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2009年1月14日 (水)

夢のシネマパラダイス5番シアター:世界の黒澤シネマスタイルズvol.3

七人の侍

Kuros_simage02 出演:三船敏郎、志村喬、加東大介、木村功、千秋実、宮口精二、稲葉義男、藤原釜足

監督・脚本:黒澤明

(1954年・東宝・207分)1998年・東北大学講堂

内容:戦国時代、野武士たちの襲撃を受けていた貧しい農村では、村を守るために用心棒を雇うことにする。長老の命で侍を探しに出かけた農民たちの代表は、勘兵衛という頭の切れる侍と出会い、彼の協力によって7人の個性的な侍が集められる。村へ向かった一行は、農民たちにも即席の訓練を施し、野武士を迎え撃つ!

評価★★★★☆/85点

ホントに必死でつらそうな、しんどそうな菊千代の一瞬の顔を見たとき、これはホンモノの映画だと思った。そして思わず熱いものがこみ上げてきた・・

マルチカメラ方式のなせる技であるといえばそれまでだが、しかしオイラはそうは思いたくない。

泥にまみれ地べたに這いつくばり、必死で馬上の野武士に立ち向かっていく姿。その一瞬。

百姓出の菊千代の思いをたしかにオイラは受け取った。と同時に、この映画から一瞬たりとも目を離してはいけないと真摯に思った。

撮影中、三船敏郎は痛風にかかっていたと聞いたことがあるが、そんなことはどうでもいい。菊千代がそこにいたのをオイラは確実に見たのだから。

いや、菊千代だけではない。皆必死だ。侍、百姓はもちろん野武士でさえも。

群雄割拠、興隆没落が繰り返されていた時代。武士が巷にあふれ宮仕えもままならなかった時代。

必死に生きようとする者たちの思いが画面からヒシヒシと伝わってくる。

本当にスゴイ映画だと思う。

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デルス・ウザーラ(1975年・ソ連・161分)NHK-BS

 監督:黒澤明

 出演:ユーリー・ソローミン、マキシム・ムンズーク、シュメイクル・チョクモロフ

 内容:1902年秋、地誌調査のために沿海州ウスリーにやって来たアルセーニェフは、密林の中で少数民族ゴリド人の猟師デルスと出会う。彼は突然襲ってきた吹雪からアルセーニェフを救ったり、苛酷な自然の変化を敏感に察知して、探検隊を何度も助けるのだった・・・。黒澤明がソ連のモスフィルムに招かれて監督し、モスクワ国際映画祭作品賞とアカデミー外国語映画賞を受賞した人間ドラマ。30年間構想を抱いてきた帝政ロシア時代の軍人アルセーニェフの探検記を、準備期間と撮影に2年半を要して映画化した。

評価★★★☆/70点

ドストエフスキーの「白痴」(1951)、マキシム・ゴーリキーの「どん底」(1957)、シェイクスピアの“マクベス”「蜘蛛巣城」(1957)、エド・マクベインの「天国と地獄」(1963)、シェイクスピアの“リア王”「乱」(1985)と、外国の文学を日本に置き換えて描くことにかけても稀有な才を発揮してきた黒澤明。

その中で唯一、オール現地ロケで撮ったのがロシア文学を原作にしたこの「デルス・ウザーラ」なのだが、聞くところによると「姿三四郎」(1943)を撮っていた頃に、舞台を北海道に変えて映画化しようとしていたらしく、結局途中で頓挫してしまい、1975年の本作で30年ぶりにその構想は実現したのだという。

日本など足下にも及ばない雄大かつ厳格な大自然を70ミリフィルムに収め、自然と人間の対峙という普遍的なテーマをセミドキュメンタリータッチとでもいうべきシンプルな映像で描ききったという点では、オールソ連ロケによって作られた本作は大成功だったといえよう。

日々移りゆく自然と会話しながらシンプルに生きてきたデルス・ウザーラは、例えていえばマンガ版風の谷のナウシカに出てくる“森の人”そのものだと思うのだが、シンプルに生きられなくなった外部の文明人と交わったことで、森の人としての純粋無垢な資質が次第にはがれ落ちていく。

森の守り神として敬っていたトラをなんなく撃ち殺してしまった自分に愕然とするデルス、そして焚き火と会話していたはずのデルスは、殺風景な都会の部屋の中で暖炉をうつろに見つめるだけの抜け殻のような存在になってしまう。

そして、文明の最先端をいく最新式の銃をもらって森に帰って行ったデルスを待ち受けていた残酷な運命・・・。

なんと物悲しい英雄譚だろう。。

一番偉い人・太陽、次に偉い人・月を日々の中で見上げることさえ忘れてしまい、怒ると怖い人・水と火をスイッチひとつで何気もなく使っている現代人。そんな我々が気にもとめずに忘れかけている大切なものを考えさせてくれるという意味では、この映画は最も豊かな映画ともいえるのかもしれない。

黒澤はやはりスゴイ!

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影武者

89e95908ed2_2 出演:仲代達矢、山崎努、萩原健一

監督:黒澤明

(1980年・東宝・179分)NHKーBS

評価★★★/60点

内容:徳川家康攻めの折に被弾し、この世を去ってしまった武田信玄。その弟信廉は信玄死すの噂を打ち消すために信玄の影武者を立てようとする。しかし、白羽の矢が立ったのは、なんと盗人だった・・・。当初主役だった勝新太郎は監督とのいざこざから途中降板。一応カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作。

“馬とオイラはだませない!”

もともと黒澤映画のカラーものはそんなに好きじゃなくて、やっぱりこれもそう。

黒澤のオーラや神通力が全く感じられないのです。

それに加えて静かすぎるんです。

仲代達矢のコメディリリーフとしてのオトぼけぶりはまだいいとして、まわりの脇役に生気が無い。

必死に生きようとしてるの?アータたち。

何か操り人形みたいなんだよ。親方様が死んで、仕方なく影武者にしたのは分かるけど、それでもやる気出せよっつう話。

さらに何なのラストの長篠の合戦シーンは。。

あの撮り方は反則でしょ、レッドカードでしょ、退場でっしょ、いっったいどうなっちゃってるわけぇぇ(石橋風)。

これに腹を立てたスピルバーグが「プライベート・ライアン」の冒頭に力を入れたんじゃ。。。ウソ。

黒澤映画はやっぱり白黒だ!三船だ!志村だ!藤原だ!千秋だ!左ト全だーッ!

(追記)

「どうして人間という存在は、お互いに戦い合うんだろうか。殺し合うんだろうか。人間が生きている限り、憎悪は消えないものなんだろうか。」ということを真っ直ぐに悩む黒澤は、この映画のクライマックスで戦闘シーンをほとんど映さず、殺傷され、のた打ち回る大量の人と馬で戦争の残虐さを表現したのだという。

そっか、こういう撮り方もありってことなのね。♪~( ̄ε ̄;フッ

、、って世界のクロサワになんて口を叩くんだアータ(笑)。

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虎の尾を踏む男達(1945年・東宝・59分)NHK-BS

 監督:黒澤明

 出演:大河内伝次郎、榎本健一、森雅之、志村喬

 内容:歌舞伎の「勧進帳」の映画化で、源義経と弁慶一行の安宅の関越えを描いている。

評価★★★☆/70点

“エノケンで笑い、ミュージカル仕立てで爆笑!”

エノケンとナイナイの岡村がダブった。。エノケンの笑い声、、、イッちゃってるよね。

あと大河内伝次郎、何しゃべってんだか分かんないんだけど。。

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生きものの記録(1955年・東宝・113分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:三船敏郎、東郷晴子、志村喬、千秋実、清水将夫

 内容:黒澤明が原水爆の恐怖というテーマを取り上げ、核兵器反対のメッセージを明らかにしたヒューマン・ドラマ。鋳物工場を経営し、相当の財産を持っている中島喜一老人は、原水爆の脅威におびえるあまりにノイローゼになり、地球上で最も安全だと信じる土地ブラジルに家族を連れて移住する計画を立てていた。それを実行に移そうとした喜一は、移住に反対する妻や子供たちから準禁治産者に指定される訴訟を起こされる。目先の財産にとらわれている子供たちに絶望した喜一は、やがて工場に火を放つのだった・・・。

評価★★★/60点

“この世で1番怖いもの、、、水爆、雷、火事、親父!!”

原水爆の放射能の恐怖から自分と家族を守ろうと財産をスッてまで秋田の田舎に地下施設を作った親父は、さらに何をトチ狂ったのか地球で安全な場所は南アメリカしかないとブラジル移住を強行しようとするという、トンでもなお話。。

戦争の影がまだ色濃く残っていた戦後10年足らずで作られた本作を、当時見るのと戦後60年以上経った今見るのとでは、この映画から感じるものは異なってくるのだろうかというところは興味があるのだけど、例えば原水爆に対する肌に伝わってくる恐怖というのはやはり当時の方が実感としてあったんだろうし。

しかし、はたしてあの親父に感情移入できる奴なんているんだろうか・・・。

それでもオレは日本で生きていく!と宣言して、どこぞの党に入党して活動したりだとかすればいいのに。ブラジル移住というのはただの逃避でしかないわけで、やはり権力者がすることはいつも同じ投げ出しなのか、、、あげくの果てに工場に放火までして、後に残された労働者たちの嘆きを聞いた親父、、、本格的に狂ってしまいますた(笑)。。なんじゃこりゃ。。

どうもこういう話を正面切って大マジメにやられても、逆に真に迫ってこないというか、例えばこの話を過剰なブラックユーモアで完璧にカリカチュア・深化させたのがキューブリックの「博士の異常な愛情」(1964)だと思うのだけど、あっちの方が結局伝わってくるものは大きいんだよね。

そこらへんがかなり物足りないところではあったけど、しかし親父がラストで精神病院の隔離病棟で太陽を指さして「地球が燃えとる!」と叫ぶシーンはさすが黒澤というべき出色のシーンだったと思う。

三船敏郎も実年齢と倍近い年の差を感じさせないエネルギッシュな老人を印象的に演じていたし。

うーん、、、「お父さんが思ってる不安は、日本人みんなが不安に思っていることでもありますよ。」というセリフがあったけど、核爆弾積んだ米軍の艦隊が日本に寄港しようとも、自分んちの周囲200km圏内を原発に取り囲まれようとも不安が実感として押し寄せてこないオイラ、、、の方こそ正真正銘狂っているといえるのかもしれない・・・。

そんなオイラにとって怖いのは、、、やっぱり地震、雷、火事、バルサ!!レアルの宿敵ね・・

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どん底

Kurop17  出演:三船敏郎、山田五十鈴、香川京子、中村雁治郎

監督・脚本:黒澤明

(1957年・東宝・137分)NHK-BS

内容:四方を囲まれ陽も当たらず、荒れ果てた長屋には、様々な境遇の落ちぶれた人々が住み着いていた。しかし、外見の惨めさに反して、この長屋には自堕落で楽天的な空気が漂っている。ある日、この長屋にお遍路の老人が舞い込んできた。この世の荒波にもまれてきた老人は、長屋の連中にいろいろと説いて回り、長屋の雰囲気が変わっていく・・・。マキシム・ゴーリキーの同名戯曲に材をとり、陽の当たらない場末の長屋に住む人々の人間模様を描いたヒューマンドラマ。

評価★★★★/75点

どんな上質な舞台劇よりも圧倒的な舞台劇を見せられたようなかんじで、何しゃべってるか聞き取れないところが多々あるんだけど、あっという間の140分だった。

役者陣の熱いコラボレーション、パンフォーカスを印象的に使った映像、歪んだ長屋のセット。それらが渾然一体となり人々の貪欲な生のほとばしりをものの見事に映し出していたと思う。

でもやっぱりなんといっても、村木与四郎の美術とセットだよなぁ。

宮崎駿は「自分たちの生きているところに真っ直ぐなものはない。だからまっすぐを定規で描かなきゃいけないみたいなことは、この世界では初めから捨ててよろしい」と言ってるけど、まさにそれを実写の世界で体現してしまったかのような曲がり方(笑)。どう見たって斜めにゆがんでるからね、あの長屋。

みすぼらしいセットを作ることほど難しいものはないと思うけど、シナリオ、美術、照明、撮影、音楽、演技などそれぞれが極めて高いレベルで結びつき合った作品。それが黒澤映画の黒澤映画たるゆえんなのかもしれない。

やっぱり黒澤明は凄かった・・・。

ただ、、、香川京子のあの狂い方だけはなんとも解せなかったな。若い女性を描くことだけは苦手だったりして。。

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「黒澤明の作劇術」という本を5月10日に発行します。フィルムアート社のホームページで詳細を紹介しています。よろしかったらお読みください。

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