夢のシネマパラダイス496番シアター:そこは夢がかなう場所
ネバーランド
出演:ジョニー・デップ、ケイト・ウィンスレット、ジュリー・クリスティ、ラダ・ミッチェル、ダスティン・ホフマン
監督:マーク・フォースター
(2004年・英/米・100分)2005/01/26・MOVIX仙台
評価★★★★☆/85点
内容:1903年のロンドン。スランプに陥っていた劇作家のバリは、公園を散歩中、美しい未亡人とその4人の子供たちと出会う。父を亡くした少年たちとの親交を深めるうち、バリは心を閉ざした三男のピーターを気にかけるようになり・・・。「ピーター・パン」の誕生秘話を描いた感動作。
“Finding a good film!”
幼い頃に兄を自殺で亡くしているマーク・フォースター監督。6歳の時、当時13歳だった兄を事故で亡くしている劇作家ジェームズ・M・バリ。父を病死で亡くしている少年ピーター。病に冒されていくピーターの母シルヴィア。そしてバリと孤独な妻とのすれ違い。
全編を包む死と喪失の悲しみの匂いが、バリとシルヴィア一家の温かな触れ合いを通して描かれる豊かなアイディアにあふれた想像力と、繊細かつ優しく溶け合っているのが非常に印象的だ。
喪失の恐怖と悲しみの中から生まれ出た秘密の場所ネバーランド“永遠に子供のままでいられる場所”。
それは、ファンタジーとしてよくある現実逃避としての側面ともとれるが、この映画は一方で生きていくために必要なもの、想像と創造と信じるという力にあふれた場所として前向きに捉えているのがピーターパン症候群にかかりっぱなしの自分には嬉しくてたまらなかった。
そして、この映画のクライマックスともいえるシルヴィアの家でピーターパンを上演するシーンは特に心に残るまさに珠玉の名場面。
現実と空想が居間と壁一枚と庭を介して見事な広がりを見せるところなんて、まさに映画だからこそ出来る深みと真髄を見せてくれて、久々に映画から最高の贈り物をもらった気がする。
オイラにとってはFinding a good filmとなったようだ。
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パコと魔法の絵本
出演:役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、國村隼、上川隆也
監督・脚本:中島哲也
(2008年・東宝・105分)WOWOW
内容:変わり者が集まるとある病院。中でも大貫(役所広司)の意地悪ぶりは筋金入りで、病院中の嫌われ者。そんなある日、大貫は無邪気な少女パコ(アヤカ・ウィルソン)をビンタしてしまう。しかし、パコは交通事故の後遺症で記憶が1日しかもたず、次の日には何事もなかったかのように大貫のもとにまたやって来る。反省した大貫は、患者たちを集めてパコのために彼女が毎日読んでいる絵本「ガマ王子対ザリガニ魔人」を上演しようとするのだが・・・。
評価★★☆/50点
はっきりいってウザイww
その一言につきる映画・・・。
喜怒哀楽の全てをオーバーアクトの怒で表現されちゃ見てるこっちも堪らないというもの。終始カメラ目線でお寒いギャグを飛ばす阿部サダヲもウッザウザ
世間での評価は高いようだけど、オイラは×ですた。
黒澤明の「乱」(1985)を思わせる役所広司の出で立ちや、牙を生やしたケバケバ女の小池栄子、ピーターパン風の上川隆也など豪華キャストのコスプレ大会は見ものだったけど、そこにはテリー・ギリアムのお茶目で毒気のある狂気もなければ、ティム・バートンの優しげな感傷もない。
ただ悲鳴のようなハイテンションなツッコミ笑いが続くだけ・・・。
こういうのは下北小劇場でやってもらいたいものだけど、ホントなんというか演劇的なものを映画的なものに変換することなく原液のままスクリーンに焼き付けたものを見せられちゃったような。。
個人的にはそこにかなりの違和感を感じてしまい合わなかったなと・・。
演劇が“理屈”だとすると、映画は“妄想”で、やっぱスクリーンで型にハマッた箱庭的な“理屈”を見せられても、、、しかもその中で大げさにギャーギャー騒ぎまくっているだけなんだから、ほんとウザイだけなんだよね。
CGと実写のカットバックなど面白味のある手法もあるにはあるんだけど、なんかあまり伝わってくるものがなかったなぁ。。
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星になった少年
監督:河毛俊作
(2005年・東宝・113分)2005/07/23・盛岡フォーラム
評価★★★★/75点
内容:中学生の哲夢の家は動物プロダクションを営む一家。ある日、母・佐緒里たっての希望でタイから象のミッキーを購入する。哲夢はすぐにミッキーと心を通わせていくが、やがてもう一頭やって来た小象のランディはなかなか言うことを聞いてくれない。そんなある時、タイのゾウ使いの話を聞いた哲夢は、タイのゾウ訓練センターへの留学を決意するのだった・・・。日本人初のゾウ使いとなり、20歳で亡くなった実在の少年・坂本哲夢の半生を描いた作品。
“この映画での柳楽優弥を見て、ふと『がんばっていきまっしょい』の田中麗奈を思い出した。”
映画の冒頭で柳楽優弥を見たときは、コイツ本当に大丈夫かと、カンヌで賞を獲ったが上に迎えられただけのただのお客様に成り下がってるんじゃなかろうなと危惧してしまったのだけど・・・。
が、それは単なる杞憂に過ぎなかったようだ。いや、むしろ役者として成長する姿を映画の中で如実に垣間見れたのは収穫でさえあった。
メイキングなどを見ていないので分からないけど、タイでの長期ロケや実際にゾウ使いになる訓練などを通して役者としても人間としてもひと回り成長したのではないだろうか。
映画の後半あたりからは役者としての面構えもしっかり画面におさめることができており、ふと『がんばっていきまっしょい』を観たときの田中麗奈を思い出してしまったほどだ。
劇中、武田鉄矢が「子供と動物にはかなわんよ」と言っていたが、どうやらオイラにとってはその中に子供は入らないようだ。ゾウさんには負けたけどね。。
柳楽優弥にとっては良い作品にめぐり合えたのではないかな。これからの活躍に期待です。
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バガー・ヴァンスの伝説(2000年・アメリカ・127分)NHK-BS
監督:ロバート・レッドフォード
出演:ウィル・スミス、マット・デイモン、シャーリズ・セロン、ジャック・レモン
内容:かつて天才ゴルファーと呼ばれながら、悲惨な戦争体験が元で、今は隠遁生活を送る青年ジュナ。地元ゴルフ場でのエキシビジョン・マッチに担ぎ出され、怖気づく彼の前に、バガー・ヴァンスという謎の男が現れる。そして、バガーの助言は、ジュナにかつての輝きを取り戻させていくのだった・・・。
評価★★★☆/70点
叙情的な映像美の中にどこまでも優しい人間ドラマをたゆたわせることにかけては右に出る者がいないロバート・レッドフォード。
その演出は古風そのもので、映画によっては冗長にしか感じられないこともままあるのだけれど、本作では紳士然としたレッドフォードのスタンスと紳士のスポーツといわれるゴルフという題材が見事に合致していて、レッドフォードの20年来変わらぬ“スイング”が心地良い風を送ってくれる良作に仕上がっている。
物語に裏表がなさすぎて、一人一人のキャラクターに説得力がないのが難点ではあるけど、夕闇の中、ゴルフ場のコースを町の人々の車のライトで照らし出してプレーを続けるところとか、相手プレーヤー2人もすこぶるイイ奴だったり、ジャック・レモンのナレーションの調べによって描き出される古き良きアメリカの雰囲気はオイラ的にはハマッてしまった。
映像もキレイで、ラストシーンなど印象的なショットも多く、たまにはこういう品のある映画を見るのもいいものだなと思った。
しかし、シャーリズ・セロンは風格出てきたなぁ。30年代南部の女性のオーラを存分に醸し出していて、それこそ「風とともに去りぬ」のスカーレットとか出来ちゃうんじゃないかな。
あと、子役も良かったし。
夏の午後に夕セミの声と一緒に見たい映画だね。
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スタア誕生(1954年・アメリカ・154分)NHK-BS
監督:ジョージ・キューカー
出演:ジュディ・ガーランド、ジェームズ・メイソン、ジャック・カーソン
内容:ハリウッドの大スターだったノーマン・メインは、今は酒浸りの毎日を送っていた。ノーマンによって素質を認められたコーラスガールのエスターは、彼から映画出演を勧められ、ミュージカル映画の相手役に抜擢される。ヴィキー・レスターの芸名で出演した映画は大成功となり、彼女は一躍有名になるが・・・。
評価★★★/65点
“ハリウッド残酷物語”
駆け上がっていく者と転がり落ちていく者。ハリウッドの光と影が残酷に結び付けられる。
この点はジャネット・ゲイナーのオリジナル(1937年作品)とは異なる趣になっていると思う。
しっかし、ラストもある意味残酷だよねぇ。
会場の聴衆の前でエスターが、「私はノーマン・メインの妻です。」と言ってスタンディング・オべーションを受けるのだけど、ノーマンが飲んだくれのまま生きてたらラストの感動ものにはならなかったはず(笑)。。
一気に転落していくノーマンを映画界は助けることもしなかった。しかし、ああいう非業の死に方をすれば伝説になっちゃって一気に同情票が集まって持ち上げられるわけね。ハリウッドって恐ろしいとこなんやなぁ・・・。
、、というイヤらしい見方をしてしまいますた。。
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のど自慢(1999年・日本・112分)DVD
監督:井筒和幸
出演:室井滋、尾藤イサオ、大友康平、伊藤歩、北村和夫、小林稔侍、松田美由紀、竹中直人
内容:日曜お昼の国民的番組「のど自慢」が、群馬県桐生市にやって来た。その晴れ舞台を目指して、さっぱり売れない演歌歌手、就職に悩む親父、家族問題を抱える女子高生など様々な思いを胸に抱いた人々が予選会場に集まってくる。。
評価★★★☆/70点
“様々な映画で意味もなく余計なところで使ってくるくせして、なんで1番オイシイところですぐに引っ込ませちゃうんだ・・・”
竹中直人だよ(笑)!!
なんでリハで下げちゃう?本番出せよなぁ。それともNHK的にあのキャラは放送コードに障っちゃうのかしら・・。もったいない。
まぁ、これ観ても日曜の昼にかの番組を見る気は起きないけど、なんともNHK的な当たり障りのないベタな作りに徹していることで逆に面白おかしく楽しめてしまう作品ではある。
伊藤歩の「花♪」にはホロリとさせられるし、寅さんになりきった人が出てたのも雰囲気的に好きだし。
人生泣き笑い、思いをこめて歌う唄。様々な人間模様の人情喜劇として楽しく観れますた。
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スワロウテイル(1996年・日本・149分)仙台セントラル劇場
監督・脚本:岩井俊二
出演:三上博史、江口洋介、Chara、伊東歩、渡辺篤郎、桃井かおり、山口智子、大塚寧々、洞口依子、ミッキー・カーティス、小橋賢児、塩見三省、田口トモロヲ、光石研、浅野忠信
内容:近未来。夢を求めて日本に渡ってきた移民たちが集まる街、円都<イェンタウン>。娼婦だった母を亡くし、身寄りのなくなった少女アゲハは、娼婦のグリコに引き取られた。アゲハはグリコと同じ移民のフェイホンが経営する何でも屋「青空」で働き始める。ひょんなきっかけから偽造1万円札のデータが入ったテープを手に入れたフェイホンたちは、それを利用して大金を手にするが、その頃、中国マフィアのリーダー、リャンキは偽札データの行方を必死になって捜していた・・・。
評価★★☆/45点
“岩井作品の中でなぜかこの映画だけが自分の中で急速にひからびてしまっている。。”
無国籍という言葉に自分は弱い。
それはたしかなのだが、ビルと廃墟が入り混じった街、無国籍という様々な言葉が入り混じったセリフ、いろいろな肌が入り混じった人種、そういう曖昧さと雑多さが同居している舞台だからこそ、その中で描かれる核となるものやアイデンティティは直に伝わってくるものでなければならないと思う。
しかるにこの作品は小林武史の音楽に合った雰囲気と豪華キャストだけで見せているようなかんじで、金かけたわりに時代という酸化に弱くて色あせていくPVという趣がやはり否めなかった。
自分の好きな「Love Letter」とかなら雰囲気で押し通してもいいのだけど・・・。
いっそのことウォン・カーワイに丸投げした方がええんちゃうか、、ってますます分からなくなるかww
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