夢のシネマパラダイス208番シアター:ディア・ドクター
神様のカルテ
出演:櫻井翔、宮崎あおい、要潤、吉瀬美智子、岡田義徳、原田泰造、池脇千鶴、加賀まりこ、柄本明
監督:深川栄洋
(2011年・東宝・128分)WOWOW
内容:信州松本に暮らす青年内科医・栗原一止。24時間365日対応の本庄病院に勤めて5年目になる彼は、厳しい地方医療の現実と日々格闘しながらも、有能な同僚たちと力を合わせて懸命に激務をこなしていた。そんな彼の癒しと支えは、同じアパートに住む個性豊かな仲間たち、そして最愛の妻・榛名の存在だった。そんな折、彼は最先端医療を学べる大学病院への誘いを受けるが・・・。
評価★★★/60点
優しい映画である。
いや、優しすぎるといった方がいいか。
こちらが面食らってしまうほどゆったりとしたテンポなのはいいとしても、あまりにも一本調子すぎて逆に疲れた。見終わったあと出た第一声が「あー終わっちゃった」ではなく、「ハァ~終わった×2」だったのが正直な気持ちで。。
人生が変わる1分間の深イイ話とか似合いそうな100%イイ話なのはたしかだけど、メリハリのない130分間はどこか居心地の悪イイ話になってしまい・・・
ひとつ屋根の下で共同生活を送るドクトル、姫、男爵、学士殿のサイドストーリーも彼らの生活感や人生というものがあまり見えてこず中途半端なかんじがしたし、感動の押し売りとまではいかないまでも、どこかあざとさを感じてしまったかな・・・。
しかし、自分にも必ず訪れるであろう死を考えたとき、自分を看取ってくれる人っているのだろうか!?とか幸せで安らかな死に場所がいいなとか、、そんなことを思いめぐらせてしまった三十路男って、なんだか哀しくなってきた・・・
安曇さん(加賀まりこ)が「病は人を孤独にする」とポツリとこぼした言葉が印象的だったけど、やはり人と人のつながり、出会いというのは人生において最も大切な財産なんだなとこの映画を見てしみじみ思った。。
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神様のカルテ2(2014年・東宝・116分)WOWOW
監督:深川栄洋
出演:櫻井翔、宮崎あおい、藤原竜也、要潤、吉瀬美智子、原田泰造、濱田岳、吹石一恵、池脇千鶴、市毛良枝、柄本明
内容:信州松本。本庄病院に勤務する医師・栗原一止は、妻・榛名の出産を心の励みに、患者のために身を粉に働く日々。そんなある日、一止の大学時代の同期・進藤辰也が東京から赴任してくる。旧友との再会を喜ぶ一止だったが、辰也の勤務態度には“医学部の良心”と言われたかつての面影はすっかりなくなっていた。一方、そんな時、一止の恩師である貫田内科部長が過労で倒れてしまう・・・。
評価★★★/60点
前作に引き続き病院の屋上に患者を連れ出して感動エンドというパターンを踏襲しているのは思わず笑っちゃったけど、まぁ真摯な映画であることに変わりはない。
高級車に乗って豪邸に住んで年収1千万2千万なんて軽く超えるであろう医者にはどうしても羨望のまなざしを向けてしまうけど、地方病院の勤務医の労働実態の過酷さはよく伝わってきた。1年に3日しか休みがなく家庭を捨ててまで働かなければならない現実と、そっちの方が時間通りに切り上げる医者より良い医者だと信頼される周りの環境。
実にゆゆしき問題だと思う。
また、「医療はボランティアではない、ビジネスだ!」という経営側の合理論と、「これは医師の話ではない、人間の話をしている!」という一止先生の人としての良心・感情論のせめぎ合いも理想に先走る青臭さはあるものの見応えはあった。
まぁ、将来病院のベッドで苦しまず安らかに看取られることになればいいなと思っている自分にとってはw、医者には万全の状態で診てもらいたいってことに尽きるけどね
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終の信託
出演:草刈民代、役所広司、浅野忠信、細田よしひこ、中村久美、大沢たかお
監督・脚本:周防正行
(2012年・東宝・144分)WOWOW
内容:1997年、天音中央病院。呼吸器内科医・折井綾乃は、同僚医師との不倫が破たんしたショックから自殺未遂騒動を起こしてしまう。そんな彼女は、重度の喘息で入退院を繰り返していた患者・江木の優しさに救われ、いつしか2人はプラトニックな信頼関係で結ばれていく。やがて彼女は、自らの死期を悟った江木から「その時が来たら先生の手で楽にしてほしい」と思いを託されるのだった・・・。
評価★★★/65点
患者に対して最善の医療を施す義務がある医者と、自分の最期は自分で決めたい患者。
患者の苦しみを取り除くことが仕事の医者と、苦しまずに死にたい患者、そしてやはり少しでも長く生きていてほしいと願う家族。
延命医療を望むか望まないかという選択と、延命医療を止めるのは罪になるのかという問題、そして医療現場の実情と法制度のかい離。
終末期医療をめぐる倫理的問題に関しては、白黒・善悪の二元論では割り切れない様々な議論があると思うのだけど、それらを問題提起するのが今回の映画のテーマだったのだろう。
が、しかし、このケースはどうだろう。どっからどう見ても折井先生(草刈民代)の有罪は当然なんじゃないかっていう・・・
江木(役所広司)が家族に終の信託をしていなかったことが最大の問題ではあるのだけど、だからこそ折井先生の感情に先走った行為は独善的な職権乱用にしか見えなくて。。
しかも最期の時を看取る家族を差し置いて子守唄を歌っちゃいます!?ていう気持ちの悪さとか、どうもこの折井先生には共感できない部分が多かったような・・。
結論ありきの冷血キャラにしか見えない検事は感情移入は全くできないまでも、言ってることは正論としかいえなくて、この白黒はっきりつける冷徹な論理を破る覚悟と情念に説得力が感じられなかったのはイマイチだった。
この映画を見て得たというか考えさせられたことは、ただ1つ。
自分の死期の意思表示は家族と医師を交えてしっかりと書面で残しておくってこと。これに尽きる。
少なくとも家族とはそういう話はしておくべきなんだろうなって。
でも、実はこの映画を見て1番思ったのは、苦しまずに死のうというのは虫のいい話で、やっぱり苦しんで死ぬんだなぁってことww
それくらい臨終のシーンは凄まじかった・・・。
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ディア・ドクター
出演:笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、井川遥、松重豊、香川照之、八千草薫
監督・脚本:西川美和
(2009年・日本・127分)WOWOW
内容:人口1500人あまりの山あいの小さな村。長らく無医村だったこの地に3年半前、伊野(笑福亭鶴瓶)が着任。以来ベテラン看護士(余貴美子)に支えられ、村人から絶大な信頼を寄せられていた。そんな彼のもとに、東京から相馬(瑛太)が研修医としてやって来る。最初はへき地の厳しい現実に戸惑い、困惑する相馬だったが、村の人々に親身になって献身的に接する伊野の姿に次第に共感を覚えていく。そんなある日、一人暮らしの未亡人かづ子(八千草薫)を診療することになった伊野は、病気のことを都会で医師をしている娘に知られたくないからと、かづ子から一緒に嘘をついてほしいと頼まれるのだが・・・。
評価★★★★☆/85点
オイラの地元・岩手県は地域の基幹病院にまで及ぶほど医師不足が深刻で、外来休診なんて日常茶飯事。
まさに医療崩壊の極みに達している中で、2010年には県立宮古病院に新たに着任予定だった常勤医が実は医師免許を持っていなかったことが分かり逮捕されるという事件まで起こってしまった。
宮古病院では循環器科の常勤医がおらず、心臓疾患の救急は2時間かかる盛岡に搬送されるという実情を知った自称大阪赤十字病院の救急専門医が、手助けしたいと勤務を名乗り出て、3回の面接を経て採用が決まったのだが、、フタを開けてみたら医療経験も医師免許も持たないただの無職女だったというオチが・・。
巧みに専門用語をあやつり院長をだまくらかしたこの女・44歳は、借金を抱え生活保護を受けていたというが、過去に医師との婚姻歴があったという。とはいえド素人には違いなく、年収2千万を狙っての詐欺事件となったわけだが、実際に医療行為を行ってはいなかったことから不起訴処分で釈放となった。
東北の片田舎で起こった映画のようなホントの話、、とはいえ岩手県人からすると宮古病院は地域のたいそうな病院なわけで、こんなバレバレなことをなんでするんだ!?と思っちゃうんだけど、大阪からみた岩手って掛け値なしのド田舎なんだろうな・・ww
でも宮古って市なんだよ一応
しかし、実際に医療行為を行ったホンモノのニセ医者でも懲役2,3年程度にしかならないらしいけど、それこそへんぴな村の診療所とかだったらバレずにやってるニセ医者なんてゴロゴロいそうなかんじがするなw
、、と思ったらここにいたよ!鶴瓶はん!
てことで本題の映画だけど、鶴瓶について語ればこの映画を語れるってなもんで、白衣を着た鶴瓶がチョコンと診察室のイスに座っている、その恐ろしいまでのなじみ具合と、屈託のない笑顔の奥に光る全てを見据えた黒い瞳が映画のトーンを決定づけるほど印象的で、本物よりも本物らしいペテン師に圧倒されてしまう。
そして、彼のときに滑稽でときに物悲しい佇まいが、真実と嘘、善と悪の狭間、グレーゾーンで生きるしかない人間のもがき、人間の業というものを巧みに浮かび上がらせる。
勧善懲悪のキレイ事では片付けられない、白黒つけられない人間の曖昧さ、わけの分からなさをよどみない語り口で探り見つめていく面白さは珠玉のレベルにあるといっていい。
「ゆれる」と同様のテーマといっていいと思うけど、見えないロジカルを積み上げていくシナリオの構成力、緩みなきカットの並べ方といい、映画の文法をとことん追求した作劇の方程式はより精緻に組み立てられ、凡人のオイラには反論するすべがない。
西川美和には2本つづけて完璧な映画を見せつけられてしまった。
次回作が最も待ち遠しい監督である。
Posted by 2010/08/01
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ジーン・ワルツ(2011年・東映・111分)WOWOW
監督:大谷健太郎
出演:菅野美穂、田辺誠一、白石美帆、桐谷美玲、大杉漣、南果歩、風吹ジュン、浅丘ルリ子
内容:帝華大学病院の医師・曾根崎理恵は、そこの産科に勤務しながら一方で、廃院の決まった小さな産婦人科医院マリアクリニックでも妊婦の診療に当たっていた。そこには現在、それぞれに事情を抱えた4人の妊婦が通っていた。ところが、理恵にはマリアクリニックでの治療に関してある疑惑が向けられていて・・・。
評価★★☆/50点
代理出産や不妊治療、中絶、医療ミス、産科医不足など今日的なテーマを扱っているものの、各エピソードを詰め込みすぎて薄味になっているどころか回収できていないものまであり、かなり散漫な印象を受ける。
あげくの果てに、医療崩壊じゃなくて台風による診療所崩壊がオチになるとは笑うに笑えない。
また、妊婦さんたちの日常風景が見えてこないのも気になるところで、赤ちゃんに外の世界の光を見せてあげたいとのたまっているわりに物語が外に開いていかないのは本末転倒だろう。
あと菅野美穂は正直ミスキャストじゃなかろうか。頑張ってクールにやろうとしているのは分かるんだけど、ちょっと合わないよねてかんじ。気さくで飾らない雰囲気が菅野ちゃんの本領だからねぇ。。誰だろ、、篠原涼子あたりとか?
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孤高のメス(2010年・東映・126分)WOWOW
監督:成島出
出演:堤真一、夏川結衣、吉沢悠、中越典子、松重豊、成宮寛貴、余貴美子、生瀬勝久、柄本明
内容:急死した看護師の母、浪子(夏川結衣)の葬式を終えた息子の弘平(成宮寛貴)は、母の古い日記帳を見つける。そこには、看護師としての様々な日々が綴られていた・・・。1989年、地方都市にあるさざなみ市民病院。そこへアメリカ帰りの当麻(堤真一)が第二外科医長として赴任してくる。外科手術もまともに出来ない地方病院で仕事のモチベーションも下がっていた浪子は、患者のことだけを考えて行動する当麻の姿勢に接するうちに仕事への情熱を取り戻していく・・・。
評価★★★★/80点
地味でぶきっちょで舌足らずだけど、誠実で真剣で丁寧な映画だったと思う。地味におススメできる映画だ。
田舎の港町の市民病院を舞台に、生体肝移植や僻地医療など現代医療が抱えるデリケートな問題を扱っている今回の作品。
しかし、成島出はシリアスでドロドロした重しやひねりを敢えて取っ払い、目の前の命を救いたい、目の前の命を救ってほしい、目の前の命を役立ててほしいという純粋な人の思いを当麻先生のメスに託して描いていく。
そういう点では分かりやすすぎるくらい分かりやすく、たいしてドラマチックな映画ではないのだけども、その薄味仕立てを精緻でリアルな手術シーンと役者陣のたしかな演技力でカバーし実に説得力と見応えのある作品に仕上げている。
人のつながり、家族のつながり、命のつながり、思いのつながり。
人と人の絆を感じられ、温かい余韻に浸れる良作だった。
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パッチ・アダムス
出演:ロビン・ウィリアムス、モニカ・ポッター、フィリップ・シーモア・ホフマン
監督:トム・シャドヤック
(1998年・アメリカ・116分)仙台セントラル劇場
評価★★★★/80点
内容:医師と患者は対等という信念のもと、笑いと思いやりを治療に取り入れて独自の医療活動を行ってきた実在の精神科医、パッチ・アダムスの若き日の物語を綴るヒューマンドラマ。
“死ぬまでに1回はパッチみたいな医者に出会いたい。”
先日ほんと何年ぶりかで病院(皮膚科)に行った。
、、、参ったね全く。
午前中けっこう早く行ったにもかかわらず、まぁ初診だったこともあるけどさ、1時間半くらい待たされーの。
んでやっとで自分の番。
「はい、どうぞ、そこに座って。ハイ、見せて」
手とひざの後ろを見せるオレ。
「はい、いいですよ。今までアトピーって言われたことないの?」
「あ、あります。」
「そうでしょぉ・・・。薬出しときますから1日2回塗るように。。。今日は終りです。」
「はっ、はぁ~ハイ。」
1時間半待って、診察1分30秒。
なんやねん、早く終わって嬉しいような悲しいような・・・。
でもよ、ギャグの1発くらいかませよおバタリアン女医。アンタの顔がギャグだったけどさ(笑)。
ただまるで機械的な処理をされるとちょっとムッときますね。
そんな先日の小言でございました。
まぁ日本にはパッチみたいな医者なんていないよねぇ。特にデッカイ大学病院とかには。ウチのオカンが看護師してるから耳にタコができるくらい内幕話を聞かされるから・・
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