夢のシネマパラダイス200番シアター:鉄子の部屋
阪急電車 片道15分の奇跡
出演:中谷美紀、戸田恵梨香、南果歩、谷村美月、有村架純、勝地涼、玉山鉄二、宮本信子
監督:三宅喜重
(2011年・東宝・119分)WOWOW
内容:婚約者を後輩に寝取られてしまったOLの翔子は、当てつけで彼らの結婚式に純白のドレスで乗り込むものの敢えなく轟沈。そのままの格好で電車に乗り込むが、ただならぬ様子を見て、かわいい孫を連れた老婦人が声をかけてくる。それをきっかけに、恋人のDVに悩む女子大生、PTAの奥様付き合いに心をやむ主婦、大学生カップル、年上の会社員と付き合う女子高生など、束の間乗り合わせた人々に心の交流の輪が広がっていく・・・。宝塚から西宮北口までを15分でつなぐ阪急今津線を舞台にしたハートフルドラマ。
評価★★★☆/70点
コテコテの関西を舞台にしているわりにはかなり品のある作品だ。
その大半は宮本信子によるところが大きいのだけれども、“マルサの女”の若かりし頃を美人の黒川芽衣に演じさせているという点でこの映画の志向スタイルが垣間見えるというものだw
まぁ、安めぐみのキャスティングなんかは特大ヒットだったけどね(笑)。
映画としても、人はひとりでは生きていけない、どこかで誰かとつながっていたいという孤独な人間の持つ性を優しく見つめていて共感できたし、「この世界もなかなか悪くないよね」とラストに言わせしめる展開も全くクサくなくさわやかに見られて良かった。
たった15分間で人生がほんのちょっと重なり合い、影響し合えるような、そんな出会いのかけらは日常の何気ないところに転がっているんだなぁって思うとちょっと嬉しくなったけど、でもそれを拾えるのってたしかに奇跡なのかもね
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RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語
出演:中井貴一、本仮屋ユイカ、三浦貴大、宮崎美子、佐野史郎、遠藤憲一、橋爪功、高島礼子、奈良岡朋子
監督・脚本:錦織良成
(2010年・松竹・130分)WOWOW
内容:大手メーカーのエリートサラリーマン筒井肇は、家庭を顧みることもしない仕事人間。経営企画室長として親友・川平が工場長を務める工場のリストラを進めた功などから取締役昇進の内定を受ける。しかしそこに、故郷の島根に暮らす母が倒れたとの連絡が入り、さらに追い打ちをかけるように川平の事故死の報が届く。自分の人生を振り返り内省した肇は、子供の頃の夢だった地元ローカル線“一畑電車”の運転士になることを決意する・・・。
評価★★★★/80点
正直プロットとしてはイイ話止まりなのだけど、ベタなストーリーを超えたところまで映画を持ち上げた役者陣に支えられ、結果かなりイイ映画に仕上がっている。
特に中井貴一の芸達者ぶりは舌を巻くばかりで、この人が出てれば大丈夫という安定感は群を抜いている。
家庭をかえりみることなく東京の大企業でせわしなく働きづめ、「会社は慈善事業じゃない、情で経営はできない」と冷たく言い放っていた仕事人間の男が、乗客ひとりのために電車を遅らせることもいとわない人情運転士に様変わりする理由もプロットとしては弱いのだけど、中井貴一が演じると、まるでつきものが落ちたように今まで切り捨ててきたもの&自分らしさを取り戻した男としてストンと納得できてしまうのだ。
あと、奈良岡朋子はなんか自分の母親の面影にどこか似ていてせつなくなってしまった
やっぱ実家ってイイよね(笑)。。
ただ、場面のつなぎつなぎで携帯電話を多用してくるのは映画表現としてはちと短絡的だったかなw
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RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ
出演:三浦友和、余貴美子、小池栄子、中尾明慶、塚本高史、仁科亜季子、西村雅彦、吉行和子
監督:蔵方政俊
(2011年・松竹・123分)WOWOW
内容:鉄道運転士として仕事一筋の人生を歩んできた59歳の滝島徹。定年退職を1ヵ月後に控えたある日、それまで専業主婦として自分を支えてくれた妻・佐和子が、結婚前に勤めていた看護師の仕事を再開したいと言い出す。第二の人生は妻と一緒に過ごしたいと思っていた徹はそれに反対。口論となった末、家を出た佐和子に離婚届を突きつけられてしまう・・・。
評価★★★/65点
RAILWAYS1作目で主人公が脱サラして鉄道会社に転職したときに人生の分岐点を明示するものとして線路のポイント部分が切り替わるシーンがあったように、人生を線路に例えるというのはこのシリーズならではの視点で面白い。
その中で今回は、40年仕事を全うし、定年後は妻と旅行なんかを楽しんで2人で悠々自適の生活を送りたいと思っていた夫と、四六時中2人でいるのは耐えられないので(そんなセリフどこにもなかったけどw)、外に出て働き自分の人生を歩いていきたい妻の心のすれ違いを描いている。
要は同じ1本のレールの上を歩いていて後ろから妻がついて来ると思っていた夫と、レールは2本あってそれぞれのレールの上を手をつないで歩いていくのが夫婦なのだと思っている妻ということなのだと思うけど、男のオイラからするとずっと専業主婦だった妻がいきなり働き出したいという理由がイマイチ理解できず・・・。
しかも、これってそんな離婚まで突き進むほどの深刻な話なのか!?とも思っちゃったけど、、こりゃオイラ完全にこの夫と同じ穴のムジナなのかも・・w
でも、米倉斉加年が「定年してからの20年は長げ~ぞー」としみじみと言うセリフが妙に心に残ったな(笑)。って定年まで30年以上ある自分が言うのもあれだけど・・
いっこうに隣を走る2本目のレールと出会えない自分の人生のレールは、いつトンネルから抜け出せるのだろう・・
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僕達急行 A列車で行こう
出演:松山ケンイチ、瑛太、貫地谷しほり、ピエール瀧、村川絵梨、笹野高史、伊武雅刀、西岡徳馬、松坂慶子
監督・脚本:森田芳光
(2011年・東映・117分)WOWOW
内容:大手不動産会社に勤める小町は、デート中でも車窓風景に夢中な鉄道マニア。一方、小さな町工場の跡取り息子・小玉も大の鉄道好き。そんな2人は、出会ってからあっという間に意気投合し友情を育んでいく。そんな中、小町は九州支社に転勤になってしまう・・・。
評価★★★/65点
恋愛ものからサスペンス、ホラー、ホームドラマまで何でもソツなく撮れてしまう森田芳光の遺作がピュアなコメディとはなにか感慨深いものがあるけど、独特なセリフ回しや、いちいち差し込まれる効果音、ムダに間の悪い長回しなどやりたい放題の森田演出には正直イマイチ乗り切れなかったかな。
ただし、友達以上恋人未満といってもいいような小町と小玉の関係性はほんわかとした味わいを醸し出していて面白かったし、それを演じる松山ケンイチと瑛太のヘタウマな素人っぽさも好感が持てて、なんだかんだいって嫌いにはなれない映画だ。
でも、趣味友ってなんかイイなぁって思った。社会や日常のしがらみに関係なく世界を広げてくれる豊かな人間関係ってなかなかあるものじゃないし、そういう心地よいつながりには憧れを抱いた。
自分の場合は映画とサッカーか。誰かいないかなぁ
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