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2013年5月26日 (日)

夢のシネマパラダイス109番シアター:ドリームワークスアニメ倉庫

プリンス・オブ・エジプト(1998年・アメリカ・99分)DVD

 監督:ブレンダ・チャップマン、スティーヴ・ヒックナー、サイモン・ウェルズ

 声の出演:ヴァル・キルマー、ミシェル・ファイファー、レイフ・ファインズ、サンドラ・ブロック

 内容:ナイル川のほとりで奴隷の子として生まれた男の子モーセは、ひょんなことからエジプト王国の王子として育てられ、兄のラメセスと仲良く成長していく。しかし、やがて月日が流れ、自分が迫害されているヘブライ民族だったと知った彼は、奴隷の人々を引き連れて国を去る決意をするが・・・。旧約聖書が伝える出エジプト記の壮大な世界を描いたアニメ。

評価★★/40点

オールスター総動員に金かけるよりも、絵とシナリオ作りにその分の金と時間をかけろや!

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シュレック

3000135 声の出演:マイク・マイヤーズ、キャメロン・ディアス、エディ・マーフィ、ジョン・リスゴー

監督:アンドリュー・アダムソン、ヴィッキー・ジェンソン

(2001年・アメリカ・94分)日劇

評価★★★☆/70点

内容:孤独ながら平穏に暮らしていた怪物・シュレックと、ロバのドンキー、美しく活発なお姫様のハラハラドッキドキの冒険ストーリー。第74回アカデミー賞で新設された長編アニメ映画賞を受賞した全編フルCGアニメ。ちなみに日本語吹き替え版ではダウンタウンの浜ちゃんがシュレックを担当。

“大人の観賞に堪えうると聞いて、どんなものかと観てみれば、なんやねん、屁こき&ゲップのベタ下ネタと今流行りのカンフーでつかみはOK牧場てなかんじやないけ。。”

ま、面白かったんですけどね。

どこぞのお国が意気揚々とつくった「ファイナル・ファンタジーでファイナルアンサー??」やらと比べたら天と地ほどの違いがあったわ。

こっちの方がちゃんと血が通ってるなと。それもこれもエディ・マーフィ様サマだったなと。

だってドンキーの顔がエディ・マーフィの顔に見えてきたくらいだもん。。

なんかめちゃくちゃ楽しそうに吹き込みしているエディ・マーフィの顔が浮かんできちゃった。それくらい生き生きしてたな、キャラクターが。

せめてエンドクレジットで声優の吹き込むシーンなんかを挿入してくれたら嬉しかったけど。

他のキャラは、、まあまあってとこかな。

しかし、往年のおとぎキャラたちはいただけなかった。血が通ってなかったもん。その点が大きなマイナス要素。表情の無いカカシが出てくるみたいなかんじで、個人的には相当無意味に思えました。

その点と、ラストで一生醜く暮らしましたとさ、というあれだけのブラックな毒舌で終わるのだったら、劇中もっとやらかしてくれてもよかったんじゃないのかマイク・マイヤーズさんと感じたのは自分だけではないだろう。

美女と野獣を逆手にとるのであれば、もっと暴れさせてもよいものを。

大暴れ男を演じてはいるが、実は根は優しく美女には目がないというデレ男風に描いてくれれば感情移入もしやすかったのに。

この2点を差し引くと★4つにはならず、★3.5ってとこですかね。。

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シュレック2(2004年・アメリカ・93分)MOVIX仙台

 監督:アンドリュー・アダムソン、ケリー・アズベリー、コンラッド・ヴァーノン

 声の出演:マイク・マイヤーズ、エディ・マーフィ、キャメロン・ディアス、アントニオ・バンデラス、ジュリー・アンドリュース

 内容:前作でめでたく結ばれたシュレックとフィオナ姫のもとに、フィオナ姫の両親ハロルド国王とリリアン王妃から結婚を祝う舞踏会の招待状が届く。そして2人はドンキーを引き連れ両親の暮らす“遠い遠い国”へ赴くことに。しかし、ハンサムな王子の登場を期待していた国民はシュレックの容姿を見て愕然、国中に動揺が走る。さらに、フィオナ姫と結ばれるはずだったチャーミング王子と、その母ゴッドマザーが2人の仲を裂こうと画策し・・・。

評価★★★/65点

面白いっちゃあ面白いんだけども、後にまでは尾を引かない。

ピクサーアニメは50年後にも変わらず残っているだろうが、これは悲しいかな時代を超えて生き続けるような代物ではない。

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マダガスカル(2005年・アメリカ・86分)WOWOW

 監督:エリック・ダーネル、トム・マクグラス

 声の出演:ベン・スティラー、クリス・ロック、デヴィッド・シュワイマー、ジェイダ・ピンケット・スミス

 内容:ニューヨークの動物園で快適な生活を謳歌しているライオンのアレックス、シマウマのマーティ、キリンのメルマン、カバのグロリアの仲良し4頭組。そんなある日、マーティがテロリストのペンギンたちと動物園を脱走。連れ戻そうと後を追ったアレックスたち共ども街中で捕らえられてしまい、船に乗せられてしまう。さらに、ひょんなことから4頭はマダガスカル島へと流れ着くのだが・・・。

評価★★★/60点

見せ場の連チャンがないと間がもたないかのようなせわしなさは、まるで狭い檻の中でグルグル回っているだけの動物を見ているかのよう。

アニマルキャラの擬人化は上手いと思うが、もうちょっと観る子供を信じて落ち着きをもって作ってもらいたいもんだ。。

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シュレック3(2007年・アメリカ・93分)WOWOW

 監督:クリス・ミラー

 声の出演:マイク・マイヤーズ、キャメロン・ディアス、エディ・マーフィ、アントニオ・バンデラス、ジュリー・アンドリュース

 内容:遠い遠い国で幸せな生活を送っていたシュレックとフィオナ。だがある日、フィオナの父ハロルド国王が病に倒れてしまい、シュレックが後継者に指名されてしまう。しかし王様なんてまっぴらごめんのシュレックは、もう一人の王位継承者アーサーを探しに悪友ドンキーと長ぐつをはいた猫を連れて旅立つことに。一方、王国では王位を狙っているチャーミング王子が、おとぎ話の悪役たちをけしかけて王座を狙おうとしていた・・・。

評価★★/45点

“おとぎの国にまで勝ち組と負け組を持ち込まれるといささか萎えちゃう。。”

いい加減シュレックをたらい回しにするのはやめれ、ドリームワークスさん(笑)。。

もう完全にネタ切れやろ・・・。新しいの創造せーや、、って4作目もいくんかいっ

P.S...キューピーマヨネーズが腐りかけて変色したらシュレックの赤ん坊になりそう、、、オェッ。。

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カンフー・パンダ(2007年・アメリカ・92分)WOWOW

 監督:マーク・オズボーン、ジョン・スティーヴンソン

 声の出演:ジャック・ブラック、ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー、ルーシー・リュー、ジャッキー・チェン

 内容:平和の谷の村に住むカンフーおたくのメタボパンダ、ポー。ある日、悪のカンフー使いタイ・ランが脱獄し、翡翠城にある龍の巻物を狙って平和の谷を襲おうとする。危機に陥った村では、武術大会が開かれ、タイ・ランと戦う龍の戦士を選ぶことになったが、ひょんなことからポーが龍の戦士に選ばれてしまい・・・。

評価★★★☆/70点

“食べ物が美味そうな映画にハズレはない!”

龍の戦士デブパンダに、タイガー、モンキー、カマキリ、ヘビ、ツルの5匹のカンフーマスター、老師レッサーパンダ、復讐の鬼ユキヒョウ、導師ゾウガメ。。。

これらのキャラを駆使してTVゲームをしたいくらい世界観はよく出来ていて、ベタベタに見えつつもかなり細部まで凝っていて楽しめてしまった。

まぁ、基本フォーマットはどっからどう見ても「スター・ウォーズ」なんだけど(笑)。

シーフー老師とタイ・ランのバトルなんて、マスター・ヨーダとダークサイドに落ちていくアナキンのバトルそのものだし。じゃあ、主人公ポーは、、、ジャバ・ザ・ハット!?んなアホな。。

また、カンフーアクションも各キャラの特徴を巧く引き出しながらコミカルさも加えつつ見応えあるシーンになっていて、しかもコミカルカンフーのレジェンド、ジャッキー・チェンが声を当てているんだから、もう面白くならないはずがない!!

見る前はちょっとバカにしてたけど、「秘伝なんてものは存在しない!今ここにいる自分が全て!真の強さは自分の中にしかない!自分を信じろ!」という直球メッセージもちゃんと響いてきたし、なかなかの良作だったように思うな。

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シュレック フォーエバー(2010年・アメリカ・93分)WOWOW

 監督:マイク・ミッチェル

 声の出演:マイク・マイヤーズ、キャメロン・ディアス、エディ・マーフィ、アントニオ・バンデラス、ジュリー・アンドリュース

 内容:最愛の妻フィオナと3人のかわいい子どもたちと幸せに暮らしているはずだったシュレック。だが、実情は子供の世話や家事に追われる窮屈な日々・・。そして、怪物としての在りし日の勇姿に思いをめぐらすシュレックに、一人の男がある契約を持ちかけてくる。それは一日だけ恐ろしい怪物としての時間を取り戻すことができるというものだった。シュレックは速攻で契約書にサインするが、途端に別の世界の“遠い遠い国”に飛ばされてしまう・・・。

評価★★☆/50点

自分のいない世界を垣間見ることで普段の何気ない幸せに気付くというプロットは「素晴らしき哉、人生!」(1946)はじめ古典的なネタということもあって、シリーズの中では1番まともなお話になってはいる。

しかし、アンチディズニーをうたっていたはずが味も毒気もなくなって完全にディズニーアニメになってしまっては元も子もない。

気の抜けた炭酸を飲んでしまった気まずさが少々イタイ・・・。

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カンフーパンダ2

70726f647563742f6635646439613636306 声の出演:ジャック・ブラック、アンジェリーナ・ジョリー、ダスティン・ホフマン、ルーシー・リュー、ジャッキー・チェン、ゲイリー・オールドマン、ジャン=クロード・ヴァン・ダム

監督:ジェニファー・ユー・ネルソン

(2011年・アメリカ・90分)WOWOW

内容:前作で龍の戦士となり、マスター・ファイブに名を連ねることになったポーの前に新たな敵が現われる。オオカミを見方に引き入れ、どんなカンフーの技も吹き飛ばす武器を開発し、世界征服を狙うクジャクのシェン大老だ。さっそくシーフー老師の指示で、シェンの野望阻止へと向かうのだが・・・。

評価★★★/65点

ジブリやピクサーとは比べものにならないまでも、良質かつ健全なファミリー向けアニメとして、あるべきひな形を示してくれるという点で間違いなく良作の部類に入る。

飛翔、跳躍、落下、回転といったアニメにしかできないアニメ本来が持つ強みを最大限に活かしたアクションは小気味良く爽快だし、テンポよく繰り出されるユーモアもストーリーに程よく絡んでいてハズレがない。プロットがベタベタすぎて、やや突き抜けた面白さには欠けるものの安心して見ていられる。

マスターファイブの面々をはじめキャラ立ちも良いのでまだシリーズ化いけるでしょww

個人的には嫁さんに食べられる運命にあるwマスター・カマキリがお気に入り♪

しかし、これほどの豪華声優キャストを集めたんだから、このメンツで実写カンフーアクション映画見たいなー。ジャッキーvsヴァンダムなんて夢のようじゃん!

2013年5月13日 (月)

夢のシネマパラダイス449番シアター:見上~げてごら~ん♪空の星を~♪

天地明察

133358896614213110059_tenchimeisatu 出演:岡田准一、宮崎あおい、佐藤隆太、市川猿之助、横山裕、笹野高史、岸部一徳、市川染五郎、中井貴一、松本幸四郎

監督:滝田洋二郎

(2012年・松竹・141分)DVD

内容:江戸時代前期。将軍に囲碁を教える名家に生まれた安井算哲は出世には興味が無く、星の観測と算術の問題解きに夢中になっていた。そんな算哲を、将軍・徳川家綱の後見人である会津藩主・保科正之は、今まで800年にわたって使われてきた暦の誤りを正す任に抜擢する・・・。

評価★★★/60点

原作既読。

そつなくまとめたかんじではあるけど、メリハリがなく印象は薄い。

純粋に科学に没頭できる現代とは異なり、歴史上において科学者や天文学者は時の体制や政治・宗教権力と対峙することが避けられない、科学をするにも命がけの身にあったわけだけど、そういう危険な香りがほとんどしてこないのも薄味の要因かな。

周りが善い人ばかりだし、抵抗勢力となる朝廷側も剣をとって暴走するようなかんじがないため、命を賭して貫く信念というよりは彼を支える人脈と出会いの素晴らしさの方が主になっているように感じた。けど、なんか微妙にぬるいんだよね・・。

結局心に残るは宮崎あおいのけなげな良妻ぶりだけというのではなんとも心もとないばかりだ。

しかし宮崎あおいのこういう役ばっかりなのもいい加減飽きてきたなぁ・・

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アレクサンドリア

Alexandria212x300 出演:レイチェル・ワイズ、マックス・ミンゲラ、オスカー・アイザック、マイケル・ロンズデール、ルパート・エヴァンス

監督・脚本:アレハンドロ・アメナバール

(2009年・スペイン・127分)WOWOW

内容:ローマ帝国衰退期の4世紀末、東西交易の要衝アレクサンドリア。女性天文学者ヒュパティアは、学問に生涯を捧げ宇宙の真理を解明することに情熱を傾けていた。誰分け隔てなく若者たちに教育を施すヒュパティアの才媛と美貌に対し、少なからぬ教え子たちが求愛を寄せるが、彼女は己の使命に没頭するのだった。一方その頃巷では、急速に台頭してきたキリスト教徒と、古代の神々を信じてきた守旧派の対立が激化していた・・・。

評価★★★★/80点

太陽、地球、月、そしてめくるめく星々が織り成す天体運動。46億年にわたって連綿とつづいてきた壮大な宇宙の摂理を今から1600年前に実在した女性天文学者が解いていこうとするスケールの大きさ、そして1600年前でも変わらない人間の知へのあくなき探究心に圧倒された。

なにか古代エジプト版「天地明察」といったかんじのする今回の作品。

暦を司ることが国家権力の象徴だったことから天文学に従事する者は重要な役割を担っていたわけだけど、正確に星の動きを知り途方もない計算を極めなければならず、しかも間違いは許されない。古代中国では日食や月食などの天変を見誤れば死刑になることさえあったという。

今回見たヒュパティアのたどった運命を目前にしても、天文学者というのはいつの世も時の権力の抑圧や仕打ちと命がけで闘いながら確かな真理を追い求めてきたのだなと感服してしまう。

しかし、映画を見れば分かる通り、ヨーロッパでは天文学の抑圧者となったのは、国家や朝廷というよりもむしろ教会だった。

宇宙物理学で有名なスティーブン・ホーキング博士が宗教と科学の違いについて、「宗教は権力を基本とし、科学は観察と理由を基本としている」と言っているけど、古代から中世にかけてヨーロッパでは聖書を絶対の拠り所とするキリスト教会が政治権力を握っていたわけで、聖書の記述に矛盾する説や論が出ると宗教裁判や異端尋問にかけ最悪火あぶりに処した。

天文学者はまさに天と地への命をかけた挑戦者だったのだ。

そういう中で、ヒュパティアの決してブレない信念と折れない探究心、その命をかけた挑戦者としての生きざまが科学と宗教の問題をあらわにしていて見応えがある。

また、もうひとつの対立軸である宗教vs宗教の壮絶な争いもその本質を捉えていて面白い。

その本質とは、完全に政教分離し、なおかつ多神教の日本人には分かりにくいけど、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教など一神教の信者にとって他の神を信じることは悪であり、極端にいえば殺そうが何をしようが神の意志に沿っていればそれは絶対の正義になるということだ。それゆえ、正義は必ず勝つという絶対的な尺度を得た人間同士の戦いには終わりがないわけで、どちらかが滅びるまでつづく。

1600年たった現代を見てもそれはさほども変わっていないように思われるけど、そういう宗教の本質が(あくまで宗教のもつ暗黒面というべきかもしれないが)、古代エジプトの土着教を駆逐し、さらにユダヤ教を駆逐していくキリスト教の姿を通して描かれているのが興味深かった。

この映画を異教徒を虐殺しまくったスペイン人が作ったというのも興味深いけど、旧約聖書には全宇宙は神が創造したものであり、神の所有物であるとなっている中、神の領域まで無限の探究をつづけたヒュパティアが夜空を一心に見上げる一方、天上から見下ろす神(超俯瞰視点)は頬杖をつきながら地上をどのように見たのだろう。

蟻んこ同士がせわしなく動き回ってなんかやってるぞ、とでも見ていたのかな

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月のひつじ(2000年・オーストラリア・102分)NHK-BS

 監督:ロブ・シッチ

 出演:サム・ニール、ケヴィン・ハリントン、トム・ロング、パトリック・ウォーバートン

 内容:1969年7月、人類初の月面着陸へ向けてアポロ11号が発射された。NASAは、38万キロ彼方で行われる世紀の瞬間を世界中に生中継するため電波をキャッチできる最適な場所を探す。その結果白羽の矢が立ったのは、地球の裏側オーストラリアの片田舎町パークスにある直径40mの巨大パラボラアンテナだった。かくして、この一大イベントの成否が“羊しかいない”小さな町に託されることになる!6億人がその瞬間に立ち会ったといわれるアポロ11号による偉業、そのかつてないプロジェクトを町をあげて支えた人々の実話に基づく物語。

評価★★★☆/70点

スポットライト当てるアンテナをちょっとズラしただけで、こんなアナログ感覚あふれる魅力的な映画が出来上がっちゃうなんて。

オイラのシネマの夜に今日も月は輝く。映画って本当にイイもんですねぇ。。

夢のシネマパラダイス412番シアター:ヒアアフター

ヒア アフター

T0009506p 出演:マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス、フランキー・マクラレン、ジョージ・マクラレン、ブライス・ダラス・ハワード

監督:クリント・イーストウッド

(2010年・アメリカ・129分)WOWOW

内容:パリ。ジャーナリストのマリーは、東南アジアでのバカンス中に大津波に遭うが九死に一生を得る。しかし、その時に見た不思議なビジョンが頭に焼きついて離れないでいた・・・。サンフランシスコ。かつて霊能者として名を馳せていたジョージは、今ではその能力と距離を置き工場で堅実に働いていた・・・。ロンドン。シングル家庭で貧しいながらも元気に暮らす双子のジェイソンとマーカス。ところがある日、交通事故で兄ジェイソンがこの世を去ってしまう。もう一度兄と話したいと願うマーカスは、やがてジョージの古いウェブサイトに行き着く・・・。

評価★★★/65点

イーストウッド映画は高く買っているのだけど、この映画は何といえばよいのか言葉に詰まってしまうような作品だ。

なにより脚本の不出来といったらない。マイナス100点といってもよく、はっきりいって脚本としての体を成していない。

その上でそれぞれのエピソードを映画に昇華してしまうイーストウッドの才をたたえることもできようが、正直面白い映画とは思えなかった。

とにかくパリ、ロンドン、サンフランシスコそれぞれの話が3方向のてんでバラバラなベクトルに向かっていくので、いったいどこでどう繋がるのかが全く見えてこず、、3本の糸が1本により合わさるまで1時間40分もかかってしまっては、前置きだけで終わってしまったような印象。

しかも、その3本の糸もほつれが目立つか細さで、物語としての強度を保てていない。

この映画のように3本の糸がささやかにより合わさるのであれば、それぞれの糸は太く強いものでなければならなかったはずだ。

何度もいうようだが、これは脚本が悪い。

ま、丹波哲郎の大霊界にならなかっただけまだマシか・・

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21g〔21グラム〕

Na42l 出演:ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロ、シャルロット・ゲンズブール

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

脚本:ギジェルモ・アリアガ

(2003年・アメリカ・124分)仙台セントラル劇場

評価★★★★/75点

内容:交通事故で夫と2人の娘を失ったクリスティーナ(ナオミ・ワッツ)、その心臓を移植された重い心臓病を患う数学者ポール(ペン)、そして事故を起こした男ジャック(デル・トロ)。無関係だった3人の人生は、哀しく絡み合っていく・・・。人は死ぬ時、21グラムだけ体重が軽くなる。それは肉体から離れた魂。その重さが21グラムなのだという。。。

“よく出来ているが、映画としてのレトリックに乗せられたorダマされた感も否めず。”

夢枕漠がこんなことを言っていた。

シリアスとユーモアは表裏一体で、シリアスを描ききるにはその対比としてユーモアも提示しなければならない、と。

個人的には十分うなずける考え方で、シリアスにかぎらずホラーやスプラッターのすぐ隣にも笑いやコメディがあるものだと思っている。

しかし、この映画においては、この映画にユーモアがあればと思う余裕がないほど、観ているこっちが自棄のやんぱちになっちゃうみたいな。それほどのシリアスさだったわけで。。

自分としては時間軸をずらしてパズルのように嵌め込んでいくという構成は、ポール、クリスティーナ、ジャックの3人それぞれの人生のしがらみを描く上では効果的だったと思うし、そのしがらみが終盤ひとつの大きな塊になっていくカタストロフィーはまさに映画的だと感じた。

がしかし、その一方で、より合わさっていく彼ら3人の人生のしがらみから何を得るのかというのが非常に曖昧で、彼らがただヤケクソになっちゃうのもいかがなもんだろうと・・・。意味ないよね。それでも人生は続いていくってか。

彼ら3人にまるでドラクエでいうところの鋼鉄と化して敵の攻撃を寄せつけないかわりに自分も身動きがとれなくなってしまう、そんな呪文のごとく三者三様に投げかけられる「神様に関係なく人生は続いていくの」という言葉。

この言葉はこの映画で1番のキーワードであると思うのだけど、さっきの呪文の話じゃないけどもホント彼らを追い詰めていく、がんじがらめに縛り上げる言葉になってしまっている気がしてならないわけ。

それは“人生は続いていく”という言葉と対になるはずの“人間は一人では生きてはいけない”という肝心のことが省かれている、あるいは描かれていないということが大きいと思うんだよね。

その点でみれば、自分にとってのこの映画の主人公はポールでもクリスティーナでもジャックでもない。

意地でも前へ進もうとする執念と、家族を作り守るという平凡な生活に対する希望と光を纏っている姿から人間味、人間臭さがより感じられるという意味で、ポールの恋人セルジュ・ゲンズブール、そしてジャックの奥さんこそが自分にとってのこの映画の主人公だ。

ただいかんせんほとんど端折られちゃってるんだけどさ・・

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バベル

Mpw20365 出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司、菊地凛子、アドリアナ・バラーザ

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

脚本:ギジェルモ・アリアガ

(2006年・アメリカ・143分)2007/05/15・盛岡フォーラム

評価:★★/40点

内容:モロッコ。山羊飼いのアブドゥラは知り合いから一丁のライフルを買い、それを山羊に近づくジャッカルを追い払うためとして子供たち兄弟に与える。が、彼らが遊び半分でツアーバスに向けて撃った銃弾が、そのバスに乗り合わせていたアメリカ人夫妻の妻スーザンの肩を直撃してしまう。一方、夫妻がアメリカに残してきた2人の幼い子供の面倒をみるメキシコ人の家政婦アメリアは息子の結婚式に出るためにメキシコに帰郷する予定だったが、リチャードからの突然の報せで夫妻が戻ってこないと知り、仕方なく2人を連れてメキシコへと向かう。そんな中、モロッコの事件で使用されたライフルの所有者が東京にいる日本人ヤスジローだということが分かる・・・。

“THE 痴女!”

この題名でエエわ、もう(笑)。

正直、全く理解不能な映画だった。

人間たちの傲慢さに怒った神が、もともとひとつだった人間の言葉をバラバラにして世界をかき乱したという、旧約聖書に記されたバベルの塔から来ている題名からしても、現代のグローバリズム世界の中でますます顕著になっているコミュニケーションの断絶をテーマにしていることには違いない。

それは、英語とアラビア語という言語の違い、アメリカ人とモロッコ人、アメリカ人とメキシコ人という人種・国籍の違い、さらには夫婦間の断絶、親子間の断絶と、言葉が通じても理解し合えない人間関係にまで至るものであり、これらのディスコミュニケーションの壁を現代社会の不毛に反映させて徹頭徹尾描いている、、ように見える。。

そして、その不毛の象徴として描かれているのが、高層ビル群が立ち並ぶ東京バビロニアニッポンであり、コミュニケーションの断絶の壁の象徴として描かれているのが、聾唖の女子高生チエコ(菊地凛子)なのだろう、、と思われる。

が、しかしである。

一丁のライフル、一発の銃弾が国境という壁を越えて引き起こしていく混沌と喪失、そして相互不理解の連鎖。が、しかし、それら各々の物語はつながっているようでいてその実、まるで映画の世界に入り込むことを拒絶するかのように断絶しまくっているのだ。

まるで神の視点に立ったかのようにそれぞれのエピソードの時制をバラバラにすることで、相互不理解という壁を映画の構造の中にまで持ち込んだのかは知らんが、全く映画の中に入り込んでいくことができないもどかしさどころか、それぞれのエピソードに説得力を感じられず、理解に至ることさえできない144分間はもはや絶望と苦痛だけでしかない。

ましてやその中で勝手に股をおっ広げられたり素っ裸になられても、残るのは嫌悪感だけ。

にしてもホントにあのチエコの行動原理は理解に苦しむ。痴女そのものだよあれは(笑)。

おそらく、この映画の意図するところは、9.11後の混沌とした世界におけるディスコミュニケーションの縮図をいわば絶望形で提示したものだと思うのだけど。

その中で現代のバベルの塔ともいえる摩天楼を見下ろす所のベランダで、素っ裸でたたずむチエコが父親と抱き合うラストというのも、服を脱ぎ去ることで、言語によって生み出されるズレを超越したようなありのままの人間に戻るという意味があったのだろうとは容易に想像がつく。

しかし、映画自体がコミュニケーションを拒絶しているような中で、そんなん見せられても全く心に響いてくるものがない。

その点では、より日常の中に視点を下ろしていく「クラッシュ」の方が分かりやすいし、出来も1枚も2枚もうわ手だったと思う。

それに比べるとやはり視点が中空に漂っているような始末の悪さばかりが気になって仕方なかった本作は、例え2回観たとしても自分の印象が覆ることはない映画だと思う。

2013年5月12日 (日)

夢のシネマパラダイス232番シアター:迷惑極まりない変なオッサンたち

ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

8eca8edd8eb88ede8eb58eb08eca8ede8eb 出演:ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィナーキス、へザー・グレアム、ジャスティン・バーサ

監督:トッド・フィリップス

(2009年・アメリカ・100分)WOWOW

内容:結婚式を2日後に控えたダグは、独身最後の夜を楽しもうと親友のフィルとステュ、新婦の弟アランと共にラスベガスへと向かう。高級ホテルのスイートにチェックインし、バカ騒ぎを始める4人だったが、翌朝目覚めると、メチャクチャになった部屋の中に何故か赤ん坊と一頭の虎が。しかも、肝心のダグが行方知れずという緊急事態に・・。二日酔いで昨夜の記憶が全くない彼らは結婚式までにダグを連れ戻すことができるのか!?

評価★★★/65点

目が覚めたら記憶がなく、知らない赤ん坊とトラがいて友人が忽然と姿を消しているというトンでもな設定はそれはそれで面白く、何があったのか謎解きをしていく展開も飽きさせない。

しかもB級おバカ一直線なのかと思いきや、なかなかに理性を保ったつくりになっていて見やすい。逆にいえばある意味ハジきれていない印象なんだけど。。

まぁ、そうはいってもかなりお下劣はお下劣で、エンドロールで出てくるスナップ写真のエゲツなさには思わず引きつり笑いが・・。

でも、行きたいです、ラスベガス

ラスベガスだったら何でも許されそうw

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ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える(2011年・アメリカ・102分)WOWOW

 監督:トッド・フィリップス

 出演:ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィナーキス、ケン・チョン、ポール・ジアマッティ、マイク・タイソン

 内容:あれから2年。ステュの結婚式のために花嫁の故郷タイの地を踏んだおバカ4人組。結婚式を2日後に控えた夜、花嫁のまじめな弟テディとともに軽くビールを一杯、と思いきや翌朝目覚めてみると、またしてもトンでもない事態に。そして、もちろん記憶のかけらもなく・・・。

評価★★★/65点

絵に描いたように1作目と同じ構成なのはこのバカ映画にかぎってはヤル気のある証拠(笑)。今回も懲りない面々がハチャメチャのかぎりを尽くしてくれる。

ただ、前作とは違って最後の一線を平気で踏み越えてしまうネタが多くて逆に笑えないところもあったりして、エンドロールのスナップショットを見ればそれで事足りる映画でもあったりする

歯抜けは笑えるけど、指切断は、、うーん・・。

悪ノリにも程がある、、ってそれを言っちゃーおしまいよ!ていう映画ではあるけど・・・。

まぁ、3作目は日本を舞台にお願いしますネw

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ビーン劇場版(1997年・イギリス・89分)劇場

 監督:メル・スミス

 出演:ローワン・アトキンソン、ハリス・ユーリン、ピーター・マクニコル

 内容:米国の名画がパリから買い戻されることになり、なぜか英国美術館のダメ監視員ビーンが高名な学者として米国に招待されることになるが・・・。イギリスの人気TVの映画化で、迷惑きわまりないお騒がせ男ビーンのアメリカでの大騒動を描く。

評価★★★/65点

やっぱり30分2話構成のフィット感が1番しっくりくる。TV版と変わってなかったのは車の運転の上手さだけだったな。

Mr.ビーンを1つのストーリーとして構成して作っていくというのは、やはり無理があるなというかんじ。それどころか逆にMr.ビーンの面白さを削いでしまうデメリットの方が大きいという点では意味がないとさえいえる。

ビーンの猛毒スラップスティックは、あるひとつの限定されたシチュエーションの中で繰り広げられてこそ活きるのであり、ひとつの纏め上げられたストーリーの流れの中では、その猛毒は薄まってしまう。

しかし映画はストーリーが命。

だからMr.ビーンは映画向きじゃないってことだね。要するに。

TV版復活を強く望む。

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Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!

Mr_bean_1_1a 出演:ローワン・アトキンソン、エマ・ドゥ・コーヌ、ウィレム・デフォー

監督:スティーヴ・ベンデラック

(2007年・イギリス・89分)WOWOW

内容:教会の福引でカンヌ一週間の旅をゲットしたビーンは、さっそくビデオカメラを手に南フランスへ向かう。その道中、カンヌ映画祭審査員のロシア人映画監督エミールと出会ったビーンだったが、ビーンのせいでエミールとその息子ステファンを離ればなれにさせてしまう。さらにステファン誘拐犯と間違われたビーンは警察に追われる身に・・・。

評価★★★☆/70点

ビーンの面白さはTV版のように15分くらいのショートシチュエーションでこそ発揮されるというのは、映画の1作目を見ても明らかなのだけど、今回はロンドンからカンヌまでの道中、レストランや駅、市場、片田舎の道ばた、映画の撮影現場など、行く先々の中継地点・スポットでショートシチュエーションを積み重ねていくという形をとっていて、ロードムービーという分かりやすい形式は上手いこと考えたなとは思った。

ただ全体としてみると、コミカルというよりはシュールな印象の方が強く、田舎の道ばたでのプロットなど、かなり贅沢な尺の使い方をしていて、いつものビーンとはまた異なる笑いを満喫できる作品になっていると思う。

ビデオ撮影をずっと強調して描いていたのがどういうオチになるのかなぁと思ってたら、カンヌ映画祭だけあって、そうきたかぁと納得できたし、超ナルシスト監督のウィレム・デフォーもハマッていて面白かった。

ただ、やはり願わくばMr.ビーンは映画ではなくTV版の方で見たいんだよなぁ、、という気持ちは変わらず。。

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オースティン・パワーズ(1997年・アメリカ・90分)DVD

 監督:ジェイ・ローチ

 出演:マイク・マイヤーズ、エリザベス・ハーレー、ミミ・ロジャース

 内容:英国情報部きってのプレイボーイ・スパイ、オースティン・パワーズ。彼は、冷凍冬眠によって1990年代によみがえった60年代のスーパースパイだった!!マイク・マイヤーズが製作と脚本を兼ね、さらに主人公と敵ボスの2役を兼ねたコメディ。宿敵ドクター・イーブルを追い、1967年から1997年にやって来たオースティン。しかし、2人とも30年のギャップについていけず・・・。

評価★★★/60点

面白いか面白くないかと言われれば面白い。笑えるか笑えないかと言われれば笑えない。。そしてキモイ、ダサい、古くさいネタのオンパレード・・・。

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オースティン・パワーズ:デラックス(1999年・アメリカ・95分)DVD

 監督:ジェイ・ローチ

 出演:マイク・マイヤーズ、へザー・グラハム、マイケル・ヨーク、ロブ・ロウ、セス・グリーン

 内容:世界征服を企む宿敵ドクター・イーブルがタイムマシンを使って69年に戻り、冷凍冬眠中のオースティンのパワーの源であるモジョを盗み出した。英国情報部はイーブルの計画を阻止させるため、オースティンをタイムマシンに乗せて69年のロンドンへ送り込む。。

評価★★★/60点

“変態の領域にまで足を踏み入れた前作でバカ度はすでにデラックスレベル。相対的にみて今作は何ら○ンポがないレベル。”

○ンポがないとはいっても、前作よりパロディの元ネタが分かりやすいし、バカ笑いはできないがニヤッとは笑える。

、、って盗用ちゃうのかインディペンデンス・デイ。ああいうのもアリなのね・・・ニヤリ。

でもヒップホップ調で歌うシーンとかちょっとウケたな。

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ホーム・アローン(1990年・アメリカ・103分)NHK-BS

 監督:クリス・コロンバス

 出演:マコーレー・カルキン、ジョー・ぺシ、ダニエル・スターン、キャサリン・オハラ

 内容:15人の大家族がクリスマスをパリで過ごすことに。ところが8歳のケビンが置いてけぼりをくってしまう。兄弟にいじめられているケビンはここぞとばかりに一人暮らしを満喫するのだが、家の中にドジなコソ泥コンビが侵入してきてさあ大変!

評価★★★★/75点

“最強の忘れ物!”

子供にとってこの映画は思いっきり楽しめるこの上ないアトラクションなんだろうね。

かくいうオイラにとっては中1で初めて付き合った女のコとの初デートで観た記念すべき映画で・・・。最初はこういう時って手ぇつなぐのかな、、とか緊張しいしいだったんだけど、いつのまにか映画に夢中になってしまったことを今でも覚えてるなぁ(笑)。懐かし・・。

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ホーム・アローン2(1992年・アメリカ・120分)NHK-BS

 監督:クリス・コロンバス

 出演:マコーレー・カルキン、ジョー・ぺシ、ダニエル・スターン

 内容:家族旅行出発の日、ケビン少年は空港で違う飛行機に乗ってしまい、1人ニューヨークへ。そこであのコソ泥コンビと再会してしまい・・・。

評価★★★/65点

感電しようが火あぶりになろうが鉄柱に激突しようが決して死なない泥棒コンビ。

これがホントのダイ・ハード!!なんつって・・。

なんかキン肉マンに出てくるキン骨マンとイワオのコンビに似てて憎めないのがイイんだよね。しかし、カルキン君の反撃もエスカレートしすぎで、タチの悪いイジメに見えてきてしまうのがややイマイチかなと。

ま、土曜の夜に子供と楽しめる映画であることには違いないけど。。

2013年5月 3日 (金)

夢のシネマパラダイス130番シアター:探偵はBARにいる

探偵はBARにいる

9451出演:大泉洋、松田龍平、小雪、西田敏行、田口トモロヲ、竹下景子、吉高由里子、石橋蓮司、松重豊、高嶋政伸

監督:橋本一

(2011年・日本・125分)WOWOW

内容:札幌のススキノで相棒の高田と探偵稼業を営む“俺”。俺への唯一の連絡手段は、行きつけのBARにある黒電話だ。そんなある夜、コンドウキョウコと名乗る女から、ある男に会い伝言を伝えてほしいという依頼が舞い込む。簡単な依頼だなとそれを引き受けた俺だったが・・・。

評価★★★☆/70点

大泉洋の天性の三枚目キャラが男前なハードボイルドの香りを中和している不思議な口当たりをどう見るかがこの映画の評価の分かれ目だと思うけど、個人的には面白かったと思う。

例えば雪穴に生き埋めにされそうになる絶体絶命のシーンですらなぜか笑えてしまうのは映画にとっては本来マイナスになるはずなのだけど、これを笑いに変えてしまうというのは、無茶ぶりを振れば振るほど味が出る大泉洋の才あってこそのものであり、演出の方向性は何ら間違っていない。

なにより、命乞いをする探偵というのは今までいただろうか(笑)。

大泉洋にしかできないキャラクターとしてこの探偵役は買いだろう。しかも、三枚目でありながら時折ビシッとキメるところも一瞬あったりしてw

一方、相方の松田龍平の飄々としたゆるキャラは「まほろ駅前」とだだかぶりだったけど、ウザい大泉洋とは好対照をなしていて、文字通り凸凹コンビとしてウマが合っていたと思う。

ただ、映画としては後味の悪さはさすがの大泉洋でも消しきれなかったねぇ・・。しかも結婚式でウェディングドレスを着た花嫁が銃乱射して自殺するって、、北野映画でもお目にかかれないようなあり得なさだろ

切なさも一気に吹き飛ぶ締め方だけは気になったな・・。

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探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点(2013年・東映・119分)WOWOW

 監督:橋本一

 出演:大泉洋、松田龍平、尾野真千子、田口トモロヲ、波岡一喜、ゴリ、松重豊、渡部篤郎

 内容:札幌のススキノでみんなから愛されていたオカマのマサコちゃんが何者かに殺された。数か月経っても一向に捜査が進まない中、マサコちゃんに恩があるというバイオリニストの弓子の依頼を受けた探偵の俺は、相棒の高田と犯人探しを始める。やがて、事件の背後にカリスマ的な人気を誇るある政治家の影が見え隠れするのだが・・・。

評価★★★/60点

時速30キロくらいしか出ていないように見えるカーチェイスにしろチンチン電車の中でのヘッポコ乱闘劇にしろユルユルすぎて、もはやなんちゃってハードボイルドの域にさえ入らない“ごっこ映画”になっちゃってる感は否めず・・・。

依頼主の電話の声が小雪だと丸分かりだった前作のようなミステリーの放棄はないものの、今回は逆に引っ張りすぎて真相が知れたときは完全に脱力ww

原発問題というタイムリーなネタもややスベリなかんじで、プロットの弱さはいかんともしがたい・・・。

70,80年代のコミカル&チープさを意識した撮り方は決して悪くはないのだけど、シリアスなハードボイルド感とのバランスをしっかり取ってほしかった。

泣けない「砂の器」になるとは思わなかったけどね・・

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まほろ駅前多田便利軒

Img_390535_8900855_0 出演:瑛太、松田龍平、片岡礼子、鈴木杏、本上まなみ、柄本佑、大森南朋、松尾スズキ、高良健吾、岸部一徳

監督・脚本:大森立嗣

(2011年・日本・123分)WOWOW

内容:東京のはずれにあるまほろ市。その駅前で便利屋を営むバツイチ男・多田啓介。ある日、中学時代の同級生・行天春彦と出会うが、ひょんなことから事務所に居座られ、奇妙な共同生活が始まってしまう。そんな2人は、まほろに暮らすひとクセもふたクセもある依頼者たちを相手に仕事をこなしていくのだが・・・。

評価★★★☆/70点

行天の走り方がツボにハマッた。

というか、手をブラブラさせるトコトコ走りって「バッファロー’66」のヴィンセント・ギャロのフェミニン走りと似てるじゃんと思って、行天というミステリアスな人物像に一気に愛着が湧いた。

まほろのローカルぶりが全く伝わってこないのは興を削がれるけど、多田&行天の全然ポップじゃない飄々としなおかつユルいコンビっぷりがバディものとしては逆に新鮮で面白かった。

ひとりだけのキャラだったら暗くて地味なだけなのだけど、2人合わさると軽妙な化学反応を起こすというかんじで、不思議な味わいがある。

妻の浮気と妊娠が同時期に発覚、生まれた子を我が子として受け入れるも自らの不注意で亡くしてしまった多田。一方、過去に親から虐待を受けていた行天は、レズカップルに精子提供をするために形式的な結婚・離婚をし、生まれてきた子にも会ったことがない。

この2人が背負った一筋縄ではいかないバックグラウンドが重石となっていて、それが誰かから必要とされたい、誰かの希望になりたいという願いとなり行動原理になっているのも共感が持てるし、タバコをあれだけスパスパしさえしなければもっと高得点あげてもよかったかもww

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行きずりの街(2010年・東映・123分)WOWOW

 監督:阪本順治

 出演:仲村トオル、小西真奈美、南沢奈央、窪塚洋介、佐藤江梨子、谷村美月、杉本哲太、石橋蓮司

 内容:郷里の丹波篠山で塾講師をしている波多野(仲村トオル)は、東京で失踪した教え子のゆかり(南沢奈央)を捜すため上京する。そして、彼女が住んでいたマンションで不審な男たちの襲撃に遭う。追跡をかわした波多野は、彼女が働いていたクラブを訪れるが、そこにいたのは別れたかつての妻、雅子(小西真奈美)だった・・・。

評価★★★/60点

人捜しという探偵ものミステリーから幕を開けるものの、当初の目的とは裏腹な自分探しネタに奔走し、蛇足だけで話が進んでいくかんじ。

役者と演出がしっかりしているので支離滅裂の一歩手前で踏みとどまれているけど印象は薄い。

その中で最も印象的だったのは小西真奈美かな。元生徒、元妻、クラブのママと、お嬢からしっとりとした大人の女性まで演じ分け、かなりイイです

しかし、、黒板の上に木刀があるってどーゆーこと!?銃を使おうよ銃を

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