お気に入り

最近のトラックバック

« 2009年9月 | トップページ | 2009年11月 »

2009年10月26日 (月)

夢のシネマパラダイス82番シアター:往年名作劇場10番館

風とともに去りぬ

4510view017 出演:クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー、オリヴィア・デ・ハヴィランド

監督:ヴィクター・フレミング

(1939年・アメリカ・231分)NHK-BS

評価★★★/60点

 

内容:南北戦争から戦後に至るアメリカ南部を舞台に、情熱の女性スカーレット・オハラの半生を描く大河ドラマ。D・W・セルズニック製作、製作費600万ドル、総天然色、上映時間は前後編合わせて4時間弱という超大作で、アカデミー作品賞をはじめ8部門を獲得した。

“・・・こんな点数でいいのだろうか”

すごいスケール、これから先も決してリメイクされることはないであろう唯一無二の作品、こりゃ日本も戦争で負けるわな。

全部分かります。分かりますが★3つが限界なのです。

ぶっちゃけ言っちゃえば長い、ちんたらちんたらと。

私あの人が好きよ。あの人のこと愛してるわ。えっ、やっぱりダメなのね。でも愛してるの。あっ、あなたのことも好きになっちゃいそう。でもあの人のことが忘れられない。あっ、いつの間にかあなたのこと好きになってしまったわ。あなたのこと愛してるわ。でもあの人もまだ好きだわ。あの人のことが忘れられないわ。でもあなたのことは愛してるわよ。あっ、でもあの人のことが本当に好きで愛してるんだってことが分かったわ。そ、そんな、あの人は別な人を本当に愛してるのね。それじゃやっぱりあなたのことを愛することにするわ。そ、そんな、あなたもダメなんて。それじゃタラの地で作戦を練り直すわ・・・・

ということを4時間近くかけてやるわけだ。

こりゃリメイクされるわけもないな。

まぁとにかく、主役2人に感情移入できるどころか、嫌いなタイプなので如何ともしがたいし、その状態で4時間見続けるというのは正直ツライものがある。

ま、死ぬ前にあと1回は見てもいいかな。

 ----------------------

荒野の七人

Magnificentseven 出演:ユル・ブリナー、スティーヴ・マックィーン、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソン、ブラッド・デクスター、ロバート・ヴォーン、ホルスト・ブッフホルツ

監督:ジョン・スタージェス

(1960年・アメリカ・128分)NHK-BS

 

内容:黒澤明の「七人の侍」に惚れこんだブリナーが翻訳権を買い取り、舞台をメキシコに置き換えて映画化した西部劇。メキシコの寒村イストラカンは、毎年やって来る野盗の襲撃に悩まされ続けていた。村の長老は野盗に対抗するために、助っ人として7人のガンマンを雇う・・・。

評価★★★★/75点

黒澤明の大傑作「七人の侍」のリメイクだけに、どうしても比較してしまわざるを得ないのだけど、これはこれでかなり楽しめる一品に仕上がっていると思う。

ユル・ブリナーをはじめとして、この映画をきっかけにスター街道をまい進していくことになるマックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンなどの7人のガンマンの顔ぶれは、三船敏郎を脇に回し、志村喬などの性格俳優をズラリと並べた本家本元にもひけを取らない豪華さで、しかも、それぞれが流れ者の一匹狼的なキャラクターであるがゆえ、キャラが存分に立っているし、演じる役者も華を全てかっさらわんとするばかりの勢いで前に出てくるので、調和はなくともかえって分かりやすくて見やすい。

また、黒澤版との最大の違いといえるのが、盗賊団の首領を顔の見える饒舌なボスキャラにしたことだと思うのだけど、この点でもよりオーソドックスで分かりやすい映画になっているし、このカルベラという男のキャラを魅力的に引き立たせることで、盗賊団と7人のガンマンは流れ者の無法者という点では同じ穴のムジナであり、善人か悪人か不明瞭で立場が容易に入れ替わってしまうということを描いていたのは面白いと思った。

また、侍と農民という決定的な身分制度のない西部劇の国において、舞台をメキシコに設定したことで、ガンマンにとっては弱者でしかない農民、農民にとってはよそ者でしかない流れ者という性格付けを自然に描けていたし、音楽もかなり「七人の侍」を意識してたし、リメイクとしては非常にこなれたかんじのする娯楽作に仕上がっていると思う。

時代劇と西部劇、フォーマットは変わっても「七人の侍」は傑作だった!結論。。

 ----------------------

裸の島(1960年・日本・96分)NHK-BS

 監督・脚本:新藤兼人

 出演:乙羽信子、殿山泰司、田中伸二、塚本正紀

 内容:自然と闘いながら生きる夫婦の姿を描いた叙情詩。瀬戸内海の小さな島に住む中年夫婦は2人の子供と一緒に、春は麦をとり、夏はサツマイモを植えて暮らしている。島では水が出ないため、労働の大半は隣の島から舟で水を運ぶことだった・・・。わずか13人のスタッフと4人の出演者だけで完成させた小品。モスクワ国際映画祭グランプリ。

評価★★★☆/70点

1時間過ぎるとさすがに見るのもツライなぁという飽きが・・・。

でも、ラストの咆哮を見てそれは吹き飛んだ。

ツライのはオイラなんかじゃない。いや、ツライと自分が言うこと自体おこがましい。

納得したよ!受け取りましたよ、新藤監督!

でも、また見るかと言われたら、、ちょっと困るけど・・w

 ----------------------

ある愛の詩(1970年・アメリカ・100分)NHK-BS

 監督:アーサー・ヒラー

 出演:ライアン・オニール、アリ・マッグロー

 内容:富豪の御曹司で弁護士を夢見るオリヴァーと、イタリア移民の貧しい家庭に育った女子大生のジェニーは、大学の図書館で出会って恋に落ち、やがてオリヴァーの両親の反対を押し切って、2人だけの結婚式を挙げる。2人は貧しいながらも幸福な日々を送っていたが、ある日突然、不治の病がジェニーを襲う・・・。

評価★★★/65点

“この映画のテーマ曲が歯医者でかかっている時ほどイヤなことはない・・・。”

自分だけかもしれないけど、なんで歯医者ってこういう切ないBGMばっかりかけるんだろう・・?待合室で麻酔に怯える小心者にとってはホント嫌なんだよね。。

 ----------------------

家族の肖像(1974年・伊/仏・121分)NHK-BS

 監督・脚本:ルキノ・ヴィスコンティ

 出演:バート・ランカスター、シルヴァーノ・マンガーノ、ヘルムート・バーガー

 内容:ローマの豪邸に住む老教授は外界との接触を断ち、“家族の肖像”と題する絵画コレクションと少数の使用人に囲まれて静かに暮らしていた。しかし、知人の実業家夫人が娘や愛人の美青年を連れ込んで強引に2階を占拠したことから、老教授の生活は一変。そしていつしか教授は美術や古典音楽に精通している美青年と親しくなっていく。。。

評価★★/40点

名匠ルキノ・ヴィスコンティの映画にこの点数付けるのけっこう勇気いるんだけど・・・。

う~ん、ようするにセフレの集まり?みたいな。。

こういう映画は全く自分の趣味ではないけれど、なんとなく良さも分からんでもないような。。その程度。

だって、勝手に壁ぶっ壊しておいて、それに対してランカスター爺さん、、、「今の若者との接点がつかめない。」とぬかしよる。は~~?ってかんじ。。果ては3Pですかアレは・・・。

この映画との接点がつかめないままジ・エンド。。

 ----------------------

アニー・ホール(1977年・アメリカ・93分)DVD

 監督・脚本:ウディ・アレン

 出演:ウディ・アレン、ダイアン・キートン、トニー・ロバーツ、シェリー・デュバル

 内容:NYのナイトクラブで活躍する漫談師のアルヴィは、テニスクラブで歌手志望のアニーと知り合い、間もなく一緒に暮らし始める。同棲生活は最初は快適だったが、次第にお互いの短所ばかりが目につくようになっていった。そんな頃、アニーがカリフォルニアで仕事をするチャンスをつかみ、2人の仲に決定的な危機が訪れる。。アカデミー作品賞を受賞したウディ・アレンの代表作。

評価★★★★/80点

ウディ・アレンのニューヨーカーズクラブの会員になることは、間違いなく映画を見ていく上での一流のステータスシンボルになる!そのことが確約できる一品。

 ----------------------

フォレスト・ガンプ 一期一会(1994年・アメリカ・141分)

 監督:ロバート・ゼメキス

 出演:トム・ハンクス、サリー・フィールド、ロビン・ライト・ペン、ゲイリー・シニーズ

 内容:知能指数は低いがピュアな心を持つフォレスト・ガンプ。ビートルズブーム、ベトナム戦争、ウォーターゲート事件など、アメリカの現代史に関わりながら駆け抜けた主人公の半生を描いた人間ドラマ。アカデミー賞作品・監督・主演男優・脚色賞受賞。トム・ハンクスは2年連続でのオスカー受賞となった。

評価★★★/60点

なんともいえない不思議で憎めない魅力を持つフォレスト・ガンプ。

しかし、穢れも罪も闇さえもない人間の物語を見るのは決定的に自分の映画観とは相容れない・・・。

夢のシネマパラダイス318番シアター:ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

Twb 出演:ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ、ケヴィン・J・オコナー、キアラン・ハインズ、ディロン・フレイジャー

監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン

(2007年・アメリカ・158分)2008/05/06・盛岡フォーラム

内容:20世紀初頭のカリフォルニア。石油の生み出す莫大な富に取り憑かれた男ダニエル・プレインヴュー。孤児であるHWをパートナーとして連れ歩く彼は、次々と土地を買い叩いていく。そんなある日、ポールという青年から自分の故郷の土地に油田があるはずだとの情報を得る。すぐさま土地の買い占めに乗り出すプレインヴューだったが、彼の前にポールの双子の兄弟で牧師のイーライが立ちはだかる・・・。

評価★★★★/80点

耳をつんざくような不協和音とともに映し出される砂と石と岩だけの荒涼とした大地。そして、その中でたった独り、黙々と採掘に明け暮れる男。

情熱、忍耐、孤独、欲望、信念、競争心、エゴイズム、無感情といったこの映画の全ての要素=ダニエル・プレインヴューという男の全てを表したセリフのないオープニング15分間の圧倒的な画力に一気に引き込まれてしまう。

このオープニングにキューブリックの「2001年宇宙の旅」(1968)を想起したといったら言い過ぎだろうか。。

その後も物語は、常に周囲との不協和音を鳴り響かせながら他を寄せつけない男のむき出しになったまま燃えさかる火柱のように強烈な個性を描きながら進んでいくわけだが、重厚な人間ドラマの体を成してはいるものの、それはまるでホラーのようでもあり、ラストに至っては壮大なコメディとさえ思えてきてしまう。。

なにより、このダニエル・プレインヴューのつき果てることのない事業欲の目的が見えてこないのが恐ろしいところで、それは暗に現代アメリカの構築した資本主義の破壊的で破滅的な暴走を示唆しているともとれる。

とにかく、事業を成功させて名声を得たいだとか、金持ちになりたいだとか、家族や愛する人との幸せな暮らしのために稼ぎまくりたいといった目的のためではなく、この人間不信の塊である男の最終目標は、「金を貯めたら誰もいない所に行って暮らしたい・・・」なのだ。

そして、ラストに映し出される、だだっ広い屋敷の中で、集めた骨董品を的にライフル銃をブッ放す余生を送る男のなんとも虚しい姿は、まさにホラーでもありコメディだ。

また、このダニエル・プレインヴューという男、強欲の塊でありながら、女への欲が皆無なのも恐ろしいところで、ヘンリーと名乗るニセの弟と夜遊びに出かけても何の関心も示さない。

それどころか、女遊びにうつつを抜かすだらしないヘンリーを憮然とした表情で見ていたダニエルは、その直後ヘンリーを殺害してしまうのだ。

そこらへんの「人間を嫌悪し、長年にわたって少しずつ憎悪を積み重ねてきた」「他人に価値を見出すことができない」というダニエルのキャラクターの背景がほとんど語られないところが、彼のストイックな欲望を際立たせて不気味だし、逆に引き込まれてしまうゆえんなのでもあろうが、かといって彼をそういう人間にさせるに至った背景なんて別に知りたいとも思わないわけで(笑)。

ともかく、今までの自分の映画人生の中で、“孤高の狂人”というのを初めて見せられたような気がする。

雄弁とファミリーの絆を説きながら絶対的な個人主義のもと家族を一切持とうとしない男、家族はファミリーではなく単なるパートナーという役割としか考えていない男。

奇しくも、20世紀初頭の同じ頃、アメリカに降り立ったもう一人の男がいた。

イタリア・シチリア島から渡ってきたその男は、家族を守るという信条のもと一大ファミリー帝国を築いていく。

そう、その男とは「ゴッドファーザー」(1972)のビト・コルレオーネだ。

犯罪行為に手を染めながら神のように慕われていくビト・コルレオーネと、神をも恐れぬ悪徳に手を染めながら周囲を徹底的に排除していくダニエル・プレインヴュー。

神聖な教会の洗礼も、前者においては家族の絆を深めるためのものであるのに対し、ダニエルにとっては事業のためだけの屈辱的なものでしかないところなど好対照なところも興味深い。

ま、オイラは断然「ゴッドファーザー」の方が好きだけどねw。

 -----------------------

ジャイアンツ(1956年・アメリカ・201分)NHK-BS

 監督:ジョージ・スティーヴンス

 出演:エリザベス・テイラー、ロック・ハドソン、ジェームズ・ディーン、サル・ミネオ、デニス・ホッパー

 内容:わずか3本の主演作を残してこの世を去ったジェームズ・ディーンの遺作。1920年。テキサスの大牧場主ビックは、東部の名門令嬢レズリーと出会い、恋に落ちた。2人は結婚し、59万エーカーという途方もない広さの牧場で新婚生活を始めるが、レズリーを待っていたのは想像を絶する苛酷な生活だった。そんな彼女に、孤独でひねくれ者の牧童ジェットは恋心を抱くが・・・。

評価★★★☆/70点

“エリザベス・テイラーって凄い女優さんだったんだ、、、”

西部開拓時代を思わせる大牧場の雄大な光景、そこにポツンとしかし悠然と構える大邸宅は、まるで「風とともに去りぬ」を思わせる風格。

しかし、その光景の中をタンクローリーが走っていくシーンの奇妙さに象徴されるように、1920年代から50年代中頃という、アメリカがまさに“アメリカンナイズ”されていく急激な時代背景の移り変わりの中で、ひとつ取り残されたように佇む大牧場の大邸宅は、まるで置き去りにされた存在のように映っていく。

それはつまり近代化という名の物質文明の波に開拓時代の古き良きアメリカが押し流されていく光景なわけで、この映画で描かれた時代より約60年前を舞台にした「風とともに去りぬ」なんかとは全く異なる移ろう時代の混在した面白さがこの映画にはある。

ラスト近くに出てくるドライブイン風レストランなんてまさにアメリカンナイズされた象徴なわけで、そこで牧場主ビック(ロック・ハドソン)と店主が殴り合う壮絶なシーンには、メキシコ人への人種差別に対する怒り以上の何かを感じずにはいられなかった。

しかしまぁ、人種差別問題にまでテーマが拡散していくとは思いもしなかったし、石油成金ジェームズ・ディーンのキャラもかなりのキワモノで、下手をすると中途半端になってしまうリスクもあったと思うのだけど、大家族ドラマという軸がブレずにしっかり根を張っていたので3時間という長尺をほとんど感じさせない安定感のつくりだったのは、さすがハリウッド往年の名作映画というかんじ。

そして、その中で夫ビックに「90歳になっても君を理解できないだろう」と言わせしめる妻レズリー(エリザベス・テイラー)の存在感は圧倒的な魅力にあふれていて非常に印象に残る。

エリザベス・テイラーってやっぱスゴイ大女優さんだったんだなと初めて実感できたような気がした。今の御姿からは想像もつかないけど・・・ww。

2009年10月25日 (日)

夢のシネマパラダイス344番シアター:世界は女で回ってる

ボルベール<帰郷>

Volv 出演:ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス、ブランカ・ポルティージョ

監督・脚本:ペドロ・アルモドバル

(2006年・スペイン・120分)CS

内容:失業中の夫と15歳の一人娘パウラを養うため、せわしなく働くライムンダ。そんなある日、夫がパウラに関係を迫るも抵抗したパウラに刺し殺されてしまう。愛娘を守りたい一心で夫の死体処理に奔走するライムンダ。その最中、今度は伯母の急死の報せが届き・・・。

評価★★★☆/70点

オンナのただでは転ばないたくましさと無尽蔵の生命力を、情熱の国スペインを象徴する赤の色彩美とライムンダ(ペネロペ・クルス)の豊満な胸の谷間に凝縮させてムンムンに感じさせてくれ、そのパワーに思わず圧倒されてしまうほどオトコの入り込む余地のない映画。

しかも、オトコが脇役どころか添え物にすらなっていないというトンでもなオンナ映画なのだけど、オトコの妄想にまみれた「トーク・トゥ・ハー」(2002)よりは断然マシ。

さらに、サスペンスや人情ドラマ、幽霊話のミステリーにコメディのスパイスまで効かせて、まるでスペイン名物のパエーリャのごとくより取り見取りのエピソードをふんだんに使ったつくりでありながら、味は見かけほど濃くなく、程よくさっぱりなのもイイ。

普通、これだけ風呂敷を広げるとエピソードを回収できなくて中途半端な印象を与えがちだけど、これは全てに答えを用意しないことで逆に観る側に彼女たちの人生の愛の深さ、苦しみや悲しみの深さ、つまりは年輪の深さというものを想像させるとともに、決して癒されない悲しみを抱えながら、しかしそれを力強くはね返してこれからも彼女たちの人生は続いていくのだという余韻を感じさせるものになっていて、巧いつくりになっていると思う。

二代にわたる近親相姦、親父の冷凍庫詰めなど、一見するとヘビーでエグイ映画になりそうなところをサラリと見せてしまうペドロ・アルモドバル。今回は当たりと出たみたい。

といっても毎回怖いものみたさで恐る恐る見ちゃう監督には違いないんだけど・・・。

しかし、ペネロペ・クルスはいつの間にこんなバリバリの存在感オーラを出す女優さんになっちゃったんだ?

小悪魔的なペネロペちゃんが貫禄たっぷりの姐さんになっちゃってて、ちょっとビックリしちゃったんだけど、これは二代目ソフィア・ローレン襲名の日も近い!?

 ----------------------

オール・アバウト・マイ・マザー(1998年・スペイン・101分)NHK-BS

 監督・脚本:ペドロ・アルモドバル

 出演:セシリア・ロス、マリサ・パレデス、ペネロペ・クルス、カンデラ・ぺニャ

 内容:事故で一人息子を失ったマヌエラは、行方知れずになった夫を探しに青春時代を過ごしたバルセロナに旅立つ。そこで彼女は、女装の男娼やレズの舞台女優たちと出会い、自分自身の生き方を見つめ直していく。。

評価★★★☆/70点

結婚していない、子供はもちろんいない、ましてやフツーのノーマルな男である自分が、この映画を本当に理解し、どうこう言うのは笑止千万かもしれないというのが見終わった後の率直な感想。。。

 ----------------------

グッドナイト・ムーン(1998年・アメリカ・125分)NHK-BS

 監督:クリス・コロンバス

 出演:ジュリア・ロバーツ、スーザン・サランドン、エド・ハリス、ジェナ・マローン

 内容:NYで活躍する気鋭の女性写真家イザベル(Jロバーツ)は弁護士のルーク(エド・ハリス)と恋に落ち、同棲を始めた。彼女は、ルークの前妻ジャッキー(Sサランドン)との間に生まれた2人の子供と打ち解けようとするがうまくいかず、完璧な母親ぶりを見せるジャッキーの存在もプレッシャーになっていく。が、そんなある日、ジャッキーに苛酷な運命が訪れ・・・。

評価★★★★☆/85点

相当広い屋敷中に響き渡るというイザベルの夜の営みの雄叫びを聞いてみたいと思わなくもない気がしないでもないというか、、スっんゴク聞いてみたい!

 ----------------------

スタンドアップ

Img56f08f818tirkw 出演:シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、ショーン・ビーン、リチャード・ジェンキンズ、ウディ・ハレルソン、シシー・スペイセク

監督:ニキ・カーロ

(2005年・アメリカ・124分)NHK-BS

内容:1989年、暴力夫と別れ、2人の子供を連れて故郷の北ミネソタに戻ってきたジョージー。子供を養うため、旧友に誘われてジョージーが選んだ仕事は鉱山労働者だった。しかし、男女比30対1という男の職場に飛び込んだ彼女を待っていたのは、男性従業員たちからの悪質な嫌がらせだった・・・。

評価★★★★/80点

宮崎アニメではとかく強い女性たちだが、現実は文字通り糞まみれの悲惨な状況だったというトンでもなお話。

どんどんエスカレートしていくえげつないセクハラとイジメはまるで小中学生のクソガキそのもので、開いた口がふさがらないとはこのこと。

しかも、このイジメの大元に、さらにレイプ&妊娠という過去つながりが出てきて、男からしてもかなりヘコむ内容になっているのだけど、役者陣の素晴らしさに引き込まれて思わず見入ってしまう。

特に、法廷劇としての要素がかなり低く、裁判のプロセスがほぼ無いに等しい中で、母親としての強さ、娘としての強さ、そして働く女としての強さを体現し、映画を引っ張っていくシャーリーズ・セロンの演技は圧倒されてしまうほど見事。

また、脇役陣もフランシス・マクドーマンドをはじめ素晴らしく、特にショーン・ビーンやウディ・ハレルソン、そしてジョージーの父親役リチャード・ジェンキンズの控え目でありながらも鉱山町の風景にしっかり馴染んだ地に足の着いた演技が印象的だ。

時代と社会の常識に安寧することなく抗っていこうとする名もなき女性のパーソナルな部分に焦点を絞っていく今回の映画は、観る者が思わずうなってしまうほど力強い表現力を見せる役者たちに拠るところが大きい作品であるともいえよう。

学生時代、SIT DOWN!(座れゴラァっ!)と言われつづけ、群れの中にいるのが楽でイイと感じるオイラが、ジョージーのように戦うために立ち上がれる日は、、、やって来ないだろうなぁ・・・。そういうオチかよっ・・

 ----------------------

(2002年・東映・111分)DVD

 監督:篠原哲雄

 出演:江角マキコ、豊川悦司、筧利夫、麻生久美子、寺脇康文、樹木希林

 内容:1999年初夏、作家の柳美里は妻帯者の男性との間に子供を身ごもってしまう。出産を迷う彼女は、かつての恋人で劇団主宰者の東由多加を訪ねる。東は自殺未遂などを繰り返す美里の作家としての才能を引き出し育てた恩人でもあり、今でも特別な存在だった。だが再会もつかの間、東がガンに冒されていることが判明する・・・。原作者・柳美里本人の実体験を綴った私小説の映画化。

評価★★/35点

どこから湧き出してくるのか、この映画のネガティブパワー。「重い」映画ならば受け入れ可能だけど、「暗い」映画は副作用が強いのであまり摂取したくありません。。

 ----------------------

プレイス・イン・ザ・ハート(1984年・アメリカ・112分)NHK-BS

 監督・脚本:ロバート・ベントン

 出演:サリー・フィールド、リンゼイ・クローズ、エド・ハリス、ジョン・マルコヴィッチ

 内容:1935年の不況時代のテキサス、保安官の夫を拳銃暴発事故で失ったエドナは、2児を抱えて一家の働き手となり、心細さに加えて家のローン返済を要求されて途方に暮れていた。やがて窃盗容疑の黒人浮浪者をかばって雇い入れたエドナは、彼の協力を受けて自分の土地に綿花を作ることにする・・・。

評価★★★★/75点

いざとなると男はすぐ逃げるが、女は逃げない。男のオイラが言うのだから本当だ!?

2009年10月21日 (水)

オイラの不思議体験アンビリバボー

オイラは霊そのものは見たことがないけど、信じるor信じないどっちつかずというか、地球外生命体と同じで、「いるかもしれない」「いてもおかしくない」というスタンスかな。

とはいえ、自分自身、オカシな体験というか、これって実は、、、なの?という体験は何度かあって。

まず、高校生だったかの時、居間でテレ朝の深夜番組「トゥナイト2」というエロエロな番組を親に気付かれないように見ていたときのこと(笑)。

ちょうどオイラが座ってたソファの目線の3メートルくらい先にガラス張りのドアがあって、そのドアのすぐ右手に2階に上がる階段があるんだけど、そのドアの右上隅から何か白いモノがヌッと顔を出したんだよね。あくまでもオイラの目線はソファの斜め左にあるテレビに釘付けだったんだけど、視線の片隅に変なモノが入ったというのは分かって。

オイラはそれは母親か弟が階段から顔を出してエロイ番組見てるのかぁ?と居間を窺っているのだと思ったんだけど、それにしては異様に“白い”んですよ、そのモノが・・・。

んで、フッとドアの方を見るとパッとそれは階段の方に引っ込んで、オイラはすぐにソファを立ってドアを開けて、2階の方を見たんだけど、2階に上がっていく者もいなければ物音ひとつしない。。

えっ?何だったんだ今の?という・・・。

ふたつめは、オイラが仙台で一人暮らしをしていた時のこと。太白区の向山というところにあるアパートに大学3年生から社会人2年生まで4年間住んでたオイラ。でも、向山ってお寺が多くて。。。

アパートの道を挟んで向かい側に砂利の駐車場があって、そこに車を停めてたんだけど、駐車場のすぐ隣がお墓で・・・。しかも、駐車場とお墓の仕切りみたいなのは全くなくて、1メートルくらいの土手があるだけ。

んで、オイラの車の停車位置が運悪くその土手に面しちゃってて、しかもその土手の中腹に子供のお墓と思われる小さな墓石が今にも崩れそうに立ってたんです

そして、ある夜、、雨で車のフロントガラスが曇ってしまったんだけど、その曇ったフロントガラスに何かの小さな“跡”が・・・。

オイラは、カラスか何かの鳥の足跡かと思ったんだけど、じぃっ~と見ると、、、なんですよ!赤ん坊くらいの小さな・・・ガクブル(((;゜д゜)))ガクブル

でもオイラはそれは鳥の足跡だと決め込むことにしてやり過ごしたんだけど、フロントガラスが曇るたびにそれは出てきて・・・。

でも、向山から宮城野区に引っ越したことを境にそれは消えちゃったんだよね。何だったんだろう。

あと、その住んでたアパートの部屋もかんじの良くない部屋でww、2階建てアパートの1階の6畳一間ロフト付きの部屋だったんだけど、下見した時から薄暗くてなんかイヤだなぁとは思ってたんだけど、家賃が3万9千と安かったこともあって契約したんだよね。

でも、住み始めて2ヶ月くらい、前の住人宛ての請求書やらハガキなんかが来て、若い女性だったようだけど、住所変更しろよ!と思いつつ、、、さらにその女性、野良ネコを部屋に入れてたらしく、トイレや襖の木枠に引っ掻き傷がいくつも付いてて、最初の頃はそのネコがエサ欲しさにニャーニャー玄関のドアの前で鳴いてたんだよね。オイラは無視し続けたけど・・。

そういうこともあって、なーんかイヤな雰囲気が漂ってて、まぁそれでも住めば都なんだけど、その部屋に慣れるまではかなり時間がかかったもんなぁ。。

しかし、そんなある時・・・。

オイラはロフトでいつも寝てたんだけど、ある夜、ガチャッと玄関のドアが開く音がしたわけ。

え゛っ!?何!?泥棒!?と思いつつジッと息を潜めていると、明らかに部屋に上がってくる音が、、、。こりゃ完全に泥棒だなと思って、意を決してロフトの電気を付けてバッと顔を出して下を見て叫んだんだけど、ダーレもいない。

えっ!?と思って下に降りてもダーレもいない・・・。

隣の部屋の音だったのだろうかと思いつつ、その時は、あ~良かったと思ったんだけど、2ヶ月くらいに1回くらいの割合で忘れた頃にその音はやって来て・・・。

でも、何回目かの時に、これは明らかに隣室の住人の音だなという時があって、その時を境にこれは隣室の音だ隣室の音だと思い込んでやり過ごすようにしてたんだけど。

でもでも、よくよく考えてみれば、あの引っ掻き傷って本当にネコのものだったのか?前の住人はそもそもネコを部屋に入れてたのか?もしかして前の住人である若い女性は、、、と考え出したら怖くなったのでやめた(笑)。

そうそう、そいえばそんな時に見たのが「リング」(1998)。部屋でビデオで見たんだけど、テレビから貞子が出てくるシーンは絶叫ものだったね(笑)。

とにもかくにもオイラはあのアパートにはもう住みたいとは思いません。ていうかよく4年間もあそこに住んでたなぁと今では思っちゃうわな・・。

そして、みっつめ。。

杜の都仙台から盛岡に帰ってきて、27の時に年上のバツイチ子供なしの女性と付き合い始めたんだけど、その頃のお話。

付き合って1年くらい経ってて、彼女のアパートに泊まりに行ってたある夜、のどが渇いて何か飲み物を飲もうと冷蔵庫に向かってたら、台所の片隅に何かが居るわけ。目線の片隅に居るわけよ。

えっ?と思って見たら、赤ん坊なわけよ・・・ヾ(;゜曲゜)ノギャア!

叫び声を挙げて腰抜かすオイラ・・・。

、、がしかし、よく見ると、それは女性もののバッグで・・・。

ようするに単なる錯覚だったんだけど、でも、ホント赤ん坊にしか見えなかったの。。

しかも、それから数時間後、この時のことをすっかり忘れきってしまってたオイラはまたまたのどが渇いて冷蔵庫に行ったら、まーた同じ錯覚で腰抜かしちゃって(笑)。もう何なんだこれは。。

も、もしかして彼女との間に子供ができちゃう顕れなのか!?と思ったりもしたけど、結局子供もできないまま1年半くらいで彼女とはお別れしますた・・。

でも、彼女にはホントに子供がいなかったのかなぁ、、なんてことも思っちゃったり。ま、今となってはどうでもいいけど。

まぁ、この3つくらいかなぁ、不思議な体験といえるものは。

でも、霊そのものは見たことないから、なんとも言えへんなぁ、、というのがやはり結論になっちゃうわな。。もちろんそんなん見たくもないけどね(笑)。

ブログネタ: あなたは霊を信じますか?参加数

2009年10月18日 (日)

夢のシネマパラダイス434番シアター:真実のとき

真実の瞬間<とき>

2 出演:ロバート・デ・ニーロ、アネット・ベニング、ジョージ・ウェント

監督・脚本:アーウィン・ウィンクラー

(1991年・アメリカ・104分)NHK-BS

評価★★★☆/70点

内容:1950年代にハリウッドを吹き荒れた赤狩りの嵐に、敢然と立ち向かった1人の映画監督の姿を描く人間ドラマ。1951年9月、売れっ子監督のデイヴィッド・メリルは、20世紀フォックスの代表ダリル・F・ザナックから、非米活動委員会の共産主義者のリストに自分の名が挙げられていることを聞かされた。助かるために誰かを告発するよう勧められたメリルは、「友人を売れるかバッキャロー!」と一蹴し、そのため撮影所への立ち入りを禁止されてしまう・・・。

“Shame on you!Shame on you!”

こういうことを労力をかけてわざわざ映画にしなくてもいいような時代と社会であってほしい。

映画という媒体には観る者に思考と議論を呼び起こし、“真実”に対する理解を促す、そういう力が備わっているのは百も承知なのだけど、それ以前に本来映画というのは夢を売るものなのだから。

それを夢と親友を強制的に天秤にかけさせることを平然とやってのけていた時代があったなんて・・。デ・ニーロの「恥を知れ!」という言葉が深く耳に残る。

 ----------------------

大いなる陰謀

Lions_lambs_2_1a 出演:ロバート・レッドフォード、メリル・ストリープ、トム・クルーズ、マイケル・ペーニャ

監督:ロバート・レッドフォード

(2007年・アメリカ・92分)WOWOW

内容:対テロ戦争の持論を展開している共和党のホープと謳われる上院議員アーヴィング(トム・クルーズ)は、世論の支持を得てポイントを稼ごうとベテラン女性ジャーナリスト(メリル・ストリープ)の単独インタビューを行う。だが、アーヴィングが掲げた戦略の裏に“仕組まれた真実”が潜んでいると確信した彼女は、その真相を明らかにしようとする。そんな中、大学教授(レッドフォード)の教え子である2人の若者は戦地アフガニスタンで新たな作戦に就こうとしていた・・・。

評価★★☆/50点

映画見終わったあと、“大いなる陰謀”という大仰な題名をつけるほどの映画なのか!?と疑問に思ってしまったが、しかし少なくともオイラにとっては常識中の常識であることを、かの国の人々からすれば大いなる陰謀として目に映ってしまうのだとしたら、アメリカという国はほとほと救いようがないと言わなければならない。

例えば、ヒスパニックと黒人の学生が奨学金目当てに志願兵にならざるをえない現実、つまりは貧困層やマイノリティが戦場に駆り出される現実というのはベトナム戦争から何にも変わっていないわけで、それこそトム・クルーズが20年前に主演した「7月4日に生まれて」(1989)なり「プラトーン」(1986)などでさんざん描かれてきたことだろう。

あるいは、マイケル・ムーアの「華氏911」(2004)で描き出される現実の方がよっぽど苛酷で真に迫ってくる。

それをこの映画では、ネオコンの論理を能弁と語りつくす共和党上院議員と結果的には風見鶏と化してしまうジャーナリスト、そして椅子にカッコ良く佇むだけのリベラルなインテリ教授というステレオタイプのキャラクターに、三者三様のこれまたステレオタイプな会話劇をおっかぶせるだけで描こうというのだから、作り手のストレートな真摯さがかえってあざとく見えてしまいなんとも薄っぺらいものとしか感じられなくなってしまう。

大学院に進みたいと思いながらも、そのために銃を手に取り国のために戦わなければならないマイノリティの学生と、その対極にいるような裕福な環境に恵まれながら無気力と無関心の塊の白人学生の対比など、その言わんとするところは分からなくはないのだけども、こんなありきたりなレベルの描写じゃ考えさせられるところまではいかないわな。。

まぁ、これだけの大スターを揃えたからなんとか体を保っていられる作品だといえると思うけど、でも、この「大いなる陰謀」って邦題だったのね。って配給会社の陰謀だなこれはww。

原題は「子羊に率いられたライオン」か。こっちはこっちで意味深な題名に内容が追いついていないと思うんだけど・・・。

 ----------------------

海と毒薬(1986年・日本・123分)NHK-BS

 監督・脚本:熊井啓

 出演:奥田瑛二、渡辺謙、田村高廣、神山繁、成田三樹夫、西田健、岸田今日子、根岸季衣

 内容:昭和20年5月、大学医学部の研究生・勝呂は連夜の米軍による空襲の下、鬱屈した日々を送っていた。医学部では部長の死去により、後任の座を第一外科の橋本教授と第二外科の権藤教授が争っている。劣勢の橋本は失地回復を焦り、軍から委嘱された米軍捕虜8名の生体解剖を受け入れた。肺切除の限度と絶命との関連を調べる名目の手術に臨んだ勝呂は、動揺を隠せなかったが、同僚の戸田はためらいなく役目をこなしていくのだった・・・。第二次世界大戦末期に実際に起きた、米軍捕虜に対する生体解剖実験を題材にした社会派ドラマ。

評価★★★★/80点

グロい手術シーンを見てるとき、20数年看護婦やってるウチのオカンが言った一言、、、

「あ、これ豚の内臓だわね。あ、こっちは絶対マグロのだわ。」と何事もないかのように、あっけらかんとした表情で言うオカン。。

オカン、あちら側の人間になっちゃってたのね・・・

 ----------------------

キリング・フィールド

01killing_fields 出演:サム・ウォーターストン、ハイン・S・ニョール、ジョン・マルコヴィッチ

監督:ローランド・ジョフィ

(1984年・英/米・141分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:70年代初頭、ベトナム戦争の戦火は隣国カンボジアにも飛び火し、アメリカが支援するロン・ノル政権と革命勢力ポル・ポト派の過激派クメール・ルージュによる内戦は激化の一途をたどっていた。ニューヨーク・タイムズ紙の特派員であるシドニー・シャンバーグは、現地通訳のプランとともに取材を続けていた。しかし、1975年にクメール・ルージュが首都プノンペンを制圧すると、シャンバーグは国外退去を余儀なくされ、プランとの音信は途絶えてしまう。一方、プランは、想像を絶する虐殺を行うクメール・ルージュの苛烈な支配を逃れて、決死の逃避行を繰り広げていた・・・。アカデミー助演男優賞を受賞したハイン・S・ニョールは実際にポル・ポト政権の恐怖政治を体験したカンボジア難民。しかし、1996年にNYで何者かによって射殺された。

“戦争にはヒーローやヒロインなんていないんだという冷徹な視点が、映画に重みとリアリティを与えている。”

カンボジア人の通訳兼ガイド、ディス・プランの必死で生き抜こうとする姿、真実を伝えようとする姿が戦争という残酷な実態を淡々と、しかし力強く暴き出していく。

こういう戦争映画も珍しいと思うのだけど、アメリカではなくイギリスの作品という面が影響しているのかも。

それにしても年端も行かぬ少年たちや少女までもが銃を構えている姿には心が痛む。

そして、子供たちが兵士にされている現実はベトナムから40年近く経った今も変わっていない・・・。

現在世界には40カ国で約30万人の児童兵が戦場で働かされているという(2004年作品の「イノセント・ボイス-12歳の戦場」より)。

銃と殺戮ではなく、夢と笑顔を与えられる世界になることを願うのみです。

 ----------------------

グッドナイト&グッドラック

Good 出演:デヴィッド・ストラザーン、ジョージ・クルーニー、ロバート・ダウニー・Jr

監督・脚本:ジョージ・クルーニー

(2005年・アメリカ・93分)2006/05/10・盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

内容:1953年、米ソ冷戦が激しさを増す中、アメリカ国内ではマッカーシー上院議員を旗頭に、国内の共産主義者の徹底した排除活動「赤狩り」の嵐が吹き荒れ、アメリカ全土を覆っていた。共産主義者とみなされた者はどんな職業であろうと容赦なく職を奪われていく。そんな中、CBSの人気キャスターであるエド・マローとプロデューサーのフレッドは報道番組「シー・イット・ナウ」の中で、マッカーシーこそがアメリカの自由の敵であると訴える内容の放送に踏み切るのだが・・・。

“その男、監督につき、その名はジョージ・クルーニー”

正直心を突き動かすような激しい情動と荒ぶる波動に乏しく、どこまでも一定の周波数で描かれ、モノクローム映像や当時のドキュメンタリー映像ともあいまって落ち着きすぎの感は否めない。

その忍耐限界ギリギリの90分弱で収めたのは大正解だろう。

しかし、その90分を通して貫かれるエドワード・マローの静かなる目線は決してブレることなく、その眼光は熱く煮えたぎっていた。

おそらくこの鋭い眼光が見据える先にあるのは、国際社会で強引な手法で暴走を続ける今現在のアメリカなのだろう。もっと突っ込んで言えば、ブッシュその人なのだろうと思う。そして9.11以降の恐怖を煽るような偏ったジャーナリズムにも・・・。

これは今、作っておかなければならない、そして観ておかなければならない映画なのかもしれない。

激しく揺れ動く現代情勢において、この恐ろしいまでに堅実で落ち着き払ったモノクロームの映像世界がやけに重くのしかかってくる。

ジョージ・クルーニー。確かな監督である。

次回作が楽しみだ。

(初記)2006/05/11

2009年10月 5日 (月)

レアル・マドリー狂想曲第66番:新生レアルの序盤戦

大型補強に300億円以上の大金を注ぎ込んだ我が愛しのレアル・マドリー。

Photo 開幕から1ヶ月以上経ち、8試合戦って7勝1敗、得点25、失点6と数字だけみれば上々の滑り出しを見せているが、その中身は完成形には程遠いものとなっている。

特に、今日のセビージャ戦は、1-2の完敗で、レアルの綻びと弱点がもろに露わになった試合となった。

序盤戦の基本フォメは、

                 ベンゼマ

   ロナウド          ラウル           カカ

         シャビ・アロンソ      ラス

  マルセロ                          Sラモス

           ぺぺ         アルビオル

                 カシージャス

ベンゼマのところにイグアイン、マルセロのところにドレンテ、Sラモスのところにアルベロア、ピボーテのところにガゴとマアマドゥ・ディアッラ、また中盤ではグティとグラネロ、CBのところにもガライ、メッツェルダーがバックアッパーとして控えている。

攻撃面では、ロナウド・ラウル・カカは流動的にポジションを変え、ベンゼマも1トップに張り付くというよりは、ボールを受けにサイドに開いたり動き回り、単純なフィニッシャーというタイプではないように見受けられる。

Photo_3 その中で、リーガで5点、CLで4点を叩き出し、その能力をいきなり見せつけているのが、ロナウドだ。

パスサッカーを身上とするぺジェグリーニ監督との相性に不安はあったものの、フタを開けてみれば完全にチームになくてはならない存在に。

途中交代させられて憤慨するなど、独善的な面もすでに出てきたものの、やはりその能力は規格外。その得点能力もハンパないし、序盤戦だけでマンU時代の活躍はリーガでも保証されたようなもの。

唯一恐いのは怪我なんだけど、先日のCLマルセイユ戦で相手に削られ、右くるぶしを痛めてしまい、セビージャ戦は欠場、そしてあえなく敗戦。昨シーズンはロッベン依存症だったレアルだが、今季はすでにロナウド依存症か・・!?

1254341949_extras_albumes_0 一方、もう一人のメガクラックであるカカもすでにチームにとってかけがえのない存在になっている。

どうやらぺジェグリーニはロナウドよりもカカの方を主軸に考えているようだけど、ロナウドは自由奔放にやらせて、イタリア仕込みの戦術理解度のIQが高いカカに中心的役割を与えようとしているのかも。

そして、中盤ピボーテのところには、活きたパスでリズムを生み出しタクトを振るうシャビ・アロンソがこれまたなくてはならない存在になっているし、守備陣でもぺぺ不在の穴を見事に埋めたアルビオルと、選手個々は合格点を上げてもいいかんじ。

、、なのだが、それがチームにうまく還元されているかというと、正直疑問符で・・。

1+1が2にしかなっていなくて、チーム力が増幅していかないんだよね。バルサという完成形がすぐそばに横たわっているだけに、どうしてもその違いがねぇ・・。

また、守備面では、上記の布陣でいえばロナウドとマルセロの間、カカとSラモスの間のスペースが弱点で、これはシュスター時代もそうだったんだけど、今日のセビージャ戦なんてその典型で、セビージャ十八番のサイド攻撃でいいように切り裂かれてしまった。

週2で試合をこなす過酷な日程の中で、運動量が落ちてきてチェック&チェイスが遅れ気味になってしまうのはあれど、そこは昨シーズンより格段に選手層が厚いので上手くターンオーバー使って乗り切って欲しいところ。

1253474046_extras_albumes_0 あと、今日の試合は散々だったけど、序盤戦で存在感を出しているのが、ラウルと並ぶレアル生え抜きのグティ。

カカがなんやねん!ロナウドどないなもんじゃい!アロンソ知らねぇ!といわんばかり(笑)に結構ガンバッてると思うな。

とにもかくにも、何かタイトルを取ってもらわないと。まぁリーガかCLなんだけど。

特にCLは決勝の舞台がサンチャゴ・ベルナベウだけに、ビッグイヤー獲りたいけどなぁ。

頑張れマドリー!アッラ・マドリーー!!

« 2009年9月 | トップページ | 2009年11月 »

2023年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ