夢のシネマパラダイス288番シアター:飛びたがる男たち!
スカイ・クロラ
声の出演:菊池凛子、加瀬亮、谷原章介、山口愛、竹中直人、栗山千明
監督:押井守
(2008年・日本・121分)CS
内容:平和というものを実感させるための見世物として企業間で戦争が行われているある時代。その戦争とは思春期の姿で成長を止め、戦争で死なない限り生きつづける宿命にある“キルドレ”による空中戦だった。そんなキルドレのひとり、カンナミ・ユーイチは、女性司令官クサナギが指揮をとる前線基地に配属されるが・・・。
評価★★★☆/70点
いつも通り何の前知識もなしで見たもんだから、押井作品の今までの例にもれず今回もキルドレやらジンロウやら分からん用語が出てきて、前半は何がしたい映画なのかイマイチ分からず・・。
でも、見終わってみると全てのピースがカチリとハマって、押井作品を見てはじめてスッキリと納得できてまた見たいと思わせられてしまった。。まさかこんな日が来るなんて・・・(笑)。
とはいえ、今回の作品、「うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー」(1984)における終わることのない円環構造の迷宮、「機動警察パトレイバー2」(1993)の平和の裏に隠された欺瞞、「攻殻機動隊」(1995)や「イノセンス」(2004)が問いかける自己存在という概念の危うさといったこれまでの作品のテーマを踏襲するものになっていて、集大成的な作品になっている。
とともに、押井作品の入門編としても最適で(あくまでも見終わっていえることww)、押井を見るならまずはこれ!と言ってもいいんじゃないかなと。。
つーか、監督になって30年経って入門編というのもすごい話だけどw、この疑り深くて小難しいオッサンにしては驚くくらい真っ当で真っ直ぐなメッセージを投げ込んできたという印象で、はじめて押井映画に出てくる犬がカワイイと思えたww
思えば、エヴァの搭乗員は14歳の子供だったけど、これは多分に大人と子供の境界線-思春期-の不安定さにドラマを見出すからだろう。
これはガンダムのニュータイプにも当てはまると思うんだけど、今回のキルドレという設定もタバコやSEXといったシニカルな大人味をふりかけつつも本質は同じだと思う。
大人と子供の境界線を外側へ踏み越えようとすることはすなわち自立を表わすもの。
それを今回は無敵のパイロット・ティーチャーへの挑戦として描写しているのだけど、この映画における自立とは死であり、永遠の生(=永遠の日常)からの脱却だ。
この映画で自立を描くには、ラストで青空から生還することは許されないのだ・・。
逆に、境界線の内側に足を踏み出せばその先にあるものは自殺という選択肢であり、なんつー救いようのないお話しなんだとも思ってしまうけど、例え行く先に不幸が待っていようとも、引きこもってないで外に向かって飛び出してみろ!というメッセージを押井監督なりの回りくどい言い回しで送り出したってことなんだろう、、、やっぱ小難しいオッサンだよねていう・・(笑)。
ラストのラストに何人目かの新たな“ユーイチ”が基地に入隊してきて閉じた輪が再び開かれるわけだけど、これもそのメッセージに則っていえば、例え失敗してもまた挑めばええやん!ていうことなんじゃないのかな、と。
リアルで地続きな空想世界の構築は圧倒的ながら、その中で繰り広げられる魂のないキャラたちの猿芝居合戦にはいつも辟易していたことを思えば、今回の押井映画はよく出来ていたなとは思う。。
脚本を押井自身ではなく、伊藤ちひろが担ったことがけっこう大きかったりしてww
よし、押井さん!これからシナリオは外注しなはれ(笑)!
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スペース カウボーイ
出演:クリント・イーストウッド、トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、ジェームズ・ガーナー
監督:クリント・イーストウッド
(2000年・アメリカ・130分)MOVIX仙台
評価★★★/60点
内容:ロシアの通信衛星が故障。かつて空軍の英雄的存在だったフランクはNASAからの修理依頼に、元飛行士4人の現役復帰を条件に承諾する。アメリカ初の宇宙飛行士になりそびれた40年前の屈辱を晴らすべく、男たちは宇宙へ飛び立つ!
“やっぱりご老人なのか、まるで死に急ぐかのようにパッパと一本調子で話を進めていくやり方が映画の魅力を半減させている。”
ていうかぶっちゃけ前半部分を引っ張ってラストで打ち上げ、という構成でもよかったかな、と思っちゃう。それくらい前半はディテールとして輝いていた。
しかもまだまだ磨けば輝きが増すディテールの原石が星空のごとく散らばってましたよ。
なのに中途半端に足早にほったらかして、打ち上げ後の後半に突入しちゃった。
んでせっかくの原石が、まるで部品が宇宙空間に散らばって壊れていく衛星のごとくボロボロになっちゃったかんじ。
もっと優しく扱ってあげないとダメッすよイーストウッドお爺さま。
しかし最後まで老人と若者は打ち解けあうことがなかったなぁ。。
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アルマゲドン
出演:ブルース・ウィリス、ビリー・ボブ・ソーントン、ベン・アフレック、リヴ・タイラー
監督:マイケル・ベイ
(1998年・アメリカ・150分)仙台第1東宝
評価★★/45点
内容:スペースシャトルの爆発事故が起きた1時間後、無数の隕石群がNYに降り注ぎ、瞬時にして世界一の大都市は壊滅状態に陥った。さらに、テキサス州に匹敵する大きさの小惑星が地球に向かって接近していることが判明!!衝突すれば地球は壊滅してしまう。NASAでは地球終焉までの残り時間を18日間と分析し、様々な打開策が検討されたが、小惑星の地中深くで核爆発させて軌道を変えるしか他に手はなかった。そこでハリーをリーダーとする石油採掘のプロ8人に白羽の矢が立つ。
“隕石が地球にぶつかることの危険性よりも、危険人物スティーブ・ブシェーミが地球に帰還してくることの方がよっぽど危険だ・・・。”
真のアルマゲドンはS.ブシェーミだった!!
途中から隕石なんてどうでもよくなってくるもん(笑)。
だってヤバ過ぎるもん、S.ブシェーミ。隕石の毒気にやられたのか、宇宙空間の無重力でおかしくなったのか、いや最初からどこかおかしかったんだけどね。
だってすでに達観の域に達してるでしょあの男。
アブナイっしょフツーに。縛り付けて正解です(笑)。
そしてラスト見事に地球に降臨してくる。いや、再臨か。
どうなる!地球、、、。
浦沢直樹の漫画「20世紀少年」に出てくる“ともだち”ってあんなかんじじゃなかろうか。
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6デイズ/7ナイツ
出演:ハリソン・フォード、アン・ヘッチ、デビッド・シュワイマー、ジャクリーン・オブラドース
監督:アイバン・ライトマン
(1998年・アメリカ・103分)WOWOW
評価★★★/60点
内容:南海のパラダイス、マカテア島でバカンスを楽しむ予定だった雑誌編集者のモンローが、島で唯一のパイロット、クインに頼んで島を出発する。しかし悪天候のため、2人を乗せたセスナ機が無人島に不時着。南の楽園でのサバイバル生活が始まる。やがて、どこからか彼らの前に海賊が現れ・・・。
“アン・ヘッチに+1。”
縄はあるわ、火は簡単につくわ、ナタにノコギリはあるわ、双眼鏡はあるわ、鳥はいるわブタもいるわ水もあるわ・・・無人島である必要がどこにある??
それじゃ話にならなくなっちゃうから海賊にご登場いただきました。
って海賊かよおい、、、、なんつう稚拙な発想。。
撃たれて殺された挙句海に投げ捨てられた人もあんなんじゃ浮かばれませんなぁ。。
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ライトスタッフ(1983年・アメリカ・160分)NHK-BS
監督・脚本:フィリップ・カウフマン
出演:サム・シェパード、エド・ハリス、スコット・グレン、デニス・クエイド
内容:1957年、ソ連がスプートニクの打ち上げに成功したことから、NASAは今まで以上に宇宙計画に本腰を入れざるを得なくなった。宇宙パイロットとして選ばれたのは、一匹狼的な男っぽさと冷淡さの同居したアラン(スコット・グレン)をはじめとする7人で、彼らは様々な試験を受けて訓練を重ねる。。トム・ウルフの同名ノンフィクションを原作に、1950年代末にマーキュリー計画の飛行士に選ばれた7人の男とその妻たちの生活や友情、葛藤を描いたヒューマンドラマ。
評価★★★/65点
“大気圏に挑戦しつづけた男たちを描いたれっきとした歴史大作映画”
モハベ砂漠の荒野を馬で駆け抜けるように大空を疾駆するイエーガー(サム・シェパード)の姿は、西部を開拓したフロンティア・スピリットにあふれたカウボーイそのもの。
そして一匹狼的な職人気質を備えた孤高の姿はフツーにカッコ良い。
ラスト、地平線の彼方から真っ黒になりながら凛として現れるイエーガーは、まるで「西部警察」の大門警部=渡哲也のようで、男でもホレるよあれは(笑)。
このイエーガーだけでも骨太な映画には十分すぎるのだけど、ここにさらにスコット・グレン、エド・ハリス、デニス・クエイドらが扮するアメリカの宇宙飛行士第1期生の過酷かつ人間臭い物語が絡んでくるわけだから、正直胸焼け起こしちゃうくらいお腹いっぱい。
このての映画でまさかIntermission休憩時間があるとは思わなかったけど、でもそういう点ではこの宇宙飛行士の映画はれっきとした歴史映画なのかもしれないな。昔の歴史大作映画ってIntermissionが多いじゃん。ってそこかよ・・・
それにしても、25%の確率で生きて帰ってこれない仕事って、、、なんじゃそりゃだな(笑)。。
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