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2012年10月15日 (月)

夢のシネマパラダイス536番シアター:夫婦かくあるべし!?

ゲゲゲの女房

Img_404065_11040874_0 出演:吹石一恵、宮藤官九郎、村上淳、坂井真紀、宮崎将、柄本佑、徳井優、南果歩

監督:鈴木卓爾

(2010年・日本・119分)WOWOW

内容:昭和36年、島根県安来。酒屋の娘で29歳の布枝(吹石一恵)は、東京で貸本漫画を描いているという10コ上の茂(宮藤官九郎)とお見合い後5日で結婚!が、上京した布枝を待っていたのは、想像を絶する貧乏生活だった。おまけに茂の描く絵は暗くて人気もなく、頼みの原稿料さえ払ってもらえず・・・。

評価★★★★/80点

お見合いして5日後に結婚してひとつ屋根の下で暮らすことになるというのは妖怪に出くわすことより恐ろしい状況だと思うのだけども、恋愛感情もない赤の他人が次第に距離を縮めていき夫婦・家族になっていくのを見るのはそれだけで十分ドラマチックではある。

のだけども、その過程で描かれるエピソードに山場と呼べるものがひとつもないのがこの映画のスゴイところ。

基本的に妻・布枝の視点で描かれているこの映画。

朝起きて寝巻きからエプロンに着替えてヤカンを沸かし朝の支度をする。縁側の廊下を雑巾でせっせと拭いて柱時計のネジを巻く。自転車を押して古本屋に向かう。包丁で菜っ葉を刻んで鍋に入れたり、パンの耳をみじん切りにしたりして夕飯を作る。夜はロウソクの炎を頼りに旦那の描くマンガのベタ塗りを手伝う。

ドラマチックなことといえば税務署員を追っ払う場面くらいなもので、特に何が起こるわけでもない。道に生えてる野草を食材にしなければならないほど貧乏ひまなしの生活が淡々と描かれていくだけなのだ。

しかし、その飄々とした日常の積み重ねによって本物の夫婦の姿が徐々に形作られていくさまは説得力がある。そして、その説得力の源になっているのは“日常というのは完結しないもの”という視点にあるといっていい。

非日常空間を主戦場とする映画においてそれを描くというのは意外に少ないと思うのだけど、この映画はその視点に徹した稀な作品といえる。

具体的には山場となるべき各エピソードに対する映画的説明を大胆に省略する(お見合いから結婚に至る過程を一切省略し結婚写真一枚ですませるetc.)一方、日常の細部(料理や掃除といった所作・動作はいわずもがな保湿クリームを塗りたいと思うほど冷たく乾燥した師走の空気感や、ゴンゴンと鳴り響く工事の音、川のせせらぎといったサウンドプロダクションに至るまで)を丹念に描いていくことで終わらない日常を描き出していく。

そして、ドラマチックさを排除した中で布枝の感情がそれら日常の細部の上ににじみ出てくるのだ。

実に乙な演出だと思う。

一方、ハッハッハッと笑うだけの茂の感情面は、漫画の絵が動き出すアニメパートで補完する。これまた面白い演出だったし、アニメの出来がピカイチで、悲惨な戦争体験でもたらされた心の闇-決して癒されない悲しみ-をもすくい取っていたように思う。

また、終わらない日常の行き着く先にある現代の風景が意図的に映し出されているのも面白かったし、そのような日常の中にスーッと非日常=妖怪が顔を出すのもユーモラスでいい。

鈴木卓爾、がぜん注目すべき監督になったかも。。

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ツレがうつになりまして。

O0350049111343816605 出演:宮崎あおい、堺雅人、吹越満、津田寛治、梅沢富美男、大杉漣、余貴美子

監督:佐々部清

(2011年・東映・121分)WOWOW

内容:売れない漫画家ハルさんのツレ(夫)は仕事をバリバリこなすサラリーマン。ところがある朝、ツレが真顔で「死にたい」とつぶやいた。病院の診断結果は、仕事のストレスから来るうつ病。ツレの変化にまったく気づかなかったハルさんは、「会社を辞めないなら離婚する」とツレに迫り退職を決意させるが・・・。

評価★★★/65点

ウチの親父はうつ病だったことがある。

定年前2年間くらいだったけど、退職したとたん水を得た魚のように完全回復したww

ただ自分自身は、仕事に行きたくないとゴネて寝床から出てこない親父のことをよく理解できなくて、いい年こいて何をワガママ言ってるんだと心の中ではバカにしていた。

でも、うつ病が当人にとってどんなに大変なことなのか、あれから数年経ってちょっと分かりかけてきたけど、今回この映画を見て、やっぱり分かってるようでよく分からなかった

まぁ、軽いタッチなので見やすいんだけど、逆に深刻さが伝わってこないのははたして良かったのかどうなのかというのもあるし、いや、そもそもこんな可愛い嫁さんがいてうつ病になるかっていう(笑)。

このワガママ男がーーッ!と嫉妬してる独り身男の自分の方がうつ病になりそう・・。

でもホントこの宮崎あおいは反則もの。おかわり10杯くらいいけるわw

自分も、健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、富める時も貧しき時も、これを愛しこれを敬い、その命あるかぎり真心を尽くすことを誓えるツレに巡り会いたいものだ

よーし、がんばらないゾー(笑)!

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明日の記憶

20060513_181609 出演:渡辺謙、樋口可南子、坂口憲二、吹石一恵、水川あさみ、木梨憲武、香川照之、大滝秀治

監督:堤幸彦

(2005年・東映・122分)DVD

評価★★★★☆/85点

内容:広告代理店に勤める49歳の佐伯(渡辺謙)は、大プロジェクトを抱える敏腕部長で、一人娘の結婚も控え公私ともに充実した日々を送っていたが、最近、急に物忘れが激しい・・。その変化を感じ取っていた妻の枝実子(樋口可南子)は夫を医師(及川光博)に診せに行く。しかし、そこで下された診断は若年性アルツハイマーという病気だった・・・。

“この映画作品を観る人の記憶の中にしっかりと刻み込ませ留めさせようとする映画の作り手の熱意と気迫と意欲がストレートに真正面から伝わってきて、思わず圧倒されてしまう。”

先日、アキ・カウリスマキの「過去のない男」を観たのだが、これは見知らぬ土地でチンピラ集団に襲われてボコボコにされたあげく、それまで積み上げてきた過去の記憶を一瞬にして名前から何から全て失くしてしまった男を描いた映画だ。

この映画の中で男は、失った過去を取り戻そうとすることなく、新たな記憶を積み重ね今を生きていくことで、生まれ変わった“過去のある男”となっていく。

“過去の記憶”(過去を振り返ること)よりも“明日の記憶”(未来を見つめること)の中でささやかに生きていこうとする男というのは、今回の作品にも通じるところがある。

しかし、今まで積み重ねてきた記憶=人生が、パズルの一片一片が欠け落ちていくように徐々に、しかし確実に日常を送る中で奪われていく、という今回の作品で描かれている残酷さと比べれば両作はあまりにも対照的だ。

「過去のない男」が新たな再生を描いていたとすれば、「明日の記憶」は喪失の過程を描いているといえるのだから。

そして、この映画は妻との関係という夫婦の話、娘との関係という家族の話、仕事との関係という社会の話、すなわち全てひっくるめた日常を丁寧に描いていく中で、喪失の過程をゆっくりと追っていく。

それは、しかし恐いくらいにリアルだ。

記憶を失っていく主人公の不安や恐怖、確実に進行していく喪失という絶望を、堤幸彦監督独特の奇をてらった演出がこの映画においては正攻法になっているところが大きなミソで、逆に日常生活を丁寧に切り取っていく“らしくない”落ち着いた演出で積み重ねていくことによってメリハリの効いたリアルで凄みのある映像に仕上がっている。

堤幸彦の技のレパートリーの豊富さには舌を巻くばかりだ。

そして渡辺謙と樋口可南子の、映像に負けないくらいの迫りくる演技にはもはや脱帽するしかない。映画であることを忘れてしまうほどの圧倒的感覚を久々に味わった気がする。

喪失の果てにある残酷であまりにも絶望的な現実が待ち受けるラストも、夫と妻が初めて出会った思い出の地を出発点に、どんなに過酷であろうともまた2人で歩き出すんだというささやかな希望を予感させるところに持って行ったのはなんとも絶妙だった。

この映画は、自分の記憶の中にしっかりと刻み込まれた。

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ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ(2009年・東宝・114分)WOWOW

 監督:根岸吉太郎

 出演:松たか子、浅野忠信、室井滋、伊武雅刀、広末涼子、妻夫木聡、堤真一

 内容:戦後間もない東京。小説家の大谷(浅野忠信)は、放蕩三昧を繰り返しては妻・佐知(松たか子)を困らせてばかりの日々を送っていた。ある日、行きつけの飲み屋から大金を盗んでしまった大谷だったが、佐知がそこで働いて返すことでどうにか収まる。さっそく店を手伝い始めた佐知はその美貌から客達の評判になっていくが・・・。

評価★★★☆/70点

良くいえばマジメ、悪くいえばこれといった取り柄のない根岸吉太郎だが、今回はそのマジメさ~タンポポの花一輪の誠実さ~が純文学の文体を見事に捉えていて映像化することに成功している。

「雪に願うこと」(2005)、「サイドカーに犬」(2007)とここ最近たしかな仕事をしている監督の力量が示された作品といえる。

ただ、彼のバカ正直さは裏を返せば観客をわしづかみにするような嘘をつけないという欠点があり、感情を揺り動かされるところまではいかないというのが正直なところ。。例えば松と妻夫木が寝ちゃうなんてことを突っ込んで描いていればもっとスゴイ映画になっていたと思うんだけど・・。

しかし、役者陣は総じて良く、陰気なダメ男を演じた浅野、母性と生-昭和の女の性-を体現した松たか子も秀逸だったけど、広末涼子の面構えには思わずハッとさせられた。ひと皮むけたかもw!?

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折り梅(2001年・日本・111分)NHK-BS

 監督:松井久子

 出演:原田美枝子、吉行和子、トミーズ雅、田野あさ美

 内容:名古屋郊外の豊明市。パート勤めの主婦・巴はサラリーマンの夫、そして中学生と小学生の2人の子供と4人家族で暮らしている。ある日、夫から相談され、ひとり暮らしをしている義母・政子を呼び寄せて同居することになるが、巴はまぁどうにかなるだろうと嫁姑問題を気楽に考えていた。しかし、暮らしてみると政子に振り回される日々が続き、巴は噴火寸前。が、政子の異常行動の原因がアルツハイマー型痴呆症と判明して・・・。

評価★★★★/80点

“ウチは、、こうはいかなかった・・w”

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阿弥陀堂だより(2001年・東宝・128分)NHK-BS

 監督:小泉堯史

 出演:寺尾聰、樋口可南子、田村高廣、香川京子

 内容:三文文士の孝夫は、心の病にかかった妻・美智子の療養のため東京から彼の故郷である信州に移り住む。都会の暮らしに疲れ果てた2人は、村民との温かい交流を通して再生していく。。

評価★★★★/75点

ヤッベェ、まじヤッバイわこれ。

ある夏の日の夕方、セミの鳴き声を聴いて夕涼みしながらこの映画見たっけ、えもいわれぬ安らぎを満喫しちゃったで。

正真正銘のアミダババァも拝見できたし。

床屋で髪洗われているような気分。

フンがーー、、(*´~`*)。o○Z・・・。。

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コメント

ドラマも映画も良いですね。

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