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2012年8月 1日 (水)

夢のシネマパラダイス421番シアター:「戦争と人間」「人間の條件」

戦争と人間 第1部・運命の序曲

N_619dvn126ps 出演:滝沢修、芦田伸介、高橋悦史、浅丘ルリ子、中村勘九郎、三國連太郎、石原裕次郎、加藤剛、岸田今日子、山本学、地井武男、栗原小巻、丹波哲郎

監督:山本薩夫

(1970年・日活・194分)WOWOW

評価★★★★/80点

内容:新興財閥伍代家の当主・由介(滝沢修)は、大陸進出による膨大な利権獲得を目論み、実弟・喬介(芦田伸介)を満州に送り込むとともに、長男・英介(高橋悦史)を渡米させる。そして、喬介は関東軍の強硬派と通じ張作霖爆殺事件に関与するのだった。しかし、そんな伍代家のやり方に次男の俊介(中村勘九郎)は、周囲の知識人たちの影響で批判的になっていく。一方、長女・由紀子(浅丘ルリ子)は、青年将校柘植(高橋英樹)と恋に落ちるのだった。そして、昭和6年9月の満州事変の始まりとともに、伍代財閥は一気に飛躍の時を迎えるのだが・・・。五味川純平の大河小説を、オールスターキャストで映画化した壮大なドラマ。

“岸田今日子の裸体・・・。”

しかも妙にグラマラス。。。

栗原小巻まで服ひっぺがされちゃって、あげくの果てに芦田伸介のお決まり文句が「どうだ、ひと汗かかないか」ときたもんだ、、ってワレはいったい何を見とるんじゃ。ヾ(*´д`*)ノ″彡☆パシッ

しかし、雑念を取り払って見れば、この壮大なドラマは、「戦争と平和」(1956)や「ドクトル・ジバゴ」(1965)を思わせる、いやそれ以上にスケールの大きい大河ドラマに超のつくオールスターキャストと見応えは十二分の映画だったと思う。

石原完爾や板垣征四郎といった関東軍や陸軍の参謀を実名で登場させ、昭和3年の張作霖爆殺事件から満州事変、2・26事件、日中戦争、ノモンハン事件と日本が軍国主義・大陸進出に突き進んでいく暗黒の歴史を、動乱の闇の中の最前線に立ち、そこで流される血を糧にのし上がっていこうとする伍代財閥一家を狂言回しに時系列を追って描いていく。

朝日新聞がはるか遠くに霞むほど丸出しの左翼思想を抜きにしても、物語として、そして歴史の裏舞台を知る上でも非常に骨太かつ壮大な作品に仕上がっている。

たしかにどっからどう見てもバリバリの左翼イズムの反戦映画には違いないだろう。しかし、この映画の凄さは、戦争の被害者としての反戦をただ単純に語るのではなく、戦争の加害者側にどっぷりと浸かった視点で反戦を描くという複雑さ、そしてそれを最後まで見せ切ってしまう語り口のうまさにあるといっていいだろう。

そしてなんといっても、この一筋縄ではいかない大河群像ドラマの間口を広げているのが、当時の名だたる役者を総動員したキャスト!

複雑に入り組んでいる登場人物の多さも、名の知れた名優や大女優がわんさか出てきて演じ分けているので、さほどの苦労もなくのみ込めてしまうのだ。これほどの贅沢な日本映画が他にあるだろうかと思うくらいにスゴイ。今、こういう映画を作るというのは難しいだろうなぁ。

ある特定の思想のもとで作られた作品であるとはいえ、当時の日本社会において、戦争の記憶がたしかな感触のあるものとしてまだしっかりと受け継がれていた時代だったからこそ作ることができた、描くことができた映画なのだと思うし。

戦争の記憶がすっかり風化しつつあり、復古主義が臆面もなく叫ばれる21世紀の現在では到底作りえないシロモノだろう。いや、今はキワモノと呼ばれちゃうのかな・・・。

実は、うちの父方の祖父ちゃんは一兵卒としてノモンハン事件を経験しているので、けっこう興味を持ってこの映画を見たんだよね。

じいちゃんは旭川の連隊に入隊し、そこから満州へ派遣されるもノモンハン事件で脇腹などを撃たれるわ、指を吹き飛ばされるわで瀕死の重傷を負い、負傷兵として故郷岩手の盛岡に帰還。

しかし、9人兄弟の末っ子だったため、食い扶持の頭数としての居場所がなく、結局志願して兵隊になることしか生きる道はなかったのだという。が、ノモンハンで負った傷のため動けるような身体ではなかったため、通信兵として配属。故郷でウチのばあちゃんと結婚した後に再び満州へ渡り、ロシア語を学び主に対ソ連の諜報などに携わったという。

が、昭和20年の敗戦とともに、じいちゃんは雪崩のように押し寄せてきたソ連軍によってシベリアに抑留され、一方ばあちゃんは生後3ヶ月の赤ん坊(ウチの親父の姉で今も健在)を抱えて中国東北部や朝鮮半島を1年半転々としてなんとか日本へ帰国を果たすことができたという。

もしもその赤ん坊を現地の人に引き取ってもらっていたら、いわゆる中国残留孤児になっていた可能性は大きかったと、ばあちゃんは涙ながらに話していたことがある。しかし、混乱の中を1年半も乳飲み子を抱えてどうやって生きながらえていたのか、、想像を絶するものがあっただろう。

そのばあちゃんも今ではすっかり寝たきりになってしまった。

5年の抑留生活を経て日本に戻ることができたじいちゃんも75歳で交通事故であっけなく逝ってしまった。

過酷な状況の中で懸命に生き抜いた2人がいなければ今ここにいる自分もないわけで・・。

自分の次の世代にこの物語を語り継いでいこう。この映画を観てふとそんなことを思ってしまいました。

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戦争と人間 第2部・愛と悲しみの山河(1971年・日活・179分)WOWOW

 監督:山本薩夫

 出演:滝沢修、芦田伸介、北大路欣也、吉永小百合、高橋悦史、浅丘ルリ子、高橋英樹、山本圭、三國連太郎、高橋幸治、加藤剛、山本学、地井武男、岸田今日子、佐久間良子、西村晃

 内容:昭和6年の満州事変から2・26事件、西安事件、昭和12年の日中戦争勃発を背景に、満州へ進出した伍代財閥は謀略的なやり方で着々と足固めを行っていた。一方、伍代家の次男・俊介(北大路欣也)は人妻の温子(佐久間良子)と激しい恋に落ちるとともに、激しい弾圧の目が光る中、民主主義運動にのめり込んでいく。また、末娘の順子(吉永小百合)も反戦活動家で俊介の親友でもある標耕平(山本圭)と愛を育んでいたが、特高警察によって無残に引き裂かれてしまうのだった・・・。

評価★★★★/80点

“人妻・佐久間良子の妖艶!”

この佐久間良子だったら不倫してもいい。。

、、、ってワレはいったい何を見とるんじゃ。((( ̄□ ̄;ノ)ノサササ

しかし、西村晃のエロジジイっぷりは堂に入ってたな(笑)。

それはともかく、雑念を取り払ってみれば、日中全面戦争のるつぼへ突き進んでいく日本と、その中で暗躍し私腹をブクブクと肥やしていく“死の商人”伍代財閥、その闇の中で突き進む愛とロマンス。

そのどす黒い暗黒と燃え上がる光明の鬼気迫る対峙がすこぶる見応えのある1作に仕上がっている。

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戦争と人間 第3部・完結篇(1973年・日活・184分)WOWOW

 監督:山本薩夫

 出演:滝沢修、高橋悦史、浅丘ルリ子、北大路欣也、吉永小百合、芦田伸介、夏純子、山本圭、高橋英樹、加藤嘉

 内容:昭和12年、日中戦争の火蓋が切って落とされる中、伍代家の長女・由紀子(浅丘ルリ子)は柘植中尉(高橋英樹)への想いを胸に秘めながら、当主・由介(滝沢修)によって決められた相手と政略結婚に身を沈めた。一方、末ッ子の順子(吉永小百合)は勘当されながらも標耕平(山本圭)との愛を貫いていたが、耕平は中国戦線に送られてしまう。そこで耕平は日本軍の蛮行を目の当たりにしながらも敵を殺すことを拒み続けるのだった。またその頃、次男・俊介(北大路欣也)も伍代財閥の命で満州へ派遣されたが、昭和14年、ノモンハンでソ連の圧倒的な兵力の前に蹂躙されるのだった・・・。

評価★★★★/80点

“俺は敵と戦ったんじゃない。戦争と闘ったんだ!”

しかしこれほど日本軍の目にあまる蛮行を描き出した日本映画を見たことがなかったのでやや面食らってしまったが、なんたってオープニングがいきなり南京大虐殺だからな。。

でもそのオープニングで、捕虜を撃ち殺したりして次から次へと揚子江に死体を投げ捨てる遠景シーンが映し出されるのだけど、そのシーンを見て田原総一郎でおなじみの朝生で、元帝国軍人が戦争体験を語るというのを見たことを思い出した。

そのときに、当時19歳で南京攻略戦に参加した兵士が、朝一番にする任務は揚子江に山のように積み上げられた死体を投げ捨てることで、夕方になると浮かんだ死体で一面ビッシリになったと発言していたことがオープニングシーンと重なって、最初から非常に印象深く見入ってしまった。

また、ノモンハンの大草原を疾駆するソ連の大戦車軍団との攻防戦など、日本映画でこれほどスペクタクルな戦争映画もまた見たことがなく、戦場の実態を描くという点ではどうしても避けられない加害者としての自覚と、本格的な戦闘シーンをド迫力映像でつぶさに捉えていくこの大作映画は、やはり日本の戦争映画として見るべきものがあると思う。

そして、その中で「俺は敵と戦ったんじゃない。戦争と闘ったんだ!」と一人日本の侵略戦争に抗おうと孤軍奮闘し、あげくの果てに中国側に投降してしまう耕平(山本圭)や、毅然と天皇批判までしてしまう俊介(北大路欣也)の姿は非常にインパクトがある。

あまりにも左翼じみている作品であることはたしかだし、完結篇というわりに伍代家の顛末や登場人物の行く末など全てにおいて尻切れトンボになってしまっていることも否めず残念なのだが、それでも映画としては見応え十分、超のつく一級品といっていい映画だと思う。

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人間の條件 第1部純愛篇・第2部激怒篇(1959年・松竹・206分)NHK-BS

 監督:小林正樹

 出演:仲代達矢、新珠三千代、淡島千景、佐田啓二、石浜朗、山村聡、宮口精二、小沢栄太郎

 内容:昭和18年満州。鉱山会社に勤める梶(仲代達矢)は戦争を嫌い、招集を免除してもらう代わりに鉱山で労務管理を行うことになった。しかし現場では現地人が過酷な強制労働をさせられており、梶は労働環境の改善を図ろうと四苦八苦するのだが・・・。五味川純平のベストセラー小説を小林正樹監督が3年の製作期間を費やして映画化、全6部作合計9時間38分に及ぶ超大作。

評価★★★★/80点

あの戦争を描いた映画は数多く見てきたつもりではあるけど、日本人を加害者として真正面きって描いた映画というのは初めて見た気がする。

「シンドラーのリスト」で貨車に詰め込まれたユダヤ人が強制収容所に送られていくシーンが忘れられないけど、今回の映画では餓死寸前の中国人がギュウギュウ詰めの貨車で収容所に運ばれてくるシーンがあり唖然としてしまった。

非人間的な扱い、強制労働、虐待、処刑、慰安婦、、歴然とした加害が当たり前に描かれていることに驚いてしまうが、戦後15年くらいしか経っていない中での戦争の記憶、加害者としての記憶は戦後60年以上経った現在よりも色濃く残っていたのだろうか。

なによりも梶(仲代達矢)が軍人ではなくサラリーマンとして描かれているのがキモで、いち民間人が有無をいわさず侵略戦争の歯車のひとつになっていくさま、またいくら反戦思想を唱える良心ある者でも加害という責任から逃れることはできないのだという視点が否応なく突きつけられ、戦争の本質を全く理解できていない自分でも思わず考えさせられてしまった。

また、梶と美千子(新珠三千代)ののどかな新婚生活が描かれているのも印象的で、美千子の脳天気っぷりは見ていて普通に恐いのだけど、侵略と加害のすぐ裏側にごくごくフツーの日常の営みがあるということ。それが戦争の、そして人間の恐ろしさなのかもしれない。

中国人捕虜を日本人俳優が演じるのもビックリしたけど、日本人の鬼!と叫ぶ役者の心情はいかばかりだったのか気になるところではある。

今の日本ではおそらく作りえない作品なんだろうな。。

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人間の條件 第3部望郷篇・第4部戦雲篇

Imgc2ba09d5zik6zj 出演:仲代達矢、新珠三千代、佐田啓二、田中邦衛、渡辺文雄、佐藤慶、安井昌二、桂小金治、藤田進、川津祐介

監督:小林正樹

(1959年・松竹・178分)NHK-BS

内容:関東軍に召集された梶は、厳しい訓練と古参兵たちのリンチを受け苦渋極まる軍隊生活を強いられていた。が、徐々に同年兵たちの信頼を得るようになる中で、妻・美千子と再会できる日を待ちながら、自己の信念と主張を貫こうとしていくのだが・・・。

評価★★★★/80点

第5部6部にもつながることだけど、軍隊の欺瞞性、非人間性、非正義というものを見つめ、人間の理性を打ち砕いていく戦争の不条理を激烈に描き出した日本映画というのを初めて見た気がする。

小原(田中邦衛)の自殺の経緯などキューブリックの「フルメタル・ジャケット」を思い出してしまったけど、ヒューマニストのレールの上にまだかろうじて乗っかっている梶の必死のもがきが対極にあるからこそかえって軍隊、戦争の不条理が強烈にあぶり出されているのだろう。

すさまじい映画だ。。

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人間の條件 第5部死の脱出・第6部曠野の彷徨(1961年・松竹・190分)NHK-BS

 監督:小林正樹

 出演:仲代達矢、新珠三千代、高峰秀子、中村玉緒、笠智衆、内藤武敏、岸田今日子、金子信雄、川津祐介

 内容:梶の所属する部隊はソ連軍の攻撃を受け、梶を含む3人を残して全滅、3人は荒野を歩き出す。途中で慰安婦や落伍兵など避難民たちと遭遇し、梶の指揮のもと移動をつづけるが、餓死者が出るほど苛烈を極める。やがてなんとかたどり着いた集落でソ連兵と出くわした梶はソ連の捕虜となってしまい・・・。

評価★★★★/80点

なんといってもまずはラスとに言及せねばなるまい。

主人公が野たれ死にしてしまう強烈なラスト、そこにかぶさる美千子のけたたましい笑い声が不気味な余韻を残す・・・。

人間としての良心と正義を守りつづけようとするヒロイックの塊みたいな主人公の末路としてはあまりにも無残なものがある。

しかし、梶の強じんな人間性をもってしても軍隊という暴力装置と戦場という地獄を前に殺人機械にならざるをえない恐ろしさというものは、このラストあってこそ伝わってくるものなのかもしれない。

戦争がもたらす必然をここまでまざまざと見せつけられた映画は他にはない。

戦争に行った兵隊さんたちの話で、愛する人を守るために戦ったというような情緒に訴える言葉をよく耳にするけど、戦争という極限の中で唯一残された人間性のかけらが、愛する人のために戦い、愛する人のもとへ帰りたいという思いただそれだけだということもこの映画を見てよく分かった。

ところでウチの祖父母は満州に入植し、祖父ちゃんは関東軍の軍属として戦争に参加し、シベリア抑留を体験。祖母ちゃんは乳飲み子を抱えて1年以上大陸で生き延びたすえ日本に帰還した経験をもつ。

この映画で描かれる凄絶な逃避行や収容所暮らしを見て、祖父母のことを想った・・・。

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