夢のシネマパラダイス366番シアター:アントキノイノチ
アントキノイノチ
出演:岡田将生、榮倉奈々、松坂桃季、鶴見辰吾、檀れい、柄本明、宮崎美子、原田泰造
監督:瀬々敬久
(2011年・松竹・131分)WOWOW
内容:高校時代のある出来事をきっかけに心を閉ざしてしまった青年・永島杏平。彼は父親の紹介で、遺品整理屋で働くことに。それは、遺族に代わって故人の部屋を掃除し、遺品の整理をする仕事だった。彼は同僚の久保田ゆきの下で仕事を教わっていくが、彼女もまた永島と同じく心に傷を負っていた・・・。
評価★★☆/50点
遺品整理人ということで、「おくりびと」の二番煎じみたいなものかと思っていたら、それ以下だったというオチ・・。
役者は悪くないんだけど、構成、演出ともに並み以下でイマイチだった。
特にストーリー展開の雑さは目に余るものがあると思ったんだけど、もうちょっと遺品整理の仕事を丹念に描いてほしかったし、そうじゃないと自分たちの過去としっかり向き合うという作業に説得力が出てこないと思う。
また、その点でいえば主人公の高校時代の回想シーンをこまめに挟んでくるのもいちいちテンポが悪く感じたし、しかも事がややこしく分かりづらくてしっくり来ない。。
どす黒い密室空間と化したありふれた学校の教室の中で少年が心を引き裂かれていく様は生々しい現実感覚として映し出されてはいるのだけど、その深刻さに遺品整理という“今”が完全に負けてボヤけてしまっている。
こういうのを詰め込みすぎっていうと思うんだけど、映画を作ってる方も詰め込みすぎてわけ分かんなくなっちゃったのか、ヒロインまで死なせてしまう始末。
あまりにもタチが悪い・・・。
ちなみに、何度も言うようだけど、役者は全く悪くない。
生きることは誰かとつながっていること、というメッセージは強く共感できただけに、陳腐なシナリオと詰めの甘さは残念だった。。
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ココニイルコト
監督:長澤雅彦
(2001年・日本・112分)DVD
評価★★★★/85点
内容:東京の広告代理店に勤めていた駆け出しのコピーライター、相葉志乃はある日、上司の橋爪常務との不倫が奥さんにバレて50万円の手切れ金とともに大阪支社へ飛ばされてしまう。愛人だった橋爪本人からは何の連絡もなく、公私、心身ともにボロボロになっていく志乃。と、志乃とともに中途採用で入社してきて、初出社の日に堂々と遅刻してきた時でさえもいつも屈託なく笑顔を浮かべている奇妙な新人、前野悦郎が「ま、ええんとちゃいますか」という口癖とともに志乃の心の傷を徐々に癒やしていく・・・。
“自分がイマイルココでもうちょっと頑張ってみようかなという気持ちになることができたのはこの映画のおかげ。”
この映画が公開された頃、新入社員として入って勤めていた会社を辞めた。
厳しい就職戦線に放り込まれ、その中でなんとか内定をもらった会社。ただ内定をもらうことだけに躍起になり、どこでもいいから手当たりしだいの面接を受けまくっていた自分。
そして自分の中で妥協し折り合いをつけて入った会社。
そして2年後、当然のごとく自分の中で次第に折り合いがつかなくなってくる。こんな夢や希望がないような会社で自分の夢や希望なんてものもただ飼い殺しにされていくだけなのだろうかと。
2年経ってはたと気付くバカ男。あれ?でも待てよ、自分の夢とか希望って何だっけ・・・。
2年経ってそんなことさえも忘れてしまっていたアホ男。
そして表面的には他にやりたいことがあるからという理由で辞めた。
実際には日頃から嫌がらせを受けていたとんでもないブチギレ上司にブチキレて辞めてやったというのが真相なのだが・・・。
さて、辞めたはいいものの、これからオレはどうすればいいんだろう(笑)。
いや、笑い事ではなかったのだこれが。
約1年!オイラは身動きがとれなくなってしまったのだ。自分の夢や希望って何だろう、、、ただお金を得ればいいのか、いや違うだろ、本当にやりたいことって何なのか、大学でやってた考古学?サッカー関係?映画?どうやって食ってくんだオレ、、、、、そんなこと就職試験受けまくってたときに考えるだろオイ、また妥協して会社入ってまた同じことの繰り返しか?オレは社会には適合しないな、、あ、マジでハジかれたのかな、、、ドヨヨ~ン。。
どんどんネガティブになっていく自分自身にがんじがらめになってしまい、自分の夢や希望どころか生きる希望さえ見失いかねない状態になってしまった。
失業保険でなんとか食いつないでいたもののそれも底をつき、、、と、そんなときに出会ったのがこの映画だった。
「ま、ええんとちゃいますか。」
はっ?
「ま、ええんとちゃいますか。」
えっ?
「まぁ、ええんとちゃいますかぁ。」
あっ・・・。
ま、ええとちゃいますか、、かぁ。そっかぁ。
それまで自分で自分に重しをかけていた肩の力がスーッと抜けていったのを今でも覚えている。
自分のやりたいこととは違う営業部に配属、しかも出向社員という相葉志乃、そして演技初心者の真中瞳になにか自分を重ね合わせて見ることができたのが大きかった。
キスシーンなど1つもない変なといえばちょっと変な恋愛映画。
いや、ていうかオイラは恋愛映画とは思ってないんだけどね、これ。
「願うこと、それだけで幸せ。」かぁ・・・。
願いは誰でもひとつは叶うよ♪
願えば誰でもいつかまた飛べるよ♪
無理に答え出さないで 灯した火を消さないように♪
って光永亮太も歌ってんねんもんな。
ありがとう、前野さん。
オレ、ココでもうちょっと頑張ってみることにしました。あなたの着信メッセージ、オレのところにもちゃんと届きましたから。
時には挫けそうになることもあるけど、おかげで今はしっかりちゃっかり生きてます。
つまづいて遠回りしてまたスタートラインについて。
前はフライングしちゃったけど、今回は曇りなき眼でしかと見ることができる夢と希望に向かってさわやかな風のごとく走ることができています。
オレって遅咲きなのかもな、なんてね。いかん、図に乗ってしまった・・・。
こんなオレでいいのかな。
「ま、ええんとちゃいますか」
ウン、アリガトウ。
Posted by 2005/11/25
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