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2012年7月23日 (月)

夢のシネマパラダイス418番シアター:コクリコ坂から

コクリコ坂から

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声の出演:長澤まさみ、岡田准一、竹下景子、石田ゆり子、風吹ジュン、内藤剛志、風間俊介、大森南朋、香川照之

監督:宮崎吾朗

(2011年・東宝・95分)盛岡フォーム

内容:東京オリンピックを翌年に控えた1963年の横浜。高校2年生の松崎海は、港の見える丘に建つ下宿屋を切り盛りする頑張り屋さん。そんな海が通う高校では、老朽化した文化部部室棟“カルチェラタン”の取り壊し計画を巡って学生たちによる反対運動が起こっていた。ひょんなことから彼らの騒動に巻き込まれた海は、反対メンバーの一人で新聞部部長の風間俊と出会い次第に惹かれ合っていくのだが・・・。

評価★★★★★/90点

大駄作ゲド戦記の宮崎吾朗が再び監督するっつーんで、当初は見る気は毛頭なかったのだけど、見た友人からススメられたのと、手蔦あおいの主題歌が妙に心に響いてきて気になり出したので見に行くことに。

で、、見て大正解!

主人公・海ちゃんが早起きしてテキパキと朝ご飯の支度をする様子をジャズテイストの軽快な歌にのせて描いたオープニングから一気に引き込まれてしまった。

海ちゃんが階段をトントントントンと降りてくるリズム、あるいはキャベツの千切りをトントントントンと刻むリズムに象徴されるリズミカルなテンポと海ちゃんのキャラクターでこの映画は決まったといっていい。

幼い頃に父を亡くした悲しみを根底に抱えながらも、明るくハツラツとし、他を寄せつけないような気丈さと何事にも動じないような芯の強さをあわせ持った海ちゃんのキャラクターは、妙に心に迫ってくるものがあった。

それはおそらく昭和38年の横浜というジブリにしてはかなり珍しい明確な舞台設定にもあると思うのだけど、例えばジブリのヒロインは必ず親不在の環境に置かれるのが常で、キキは知らない街に放っぽり出され、千尋は知らない世界に放っぽり出される。

しかし、多分にファンタジー要素が濃い世界観の中では、極端にいえば物食わずとも生きていける(笑)。昭和20年の神戸を舞台にした「火垂るの墓」で14歳と4歳が餓死してしまうようなことはファンタジー世界では起こりえないのだ。

つまり、特定の時代、街を舞台にするというのは重い現実感を伴なうわけで、その視点でみるならば、父親を亡くし、母親は海外に行っていて不在の中、祖母・弟妹の面倒を見ながら下宿屋を切り盛りする高校2年生というのは現実的にみてもかなりシビアなものがある。

それゆえ、その中でテキパキと日々をこなしていく海ちゃんの人一倍しっかり者で健気な姿というのが際立つのだろう。

またその中で海ちゃんが坂道を大股で前のめりにスタスタと歩いて登校する姿が非常に印象的だったけど、キャラクターを言葉といった平面的なものではなく動きでしっかり表現できているのもジブリらしくてイイ。

しかしこれ、宮崎吾朗が海ちゃんのキャラクター作りに行き詰まっていた時に、このシーンの一枚絵を宮崎駿が送ったことで演出の方向性が一気に固まったというくらいシンボリックなものだったらしく、やっぱさすがは宮崎駿だなと感心してしまった。

今までのアニメ人生で培ってきた知恵やアイデアを後輩にどんどん授けていってもらいたいものだ。

その効果もあってか、宮崎吾朗の演出もゲド戦記から格段の進歩を遂げていたと思う。

しかし、それ以前の問題として、宮崎駿とは土台からして志向するベクトルが違うのだということが今回の作品で分かった気がする。

宮崎駿のダイナミズムには乏しく、言葉足らずで説明不足。宮崎吾郎を一言で表わすとすればそうなるけど、宮崎駿のダイナミズムとは“躍動する生命感”と言いかえることができ、ファンタジーというフィールドと結びついた時にそれは絶大な効力を発揮してきた。

そして、この生命感が全くもって希薄なゲド戦記に魅力のかけらも感じられなかった宮崎吾朗の強みとは何かといえば、今回の作品を見るかぎりにおいては、日常をしっかり見つめたさりげなく、何気ない演出の積み重ねの上手さにあるのではないかと思う。

要はファンタジー向きではないのだ。

細かい生活の営みを日常風景の中に溶け込ませた丁寧なまでの描写力、また急によそよそしくなった俊くんに対する海ちゃんのとまどい、俊くんが初めて海ちゃんのことをメルと呼んだ時の湧き上がる喜び、そういった心情描写の繊細さは、こじんまりとした現代劇でこそ生きるのだろう。

まぁ、これを実写でやったら文字通り“三流メロドラマ”になっちゃうからアニメでしかできない文法ではあるけど。。そういう意味ではある種のファンタジーといえるのかも。

とにもかくにも宮崎吾朗の次回作ががぜん楽しみになってきた。

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おもひでぽろぽろ

5691  声の出演:今井美樹、柳葉敏郎、本名陽子

監督・脚本:高畑勲

(1991年・東宝・118分)

評価★★★/65点

内容:1982年の夏。27歳のOL、タエ子は休暇を取って義兄の実家の山形を訪ねた。夜行列車で移動する途中、彼女は小学5年生の頃のことを思い出す。山形で農作業を手伝う間も回想は続き、彼女はいとこのトシオへ自らの感慨を語った。そんなタエ子に対し、おばあちゃんは突然トシオの嫁になってくれとぬかす・・・。少女時代の体験を綴った同名漫画を、成人女性が過去を振り返る形で再構成し、現代女性の精神的自立を描いた長編アニメーション。

“何がイヤって今井美樹の髪型とアタシは今井美樹なのよ!っていうあけすけな声がいちいち気に障る(笑)。”

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