前8分間の記憶が残っていて、その脳波に波長を合わせて死者の意識と同化し、記憶の中に入り込めばその8分間を追体験することができる!
この可能と不可能の境界線を探るフリンジサイエンスな設定にまずはゾクゾクしてしまう。
そして、この映画の上手さは、基本この設定以上のものは出してこないところにある。
そのため、犯人は誰なのか、どこにいるのかという謎解きと、“包囲された城”とはいったい何なのか、なぜコルターはこのミッションに参加させられているのかという謎解きが並行して描かれる二重の面白さがある。
また、過去の世界にさかのぼるタイムトラベルもの(厳密にはコルターがミッションで入り込んだ世界は過去ではなく仮想現実世界)としての醍醐味と、同じ8分間を何度も繰り返すループものとしての醍醐味を二重に味わえる面白さもあり、こちらのツボを的確に刺激してくる上手さがこの映画にはある。
その上で前者は過去の修復を、後者は時間の共有を、そしてそれが未来の創造へとつながるラストは実に爽快だ。
いわゆるループものがその命題として、反復される時間からの脱出を試みる中で、パラレルワールドを持ち出してくるのは自然な流れではある。(仮想現実世界がパラレルワールドとリンクするというのはマトリックスにも通じる)
しかし、この映画が斬新なのは、現実世界での死をもってパラレルワールドを創出してしまうところにある。
つまり、脱現実と脱ループという、ここでも二重構造の面白さがあるのだ。
しかし、脱現実に説得力を持たせるのは容易ではない。
ある意味それは自死=逃避でしかないからだが、アフガン戦線で爆撃を受けて脳死状態になってしまったあげく、自分の知らないままに軍の実験台にさせられていたコルターの二重の苦しみがそれを正当化させる。
そして、モニターに映し出されるコンピュータプログラムの文字情報によってのみコルターを認識していたグッドウィンがそこに人間性を見出し葛藤していく姿、またコルター自身も列車の乗客に親近感を抱き恋までして彼らを救い出したいと願う姿に、観ている我々も引きつけられ同化させられてしまうのだ。
この人間性を中心に据えた作りにも好感が持てるし、都合7回もループしてしまう複雑さにあって、90分弱にシンプルにまとめ上げてしまう手腕は脱帽ものである。
列車爆発で死んだ男性の8分間の記憶を抽出し稼動させるプログラムについて、“量子力学のパラボリック理論”とやらの単語ひとつでスルーしてしまうのもご愛嬌。
これって実際にある理論らしくて、ネットで調べてみたけど、なにやらチンプンカンプンで難しすぎてスルーさせていただきますたw
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アンストッパブル
出演:デンゼル・ワシントン、クリス・パイン、ロザリオ・ドーソン、イーサン・サプリー、ケヴィン・ダン、ケヴィン・コリガン
監督:トニー・スコット
(2010年・アメリカ・99分)WOWOW
内容:ペンシルベニアの鉄道貨物の操車場で働くベテラン機関士フランクと新米車掌ウィルのもとに事故の報せが入る。運転士のミスにより39両・全長800mの巨大貨物列車が無人のまま走り出したという。しかも貨車には相当量の化学物質が積まれており、脱線転覆すれば大惨事になる危険性があった。市街地に向けてみるみるスピードを上げていく中、全ての命運がフランクとウィルの手に託される・・・。
評価★★★/65点
無人で暴走する列車の運転席に車から飛び移って列車を止めるというだけのネタを、手を抜かずにいっぱしの面白い映画にまとめ上げてしまうハリウッドのエンタメ魂にはやはり感服せざるをえない。
また、このての目隠しをしても分かるような起承転結の映画を手際良く作らせたら右に出る者はいないトニー・スコットの職人仕事を心地良く味わえるのも一興で、安心して見ていられる。
あまりにも安心して見ていられるのでハラハラドキドキは全くしないのが玉にキズなのだけども・・
ただ、見終わって30分で頭から忘れ去られるであろうこのお祭り映画にあって、やはりトニー・スコット節の魅力については強調しておかなければならない。
特にこの監督の空間処理能力は天才的で、爆走する列車の猛々しいメタリックな体躯を上・横・斜め・下からめまぐるしく捉えたカメラワークと、短いショットで画面を矢継ぎ早に交錯させていくカット割りはもはや芸術の域。
なかでも個人的に興奮を覚えたのは、列車の真横を小バエのようにしつこく張り付くヘリコプターを常に映し出していたこと。
スピードある臨場感と立体感をことさらに強調することでテンションを持続させているし、観客を強制的に映画内に参加させるサービス精神に富んでいて、こういう演出力には頭が下がる思いだ。
絵的にはけなすところは何もない映画である。
裏を返せば絵的にしか成り立っていない映画でもあるんだけどw、それがトニー・スコットの真骨頂なのだ。
とにかく、こういうお祭りイベント映画は頭スッカラカンにして見るにかぎる!
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