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2012年10月15日 (月)

夢のシネマパラダイス84番シアター:ロビン・フッド

ロビン・フッド

Robinhood 出演:ラッセル・クロウ、ケイト・ブランシェット、マーク・ストロング、ウィリアム・ハート、オスカー・アイザック、マックス・フォン・シドー

監督:リドリー・スコット

(2010年・米/英・140分)WOWOW

内容:12世紀末イングランド。十字軍兵士ロビンは、遠征帰還途中にイングランドの騎士ロバート・ロクスリー卿が闇討ちされる現場に遭遇。彼から家宝の剣を故郷ノッティンガム領主の父ウォルターに届けて欲しいと遺言を受ける。さっそくノッティンガムへ赴いたロビンはウォルターと、10年もの間ロバートの帰還を待ちわびていた妻マリアンに出会う。そんな中、苛烈を極めていたジョン王の圧政はノッティンガムにも及び、さらにフランスの魔手がイングランドに忍び寄っていた・・・。

評価★★★/60点

リドリー・スコット&ラッセル・クロウというとMy Favorite Movieの上位にランクインされる「グラディエーター」を真っ先に思い浮かべてしまうのだけども、主人公が奈落の底に一気に転落し、絶望と悲しみと憎しみを身にまといながら這い上がっていくというストーリーラインはベタだけど見ていて熱くなってしまう。

判官びいきの典型的日本人のオイラは悲劇・復讐・反骨の3点セットにめっぽう弱いのだ・・wそれゆえ「グラディエーター」はもとより「ベン・ハー」や「ブレイブハート」「スパルタカス」などは大大大好きなわけで。

ひるがえって今回の作品が放つ矢はその3点セットのどの的からもビミョーにズレたところに飛んでいきイマイチ乗り切れなかった・・・。

死体漁りもするならず者がいかに義賊ロビン・フッドになっていくのかという背景を描いているのだけども、そのプロセスが説得力に乏しいというか、ロビンが民衆のために立ち上がる動機付けが弱くてイマイチ。

そもそも闇討ちされたロバート・ロクスリー卿になりすます作戦がトントン拍子で進んでいき、ロバートの実家に入り込むまでに至る展開からしてドン引きしちゃったんだけど・・・。

偽装結婚することになるマリアン(ケイト・ブランシェット)とのアラフォーロマンスもただでさえオヤジ臭がプンプンにおうのに、もっとピチピチした若妻を出しぃーや!と心の中で叫んでしまったww

また、立ち向かうべき相手にしても圧政と残虐のイングランドなのか侵略してくるフランスなのか、二兎を追う者は一兎をも得ず的な中途半端さで物語の照準が絞りきれていなかったように思う。

戦闘シーンはじめ映像は完ペキだっただけに、散漫なドラマ展開はちと残念。。

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ブレイブハート

1113 出演:メル・ギブソン、ソフィー・マルソー、ブレンダン・グリーソン

監督:メル・ギブソン

(1995年・アメリカ・177分)DVD

評価★★★★★/90点

内容:13世紀末、悪政に苦しむスコットランドの独立と解放を目指して戦った実在の英雄ウィリアム・ウォレスの生涯を描いたスペクタクル史劇。メル・ギブソンが製作・監督・主演を務め、アカデミー作品、監督ほか計5部門を受賞した。

“蜀の側から描かれている三国志。赤穂浪士の側から描かれている忠臣蔵。そして、スコットランドの側から描かれているブレイブハート”

映画において史実とフィクションをいいようにブレンドする、これは決して悪いことではない。

作品としての面白さやカタルシスがより深く味わえ、後々の世まで残されていく。この「ブレイブハート」もしかりである。

例えば、イザベルとの関係などはその最たるものであろう。

だって寝ちゃうんだもんなぁ、、果てはウォレスの子がお腹の中にいるのと言う始末。

スコットランドの人にはたまらない映画なのは間違いない。だってイングランドの王妃でっせ。エリザベス女王はこれ観てどう思ったんだか、開いた口が塞がらなかったに違いない。

この最たる例をはじめとして、この映画、徹底してスコットランド側から描いて描いて描きまくる。

中世イングランド随一の賢王と呼ばれたエドワード1世なんてホント豚なみの扱いだもんな(笑)。

しかしそりゃそうだよな、スコットランドからみればただの侵略者だ。

一方的に物事を見まくる。

そんなの昔っからやってることだ。そうやって歴史は作られまた解釈される。

だから本当に歴史を知るというのは一方通行ではダメで、両側2車線で見ないとダメなのですね。

あ、つい脇道に逸れちゃいそう、、、それはともかく、この映画はよく出来てます。

まあ一方的に描いているからという要因もあるけど、それを抜きにしても特に戦闘シーンは特筆もの。これ以降の映画に相当影響を与えたはずで、SWとかLOTRなど絶対そうでしょ。まぁそれ以前にもとをたどれば黒澤という源流があるけど。

ところで、一方的に都合よく解釈されがちな歴史ではあるけど、エドワード1世の息子、エドワード2世(イザベルの夫)はホントにアホだったらしい。イングランドから見てもスコットランド側から見てもどうしようもないアホ。こりゃどっちに転んでも真実だわ。

実際はたしかウォレスの死後に結婚しているエドワード2世とフランス王女イザベル。彼がゲイでぐうたらなのも手伝ってイザベルはホントに嫌ってたらしく、ついにイザベルは叛乱を起こし、エドワード2世を王位から引きずりおろしてしまう。

んで直ちに幽閉された彼は、これまたすぐに処刑されるのです、イザベルの手先にね。恐っろしい。外傷が残らないよう、熱せられた焼火箸を肛門から突き刺すという身の毛もよだつ殺し方というのがまた・・・。

さすがフランスの雌狼と呼ばれたイザベルだ。ソフィー・マルソーだから許しましょう。

しかし、そのイザベルも王位に担ぎ出した自分の息子エドワード3世に逮捕され、幽閉。そのまま一生を終えたのだから歴史ってのは面白い。

さてさて映画のラストでロバート・ザ・ブルースの勝利によってスコットランドは独立を勝ち取ったわけだが、その後どうなるのか。

時折イングランドと小競り合いはあったものの、そのまま時は過ぎ17世紀。

イングランドの王位継承問題のいざこざにより、スコットランド王がイングランド王を兼任するという奇妙な事態に陥る。

そして18世紀に入り、ついに両議会が統一される。つまりイングランド王国とスコットランド王国の連合体の誕生である。スコットランド議会は閉鎖され、イングランドのロンドンに議会が置かれた。

しかし、同じ王を戴くという両者に様々な弊害が出てくるのは時間の問題だった。

またもや王位継承問題が起こりイングランド側がこの人で決まりと担ぎ出した王にスコットランドの一部勢力・スコットランド独立派がイヤだイヤだと反発。

1746年カロデンの戦いにおいて政府軍と衝突したがあえなく敗れ、実質的にスコットランドはイングランドに併合されてしまった。

そして現在、独自の法体制を認められていたスコットランドだったが議会が閉鎖されつづけて300年、ついに投票によりスコットランド議会復活が採択された。1997年のことですね。

スコットランド。

よく聞くし、サッカーW杯にも8回出ている。

しかし、忘れがちであるが、スコットランドは独立国ではない。

イギリスの中にあるいわば地方名、もっと正確にいえばイギリスを構成する連合の中のひとつなのだ。

そう、イギリスって連合国なんだよな考えてみると。

イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドから成る連合王国なんだよね。

これ知ってる日本人って実は意外に少ないのではないだろうか。

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パトリオット(2000年・アメリカ・164分)MOVIX仙台

 監督:ローランド・エメリッヒ

 出演:メル・ギブソン、ヒース・レジャー、ジョエリー・リチャードソン、ジェイソン・アイザックス

 内容:1776年、サウス・キャロライナ州。フレンチ・インディアン戦争の英雄で、有能かつ残虐な兵士だったベンジャミンも今や7人の子供の父親。対大英帝国との独立戦争が始まっても平和主義を貫く彼は戦おうとはしない。勇んで出征していく血気盛んな長男ガブリエルにも苦い顔をするので精一杯。しかし、目の前で次男トマスを殺されたとき、眠っていた戦士としての本能が呼び覚まされ、ゲリラ戦に身を投じていく・・・。

評価★★☆/50点

“最前線にだけは立ちたくねぇっ。”

織田信長だったら、あのただ突っ立って敵前に行進していく軍隊を簡単に蹴散らせると思うんだけど(笑)。。

それくらい戦闘シーンに味気も何もなかったのだけど、それは戦い方の味気なさはもとより、戦う大義や理由付けが次第に曖昧模糊としたものになっていくこととも無関係ではないだろう。

そもそもパトリオット(パトリオティズム)とは、郷土愛や家族愛といった単位のものであり、ナショナリスト(愛国主義者)とは弱冠意味を異にするものだと思うが、そういう点では息子を眼前で殺され、家を焼き討ちにされたことから戦いに参加していくというのは確かにパトリオットだ。

しかし、だ。

愛する家族と郷土を踏みにじるイギリス軍を追い出すために立ち上がったベンジャミンの矛先すなわちこの映画の矛先は、次第にタヴィントン大佐という一人の男への私怨と復讐へとクローズアップしてしまう。最後なんて1対1の完全な果し合いだし。。

ここが完全に「ブレイブハート」とは違う点であり、今回の映画にのめり込めなかった理由でもある。

フレンチ・インディアン戦争でベンジャミンが犯した戦争の罪と過去がおさわり程度で全く生かされていないことも含めて、どうにも消化不良というか中途半端な印象を受けてしまった。

でも映画のラストで、家族で故郷に戻り、焼き討ちされた家を一から再建していこうとするところで終わるのは、真っ当なパトリオットの姿であり、、、ズルイよ(笑)、うまく帳尻合わせしやがって。

終わり良ければ全てよし、、とはならないぞこの映画に関しては。。。

夢のシネマパラダイス536番シアター:夫婦かくあるべし!?

ゲゲゲの女房

Img_404065_11040874_0 出演:吹石一恵、宮藤官九郎、村上淳、坂井真紀、宮崎将、柄本佑、徳井優、南果歩

監督:鈴木卓爾

(2010年・日本・119分)WOWOW

内容:昭和36年、島根県安来。酒屋の娘で29歳の布枝(吹石一恵)は、東京で貸本漫画を描いているという10コ上の茂(宮藤官九郎)とお見合い後5日で結婚!が、上京した布枝を待っていたのは、想像を絶する貧乏生活だった。おまけに茂の描く絵は暗くて人気もなく、頼みの原稿料さえ払ってもらえず・・・。

評価★★★★/80点

お見合いして5日後に結婚してひとつ屋根の下で暮らすことになるというのは妖怪に出くわすことより恐ろしい状況だと思うのだけども、恋愛感情もない赤の他人が次第に距離を縮めていき夫婦・家族になっていくのを見るのはそれだけで十分ドラマチックではある。

のだけども、その過程で描かれるエピソードに山場と呼べるものがひとつもないのがこの映画のスゴイところ。

基本的に妻・布枝の視点で描かれているこの映画。

朝起きて寝巻きからエプロンに着替えてヤカンを沸かし朝の支度をする。縁側の廊下を雑巾でせっせと拭いて柱時計のネジを巻く。自転車を押して古本屋に向かう。包丁で菜っ葉を刻んで鍋に入れたり、パンの耳をみじん切りにしたりして夕飯を作る。夜はロウソクの炎を頼りに旦那の描くマンガのベタ塗りを手伝う。

ドラマチックなことといえば税務署員を追っ払う場面くらいなもので、特に何が起こるわけでもない。道に生えてる野草を食材にしなければならないほど貧乏ひまなしの生活が淡々と描かれていくだけなのだ。

しかし、その飄々とした日常の積み重ねによって本物の夫婦の姿が徐々に形作られていくさまは説得力がある。そして、その説得力の源になっているのは“日常というのは完結しないもの”という視点にあるといっていい。

非日常空間を主戦場とする映画においてそれを描くというのは意外に少ないと思うのだけど、この映画はその視点に徹した稀な作品といえる。

具体的には山場となるべき各エピソードに対する映画的説明を大胆に省略する(お見合いから結婚に至る過程を一切省略し結婚写真一枚ですませるetc.)一方、日常の細部(料理や掃除といった所作・動作はいわずもがな保湿クリームを塗りたいと思うほど冷たく乾燥した師走の空気感や、ゴンゴンと鳴り響く工事の音、川のせせらぎといったサウンドプロダクションに至るまで)を丹念に描いていくことで終わらない日常を描き出していく。

そして、ドラマチックさを排除した中で布枝の感情がそれら日常の細部の上ににじみ出てくるのだ。

実に乙な演出だと思う。

一方、ハッハッハッと笑うだけの茂の感情面は、漫画の絵が動き出すアニメパートで補完する。これまた面白い演出だったし、アニメの出来がピカイチで、悲惨な戦争体験でもたらされた心の闇-決して癒されない悲しみ-をもすくい取っていたように思う。

また、終わらない日常の行き着く先にある現代の風景が意図的に映し出されているのも面白かったし、そのような日常の中にスーッと非日常=妖怪が顔を出すのもユーモラスでいい。

鈴木卓爾、がぜん注目すべき監督になったかも。。

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ツレがうつになりまして。

O0350049111343816605 出演:宮崎あおい、堺雅人、吹越満、津田寛治、梅沢富美男、大杉漣、余貴美子

監督:佐々部清

(2011年・東映・121分)WOWOW

内容:売れない漫画家ハルさんのツレ(夫)は仕事をバリバリこなすサラリーマン。ところがある朝、ツレが真顔で「死にたい」とつぶやいた。病院の診断結果は、仕事のストレスから来るうつ病。ツレの変化にまったく気づかなかったハルさんは、「会社を辞めないなら離婚する」とツレに迫り退職を決意させるが・・・。

評価★★★/65点

ウチの親父はうつ病だったことがある。

定年前2年間くらいだったけど、退職したとたん水を得た魚のように完全回復したww

ただ自分自身は、仕事に行きたくないとゴネて寝床から出てこない親父のことをよく理解できなくて、いい年こいて何をワガママ言ってるんだと心の中ではバカにしていた。

でも、うつ病が当人にとってどんなに大変なことなのか、あれから数年経ってちょっと分かりかけてきたけど、今回この映画を見て、やっぱり分かってるようでよく分からなかった

まぁ、軽いタッチなので見やすいんだけど、逆に深刻さが伝わってこないのははたして良かったのかどうなのかというのもあるし、いや、そもそもこんな可愛い嫁さんがいてうつ病になるかっていう(笑)。

このワガママ男がーーッ!と嫉妬してる独り身男の自分の方がうつ病になりそう・・。

でもホントこの宮崎あおいは反則もの。おかわり10杯くらいいけるわw

自分も、健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、富める時も貧しき時も、これを愛しこれを敬い、その命あるかぎり真心を尽くすことを誓えるツレに巡り会いたいものだ

よーし、がんばらないゾー(笑)!

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明日の記憶

20060513_181609 出演:渡辺謙、樋口可南子、坂口憲二、吹石一恵、水川あさみ、木梨憲武、香川照之、大滝秀治

監督:堤幸彦

(2005年・東映・122分)DVD

評価★★★★☆/85点

内容:広告代理店に勤める49歳の佐伯(渡辺謙)は、大プロジェクトを抱える敏腕部長で、一人娘の結婚も控え公私ともに充実した日々を送っていたが、最近、急に物忘れが激しい・・。その変化を感じ取っていた妻の枝実子(樋口可南子)は夫を医師(及川光博)に診せに行く。しかし、そこで下された診断は若年性アルツハイマーという病気だった・・・。

“この映画作品を観る人の記憶の中にしっかりと刻み込ませ留めさせようとする映画の作り手の熱意と気迫と意欲がストレートに真正面から伝わってきて、思わず圧倒されてしまう。”

先日、アキ・カウリスマキの「過去のない男」を観たのだが、これは見知らぬ土地でチンピラ集団に襲われてボコボコにされたあげく、それまで積み上げてきた過去の記憶を一瞬にして名前から何から全て失くしてしまった男を描いた映画だ。

この映画の中で男は、失った過去を取り戻そうとすることなく、新たな記憶を積み重ね今を生きていくことで、生まれ変わった“過去のある男”となっていく。

“過去の記憶”(過去を振り返ること)よりも“明日の記憶”(未来を見つめること)の中でささやかに生きていこうとする男というのは、今回の作品にも通じるところがある。

しかし、今まで積み重ねてきた記憶=人生が、パズルの一片一片が欠け落ちていくように徐々に、しかし確実に日常を送る中で奪われていく、という今回の作品で描かれている残酷さと比べれば両作はあまりにも対照的だ。

「過去のない男」が新たな再生を描いていたとすれば、「明日の記憶」は喪失の過程を描いているといえるのだから。

そして、この映画は妻との関係という夫婦の話、娘との関係という家族の話、仕事との関係という社会の話、すなわち全てひっくるめた日常を丁寧に描いていく中で、喪失の過程をゆっくりと追っていく。

それは、しかし恐いくらいにリアルだ。

記憶を失っていく主人公の不安や恐怖、確実に進行していく喪失という絶望を、堤幸彦監督独特の奇をてらった演出がこの映画においては正攻法になっているところが大きなミソで、逆に日常生活を丁寧に切り取っていく“らしくない”落ち着いた演出で積み重ねていくことによってメリハリの効いたリアルで凄みのある映像に仕上がっている。

堤幸彦の技のレパートリーの豊富さには舌を巻くばかりだ。

そして渡辺謙と樋口可南子の、映像に負けないくらいの迫りくる演技にはもはや脱帽するしかない。映画であることを忘れてしまうほどの圧倒的感覚を久々に味わった気がする。

喪失の果てにある残酷であまりにも絶望的な現実が待ち受けるラストも、夫と妻が初めて出会った思い出の地を出発点に、どんなに過酷であろうともまた2人で歩き出すんだというささやかな希望を予感させるところに持って行ったのはなんとも絶妙だった。

この映画は、自分の記憶の中にしっかりと刻み込まれた。

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ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ(2009年・東宝・114分)WOWOW

 監督:根岸吉太郎

 出演:松たか子、浅野忠信、室井滋、伊武雅刀、広末涼子、妻夫木聡、堤真一

 内容:戦後間もない東京。小説家の大谷(浅野忠信)は、放蕩三昧を繰り返しては妻・佐知(松たか子)を困らせてばかりの日々を送っていた。ある日、行きつけの飲み屋から大金を盗んでしまった大谷だったが、佐知がそこで働いて返すことでどうにか収まる。さっそく店を手伝い始めた佐知はその美貌から客達の評判になっていくが・・・。

評価★★★☆/70点

良くいえばマジメ、悪くいえばこれといった取り柄のない根岸吉太郎だが、今回はそのマジメさ~タンポポの花一輪の誠実さ~が純文学の文体を見事に捉えていて映像化することに成功している。

「雪に願うこと」(2005)、「サイドカーに犬」(2007)とここ最近たしかな仕事をしている監督の力量が示された作品といえる。

ただ、彼のバカ正直さは裏を返せば観客をわしづかみにするような嘘をつけないという欠点があり、感情を揺り動かされるところまではいかないというのが正直なところ。。例えば松と妻夫木が寝ちゃうなんてことを突っ込んで描いていればもっとスゴイ映画になっていたと思うんだけど・・。

しかし、役者陣は総じて良く、陰気なダメ男を演じた浅野、母性と生-昭和の女の性-を体現した松たか子も秀逸だったけど、広末涼子の面構えには思わずハッとさせられた。ひと皮むけたかもw!?

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折り梅(2001年・日本・111分)NHK-BS

 監督:松井久子

 出演:原田美枝子、吉行和子、トミーズ雅、田野あさ美

 内容:名古屋郊外の豊明市。パート勤めの主婦・巴はサラリーマンの夫、そして中学生と小学生の2人の子供と4人家族で暮らしている。ある日、夫から相談され、ひとり暮らしをしている義母・政子を呼び寄せて同居することになるが、巴はまぁどうにかなるだろうと嫁姑問題を気楽に考えていた。しかし、暮らしてみると政子に振り回される日々が続き、巴は噴火寸前。が、政子の異常行動の原因がアルツハイマー型痴呆症と判明して・・・。

評価★★★★/80点

“ウチは、、こうはいかなかった・・w”

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阿弥陀堂だより(2001年・東宝・128分)NHK-BS

 監督:小泉堯史

 出演:寺尾聰、樋口可南子、田村高廣、香川京子

 内容:三文文士の孝夫は、心の病にかかった妻・美智子の療養のため東京から彼の故郷である信州に移り住む。都会の暮らしに疲れ果てた2人は、村民との温かい交流を通して再生していく。。

評価★★★★/75点

ヤッベェ、まじヤッバイわこれ。

ある夏の日の夕方、セミの鳴き声を聴いて夕涼みしながらこの映画見たっけ、えもいわれぬ安らぎを満喫しちゃったで。

正真正銘のアミダババァも拝見できたし。

床屋で髪洗われているような気分。

フンがーー、、(*´~`*)。o○Z・・・。。

2012年10月14日 (日)

夢のシネマパラダイス522番シアター:有名原作に名画、、、ビミョー!?

ノルウェイの森

T02200311_0318045010929841742 出演:松山ケンイチ、菊池凛子、水原希子、高良健吾、霧島れいか、玉山鉄二

監督・脚本:トラン・アン・ユン

(2010年・東宝・133分)WOWOW

内容:ガス自殺したキズキ(高良健吾)は、恋人・直子(菊池凛子)と高校の親友ワタナベ(松山ケンイチ)をこの世に残した。東京で学生生活を始めたワタナベは同じ悲しみを共有する直子と惹かれ合っていきその身体を抱くが、直子は次第に心のバランスを崩していく。京都の療養所で過ごすことになった直子と会うことも叶わないワタナベは孤独に浸るが、彼の前に自由奔放で生命力に満ちた緑(水原希子)が現われ・・・。村上春樹の世界的ベストセラーの映画化。

評価★★☆/50点

自分は村上春樹の本を読んだことがない。

手に取って読む勇気がないといえばそれまでだけど、信頼に足るウチの親が揃いにそろって村上春樹はわけ分からないだとか気持ちが悪いとのたまっているのでw、村上春樹の本はそういう難しいものなのだろうと決め込んできた。

そして、今回の映画を見てそれは確信に変わった。

村上春樹は自分の手からますます遠ざかっていったといっていい。

この映画のせいだ(笑)。

原作発表から23年間映画化されてこなかったことを鑑みても、これを映画化する難しさというのは容易に予想できることで、今回の映画が原作のすべてを再現しているとは到底思えない。

のだけれども、ウチの親が言うところの“気持ち悪さ”は存分に味わえてしまった・・。

出てくる人間出てくる人間どれもが魂の抜け殻のようなただの容れ物というかんじで、まるで彼岸の世界の住人を見ているかのよう。

そしてサーモグラフィーで見たら紫だけで染まりそうなくらい熱のない彼らの口から出る言葉も、耳元で延々ヘリクツをささやかれているようでいい加減ウザくなってくる・・・。

そこには人を愛することでのたうち回り、苦しみズタボロになりながら挫折したすえに獲得するべき優しさや温もりというものが一切ない。

それが気持ち悪い最大の原因だし、いやそれ以前に彼らがのたうち回る様も“フリ”にしか見えないのだ。

不協和音鳴り響く中で縁取られた叙情的な映像美につられて見ていくも1時間が限界、以後は完全に罰ゲームと化す(笑)。。

あやかしの世界ではなくまやかしの世界だったというオチ。笑えない・・・。

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ヴェニスの商人

Veni 出演:アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ、ジョセフ・ファインズ、リン・コリンズ

監督:マイケル・ラドフォード

(2004年・米/伊・130分)仙台フォーラム

内容:1596年のヴェニス。キリスト教徒の貿易商アントーニオ(ジェレミー・アイアンズ)は、親友のバッサーニオ(ジョセフ・ファインズ)が美しい女相続人ポーシャ(リン・コリンズ)と結婚するための保証人となる。アントーニオはその資金を調達するため、かつて迫害したことのあるユダヤ人の高利貸しシャイロックの所に行くが、期限以内に返済できない場合は、代わりにアントーニオの胸の肉1ポンドをもらう、という条件を突きつけられるのだった・・・。シェイクスピアの同名戯曲の映画化。

評価★★★/65点

単なる勧善懲悪の典型として終わらせようとしない映画の控え目な暴走っぷりには個人的には好感。しかし、控え目と書いた通り、まだ遠慮と逡巡が見え隠れしている。せっかくの豪華キャスト、やるならもっと派手にやってもらいたかった気もする。

例えばこの映画はシャイロックの視点から撮られているように、黒か白かという二項対立ではなく、その間のグレーゾーンを抽出しようとしている、あるいは描き出そうとしているのだと感じたが、しかしそこの部分を突きつめていく力強さと執着があるようにも見受けられず、少し曖昧なかんじは残った。

ただ、ユダヤ人への共感と同情という点においては、時代を越えて生きてきたさすがのシェイクスピアも現代のグローバリゼーションの波に抗しきれなかったかという意味では納得できたし見ていて興味深かったかな。

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山椒大夫(1954年・大映・124分)NHK-BS

 監督:溝口健二

 出演:田中絹代、花柳喜章、香川京子、進藤英太郎、菅井一郎

 内容:伝承民話の「安寿と厨子王丸」を森鴎外が小説化した「山椒大夫」をもとにした人間ドラマ。平安時代の末、越後を旅していた母子連れが、人買いにだまされて引き離されてしまう。子供2人は丹後の山椒大夫の荘園に奴隷として売られ、苛酷な労働と私刑に日夜苦しめられる。10年が過ぎ、ついに意を決した姉の安寿は、自らの命を犠牲にして弟の厨子王丸を逃がすのだった。。

評価★★★/65点

1シーン1カットの長大な長回しを長回しと感じさせない滑らかさと、歴史絵巻の中に佇む人間の真実の重みがこの映画を支えている。

しかし、物語自体がお子ちゃま向けの昔話なみに普遍的すぎて容易く消化できてしまうところに、逆に何か物足りなさを感じてしまった欲張りなオイラ・・。

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細雪(1983年・東宝・140分)NHK-BS

 監督・脚本:市川崑

 出演:岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川祐子、石坂浩二

 内容:谷崎潤一郎原作の名作3度目の映画化。関西の旧家の四姉妹をめぐる物語。

評価★☆/35点

お見合い言い合い馴れ合い、お見合い言い合い馴れ合いお見合い言い合い馴れ合い、、、、勝手にやってくれまへんかー。

それにしてもまぁ、ろくな男が出てこねえなぁ・・

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オリバー・ツイスト(2005年・英/チェコ・129分)WOWOW

 監督:ロマン・ポランスキー

 出演:バーニー・クラーク、ベン・キングズレー、ハリー・イーデン、ジェイミー・フォアマン

 内容:19世紀イギリス。物心ついた頃から孤児院で育ってきた少年オリバー・ツイストは、そこの院長に売り飛ばされてしまうが、奉公先の葬儀屋を脱走。憧れのロンドンにヘロヘロでたどり着いたオリバーは、フェイギンが束ねる少年スリ団のリーダー、ドジャーと出会う。そこで盗みの手口を覚えていくオリバーだったが、ひょんなことから盗みに入ったブラウンロー氏という裕福な紳士に引き取られることになるが・・・。文豪チャールズ・ディケンズの名作の映画化。

評価★★★/60点

文豪ディケンズの名作「オリバー・ツイスト」の話の筋はよく分かった。しかし映画としてはそれ以上でも以下でもなく・・・。

この程度なら海外TVドラマ枠で十分なのでは。。

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黙秘(1995年・アメリカ・131分)NHK-BS

 監督:テーラー・ハックフォード

 出演:キャシー・ベイツ、ジェニファー・ジェイソン・リー、クリストファー・プラマー、デヴィッド・ストラザーン

 内容:アメリカ、メイン州の小さな島。大富豪の未亡人殺しの容疑で身柄を拘束された家政婦のドロレスは、無実を主張するも刑事の尋問には黙秘を続ける。NYでその事件を知ったドロレスの一人娘セリーナは、数年ぶりに帰郷するがドロレスは相変わらず口を固く閉ざすのだった。そんなドロレスには、20年前、夫殺しの容疑で不起訴になった過去があった・・・。スティーブン・キング原作のミステリー映画。

評価★★★☆/70点

“オンナの映画です・・・。オトコからするとちと恐い。”

中学生の時に劇場で観たときは、覗いてはいけないものを覗いてしまったかんじがして、なにか後味の悪さばかりが残ってしまった印象が強いのだけど、先日久方ぶりに観てみたら見入っちゃった。。

どこまでも曇天の寒々とした風景の下、外界から孤立した寂れた島で繰り広げられる母と娘の相克と葛藤、そして隠された秘密が、まるで月に隠されて影となってしまった太陽が光を射して顔を出すごとく明るみになっていく様は、ミステリーとしても人間ドラマとしても見応えのある作品になっていたと思う。

性的虐待や老人介護などの重いテーマもはらんでいて、なおかつ女性視点の作品ということで、キング・オブ・ホラーのスティーブン・キングにしてはよく描けてるなとは思った。

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ラルジャン(1983年・仏/スイス・85分)NHK-BS

 監督・脚本:ロベール・ブレッソン

 出演:クリスチャン・パティ、カロリーヌ・ラング、ヴァンサン・リステルッチ

 内容:高校生のノルベールは、父親から小遣いがもらえずに借金が返せなくなって、友達のマルシャルに相談した。マルシャルは偽の500フラン札でカメラを買い、応対した店主の妻からつり銭を受け取る。店主は偽札だと気付いたが、それを集金に来たガソリン配達員のイヴォンに渡した。イヴォンは何も知らずにその偽札を使い、警察に逮捕されてしまい・・・。ロシアの文豪トルストイの原作を、舞台をパリに置き換えて映画化。

評価★★★/65点

“絶望映画という強烈な遺作”

ひょんなことから運命に見放されたかのように人生の奈落の底に落ちていく男の姿をイヤらしいほど冷徹に見下ろし続けるロベール・ブレッソン。

その救いのないブレない視線が1番恐い。

だってどこか救いの手といった温かみを入れたいものじゃん。なのにこの監督ときたらどこまでも冷めてて、人間の絶望と悪行をジーッとただ突き放したように見つめているだけなのだもの。

なぜこのような感情が切り捨てられたような絶望映画を作ることができたのか、作ろうとしたのか、その背景を知りたいもんだ。ていうか、、この監督の遺作なのねこれって・・(笑)。

夢のシネマパラダイス81番シアター:十三人の刺客

十三人の刺客

E58d81e4b889e4babae381aee588bae5aea 出演:役所広司、山田孝之、伊勢谷友介、沢村一樹、古田新太、高岡蒼甫、六角精児、伊原剛志、松方弘樹、谷村美月、内野聖陽、光石研、岸部一徳、松本幸四郎、平幹二朗、稲垣吾郎、市村正親

監督:三池崇史

(2010年・東宝・141分)2010/10/05・盛岡フォーラム

内容:長き太平の世が続く江戸時代末期。明石藩主・松平斉韶は異様に血を好み、その暴君ぶりは目に余った。しかし、現将軍の弟ということもあり、近く老中への就任も決まっている中、危機感を募らせた幕閣老中・土井利位は、御目付・島田新左衛門に斉韶暗殺の密命を下す。新左衛門はさっそく仲間を募り準備を進めるが、斉韶の腹心・鬼頭半兵衛もその動きを抜け目なく察知していた・・・。

評価★★★★/75点

チャンバラ活劇としての有無をいわさぬ面白さと、女子供にも容赦ない有無をいわさぬえげつなさとの狭間で、それでも面白さが上回ったかんじ。

内野聖陽のハラキリから始まり、ガツガツと刀を振り落として首を切断する斉韶(稲垣吾郎)の姿、四肢を斬り落とされ舌を抜かれた百姓娘、矢で射抜かれる女子供、肩にブツリと刺さったまま抜けない刀、阿鼻叫喚の肉弾戦と痛々しいまでの身体性が強調され最後に残るはむなしさばかり。。

島田新左衛門(役所広司)ら刺客たちの死を天下万民のために殉じた立派な死とは見れなかったし、鬼頭半兵衛(市村正親)の死を忠義のために殉じた立派な死とも見れなかった。

冒頭で広島・長崎に原爆が落とされた百年前の物語という余計な字幕が出てきたけど、その意図するところはお国のための戦の跡に残るは使い捨てにされた死屍累々の命とむなしさだけということを言いたかったのだろうか。

刀は大根を切るくらいしか使わねーよ!と揶揄される太平の世の中、小細工はここまでだー!斬って斬って斬りまくれーっ!と武士の本分を全うできる土俵=死に場所を見つけた刺客たちの姿も見方を変えればキチガイそのもので、キチガイバカ殿軍団との血まみれ泥まみれの死闘はなるほど最初は痛快なカタルシスを覚えるものの、50分もの長さになってくるといい加減冷めてきて、勧善懲悪ヒロイズムのメッキがはがれ落ちキチガイの殺戮現場にしか見えなくなってくる。

剣がなければ棒、棒がなければ石、石がなければ拳で戦う何でもありの泥臭さは「戦の世とはこういうものだったのか」という斉韶の言葉にうなずけるほど説得力のある絵作りなのだけど、いや、終わってみればそんなこと考えるのもバカバカしいくらい娯楽アクションに寄っているし、「迷わず愚かな道を選べ!その方が楽しいw」という斉韶の言葉を有言実行したような三池節は健在で、えげつないカットをいちいち挟んできよる。

個人的には、四肢を切断されたダルマ女が全裸をさらす必要性はなかったと思うし、小弥太(伊勢谷友介)の絶倫シーンは興を削いでいて余計だったと思う。

「スキヤキ・ウエスタンジャンゴ」で木村佳乃を、今回は稲垣吾郎を泥まみれにして、、次回は誰やねん・・w

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十三人の刺客(1963年・日本・125分)WOWOW

 監督:工藤栄一

 出演:片岡千恵蔵、里見浩太郎、内田良平、丹波哲郎、嵐寛寿郎、西村晃、月形龍之介

 内容:弘化元年、暴虐極まりない明石藩主・松平斉韶に江戸幕府も頭を悩ませていたが、斉韶は将軍の弟だったために表立った処分は難しい。しかし、事情を知らない将軍が斉韶を老中に抜擢する話が持ち上がったため、筆頭老中・土井利位は旗本の島田新佐衛門に暗殺を命じる。そこで島田は13人の暗殺部隊を結成するのだが・・・。

評価★★★/65点

光と影の陰影が怖いくらいにクールな映像と、ハードボイルドタッチの中で暴れまわるバカ殿と、人を斬ったことのないお侍さんたち。それはまるで喜劇だと言わんばかりの落差だった。

どうやらオイラは、この映画を観るにあたっての立ち位置を最後までつかみ損ねてしまったようだ・・・。

実はコレって集団闘争劇ではなく、もしかして集団不条理劇だったのかもしれない、なんてことをふと思ってしまった。

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斬る(1968年・日本・114分)NHK-BS

 監督:岡本喜八

 出演:仲代達矢、高橋悦史、中村敦夫、中丸忠雄、神山繁、岸田森、東野英治郎

 内容:天保4年。上州のとある小藩では、七人の若侍たちが藩の圧政を糾そうと謀反を起こし城代家老を斬殺する。が、その機に乗じて藩の乗っ取りを企む次席家老は七人に対し討手を差し向ける。そんな中、武士を棄てた浪人男・弥源太と、百姓を棄て武士を目指す男・半次郎がふらりと現れる・・。

評価★★★★/80点

喜八版「用心棒」+「椿三十郎」てかんじなのだけど、そこにマカロニウエスタンのエッセンスをふりかけて、随所に遊び心をもたせた2時間大いに楽しめる一品に仕上がっている。

特に時代劇の型にハマろうとしないポップ感は見ていてかなり新鮮で、それはつまりスピード感あふれるめくるめくカメラのリズムとユーモアあふれるキャラクタのリズムが良い意味での通俗的な相乗効果を生み出していて、一風変わったそれでいて生き生きとした活劇になっているのだ。

なんといってもキャラが全員カッチョええのねw

黒澤映画では敵役にまわることが多い無口な仲代達矢が脱サラならぬ脱サムライしたヤクザを饒舌に演じていて面白いし、反対にサムライになりたい百姓を飛ぶわ跳ねるわの躍動感に満ち満ちた演技で見せた高橋悦史がこれまた印象的。

他にも討伐隊隊長のニヒルな岸田森や、悪家老の神山繁など個性的な面々がゴロゴロ出てきて、キャラクタ劇としても出色の出来ばえ。

こんな映画がオイラに知られずに埋もれていたなんて・・・。

それにしても、土の匂いのする女、、すごく興味あるんですけど・・w

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上意討ち-拝領妻始末-(1967年・東宝・128分)CS

 監督:小林正樹

 出演:三船敏郎、司葉子、仲代達矢、加藤剛、山形勲、市原悦子、江原達怡

 内容:会津藩士笹原伊三郎(三船敏郎)は、藩主の命により、その側室・お市の方(司葉子)を息子・与五郎(加藤剛)の妻として“拝領”することになった。次第に仲睦まじい家庭を築き始めた若夫婦だったが、世継ぎ問題のこじれから、今度はお市の方を返上せよとの上意が下る。これにブチキレた伊三郎父子はお家断絶を覚悟の上で抵抗を始める・・。ヴェネチア映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。

評価★★★☆/70点

岡本喜八の「斬る」(1968)を見た後にこれ見たのだけど、ガサツで自由奔放な喜八時代劇と比してみると、シンメトリーな構図を基調とした様式美に彩られた折り目正しい時代劇という印象が強く、同じ時代劇でも撮る監督によってこれだけ色合いが異なるのかとあらためて思った。

まぁ、個人的には喜八時代劇の方が好きなんだけども、三船vs仲代3度目の対決とあらば見ないわけにはいくまい。そして、この対決が面白くないわけがあるまい。

そう、面白いんです!十分に。

中でも全てを脇に追いやるほどの三船敏郎の存在感、カッコ良さは特筆もので、黒澤映画の“動”とは対極にある色にも素直に染まっていて、やっぱスゴイ役者だったんだなぁと妙に納得。

2012年10月 9日 (火)

レアル・マドリー狂想曲第82番:2012-13クラシコinカンプノウ

1349633258_extras_albumes_0 2012-13シーズンも開幕してひと月半。我が愛しのレアル・マドリーはリーグ6試合を消化して3勝1分2敗と完全にスタートダッシュに失敗。

一方、ライバルのバルサは開幕から全勝、レアルとの勝ち点差を序盤も序盤で8も広げてしまった・・。

そんな中で負ければ勝ち点11差、しかも舞台はカンプノウと絶体絶命の状況で迎えた伝統の一戦、クラシコ。

まずはスタメン布陣から、、、

                カシージャス

            ぺぺ         Sラモス

  アルベロア                         マルセロ

            ケディラ       アロンソ

   ディマリア         エジル         ロナウド

                 ベンゼマ

 VS     VS     VS     VS     VS     VS

                  メッシ

     イニエスタ                   ペドロ

          セスク          シャビ

                  ブスケツ

   ジョルディ・アルバ                   Dアウベス

          アドリアーノ      マスチェラーノ

               ビクトル・バルデス

408908784_extras_albumes_0_1024 ←かつて目突き攻撃をくらわせたwビラノバと握手するモウリーニョ

プジョルとピケを欠いたバルサはアドリアーノを最終ラインに置く驚きの布陣。普通ならブスケツを最終ラインに置いてソングを中盤に持ってきてもいいはずだけど、まさかアドリアーノとは、、マルセロをCBで使うようなもんだろ・・(笑)。

しかし、レアル世界最強のアタッカー陣をもってしても、バルサの脆弱な守備ラインを打ち崩すには至らないのだから、バルサのサッカーには正真正銘恐れ入るばかりだ・・。

1349638098_extras_albumes_0 しかし、モウリーニョ就任3年目で13回クラシコを戦い、バルサに負け続けて負け続けて何度も苦杯を舐め続けてきたレアルもさすがにバルサに慣れてきたのか、14回目の対戦となった今回はバルサの超絶組織攻撃にかなりの面で対応できてきていると感じた。

これだけ多くバルサと対戦し、バルサイズムを肌で感じているチームは他にはないと思うんだけどw、その中でバルサに対処するため、いろいろ試行錯誤を重ねシステムをいじってきたモウリーニョも、ここ最近のクラシコではオーソドックスな4-2-3-1で臨み、感触的にもバルサと互角に渡り合っている。

モウリーニョイズムは3年経って確実にレアルに浸透している現れでもあり、チームの成熟が例えばぺぺの妙な落ち着き(笑)など精神面でもプラスに作用しているように思う。

1349634924_extras_albumes_0_2 しかし、互角に渡り合えてきたといっても、バルサにポゼッション7割近くを持っていかれる構図は全く変わっていないし、レアルのカウンター一辺倒頼みの単調な攻撃も相変わらず。

パワー&個のレアルとテクニック&組織のバルサというカチッと噛み合う相克の構図はあるにせよ、レアルらいしサッカーはバルサの前ではまだまだ形にはなり得ていない。

しかし、バルサとの力関係がモウリーニョ1年目では1:9だったのが2年目で3:7になり、3年目の今シーズン、4:6くらいには持ち直してきたのではないかなと思っておりますww

1349634300_extras_albumes_0 とはいえ、リーガでは勝ち点8差をつけられているほぼ絶望的な状況は変わらず、ここからは連勝街道を突っ走っていってもらいたいところです。

チーム状況としては、問題発言などでチームをゴタゴタさせたロナウドの本領発揮や、エッシェン、モドリッチ加入によるチームの活性化、さらにはカカの復活など昇り竜状態

で、今回のカンプノウでのドローもほぼ納得の出来だったと思うし、この勢いでいきたいところだけど、、代表ウィークで1週空いちゃうのかぁ・・。

しかしまぁとにかく、クラシコは現在のサッカー界で最もアツく最高な試合だということを実感いたしました!

1483655118_extras_albumes_0_1024 ←「カタルーニャはスペインではない!」という横断幕とカタルーニャの旗

レアル・スペイン中央政府vsバルサ・カタルーニャという構図もクラシコでは話題になるけど、先月にはバルセロナでカタルーニャ独立デモが行われ150万人もの人々が参加し、カタルーニャの独立機運は高まっているという。

そんな中で行われたカンプノウクラシコはまさにカタルーニャ独立の総決起集会と化したわけだけど、フランコ将軍の独裁体制終焉からゆうに四半世紀以上も経っている中、スペインは悲しく複雑な歴史をいまだに引きずっているんだなと実感。。

あまりサッカーに政治思想が介入すべきではないとは思うけど、地方色が濃いスペインにおいては歴史と伝統、中央に対する反抗心というのは切っても切り離せないものなのだと思うし、それがまたリーガを独特な面白さにしている面もあると思う。それがなくなって同じ色に均一化しちゃうのも問題だし。

まぁスタジアムは異様な雰囲気になってもピッチ内では平和であってほしいけど、今回のクラシコはまさにそういうかんじだったんじゃないかな。誰もレッドで退場にならなかったしw

次回ベルナベウクラシコはどうなるかなぁ。勝ち点は詰まってるかなぁ、、ちと怖いな・・ww

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