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2013年4月21日 (日)

夢のシネマパラダイス402番シアター:トロピック・サンダー

トロピック・サンダー/史上最低の作戦

08070902_tropic_thunder_poster_01 出演:ベン・スティラー、ジャック・ブラック、ロバート・ダウニー・Jr、ブランドン・T・ジャクソン、ニック・ノルティ、マシュー・マコノヒー、トム・クルーズ

監督・脚本:ベン・スティラー

(2008年・アメリカ・107分)WOWOW

内容:ベトナム戦争で英雄的な活躍をした兵士の回顧録をもとに製作されることになった映画「トロピック・サンダー」。出演は落ち目のアクション俳優タグ、屁こきコメディアン?のジェフ、アカデミー賞5回受賞の演技派カーク。が、彼らのワガママなどで撮影5日目にして予算オーバーとなってしまう。そこで監督は、仕方なく東南アジアのジャングル“黄金の三角地帯”で撮影を再開することにするが、そこは凶悪な麻薬組織が支配する本物の戦場だった・・・。

評価★★★★/75点

史上最低の映画だ。それは間違いない。

であるとともに最高に危険な映画だ。それも間違いない。

しかし、最高に面白い。たぶん間違いない(笑)。

これだから映画はやめられない。おいおい・・

地獄の黙示録、プラトーンをはじめとする数々の戦争映画のパロディや、ハリウッドの業界ネタ、役者ネタはもとより、人種差別や戦争の悲惨さ、陰うつな過去に縛られつづけるベトナム帰還兵、子供や動物を手にかけてはいけない倫理コード、そしてハゲてはいけないトム・クルーズw、、に至るまで映画の定石というものをことごとくコケにしまくり、あげくの果てにはオスカーにまで手をかけてしまった・・・。合掌。

いや、しかし、ベン・スティラーはコメディ俳優としても映画監督としてもIQはかなり高いと思うんだけど、、ここまでベタ褒めしちゃっていいのかしらとはばかられてしまうくらいのグロさ、エグさにどこまでついて来れるかがこの映画の評価の分かれ目かも。

あとはやっぱトム・クルーズっしょ。途中までトム・クルーズって分からなかったんだけど・・

しかし、ハリウッドのシンボル的存在にハゲヅラデブのろくでなしプロデューサーを演じさせ、ハリウッドくそ喰らえとコケにするシンボルにしてしまうのだから恐れ入る。それを分かった上で怪演を披露するトムもまたスゴイんだけど。。

あらゆる方向にブラック爆弾を落としまくるこの全力バカ映画が受け入れられてしまうアメリカのコメディ文化、あるいは受け入れてしまうキチガイハリウッドwの懐の深さにしばし脱帽・・。

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ディア・ハンター

Nliyuarkq 出演:ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、ジョン・カザール、ジョン・サヴェージ、メリル・ストリープ、ジョージ・ズンザ

監督:マイケル・チミノ

(1978年・アメリカ・183分)DVD

評価★★★★/80点

内容:1968年、ペンシルベニアのスラブ系移民の町クレアトンから3人の若者が徴兵されて狂乱のベトナム戦線へ旅立った。親友同士だったマイケル、ニック、スティーヴンの3人は、1970年に地獄の戦場で再会したが、北側の激しい攻撃に遭い捕虜となってしまう。彼らを待ち受けていたのは、べトコンが金を賭けて興じるロシアン・ルーレットであった。隙を見てべトコンを打ち倒したマイケルは2人とともに濁流を下って脱出するが、途中で互いに離ればなれになってしまう・・・。ベトナムにロシアン・ルーレットなどなかったという非難や、主人公たちがロシア系であるが故に、当時のソ連など社会主義国など内外で大きな非難を浴びたが、アカデミー賞で作品・監督・助演男優など5部門で受賞した。

“戦場を描いた「ディア・ハンター」と戦場を描かなかった「ビッグ・ウェンズデイ」。”

奇しくも同年に公開された両作。

移民の田舎町クレアトンとカリフォルニアの海岸沿いの町。

鹿狩りとサーフィン。

そしてベトナム。出征、帰郷。

しかし本作は戦争の狂気としてのメタファーとして、ある意味姑息で短絡的だが、ある意味で最も端的なロシアン・ルーレットというスリラーゲームを持ち出してきた。

そして、その意図するところは成功した。と個人的には思う。

役者陣の迫真の演技も相まって如実に戦争の狂気を導き出し、その狂気によって若者が変貌してしまう様を描き出した。

一方の「ビッグ・ウェンズデイ」は、本作と同様の構図をとりつつもベトナムにおける戦争の狂気を省き、10年の歳月という時間の流れを経た後のもう若くはないサーフィン仲間の再会を描いた。

それにより逆に直に狂気を描くよりも、なまじ語らないことで彼らの抱えた傷と青春を奪われた苦しみを無言の変貌として描き出したのだ。

その点でも「ビッグ・ウェンズデイ」はまぎれもない青春映画なのだが、この本作「ディア・ハンター」は、戦争映画でもあり青春映画でもあり、ホラー映画でもあるというなんだかゴッタ煮的な要素が強い映画だといえる。

しかしそこはさすがのマイケル・チミノ。

完璧主義者ぶりがこの作品では吉と出ていて、しっかりこの作品の元締め役を果たしている。

そしてなにはともあれロシアン・ルーレット。

良くも悪くもこの一言に尽きる。

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独立愚連隊(1959年・東宝・109分)WOWOW

 監督・脚本:岡本喜八

 出演:佐藤允、中谷一郎、雪村いづみ、鶴田浩二、中丸忠雄、三船敏郎

 内容:終戦間近の北支戦線。各隊の問題児ばかりが集められた通称“独立愚連隊”に1人の従軍記者が現れた。荒木というその男は、実は弟の死の真相を究明するため病院を脱走してきた軍曹だった。荒木は弟が使っていた部屋の壁から何発もの銃弾を発見し、弟の死に陰謀が絡んでいることを確信するのだが・・・。

評価★★★☆/70点

こんなこと言ったらあれだけど、こんなに生き生きとした戦争映画は見たことないというくらい娯楽活劇していて目が点になってしまった。ていうか戦争してないじゃんみたいな(笑)。まるで西部劇ではないか。

あの時代にこういう痛快な戦争エンタメといえるものを作れたというのも驚きだけど、説教臭くなく、暗く悲惨なかんじも全くせず、慰安婦をはじめとする女性たちも表情豊かになかなかしぶとく明朗に生きているではないか。

これが真実ともいえないとは思うけど、「人間の条件」とは逆にコミカルな人間味を前面に押し出したこういう戦争映画があってもいいと思う。

役者がまた良いんだよね。三船敏郎のイカレっぷりも最高だったけど、やはり主役の佐藤允の怪演がこの映画のキモだろう。

日本人離れした顔立ちで不敵な笑みをこぼす様は、戦争の空虚さや愚かさを笑い飛ばしているように見えて印象的だった。

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