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2009年7月 6日 (月)

夢のシネマパラダイス71番シアター:レイジング・ブル

1900_0166 出演:ロバート・デ・ニーロ、キャシー・モリアーティ、ジョー・ぺシ

監督:マーティン・スコセッシ

(1980年・アメリカ・128分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:実在のプロボクサー、ジェイク・ラ・モッタを主人公に、彼の不屈の闘志をセミドキュメンタリータッチで描いた作品。

“言っちゃなんだけど、、、雄牛よりもたち悪いだろ、このおっさん”

同じボクシング映画でもこの映画は「ロッキー」のような努力とド根性のスポ根映画ではない。

努力も何もない映画だ。ただ拳闘の強い男ジェイク・ラ・モッタが存在するだけの映画だ。

では何を描くのか。

普通ならば、このての映画はリング外での物語がポイントになってくるが、主人公のリング外での成長度合いなどといったカタルシスもこの映画ではかえって生ぬるいだけだ。優しさや暖かさは、そこには無い。

あるのは嫉妬、猜疑、独善、獰猛。まさに獣の匂いそのものである。

それゆえ、リング上での闘いの結果がどうであろうと観ている側にとってはほとんどどうでもいい。そこにカタルシスなど得られるわけがないのだから。

となると、リング上にあるのはこの映画では痛みだけである。

その点この映画でのボクシングシーンは的を射ている。

顔のズームアップを多用し、血しぶきが飛んだり、顔がひしゃげたりといった痛々しさが痛烈に伝わってくる。

そう、ただの痛み。感情の入り込む隙がないただの痛みである。

観ている側にとってはこれほど痛いものはない。そこに何ら意味を感じ取ることさえできないのだから。何か意味をもたせるとすれば、それは相手をマットにたたき付けるという貪欲さだけである。

そもそもジェイクが、なぜボクシングをやろうと思ったのかということでさえ、この映画では描かれていないのだから、考えてみるとスゴイことである。

逆にいえば、リングを降りても人間としては幼稚だが獰猛でいつも危険な香りを漂わせる獣であり続けるジェイクを描ききること、あるいは見つめ観察することに着眼点が置かれているのだといえよう。

リングが檻の中だとすれば、リングの外にいるジェイクは檻から解き放たれた状態の獣に他ならない。

リングの中とリングの外、どちらが危険かは言うまでもない。

この実話がもたらした逆転の構図にこそ観ている側は怖れを抱きおののくのだ。

この映画はボクシング映画でありながらボクシング映画ではない。スリラーともいえる部類の映画だといえる。

そして感情の入り込むことさえ許さない。

この映画は、白黒で正解だった。

(追記)キャシー・モリアーティがローレン・バコールにとても似ていて驚いた。

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傷だらけの栄光(1956年・アメリカ・113分)NHK-BS

 監督:ロバート・ワイズ

 出演:ポール・ニューマン、ピア・アンジェリ、サル・ミネオ、アイリーン・ヘッカート

 内容:NYの下町に生まれ育ったロッキー・グラジアーノ。感化院送りになった不良少年時代を経て軍隊に入隊するものの、そこでも軍刑務所送りに。しかし、そこで出会った刑務官に素質を認められ、プロボクサーを目指すが・・・。ポール・ニューマンの出世作にして、スティーブ・マックィーンのデビュー作としても有名。

評価★★★★/75点

“これがホンマもんのロッキーだった!”

ロッキー・グラジアーノのケンカと暴力に明け暮れる世間知らずのチンピラ男風情は、まるで矢吹丈そのもので、特に前半のロッキーの手のつけられない暴走っぷりは、まんまあしたのジョー。

しかも、それを体現するポール・ニューマンがカッコ良いのなんのとくれば映画に引き込まれないわけがない。

とにかく、これが実質デビュー作というのが信じられないくらいのポール・ニューマンのキレキレの存在感にただただ圧倒されっぱなしの2時間だった。

難点としては、宿敵ゼールの存在感がちょい薄かったことくらいかな。

とはいえ、試合の演出なんかも50年代という時代を考えればよく出来てたし、シルベスター・スタローンのロッキーと見比べてみても面白いと思ったし、かなり収穫のある映画だったことはたしかだ。

ポール・ニューマンの映画見直してみよっ。

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