夢のシネマパラダイス511番シアター:青春音楽物語
BECK
出演:水嶋ヒロ、佐藤健、桐谷健太、忽那汐里、中村蒼、向井理、松下由樹、中村獅童
監督:堤幸彦
(2010年・松竹・145分)WOWOW
内容:つまらない日々を送る平凡な高校生コユキ(佐藤健)。そんな彼は、ひょんなことからニューヨーク帰りの天才ギタリスト、南竜介(水嶋ヒロ)と出会い、次第に音楽にのめり込んでいく。そんな中、新バンドのメンバー探しをしていた竜介は、ボーカルの千葉(桐谷健太)とベースの平(向井理)をスカウト、飼い犬にちなんで命名したバンド“BECK”を結成する・・・。
評価★★/40点
好きな漫画ベスト10に必ず入れたいほどお気に入りなBECKを20世紀少年を監督した堤幸彦がどう料理するのか期待していたのだけど・・・。
キャスティングに関しては20世紀少年同様に非の打ちどころがないもので、マンガからそのまま出てきたようなかんじで大変ヨロシく、カンニング竹山の斉藤さんを見たときはドツボで思わず爆笑。
が、良かったのはキャスティングだけで、肝心の中身はスッカスカ。
マンガのトレースを意識するあまりボルテージが上がっていかないただのチャラい映画になり下がってしまった。
音の出ないマンガにおいては動線や擬音を駆使したスピード感、汗の張り付いた顔やギターを弾く指の動きのアップ、下からあおったり上から見下ろしたりするアングル、変則的なコマ割りなど様々に見せ方を工夫してリズムとメリハリをつけて音を描かずに音を聴かせている。また、観客の反応や周りの解説、舞台裏のドラマなどで底上げしボルテージの上がったところでいざ演奏と、細かいディテールの積み重ねでマンガとしてのリアリティとテンションを引き出しているのだ。
しかし、映画の方はこのマンガとしてのリアリティを映画におけるリアリティに転換できていない。というかしようとさえしていない。
それはコユキのボーカルを無音にするというのもそうだけど、それ以前に音楽に付随するドラマがあまりにも平板で説得力や切実感に欠けるのだ。
マンガチックな世界観をいかにリアリティあるものにしていくか、例えば社会のルールや決められたレールの上から逸脱しても自分の直感を信じて生きることの意義を竜介がアツく語る場面があったけど、ならばコユキが高校を自主退学するくだりは絶対入れなければならないはずだし、マンガではほとんど触れられなかったコユキの家族についても描く必要性はあったはずだ。
ヘンテコな外人を出すよりも描かなければならないことがあったはず・・。
役者は悪くはない。しかしこの映画には覚悟というものがなかった。
エンディングで流れるオアシスのDon't Look Back In Anger♪に見合うドラマを見たかった。
P.S.コユキの歌声は、BSマンガ夜話での推測によれば透明感のある高音だという。ならば清水翔太あたり!?オーディションやって探し出してこいよー・・ったく。。
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ソラニン(2010年・日本・126分)DVD
監督:三木孝浩
出演:宮崎あおい、高良健吾、桐谷健太、近藤洋一、伊藤歩、ARATA
内容:都内の会社に勤める芽衣子はフリーターでバンドマンの種田と付き合って6年。大学時代に軽音サークルで知り合った2人は、多摩川沿いの小さなアパートで一緒に暮らしていた。そんなある日、芽衣子は嫌気の差していた仕事を辞めることに。一方、種田もバイトしながらバンド活動を続けていたが、バイトを辞めてレコーディングに集中し、今回のチャンスを掴めなければバンドを解散することを決意する・・・。
評価★★★/60点
サビに入る前のAメロBメロだけで成り立っているような、、いや、もっといえばAメロに入る前の前奏だけを延々かき鳴らしているような映画といえばいいだろうか。
かなり体温の低いスローな展開なのだけど、これがこの作品の世界観なのだろうか。
だとしても芽衣子(宮崎あおい)がライブでソラニンを熱唱するクライマックスまでもがこのテンションで描かれてはたまったものではない。モラトリアムからの脱却と新たな人生の出発点、それら彼女の存在証明をかけた魂の叫びであるはずなのに、ここに回想シーンをかぶせてくるというのは一体全体どういうことなのか・・。
この演出で映画は一気に凡庸なものに成り下がってしまった。
もー、結局あおいタンをガン見するためだけの映画になっちゃったじゃないか・・・w
しかし、、タバコをくゆらすあおいタンもクゥ~~ッ、イイ
でも、芽衣子と種田の同棲生活の描写は自然なかんじでかなりよく出来てたと思う。エッチになだれ込んでいくくだりとか、あー分かる分かるwってかんじだったし。
そういう日常描写は秀逸だったんだけど、その中から種田の静かな心のもがきみたいなものがちゃんと伝わってくればもっと心に残る映画になったと思うんだけどね・・。
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出演:中島美嘉、宮崎あおい、成宮寛貴、松山ケンイチ、平岡祐太、伊藤由奈、玉山鉄二、松田龍平
監督:大谷健太郎
(2005年・東宝・114分)MOVIX仙台
評価★★★★/80点
内容:何よりも恋を優先し、東京にいる彼氏のもとに向かう小松奈々と、ロックシンガーを目指す大崎ナナは上京する新幹線の中で偶然出会った。その後、引っ越し先の部屋でも再会を果たし、結局2人は一緒に暮らすことに。性格も生き方も対照的な2人だったが、20歳同士で同じ名前だったこともありすっかり意気投合していく。。。
“隠れNANAファンだったオイラがNANAファンを公言してはばからないようになったのは、この映画化のおかげと言っていい。。”
隠れキリシタンじゃないんだからさ(笑)。
でもよくよく考えてみればおかしな話だよな我ながら。今1番好きなマンガは何?て訊かれたら「BECK」て答えるこのオイラが、似て非なるものとはいっても同じバンドものに括っても差し支えないであろう「NANA」を読んでどこが悪いっつう話やん。
ただ、似て非なるもの、と述べたようにバンドものとして見た場合、BECKとNANAには青年マンガと少女マンガの違い以上の違いがあると思う。
BECKのそれがホンモノならばNANAのそれはファッションと言うことができると思う。BECKはロックそのもの、NANAはロックが醸し出す空気感とオーラを描いていると言い換えることができると思う。だからバンドものオンリーでみるならばBECKの方が断然おもしろいと公言してはばからないわけで。
じゃあ、NANAにとってのホンモノって何かと考えると、やはりホレやすいハチと一途一直線なナナという好対照な2人の存在感に行き着く。
そして磁石の対極が吸い付くようにお互いに引き合って、絆という友情と強力な磁場を形成していき、そこに吸い込まれていくトラネス、ブラストのメンバーたちとともにある種の運命共同体を形作る。
しかもそれは内に閉じこもるのではなく、ビッグバンのごとく外に向かって拡がっていくのだ。
悲劇を予想させる回想形式をとっていることも含めてNANAの世界観の凄いところは、この点にこそあるのだと感じるし、男の自分でもなんなく読めてしまう要因もそこに求められるのだろう。
かつて少女マンガは映画化されにくいと言われてきたものだが、このマンガは逆に映画化しやすい格好の世界観を有しているのだと思う。
そして案の定、映画を観て、やはり自分がNANAに感じた思いに間違いはなかったなと嬉しくなってしまった。
NANAではまさに強力な磁場の醸成場ともいえる恒例の麻雀大会をしっかり出してきたところとか、特にラストのまとめ方に関しては言うことなし。まさに運命共同体が形づくられた歴史の瞬間の1コマで締めてくれたのだから。
また、NANAに対する再確認といえばいいだろうか、やはりNANAというENDLESS STORYは、ハチの物語だけで成立するものではないし、同じくナナの物語だけで成立するものでもない、人間の(おそらく観ている自分自身の)強い部分と弱い部分を補完しあう2人を軸として結ばれなければ成立しないのだということをしっかり確認することができたのも大きかった。
映像として見るとよぉく分かったな。ナナ(中島美嘉)のパートなんて下手すると生理的にも感覚的にも大っ嫌いなDeep Love劇場版のにおいが漂って来かねなかったからなぁ(笑)。
また、NANAにおけるバンドというのはファッションにすぎないと言ったけど、映画を観て、ボーカルに関しては中島美嘉、伊藤由奈というホンモノキャストで何も言うことはないけど、男連中は、、なんだろう、ファッションというかマンガの記号そのものというか。。
タクミ(玉山鉄二)くらいか、うなずけたのは、、、って出番少ねっ。。
しかし、そういう点に違和感を感じることはあったけど、それが1つの大きな穴になることはなく、終わり良ければすべて良しじゃないけど上手くまとめ上げてくれたなというかんじ。
ともかくナナとハチの超強力磁場世界には何ものも抗うことはできないのだ!
それが言いたかった。。
Posted at 2005/09/25
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NANA2(2006年・東宝・130分)WOWOW
監督:大谷健太郎
出演:中島美嘉、市川由衣、玉山鉄二、姜暢雄、丸山智己、本郷奏多、成宮寛貴、伊藤由奈
内容:彼氏にフラれたハチを励まそうと、ナナはハチの憧れのバンド、トラネスのタクミ(玉山鉄二)との出会いをプレゼントする。が、そんなある日、仕事をクビになってしまい落ち込むハチは街で偶然再会したタクミと一夜を共にしてしまい・・・。
評価★★/40点
“どっかのホストクラブにいそうなイケメンのチャラ男とナヨナヨしたブリブリ娘のデキちゃった婚を映画で見せられるのははっきりいってツライものがある。”
一個の映画のストーリーとしてはキビシイと言わざるをえない。
少女マンガのドロドロ劇と陰の部分をまともに描いちゃうとこうなるのかもしれないけど、前作が甘酸っぱい青春&友情ストーリーとして確固とした世界観を確立していただけに今作の出来はちょっとしんどいねぇ・・・。
さらにハチ、レン、シンという要となる主要登場人物の配役交代も続編企画としてはあってはならないものだろう。
市川由衣のハチは原作マンガにより近い雰囲気やキャラクターになっていて最初はすんなり見れたし、なにより萌え度は確実にアップしてたから個人的にはよかったけど、映画が進むにつれて宮崎あおいのハチの方で見たい、という欲求が高まっていってしまったのもたしかで・・・。
いろんな意味で残念という言葉しか浮かんでこない作品になっちゃったな。残念・・。
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東京フレンズ The Movie
出演:大塚愛、松本莉緒、真木よう子、小林麻央、瑛太、平岡祐太
監督:永山耕三
(2006年・松竹・115分)盛岡フォーラム
評価★★/35点
内容:東京への漠然とした憧れを抱き、高知の小さな町から上京してきた玲(大塚愛)は、演劇人を目指すひろの(松本莉緒)、OLの涼子(真木よう子)、美大生の真希(小林麻央)らと出会う。やがてギターの隆司(瑛太)に誘われ、バンド「サバイバル・カンパニー」にヴォーカルとして加わった彼女は、夢に向かって歩き出すが・・・。
“目玉焼きにはソースやろ!”
大塚愛の大FANであるオイラからすると、彼女が映画に出てるってだけで大満足、、、といきたいところなのだが、これはあまりにもヒドすぎた・・・。しかし、大塚愛をスクリーンいっぱいに見れたので大甘も大甘の星2っつで。。
でも、なんというか、ユルユルで偏差値低いNANAを見せられたというか、こういうバカ映画を見たのも久々やな(笑)。
とにかくそれぞれの登場人物のプロットに説得力と整合性が感じられないばかりか未回収の中途半端なものになってて、その最たるものが玲(大塚愛)と隆司(瑛太)のNYでのバカップルぶりなのだけど、玲がNYに殴り込みに行く理由もそれを簡単に許しちゃうバンドメンバーの善人ぶりも、隆司の記憶喪失ごっこも、あげくの果てにバンドほったらかしてNYでラブラブ生活!?お店開いちゃおっか、、、って、お前らアホか
そしてハードゲイをカミングアウトする佐々木蔵之介キャラの意味の分からなさ(笑)。北村一輝だろ、フツー。ってそこかよ・・・
とにかくこれだけの豪華キャスト揃えておきながらフツーに見れるのが真木よう子だけって、いったい・・・。
いや、大塚愛ちゃんは悪くないんだよ。シナリオが悪いだけで、、と一応フォロー。。
ただ、、目玉焼きにマヨネーズはないんちゃうか・・・!?
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アイデン&ティティ(2003年・日本・118分)WOWOW
監督:田口トモロヲ
出演:峯田和伸、麻生久美子、中村獅童、大森南朋、マギー、岸部四郎
内容:作詞作曲を手がけるギターの中島、ボーカルのジョニー、ベースのトシ、ドラムの豆蔵の4人組ロックバンドSPEED WAYは、バンドブームに乗ってメジャーデビューを果たし、ファーストシングル「悪魔とドライブ」もヒットして順調な滑り出しを切っていた。しかし、大衆ウケする歌として「悪魔とドライブ」を作ったはいいものの、本当に歌いたい歌との狭間で悩み続けた中島は次の曲作りに悩み続けていた。そんなある日の夜、ボブ・ディラン風の“ロックの神様”が目の前に現れて・・・。みうらじゅんのコミックをクドカン脚本で映画化した田口トモロヲ初監督作品。
評価★★☆/50点
SPEED WAYの音にもアフロ中島にも全くシンパシーを感じないのはともかくとして、中島の彼女・麻生久美子が中島のことをキミ呼ばわりするのがいちいち癪に障ってしかたなかった(笑)。
自称ボブ・ディランがハーモニカで奏でる言葉も、、、相田みつをじゃないんだからさぁ・・・。
トイレであのハーモニカが鳴ったらハッ倒すよ。カレンダーでイヤでも毎日見てんだから相田みつをの言葉(笑)。
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この世の外へ クラブ進駐軍(2003年・松竹・123分)WOWOW
監督・脚本:阪本順治
出演:萩原聖人、オダギリジョー、松岡俊介、村上淳、MITCH、前田亜季
内容:敗戦直後にジャズバンド「ラッキー・ストライカーズ」を組んだ若者たちを主人公に、人生の困難と美しさを描く。サックスの広岡健太郎や「ベースのジョーさん」こと平山たちは、アメリカ進駐軍のクラブ演奏を糧に生活していた。だが、ピアノの明が別のバンドに引き抜かれ・・・。
評価★★★/60点
“アメリカ兵がイチャモンつけたくなるのも理解できるくらいラッキー・ストライカーズのパフォーマンスがショボすぎ。”
もうちょっとなんかこうグヮッとくるものがないんだよなぁ。ここ最近のジャズ人気に便乗しただけなのか!?
それともここ最近「BECK」を読みふけってるがための過剰な思い違いなのか・・・。にしてもジャズが付け焼き刃のように見えて仕方なかったな。
ジャズを支点にして話が展開していくことからも、なおさらそれが気になった。
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