夢のシネマパラダイス144番シアター:包帯クラブ
包帯クラブ
監督:堤幸彦
(2007年・東映・118分)WOWOW
評価★★★/65点
内容:高校3年生のワラ(石原さとみ)は、家事の最中に誤って包丁で手首を切ってしまい病院に直行するが、リストカットと勘違いされてしまう。ブチ切れた彼女は、思い余って屋上のフェンスを乗り越えるが、そこに変な関西弁を話すディノ(柳楽優弥)が現れ、フェンスに包帯を巻き始めた。身体の傷と同じように心の傷も包帯で治すために、と。数日後、ワラは失恋して落ち込む親友のタンシオ(貫地谷しほり)の話を聞き、公園のブランコに包帯を巻く。その行為に感動したタンシオは、包帯クラブを発足させネットで広げてゆくが・・・。
“やらない善より、やる偽善の方が良い”
オイラ的には、正直興味や共感がわくようなお話とはいえなかったのだけど、柳楽優弥と石原さとみの存在感極まる演技に引き込まれて最後まで見入ってしまった。
柳楽くんに関しては、「星になった少年」(2005)で役者として成長していく過程をリアルタイムで見せられるという、例えば田中麗奈の「がんばっていきまっしょい」(1998)もそうだったんだけど、貴重な映画体験をさせてもらい、将来が楽しみだなと思ってて、今回の映画を見て役者として本当に大きく成長したんだなぁということを実感させてもらった。
石原さとみは、柳楽くんとは違って、すでに女優として出来上がっちゃってるなという印象で、どこにでもいそうな女の子をピンポイントで演じることで逆にそれが際立って見えたかんじ。
まぁ、映画の内容やテーマに関しては、ディノたちとは世代が一つ違うせいか、理解できるようなできないようなよく分からないかんじだったんだけど、でもあの年頃の子って皆なんかよく分からない不安だとか痛みを持ってるものなんだよね。
いや、もしかして社会全体がよく分からない不安定さに覆われているといった方がいいのかもしれない。
五木寛之が言うところの「現在は鬱の時代なのだ」と。だから癒しがブームになるのだろうし。
しかし、若者の鬱屈したエネルギーのやり場の対象となるとともにそれを受け止めてくれるはずの大人の世界が鬱きわまれりになっちゃってるもんだから、傷や悩みなんて持って当たり前の世代の若者にとってはこれほど生き辛い時代もそうはあるまい。
そして、そういう時代の空気を敏感に感じ取ってしまうのも、また若者なわけで、その意味ではディノたちの行動は、今を変えるには自分を変えなければならないという純粋な心の発露といえるのかもしれない。
人の痛みを自分の痛みだと感じられなければ世界は変えられないのだ、と。
そう考えると、実はすごくイイ映画なのかも、と思っちゃうんだけど、でもまさか高田延彦の「出て来いやーッ!!」のマネをビルの屋上で豪快にされても、、ねぇ(笑)。。
感化されるまでには至らなかったかなぁ・・・。うーん。。
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ペイ・フォワード
出演:ケビン・スペイシー、ヘレン・ハント、ハーレイ・ジョエル・オスメント
監督:ミミ・レダー
(2000年・アメリカ・124分)DVD
評価★★☆/50点
内容:「世界を変えたいと思ったら何をする?」という問いに対し11歳のトレバー少年は、“ペイ・フォワード”=受けた厚意をその相手ではなく周りの人へと贈る、と答えた。彼のこの奇想天外なアイデアは着実に広がっていき、奇跡を巻き起こす。
“次へ渡せるような映画じゃない。”
「めぐり逢えたら」と「フィールド・オブ・ドリームス」ガンガン引用しとるやんけ。ていうか引用を超えとるよあれじゃ。盗用ってやつ?
肝心の映画の中身もなんちゅうか、シモネット先生風に言えば、「非常に婉曲した恋愛映画」ってかんじ。
しかも恋愛映画としてのエピソードがSEXするかしないかだけだもんよ。。7回以上ディナーしたらHしなきゃならないのかよ、、みたいな。
7回かぁ・・・。
ハッ、、、いかんいかん。。
ま、いいや。とにかくもっと他に描くことあるだろよ、と。
おかげで終盤は地滑り的に中途半端なネタが押し寄せてくる。
ボン・ジョヴィのリッキーしかり、ホームレスのオバハンがいきなりアーリーンの母親だと!?
しまいには唐突に刺されるって!?さらにはいつの間にかロウソク持っている人々・・・?
Hの話よりこっちの話を膨らませてくれよな。泣くに泣けませんよあれじゃ。
“可能な王国”じゃなくて、“可能なかぎり詰め込んだ映画”になっちゃったよ。しかもぎゅうぎゅう詰め・・・。
扱ってる題材はすっごく良いのに。あれじゃ台無し。
もっとネタを絞ってアメリカ映画らしくあざとく描く方がまだかえって許せるのに。
とにかく周りの人にはペイ・フォワードしたくない映画です。。。
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フィッシャー・キング(1991年・アメリカ・137分)NHK-BS
監督:テリー・ギリアム
出演:ロビン・ウィリアムス、ジェフ・ブリッジス、アマンダ・プラマー、マーセデス・ルール
内容:過激なトークが売り物だった人気DJジャックは、「ヤッピーたちを殺せ!」という彼の言葉を真に受けた孤独なリスナーが、レストランで銃を乱射し7人の犠牲者を出したことですっかり落ちぶれてしまっていた。3年後、ジャックは恋人の経営するビデオショップに居候していた。そんなある日、泥酔したところを暴漢に襲われたジャックは、ホームレスの奇妙な男に助けられる。
評価★★/40点
“まったく同じ題材とストーリーをコーエン兄弟で見たい・・・。”
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