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2012年9月19日 (水)

夢のシネマパラダイス517番シアター:実録・連合赤軍 あさま山荘への道程

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)(2007年・日本・190分)WOWOW

 監督・脚本:若松孝二

 出演:坂井真紀、ARATA、並木愛枝、地曳豪、伴杏里、大西信満、中泉英雄、佐野史郎、奥貫薫

 内容:学生運動が大きな盛り上がりを見せていた60年代。革命を旗印に、運動は次第に過激化、69年の東大安田講堂の攻防を経て運動は地下化していく。そんな中、71年、赤軍派と神奈川左派が共同戦線を張り、連合赤軍が結成される・・・。

評価★★★★/80点

60年安保デモから71年連合赤軍結成に至る道程を当時の映像をまじえて説明した序盤は、学生運動の歴史を学べながら見られて面白かったし、同じ日本で起こったとは思えない若者たちの熱気に驚きとある種の羨望をもって見つめていた(ちなみにオイラは78年生まれ)。

70年に大学に入学したというウチの親父はデモのシーンを見て、あいつら(警官隊)は執拗にどこまでも追っかけてくるんだと当時を懐かしむように笑って言っていた。

が、その楽しいお勉強も、山の中での集団リンチを延々見せられて雲散霧消、まるでホラーでも見ているかのように息がつまりながら固まって凝視する以外になくなっていた。

それはまさに鬼畜への道程と呼ぶ凄絶さで、人間てのはここまで残酷な生き物になれるのか、、と呆然としてしまった。

以前、田原総一郎の朝まで生テレビにメンバーだった植垣康博氏(懲役20年の刑期を終えて出所)が出てて、化粧してるのはブルジョワ的だからリンチしたという遠山美枝子殺害の様子を克明に話していたのが耳にこびりついて離れなかった。

しかして今回は、その様子が痛いくらい克明に描かれていて、遠山美枝子(坂井真紀)の変わり果てた顔が目に焼きついて離れない。

水筒を持ってこなかったことから始まり、化粧をしていること、銭湯に寄ってきたこと、あげくの果てには追いつめられた山荘に至ってもまだビスケットをつまみ食いしたことで自己批判を要求されるバカらしさ。

自己の共産化ってのは結局最後までわけ分からずだったけど、最凶に女々しい奴らの集まりってことだけはよく分かったw

しかし、これほど密室劇に息つまる苦痛を感じたことはない。

狭い山小屋の中でのあまりにも残酷であまりにも不条理な密室劇は暴力のエスカレートから目をそらすことを決して許さず、観る我々をがんじがらめに縛りつけて逃がしてくれない。

そして5人が立てこもった山荘のシーンだ。

ここでは山荘を取り囲む機動隊など外の様子を一切映さない。さらに外に向かってライフルを撃つところでも撃つ対象を映さない。

それは、結局彼らの立ち向かうべき相手とは何であったのか、銃によるせん滅戦の対象とは何だったのか、彼ら自身にも分かっていなかったことの現われなのかもしれない。

その点でいえば山岳ベースで、小屋の外で小嶋和子と加藤能敬がキスしているのを永田洋子が窓際からジッと見ているシーンは強烈に印象に残る。

この永田のネチッこさと森恒夫の屁理屈の暴走はいったいどこから生まれたのか、何がそうさせたのか、2人の内面にある暗い闇をもっと見たかった、、というかそうでもしないと目の前で繰り広げられる惨劇は全く理解できず・・・。

演じている役者さんも精神的にさぞかし大変だったろうと推察されるけど、どんな気持ちで演じてたのか気になる。

あと、この頃の大学進学率って1割いってたかどうかだと思うんだけど、残りの9割の若者はどう感じてたのかなぁ。

頭の良すぎるインテリってのも集団になるとロクでもないってことなのかもね。戦争だってああいうヤツらが始めるんだろww部屋にこもってさ。

部屋にこもるとダメなのかも。。密室じゃなくて青空広場でやればいいんだ(笑)。

とにもかくにも、暴力の恐さ、集団の恐さ、そしてなにより人間の恐さというものをまざまざと見せつけられた、、そんな映画だった。

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8f4304ec5dc4a765a093b3c4c5f2fd7c 出演:妻夫木聡、松山ケンイチ、忽那汐里、石橋杏奈、韓英恵、中村蒼、長塚圭史、三浦友和

監督:山下敦弘

(2011年・日本・141分)WOWOW

内容:東大安田講堂事件が起きた1969年。東都新聞社の週刊誌記者・沢田は、先輩記者とともに活動家たちに接触、彼らの日々に密着していく。そんな中、沢田は武装蜂起を唱える過激派の梅山と知り合う。取材を進めるうちに梅山に不思議と親近感を抱くようになっていくのだが・・・。

評価★★★/60点

学生運動華やかなりし頃から10年後(1978年)に生を受けた自分にとってはさっぱりだったというのが正直なところで、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を見てもそうだったけど、相変わらず彼ら自称革命家が何言ってんだかさっぱり分からなかった・・・w

そして宮沢賢治とギターと真夜中のカーボーイが好きという甘い気分だけでそいつを信じて心を許してしまうのもさっぱり分からなかった・・・。

しかもその梅山(松山ケンイチ)という男がはなっから胡散臭いんだ(笑)。

もう小物っぷりがハンパなくて、なんかオウムにいそうって思ったけど、梅山はもちろん沢田(妻夫木聡)にもなかなか感情移入できず140分間アウェイ状態に放り込まれてしまったかんじ。。

社会に向かって声を張り上げたり自己主張したり社会との接点が今より断然濃厚だった時代だったとは思うんだけど、この映画を見るかぎりそこに憧れとかカッコ良さみたいなものは微塵も感じられなかった。

それは学生運動が下火になり当初の理想が迷走していたという時代背景もあるだろうけど、それを通して何を描きたいのかがいまいちピンとこなかった。

結局、梅山とも沢田とも共犯関係を築くことができないままラストの沢田の涙を見せられて、逆に見てるこっちの方がとまどってしまったかんじで、ちょっと映画として浮いてるなぁという印象。

それは作り手の、この若者たちに対するスタンスの曖昧さの表れだとも思うのだけど、ただ、自分よりたった2コ上の人がこの映画を撮ったというのも驚きで、70年代テイストの再現という点では細部までよく頑張っていたんじゃないかとは思うし、エンディングの幕引きの上手さだけをとれば今回もそれはいかんなく発揮されていたと思う。ついでにいえば忽那汐里もよく撮れていた♪

まぁ全体的にみれば背伸びしすぎ感は否めなかったけど、監督山下敦弘に対する信頼と興味は逆に強まったのもたしかだ。

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