夢のシネマパラダイス405番シアター:稀代のお伽噺作家ティム・バートン
アリス・イン・ワンダーランド
出演:ミア・ワシコウスカ、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アン・ハサウェイ、クリスピン・グローヴァー
監督:ティム・バートン
(2010年・アメリカ・109分)WOWOW
内容:不思議の国での記憶をすっかり失くしていた19歳のアリス。ある日、好きでもない相手からのプロポーズに困惑していた彼女は、かつて目にしたことがある白うさぎを見つけて追いかけているうちに穴に落ちてしまう。辿り着いたのは、あの不思議な国ワンダーランド、、じゃなくてアンダーランドだった・・。
評価★★★/60点
うーん、、ティム・バートンが撮ったというのは一目瞭然に分かるんだけど、それ以上でも以下でもないというか、あまりにもオーソドックスかつお手軽なハリウッド色に染まってて、ちょっと肩透かしだったかな。
果てなき妄想をおとぎ話に具現化することにかけては右に出る者がいないバートン特有のブラック&ダーク、哀愁チック、それに加えてマイノリティへの温かな視点までもがあっさりテイストになっていて違和感ありあり・・・。
このての世界観ならそれこそ「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」とか「スリーピー・ホロウ」「チャーリーとチョコレート工場」などでとくと強烈なものを見せられているわけだから、それらに比べても今回は印象が薄いよねぇ。。
しかし、ここまでハリウッドのメインストリームを堂々と歩いてしまうなんて、、バートンどうしちゃったんだい
でもまぁ、ケバケバしい映像は水準以上だし、フツーに面白いっちゃあ面白いんだけども。バートンが監督だけにどうしてもそういうレベルで見ちゃうから・・。
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」もそうだったけど、借り物フォーマットとバートンは相性が悪いのかもしれないな。
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ビッグ・フィッシュ
出演:ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ、ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボナム=カーター
監督:ティム・バートン
(2003年・アメリカ・125分)2004/05/20・MOVIX仙台
評価★★★★☆/85点
内容:婚約指輪を餌にして巨大魚が釣れたとか、、とにかくそういう根も葉もないようなホラ話ばかりの父エドワード(アルバート・フィニー)を全く理解できず、疎遠に生きてきた息子のウィル(ビリー・クラダップ)。母親サンドラから父の死期が迫っていることを告げられ渋々帰郷したウィルだったが、病床にあっても相も変わらずホラ話を披露する父親にウンザリするばかり。が、若き日のエドワード(ユアン・マクレガー)の虚実入り交じる冒険譚に次第に引き込まれていくウィル・・・。
“2人のティム・バートンvsオレ”
闇とダークと奇々怪々好きオタクのT.バートンは、闇夜になると狼男に変身するサーカス団の団長その人であり、また、幻想の夢の中が好きなT.バートンは、様々なホラ話を語って聞かせるエドワードその人なのだ。
そして、エドワードの息子ウィルは、現実の代表者であり、この映画を観る自分その人なのだ。
この映画が個人的に今までのT.バートン映画の中で1番好きな理由はそこにある。
つまり、映画の中に自分もちゃっかり参加することができてしまうからだ。
今までのT.バートン映画ではこの2人のT.バートン、サーカス団の団長とエドワードが他人の目も顧みず好き勝手に暴走してくれた。
それはあまりにも現実からかけ離れた異色さと独特さであり、その世界が好きな人もいれば肌に合わない人もいるだろう。
個人的にはいつもある種の恐いもの見たさで半歩下がった距離でT.バートン映画を眺めていた気がする。
が、この映画ではウィルの姿と目を借りて現実の代表者として自分も映画の世界に等距離で参加することができたのだ。
しかもそれがすこぶる気持ち良かった。
映画の中で、「氷山は、海面上に見えているのはほんの少しで、大部分は海面下にあって見えない」という会話があったが、まさに今までのT.バートン映画で半歩下がっていたため見えなかった部分がはっきりと感じられ見ることができた。
なんだかありのままのT.バートンを見れた気がして嬉しくなってしまった。。
かくして同じ土俵の上で繰り広げられた、分身の術を使ってきたおとぎの国の総帥T.バートンの幻影vsオレ!!
結果はエドワードを超える感動的な大ホラ話でT.バートン側に寝返ったウィル当人によりオイラの負けに終わった。。。
、、かに思えたが、すんでのところでT.バートンが土俵際で心ある勇み足をみせてしまい、あくまでも現実側の方に絶妙の着地をしてくれた。
この幻想と現実のバランスを絶妙なかたちでつけてくれたT.バートンに乾杯(完敗)!
物言い取り直しの一番は次作に持ち越し。楽しみだ。。
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スリーピー・ホロウ(1999年・アメリカ・105分)MOVIX仙台
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチ、ミランダ・リチャードソン
内容:アメリカでは誰もが知っているというW・アービング原作のおとぎ話を、T・バートンとジョニデが3度目のコンビを組んで映像化。1799年、ニューヨーク市警の若き捜査官イカボット・クレーンが、オランダ系移民の村スリーピー・ホロウで起こった馬に乗った首なし騎士が関連する殺人事件の捜査に乗り出す。。。
評価★★★☆/70点
星条旗がはためいていなかったら到底アメリカだとは感じられない情景。
この映画観るとハリポタの監督させたいと切に思う。
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ティム・バートンのコープスブライド
声の出演:ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、エミリー・ワトソン、トレイシー・ウルマン
監督:ティム・バートン
(2005年・イギリス・77分)2005/11/02・盛岡フォーラム
評価★★★★☆/85点
内容:19世紀ヨーロッパのとある村。貴族の娘ビクトリアとの結婚を間近に控えた青年ビクターは、ある日森の中で地面から突き出ている人の指のような棒切れを見つける。彼は結婚式の練習のつもりでその棒に結婚指輪をはめ、誓いの言葉を述べた、、、とその途端、突然地面の中から花嫁衣裳を着た白骨化した女性が現れた・・・!ティム・バートンがロシア民話を題材に描いたストップモーション・アニメ。
“コープスブライドがお笑いコンビのハリセンボンの箕輪はるかに酷似していて、ああ、世の中にはやっぱり自分に瓜二つの人が3人はいるんだなぁ、、、ってなんじゃそりゃっ・・・。”
ストップモーションアニメが醸し出す手作り感触が、コープスブライドの動きにそれこそ「リング」の貞子のカクッ、カクッという不自然でぎこちない動きに似た要素を付加させていて、ある一瞬ゾゾゾゾォ~~ッと肌寒くなったりして、逃げるビクターを追ってくるところなんかホント恐かったけど、しかしてその箕輪はるか似のコープスブライドが時間が経つごとになにかいじらしく見えてくるのだから、、、人間の順応性ってスゴイね(笑)。
でも、よくよく考えてみたらスゴイ話だよなこれって。
とある井戸の前で誓いの言葉の練習をしていたら、井戸から小枝のようなものがヌッと出てきて誤って指輪をはめたら、それは山村貞子の手で、その手に引っつかまれて井戸の中へ一気に引きずり込まれ、、、バシャーン、、、ブクブクプク、、トポッ、、どんよりした真っ黒な井戸の底を抜けると、そこにはカラフルなカラーに彩られ、ガイコツや腐りかけた死体が歌って踊る世にも騒々しい死者の世界だった、、、って。。誰が思いつく、こんな話。。
しかもあげくの果てには地縛霊がキラキラした蝶の一群になってきれいな夜空へ飛び立っていきましたとさ、、って「ゴースト/ニューヨークの幻」の名ラストシーンを超えたと理解しちゃったぞオイラは・・・。だって泣けてきたもん。あんな美しいシーン見たのも久方ぶり。恐ろしいくらい骨の髄まで取り憑かれちゃった気がする。
ヤバイ、魅かれちゃったよ、この毒気タラタラかつ実はあまりにも純真すぎて清浄すぎて常人には胸が痛くなってしまうようなティム・バートン産毒入りワインに。。
77分、珠玉の時間を過ごさせていただきました。ご馳走様でした
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チャーリーとチョコレート工場
出演:ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア、デヴィッド・ケリー、ヘレナ・ボナム=カーター、ノア・テイラー
監督:ティム・バートン
(2005年・米/英・115分)2005/09/21・盛岡フォーラム
内容:産業スパイに製造技術を盗まれて全社員が解雇されてから15年間誰一人出入りしたことがないにもかかわらず、世界一のチョコレートを作り続ける謎に包まれたチョコレート工場。ある日、工場の経営者ウィリー・ウォンカ氏は、全商品のうち5枚だけに入っているゴールデン・チケットを引き当てた者にだけ特別に工場の見学を許可すると驚くべき声明を発表した。工場のすぐそばにあるボロ家に住む貧乏ヒマなしの少年チャーリーは1年に1枚しかチョコを買えないが、奇跡的に幸運のチケットを手にし、晴れて工場へと招かれるのだが・・・。
評価★★★/65点
“ウンパ・ルンパがウチのバァちゃんにそっくりで、これはただごとじゃないなと思った・・・”
だってバァちゃんが何十人も出てきて奇声を発しながら歌って踊ってるんだよ。実際恐いって・・・。
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ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(1993年・アメリカ・76分)DVD
監督:ヘンリーセリック
声の出演:クリス・サランドン、キャサリン・オハラ、ダニー・エルフマン
内容:奇妙で愛すべき住民が暮らす街ハロウィンタウン。カボチャ大王ジャックは最高のハロウィン演出家として市長や市民から愛されつつも、毎年ハロウィンの準備に明け暮れることに嫌気がさしていた。彼はある日、クリスマスタウンに足を踏み入れてしまい、違った世界に驚く・・・。恐怖と怪奇に彩られた異世界で、愛や優しさと無縁に育った青年が本当の愛に目覚めるまでを描くファンタジー・アニメーション。原案はティム・バートン。
評価★★★/65点
え゛っ!ティム・バートン、監督じゃなかったの??
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シザーハンズ(1990年・アメリカ・98分)DVD
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、ウィノナ・ライダー、ダイアン・ウィースト
内容:老発明家の博士によって作られた人造人間エドワードは、完成直前に博士が急死したため、両手がはさみのままだった。山奥の屋敷から街へ下りてきたエドワードは、化粧品セールスをしているペグの家に居候することになり、生け垣を刈る技術が認められたり、美容師よりも器用に女性の髪を切るのですっかり近所の人気者になる。やがてエドワードはペグの娘キムに恋をするのだが・・・。
評価★★★★/75点
ハデハデ女ジョイスの料理もできそうにないくらい伸ばしてる爪を深づめするくらい切ってやりたい(笑)。。
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ビートルジュース
出演:マイケル・キートン、ジーナ・デイヴィス、ウィノナ・ライダー
監督:ティム・バートン
(1988年・アメリカ・92分)NHK-BS
評価★★★★/75点
内容:自分たちが死んでいることに気が付いていない幽霊の夫婦・アダムとバーバラは、霊界入りせずに、いまだに家に住み着いていた。売りに出されたその家に越してきたチャールズ一家を、アダムとバーバラは何とか追い出そうと脅すが効果ナシ。業を煮やした2人は、新人死者ハンドブックを頼りに霊界待合所に行くが、そこは順番待ちの幽霊で一杯だった。。
“好き、嫌い、好き、嫌い、、好き、、嫌い、、、好きっ!”
スプラッターかと見まがうほど悪趣味かつ残酷な造型と、クモさえ殺さない優しさの奇妙な融合がなんともクセのある不可思議な世界を現出させる。
フツーでないものを無視したがる人間、しかし、T・バートンにはそれができない。無視できないどころか、T・バートンの目には気色の悪い下品なゴミ箱などではなく、明るくあどけないオモチャ箱として映ってしまうのだ。
そして、そのオモチャ箱をひっくり返して、無限のイマジネーションで作り出されたお人形遊びセットの中で、やりたい放題遊びまくる。
そこには現実なんてものは存在しない。まさに創造力と夢の世界。
オイラが子供の頃、キン肉マン消しゴム(通称キン消し)の様々なキャラクターで遊んでた時のような、やめたくてもやめられない脳内妄想、そんな嬉々とした精神世界を見栄えの悪いオッさんになっても強烈な形で生み出すことができるなんて・・。
オイラは激しく嫉妬する(笑)。。
そして、そんなT・バートンがやはり大好きなのです・・
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