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2012年11月19日 (月)

夢のシネマパラダイス71番シアター:あしたのジョー

あしたのジョー

11082901 出演:山下智久、伊勢谷友介、香里奈、香川照之、杉本哲太、倍賞美津子、津川雅彦

監督:曽利文彦

(2010年・東宝・131分)WOWOW

内容:昭和40年代の東京。下町のドヤ街でケンカに明け暮れている男、その名は矢吹丈。そんな丈にボクシングの才能を見出し惚れ込んだ元ボクサーの丹下段平は、丈を執拗に誘うのだが丈はつれない顔。しかし、少年院で出会ったプロボクサーの力石徹にボコボコにされたことで、打倒力石を決意した丈は、段平がドヤ街に開いたオンボロジムで血の滲む特訓を続けていく・・・。

評価★★★/60点

原作漫画を再現しようという心意気は感じられる作品ではあった。

クロスカウンターパンチが炸裂した瞬間や、力石の必殺アッパーをくらったジョーがマットに沈んでいく瞬間、はたまた力石の遺体が安置されている控え室にジョーが入っていく時のカット割りなど、原作における場面場面の決定的な1コマをよく再現できている。

また、役者陣もおおむね良好で、特に力石の死という答えが最初から分かっている中で、キャラクターの生々しさを体現できていた伊勢谷はスゴイの一言で、彼の死への道程を見るのは胸が痛くてツライものがあった。

、、のだが、力石のガチ度に比べると、やはり山Pのジョーはいまいち。。野性味がなくスマートすぎるのだ・・・。

ボクシングとはかくあるべしという信念のもとストイックなボクサーとしての王道をいく力石に対し、つまはじきにされた体制に反逆するアウトローのジョーの方がヒール役という構図なわけで、そういう反発心のかたまりみたいなギラギラしたかんじが山Pにはないんだよね。ギラギラじゃなくてキラキラ、、反発じゃなくて素直になってちゃ何の意味もない・・・。

まぁ、アウトローがヒーローたりえない今の時代には合致するといえばそれまでだが・・。

あと、基本的にあしたのジョーは、梶原一騎のホラ話をちばてつやのキャラ描写=人間ドラマが強引にねじ伏せた作品だと思うのだけど、辰吉丈一郎がマットに崩れ落ちる瞬間や、はたまたメディアに持ち上げられたかと思えば一転して血祭りにあげられた亀田一家などをリアルタイムで見てきた世代からすると、やはりノーガード&クロスカウンター戦法をはじめとするリアリティのなさを補強すべき人間ドラマが弱かったのは痛かった。

力石がウェイトを落としてまでジョーにこだわる理由が全く伝わってこないし、白木葉子をドヤ街出身という設定に変えたりして試行錯誤のあとは見えるものの、かえって話がオカシくなってしまった感が・・・。

また、ボクシングシーンもスローモーションを多用してばかりでボクシング映画にあるべき痛みが伝わってこない。こんなに心が揺り動かされないボクシングシーンを初めて見たw

いろんな点でイタかった、、というオチってそりゃあないだろう。そもそもこれは女性にシナリオ書かせるべきじゃないだろっていう・・

まぁ、原作のコマ割りを忠実に再現することか、それとも原作発表から40年後の今の時代になってジョーを甦らせるリアリティの追求か、どちらに立ち足を置くかでかなり変わってくる実写化だったと思うのだけど、前者を取ったとすればこれはこれで出来の良い作品なのかも・・。

でも、やっぱ漫画なら許せるけど実写だとどうなんだコレという違和感はつきまとってしまい、正直パッとしなかったなぁ。。

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レイジング・ブル

1900_0166 出演:ロバート・デ・ニーロ、キャシー・モリアーティ、ジョー・ぺシ

監督:マーティン・スコセッシ

(1980年・アメリカ・128分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:実在のプロボクサー、ジェイク・ラ・モッタを主人公に、彼の不屈の闘志をセミドキュメンタリータッチで描いた作品。

“言っちゃなんだけど、、、雄牛よりもたち悪いだろ、このおっさん”

同じボクシング映画でもこの映画は「ロッキー」のような努力とド根性のスポ根映画ではない。

努力も何もない映画だ。ただ拳闘の強い男ジェイク・ラ・モッタが存在するだけの映画だ。

では何を描くのか。

普通ならば、このての映画はリング外での物語がポイントになってくるが、主人公のリング外での成長度合いなどといったカタルシスもこの映画ではかえって生ぬるいだけだ。優しさや暖かさは、そこには無い。

あるのは嫉妬、猜疑、独善、獰猛。まさに獣の匂いそのものである。

それゆえ、リング上での闘いの結果がどうであろうと観ている側にとってはほとんどどうでもいい。そこにカタルシスなど得られるわけがないのだから。

となると、リング上にあるのはこの映画では痛みだけである。

その点この映画でのボクシングシーンは的を射ている。

顔のズームアップを多用し、血しぶきが飛んだり、顔がひしゃげたりといった痛々しさが痛烈に伝わってくる。

そう、ただの痛み。感情の入り込む隙がないただの痛みである。

観ている側にとってはこれほど痛いものはない。そこに何ら意味を感じ取ることさえできないのだから。何か意味をもたせるとすれば、それは相手をマットにたたき付けるという貪欲さだけである。

そもそもジェイクが、なぜボクシングをやろうと思ったのかということでさえ、この映画では描かれていないのだから、考えてみるとスゴイことである。

逆にいえば、リングを降りても人間としては幼稚だが獰猛でいつも危険な香りを漂わせる獣であり続けるジェイクを描ききること、あるいは見つめ観察することに着眼点が置かれているのだといえよう。

リングが檻の中だとすれば、リングの外にいるジェイクは檻から解き放たれた状態の獣に他ならない。

リングの中とリングの外、どちらが危険かは言うまでもない。

この実話がもたらした逆転の構図にこそ観ている側は怖れを抱きおののくのだ。

この映画はボクシング映画でありながらボクシング映画ではない。スリラーともいえる部類の映画だといえる。

そして感情の入り込むことさえ許さない。

この映画は、白黒で正解だった。

(追記)キャシー・モリアーティがローレン・バコールにとても似ていて驚いた。

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ザ・ファイター

T0009756q出演:マーク・ウォルバーグ、クリスチャン・ベイル、エイミー・アダムス、メリッサ・レオ、ジャック・マクギー

監督:デヴィッド・O・ラッセル

(2010年・アメリカ・116分)NHK-BS

内容:マサチューセッツ州の低所得労働者の街ローウェル。かつて天才ボクサーとしてスポットライトを浴び街のヒーローだったディッキーは、今ではドラッグまみれの荒んだ日々を送っていた。一方、そのディッキーの異父弟ミッキーもボクサーだが、トレーナーの兄とマネージャーの母アリスの無理難題に振り回され連敗続き。完全に行き詰ったミッキーは、家族と袂を分かち、恋人シャーリーンと共に再起を図ることにするが・・・。

評価★★★☆/70点

アメリカ版石田さんちの大家族といえばいいのか、いやあのむちゃくちゃな破天荒ぶりはビッグダディの方かw

しかし、9人兄妹でありながらミッキー(マーク・ウォルバーグ)とディッキー(クリスチャン・ベイル)以外の7人姉妹は金魚のフンみたいなその他大勢の添え物的扱いで、存在意義がなくて邪魔だったんですけど

あと、ミッキーがボクシングの試合でボコボコにされながらも起死回生の一発逆転劇をキメる展開って言うなればロッキースタイルなんだけど、そのわりにはカタルシスに乏しく、ボクシングシーンが味気なかったなぁというのもマイナス要素。。

ただ、ヤク中兄貴、ビッグマミー、タフネス彼女の三つ巴のバトルとそれに翻弄されながらボクシングに打ち込むミッキーの人間ドラマは見応えがあり、マイナス要素を補ってあまりある。

つまり、ミッキーの最大の敵はボクシングの試合相手ではなく家族だったというオチ。。

まぁ、実話の持つ強度がそのまま反映されたようには感じられなかったけど、その不足分を役者陣が充填していたし、プラスマイナスでいうと完全なプラス映画ではあった。

P.S. エンドロールにミッキー、ディッキー実の本人が出てきた時にディッキーを見てまんまじゃん!というくらいクリスチャン・ベイルの役作りにドン引き(笑)。

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傷だらけの栄光(1956年・アメリカ・113分)NHK-BS

 監督:ロバート・ワイズ

 出演:ポール・ニューマン、ピア・アンジェリ、サル・ミネオ、アイリーン・ヘッカート

 内容:NYの下町に生まれ育ったロッキー・グラジアーノ。感化院送りになった不良少年時代を経て軍隊に入隊するものの、そこでも軍刑務所送りに。しかし、そこで出会った刑務官に素質を認められ、プロボクサーを目指すが・・・。ポール・ニューマンの出世作にして、スティーブ・マックィーンのデビュー作としても有名。

評価★★★★/75点

“これがホンマもんのロッキーだった!”

ロッキー・グラジアーノのケンカと暴力に明け暮れる世間知らずのチンピラ男風情は、まるで矢吹丈そのもので、特に前半のロッキーの手のつけられない暴走っぷりは、まんまあしたのジョー。

しかも、それを体現するポール・ニューマンがカッコ良いのなんのとくれば映画に引き込まれないわけがない。

とにかく、これが実質デビュー作というのが信じられないくらいのポール・ニューマンのキレキレの存在感にただただ圧倒されっぱなしの2時間だった。

難点としては、宿敵ゼールの存在感がちょい薄かったことくらいかな。

とはいえ、試合の演出なんかも50年代という時代を考えればよく出来てたし、シルベスター・スタローンのロッキーと見比べてみても面白いと思ったし、かなり収穫のある映画だったことはたしかだ。

ポール・ニューマンの映画見直してみよっ。

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コメント

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