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2009年9月25日 (金)

夢のシネマパラダイス446番シアター:隠し砦の三悪人

Poskakushi 出演:三船敏郎、千秋実、藤原釜足、上原美佐、藤田進

監督・共同脚本:黒澤明

(1958年・東宝・139分)

評価★★★★★/100点

内容:目的達成のために難関を潜り抜けていく男たちの脱出行を、スリルとサスペンスとユーモアたっぷりに描いた痛快娯楽アクション。戦国時代、隣国の山名家と戦って敗れた秋月家は、世継ぎの雪姫を擁して隠し砦にこもった。姫の護衛を務める秋月の侍大将・真壁六郎太は、近くの泉に隠しておいた軍資金200貫を取り出して、同盟国の早川領へ脱出を計る。六郎太は近くの沢で2人の貧しい農民、又七・太平と出会い、雪姫の身分を隠した上で、彼らを脱出に利用することを思いつくが・・・。ちなみに漫才コンビのような2人の農民(千秋実と藤原釜足)はあの「スター・ウォーズ」のC-3POとR2-D2のモデルになっているといわれている。

“「又七ぃ、仲良ぐすべぇなぁ。」「んだぁ。仲良ぐすべぇ」”

もう最っ高です。

最近「雨あがる」を観たのだけど、槍を振り回すお殿様と主人公(寺尾聰)のおちゃらけ腕試し試合などほんの一瞬で霞んでしまうくらい、もっのスゴイ六郎太と田所兵衛の一騎打ちをはじめとして見所は満載!

何が凄いって、この一騎打ちの場面に象徴されるように、命をかける荒い息遣いがヒシヒシと伝わってくるのが黒澤映画の凄いところだ。

そしてなによりあの一騎打ちの場面では、武士の作法に則らずに、負けた田所兵衛の首を討たないで「また会おう!」と言い残して颯爽と立ち去る六郎太の姿に自分の血は踊りまくるのである。

黒澤映画に出てくる人間は皆生きることに必死だ。一生懸命だ。それはこのような娯楽大作においても変わらない。

生きることに必死なその分かりやすい形として、果てることのない欲に捕われつづける又七と太平のコミカルな人物造型も出色の出来栄え。

雪姫はなんだかオーバーヒート気味のロボットを見てるみたいだったけど、それもまた良し。楠田枝里子の若かりし頃だったりして(笑)。。

何度でも言ったる。ホント最高っス!

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隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS

488 出演:松本潤、長澤まさみ、椎名桔平、宮川大輔、甲本雅裕、高嶋政宏、阿部寛

監督:樋口真嗣

(2008年・東宝・118分)盛岡フォーラム

内容:時は戦国時代。とある地方に秋月、早川、山名という3つの国があった。ところが、秋月が山名に攻め入られ脆くも陥落。しかし、山名勢が秋月の城を血眼になって探しても秋月の莫大な軍資金である黄金百貫はもぬけの殻だった。そんな折、その軍資金探しの強制労働をさせられていた武蔵(松本潤)と新八(宮川大輔)は隙をみて逃走、すると偶然にも滝のほとりで黄金を見つける。が、そこに六郎太という男が現れ・・・。

評価★★☆/50点

黒澤明のオリジナル作はオイラの中の邦画ベスト5に必ず入ってくるほど大好きなので、そのリメイクとなるとどうしても辛口にならざるを得ないんだけど、そう思う間もない駄作だったというオチ・・・(笑)。

滅亡の危機にある秋月家の姫君御一行が、お家再興を目指して軍資金を持って敵領内を通って同盟国に脱出するという設定は面白くならないはずがないので、このリメイクのキモは映像面、特に監督がCG特撮畑の樋口真嗣だけに、どんだけスケール感たっぷりのスペクタクル映像を見せてくれるのかと期待していたのだけど。

が、、フタを開けてみたら、満足度はかろうじて50%に届くか届かないかといったところ・・・。と同時に、いかに黒澤オリジナル作が素晴らしくスゴイ映画なのかということを実感できたという点では意義のある今回のリメイク作だったのかもしれない。。

まずは肝心の映像面だけど、例えば冒頭、武蔵(松本潤)と新八(宮川大輔)が雪姫(長澤まさみ)を追って岩山を駆け上がると眼下に隠し砦があるというシーン。

オリジナル作では、かなり傾斜のキツく見える瓦礫の小山を農民の又七(藤原釜足)と太平(千秋実)がヒィヒィ言いながら、時おり足をとられて滑り落ちたりして、そしてなんとかてっぺんまで登ると思わずのけぞってしまうほどの眼下に隠し砦が小さく見えるという、とにかくこのシーンひとつとっても、CGなどない時代でも創意工夫によってスケール感とダイナミックさが出せることを如実に示していて、そこは例えば「天国と地獄」(1963)なんかでも顕著なんだけど、望遠レンズの使い方や俯瞰ショットの構図など奥行きや広がりを意識した空間の切り取り方と見せ方がハンパなく上手いんだよね。

ところがだ、今回の映画ではちょちょいのチョイで岩山を登っちゃうんだ、、、そこで観てるこっちとしてはあれっ?と思っちゃうわけ。。

んで、この映画はそういうあれっ?て思うシーンのオンパレードなのよ(笑)。

オリジナル作でも見せ場だった、六郎太の凄みがあらわになる疾駆する馬上での殺陣シーンも作りもの感が否めず、大団円に出てきたドでかい第二の隠し砦でのあくせくしたアクションも含めて、生の息遣いが聞こえてこないただのアトラクションにしかなってないのには正直ガックリきた。

さらにだ、面白くならないはずがないストーリー設定を面白くなくしてしまう芸当にもただただア然・・・。

オリジナル作ではコメディリリーフ役を担っていた又七・太平のうち片方を若い主人公にすることで、視点を変えてきたのは悪くはないのだけども、ストーリーを転がしていってくれるコメディリリーフ役不在の補填となるべき物語の強度は脆弱そのもので、まさか高嶋政宏のホモ代官に笑いの要素を全部詰め込んだわけでもなかろうにww。

まぁ、この監督さんが人間ドラマを描けないのは以前から分かってたことだけど、主人公を代えたことで主となるはずの雪姫と武蔵のラブストーリーになんのカタルシスも生み出せないのだからもうどうしようもないわな。

“裏切り御免”ならぬ“斬り捨て御免!”だな。。

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