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2013年1月28日 (月)

夢のシネマパラダイス551番シアター:やっぱり故郷が一番!

プリンセス トヨトミ

Efbe8cefbe9fefbe98efbe9defbdbeefbdb 出演:堤真一、綾瀬はるか、岡田将生、沢木ルカ、森永悠希、笹野高史、和久井映見、中井貴一

監督:鈴木雅之

(2011年・東宝・119分)WOWOW

内容:2011年7月8日、大阪が全停止した・・。その4日前。国の予算が正しく使われているかを調べる会計検査院の調査官3人が東京から大阪に乗り込んできた。税金の無駄遣いを決して見逃さない鬼の松平(堤真一)と、天然おバカだけど時々驚くべき勘を発揮するミラクル鳥居(綾瀬はるか)、そしてクールなハーフの旭ゲンズブール(岡田将生)だ。調査対象を順調にこなしていった彼らは、次の調査のため空堀商店街へ向かう。そして、財団法人OJO(大阪城趾整備機構)の調査を開始するのだが・・・。

評価★★☆

奇想天外な謎解き歴史ミステリーで知的好奇心を刺激する日本版ダヴィンチ・コード!?はたまた風呂敷広げすぎた世にも奇妙な物語!?それとも話なんて二の次で大阪人を笑いのネタにするトリック劇場版!?

で、見てみたら、、綾瀬はるかの揺れるオッパイ

、、てことしか印象に残らない薄味仕立てで濃い味好きの東北人のオイラにはイマイチだった・・・。

毎週、関西ローカルの老舗「探偵ナイトスクープ」を見て濃ゆい大阪人気質の面白さを味わって楽しんでいる者から言わせてもらうと、大阪&大阪人という世にも奇妙な世界のコテコテな住人を描けていない(もともとそんなの描く気はなかったとも感じるが)時点で映画のインパクトは一気に半減してしまった。しかも女装中学生はないやろっていう・・

親豊臣・大阪人の徳川・江戸っこへの敵対心に対し、大阪なんてはなっから眼中にない東京人の優越感を茶化して描くには天然キャラの綾瀬はるかは絶妙なキャスティングだと思うんだけど、映画はそういう視点にははなっから眼中にないらしく・・・。

例えば沖縄独立だったら右から左までざわめき立つようなアブナイ論争の火花が散らされるわけだけど、大阪独立ってことになると、いや、もう大阪は独立してるようなもんでしょ(笑)ていう茶化しネタにしかならないわけで、、そういう点ではこのホラ話の落としどころに世代をつなぐ親子の絆を持ってきたのは正解なのかもね。

ただ、自分が求めてたものとはちょっと違ったかなぁと。。綾瀬はるか以外は・・

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エリザベスタウン

Elizabethtown 出演:オーランド・ブルーム、キルスティン・ダンスト、スーザン・サランドン、アレック・ボールドウィン

監督・脚本:キャメロン・クロウ

(2005年・アメリカ・123分)DVD

評価★★/40点

内容:シューズ会社に勤務するデザイナーのドリューは、自らが企画開発した新型シューズが10億ドルもの大損害を招き、責任を取らされて会社をクビに。恋人にも捨てられ生きる望みを失った彼に、さらに父親が急死したという報せが入り、葬儀のためにケンタッキー州の小さな街エリザベスタウンへと向かうことに。そしてドリューは失意の飛行機の中でフライト・アテンダントのクレアと出会い、案内されるまま一緒にエリザベスタウンを訪れるのだが・・・。

“まるでこの映画の中に出てくるウッザイ悪ガキのごとく大音量の音楽とともに好き放題やりたい放題で自己満足に浸っているキャメロン・クロウに今回は完全に辟易。。”

鳴り物入りで売り出した新作シューズが大不評だからって10億ドルもの損害が出るかぁ!?しかも10億ドルてのが全くオイラの現実感覚からは程遠い金額で、現実味を全く感じることができないんだけど、この映画のプロットひとつひとつが全部そんなかんじで、映画に入っていくことが最後まで出来ずじまい・・・。

ドリューが自殺しようとするシーンも、自転車トレーニングマシンに包丁を括りつけて絶望に浸るというお遊び感覚で、全く切実感が感じられないし、飛行機で一方的に逆ナンしてくる乗務員のクレアもこんなお節介焼きオバハンいるのか!?と思わず引いちゃうくらいだし。

なんか全部ダメだねこれ(笑)。

ドリューがエリザベスタウンからオレゴンの自宅へ父の遺灰とともに車で帰宅する道中、ぴったりの曲を満載した選曲CD集を名所見どころと道先案内を詳細に書き込んだロードマップとともにプレゼントするクレアなんて、キャメロン・クロウ本人を丸写ししたようなもんじゃん。

オイラもMYドライブMDとか作るの大好きだけど、作ってるときって完全に自己満足に浸ってるのよね・・・(笑)。

しかもクレアは、ネブラスカの街に立ち寄るように手の込んだ計画を練って、そこで赤い帽子をかぶった女のコとして待ってるわけやろ。イヤラすぃというかなんというか。。

キャメロン・クロウ自身実際に車走らせて、ここではこの曲だなとかほくそ笑みながら作ったんだろうな、、、って別にエエやんそこは。。

ただ、「あの頃ペニー・レインと」と同じく非常に彼のパーソナルな一面が反映されていると思うのだけど、彼の感じるポイントというのが「あの頃~」とは違ってかなりズレまくってしまっていて、そこがイタタタ・・・ってかんじですた。。

結局、まるで素っ裸にトレンチコートを羽織った変態男がどうだっ!と言わんばかりに前をバッとさらけ出す時の顔にしか見えなかった、、、それがこの映画を観終わって感じたキャメロン・クロウの“最後の視線”です。。

泣くことも笑うこともできない駄作以上凡作未満のわけの分からない映画・・・。

「バニラ・スカイ」からどうもオイラが思ってた方向とはかけ離れた所にイッちゃってるような気がするキャメロン・クロウ。アンタはいったいどこへ向かおうとしているんだ!?

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雪に願うこと(2005年・日本・112分)WOWOW

 監督:根岸吉太郎

 出演:伊勢谷友介、佐藤浩市、小泉今日子、吹石一恵、香川照之、小澤征悦

 内容:東京で会社を経営していたものの敢えなく倒産、妻や友人にも去られ全てを失った矢崎学。彼はやむを得ず、連絡さえとっていなかった故郷の兄・威夫を頼って北海道帯広に戻る。そして、威夫が運営するばんえい競馬の厩舎で見習いとして働くことに。。。東京国際映画祭で史上初の4冠受賞。

評価★★★☆/70点

どこまでも真摯で実直な態度を崩さない演出で、ばんえい競馬の地道さを地で行くような映画。

特に難癖付けるところもないのだけど、緩急とヤマに乏しい一本調子な点はやや否めず。まるでばんえい競馬の直線200mコースから2箇所のヤマを取っ払っちゃったようなかんじ。。

さらに、その地味な作風を背負って立つべき伊勢谷友介の力量不足も気になった。脇を固める役者陣が良かっただけに一人だけ浮いて見えるんだよね。

まぁ、地に足をつけた人間の営みとは無縁だった(あるいはそれを捨てた)IT社長という役柄からすれば他から浮いて見えるというのは逆に良いのかもしれないけどもw

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UDON

Udon 出演:ユースケ・サンタマリア、小西真奈美、トータス松本、鈴木京香、弁毅

監督:本広克行

(2006年・東宝・134分)CS

評価★★★☆/70点

内容:讃岐うどんの本場、香川県。実家の製麺所をほったらかしてビッグなコメディアンになると豪語してNYへ渡ったものの、あえなく借金を背負って帰郷してきた香助。が、父親とは反りが合わず、製麺所を継ぐ気など毛頭ない。そこで、親友から紹介された地元のタウン誌で仕事を始めた香助は、編集部員の恭子と、うどんをテーマにしたコラムに取り掛かることにするが・・・。

“結局最後に行き着くのは、1800円かけてこれ観るかっていうこと・・・。”

「人を笑わせるには、美味しいうどんを食べさせれば一発!みんな笑顔になるのだから。」

この親父さんのセリフと同様に良い映画を観た後は自然と笑みがこぼれ落ちるもの。

そういう意味では、この映画は少なくとも美味しくて味が良い映画だったとは思う。

けど、一杯100円足らずの「UDON」を食すのに1800円も払って劇場の席につかなければならないバカらしさってのはやっぱあるよね(笑)。。

そういえば、香川出身の職場の同僚は、うどんは“食べる”のではなく“飲み込む”ものだと言ってたけど、ホンマかいな。

ちなみに自分の地元・盛岡は、わんこそば、じゃじゃ麺、冷めんが本場なのだけど、ほとんど食ったことがない・・・。ていうかオイラのソウルフードって何だろう?

あ、ポテチのコンソメ味だ、、、いやいや(笑)、仙台名物“ずんだもち”だな。即決。

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船を降りたら彼女の島(2002年・日本・112分)NHK-BS

 監督・脚本:磯村一路

 出演:木村佳乃、大杉漣、大谷直子、照英、村上淳、ベンガル、六平直政

 内容:東京の出版社に勤める久里子は、恋人と結婚することを親に報告しに2年ぶりに瀬戸内の島に帰郷した。が、なかなか「アタシ結婚します!」という一言が言えない久里子。そんな里帰りは、一方で彼女の心に幼い頃の淡い初恋の思い出を甦らせる・・・。

評価★★★★/75点

“煙草と海と大杉漣”

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ウィスキー(2004年・ウルグアイ・94分)NHK-BS

 監督:ファン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール

 出演:アンドレス・パソス、ミレージャ・パスカル、ホルへ・ボラーニ

 内容:ウルグアイのとある町で小さな靴下工場を経営する初老の男ハコボ。従業員は中年女性のマルタと数人の工員だけだが、長年一緒に仕事しているハコボとマルタは必要最小限の会話以外とくに言葉を交わすことはなかった。そんなある日、疎遠になっていたハコボの弟エルマンが、母親の墓石の建立式のためブラジルから帰国することになった。そこでハコボは弟が滞在する間だけ夫婦のフリをしてほしいとマルタに頼み込むのだが・・・。

評価★★/45点

どのくらい美味しいお味に仕上がっているのかと期待していたのだけど、あまりにもデリケートすぎるスタイルに微妙な心情の機微のゆらめきを嗜むことすらできず・・・。映画玄人になるにはまだまだ遠い道のりが続きそうだと痛感。。

すっごい深い味わいのある映画なんだろうなぁ、、と思いつつ、中年男女3人の無表情にいつまでたっても自分の中でエンジンがかからず。

もうちょっと大人になってから再見してみますか。。

2013年1月 7日 (月)

夢のシネマパラダイス34番シアター:王様はつらいよ!

英国王のスピーチ

20110170 出演:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム=カーター、ガイ・ピアース、ティモシー・スポール、デレク・ジャコビ、マイケル・ガンボン

監督:トム・フーパー

(2010年・英/豪・118分)DVD

内容:英国王ジョージ5世の次男ジョージ6世は、吃音症に悩まされ、上手くスピーチ出来ないことから人前に出ることを極端に恐れるようになっていた。何人もの言語聴覚士の治療を受けるものの一向に改善の兆しは見られず、そんな夫を心配する妻エリザベスが最後に頼ったのはオーストラリア人の聴覚士ライオネルだった。王族をも恐れぬ歯に衣着せないライオネルの態度に6世は激怒するが、兄である長男エドワード8世が次期王位からトンズラしたため、王位を継がねばならなくなり、いやでもライオネルに頼らざるを得なくなるのだった・・・。

評価★★★★/80点

英王室を描いた映画はどれもこれもというわけではないけど、本家本元の権威と伝統という厚化粧のにおいがプンプンして性に合わない。

なのでこの映画も見る前は色眼鏡をかけて身構えてしまったのだけれど、冒頭の演説シーンでどもりまくるジョージ6世=バーティの姿を見て一気に映画の中に入っていってしまった。

そして、国王という役者稼業の舞台になんて上がりたくないとゴネるバーティ=コリン・ファースと舞台に上がりたくて上がりたくて仕方がない大根役者ライオネル・ローグ=ジェフリー・ラッシュの“演技合戦”を軸として紡がれる友情と成長の物語はアカデミー受賞も納得の出来。

特に2人が信頼を醸成していく会話劇の妙は、さすがシェイクスピアを生んだイギリスならではのウィットに富んだ面白さで飽きさせない。

また、静的な室内劇でありながら、顔のクローズアップや突き放したような俯瞰ショットなどを使いながら空間を意識し、必要最低限の情報量で状況や感情の機微を捉えていく巧みな演出も出色で、アカデミー監督賞も納得の腕前。

あとはなんといっても役者陣。

主演男優賞のコリン・ファースも良かったけど、個人的には断然ジェフリー・ラッシュに軍配をあげたい。

この人がいれば安心できると思えるような知性とユーモアあふれる存在感にグイグイ引き込まれた。

ヘレナ・ボナム=カーターもいつもの風変わりな役柄とは異なる味を出していて秀逸だったし、やはりどこからどう見ても「ソーシャルネットワーク」を打ち負かすに足る堂々たる作品だったと思うわけですw納得。

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マリー・アントワネット

A5dea5eaa1bca1a6a5a2a5f3a5c8a5efa5c 出演:キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、リップ・トーン、ジュディ・デイヴィス

監督・脚本:ソフィア・コッポラ

(2006年・アメリカ・123分)WOWOW

評価★★★/65点

内容:1769年、フランスとの同盟関係を確固とするために、オーストリア大公マリア・テレジアは14歳の皇女マリー・アントワネットを15歳のフランス王太子ルイのもとへ嫁がせる。フランスへ渡ったマリーは、ベルサイユ宮殿での結婚生活に胸をふくらませるが、夫はまるで彼女に関心がなく、世継ぎを求める声がプレッシャーとなってのしかかってくる始末。そんな孤独を紛らわそうと、贅沢三昧な宮廷生活に明け暮れるのだったが・・・。

“現代女子高生のマリー・アントワネットなりきり体験ツアー!”

まるでアイドルグループがマリー・アントワネットになりきって、アタシ、オーストリア高校からベルサイユ高校に新しく転校してきたマリー・アントワネットといいます!よろしくネ

、、、みたいなポップといえば聞こえはいいが、軽いノリのアイドル学園映画といった方がしっくりくるような出来に、大仰なコスチュームプレイにお固く退屈なイメージを抱いてしまっているオイラは、やや面食らってしまった。

だって歴史ものとしての体をほとんど成してないもんこれ(笑)。

もちろんベルサイユ宮殿をはじめとして、衣装、調度品、美術、装飾などは圧倒的なホンモノ感を漂わせてはいる。しかし、その中で繰り広げられるべき人間模様は非常に浅く、歴史的背景もベルサイユから外に出ることはない。

また、マリー・アントワネットの人物像ひとつとっても、苦悩や葛藤などの内面はほとんど描かれることなく、あるとすればどうすれば夫とSEXできるのかということだけ・・・。

権謀術数うず巻くフランス版大奥ともいうべき歴史の裏側には全く目もくれずに、浮世離れしたベルサイユのしきたりの中で底抜けに明るいマリー・アントワネットが体験する宮廷生活のみにフォーカスした描き方は物足りなさを感じてしまい、観終わってイの1番に出てくる感想は、、で、何を描きたかったの?ということだけなんだけど、逆にこれだけ贅沢な映画のつくりもないだろうと思わせてしまう。この内容で(笑)。。

そういう意味でも、世間知らずのティーンエージャーがマリー・アントワネット体験ツアーに参加してみましたといった軽っぽさ感をこの映画から拭い去ることはできない。

が、オイラみたいな隠れキルスティン・ダンストFAN(これをオイラは隠れキリシタンと呼ぶw)にとっては、120分間延々と彼女を堪能できてしまうのだから、これほど嬉しいことはない。

そう考えるとやっぱ贅沢だわ、この映画。

でも、、、それでいいのか?ソフィア・コッポラさん・・・。

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ラストエンペラー

P0001913 出演:ジョン・ローン、ジョアン・チェン、ピーター・オトゥール、坂本龍一

監督・脚本:ベルナルド・ベルトリッチ

(1987年・伊/英/中・163分)NHK-BS

評価★★★★☆/85点

内容:わずか3歳の時に西太后によって北京・紫禁城に迎えられた溥儀は、間もなく清朝の皇帝に任命された。6歳の時に辛亥革命が起きて彼は皇帝を退位するが、紫禁城からは出られず、その後起きたクーデターによって城を追われると、日本軍の甘粕大尉によって天津へと逃亡する。やがて溥儀は甘粕らの計らいで満州国の皇帝となるが、ただの操り人形にすぎないことを知るのだった・・・。清朝最後の皇帝・溥儀の半生を描き、アカデミー作品賞・監督賞をはじめ9部門を獲得した歴史ドラマ。

“これほどまでに映像が物語を創造していく映画を自分は知らない。”

極彩色にゆらめく豊潤な映像美に誘われた時間旅行に映画を見たぞー!という満足感と恍惚感に浸ることができる。

映画に酔いしれるというのは、こういうことを言うのかもしれない。

しかしまぁ、きな臭い悪魔のような激流に翻弄されていた時代の中国を、東洋ロマンあふれる悠久の大河のごとき筆致で描ききることができたのは、西欧人ならではの視点じゃないと作れないだろうなとは思った。

いずれにしても息をのむようなビジュアルにただただ圧倒されてしまうのだが、その中で紡がれる物語に関しても、門と堀に囲まれた紫禁城から一歩も出られない皇帝と、同じく門と塀に囲まれた収容所から一歩も出られない囚人を同義的に語る視点は面白かったし、戦前・戦中は取り残されたあるいは祭り上げられた権力の象徴を、そして戦後は悪の象徴を担わされた人間・溥儀の絶対的孤独が観る側に対峙して深々と迫ってきて見応えは十分だった。

そういう意味では、現在日本の象徴天皇が置かれている現状にも通じるかんじがして、興味深かった。

静かだけど劇的な映画だったな。

溥儀を演じたジョン・ローンの憂いを含んだまなざしと、ラストの夢幻のような幕の下ろし方が脳裏に焼きついて離れない。

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王の男(2006年・韓国・122分)WOWOW

 監督:イ・ジュニク

 出演:カム・ウソン、イ・ジュンギ、チョン・ジニョン、カン・ソンヨン

 内容:16世紀初頭。旅芸人のチャンセンと女形のコンギルは、国一番の芸人になろうと漢陽の都にやって来る。そこで時の王・燕山君(ヨンサングン)の悪評を耳にした2人は、宮廷を皮肉る芝居をやって一儲けたくらむのだが、あえなく王の重臣に捕まってしまう。しかしチャンセンは、その芝居を人前で笑ったことがない王の前で披露し、王を笑わせてみせると豪語。もちろん笑わなければ死刑。はてさて2人の運命やいかに・・・。韓国史上最悪の暴君といわれる燕山君をモチーフに描く宮廷劇。

評価★★★☆/70点

“芸人は、今も昔も命張ってます!”

下ネタ満載の痛烈な風刺劇はフツーに見ていて面白いのだが、それ以上に大仰なまでの人格破綻者ぶりをひけらかす王ヨンサングンの方が個人的には見応えがあった。

「達磨よ、遊ぼう!」(2001)、「達磨よ、ソウルに行こう!」(2004)でのコメディ演技ぶりが印象的だったチョン・ジニョンが演じているというところも大きかったのだと思う。

韓国史上最悪の暴君といわれているらしいヨンサングン(燕山君)だが、その歴史的背景やその時代を韓国人のように知識として分かっていればもっとこの映画を楽しめたのかもしれない。

日本だと織田信長とかになるんだろうか。。

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クンドゥン(1997年・アメリカ・135分)NHK-BS

 監督:マーティン・スコセッシ

 出演:テンジン・トゥタブ・ツァロン、ギュルメ・テトン、テンチョー・ギャルポ

 内容:1937年、チベットのある寒村を僧侶たちが訪れた。彼らは4年前に逝去したダライ・ラマ13世の生まれ変わりを探す旅を続けていたが、この寒村でついにダライ・ラマ14世になるべき幼子に出会う・・・。名匠マーティン・スコセッシがダライ・ラマ14世の半生を描いた野心作。

評価★★★/65点

チベットとダライ・ラマについてのさわりをササッとなぞっただけという感は否めない。

しかし、心を洗うような流麗な映像と音楽の力によって武器などビタ一文付け入るすきのないチベットの荘厳な風景が印象的だったし、国是とする非暴力主義に十分すぎるほどの説得力をもたせていたとは思う。

暴力を徹底して描いてきたスコセッシが、非暴力をこれだけ貫いて描くというのもある意味では見所なのかもね。

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王様と私

Mulybuia 出演:デボラ・カー、ユル・ブリナー、リタ・モレノ、マーティン・ベンソン

監督:ウォルター・ラング

(1956年・アメリカ・133分)DVD

内容:1862年、イギリス人の未亡人アンナは、シャム君主モンクートの子供たちの家庭教師としてバンコクにやって来た。が、赴任早々アンナは、ビルマ大公からの貢ぎ物の姫タプティムを寵愛し、さらに十指に余る王妃に囲まれている王の前時代的な暮らしぶりを見て愕然。しかし、王にはどこか憎めない一面もあり、アンナは彼の目を世界に向けさせようと努力する・・・。絢爛豪華なシャム王家の宮殿を舞台にしたミュージカル映画で、アカデミー主演男優賞などを受賞。

評価★★★☆/70点

死の床に伏せた王様がアンナに感謝の気持ちを伝えて王位を息子に譲るというラストに現実味がない・・・。

どっからどう見たって死にそうな男に見えないもん(笑)。だってモーゼはアホや!と豪語するねんで。

それくらいユル・ブリナーのバイタリティあふれる粗野な王様っぷりは強烈で魅力的なものだった。

ミュージカルナンバーも“シャル・ウィ・ダンス”をはじめとして、どれも忘れがたい魅力にあふれていて、東洋と西洋の出会い、伝統と近代化というやや押しつけがましいテーマを難なく表現することができており、非常に印象的。

でも、やっぱり最後、行きつくところはユル・ブリナーだな。なんか一瞬、渡辺謙に見えなくもなかったけど。

しかし、1951年の初演から4600回以上上演されたブロードウェイの舞台版でも主演を務めていたブリナーは、1985年の最終公演でガンに侵されていることを告白、病を押してステージを務め上げたという。

やっぱスゴイ役者さんだったんだなぁ。

エキサイティングな映画でございました、、エトセトラ~エトセトラ~

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