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2011年9月29日 (木)

夢のシネマパラダイス189番シアター:インビクタス/負けざる者たち

インビクタス 負けざる者たち

126195579986116303341 出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモン、トニー・キゴロギ、パトリック・モフォケン、マット・スターン

監督:クリント・イーストウッド

(2009年・アメリカ・134分)WOWOW

内容:1994年、27年間投獄されていたネルソン・マンデラが南アフリカ初の黒人大統領に就任する。しかし、アパルトヘイト撤廃後も人種対立は解消されず国はいまだ分断状態にあった。そこでマンデラは、翌95年に自国で開催されるラグビーW杯での代表チームの活躍が国をひとつにする絶好のプランと考える。が、チームは国際舞台から締め出されていたため弱小の一途をたどっていた・・・。

評価★★★★/75点

前々作「チェンジリング」、前作「グラン・トリノ」からイーストウッド演出は確実に余分なものを削ぎ落とす傾向にあり、朴訥な語り口の中で簡潔で的確な表現をポツポツと積み重ねていくことで内面的な躍動感をストレートに伝えていく。

さらにいうならば、削ぎ落としていった結果、最終的にたどり着くのは表現者たるイーストウッド自身であり、しかしあくまでも自己完結することなく彼は映画の中に存在しつづける。

老いからくる衰えが決してマイナス要素になることなく、より純化していく。

これが近年のイーストウッド演出の極みといっていい。

そしてそれは、映画表現という地平の上で映画を撮る術、その形を極めた達人にしかできない芸当であると思うわけで、例えていうなら剣の達人が禅の境地に達したというべきか、そういう地平の彼方にイーストウッドはたどり着いてしまったのだと思う。

そしてその思いはこの映画を見て確信に変わった。

なんとも飾りっ気のないフツーの映画という形容がピッタリくる印象なのだけど、と同時に自然に心を揺さぶるような清々しい映画的感動を呼び覚ましてしまうのだから恐れ入る。

多分に政治的、社会的なテーマを抱え込みながら、決して嘘くさくならずにストレートにメッセージが伝わってくるのだ。

オイラの大好きなサッカーをはじめスポーツというものがナショナリズムを喚起する一方で、国境やイデオロギーを軽々と飛び越えてしまう特別な力を持っていることも大きいのだろうけど、映画の持つ真実の力を信じ続けるイーストウッドの勝利といっていいだろう。

ケチをつけるとすれば、ラグビーシーンかなぁ。スクラムを下から撮るなんてのは、おそらくラグビーをそんなに知らないと思われるからこそ生まれた発想でそれはそれで良いんだけど、フツーにTVで見るような俯瞰的なアングルのショットをもうちょっと見たかった気も・・。

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アメリカン・ヒストリーX

19750 出演:エドワード・ノートン、エドワード・ファーロング、ビバリー・ダンジェロ、ジェニファー・リーン

監督:トニー・ケイ

(1998年・アメリカ・120分)DVD

評価★★★★/80点

内容:アメリカを蝕むヘイト・クライムの現状を描き、全米を騒然とさせた衝撃作。ネオナチグループのリーダー的存在で、白人至上主義活動にのめり込むデレクは、家に盗みに入った黒人を殺して刑務所に収監される。その間、デレクを尊敬する弟ダニーもまた活動に加わっていた。が、3年の刑期を終えて出所したデレクのあまりの変貌ぶりにダニーは戸惑う。一体デレクに何があったのか・・・。

“この映画から習ったのは空虚と狂気と怒りと理解だ。”

今までアメリカの人種問題をどうしても対岸の火事として見てしまっていた自分。

しかし、そう思っていた自分を撃ち殺してしまうほどこの映画は強烈なインパクトがある。

そう、自分はこの映画に撃ち殺された。

自分は必死に理解しようとした。この映画を。デレクを。ダニーを。

そして必死こいて何とか対岸に上陸しようと頑張った。対岸で燃えさかる炎の火の粉が降りかかってくる中を。

その降りかかってくる火の粉の痛みを伴なう熱さが強烈に突き刺さってくるので、何度も対岸に向かうことをためらい躊躇した。

それでもまた思いとどまってなんとか進んだ、、、、そしてオレは撃ち殺された。

自分の思考はそこで停止した。そして思考が停止した途端急に楽になったような気がした。

結局自分は対岸にたどり着くことはできなかった。

しかしオレは見た。

対岸の燃えさかる炎の切れ目に星条旗が悠然となびいているのを。

自由の国というキャッチフレーズがこれ見よがしに謳われている国、アメリカ。その翻る星条旗に人種問題という汚水が染み付いているのはさすがのオレでも分かってる。

だってヒップホップアーティストの2パックとかランDMCのジャム・マスター・ジェイがいとも簡単に射殺されてしまう国なのだから。この映画の中でも黒人ラップに白人が汚染されているとか吠えてたっけ。

しかし、それでも自分の中で人種問題が問題意識として鮮明に浮かび上がってこないのは、やはり自分の置かれている環境とあまりにもかけ離れた世界、あまりにもかけ離れた出来事だと感じていたからだと思う。

そんな時に、この映画ときたもんだ。。

ますますもってあまりにもかけ離れた世界でのあまりにもかけ離れた出来事なのだという思いを強くせずにいられない。はっきりいって考えること自体無意味に思えてくるくらいに。

しかし、一方ではこう思っている自分もいる。

結局は挫折してしまったものの懸命に自分の思考をめぐらして観させたこの映画の意義は大きいと。

自分の思考を停止させたのもたしかに逃避ではあるかもしれないが、プラスと捉えたい。これからの自分に対して。

デレクがラストの惨劇にあい、どういう思考をあれからめぐらしていくのか・・・。プラスに捉えることを信じるしかあるまい。

自分と対岸に広がっていた広漠たる空白は確実に少しではあるが埋められた。

しかしまだ空白は広い・・・。

自分の思考は再び動き出した。

人種間のミッシング・リングが見つかることを願って。

〔追記〕1).人種問題はアメリカに限ったことではないけどね。ヨーロッパ、そして日本にだって在日などに対する差別はあります。

サッカー好きゆえ、欧州サッカーは日々観てるけど、黒人選手に対する観客の誹謗中傷は今でも公然と行われているし。

2).この映画のスゴイ点は、1人の聡明な男がいかにして狂気に走るのかを描くのではなく、狂気に走った後を中心に据えて描いている点にあると思う。

いかにして人種差別(白人至上主義)、そして狂気へと突っ走っていくのかということが、すでにアメリカ人の中で既成概念としてベースにあるのだとするならば、マジで自分にとってはかけ離れすぎている世界に思えてしまう。。

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招かれざる客(1967年・アメリカ・108分)NHK-BS

 監督:スタンリー・クレイマー

 出演:スペンサー・トレイシー、キャサリン・ヘプバーン、シドニー・ポワチエ

 内容:アメリカ社会に根強く残る人種差別問題を正攻法で描いた人間ドラマ。世界的に有名な黒人医師のジョンは、ハワイで知り合ったジョーイと愛し合うようになり、結婚を誓う。2人は互いの両親の許可をもらうためにサンフランシスコへ戻って来たが、ジョーイの両親は娘の恋人が黒人だと知って驚愕。一方、ジョンの両親も息子の嫁が白人だと知って愕然とする・・・。

評価★★★☆/70点

たかが肌の違いで映画1本撮れちゃうというのも考えてみれば悲しいことだね。

たかが肌、されど肌の違いなのかぁ・・・。

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