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2009年1月14日 (水)

夢のシネマパラダイス1番シアター:世界の黒澤シネマスタイルズvol.4

蜘蛛巣城

Kumonosu_2 出演:三船敏郎、山田五十鈴、志村喬、千秋実

監督:黒澤明

 

(1957年作品・東宝)NHK-BS

評価:★★★★/75点

内容:時は戦国時代。蜘蛛巣城主、都築国春に仕えていた戦国武将鷲津武時(三船敏郎)は、僚友三木義明(千秋実)とともに反乱を平定するが、城に帰る途中で物の怪ババアに出くわす。そして、この妖しげなババアは「武時はやがて城主になれる」という予言を聞かせるのであった。そして武時は妻・浅茅にそそのかされ主君を殺害してしまうのだった・・・。

“高校生の時に、友達と黒澤映画で話が盛り上がっていた時に1番盛り上がったのがこの「蜘蛛巣城」だった。”

「だって、森が動くんだゼーーッ」「矢がシュポッて刺さるとこなんか最高だよ」とかしゃべくりまくってたなぁ。。懐かすぃ。

全般的に何か舞台劇でも観てる印象。例えば物の怪バァさんと出会う場面とかそのまま転用できるんじゃなかろうか。舞台といえば森と城と館くらいなもんだし。三船敏郎のあの動きはどう見ても舞台劇だよね。

大殿が北の館にお忍びでやって来ることを知ってビックリ仰天する動きとか、奥さんにそそのかされる場面とか。魅き込まれちゃうんだよなあ。

2時間という長さも全く感じさせないし。

えっ、こんな単純な話2時間も観てたの?ってかんじ。

まあテレビの音量上げてもセリフ聞き取れなかったから一生懸命聞こうと集中してたせいかも・・。

でも、映像からくる何とも言いようのない恍惚感ってやつ。森を疾走する場面なんか、まるでガソリンの臭気をかんでウットリするようなかんじが、、ヤバッ

あと間の取り方とか独特な緊張感も同様に来まくります。

大殿の柩とともに城に入城するシーンなんかホントにゾクゾクする。

ああ、黒澤映画は白黒にかぎるな、ウン。

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わが青春に悔なし

Wagaseishun 出演:原節子、藤田進、大河内伝次郎

監督:黒澤明

(1946年・東宝・110分)NHK-BS

内容:1933年、京大の八木原教授は学園から追放され、教え子の野毛は左翼活動へ身を投じる。数年後、野毛は反戦運動に没頭し、八木原の娘幸枝と同棲を始めるが、第2次大戦が始まるとスパイ容疑で検挙されてしまう。八木原は野毛の弁護に立つ決心をするが、野毛は獄死してしまうのだった・・・。戦前戦中の反戦運動を主題とした黒澤監督の戦後第1作。

評価★★★☆/70点

「自由の裏には苦しい犠牲と責任がある。」

八木原教授が繰り返しおっしゃるお言葉。良家の娘であり、昔は何でもふざけて考えていた(が内心では考えている)という幸枝を絶望から立ち直らせるこの言葉にはやはり重みがある。

“8月15日終戦、日本敗戦の日、自由への飛翔”というテロップが示すとおり、半ばアメリカの民主主義の強制注入により言論や思想の自由は回復されていくわけだが、その裏には野毛のように獄死していった者があまたいるのだろう。

また、黒澤監督自身にとっても、映画という表現者としての自由を束縛されていたわけで、自分が書いた脚本が戦時統制によりほとんどお蔵入りになるわ、なんとか作った「姿三四郎」(1943)でさえ、そのての機関に英米的だと批判されるわ、かなりの鬱憤というかやり切れなさはあったのだろう。

それが解き放たれた時の開放感、活力感といったものがこの映画からは感じ取ることができる。

野毛と幸枝たちが森を駆けるシーンがあるが、まさに自由に飛翔していてとてもよく出来ている。森を駆けるというのは黒澤映画にはよく出てくる代名詞みたいなシーンだけどね。

この映画から感じ取れる活力感といったものはいわば黒澤明の映画を作るゾ!というヤル気であり、喜びなわけだ。

幸枝という女性を主人公にしたのも意外といえるが、幸枝が婦人運動に生きがいを見出し、野毛の意志を継ぐのと同じように、黒澤監督も野毛の意志を継いだといえるのではないだろうか。映画の世界で。

自分の理論に裏打ちされたことをただやるだけ、しかし徹底してやるという野毛の信念は黒澤の信念ともいえる。

完全主義者としての野毛と黒澤が重なって見えるのも非常に興味深かった。

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静かなる決闘(1949年・大映・95分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:三船敏郎、志村喬、三條美紀、植村謙二郎、千石規子、中北千枝子、宮崎準ノ助

 内容:軍医の藤崎は野戦病院で中田上等兵を治療した際、中田が患っていた梅毒に感染してしまった。終戦後、藤崎は父にも内緒で治療を続けながら、診療所の医者として地域の人々に尽くしていく。彼には結婚を約束した美佐緒という恋人がいたが、彼女のためを思い、婚約も破棄せざるを得なかった・・・。

評価★★★★/75点

“三船に感情移入はできないが、千石規子には感情移入できる。”

オープニングの野戦病院でのドシャ降りの豪雨とクライマックスの赤ん坊の泣き声は、まるで次作の「羅生門」(1950)を想起させるインパクトがあるし、志村喬と三船敏郎の父子というのも新鮮で見応えがある。

しかし、この映画はなんといっても千石規子だろう。彼女の成長物語がしっかり縦のラインとして確立しているからこそ、世代も年代も全くかけ離れた自分でもわけなく見れてしまうのだと思う。

たけしくん、ハイ!やDr.コトー診療所のバアちゃん役しか知らない自分にとっては、この映画における人間味あふれた看護婦という役柄はものすごく心に残った。

黒澤といえば男キャラの力強さが売りなだけに、今回の苦悩にあふれる、まさに静かなる男を向こうに回して啖呵を切る千石規子は非常に印象的だったといえる。

あとはラストの志村喬演じる父親のセリフ。これも凄い。

主人公・藤崎(三船敏郎)は聖人だという評に対し、「さあ、それはどうだろう。あいつはただ自分より不幸な者のそばに身を寄せて、癒されて希望を取り戻そうとしているだけなんですよ。もし幸せだったら、あいつはただの俗物(=凡人)だったかもしれません。」だって。。

ウガーーッ!!深すぎる~~(笑)。。

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白痴(1951年・松竹・166分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:森雅之、原節子、三船敏郎、久我美子、志村喬

 内容:ドストエフスキーの原作を、ロシアから北海道へ移し替えて映画化した野心作。有力者・赤間の愛人である妙子と政治化の娘・綾子は、てんかん性痴呆症だという亀田に惹かれていた。4人の間で様々な想いが錯綜し、赤間が妙子を刺して亀田と同じ精神病院へ送られる・・・。当初4時間25分の作品として完成した本作は、製作会社から大幅なカットの要請を受け、結局2バージョンの短縮版が一般公開された。

評価★★★/65点

“原節子の目が怖い”

原作を読んだことがない中で、この2時間以上カットされている支離滅裂な、それでも2時間46分もある映画を観せられるのは普通なら苦痛でしかないのだが、黒澤の絵力に吸い寄せられるようにフツーに最後まで見れてしまうのだから、やはり黒澤映画は恐ろしい。

体感温度が一気に下がってしまうかと思われるほどの冬の札幌の情景、揺らめくロウソクの炎、汽車の煙に包まれる人物。

たしかなカメラの力点にグイグイと引き込まれていく。

そしてラスト、妙子(原節子)の刺殺死体の視点にカメラを据えてロウソクの灯りの前で繰り広げられる毛布にくるまった三船敏郎と森雅之の精神崩壊への妖しい序曲や、原節子vs久我美子の女の意地の対峙など役者で見せるシーンも連続する。

特に、「サンセット大通り」(1950)のグロリア・スワンソンの眼力を思わせる原節子の怪演ぶり、そしてジェラール・フィリップの目を思わせる森雅之は出色。

大仰な所作や展開に次第に喜劇に見えてきてしまったのだが、パルコ劇場あたりで舞台劇で見たいようなかんじだったな。

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