夢のシネマパラダイス445番シアター:ショーシャンクの空に
ショーシャンクの空に
出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ウィリアム・サドラー、ボブ・ガントン
監督・脚本:フランク・ダラボン
(1994年・アメリカ・142分)盛岡フォーラム
評価★★★★★/95点
内容:モダンホラーの旗手スティーヴン・キングには珍しい非ホラー小説の傑作「刑務所のリタ・ヘイワース」の映画化。1947年、銀行の若き副頭取アンディは、妻と不倫相手の男を殺した罪でショーシャンク刑務所に収監された。やがて囚人たちから一目置かれる存在になったアンディは、ノートン所長の不正行為の隠れミノとして利用されるようになる。20年近くの歳月が流れ、アンディは妻を殺した真犯人を知る男にめぐり合うが、その存在を所長は握りつぶしてしまう・・・。
“いつも不思議に思うのだけど、、、”
アメリカの雷っていっつもあんなに激烈なの?
外が青白く光った瞬間ピカドーンッと、間隔置かずにまた青く光ってピカドーーンッ
の繰り返し。しかもハンパないんだなこれが。
子供の頃に欠かさず見ていた「大草原の小さな家」でも全くこれと同じ雷しかなくて、子供心に不思議だなぁと思ってたけど。
やっぱアメリカってデカイんだねぇ(笑)って、、おい!あのー、、寅さんでもこういう雷あったんですけど、、、。。
でもこの映画、自分の中では劇場で観てから10年以上経って★5っつに昇りつめた稀有な映画なのだ。この10年で4,5回は観ているが、そのたびに個人的評価を上げている。そして遂に満点献上。
そのような映画はこの映画と「魔女の宅急便」の2本だけだ。
他の様々な映画体験の場数を踏めば踏むほどショーシャンクと魔女宅は自分の中で相対的評価を上げていく。
なんでだろう・・・。それこそ雷どころじゃなくいっつも不思議に思うのだけど・・・。
ただ両作ともに劇場で観たときの印象は心の中にさほどのインパクトを残さず、まぁどこにでもあるようなカンジの良い映画という印象だった。
ところが、だ。
自分のつたない映画人生を重ねていくうちに、この“どこにでもあるような”が、実は意外に曲者であることに気付いていくのだ。
“どこにでもあるような”こととは、つまるところ“日常”である。
だが、この“日常”の風景を切り取った映画が実に少ないことに、いろいろな映画に出会ってきてある時ふと気付くのだ。
映画とは“非日常”を楽しむものであるという側面ばかりを見てきた、またそれを求めてきた自分がある時、“日常”を見る奥深さや楽しみ、そして考えさせられることに気付いたとき、真に映画のもつ可能性と素晴らしさに目覚めさせられたのである。
それを教えてくれた映画はたくさんあるわけだが、魔女宅とショーシャンクほど自分の中で上昇曲線を今においてさえも描き続けている映画はない。
それはなぜか。不思議不思議不思議・・・。
ただ、“日常”を切り取るということにおいて両作は特異な面を持っているというのは共通する。
ファンタジーの中の“日常”、堀の中の“日常”という非日常空間の中における“日常”を綴っているという点だ。
ここで魔女宅の方は夢のシネマパラダイス218番シアターの拙レビューに譲るとして、とにかくその点に今でも自分の評価を上げ続ける原因が求められるのではないかと勝手に自分では納得している。
屋外作業に靴磨き、クリーニング作業に図書係、石磨きに本の仕分け整理、高校卒業試験対策ゼミの教官に帳簿づけ、税理士にチェスの駒づくり、ひと仕事の後のビール、不味そうな飯、貴重なタバコ、仲間たちとのとりとめもない会話、キャッチボール、映画観賞、“フィガロの結婚”、リタ・ヘイワースのポスター、、、そして忘れてはならない穴掘り。
約20年にわたる非日常の中のアンディやレッドの“日常”を希望という名のもとに描き出した素晴らしい映画だと思う。
だが、あくまでも非日常の中のという前置きが付くということを忘れてはならない。
これが単なる普通の日常になってしまうと、ブルックス爺さんのように堀の外の本当の日常の中で生きていけなくなり、首を吊ってしまいかねない。いや、何十年も堀の中にいたレッドはそうなる寸前だった。
しかしレッドはアンディの導きにより、青い海と青い空と白い砂浜という、いわば非日常の中の日常へと旅立ったのである。
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自分はこう思う。それでいいじゃないか、と。
(追記)
いつも観るたびに囚人仲間のヘイウッド(ウィリアム・サドラー)を敵役と思い込んでしまうオイラ。。どうしてもダイ・ハード2の印象が・・。
あと、トミー役は当初ブラピだったらしいが、「リバー・ランズ・スルー・イット」などによりスケジュールが合わず、ギル・ベロウズに白羽の矢が立てられたらしいです。
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スリーデイズ
出演:ラッセル・クロウ、エリザベス・バンクス、ブライアン・デネヒー、レニー・ジェームズ、オリヴィア・ワイルド、リーアム・ニーソン
監督・脚本:ポール・ハギス
(2010年・アメリカ・134分)WOWOW
内容:大学教授のジョン・ブレナンは妻ララと息子と幸せな日々を送っていた。ところがある日、家に押しかけてきた警察によってララが逮捕されてしまう。容疑は殺人。妻の無実を信じて奔走するジョンだったが、3年後、有罪が確定してしまう。無実を信じるジョンは、最後の手段を決意、綿密な脱獄計画を練り上げていくのだが・・・。
評価★★★★/80点
1番好きなハリウッドスターは誰かといわれたら昔はハリソン・フォードとジャッキー・チェンと即答していたけど、今はこれといった名前が挙がらない・・。
それはつまるところメジャー作品で表看板を張れるアクションヒーローが不在ということにつきると思うのだけど、先の2人に共通するのは賞レースに全く絡んでこないw、ユーモアと勇気を忘れない、つまるところシリアスな役が似合わない楽天的ヒーローが自分は好きなのだ、ということに今気付いた(笑)。
今これに当てはまるのはウィル・スミスくらいなものだろうけど、この楽天的ヒーローとは真逆にいるのがラッセル・クロウだ。
「インサイダー」「グラディエーター」「プルーフ・オブ・ライフ」「ビューティフル・マインド」「シンデレラマン」etc..その一連の作品群に共通するのは孤独な一匹狼というイメージなのだけど、特にドン底に突き落とされたところから鋭い眼光で巨大権力に敢然と立ち向かう姿がこれほどハマる役者はいない。
悲しみや苦悩にうなだれうつむきながら歩くシリアスな姿にはいつも胸がしめつけられてしまうのだけど、悲劇・復讐・反骨の3点セットに弱い自分にとって不屈の精神と決して折れない信念を身にまとったラッセル・クロウはまさにドンピシャの俳優なのだということに今気付いた(笑)。。
その点でいえば、今回の作品もラッセル・クロウの持ち味が存分に発揮されていてまさにドンピシャ!
愛妻が無実の罪でムショ送りにさせられた一般人が妻を脱獄させるという絵空事をリアルに昇華させている。
獄中で自殺未遂した妻が病室のベッドに手錠でつながれ昏睡しているシーンの残酷さには見てるこちらも言葉を失くしてしまったけど、それを目の当たりにしたズブのド素人が腹をくくって妻を脱獄させる決心をするというくだりから、インターネットやYoutubeを駆使して脱獄計画をリサーチしていく描写は非常に丹念で、その手口の甘さが露呈してあたふたするところもリアルで、ドキドキしながら見入ってしまった。
ただ、普通ならば脱獄して真犯人を見つけて冤罪が晴れてハッピーエンドというところにカタルシスを持ってくるところを、あくまで脱獄一点張りに焦点を当て、家族3人で再び幸せに暮らせるかどうかのみにカタルシスを持ってきているのだけど、まるでダスティン・ホフマンの「卒業」のような複雑な余韻を残すラストがこのカタルシスを雲散霧消させる。
それは一般人が自分の手を血で染めてまで妻を脱獄させることで一体何が得られるのかという現実であり、人間が理性を超えた狂気に走る恐怖である。
それをも垣間見せるポール・ハギスはしかしどこまでも理性的だ。
「ミリオンダラー・ベイビー」(2004)以来、最良の脚本家であるというポール・ハギスに対する自分の見方は、今回の映画を見て改めざるをえないようだ。
ポール・ハギスは信頼のおける立派な映画監督だ。
とともに最も一筋縄ではいかない脚本家でもあることを確信した。
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グリーンマイル
出演:トム・ハンクス、デビッド・モース、ボニー・ハント、ジェームズ・クロムウェル
監督:フランク・ダラボン
(1999年・アメリカ・188分)109港北
評価★★★★/80点
内容:死刑囚専用の監房で看守主任を勤めるポールのもとに、死刑囚コーフィが送られてくる。彼は子供のように純真で、凶悪犯とは思えないほど怖がりで泣き虫な大男だった。そして彼の存在が看守たちの間に様々な葛藤を呼び起こしていく。
“あのジョン・コーフィはアメリカ版トトロなんだ、とふと思った。”
そして口からは真っ黒クロすけを吐き出すのだww
でも久々に心から良い映画を見たなってかんじ。泣けるし。デビッド・モースってあんなにデカかったっけ?とちょっと驚いたし。あげくに一晩に4回もヤッちゃってるしさ
じゃなんで★5つじゃないのか、というとあまりに良すぎる、というかこっちの善すぎるという字が正しいかもしれない。
少なからずも短絡的にお涙頂戴もの、泣きたいモード系のつくりになっていて、やり方があざといんだよね、ショーシャンクに比べると。
例えば死刑になるフランス系男にしたって、ホントにここは死刑囚専用の監房なのかいと疑うほどイイ奴に見えてしまうし。
善玉、悪玉がはっきりと区別されているんだよね、このやり方って。。
善い奴の対極にいるジョン・コーフィと悪い奴の対極にいるチビ看守。死刑囚(実は無実ってとこがミソ)と看守。黒人と白人。貧しき者と富める者。幼児性の持つ無垢と狡猾性&残虐性(どちらかと言えばこいつも幼児性ってとこがこれまたミソ)。性善と性悪。
よくぞここまで分けたなぁというかんじだ。
つまり、およそ看守と囚人という枠を無視した性善と性悪という図式の中でごちゃ混ぜになって展開していると思うのだ、この映画って。
となると監房と死刑というのは、この図式を成り立たせるためのお膳立てであるとしか言いようがない。そこが透けて見えるのがあざといんだよね。。
人には誰にでも内なる闇が存在するということを忘れてはいけません。
ますますアイツがトトロに見えてきた・・・。
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刑務所の中(2002年・日本・93分)WOWOW
監督:崔洋一
出演:山崎努、香川照之、田口トモロヲ、松重豊、村松利史、大杉漣
内容:ある日、ハナワカズイチは銃砲刀剣類等不法所持、火薬類取締法違反で懲役3年の刑を受ける。晩秋の日高刑務所で受刑者番号222番を与えられ、刑務所生活が始まった。しかし、ハナワにとって刑務所生活は予想に反して平穏で居心地の良いものだった。。。花輪和一の自身の刑務所体験を綴った同名ベストセラーコミックの映画化。
評価★★★★/75点
“ねがねがねがねがねが願いまーーーす!!”
それにしてもムショ内での映画上映会が「キッズ・リターン」って、、、チンピラとヤクザよ(笑)。
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