夢のシネマパラダイス17番シアター:人は泣き、笑い、叫び、そして歌う
エディット・ピアフ~愛の讃歌~
出演:マリオン・コティヤール、シルヴィー・テステュー、パスカル・グレゴリー、エマニュエル・セニエ
監督・脚本:オリヴィエ・ダアン
(2007年・仏/英/チェコ・140分)WOWOW
内容:1915年、フランス・パリ。第一次大戦に出兵中の父、路上で歌を歌い日銭を稼ぐ母のもとに生まれた少女は、その後祖母が経営する娼館に預けられた。やがて兵役から戻った父に引き取られると、路上で大道芸をする父の手伝いをする中で、自らも人前で歌うことを覚える。そして1935年、彼女はパリ市内の名門クラブのオーナー、ルイ・ルプレにスカウトされ舞台に立ったことで大きな転機を迎えることになる・・・。伝説のシャンソン歌手エディット・ピアフ、彼女の47年間の激動の生涯を綴った伝記映画。アカデミー主演女優賞を受賞。
評価★★★☆/70点
晩年のエディット・ピアフと若かりし頃のエディット・ピアフをランダムにクロスオーバーさせた構成はあまりにも拙く、伝記映画としては下手な部類に入ると思うのだけど、マリオン・コティヤールの圧巻の演技が全てをわしづかみにしていったかんじで、終わってみれば映画の中に引きずりこまれっぱなしの140分だった。
とにもかくにもマリオン・コティヤールのバケモノ演技は必見で、エディット・ピアフはどういう人物でどういう人生を送ったのか、それすら途中からどうでもよくなってくるほどだ。
普段の下卑た声と話し方から一転、歌いだすと天性の歌姫に変貌する様は、自分の世代からいうと美空ひばりよりは浜崎あゆみと通じるものがあるように思うのだが、歌うことをやめたら自分を信じられなくなる鬼気迫る姿を全身で表現し、身を震わせて歌うという言葉を文字通り体現したエディット・ピアフ=マリオン・コティヤールに圧倒され、思わず涙してしまった。
特に、彼女の初コンサートシーンで、あえて歌声を流さず、ステージ上での彼女の一挙手一投足のパフォーマンスのみを静謐に捉えた演出は白眉で、ただただスゴイの一言。
どうやら歌のシーンはほとんどがピアフ本人の本物の歌声を吹き替えしてるそうだけど、それにしたってマリオン・コティヤールの演技は絶賛されてしかるべきで、アカデミー賞獲ったのも納得できる。
音楽映画では、ビョークの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2000)以来の衝撃を味わわせてもらった。
それにしても「TAXi」シリーズで、ことあるごとにエッチをすっぽらかされるコメディエンヌぶりとエロ可愛さが印象的だったマリオン・コティヤールが、こんな怪演を見せるなんて思いもしなかったなぁ・・・。
女優って、凄い。。
-----------------------
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999年・独/仏/米/キューバ・105分)早稲田松竹
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:ライ・クーダー、伝説のキューバ・ミュージシャンたち
内容:ライ・クーダーがキューバ音楽の古老たちと創り上げたアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は世界中で100万枚以上のセールスを記録。1997年のグラミー賞を受賞した。そんなキューバ音楽に魅せられたヴェンダースとライ・クーダーが綴る情緒豊かな街並み、アムステルダムでのコンサート、NYカーネギーホールでの歴史的ステージ、そして人生の哀歓をキューバ音楽とともにフィルムに収めた音楽ドキュメンタリー。
評価★★★☆/70点
とにかく地味。とにかく無欲。とにかく生きる。とにかく歌う。とにかく現役。とにかく刻む。
彼らの魂を、伝説を、ロマンスを、、人生を!
-----------------------
監督:ダレル・ジェームス・ルート
出演:ウーピー・ゴールドバーグ、レレティ・クマロ、ミリアム・マケバ
内容:1968年、アパルトヘイト政策下の南アフリカ。ソウェトの黒人居住区に住むサラフィナはスターになることを夢見る高校生。担任でもあり、アフリカの真実の歴史を教え込む良き歴史教師のメリー先生のもとで楽しい学校生活を送っていた。そんな学校生活で1番の目玉は学園祭。そしてその学園祭でサラフィナたち生徒はメリー先生の指導のもと、出し物にネルソン・マンデラを主人公にした創作ミュージカルをやろうとするのだが、、、そんなある日、子供たちに危険思想を植え付けたとしてメリー先生が警察に連行されてしまう。。。学生によるアパルトヘイト抵抗運動「ソウェト蜂起」をテーマにした同名ブロードウェイミュージカルの映画化。
評価★★★☆/70点
“人は泣き、笑い、叫び、そして歌う”
単なるメッセージ映画としか言いようがない出来なのが惜しいが、この映画にみなぎるパッションとエネルギーにはもの凄いものがある。
それゆえミュージカル仕立てにした真意も空回りしてしまっているのだが。。
しかし、対話の中で歌ほど人の心に届きやすいものはないわけで。ただの言葉よりも。
絶望と希望の狭間でうごめく人々、その人間性の最後の拠り所として歌ほど大きい力はないのはたしかなのだ。
« 夢のシネマパラダイス183番シアター:相棒-劇場版-絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン | トップページ | 夢のシネマパラダイス446番シアター:隠し砦の三悪人 »
コメント
« 夢のシネマパラダイス183番シアター:相棒-劇場版-絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン | トップページ | 夢のシネマパラダイス446番シアター:隠し砦の三悪人 »
>それにしても「TAXi」シリーズで、ことあるごとにエッチをすっぽらかされるコメディエンヌぶりとエロ可愛さが印象的だったマリオン・コティヤールが、こんな怪演を見せるなんて思いもしなかったなぁ・・・。
こういう記事、書くときって、どんな心境なんですかねえ?
知りたいものです。
投稿: ウェルダン穂積 | 2009年9月23日 (水) 15時23分