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2009年8月29日 (土)

夢のシネマパラダイス60番シアター:マイティ・ハート/愛と絆

マイティ・ハート/愛と絆

Mightyheart_2 出演:アンジェリーナ・ジョリー、ダン・ファターマン、アーチー・パンジャビ、イルファン・カーン、ウィル・パットン        

監督:マイケル・ウィンターボトム

(2007年・アメリカ・108分)CS

内容:2002年1月。パキスタンのカラチでウォールストリート・ジャーナルの記者ダニエル・パールが何者かに誘拐された。共にジャーナリストとして活動してきて、妊娠5ヶ月になる妻マリアンヌは地元警察とともに必死の捜索を開始するが・・・。

評価★★★/65点

パキスタンでウォールストリート・ジャーナル紙の記者がテロリストに誘拐され、自身もジャーナリストである妻が関係機関と協力しながら夫の帰りを待ち続ける姿をドキュメンタリータッチで追った作品。

アメリカとイスラムの対立という単純な構図の裏に、ユダヤ系アメリカ人という出自から夫ダニエルがイスラエル諜報機関モサドの工作員と疑われてしまったり、夫の同僚であるインド人記者から見えてくるパキスタンとインドのただならぬ関係など、一筋縄ではいかない複雑な文化・歴史・地域的関係というのが垣間見えてくるわけだけど、あくまでも垣間見えるというだけで、その深層まで描ききるまでには至っていないのがややイマイチなところではある。

それは多分に、2002年というさほど遠くない最近の実話をもとにしていることと、ドキュメンタリータッチという視点からやや平板な事実の羅列にしかなっていないと揶揄されても仕方ないような演出によるところが大きい。

しかし、その中で、ジャーナリストとしての客観的視点と、夫を愛する妻としての主観的視点を併せ持つ賢明な女性を、いつもはエキセントリックでワイルドな印象を抱かせるアンジーが抑えた演技で表現していたのは真に迫っていて印象的だったし、映画のバランスを保っていたと思う。

また、彼女の精神的強さのバックボーンにあるのが仏教というのは興味深かったんだけど、そこらへんの人物描写がもうちょっとあれば良かったのになぁとは思った。

もっと突っ込んで事件の背景にある底知れぬ闇をえぐり出して描き出してほしかったというのが本音ではあり、悲劇的な実話から見えてきたのが妻マリアンヌの凛とした強さだけというのはあまりにも中途半端ではあるんだけど、まぁ今この時期に映画化するという観点ではこれが限界なのかもね。もうちょっと時代を経ないと。。

しかし、アンジーはなかなか良かったなぁ。「ひまわり」(1970)のソフィア・ローレンのような役柄も見たいような気になってきたゾ!

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イン・ディス・ワールド(2002年・イギリス・89分)WOWOW

 監督:マイケル・ウィンターボトム

 出演:ジャマール・ウディン・トラビ、エナヤトゥーラ・ジュマディン

 内容:パキスタンのペシャワールの難民キャンプにはアフガニスタンから逃れてきた難民たちであふれていた。15歳の孤児ジャマールと従兄弟のエナヤットは、そこで育ち暮らしていた。そんなある日、エナヤットの父親は息子の将来を案じて、密入国業者に大金を払い、エナヤットを親戚のいるロンドンに向かわせることを決意。英語を話せるジャマールも同行することになり、2人は6400キロ彼方の亡命先へ死と隣り合わせの危険な陸路の旅に出ることになる・・・。ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞。

評価★★★/65点

命のリレーといえば聞こえはいいが、まるでベルトコンベアーで流されていく宅急便の箱のような無味乾燥さを覚えてしまったのもたしか。

それがこの世界の現実なのか・・・。

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アフガン零年(2003年・アフガニスタン・82分)東京都写真美術館

 監督・脚本:セディク・バルマク

 出演:マリナ・ゴルバハーリ、モハマド・アリフ・ヘラーティ

 内容:タリバン政権下のアフガニスタンでは、女性は身内の男性の同伴なしには外出が厳しく禁止されていた。そんな中、男たちを全員戦争で失い、祖母と母親、そして12歳の少女の3人だけになってしまった一家があった。外出もできずに生活の糧を失ってしまった一家は、仕方なく少女を男の子に変装させて働かせることを決意し、おさげ髪をバッサリと切って亡き父の戦友だったミルク屋に働きに出す。しかし、タリバンが兵士育成のために少年たちを招集し始め・・・。カンヌ国際映画祭でパルムドール受賞。

評価★★★☆/70点

映画で描かれる本当の不幸というものを初めて見せられた気がする・・。哀しい哀しい物語です。

2009年8月21日 (金)

夏の全国高校野球:花巻東!岩手県勢90年ぶりベスト4!!

2009082100000026jijpspoview000 オイラがこの世に生まれて31年。ついにこんな日がやって来ようとは。

第91回全国高校野球選手権大会の準々決勝で、おらが県の岩手代表・花巻東が大分県代表・明豊高校と対戦し、延長戦の激闘の末、7-6で勝利。岩手県勢90年ぶりのベスト4に駒を進めた。

2009082100000017jijpspoview000 試合は、花巻東が4回までに4-0とリードし、投げては先発の菊池雄星が4回までパーフェクトピッチングを披露。

しかし、5回裏、先頭打者に四球で初めてのランナーを出し、左腰あたりを気にし始めた菊池雄。この時、背中に強烈な痛みを感じたという菊池はこの回、犠牲フライで1点取られ、2アウトまで取ったものの、2番手ピッチャー猿川に交代。菊池はレフトに入り、様子を見たものの6回表の攻撃で代打を送られベンチに退いた。

4回表の攻撃時に、バントした菊池雄が1塁上で野手と交錯したことが影響したのかどうかは分からないけど、菊池雄が交代した時点でヤッバイなぁ・・と思ってしまったんだけど。。

案の定、6回裏、明豊は猿川を捕らえ始め、2点を返し4-3。

正直、この時点でオイラの心の中には負けフラグが立ち始め・・・。

打線の方も5回から3番手としてマウンドに上がった明豊・山野をなかなか打ち崩せない。流れは完全に明豊へ。。

そして、8回裏、、1アウト1,2塁からタイムリー2塁打を打たれて同点に。さらに2塁打を打たれて2点加えられて4-6に。。

正直、この時点で終わったと思ったオイラ・・・。

しかし、9回表。

先頭の3番川村から、4番猿川、5番横倉の3連打でなななんんと同点に!!その後1アウト3塁と勝ち越しのチャンスを迎えたものの、この日先発だった今宮が4番手として再びマウンドに上がり、最速154キロを2度出す力投を見せて抑える。

2009082100000024jijpspoview000 9回裏、ランナー1、2塁となったものの猿川が踏ん張り、ついに延長戦へ。。

仕事しながら携帯のワンセグで食い入るように見るオイラ・・。

延長10回表。1アウトから1番柏葉が内野安打で出る。

ここで小技の効く最強2番バッター佐藤涼平がプッシュバントを成功させるが、1塁上でまたまた交錯。身長155センチと小柄の佐藤涼はまともに頭を強打し、失神!タンカで運ばれる事態になった。

これに発奮した3番川村がセンター前へ勝ち越しタイムリー!7-6に。

10回裏の守りで頭部打撲の治療を終えてピッチに笑顔で現れた佐藤涼に甲子園全体が大歓声!NHKの中継カメラも佐藤涼を捉えて離さない(笑)!

感動にうち震えるオイラ・・

そして結局最後まで猿川が投げきり、7-6で勝利した。

2009082101 明豊とは春の選抜でも2回戦で対戦していて、その時は4-0で花巻東が勝っていたが、明豊は夏に向けて打倒花巻東をスローガンに頑張ってきたという。

リベンジとはならなかったものの、最高の舞台で最高の試合を見せてくれた明豊にも拍手です。

そして、花巻東!よくやったー

夏の1勝だけでも県勢7年ぶり、夏2勝で同36年ぶり!夏3勝はなんと県勢では初、ベスト8進出は41年ぶり!そして今日、90年ぶりにベスト4進出の快挙!大正8年でっせアータ。うちのバアちゃんでさえ生まれてないっちゅうの(笑)。

ていうか、オイラがこの後、生きてるうちに見られるかどうかだから、こりゃ子や孫に語り継がれる歴史を今オイラは垣間見ているわけです。スゴイことなんです、これは。仕事なんてしてる場合じゃないんです、これはww

私立高校には珍しく、菊池雄をはじめほとんどが岩手っ子という花巻東だから、応援にも俄然力が入ろうというもの。

準決勝は愛知・中京か宮崎・都城どちらか。

春の選抜準優勝の花巻東、1回戦ではその選抜決勝で敗れた清峰を地方大会で倒した長崎日大、2回戦は花巻東の佐々木監督がコーチをしていたこともある神奈川・横浜隼人、3回戦は隣県同士の宮城・東北、準々決勝は選抜でも戦った明豊と、因縁めいた対戦を繰り広げてきた。彼らの思いを胸にこのまま初物づくしで優勝までいってもらいたいっスな。

2009年8月18日 (火)

夢のシネマパラダイス488番シアター:この素晴らしき世界

アース

Ear_po 監督:アラステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド

出演:46億歳、地球。

(2007年・英/独・96分)2008/01/15仙台チネ・ラヴィータ

内容:英国BBCが、地球の大自然の驚異を捉えたネイチャー・ドキュメンタリー。日本でも06年にNHKスペシャルで放映された「プラネットアース全11集」の映像素材を劇場用として再構成した。

評価★★★★/80点

NHKスペシャルでやった「プラネットアース」の総集編というかんじで、ほとんど見たことのある映像だったけど、これをスクリーンという大画面を前に見れたのは、ウチのTVで見るのとは全く異なる圧倒的かつ感動的な体験をすることができて大変にヨロシかった。

どんな統計的な数字の羅列で地球温暖化を語るよりも雄弁な映像にただただ言葉も出ず。

この美しい青い星地球とそこで生けるもの全ての命運を握ってしまった人類。

先日、某バラエティ番組で、地球から人類がいなくなったら、はたして地球はどうなるのか!?というのをやってたのだけど、それによると、人類がいなくなって5年後に世界中の道路が植物にとって代わられ(ウィル・スミス主演の「アイ・アム・レジェンド」と同じような光景?)、100年後に橋などが崩壊、200年後にほとんどの建造物が倒壊し、そして1000年後には都市や街が水と緑の森の大自然によって跡形もなく消え去るという。

そして1万年後、、、人類の痕跡はピラミッドや万里の長城、アメリカのラシュモア山など、石で造られたわずかなものしか残らない。失われたすべての自然を取り戻し、あらゆる生物が生命を謳歌する世界、地球は本来の姿に戻るのだという・・・。

これがホントの失楽園?

漫画版の「風の谷のナウシカ」で、腐海が浄化した後の世界(青き清浄の地)に人間が足を踏み入れると血ヘドを吐いて死んでしまうという絶望的な秘密には度肝を抜かれたものだが、ユートピアってそういう世界なのかもしれないな。存在それ自体が汚れてしまった人間の住めない世界・・・。

だとしたら傲慢な人類の一員であるオイラに今できることって何だろう、、と劇場を出て、ビルに囲まれた小さな青い空を見上げたらなんだか悲しくなってきてしまった。。

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皇帝ペンギン

Pen 監督・脚本:リュック・ジャケ

声の出演:ロマーヌ・ボーランジェ、シャルル・ベルリング

(2005年・フランス・86分)某ラブホにて。。

評価★★★/65点

内容:南極大陸の厳しい大自然を舞台に、皇帝ペンギンの親子たちがどのようにして命をつないでいくのか、その生死の軌跡を丹念に、心あたたかく綴った動物ドキュメンタリー。動物行動学の研究者でもあるL・ジャケが、膨大な量のフィルムを回して撮影した。

“トトロが何千匹もいる。。”

絶対的な孤独を背に懸命に生きるペンギンの姿。

室温25度のラブホの部屋でふんぞり返って見るオイラ。

よーし、これからガンガりまっす!、、って、いや、人生を頑張りますってことだからね、ハイ。

でも、厳しい環境の中でペンギンも人間も一人じゃ生きていくことはできないんだよね。信じ信じられ温め合える愛する者が必要なんだってこと。

そういう点では擬人化は決して間違いというわけではないと思う。

ちなみに、、ラブホで観るのも決して間違いというわけではないと思う(笑)。。

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ディープ・ブルー(2003年・英/独・91分)ヒルズ

 監督:アラステア・フォザーギル、アンディ・バイヤット

 内容:製作に7年をかけ、撮影したロケ地は200ヶ所。クジラから見たこともない深海の生物まで、海と生を映し出す海洋ドキュメンタリー。圧倒的な映像美に、ベルリン・フィルハーモニーの音楽が彩りを添えている。

評価★★★★/80点

海にも、空ってあるんだ。しかも星空まで。。

灯台下暗し。自分の住む星について何にも知らない自分。。

エイリアンは、たしかに、いた。我々が見ようとしていないだけだった・・・。

「ファインディング・ニモ」+ホラー

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WATARIDORI(2001年・フランス・99分)DVD

 総監督:ジャック・ぺラン

 監督:ジャック・クルーゾ、ミシェル・デバ

 出演:100種類以上の渡り鳥

 内容:3年と20億円をかけ、渡り鳥の生態を捉えたドキュメンタリー。繁殖のため北極へ向かい、ヒナが成長すると再び元の地へ旅立つ鳥たちの姿を、ただ淡々と映し続ける。卵の段階から人間の声と機械の音に慣れさせたため、航空機と熱気球による接近撮影に成功。迫力満点の映像に圧倒される。

評価★★★★/80点

“素晴らしすぎる映像に感動して見入っていたときにオカンに言われた痛烈な一言。”

「アンタ、鳥が趣味なの・・・」

モンサンミシェルに逝ってたオイラは一気に我が家に舞い戻らされてしまった・・・。

おいっ、よく聞けっ

オイラは映画が趣味なんだーーッ!

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ミクロコスモス

Microco 監督・脚本:クロード・ニュリザニー、マリー・プレンヌー

(1996年・フランス・73分)NHK-BS

内容:夏の日の1日、大自然に生きる数十種の昆虫や鳥、植物などの姿をキメ細かに、生き生きとユーモアを交えて捉えたドキュメンタリー。蝶の変態、アブラムシを食べるてんとう虫、カタツムリが愛を交わす場面など、ミクロの世界を活写した労作。

評価★★★☆/70点

“それでもオイラは虫が嫌い。”

大の昆虫嫌いのオイラが絶対安全距離で昆虫のドアップを見続けるというのは、いわばホラー映画を見たり、お化け屋敷に入っていく感覚とほとんど同じなのだけど、この映画の中で流れる不安を煽るような音楽がそれを倍増させてなんかイヤだった・・・(笑)。

毛虫王蟲に蛾のデイダラボッチに、オープニングはラピュタの雲ときたもんだ。

でも、1番はやはりマーロン・ブランド&マリア・シュナイダーも真っ青のカタツムリの濃厚な愛の絡みだろうね。。

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沈黙の世界(1956年・フランス・85分)NHK-BS

 監督:ジャック・イヴ・クストー、ルイ・マル

 内容:海中の世界を神秘的にとらえたドキュメンタリー映画。海中探検隊の一行が、数々の近代設備を施したカリプソ号に乗り込み、地中海、紅海、インド洋、ペルシャ湾を回って深海の謎に挑む。カンヌ国際映画祭で作品賞受賞。

評価★★/45点

“こいつら残虐・・・”

船をクジラにぶつけてそのクジラの悲鳴を笑いながら聴くかと思えば、モリを投げてみたり、挙句のはてに船のスクリューに子クジラをからませて殺してしまうとは・・・。

しかも、その子クジラをエサにしてサメ軍団をおびき寄せて子クジラを食わせちゃう、、かと思いきや、子クジラを食いちぎったそのサメたちに、さぁ子クジラの復讐だぁ!と言ってサメ狩りを始めるクルーたち。。

狂ってるよコイツら・・。

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ココシリ(2004年・中/香・88分)WOWOW

 監督・脚本:ルー・チューアン

 出演:デュオ・ブジエ、チャン・レイ、キィ・リャン

 内容:中国奥地、崑崙山脈の海抜4700メートルに広がる無人地帯ココシリ。ここに棲息するチベットカモシカは毛皮目当ての密猟で100万頭いた数が激減、絶滅の危機に瀕していた。そのため地元では有志による山岳パトロール隊が結成され、密猟者を取り締まる命がけの活動を続けていた。そんなある日、北京から調査取材のためやって来た記者のガイは、パトロール隊に同行することになるが、過酷な自然が容赦なく襲い掛かってくるのだった・・・。

評価★★★/65点

海抜4700メートル、空気の薄さが地上の3分の1という世界で、どこまでいっても人物に感情移入させてもらえない過酷な映像体験。

渡り鳥が空を飛ぶ空撮映像だけならかくも美しい世界なのだろうが、地上に降りてみればかくも凄絶な自然の恐ろしさが観る側にまで吹きすさんできて途中で辛く苦しくなってくる。

それはまるで生と死の領界を分かつ扉の前でガタガタ震えて立ちすくんでいるかのようなものだ。

チベットといえば宮崎アニメの原風景ともいえる世界観で覆われていて好きなのだが、今回は人と自然の生死を賭した闘いに思わず尻込みしてしまった。

とはいえ、映画を観終わってみれば、抜き差しならない人間の生きざまがしっかり刻みつけられていることを否応なく確認させられたという意味では、観るべき価値はあったといえるのかもしれない。

でも、2回観るのは厳しいかなぁ。。

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不都合な真実

E4b88de983bde59088e381aae79c9fe5ae9 出演:アル・ゴア

監督:デイヴィス・グッゲンハイム

(2006年・アメリカ・96分)DVD

評価★★★★☆/85点

内容:民主党クリントン政権下で副大統領を務め、2000年の大統領選挙でアフォブッシュに敗れたアル・ゴア氏。その後は自身のライフワークである環境問題、地球温暖化への対策の緊急性を訴え世界各地で精力的な講演活動を続けている。本作はそんなゴア氏の講演活動の日々に密着したドキュメンタリー。

“知っているようで知らなかった真実。ようするに自分がこれまで無関心を装っていたかもしれない真実に目を見開かせてくれた。この映画を広めよう。”

スライドが映し出す事実の積み重ねによる豊富なデータとアル・ゴアのユーモラスな語り口によって地球温暖化の驚くべき現状が素直に伝わってくる。

さらに、今そこにある危機に目覚めさせた原因になったアル・ゴア自身のパーソナルな問題―息子の生死の境をさまよった交通事故、姉のタバコによる肺ガン―を並行して描くことで、ことさらに悪者を仕立て上げて事をヒートアップさせようとする態度ではなく、宇宙船地球号に乗り込んでいる全世界の人々の意識に訴えかけてくるような問題意識のもと、非常に説得力のある真摯なドキュメンタリー映画になっていたと思う。

ちょうどDVDでこれ観た次の日に田原総一郎の朝生で地球温暖化を取り上げていて食い入るように見たのだけど、やはりこの問題は最後は政治家、そして行政の決断というところに行き着くということが分かった。アル・ゴアも同じこと言ってたし。

政治家が“不都合な真実”から目をそむけているかぎりは問題解決には一歩も前進しないということ。

例えばロンドンでは2025年までにCO排出を60%削減する目標を立て、低炭素都市への大転換を行政が先頭に立ち(渋滞税など)、企業も取り込んで着々と進めている。

先進国と発展途上国で考えてみれば、今後発展途上国のCO排出量が増えていくのは避けられないわけで、やはり相対的に先進国が率先して減らしていかなければならないのは自明の理。

しかし、その中で排出権取引など、環境問題の解決が国際間の熾烈なマネーゲームへといつの間にか取って代わられてしまっては元も子もない。

そういう点でも、国家単位よりも都市単位、地域単位で事にあたっていく方が有効的なのかもしれないが、市民1人1人の問題意識はもちろんだけど、やはり先頭に立つべき政治家がしっかりしてくれないと。

地球温暖化の問題を話していると、まるで夢のない話に陥ってしまいがちなのだけど、どうせなら夢のある話にしたいよね。

核兵器が“悪性の脅威”なら地球温暖化は“良性の脅威”だといわれる。

重症のメタボリック症候群にかかり悲鳴を上げている青い星、地球のために、そこで生きる人間社会が工夫してダイエットにいそしむことはやりすぎて拒食症になったとしても地球環境には逆に良いことなわけだから。

とにかく今オイラに出来ることは周りの最低20人にこの映画を広げること!やるで!

夢のシネマパラダイス497番シアター:海を飛ぶ夢

Umiwo 出演:ハビエル・バルデム、べレン・ルエダ、ロラ・ドゥエニャス、クララ・セグラ

監督・脚本:アレハンドロ・アメナバール

(2004年・スペイン・125分)2005/04/22・シャンテシネ

評価★★★/60点

内容:事故で首から下の全身の自由を奪われ、28年間、寝たきりの生活を送るラモン・サンペドロ。彼は自分らしく生きるために尊厳死という選択をするのだが・・・。アカデミー賞外国語映画賞ほか、数々の賞を受賞した人間ドラマ。

“それでもオイラは言う”

「生きろ!」と。

だってそうだろラモンさん。

首から上は自由があるんだろって話よ。死んだら大好きな映画が金輪際観られなくなっちまうじゃないか!世界一スペクタクルなリーガ・エスパニョーラに心躍らせることがもう二度と出来なくなっちゃうじゃないか!我が愛しのレアル・マドリー、バルサにバレンシアにデポルに、、アンタ俺から言わせりゃ夢のような所に住んでんねんで。

それを心を解き放つ手段が死しかないとか御託を並べやがって、何を贅沢言ってやがんだい。映画観て、サッカー観て心を解放せい。アータ、甥っ子がTVでデポルの試合見たいと言っても興味がないからあっち行けみたいに言ってたけどね、アンタだめだよそれじゃ。

海まで飛んでいくのもいいがリアソールスタジアムまで一度ブッ飛んでこいや。いいもん見れるから。

フ~~、言ってやった。。。

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             ・

例えばラモンさんとは状況が違うかもしれないけど、半身不随でも世の中には凄い人がたくさんいるわけだよね。

サッカー解説で名を馳せてる羽中田昌氏なんかはホント尊敬しちゃうくらい。

中田ヒデの母校で名FWとして活躍して将来は日本代表入りかとも言われていた氏は、高校卒業後に交通事故に遭って下半身不随になってしまうんです。しかし、車いす生活になってもサッカーへの熱い思いを捨て去ることができずにサッカー留学のためにスペインへ渡ることを決意。

そしてサッカーコーチングを5年間学び、現在はJリーグ入りを目指している四国のサッカークラブの監督になるまでに至っているのです。サッカー史上初の車いす監督になるという氏の夢は叶えられたけど、ゆくゆくは海外で監督をしたいのだとか。スゴイ。

夢っていうのは未来なんだよね。想像の翼ってのは希望なんだよ。

それを死というものでシャットアウトしようとするなんて、ド不幸せなオイラでさえも理解の範疇を軽々飛び越えてしまって、頭が麻痺&フリーズ状態。

28年間寝たきりのあなたの心の地図には10年後、20年後の自分を思い描くことができなかったのかもしれない。

それは分からないではない。自分だってあなたのような状態になったら死を望むかもしれない。

でも、今の自分はこう言うことしかできないんだ。「今」を生きろよと。

五体満足の何も分かってない者の戯言と思ってもらって結構。それでもオイラは言いたい・・・。

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ところで、小学生くらいの時に読んだことがあるヒロシマを描いた漫画「はだしのゲン」が今でも強烈に、というかトラウマ的に脳裏に甦ってくることがあるのだが、今回の映画を観て思い出したくもないようなものがブワァッと来てしまった。

それは、被爆して全身ウジ虫がたかっているようなケロイド状態の画家志望の青年のことだ・・。

家族からは疎まれ隔離され、それでも少年ゲンと心を通わせていきながら生きようとする。そして、被爆地の惨状を写生しようとリヤカーに乗せられて街へ繰り出していく・・・。

生きるというのはかくも辛く苦しいことなのか、とただただ呆然と立ちつくすしかない。

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しかし、生きるという意志はすなわち自らをさらけ出すという意志でもあるわけで、その点でみればラモンは“死”を社会に宣言することで自らをさらけ出し“生きた”、正確に言えば生きた“証”を残したと言えるのかもしれない。

深い映画だとは思う。

しかし、自分はその波間に漂っていることしかできなかった。今の自分にはそれで精一杯だった。一応観た、ということだけにはしておいてほしい。今は。

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(追記):日本ではいまだに安楽死、尊厳死に関する法整備やルール作りが全くない状態だが、そんな状況の中、病院で末期患者の人工呼吸器を医師が外して患者が死亡するという事件が多発しているという現実もある。

また、04年8月には神奈川で筋萎縮性側索硬化症という全身の筋力がなくなっていく難病で自宅療養中の長男の人口呼吸器をを母親が止め、その男性が死亡するというケースがあった。

そして05年2月には、この母親が横浜地裁で殺人罪より法定刑の軽い嘱託殺人罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた。

判決では「長男が死にたいと懇願しており、病状悪化で意思疎通も困難になり、母親が懇願を受け入れた」とある。また、呼吸器を止める際も、長男は文字盤を目で追って「おふくろ、ごめん。ありがとう」と伝えたという。

苦渋の選択を迫られた母親の孤立感と絶望、悲しみは察してあまりある。

実は自分の祖父がこの病気になって数年前に亡くなったのだが、数年かけて段々筋力がなくなっていき、最後は完全な寝たきり状態で、自発呼吸さえできず喉から管を通して呼吸し、胃に直接栄養を送り込むというような状況だった。

病気の大変さとともに、何年にも渡って看護し続けた家族の大変さにも物凄いものがある。

そのような状況を社会的に支えてくれる公的支援がもっと充実していれば、先のケースのようなことは起こらなかったかもしれないとも思ってしまう。

一方では、いかに残された人生を豊かにするかが第一の目的でなければならないはずで、単にいかに長く生きてもらうかということをのみ目的とすることが、はたしてその患者にとって幸せなのかという問題もふと考えてしまう。そこに大変重い判断がつきまとうことは確かなのだけども。

自分自身そう簡単に結論は下せない。

しかし、28年間考え続けたラモンは結論を出した。

その下した結論をやはり尊重しなければならないのだろうか・・・。尊重しなければならないのかもしれない。難しいよ・・・

うーん、そうやってまずは考えることが大切なのかな。。

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潜水服は蝶の夢を見る

Yume 出演:マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、アンヌ・コンシニ

監督:ジュリアン・シュナーベル

(2007年・仏/米・112分)WOWOW

内容:ファッション雑誌エルの編集長ジャン=ドミニクは42歳の時、ドライブ中に脳梗塞で倒れてしまう。一命を取りとめ病室で目覚めた彼は、左目以外の自由を奪われたことを知り絶望に打ちひしがれる。しかし、やがて言語療法士アンリエットや理学療法士マリーらの協力で、左目の瞬きでコミュニケーションをとる方法を会得していく・・・。彼が20万回の瞬きで書き上げた自伝ベストセラーの映画化。

評価★★★☆/70点

円周率3.14159・・・と同じように、ウー・エス・アー・エーフ・イー・エンヌ・テ・ユ・エル・・・と耳について離れなくなっちゃったんだけど(笑)。と同時に、ジャンが瞬きするまで観てるこっちも瞬きしちゃいけないような気になってきて大変だった・・。

要は、左目のみの主人公視点に同化させられ、まるで悪夢のような疑似体験をさせられたわけで、その点ではヤヌス・カミンスキーのカメラワークは近年でもピカ一の斬新な映像表現だったと思う。

詩的かつ残酷、流麗かつユーモアあふれる映像が、ジャンのモノローグに生のリズムを加え、こう言ってはなんだけど大変にオシャレな映画になっていたと思う。

難病ものって特に日本映画だと安易な泣かせネタに使われちゃうことが多くて食傷気味なのだけど、ヨーロッパ映画だと生々しい人間であることを強調したひと癖もふた癖もある人間ドラマとして描かれているので印象的なんだよね。

しかも、このジャンの奴、モテまくりだし(笑)。

妻にしろ愛人にしろ言語療法士にしろ、みんな投げ出さないでひっついて離れないでやんの。こんなに愛されてる男、、、羨ましいゾ、おい!

妄想力オンリーで生き抜くオイラも、あんなちょいワル親父になったらモテんのかなぁ・・・。ガクッ・・

2009年8月15日 (土)

夢のシネマパラダイス299番シアター:往年名作劇場9番館

大いなる幻影

Gra 出演:ジャン・ギャバン、ピエール・フレネー、エリッヒ・フォン・シュトロハイム

監督・脚本:ジャン・ルノワール

(1937年・フランス・114分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:フランス軍のボアルデュ大尉とマレシャル中尉がドイツ軍の捕虜となり収容所へ移される。収容所の所長ラウフェンシュタイン大尉は同じ貴族階級出身のボアルデュに親近感を抱いていた。しかし、捕虜たちが脱走計画を進める中で、ボアルデュは仲間を逃がすため所長に撃たれて犠牲となってしまう。一方、収容所の脱走に成功した労働者出身のマレシャルとユダヤ財閥の出のローゼンタールは、ドイツ人の農民にかくまわれる。。第1次世界大戦を背景に、敵味方の国境を超えた人間性を謳い上げる戦争ドラマ。1937年のパリ万博に合わせて公開され、フランスはもとよりアメリカでも大ヒットを記録した。ちなみに所長役のエリッヒ・フォン・シュトロハイムはサイレント時代の大監督としても有名。

“「もう撃つな。奴らは国境を越えてしまった!」、、戦争って何なんだろう。。”

深雪積もる山の中を必死こいて逃げていくマレシャルと相方の後ろ姿を映して終わるこの映画。

逃げていく彼らを撃ち殺そうとドイツ兵たちが発砲する場面で、その中の一人が冒頭のセリフを言って発砲するのをやめる。

このシーンで面白かったのは、目に見える形で国境線など何ら引かれておらず、周りは一面雪で覆われている山の中だったということ。

逃げてるマレシャルたちもどこからがスイスなのか分かろうはずもない。ただおそらくこっちの方向に進んでいけばスイスへの国境を越えられるだろうという推測のもとに逃げているにすぎない。

なんだかラストのマレシャルたちの逃げる姿(しかも雪が積もってるせいでなかなか速く走れない)と、撃つのをあきらめたドイツ兵たちの姿を見て感動するというよりもなんとも滑稽な姿として映ってしまった。

そしてその滑稽な姿はそのまま国と国との戦争そのものの滑稽さ、無意味さへと転化できるものとして自分の中に映ったのだ。

非常に子供じみた話なのだけど、子供の頃「サウンド・オブ・ミュージック」を見たとき、マリア一家が国境を越えてスイス側に逃げようとアルプスを越える時になんで国境を越えたスイス側に行けば大丈夫なの?と子供心に疑問を覚えたことがある。

そんなの今となっては説明するまでもないことなのだけど、しかし一方では戦争の無意味さバカらしさをもっともよく表しているのではないかとも思うのだ。

シュトロハイム扮するラウフェンシュタインとボアルデュ大尉との国境を越えた友情と人間関係を通して見えてくる戦争の無意味さ。そしてラストに象徴されるような国境を越えたことにより戦争の当事者同士の関係が一時的に(*)チャラになってしまうということから見えてくる戦争の無意味さバカらしさ。

戦争っていったい何なのという無常観みたいなものに駆られてしまわずにはいられない。

この映画は間違いなく素晴らしい反戦映画だ。

(*)一時的にとは、つまり収容所からうまく逃げおおせたマレシャルたちはしかし結局再び戦場へと赴くことになるはずで、再びドイツ軍と対峙し戦う。もしかしてまた捕虜になることだってあるかもしれない。

逃げ切った彼らにとっては、あれで終りなのではないということだけは確かなのだ。

さらなる彼らの物語が続いていくのでしょう。

そう思わせてくれる映画は実はあまりないと思うが、そのように思わせてくれる映画が好きだし評価したいです。

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黄金(1948年・アメリカ・125分)NHK-BS

 監督・脚本:ジョン・ヒューストン

 出演:ハンフリー・ボガート、ウォルター・ヒューストン、ティム・ホルト

 内容:メキシコ深く、砂金採りに励むドブス、カーティン、ハワードの3人の男。金を掘り当てた3人は山賊に襲われ下山するが、欲深い性格を露呈し始めたドブスは、ハワードの金を奪おうとカーティンに持ちかける・・・。砂金採りの男たちが次第に物欲の権化となっていく様をリアルかつ非情なタッチで描く。アカデミー監督賞、脚本賞を受賞。

評価★★★☆/70点

一攫千金の夢に憑かれた男たちの欲望の果てを荒々しく乾いたタッチで描いた人間ドラマといえばそれまでだけど、とにかくハンフリー・ボガートがエグくて強烈!

「カサブランカ」や「マルタの鷹」での紳士面よりも、「アフリカの女王」や本作での無精ひげを生やした薄汚い強欲男の方がインパクトがあって好きかも。

しかし、ナタでぶち殺されてしまうボガートの顛末は衝撃的だったなぁ・・

今でいえばトム・ハンクスとかジョージ・クルーニーあたりになるんだろうか。それを考えるとボガートの豹変ぶりは特筆ものだと思うのだけど、アカデミー賞ではウォルター・ヒューストンの方に軍配が上がったんだよね。まぁ、ラストの軽快な高笑いが全部持ってっちゃったからねぇ。

いやはや、往年の黒澤明に撮らせてみたい題材でなかなか面白かった。

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オリエント急行殺人事件(1974年・イギリス・128分)NHK-BS

 監督:シドニー・ルメット

 出演:アルバート・フィニー、イングリッド・バーグマン、ローレン・バコール、ジャクリーン・ビセット

 内容:難事件を解決してイスタンブールからロンドンへの帰途、名探偵エルキュール・ポワロは大陸横断鉄道のオリエント急行一等寝台に乗り込み、身分も国籍も違う13人と乗り合わせていた。しかし、ユーゴのザグレブに差し掛かったあたりで、列車が雪のため立ち往生。一夜明けた朝、乗客の一人ラチェットが刺殺体で発見される・・・。アガサ・クリスティの傑作ミステリーを、オールスターキャストで映画化した娯楽大作。

評価★★★/65点

どう見てもポワロの髪の毛は油性マジックで塗っているとしか思えないww

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木靴の樹(1978年・イタリア・187分)NHK-BS

 監督・脚本:エルマンノ・オルミ

 出演:ルイジ・オルナーギ、フランチェスカ・モリッジ、オマール・ブルニョーリ

 内容:19世紀末の北イタリア、ロンバルディア地方のベルガモ盆地の農場。小作人のバティスティは、神父の勧めで息子のミネクを学校に通わせていた。ある日、ミネクが学校の階段で木靴を割ってしまったので、新しい靴を作ってやるためにバティスティは地主所有のポプラの小さな立ち木を1本切った。が、それが原因で、彼らは村から追い出されてしまう・・・。バティスティ一家の話を中心に、彼らとともに働いていた4,5軒の家族たちの日常を淡々と描いた人間ドラマ。カンヌ国際映画祭作品賞。

評価★★★☆/70点

生きるということの全てが詰まっている。

ゆえに、エロいんでッス

そんな印象しか残っていない映画。おいおい・・

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愛と青春の旅立ち(1982年・アメリカ・124分)WOWOW

 監督:テイラー・ハックフォード

 出演:リチャード・ギア、デブラ・ウィンガー、ルイス・ゴセット・ジュニア

 内容:幼い日に母が自殺し、酒に溺れる水兵の父に育てられたザックは、暗い過去と決別するため、海軍士官養成学校の教練に参加する。黒人鬼教官のフォーリー軍曹の訓練は厳しく苛酷を極める。基地と市民の交流パーティで、現状から脱しようともがくポーラという娘と出会ったザックは、家庭的な彼女に魅せられながらも、恋は遊びと割り切っていたのだが・・・。

評価★★★☆/70点

“アカデミー賞からつまはじきにされる男リチャード・ギア。そのジンクスはここから始まった・・”

恋愛パートの軸に据わるデブラ・ウィンガーと、青春パートの軸に据わるルイス・ゴセット・Jrが良かったからなんとか見れる映画であって、リチャード・ギアのピン芸だけではやはり苦しい・・。

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ドライビング・ミス・デイジー(1989年・アメリカ・99分)NHK-BS

 監督:ブルース・べレスフォード

 出演:モーガン・フリーマン、ジェシカ・タンディ、ダン・エイクロイド、パティ・ルポン、エスター・コール

 内容:緑映える南部の町アトランタ。頑固で誇り高い老未亡人デイジーは、長年務めた教職を引退し余生を送っていた。高齢になっても自らハンドルを握っていたデイジーだったが、ある日交通事故を起こしかけ、母の身を案じる息子は、運転手として60歳の黒人ホークを雇うことにする。。。アカデミー賞では作品、主演女優賞(撮影当時80歳のジェシカ・タンディ)など4部門で受賞。

評価★★★★/80点

“朝もやがだんだん薄れてきて澄んだ空気に快晴の青空が見えてくるような、そんな穏やかさと爽快感にゆったりと包み込まれていく映画”

この映画はシナリオという基本設定に役者がどんな肉付けをしていくかにかかっている典型的なタイプの作品だと思うのだけど、そこはさすがのお2人さん。まさにいぶし銀の芸を見させていただきますた

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午後の遺言状(1995年・日本・112分)NHK-BS

 監督・脚本:新藤兼人

 出演:杉村春子、乙羽信子、朝霧鏡子、観世栄夫

 内容:大女優とその別荘の女管理人との人間関係を軸に、老人の生きる意味を問う問題作。新藤監督の愛妻でもあった乙羽信子の遺作としても有名。

評価★★/45点

あそこの水飲んでみたいってことと、浜辺のシーンが北野武の「HANA-BI」と似てたってことと、乙羽信子に田中絹代の面影を見たってことくらいしか・・・

2009年8月10日 (月)

夢のシネマパラダイス75番シアター:河童のクゥと夏休み

河童のクゥと夏休み

Img070802 声の出演:田中直樹、西田尚美、なぎら健壱、ゴリ、冨沢風斗、横川貴大

監督・脚本:原恵一

(2007年・松竹・138分)NHK-BS

内容:夏休みを心待ちにしていた小学生の康一は、学校帰りに不思議な石を拾う。そして、持ち帰って水で洗うと、なんと河童の子供が姿を現した。最初に発した「クゥ~~」という第一声からクゥと名付けられたその河童は、日本語を解し、江戸の世から地中に埋められていたのだという。最初は驚いた家族も、気前のいいクゥを受け入れ、一緒に暮らし始めるが・・・。

評価★★★★/80点

どこぞの町の教育会館で巡回上映されるような児童向け映画かと思いきや、めっちゃ心打たれる感動作に仕上がっとるやないけ。

オイラは今、モーレツに感動している(笑)

とともに、盛岡に住んでいるオイラにとっては、岩手県人であることを誇りにさえ思ったわな。

民話の里・遠野は河童の伝承としても有名で、盛岡からは車で1時間半くらいの距離にあり、盛岡人からしてもかなり良質な田舎の空気を味わえる所。

そんな鮮やかな緑と青藻が生える清らかな川に囲まれた遠野の雰囲気を表現できていたのは良かったし、終着点を沖縄ヤンバルにしたのも意外で面白かった。

でも、遠野に河童はもういないんだ、と断言されたのはちょっと悲しかったけど・・・。有名な河童淵に行けば会えるんでっせw

まぁ、話の展開としては、「E.T.」などの定型的なフォーマットを単純になぞっただけともいえるけど、義理人情に厚い古風な気質のクゥちゃんのキャラクターが魅力的で面白かったし、そのクゥちゃんが東京タワーに登るくだりは、エンパイヤステートビルに登って転落した哀しきモンスター、キング・コングを思い起こさせて引き込まれてしまった。

そして本当のバケモノは人間なのだという残酷さをリアルに捉えた演出力もなかなかのもので、例えば携帯電話を片手に追っかけてくる殺風景な人々は現代社会の象徴みたいなもので、これを子供向けアニメで描いたストレートさは買いたいところ。

また、小学4,5年生のリアルというか、同級生の女のコが泣いているのに主人公の康一がモジモジしながらその場を立ち去ってしまう場面なんかは、恥ずかしさの方が前面に出るこの年頃のぎこちなさがよく表現できていて上手いなと思った。

その他にもイジメや環境破壊、総ワイドショー化するメディアなど、様々な社会問題を盛り込む中、決してシビアな堅苦しさに陥らずに子供・大人両方の鑑賞に十二分に堪えうる作品に仕上げたのは、さすがクレしん劇場版で大人たちを号泣させた監督さんだけのことはある。

こういう真摯なアニメが増えてくればいいんだけどねぇ。

細田守とか、この映画の監督・原恵一など期待できる人材も出てきてるので、楽しみっちゃあ楽しみかな。ジブリ後をそろそろ考えないとダメだしな。おいおい・・・

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ジュブナイル(2000年・東宝・105分)NHK-BS

 監督・脚本:山崎貴

 出演:香取慎吾、酒井美紀、鈴木杏、遠藤雄弥、清水京太郎

 内容:夏休みを利用してキャンプに来ていた岬と裕介ら4人組は、森の中で奇妙なロボット・テトラと出会う。こっそり持ち帰ったテトラを裕介の部屋で飼うことにした4人は、タイムマシンを研究する近所のオタク青年・神崎のもとでテトラの謎を解明しようとする。一方、その頃、テトラを追うボイド人が出現して・・・。

評価★★★/65点

題名からしてそのものズバリのド直球を冠しただけのことはあり、つくり手の気概がかなり感じられるオリジナリティとジュブナイルのエッセンスにあふれる作品になっていることはたしかで、子供にとっては純粋に楽しめるはず。

なのだけど、、もうそういう年頃でもなくなった自分にとっては物足りなさが否めず・・。

それは、つまるところジュブナイルものに必須のノスタルジーを感じ取ることができなかったというのが最も大きな要因で、例えば80年代後半を小学生として過ごしたオイラはまさにファミコン世代だと思うのだけど、この映画で子供たちがプレステ2と携帯をツールとして使うヴァーチャルアトラクション的な冒険にはどうも心躍らないというか現代っ子とは世代的にビミョーなズレが・・・。いや、かなりのズレか。。今は山の中で秘密基地作ったりなんてしないんだろうなぁ・・。

あとは、子供がテトラと出会ったときのインパクトをはじめとして感情表現がかなりあっさりしているのも乗り切れない理由で、「E.T.」(1982)みたいな子供の輝きに乏しいのはいただけないかなと。

そういうところもヴァーチャル的なかんじで、、、う~ん。。

、、、ようするに、イマイチですた・・。ハイ。

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キャスパー(1995年・アメリカ・100分)CS

 監督:ブラッド・シルバーリング

 出演:クリスティーナ・リッチ、ビル・プルマン、キャシー・モリアーティ

 内容:12歳のキャスパーと3人(匹?)の叔父は広大な屋敷に100年も住むお化け。そんな屋敷を相続した強欲な女主人に、叔父ゴーストたちはいやがらせを開始。困った女主人はゴースト退治のために心霊学者を呼び寄せるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

安心して子供に見せられる映画なのだと割り切って見ることをおススメします。そうすればあなたもキャスパーに会いたくなること間違いなし

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ニューヨーク東8番街の奇跡(1987年・アメリカ・107分)NHK-BS

 監督:マシュー・ロビンズ

 出演:ヒューム・クローニン、ジェシカ・タンディ、フランク・マクレー

 内容:ニューヨークの下町で、地上げ屋の嫌がらせにあっている安アパートの住人達の前に現れたのは、小型円盤型の宇宙人!住人達を助けるため、可愛いメカ生命体が活躍する。

評価★★★★/75点

もうアメリカはいいから大規模な地上げが横行している中国に行ってやりなはれUFOさんww。

でも、週末夜にこういうほのぼのとしたおとぎ話映画を見るとなぜか幸せな気分に浸れて好き

2009年8月 6日 (木)

夢のシネマパラダイス459番シアター:手紙

手紙

Mian 出演:山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカ、吹石一恵、吹越満、風間杜夫、杉浦直樹

監督:生野慈朗

(2006年・日本・121分)DVD

評価★★★★/80点

内容:川崎のリサイクル工場で働く青年、直貴(山田孝之)。よく話しかけてくる食堂の配膳係・由美子(エリカ様)とも打ち解けることなく、人目を避けて生きる彼にはある秘密があった。兄の剛志(玉山鉄二)が弟の学費目当てに強盗殺人を犯してしまい、無期懲役で服役しているのだ。そのためお笑い芸人になる夢を捨てた直貴は、家と職を転々とし、恋人(吹石一恵)との結婚話も破談していた。そんな直貴のもとに剛志は毎月手紙を送っていたが・・・。

“120分間の深イイ話”

不意に襲ってくる涙というのは自分ではどうにも制御のきかないもので、とめどなく流れてくる涙にただただ身を任せることしかできない・・・。今回はまさにそんな映画体験を味わわせてくれた。

観ている間、これは泣かないだろうなとタカをくくっていたら、残り3分で全部持っていきやがった・・・

こういう劇的な映画体験は、「マイ・フレンド・フォーエバー」(1995)以来かもしれない。あの時も、これは泣くような映画じゃないなと思って見てたら、エッ、そう来たかぁ~と不意打ちくらってドツボにハマって涙腺決壊だったからなぁ・・・。

それはさておき、弟の学費目当てに殺人を犯してしまった兄・剛志と、犯罪者の家族というレッテルと呪縛からどこまでも逃れられない弟・直貴の絶望と救いが描かれていく今回の映画。

演出はかなりステレオタイプの単調なリフレインの連続で、テレビドラマの総集編といったかんじのベタ演出なのだけど、その地味な積み重ねが残り3分で一気に結実しちまった・・・。

その中で、手紙というアイテムをダイアローグではなく、完全にモノローグとして捉えているのがこの映画のミソで、いわば自分を見つめ直す作業として手紙を書く行為というのが位置付けられている。

それは例えば被害者の遺族のところに何通も送られてくる剛志の手紙をみれば分かる通り、被害者遺族にとってはその手紙はダイアローグになりうるはずはないわけで、その中で被害者の息子(吹越満)がこの手紙は彼(剛志)にとっての般若心経と同じものだと言うのはかなり印象に残る言葉だ。

しかし、加害者と被害者というダイアローグにはなりえない隔絶された関係はまだしも、犯罪者の家族と社会との間でさえダイアローグになりえない厳しい現実があり、それが兄と弟の隔絶―ダイアローグの拒絶―へとつながっていく絶望的な様はなんとも重く暗く沈痛だ。

そして、手紙を書く行為が、自分自身の赦しのための行為として埋没していたと気付かされた兄・剛志の絶望が、刑務所に慰問にやって来た弟の漫才を借りた言葉により救われるラストは、祈りと赦しと理解の入り混じった単なる泣かせを超えた重みのあるシーンだった。

これには思わず号泣・・・

まるでゲリラ豪雨に襲われたかのように涙腺決壊・・・。小田和正は余計だったけど、このラストには不意打ちをくらっちゃったわな。

そして、役者がまた泣かせるんだよねぇ。まるで昼ドラのようなステレオタイプの役割しか与えられていないベタな演出の中で、それを補ってあまりある奮闘を役者陣は見せてくれて、映画の中にグイグイ引っ張ってくれたと思う。

ラストの玉山鉄二には完全にやられちゃったけど、なんといってもピカ一は沢尻エリカ。

手紙を単なるモノローグには終わらせまいとする関西仕込みの勇気と、直貴を一途に支えていく健気な嫁さん姿をなんとも器用に演じて説得力をもたせていたと思う。

最恐のガン飛ばしシカト女エリカ様はあまり好きにはなれないけど、様々な役を演じ分けるカメレオン女優としての力量はさすがだなと思うわ。

とにかく、セカチュー以降、難病や純愛をパッケージにした見え見えの泣かせの大安売りが跋扈している日本映画にあって、それらとは一線を画する重みのある考えさせられる映画だったと思う。真摯な涙を流させていただきますた。。

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