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2013年6月17日 (月)

夢のシネマパラダイス293番シアター:殺人の追憶

ドラゴン・タトゥーの女

Img_1203636_36724469_2 出演:ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、スティーヴン・バーコフ、ステラン・スカルスガルド、ヨリック・ヴァン・ヴァーへニンゲン

監督:デヴィッド・フィンチャー

(2011年・アメリカ・158分)WOWOW

 

内容:大物実業家との名誉毀損裁判に負けたジャーナリストのミカエルは多額の賠償金を課せられ窮地に陥っていた。そんな彼に、国内有数企業ヴァンゲル財閥の元会長ヘンリックから依頼が舞い込む。それは、40年前に起きた一族の娘ハリエット失踪事件の再調査というものだった。そして調べを進める中、ミカエルは助手として天才的な情報収集能力を持つ女・リスベットを紹介される・・・。

評価★★★☆/70点

正直、こういう淫らでエグイ映画はお断りタイプなのだけど、ハイテンポなカット割りとモノトーン気味のシャープで引き締まった映像が、まるで格調高い高級車が滑らかに進んでいくような流麗さで畳み掛けてきて160分一気に見入ってしまった。

最初は人物関係がなかなかつかめず、誰と誰が親子?こいつとこいつは姉妹?とか混乱して結局2回見たけど、見終わってみればミステリーとしてはなんかイマイチな印象。

ただ、聖書になぞらえた猟奇殺人という点で「セブン」を彷彿とさせるけど、今回はあまり謎解きには力が入っていないというか、そこには重点が置かれていなくて、逆にそういうジャンルの垣根を越えたところにこの映画はあるように感じた。

例えば、誰がハリエットを殺したのかという真相が分かった上で2回目を見ると、もはや謎解きはどうでもよく、リスベットという女性はどういう人間なのかという超難問を解く方にとりつかれていた。

黒づくめの服と全身ピアスにタトゥーという、ノスタルジーさえ入り込む隙のないいかつい装いで外界を排除し、背負ってきた人生を覆い隠すリスベット。

しかしその決して癒されない悲しみを理解しようと格闘するには、彼女がまとう鎧はあまりにも分厚すぎた・・・。

しかも圧倒的なめまぐるしい情報量を満載しておきながら、リスベットに関しては最低限の情報しか与えてくれない不親切さには参っちゃったけど、その鎧の内側に潜む優しさや健気さが少しでも垣間見えたのはせめてもの救いだったのかも。

例えば、後見人に無理やり性的サービスをさせられる彼女が、傷ついたミカエルの前で平気でパンツを下ろしてSEXしてしまう愛情表現の乏しさには、なんて可哀想な女のコなんだろうといたたまれなくなったけど、次第に心を開いていき、「友だちができたの」と吐露する彼女の笑顔には思わず胸がしめつけられた。

そしてそれがあっての切ないラスト、そこで鳴り渡るバイクのうなり声が哀しく心に響いてきたけど、幾分ばかりか人間として成長したリスベットの巣立ちの羽ばたきであることを願うばかりだ。

結局終わってみれば、ミカエルが冷蔵庫の上から落ちたペットボトルをスイッとキャッチするシーンにまで行き渡る淀みのなさと、惨劇の序曲に耳心地の良いエンヤを持ってくる性悪な感性にしてやられますたw

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ゾディアック

20071111_256484 出演:ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jr、アンソニー・エドワーズ、ブライアン・コックス

監督:デヴィッド・フィンチャー

(2006年・アメリカ・157分)CS

 

評価★★★★/75点

内容:1969年7月4日、カリフォルニアで若いカップルが銃撃され、男性は一命をとりとめたものの、9発もの弾丸を浴びた女性は絶命、警察に通報してきた男が自分が犯人だと言い残した。それから約1ヵ月後の8月1日、新聞社に一通の手紙が届いた。それは、のちに自らを“ゾディアック”と名乗る者からの犯行声明で、差出人に通じる暗号文も添えられていた。そして、その暗号文を新聞の一面に載せなければ大量殺人を決行すると脅迫してきたのだった。以来、新聞記者エイブリーと風刺漫画家グレイスミスはこの事件に没頭していくことになる・・・。

“「ダーティハリー」のハリー・キャラハン刑事の行動が初めて理解できた気がする。。”

1968年のクリスマスに幕を開けた“ゾディアック”による連続殺人事件と、その最も危険なゲームに翻弄されつづけた4人の男の人生。

10日後、、1ヵ月後、、3ヵ月後、、半年後、、1年後、、1年半後、、2年後、、4年後、、7年後、、、と矢継ぎ早かつ淡々と時間と場所を飛ばしていき、結局1991年にロバート・グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)が本を出版するまでの23年間にわたる長いスパンを描いていくのだが、2時間40分の長尺の中でデヴィッド・フィンチャーにしてはかなり単調な構成になっていて、観る側にかなりの労苦と忍耐を強いるものになっている。

しかし、それが逆に泥沼にはまって抜け出せなくなった事件捜査関係者の徒労と疲弊、そして人間の知への果てなる探求心やマニアックなまでの欲求をも体感させるものになっていて、最後までジッと見入ってしまった。

そして、ドッと疲れた・・・。

掴めそうで掴めないジレンマ、解かれることを望まない謎、限りなく黒に近い灰色、トークショーに生出演したシリアル・キラー、、、追えば追うだけハマる迷宮。。そして、2時間40分咀嚼し続けなければならない徒労感。

しかし、結局映画を通して最も見せつけられたのは、1番この事件にのめり込んだのは間違いなくオレなんだ!と自信をもって豪語しているデヴィッド・フィンチャーの自己顕示欲だったというオチ・・・。

「セブン」や「ゲーム」などとはまた違った形で今回またそれを見せ付けられたかんじがして、胸くそ悪くなってきた(れっきとしたホメ言葉ですので・・・w)。

しかし、「ダーティハリー」でイーストウッドが44マグナムを問答無用で犯人(ゾディアックがモデルになっている)のどてっ腹にブッ放し、警察バッジを投げ捨てたのも分かるわなぁ、今回のを見ちゃうと。。

あな恐ろしや・・・。オイラはこんなんハマりたくありません。。。

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殺人の追憶

Mom出演:ソン・ガンホ、キム・サンギョン、パク・ヘイル、キム・レハ

監督・脚本:ポン・ジュノ

(2003年・韓国・131分)2004/04/06・とうきゅうスクエア

内容:1986年、ソウル近郊。若い女性の変死体が発見された。その後も同じ手口の殺人事件が連続して発生。特別捜査本部が設置され、個性も操作方法も全く違う2人の刑事が事件の解明にあたる。韓国を震撼させた実際に起こった未解決連続殺人事件をもとにしたサスペンス。

評価★★★★☆/85点

証拠捏造、自白強要、拷問聴取。現場証拠を耕運機に踏みつぶされる失態。現場から陰毛が発見されていないので犯人はアソコを剃ってるはずの近くのお寺の坊さんだと決めつける行き当たりばったり感。あげくの果てに行きつく霊媒師頼み。。

残虐非道な実録殺人事件の類を見ない笑えなさと、思わず笑ってしまう警察の無能ぶりの恐るべき共存に、映画として類を見ない面白さを見出す。

例えば同時代に日本で起きた宮崎勤事件で同じように描けるかというと逆に映画の凄さが分かるというものだけど、シリアスとユーモアの共存を糊付けするもの、すなわち時代性=時代の空気や背景、歴史といったベースを的確に捉えていることがこの映画のポイントなのだろう。

つまりは時代の追憶。

ただ、それがDNAに刻み込まれている韓国の人々にとっては自分と社会、時代とのつながりや関わりを事件を通して追体験できると思うのだけど、韓国で行われていた防空訓練なぞ知りもしない日本人にとっては、なかなかそれを理解するのは難しい。

なのにこの上なく面白いのは、人間の可笑しさ哀しさ猥雑さをつまびらかに描けているからなのだと思う。

つまりは重喜劇。

日本映画がとっくに忘れてしまった回路を現代に繋げることができるポン・ジュノの今後から目が離せない。

Posted at 2004.04.15

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インソムニア

Pac2_2 出演:アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムス、ヒラリー・スワンク、モーラ・ティアニー

監督:クリストファー・ノーラン

(2002年・アメリカ・119分)MOVIX仙台

評価★★★/60点

 

内容:24時間太陽が沈まないアラスカの町ナイトミュートで、爪を切られ洗髪された17歳の少女の全裸死体が発見される猟奇殺人事件が発生。ロス市警から派遣された不眠症の刑事、地元の女性刑事、犯人の三つ巴の心理劇が繰り広げられる。

“インソムニアって体長10cmくらいのムカデかなにかの虫の学術名かと勝手に思ってた。とにかく足がいっぱいあるやつ・・・”

予備知識は猟奇殺人ものということしか知らなかったので、何なんだろうインソムニアってと考えてたら、なんか古生代や中生代あたりから生き永らえている虫の名前にありそうだなと勝手に思ってしまった。

そして死体からそのムカデが出てくる。。プチプチッて。ウゲェッ、オェッ

でもなぜ死体からムカデが、、どうやって死体にムカデを入れた、、いやもしかして生きている間に体内に?、、とかなんとか勝手に想像してしまった。

そしたらなぁ~んだ、、、不眠症かよっ

しかも冒頭からすでに、あ、犯人ってロビン・ウィリアムスだとすぐに感づく。

となるとアル・パチーノら捜査陣はいかにしてロビンにたどりつくのか、そのプロセスを丹念に追っていく久々の正統派路線をとるんだろうな、と序盤の作り込みを見てて勝手に思ってしまった。

が、しかし、、あ゛っ、仲間撃った・・・え?

と霧の中の事故からいきなりそれまでの路線を脱線して別路線へと乗り換えてしまった。

オイラは正直とまどってしまった。

だって「セルピコ」であんなに熱血で正義感の塊の新米警官だったパチーノが、30年後には自己保身に奔走してるんだもの。そんなのありってかんじ。。

でもラストで警官としての道を再度取り戻したので良しとするか。

ただこれだけは確実にいえるな。

「セルピコ」のときからずっっと不眠症だったと(笑)。

あ、「セルピコ」のラストでも死ぬんだっけ・・・。

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