夢のシネマパラダイス338番シアター:“グローリー・トゥ・ザ・フィルムメーカー”北野武vol.2
キッズ・リターン
出演:安藤政信、金子賢、石橋凌、森本レオ、山谷初男、寺島進、丘みつこ
監督・脚本:北野武
(1996年・日本・108分)仙台フォーラム
評価★★★★/75点
内容:偶然に再会したシンジとマサルの高校時代の回想から物語は幕を開ける。2人はいつも授業をさぼって悪ふざけをしていたが、けんかで負けたことをきっかけにマサルはボクシングを始める。が、素質を見出されたのは彼にくっついて入門したシンジの方だった。マサルはボクシングをあきらめ、ヤクザの道に進む。それぞれに成功をつかんだ2人だったが、やがて運命に引きずられるようにして転落していった。。
“親が出てこないのが少々気になるくらい。”
まぁ、先公があのバカ共はほっとけとサジを投げてるくらいだから、それ以前に親は投げ出しちゃってるはずなんだろうけども。
でも、家庭を描かないことでこの映画がパーソナルな映画になっているかといえばそうともいえない。
なぜなら同じかていでも過程の方も描いていないわけだから。
その手法が北野流といえる特徴ともいえるし、北野映画の独特な味と色を醸し出していて個人的には好きなのだけども、ただあのラストの「まだ始まってねえよ。」という決め台詞。
少なくとも彼らが家庭・ファミリーと過程・プロセスを顧みることをしなければ同じことの繰り返しにしかならない何の意味も成さない言葉になってしまうことだけは確かだ。
まぁ北野映画には一貫して家庭の影が皆無だし、過程に関してもいかに排除し省略していくかが第一にあるから、北野映画の手法も諸刃の剣ではあるのかもしれない。
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菊次郎の夏
出演:ビートたけし、関口雄介、岸本加世子、吉行和子、細川ふみえ
監督・脚本:北野武
(1999年・日本・121分)1999/06/12・ルミエール1
評価★★★★/80点
内容:浅草で祖母と暮らす小学3年生の正男は、夏休みを利用して写真でしか見たことのない母に会いに行くことを決意。そんな正男を心配した近所のオバハンは、無職でブラブラしている夫・菊次郎を同行させることにする。嫌々引き受けた菊次郎は、正男との旅も右往左往でいい加減。だがそんな2人の間にもやがて交流が生まれ、ついに正男の母と対面の時を迎えるが・・・。
“映画監督北野武とお笑い芸人ビートたけしのバランスが加速度的な崩壊をみせていくのにもかかわらず、物語は破綻するどころか加速度的な面白さと求心力をみせていく。”
お笑いのネタやセンスだけを取り上げればはっきりいって古臭いのだが、ビートたけしだからこそ許される、ビートたけしだからこそ笑えるギャグの数々が映画の中でほとんど暴走気味といっていいくらいに発揮されている。
まぁようするに面白いんですわ。
しかも映画がちゃんと成立しちゃってるんだもんなぁ。
実は暴走しているかに見えたビートたけしは、映画監督北野武の手のひらでちょこまか動き回っているにすぎなかったと、そういうことなのかもね。
笑いのセンスは言わずもがな、映画のセンスもやっぱ相当あるなと再実感。。
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あの夏、いちばん静かな海。
監督・脚本:北野武
(1991年・東宝・101分)NHK-BS
評価★★★★/75点
内容:耳が不自由な青年と少女の淡い恋を、台詞の少ない簡潔な映像や、北野監督独特の編集技術で描き出したラブストーリー。清掃車のアルバイトをする聴覚障害者の茂は、壊れたサーフボードを拾ったのを機にサーフィンを始めた。同じ障害者で茂の恋人の貴子は、いつも浜辺で彼を見守っている。やがて茂はサーファー仲間とも親しくなっていき、大会にも出場するようになったのだが、夏が終わるとともに茂の姿は海辺から消えていた・・・。
“オレンジの皮むきならオイラにまかせろ!”
だって下手なんだもんあの人たちww
ま、そんなことよりこの映画はあれだな、記録には残らないけど記憶には絶対残る映画だな。
バックグラウンドで波の音ってのはすごく好きだし。だからサザンの“チャコの海岸物語♪”も好きなのです、、映画と関係ねぇー。
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その男、凶暴につき
出演:ビートたけし、白竜、岸部一徳、川上麻衣子、芦川誠、佐野史郎
監督:北野武
(1989年・松竹富士・103分)WOWOW
内容:人気タレントのビートたけしが本名の北野武名義で初監督に挑戦した暴力性みなぎるハード・バイオレンス。マイペースゆえに署内でも孤立している刑事の吾妻は、同僚の刑事を巻き込んだ麻薬組織の暗躍を知り、後輩の菊池とともに事件の真相を追った。売人を締め上げて、表向きはレストランの経営者である黒幕の仁藤に接近した吾妻は、仁藤が差し向けた殺し屋の清弘に命を狙われる・・・。
評価★★★☆/70点
まるでしなった鋭利な刃の上をヒタヒタと進むようなヒンヤリとした緊張感、そして静寂と暴力の不思議で刺激的な共存。
危険な美的世界。
1作目から北野映画たる世界観を完璧に確立してしまえるというのはやはりただ者ではない。しかし、当時それを見抜いていたのは淀長だけだった・・・。
夏祭り、海、車の後部座席、、、北野映画のベースがすでに詰まっているのも見所。
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ソナチネ
監督・脚本:北野武
(1993年・松竹・93分)DVD
評価★★★/65点
内容:北嶋組の幹部・村川は、友好団体の中松組の助っ人をすることになり、弟分の片桐やケンらを連れて沖縄を訪れた。中松組と敵対する阿南組は村川たちが来たことでかえって刺激され、抗争はますます激化。村川たちは中松組幹部の上地とともに、海の近くの廃家に身を隠す。何もすることがなくなった村川たちはダラダラとした日々を過ごすが・・・。
“ダウンタウンのガキ使ばりの幼稚で過激な内輪遊びと夏休みごっこ。そこに死臭漂うフィルターをかぶせると身もすくむような美しさと熱さと冷たさが意味もなく押し寄せてくる。”
熱いものに触れて、パッと手を引いたら実はそれは異常に冷たいものだった。。
冷酷な凶気と内なるパッションは表裏一体。
それを燦々と太陽が照りつける灼熱の沖縄に焼き付ける。
暑いはずなのに、そぞろ寒い悪寒に襲われて見ていて怖くなってくる・・。
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BROTHER(2000年・日/英・114分)WOWOW
監督:北野武
出演:ビートたけし、オマー・エプス、真木蔵人、大杉漣
内容:ヤクザ同士の抗争で組織を追われた男がアメリカのロスに移住し、そこで腹違いの弟と出会う・・・。北野映画おなじみのバイオレンス・アクションが繰り広げられる北野監督第9作目。
評価★★★/55点
世界標準という言葉が耳に痛い。指詰めより腹切りより何よりこの言葉が痛ぇーー
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