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2013年11月11日 (月)

夢のシネマパラダイス472番シアター:テルマエ・ロマエ

テルマエ・ロマエ

Thermae_img1 出演:阿部寛、上戸彩、北村一輝、竹内力、宍戸開、勝矢、キムラ緑子、笹野高史、市村正親

監督:武内英樹

(2012年・東宝・108分)DVD

内容:古代ローマ帝国。浴場設計技師のルシウスは生真面目な性格が災いし、流行に乗り遅れて職場をクビになってしまう。ひと風呂浴びて嫌なことは忘れようと公衆浴場(テルマエ)へ行くが、そこで溺れてしまった彼は、平たい顔の人間しかいない現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう・・・。

評価★★★☆/70点

古代ローマ人が現代日本(=平たい顔族)にタイムスリップしてきて日本のお風呂文化にカルチャーショックを受けるという原作の面白さをフツーになぞっておれば絶対にハズレることはないと確信していただけに、原作の要所要所の笑いのツボを押さえたつくりになっていたのは安心したし、予想通りフツーに面白くなっていて楽しめた。

なにより実際にローマロケを行っただけのことはある迫力あるリアリティには度肝を抜かれたし、その中で日本人キャストが古代ローマ人を演じてしまう大胆さと違和感の無さにはさすが「のだめカンタービレ」で実績を積んだ監督さんだけのことはあるなと感心してしまった。

まぁ、コメディ漫画を1時間40分の映画としてまとめ上げるためにしっかりストーリー化しなければならない道具立てとしてタイムパラドックスを用いてきたのは、いやいやそれ以前に日本の風呂文化をすでにローマに持ち帰ってきとるやんけーッとツッコミたくなったけど、落としどころとしてはここしかない無難なまとめ方だったなと思う。

ただ、上戸彩の実家の赤字旅館の問題が完全に忘れ去られてて、アレッ!?て思っちゃったけど、まいっか(笑)。

でも×2、唯一いただけなかったというか、もったいないシーンがあって。

ニホンザルがバナナを盗って逃げるのをルシウスが追っかけていくと、川のそばに露天があってルシウスが入るシーンがあったけど、そこでニホンザルが湯船に浸かってるシーンをなんで出さないねんっ絶対ウケるのに~。

平たい顔族の世界ではサルも温泉入るのかよっ!てなるし、ローマの方ではナイルワニが温泉入ってたじゃんw

そこだけがもったいなかったなぁ・・。

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テルマエ・ロマエⅡ(2014年・東宝・112分)WOWOW

 監督:武内英樹

 出演:阿部寛、上戸彩、北村一輝、竹内力、宍戸開、笹野高史、市村正親

 内容:古代ローマで現代日本のお風呂文化を採り入れた浴場作りで名を上げたテルマエ技師ルシウス。今度は皇帝ハドリアヌスからコロッセオにグラディエーターたちを癒すテルマエを建設するよう命じられる。しかしさっぱりアイデアが浮かばず悩むルシウスは、またしても現代日本へとタイムスリップしてしまう・・・。するとそこで、風呂専門雑誌のライターに転向していた山越真実と驚きの再会を果たすのだったが・・・。

評価★★★/60点

もはやストーリー性など二の次にして、阿部寛のリアクション芸の一点張りで勝負する割り切りぶりは映画のつくりとしては落第点なんだけど、それでも2時間飽きずにもたせてしまう阿部寛の顔面はやはりスゴイとしか言いようがない(笑)。

また、昨今流行りの外国人が日本を誉めまくる日本称賛&日本文化再発見ブームの時流にも乗っており、見ていて愉快爽快なのもたしか。

ただ、ネタ的には全部出しつくしたかんじ・・・。

それにしても、あんな豪華なセットを邦画で見られるとは思いもよらなかったな。こんなお風呂コメディでしつらえるのはもったいないくらい(笑)。黒澤明みたいな壮大な時代劇で見てみたい。

見せてくれ!日本映画の底力をw!

夢のシネマパラダイス340番シアター:人間を引き裂いていく戦争

マイウェイ 12000キロの真実

Myway_poster 出演:チャン・ドンゴン、オダギリジョー、ファン・ビンビン、夏八木勲、鶴見辰吾、山本太郎、佐野史郎

監督・脚本:カン・ジェギュ

(2011年・韓国・145分)WOWOW

内容:1928年、日本占領下の朝鮮・京城。日本人の少年・長谷川辰雄とその使用人の息子キム・ジュンシクは、マラソンでオリンピックを目指す良きライバルとして成長していく。しかし代表選考会で起こった対日暴動の責任を取らされたジュンシクは、陸軍に徴用されてしまう。その後1939年、対ソ戦の最前線ノモンハンに送られたジュンシクは、そこで冷酷非情な軍人に様変わりしていた辰雄と再会する・・・。

評価★★★/60点

いわゆる総集編と化した映画は好みではないんだけど、今回の映画はそのレッテルを貼られても致し方のない出来。。

朝鮮~ノモンハン~シベリア~ロシア~ノルマンディーと矢継ぎ早にユーラシア大陸を横断し、そこを戦闘シーンのつるべ打ちでとにかく繋いでいくんだけど、辰雄(オダジョー)とジュンシク(チャン・ドンゴン)が人間ではなくトンでも超人になってしまっていて、戦争描写だけが突出してしまい、そこに込められた人間描写がイマイチつかめないのは痛い。

まぁ、韓国映画特有の怒涛の熱さで押し通し一気見できてしまうのはさすがだし、フツーありえないだろとイチャモンつけたくなるオチの付け方も逆にこの勇気を買いたい気持ちにはさせられてしまうのだけども・・。

まぁ、力作なのはたしかだよね。

でも、最も近いお隣同士の国でありながら深くて埋められない溝がある日韓の歴史問題、そこからくるステレオタイプな認識や描写を超えたところにある絆を描こうという作り手の思いを伝えるには2時間半はあまりにも短すぎる・・・。

だからさ、、結局これって詰め込みすぎなんだよね

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蟻の兵隊

Ari 出演:奥村和一

監督:池谷薫

(2005年・日本・101分)CS

内容:終戦当時、中国山西省にいた日本兵のうち約2600名が中国国民党軍に編入させられ、共産党軍との内戦参加を強要され中国に残留していた。やがて帰国できた彼らを日本政府は脱走兵とみなし、恩給資格を剥奪、日本軍司令官と中国国民党軍との間に密約があったという残留兵たちの主張を退けていた。残留兵として中国内戦を戦った奥村和一らは、戦後補償を拒み続ける国を相手に裁判で今も闘い続けている・・・。そんな奥村老人にカメラを向け、真相解明に奔走する姿を追ったドキュメンタリー。

評価★★★★/80点

戦争において加害と被害は合わせ鏡のように表裏一体でつながっており、その両面から見なければ戦争の何たるかは見えてこないとはよくいわれる。

しかし、その中で、唯一の被爆国として激烈な被害をこうむった一方、アジア地域に多大の加害を与えた日本において、加害の記憶というのはスッポリ抜け落ちてしまっているといわなければならない。

映画なりドラマなり加害というのを真正面から捉えた作品というのはついぞ見たことがないのだから。

その点で、中国で戦った日本兵・奥村和一を通してあの戦争の加害と被害を両面から見据えることになったこのドキュメンタリー映画を見れたことは、自分にとっては重く貴重な映画体験になったと思う。

補聴器を付け、杖をついた老人が語る生々しい記憶と「殺害現場」を訪れる記憶の道程には息をのむ思いがしたけど、その中でも、処刑した中国人の息子さんに贖罪の思いで面会した奥村氏が、一転して旧日本兵としての顔を垣間見せる場面は圧巻だった。

戦時中の軍事教育がいまだに身体の中に残っているのだ、と言う奥村氏の言葉には衝撃を受けたけど、戦争というのは人間を人間でなくすものなのだということをまざまざと実感させられた映画だったと思う。

自分の父方の祖父は、シベリア抑留を経験し、祖母は満州から1年半もかけて命からがら日本に引き揚げてきたと聞いたことがあるけど、本人の口からは詳しいことを聞くことなく祖父は亡くなり、祖母は寝たきり状態。

ただ、祖父が抑留時につづった日記が遺品としてあって、しかしロシア語で書かれていて内容が全く分からない。親父は常々、誰か翻訳してくれる人いないかなって言ってるけど。

戦後60年以上経って薄れゆく戦争の記憶、祖父母世代の孫にあたるオイラにして既にバトンが渡っていない状態なのだから、どんどん風化していってしまうんだろう・・・。

せめてこういう映画やドラマを見て戦争について知っておかないと。。

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アンダーグラウンド(1995年・仏/独/ハンガリー・171分)NHK-BS

 監督・脚本:エミール・クストリッツァ

 出演:ミキ・マノイロヴィッチ、ミリャナ・ヤコヴィッチ、ラザル・リストフスキー、スラヴコ・スティマチ、エルンスト・ストッツナー

 内容:1941年、ナチスドイツに侵略されたユーゴ王国のベオグラード。マルコは親友のクロと共産パルチザンに加わり活躍。そして自分の祖父の屋敷の地下に弟イヴァンやクロの妻ヴェラたちをかくまう。その後重傷を負ったクロも地下室へ。やがて45年に終戦しユーゴ連邦が発足。61年にマルコは連邦政府の重鎮にまで上りつめる。が、地下に匿われた人々はいまだにドイツ占領下だと信じ込まされていた。そして30年後、冷戦終結とともにユーゴは崩壊し内戦の大地と化すのだった・・・。戦後50年に及ぶ旧ユーゴスラビアの混乱の歴史と運命に翻弄される人々の姿を「戦争」「冷戦」再び「戦争」という三部からなる物語で描き、95年カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。

評価★★★★★/100点

繰り返される戦争、繰り返される悲劇、繰り返される罪、繰り返される憎悪、繰り返される愛、、、時に愚かで時に滑稽な人間の業というものを悲喜こもごも渾然一体とないまぜにして描き出したまさにカオスな映画だ。

ヨーロッパの火薬庫とよばれるバルカン半島の歴史に疎い身としては、映画の6割も理解できれば御の字だと思うのだけど、アンダーグラウンドという龍宮城で狂騒の宴を繰り広げるクロは浦島太郎で、地上世界でこの世を謳歌するマルコはさしずめ花咲爺さんに出てくる欲張り爺さんだと思えば話は分かりやすい。のかww!?

とにもかくにも因果応報や不条理という言葉では言い表せないような残酷なおとぎ話に完全に圧倒され酔いしれてしまった。

ところで、実際の記録映像に登場人物を出演させるという手法を見て、この映画の前年に公開された「フォレスト・ガンプ」を想起した。

自国の歴史を見つめるという点で共通した物語性を持っているけど、アメリカの戦後史をガンプの目を通して目撃していく物語が、荒んだアメリカ社会を和解というキーワードで紐解きアメリカの心の拠り所を明示したのに対し、「アンダーグラウンド」は国家に翻弄され踏みにじられ、和解どころか国というあるべき姿までなくしてしまった寄る辺なき人々の姿を映し出しあまりにも対照的だ。

“昔、あるところに国があった”、、こんな悲しいフレーズがあるだろうか。

いや、しかしこういう言い方もできようか。

“昔、こんな凄い映画があった”のだと。

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プラトーン

Mp202 出演:チャーリー・シーン、トム・べレンジャー、ウィレム・デフォー、フォレスト・ウィテカー、ジョン・C・マッギンリー

監督・脚本:オリヴァー・ストーン

(1986年・アメリカ・120分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:アカデミー賞で作品・監督賞など4部門を受賞したオリヴァー・ストーンの話題作。1967年、両親の反対を押し切って志願してベトナムへやって来たクリスは、最前線の戦闘小隊(プラトーン)に配属される。苛酷な環境と過度の緊張が彼の精神をぼろぼろにしていく中、班長のエリアスだけは彼に優しく接し、無益な殺人にも反発を感じている。隊長のバーンズ軍曹はエリアスとは対照的に冷酷無比な男で、2人はことあるごとに対立を繰り返していた・・・。

“オリヴァー・ストーン爆死!!”

戦場の3大要素である虐殺、略奪、レイプをジャングルの蒸し暑さとともにまるでやけのやんぱちのごとく描ききったオリヴァー・ストーン。

彼のマグマのような熱い情熱に彼自身の理性もちょっと壊れちゃったんじゃなかろうか。そうじゃないとたった54日間でこの映画撮れないだろフツー。

どうりで映画にチョイ役で出てきたと思ったら速攻で爆死しちゃうわけだ(笑)。

いや、オリヴァー・ストーン、オイラは認めるよアンタのこと。

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パール・ハーバー

Ph 出演:ベン・アフレック、ケイト・ベッキンセイル、ジョシュ・ハートネット、キューバ・グッティングJr.、アレック・ボールドウィン、ジョン・ボイト

監督:マイケル・ベイ

(2001年・アメリカ・183分)MOVIX仙台

評価★★/40点

内容:第二次世界大戦直前のアメリカ。兄弟同然に育ったレイフとダニーは少年の頃からの夢でもあるアメリカ空軍のパイロットに志願する。視力検査で引っ掛かったレイフは担当看護士のイヴリンに嘆願し、なんとか合格の判をもらうことに成功。とともにイヴリンのハートを射止めようと猛烈アタックを開始する。が、1941年、現地時間12月7日・・・。パール・ハーバーは一瞬にして深紅に染まり、戦争は突然の嵐のように彼らの青春に襲い掛かった。

“1億3500万ドルかけて特攻しかけたこの映画にある意味拍手を送りたい。”

まず正直に白状しろ。

監督2人いるだろ。そうだろ。そうとしか言いようがないぞこれはww

日本人として笑っていいものかどうか、、でも笑うしかないっしょこれ・・

燃料満タンで飛び立ったと思ったら実は片道とちょっと分しか入れてなくて、あえなく息切れそのままドボンてなかんじ?

おいおい、製作費1億3500万ドルかけて特攻しかけたのかよこの映画は、、、無残すぎる。

ついでにこれも言っとく。

戦争の罪より、あのオナゴの罪の方が身近で恐いよ

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カジュアリティーズ(1989年・アメリカ・113分)DVD

 監督:ブライアン・デ・パルマ

 出演:マイケル・J・フォックス、ショーン・ペン、ドン・ハーベイ、ジョン・C・ライリー、ジョン・レグイザモ

 内容:1966年、ベトナムの戦場で上官、同僚の4人がベトナム人少女をレイプし射殺するのを目撃した兵士エリクソン。基地に戻った彼は上官らを告発するが・・・。

評価★★★/65点

良く言えばこういう映画をちゃんと作れてしまうアメリカの懐の深さ。悪く言えばいまだに独善を振りかざして世界で罪を犯しまくっているアメリカ、いいかげんやめれ。

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さよなら子供たち(1987年・仏/独・103分)NHK-BS

 監督・脚本:ルイ・マル

 出演:ガスパール・マネッス、ラファエル・フェジト、フランシーヌ・ラセット

 内容:12歳のジュリアンは、パリ郊外のカトリック寄宿学校に疎開している。そこへ3人の転校生がやって来るが、彼はそのうちの1人ジャン・ボネのロッカーをこっそり覗き、ジャンがユダヤ人だと知る。寄宿生活を送るうちに、ジュリアンとジャンは次第に親しくなるが、料理番がゲシュタポに密告し、ジャンら3人の転校生と彼らをかくまった神父が連行され、学校は閉鎖されてしまう・・・。ナチス占領下のフランスを舞台に、子供たちの友情が戦争に巻き込まれていくさまを描いた、ルイ・マル監督の自伝的ともいえるドラマ。ヴェネツィア国際映画祭作品賞受賞。

評価★★★★/75点

“映画を珠玉の価値にまで一気に高めた永遠のラスト。”

少年の瞳に永遠に刻みつけられた別れと光景。

散発的でつながりもまとまりもなかったエピソードの数々の積み重ねが、ラストの少年の表情により一気に意味をもったものになった。

ラストのカットだけはルイ・マルも対象に相当肉薄して思い入れを込めて撮ったと思う。凄いよあの演技は。

ラストを際立たせるがための淡々描写に徹したといえるのかもしれない。

誰かが殺されるわけでもない、戦場でもない。

でも戦争の影、それは人間が隠し持っている憎悪や恐れと不安、が着実に普通の日常生活に侵食してくる。淡々とした画面の節々にそれらがトゲのように突き刺さっていくのが感じられ心が痛くなった。

「蝶の舌」のラストも強烈さと静寂さの中で永遠に刻みつけられたラストとなっているが、この映画もそういう表現がピタリと当てはまるような強いインパクトを残したと思う。

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グッドモーニング・ベトナム(1988年・アメリカ・120分)NHK-BS

 監督:バリー・レヴィンソン

 出演:ロビン・ウィリアムス、フォレスト・ウィテカー、チンタラー・スカパット

 内容:戦闘シーンなしでベトナム戦争を描いたロビン・ウィリアムスの出世作。1965年のサイゴンを舞台に、ソフトな音楽と検閲済みのニュースを流す米軍放送の中で、毒舌ジョークと派手なロックで兵士たちの人気を博した人気DJクロンナウアーの見たベトナムを描く。

評価★★★★/80点

“ブラックユーモアがユーモアでなくなったとき、アメリカの欺瞞が如実に示されるという痛烈なカタルシス。ユーモアでなくなったのではない。真実へと昇華したのだ。”

軍部を内部から皮肉り、ブラックユーモア満載のギャグにし、しゃべくりまくることで権力と闘う。

しかし、そんなのベトナムの人々にとってはこけおどしにしか過ぎないということをラストで示すという痛烈な皮肉。

戦闘シーンなしでここまで描ききるというのは凄いことだと思う。

夢のシネマパラダイス192番シアター:奇人変人だよ全員集合!!

グランド・ブダペスト・ホテル

T01a_164381_550出演:レイフ・ファインズ、F・マーレイ・エイブラハム、エドワード・ノートン、マチュー・アマルリック、シアーシャ・ローナン、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジュード・ロウ、ティルダ・スウィントン、ハーヴェイ・カイテル、ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン

監督・脚本:ウェス・アンダーソン

(2013年・英/独・100分)WOWOW

内容:1932年。移民のゼロ・ムスタファは、欧州随一の高級ホテルを取り仕切る伝説のコンシェルジュと呼ばれているグスタヴ・Hの下で働き始める。そんなある日、上得意客のマダムDが殺され、遺言でグスタヴが遺産相続人に指名され、世界的な名画が彼の手に渡った。ところが、それに納得できないマダムDの息子ドミトリーが殺害容疑をグスタヴに着せてしまう。グスタヴは事件の謎を解明すべくゼロと共に逃亡するが・・・。

評価★★★☆/70点

なんだろ、1番ピンときたのはサンダーバードを彷彿とさせるパペットショーかな。

均整の取れたミニチュアの世界観の中でカクカクとした人形劇が繰り広げられるかんじで、B級スプラッター風味をまぶした露悪趣味も全開なんだけど、飛び出す絵本の中にドールハウスが再現されているようなオシャレな上品さの方が上回ってサラリと見れてしまう。

メリケンサックをはめたウィレム・デフォーとかスキンヘッドのハーヴェイ・カイテルとかキャストはことごとくアクの強い個性派ぞろいなんだけど、不思議とクセのあるとっつきにくさを感じさせないんだよね。

まぁ悪くいえば、強烈な余韻には乏しい作品ではあったけど、有名スターのカメオ出演から遊び心に満ちたドタバタ劇の裏に隠されているであろう様々な映画史的考察に至るまで、1度見ただけでは気付きにくい取りこぼしもあったと感じてるのでもう1回見た方がいいのかも。

ウェス・アンダーソン、しっかり頭に刻みつけられますた。

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アフロ田中

O0480064011557747149 出演:松田翔太、佐々木希、堤下敦、田中圭、吹越満、辺見えみり、リリー・フランキー

監督:松居大悟

(2012年・日本・114分)WOWOW

内容:強烈な天然パーマでアフロヘアの青年・田中広は、ノリで高校を中退し上京したものの、24歳になった今も彼女のいないわびしい日々。そんなある日、同級生のダメ仲間の一人、井上から結婚の知らせが届く。「誰かが結婚する時は、それぞれの彼女を連れてくる」という仲間内の約束を思い出した田中は、彼女を作らねばと焦るものの、そんな簡単にできるわけもなし。そんな中、アパートのお隣に美人さんが引っ越してきて・・・。

評価★★★★/80点

感想は、特にない。

これは最大のホメ言葉だ(笑)。

小学生の時にアフロになった男の話なんてこんなくだらなくてどーしょーもない映画に字数を使うのは全く意味をなさない。

いや、そもそもアフロである理由もない話なんだけどw、あえてアフロである理由を探すならば、アフロはヘルメットをかぶれるってことくらいだろう(爆)。

しかしまぁ、こんな点数を付けているくらいだ。地味ぃに面白くて見終わって元気になったことだけは記しておかなければなるまいw

主人公のとどまるところを知らない妄想力と、卑屈な自分ツッコミにまみれながらも実は自分一番な勘違いキャラが最高にオカシく、それをクネクネした身体表現とキモいキメ顔でユーモラスに演じた松田翔太は自分の中では間違いなく主演男優賞!!

今までクールな役柄イメージが定着していただけに、一転ユルいダメ男役は見事にハマッていて新鮮で面白かった。

しかし、非モテ男子のアブナい生態wをこれほど克明に描いた映画が今まであっただろうか、、、はぁ、我ながらセツナすぎるぜ・・・

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奇人たちの晩餐会

Cons 出演:ティエリー・レルミット、ジャック・ビルレ、ダニエル・プレヴォスト、フランシス・ユステール

監督・脚本:フランシス・べべール

(1998年・フランス・80分)DVD

評価★★★★/75点

内容:編集者のピエールは、これぞ奇人!という人間を探して、その奇人ぶりを仲間たちで競って笑いものにするという悪趣味な晩餐会を開催していた。ある晩、彼はとっておきの最強奇人を用意するが・・・。

“非常事態になればなるほどその人のバカ度は露わになる。”

学生時代、仙台にいた時、めっちゃ急いで福島の方に行かなければならなくて、車すっ飛ばして高速使ったはいいものの間違って下り車線(盛岡)方面に入ってしまったオイラみたいに。。

だって実家が盛岡だったから、盛岡方面という標識を見たらなんか無意識のうちにそっちにハンドル回しちゃったんだもん・・・。

どうぞ笑って下さいな。。

この映画によると、完全なバカ、間違いようのないバカ、バカの中のバカ、世界一のバカ、正真正銘のバカ、いわくつきのバカ、超のつくバカ、想像を絶するバカ、超の上に超のつくバカ、最高のバカ、かけがえのないバカ、、これら愛すべき本物のバカは自分がバカだとは気付いていないらしい。

、、、はい。今夜、晩餐会に参加してまいります。

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イン&アウト(1997年・アメリカ・90分)NHK-BS

 監督:フランク・オズ

 出演:ケビン・クライン、ジョーン・キューザック、マット・ディロン、トム・セレック

 内容:小さな街の人気教師ハワードが、念願の結婚式を3日後に控えたある日。教え子の映画スターがオスカー受賞のスピーチで「先生はゲイだ!」と発言したことで大騒動になってしまう。世間にゲイと思われないように必死で振る舞うハワードだったが、ますます挙動不審に映り・・・。

評価★★★/60点

アイムアゲイアイムアゲイアイムアゲイアイムアゲイアイムアゲイ・・・さあ、皆さんもご一緒にぃ~~、、

I’m a ゲー!っるせーー

このラストの卒業式のシーンしか印象に残ってない・・・。

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マルコヴィッチの穴(1999年・アメリカ・113分)シネマ・メディアージュ

 監督:スパイク・ジョーンズ

 出演:ジョン・キューザック、キャメロン・ディアス、キャスリーン・キーナー、ジョン・マルコヴィッチ

 内容:7と1/2階にある会社に就職した男が職場で偶然発見した穴は、ななななんと!俳優ジョン・マルコヴィッチの頭の中へ通じていた!なんじゃそりゃっ!

評価★★★/60点

“体操競技に例えていうならば、序盤でウルトラCを連発したはいいものの、中盤以降はその惰性でただグルグル回っているだけといったかんじ。”

それゆえ、普通願わくば奇抜なアイデアから高い難易度へと自由に解放されてしかるべきだし、またその印象が心に残るはずと思いきや、なにげに低次元の変態ネタへと変容していくのが映画の印象を薄っぺらいものにしている。

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セシル・B・ザ・シネマ・ウォーズ(2000年・アメリカ・88分)DVD

 監督:ジョン・ウォーターズ

 出演:スティーブン・ドーフ、メラニー・グリフィス、エイドリアン・グレニアー

 内容:ハリウッド女優ハニー・ホイットロックが主演作のプレミア上映試写会出席のためボルチモアを訪れた。しかし彼女が壇上に上がりスピーチを始めたその時、セシル・B・ディメンテッドと名乗る男とその仲間によって誘拐されてしまう。この集団「スプロケット・ホールズ」は、世界中の映画界に蔓延する拝金主義、良識主義の腐った映画を打倒すべく、“予算ゼロ”“究極のリアリティ”をスローガンに真の映画『狂える美女』を撮ることを企て、勝手にハニーを主演に迎えたのだった。。

評価★★★☆/70点

“くたばれ撮影所システム!などと豪語しているくせにどう見たってこの映画もスタジオシステムを使って作られているのが一目瞭然。なんともウケる。”

どのくらい本気で“映画(フィルム)テロ”をやろうとしてるのかというと相当疑問。ていうかただのお遊びだろこれって。。

まぁ、映画の中に様々なメタファーが彩られているし、監督がジョン・ウォーターズなだけになにか深読みしちゃいたくなるところではあったんだけど。

それにしてもメル・ギブソンのチン○をやり玉にあげるのはまだしも、上映中の「パッチ・アダムス完全版」(笑)に向かってパッチ死ねーー!はないだろ。パッチって実在の人物だろ

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ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年・アメリカ・110分)DVD

 監督・脚本:ウェス・アンダーソン

 出演:ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、ベン・スティラー、グィネス・パルトロー

 内容:かつて有能な弁護士だったロイヤル・テネンバウム(ジーン・ハックマン)が家族と別居してから22年。同居していた頃は、10代でデビューした劇作家の長女マーゴ(グィネス・パルトロー)&小学生でビジネスの世界に入っていった長男チャス(ベン・スティラー)&テニスのジュニアチャンピオンからプロテニスプレーヤーになった次男リッチー(ルーク・ウィルソン)ら3人の子供たちが10代でビジネス、スポーツ、芸術を極めた天才児と呼ばれていたことから、テネンバウム家は名声をほしいままにしていた。しかし、別居し子供たちの元を去ってからは一家は落ち目になっていた。それから22年、、、余命6週間と告げられたロイヤルは、妻(アンジェリカ・ヒューストン)と3人の息子たちの元へ向かうのだが・・・。

評価★★/40点

“スタイルとインパクトにこだわるあまり、かえって独創性から遠ざかってしまった好例。”

スタイルとインパクトにこだわるあまり、というかこやつらそれしか頭にないらしい。

それゆえ逆にシナリオが疎かになってしまい、キャラ描写も小手先のとってつけたようなものにしかなっていない。実質希薄。

まずスタイルありきという中でそれが原理、原則となってしまい、かえって柔軟性に欠けてしまっている節が見受けられる。

ロイヤルな演技陣がその原理・原則の枠の中に埋没しちゃっているのがなんとも痛々しい。特にベン・スティラーさんよ・・

2013年11月 4日 (月)

夢のシネマパラダイス187番シアター:鉄路の闘い

ミッション:8ミニッツ

131904093737713115648 出演:ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン、ヴェラ・ファーミガ、ジェフリー・ライト、マイケル・アーデン

監督:ダンカン・ジョーンズ

(2011年・アメリカ・93分)盛岡フォーラム

内容:列車の中で目を覚ましたコルター・スティーヴンス大尉は、見知らぬ女性から親しげに話しかけられる。しかも鏡を見ると自分の顔ではなく別人の顔になっていた。その直後、大爆発が起こり、再び意識を取り戻すと、そこは真っ暗なカプセルの中だった。そして、その中のモニターには軍関係者とおぼしき女性が映っていて、今朝シカゴ郊外で列車爆破テロが起こり、犠牲者の脳に残る死の直前8分間の記憶の世界へ入り込むプログラムの中で犯人を捜すミッションを実行していると告げるのだった・・。

評価★★★★/80点

死者の脳には死の直前8分間の記憶が残っていて、その脳波に波長を合わせて死者の意識と同化し、記憶の中に入り込めばその8分間を追体験することができる!

この可能と不可能の境界線を探るフリンジサイエンスな設定にまずはゾクゾクしてしまう。

そして、この映画の上手さは、基本この設定以上のものは出してこないところにある。

そのため、犯人は誰なのか、どこにいるのかという謎解きと、“包囲された城”とはいったい何なのか、なぜコルターはこのミッションに参加させられているのかという謎解きが並行して描かれる二重の面白さがある。

また、過去の世界にさかのぼるタイムトラベルもの(厳密にはコルターがミッションで入り込んだ世界は過去ではなく仮想現実世界)としての醍醐味と、同じ8分間を何度も繰り返すループものとしての醍醐味を二重に味わえる面白さもあり、こちらのツボを的確に刺激してくる上手さがこの映画にはある。

その上で前者は過去の修復を、後者は時間の共有を、そしてそれが未来の創造へとつながるラストは実に爽快だ。

いわゆるループものがその命題として、反復される時間からの脱出を試みる中で、パラレルワールドを持ち出してくるのは自然な流れではある。(仮想現実世界がパラレルワールドとリンクするというのはマトリックスにも通じる)

しかし、この映画が斬新なのは、現実世界での死をもってパラレルワールドを創出してしまうところにある。

つまり、脱現実と脱ループという、ここでも二重構造の面白さがあるのだ。

しかし、脱現実に説得力を持たせるのは容易ではない。

ある意味それは自死=逃避でしかないからだが、アフガン戦線で爆撃を受けて脳死状態になってしまったあげく、自分の知らないままに軍の実験台にさせられていたコルターの二重の苦しみがそれを正当化させる。

そして、モニターに映し出されるコンピュータプログラムの文字情報によってのみコルターを認識していたグッドウィンがそこに人間性を見出し葛藤していく姿、またコルター自身も列車の乗客に親近感を抱き恋までして彼らを救い出したいと願う姿に、観ている我々も引きつけられ同化させられてしまうのだ。

この人間性を中心に据えた作りにも好感が持てるし、都合7回もループしてしまう複雑さにあって、90分弱にシンプルにまとめ上げてしまう手腕は脱帽ものである。

列車爆発で死んだ男性の8分間の記憶を抽出し稼動させるプログラムについて、“量子力学のパラボリック理論”とやらの単語ひとつでスルーしてしまうのもご愛嬌。

これって実際にある理論らしくて、ネットで調べてみたけど、なにやらチンプンカンプンで難しすぎてスルーさせていただきますたw

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アンストッパブル

Blog_import_504f63ec4c928 出演:デンゼル・ワシントン、クリス・パイン、ロザリオ・ドーソン、イーサン・サプリー、ケヴィン・ダン、ケヴィン・コリガン

監督:トニー・スコット

(2010年・アメリカ・99分)WOWOW

内容:ペンシルベニアの鉄道貨物の操車場で働くベテラン機関士フランクと新米車掌ウィルのもとに事故の報せが入る。運転士のミスにより39両・全長800mの巨大貨物列車が無人のまま走り出したという。しかも貨車には相当量の化学物質が積まれており、脱線転覆すれば大惨事になる危険性があった。市街地に向けてみるみるスピードを上げていく中、全ての命運がフランクとウィルの手に託される・・・。

評価★★★/65点

無人で暴走する列車の運転席に車から飛び移って列車を止めるというだけのネタを、手を抜かずにいっぱしの面白い映画にまとめ上げてしまうハリウッドのエンタメ魂にはやはり感服せざるをえない。

また、このての目隠しをしても分かるような起承転結の映画を手際良く作らせたら右に出る者はいないトニー・スコットの職人仕事を心地良く味わえるのも一興で、安心して見ていられる。

あまりにも安心して見ていられるのでハラハラドキドキは全くしないのが玉にキズなのだけども・・

ただ、見終わって30分で頭から忘れ去られるであろうこのお祭り映画にあって、やはりトニー・スコット節の魅力については強調しておかなければならない。

特にこの監督の空間処理能力は天才的で、爆走する列車の猛々しいメタリックな体躯を上・横・斜め・下からめまぐるしく捉えたカメラワークと、短いショットで画面を矢継ぎ早に交錯させていくカット割りはもはや芸術の域。

なかでも個人的に興奮を覚えたのは、列車の真横を小バエのようにしつこく張り付くヘリコプターを常に映し出していたこと。

スピードある臨場感と立体感をことさらに強調することでテンションを持続させているし、観客を強制的に映画内に参加させるサービス精神に富んでいて、こういう演出力には頭が下がる思いだ。

絵的にはけなすところは何もない映画である。

裏を返せば絵的にしか成り立っていない映画でもあるんだけどw、それがトニー・スコットの真骨頂なのだ。

とにかく、こういうお祭りイベント映画は頭スッカラカンにして見るにかぎる!

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