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2013年5月13日 (月)

夢のシネマパラダイス449番シアター:見上~げてごら~ん♪空の星を~♪

天地明察

133358896614213110059_tenchimeisatu 出演:岡田准一、宮崎あおい、佐藤隆太、市川猿之助、横山裕、笹野高史、岸部一徳、市川染五郎、中井貴一、松本幸四郎

監督:滝田洋二郎

(2012年・松竹・141分)DVD

内容:江戸時代前期。将軍に囲碁を教える名家に生まれた安井算哲は出世には興味が無く、星の観測と算術の問題解きに夢中になっていた。そんな算哲を、将軍・徳川家綱の後見人である会津藩主・保科正之は、今まで800年にわたって使われてきた暦の誤りを正す任に抜擢する・・・。

評価★★★/60点

原作既読。

そつなくまとめたかんじではあるけど、メリハリがなく印象は薄い。

純粋に科学に没頭できる現代とは異なり、歴史上において科学者や天文学者は時の体制や政治・宗教権力と対峙することが避けられない、科学をするにも命がけの身にあったわけだけど、そういう危険な香りがほとんどしてこないのも薄味の要因かな。

周りが善い人ばかりだし、抵抗勢力となる朝廷側も剣をとって暴走するようなかんじがないため、命を賭して貫く信念というよりは彼を支える人脈と出会いの素晴らしさの方が主になっているように感じた。けど、なんか微妙にぬるいんだよね・・。

結局心に残るは宮崎あおいのけなげな良妻ぶりだけというのではなんとも心もとないばかりだ。

しかし宮崎あおいのこういう役ばっかりなのもいい加減飽きてきたなぁ・・

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アレクサンドリア

Alexandria212x300 出演:レイチェル・ワイズ、マックス・ミンゲラ、オスカー・アイザック、マイケル・ロンズデール、ルパート・エヴァンス

監督・脚本:アレハンドロ・アメナバール

(2009年・スペイン・127分)WOWOW

内容:ローマ帝国衰退期の4世紀末、東西交易の要衝アレクサンドリア。女性天文学者ヒュパティアは、学問に生涯を捧げ宇宙の真理を解明することに情熱を傾けていた。誰分け隔てなく若者たちに教育を施すヒュパティアの才媛と美貌に対し、少なからぬ教え子たちが求愛を寄せるが、彼女は己の使命に没頭するのだった。一方その頃巷では、急速に台頭してきたキリスト教徒と、古代の神々を信じてきた守旧派の対立が激化していた・・・。

評価★★★★/80点

太陽、地球、月、そしてめくるめく星々が織り成す天体運動。46億年にわたって連綿とつづいてきた壮大な宇宙の摂理を今から1600年前に実在した女性天文学者が解いていこうとするスケールの大きさ、そして1600年前でも変わらない人間の知へのあくなき探究心に圧倒された。

なにか古代エジプト版「天地明察」といったかんじのする今回の作品。

暦を司ることが国家権力の象徴だったことから天文学に従事する者は重要な役割を担っていたわけだけど、正確に星の動きを知り途方もない計算を極めなければならず、しかも間違いは許されない。古代中国では日食や月食などの天変を見誤れば死刑になることさえあったという。

今回見たヒュパティアのたどった運命を目前にしても、天文学者というのはいつの世も時の権力の抑圧や仕打ちと命がけで闘いながら確かな真理を追い求めてきたのだなと感服してしまう。

しかし、映画を見れば分かる通り、ヨーロッパでは天文学の抑圧者となったのは、国家や朝廷というよりもむしろ教会だった。

宇宙物理学で有名なスティーブン・ホーキング博士が宗教と科学の違いについて、「宗教は権力を基本とし、科学は観察と理由を基本としている」と言っているけど、古代から中世にかけてヨーロッパでは聖書を絶対の拠り所とするキリスト教会が政治権力を握っていたわけで、聖書の記述に矛盾する説や論が出ると宗教裁判や異端尋問にかけ最悪火あぶりに処した。

天文学者はまさに天と地への命をかけた挑戦者だったのだ。

そういう中で、ヒュパティアの決してブレない信念と折れない探究心、その命をかけた挑戦者としての生きざまが科学と宗教の問題をあらわにしていて見応えがある。

また、もうひとつの対立軸である宗教vs宗教の壮絶な争いもその本質を捉えていて面白い。

その本質とは、完全に政教分離し、なおかつ多神教の日本人には分かりにくいけど、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教など一神教の信者にとって他の神を信じることは悪であり、極端にいえば殺そうが何をしようが神の意志に沿っていればそれは絶対の正義になるということだ。それゆえ、正義は必ず勝つという絶対的な尺度を得た人間同士の戦いには終わりがないわけで、どちらかが滅びるまでつづく。

1600年たった現代を見てもそれはさほども変わっていないように思われるけど、そういう宗教の本質が(あくまで宗教のもつ暗黒面というべきかもしれないが)、古代エジプトの土着教を駆逐し、さらにユダヤ教を駆逐していくキリスト教の姿を通して描かれているのが興味深かった。

この映画を異教徒を虐殺しまくったスペイン人が作ったというのも興味深いけど、旧約聖書には全宇宙は神が創造したものであり、神の所有物であるとなっている中、神の領域まで無限の探究をつづけたヒュパティアが夜空を一心に見上げる一方、天上から見下ろす神(超俯瞰視点)は頬杖をつきながら地上をどのように見たのだろう。

蟻んこ同士がせわしなく動き回ってなんかやってるぞ、とでも見ていたのかな

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月のひつじ(2000年・オーストラリア・102分)NHK-BS

 監督:ロブ・シッチ

 出演:サム・ニール、ケヴィン・ハリントン、トム・ロング、パトリック・ウォーバートン

 内容:1969年7月、人類初の月面着陸へ向けてアポロ11号が発射された。NASAは、38万キロ彼方で行われる世紀の瞬間を世界中に生中継するため電波をキャッチできる最適な場所を探す。その結果白羽の矢が立ったのは、地球の裏側オーストラリアの片田舎町パークスにある直径40mの巨大パラボラアンテナだった。かくして、この一大イベントの成否が“羊しかいない”小さな町に託されることになる!6億人がその瞬間に立ち会ったといわれるアポロ11号による偉業、そのかつてないプロジェクトを町をあげて支えた人々の実話に基づく物語。

評価★★★☆/70点

スポットライト当てるアンテナをちょっとズラしただけで、こんなアナログ感覚あふれる魅力的な映画が出来上がっちゃうなんて。

オイラのシネマの夜に今日も月は輝く。映画って本当にイイもんですねぇ。。

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