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2009年1月31日 (土)

夢のシネマパラダイス108番シアター:変身/欽ちゃんの仮装大賞ボツ作品!?

ゴーストライダー

1018969_m 出演:ニコラス・ケイジ、エヴァ・メンデス、ウェス・ベントリー、サム・エリオット、ピーター・フォンダ

監督・脚本:マーク・スティーヴン・ジョンソン

(2007年・アメリカ・110分)WOWOW

評価★★★/65点

内容:17歳の時に、病気の父親の命を救うため、悪魔メフィストに魂を売る契約を交わしたジョニー。それから13年後、バイクスタントショーで人気を博す天才ライダーとなっていた彼の前に、メフィストが再び現れる。メフィストは契約履行を要求し、魔界の反逆者ブラックハートを退治するよう命じるのだった。ジョニーは地獄の炎に包まれたゴーストライダーとなり、悪魔軍団を追いつめていくが・・・。

“長っげえプロローグ!?”

あちら側の世界にイキまくるブチギレ演技が十八番といってもいいニコラス・ケイジにとって、悪魔と契約し、顔面を紅蓮の炎に燃えたぎらせながら突っ走るという完全にあちら側の世界にイッちゃってるキャラクターというのは適役そのもので、そういう面ではすんなり映画の世界に入っていくことができる。

しかし、このてのアメコミヒーロー系の映画の中では薄味のかなりすんなりとしすぎなストーリー展開であることに加えて、敵の悪魔軍団がこれまたかなりすんなりと倒されて見かけ倒しで弱すぎということもあって、思ったほど印象に残らない映画かな、と。

そういう点では、続編作ってもらってN・ケイジにはもっとスパークしてもらいたいなと思う。

プロローグとして見るならば良い出来。。

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ゼブラーマン

Aqolxeszzm 出演:哀川翔、鈴木京香、渡部篤郎、大杉漣、岩松了、柄本明

監督:三池崇史

(2003年・東映・115分)WOWOW

評価★★★/65点

内容:2010年、横浜市八千代区に住む小学校のオタクダメ教師・市川新市。学校では学級崩壊、さらに家庭も崩壊とグッダグダ。そんな新市の憧れは34年前、視聴率低迷で7話で打ち切りになった幻のヒーロー“ゼブラーマン”。記憶を頼りに自作のコスチュームまで作り、夜な夜な通りを練り歩いていた。ところがちょうどその頃、八千代区では様々な異変が起こり始めていた・・・。哀川翔主演百本記念映画!ドーン!

“西のスパイダーマン、東のゼブラーマン!どうだ、文句あっか。”

「ジュース買いに行っちゃおうかな、この格好で。」「ヤバイッ、浅野さんに見せたい。」はドツボにはまった。

『GO』(2001)での「オレにもしゃぶしゃぶさせろよー」に匹敵するセリフだった(笑)。

でも面白かったのはせいぜいこのセリフが出てくる前半から、鈴木京香が一段大女優への階段を登ったゼブラーナース参上までで、本気度を出してきた後半はちと白けた。

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ハルク(2003年・アメリカ・138分)2003/08/09・MOVIX仙台

 監督:アン・リー

 出演:エリック・バナ、ジェニファー・コネリー、サム・エリオット、ジョシュ・ルーカ

 内容:遺伝子学者のブルースが、実験中の事故で大量のガンマ線を浴びる。それ以来、彼は怒りを制御できなくなると、巨人ハルクに変身して破壊行為を繰り返すようになってしまう。ハルクを止めるべく、やがて軍が動き出すが・・・。マーヴェルが生んだ人気ヒーローを、アン・リー監督が映画化。

評価★★☆/50点

そもそもなところ、アン・リーとアメコミにどうしてもつながりを見出すことができない・・・。

鑑賞後も、、、やはりつながらない。

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マスク

00000583254 出演:ジム・キャリー、キャメロン・ディアス、ピーター・リーガート

監督:チャールズ・ラッセル

(1994年・アメリカ・101分)盛岡中劇

内容:さえない銀行マンのスタンリーは、ある日、ナイトクラブのセクシーな歌姫ティナと出会い、ひと目で恋に落ちた。その日の帰り道、スタンリーは川で古ぼけた仮面を拾う。さっそく家に帰ってその仮面を付けてみると、、仮面はゴムのように顔に張り付き、スタンリーは緑色の顔に黄色のド派手なスーツを着た怪人に変身した・・・。人間の潜在的欲望を引き出す古代の仮面をつけた青年が、謎の怪人マスクとなって活躍するアクションコメディ。

評価★★★☆/70点

ふと自分は今までどのくらいの仮面を被って生きてきたんだろうと思い悩んでしまった、、アフォな見方をしてしまいますた。。

マスクマンが勢いよく走り出すときの体勢が好きでよくマネしたっけ(笑)。

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CASSHERN(2004年・松竹・141分)WOWOW

 監督:紀里谷和明

 出演:伊勢谷友介、麻生久美子、寺尾聰、樋口可南子、及川光博、唐沢寿明

 内容:70年代前半に人気を博したTVアニメ「新造人間キャシャーン」を、VFXやCGを駆使して実写映画化したSFアクション。監督は宇多田ヒカルの元夫、宇多田は主題歌なんて歌っちゃってます。。

評価☆/10点

ハイ、この映画に憎しみを抱きました。それほどツマラなかった。

いつ、どこで、誰が、何を、どのようにして、、、なぜこんなことも出来ないのだ。オール1!

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デアデビル(2003年・アメリカ・104分)WOWOW

 監督・脚本:マーク・スティーブン・ジョンソン

 出演:ベン・アフレック、ジェニファー・ガーナー、マイケル・クラーク・ダンカン、コリン・ファレル

 内容:少年期に視力を失ったかわりに、超人的な聴力と身体能力を手に入れたマット。昼は盲目の弁護士として弱者を救い、夜は謎のヒーロー“デアデビル”として法で裁けぬ悪を討つ!ってか・・。マーヴェルコミックの人気ヒーローの実写映画化。

評価★☆/35点

ドッタドッタドッタドッタ、、、走り方をなんとかしろ。

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インビジブル(2000年・アメリカ・113分)DVD

 監督:ポール・バーホーベン

 出演:ケビン・ベーコン、エリザベス・シュー、ジョシュ・ブローリン、キム・ディケンズ

 内容:人間を透明化するという国家機密プロジェクトを指揮する天才科学者セバスチャン。自ら実験台となり、透明化に成功したものの、元の姿に戻る作業に手間取っているうちに、次第に透明であることの魔力に魅入られていく・・・。

評価★★★/60点

夢を創り出して売るのがハリウッド。でもこんな男の妄想にまで手をつけてご丁寧に売り出さなくてもいい・・。

ハリウッドのネタ切れも末期的やな。AVの企画ものならまだしも・・。

いや、でもバーホーベンであることを考えれば、ごくごく真っ当な映画か(笑)。。

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ジキル&ハイド(1996年・アメリカ・108分)WOWOW

 監督:スティーヴン・フリアーズ

 出演:ジュリア・ロバーツ、ジョン・マルコヴィッチ、ジョージ・コール、マイケル・ガンボン

 内容:19世紀末のロンドン。高名な医師ジキル博士の屋敷で奉公しているメイドのメアリー・ライリー。2人は次第に惹かれあっていくが、博士の助手だという粗野な男ハイド氏が屋敷に出入りするようになって事態は一変する・・・。

評価★★☆/50点

マルコヴィッチはハマリ役というかんじで、さすがの怪演ぶりだったけど、ジキルとハイドの差をもっとつけてほしかった気も。

また、華がないのは暗いトーンの作風として致し方ないとしても、エロスが全く皆無なのはいただけない。

ジュリア・ロバーツじゃなくて、スカーレット・ヨハンソンだったらなぁ・・・。

全体的にはイマイチ。

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ザ・ファントム(1996年・豪/米・100分)テレ朝日曜洋画劇場

 監督:サイモン・ウィンサー

 出演:ビリー・ゼーン、クリスティ・スワンソン、トリート・ウィリアムス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ

 内容:海賊に父親を殺された少年が、成長して正義のヒーローとして活躍するさまを描いたアメコミの映画化。

評価★☆/30点

どう見ても白馬に乗ったモジ男くんにしか見えなかった。

そして、しまいにはビリー・ゼーンが保毛男田保毛男に見えてきて笑いが止まらなくなった・・・。

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スピーシーズ 種の起源(1995年・アメリカ・109分)テレ東木曜洋画劇場

 監督:ロジャー・ドナルドソン

 出演:ベン・キングスレー、マイケル・マドセン、アルフレッド・モリーナ

 内容:20年前のNASAのメッセージに対する答えである不思議なDNA配列記号。それを人類のDNAに結合する実験をするが、生まれた女のコはやがて皮膚が隆起し、鋭い触覚が伸び、美女からグロテスクな恐ろしいクリーチャーに変身してしまう・・・。

評価★★/40点

早漏ウェルカム女のドタバタチン道中に、さすがのエロオレも途中から食傷気味に・・。

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レディ・ホーク(1985年・アメリカ・121分)WOWOW

 監督:リチャード・ドナー

 出演:マシュー・ブロデリック、ルトガー・ハウアー、ミシェル・ファイファー

 内容:中世ヨーロッパを舞台に、呪いのために鷹と狼に変えられ、互いに手を触れることも出来なくなった恋人たちが悪の司祭に立ち向かうファンタジー。

評価★/20点

香港映画として十分通用するレベルじゃないスか、、アハ・・・。

2009年1月30日 (金)

夢のシネマパラダイス55番シアター:松ヶ根乱射事件

松ヶ根乱射事件

Teaserposca_250350 出演:新井浩文、山中崇、川越美和、木村祐一、三浦友和、キムラ緑子

監督:山下敦弘

(2006年・日本・112分)2007/06/04・仙台セントラル

評価★★★☆/70点

内容:90年代初頭の雪に閉ざされた田舎町、松ヶ根町。鈴木光太郎(新井浩文)は派出所勤務の警察官。一方、双子の兄・光(山中崇)は、姉夫婦が切り盛りする畜産業を手伝っているが、全くやる気なし。また、父親(三浦友和)は近所の床屋の女(烏丸せつこ)の店に行ったまま帰って来ないが、それに対し母親(キムラ緑子)の方も全く無関心。そんなある日、町でひき逃げ事件が発生する。検死に回された被害者の女性・池内みゆき(川越美和)は、しかし意識を取り戻し、西岡佑二(木村祐一)という怪しげな男と犯人捜しを始めるが・・・。ちなみに、、実話だそうです・・・。

“平成版「楢山節考」”

「リンダリンダリンダ」「天然コケッコー」と同じ監督が撮ったとは思えない辛くて苦い映画だけど、いっとき日本のアキ・カウリスマキと呼ばれていたこともあったが、これ完全に今村昌平じゃないか(笑)。。

何なんだこの器用さは。しかも器用貧乏になってないところがスゴイんだよな、この監督。

オイラより3つくらい上で年代としてはあまり変わらないんだけど、何なんでしょうホント。この人のルーツを小一時間くらい問いつめて知りたい気分。

同じ信州長野が舞台ということで、なんかホント今村昌平の「楢山節考」(1983)を真っ先に思い浮かべちゃったんだけど、かの作品がドロドロとまとわりついてくるような生と性、そして閉鎖的ゆえにそこに蓄積し沈殿していく欲望と土着のエネルギーを執拗に描いたといえるならば、今作で描かれる90年代にはもはやそういう土着性は皆目なくなっており、まとわりつくべき対象すら見出せない中で、ただドロドロとしたような空気感だけが宙を漂っている。

そういう時代性を敏感に感じ取った上で、ラスト、新井浩文が拳銃を宙空のあらぬ方向に向けて撃ちまくるというのは、もの凄く的を射ている象徴的なシーンだったと思う。映画史に残る銃撃シーン、、なんつって。。

そう考えても、やっぱこの監督さんはスゴイと思う。

あと、出色だったのが木村祐一。あの無表情のしゃべりが淡々としていて余計に恐いんだよね。

でも、「ファーゴ」と似たような光景から始まったかと思いきや、いきなり小学生の男の子が女の下半身まさぐっちゃったり、木村祐一のSEXも吐き気をもよおすくらい下手クソだし、車の中で運転しながらゲロ吐く新井浩文といい、まぁたぶんもう二度と観ることはないと思うけど・・・(笑)。でも、この監督の次作は待ちきれない。

そういえば、思わず脱力しちゃうようなポヨヨンみたいな音楽って、「男はつらいよ」の寅さんが腑抜けキャラになる時に使われてたのと同じだったけど、そっからヒントを得たのかな。

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(おまけ)

リアリズムの宿(2003年・日本・83分)

 監督:山下敦弘

 出演:長塚圭史、山本浩司、尾野真千子、多賀勝一、山本剛史

 内容:冬のある日、若手の映画監督・木下(山本浩司)と脚本家・坪井(長塚圭史)は、共通の友人である俳優の船木に誘われて旅に出るが、肝心の船木が来ない。顔見知り程度の関係でしかない2人は、ビミョーな雰囲気の中、鳥取のとある温泉街の駅で途方にくれていた。そして、日本海をボーッと眺めていた2人は、海で泳いでいたら荷物を波にさらわれたという裸同然の女性・敦子(尾野真千子)と出会う・・・。原作は、つげ義春の漫画。

評価★★★☆/70点

“リアリズムのコント”

日常の取るに足らないムダ話に照準を合わせて思いっきり引き伸ばしていき、絶妙な間による展開と笑いをすくい取っていくというのは、基本的にコントの作りと同じだと思うのだけど、よくぞここまでマッタリとした世界観で一貫して作り上げたなと関心してしまった。

よほどリハーサルを重ねて作り込んでいかないと、こういう微妙かつ絶妙な間というのは出てこないと思うのだけど、なんかダウンタウンの松ちゃんが映画で1本立ちしたらこういう映画になるんじゃないかなという気がする。

映画界の松本人志たる地位に上りつめていくのか、、、山下敦弘、要注目です。

(初記)2004/06/27 シネマ・ソサイエティ

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ファーゴ(1996年・アメリカ・98分)仙台セントラル

 監督・脚本:ジョエル・コーエン

 出演:フランシス・マクドーマンド、スティーブ・ブシェーミ、ウィリアム・H・メーシー

 内容:1987年冬、ミネソタ州。自動車ディーラーのジェリーは、多額の借金を背負い、妻を偽装誘拐して養父から多額の身代金を引き出そうと考えた。ジェリーは整備工場で働く元囚人の2人組を紹介してもらい、ノースダコタ州ファーゴへ向かう。2人組は誘拐を決行するが、逃走中にパトロール中の警官と目撃者を殺してしまった。翌朝、出産を控えた女性警察署長マージが殺人事件の捜査に乗り出す・・・。

評価★★★★/75点

耳に残るは「ヤー」の掛け声・・。

「ヤー」「ヤー」「オー、ヤー」の連発が妙に印象に残ってたりする。

でも、1番の見所はなんといっても死体の前で熱いコーヒーを幸せそうにすすり、大量のミミズが入った袋の前で「美味しそうね」と言いながらハンバーガーをたらふく食べる身重のマージの食いっぷりと食欲だろう。。

2009年1月29日 (木)

夢のシネマパラダイス289番シアター:古今東西ロードムービー選

プリシラ

B0000565rd_09_mzzzzzzz 出演:テレンス・スタンプ、ヒューゴ・ウィービング、ガイ・ピアース、ビル・ハンター

監督・脚本:ステファン・エリオット

(1994年・オーストラリア・102分)NHK-BS

評価★★★☆/70点

内容:世代も生き方も違う3人のゲイが、オーストラリアの砂漠のリゾートでショーをするため、プリシラ号と名付けたバスで旅に出る。偏見や家族の問題を抱えつつ、ディスコソングに合わせて口パクしながら踊る3人が華麗で明るい、愛情あふれるロードムービー。

“ケバイ3人の顔よりも、そこに常に群がるハエの方が気になって仕方なかった。。”

大泉洋を全国区に押し上げた北海道発のTV番組「水曜どうでしょう」。その企画でオーストラリア縦断をやった時にもハエがたかってたんだよなぁ。オーストラリアってハエ天国なのねww

おそらく映画スタッフもハエを追っ払おうと悪戦苦闘したあげく、結局あきらめたんだろうな(笑)。

映画自体は、、、まぁ悪くはない。けど、時おり吐き気にも似たキモさが胸をつく・・・。アヴァのウ○コはないだろ。

でも、煙幕を噴出させながら車を走らせてみたいなとは思ったし、この映画で使われている曲は全部好き。特にヴァネッサ・ウィリアムスのSAVE THE BEST FOR LASTをエンドロールに持ってきたのは乙です。

オイラもあのティックみたいに口ずさむ時あるからなぁ。。

ん?違うからねオレは(笑)。

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セントラル・ステーション(1998年・ブラジル・111分)恵比寿ガーデン

 監督:ヴァルテル・サレス

 出演:フェルナンダ・モンテネグロ、マリリア・ペーラ、ヴィニシウス・デ・オリベイラ

 内容:駅の構内で手紙を代筆し、人々の幻想や幻滅を見続けてきた孤独な女性ドーラと、母親を亡くしたひとりぼっちの少年ジョズエの父親探しの旅を描く。二人が自分の求めるものを探す旅に絡めて、ありのままのブラジルを映し出す感動作。ベルリン国際映画祭で金熊賞。

評価★★★☆/70点

“無っ性にアクエリアスが飲みたくなった・・。”

緑の一切ないブラジルの大地の渇きと人間たちの愛の渇き。渇きの相乗効果で観てるこっちが苦しくなってくる・・・。

例えば、山田洋次の描くような日本映画でこのシチュエーションだったらもっとすんなり映画の世界を受け入れることができたかもしれないけど。。ドーラって故乙羽信子に似てたし。

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裸足の1500マイル(2002年・オーストラリア・94分)WOWOW

 監督:フィリップ・ノイス

 出演:エヴァーリン・サンピ、ローラ・モナガン、ティアナ・サンズベリー、ケネス・ブラナー

 内容:1931年、西オーストラリア。アボリジニの混血児を家族から隔離して白人社会に同化させる“隔離同化政策”により、3人の少女が寄宿舎へ。しかし3人は、言葉や習慣を押し付ける施設を脱走し、家に帰ることを決意する。。実話をもとに、故郷までの1500マイル(=2400キロ)を9週間かけて歩き続けた少女たちの物語。

評価★★★★/80点

“なぜ、どのようにして英語が世界共通語になっていったのか、よ~~~く分かった。”

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真夜中の弥次さん喜多さん(2005年・日本・124分)仙台フォーラム

 監督:宮藤官九郎

 出演:長瀬智也、中村七之助、小池栄子、阿部サダヲ、柄本佑

 内容:商家の若旦那で結婚している弥次郎兵衛と、ヤク中の旅役者・喜多八は、実はディープに愛し合う仲だった。しかし、極度の薬物依存でどん底まで落ちてしまった喜多さんは、「リアルが分からない」と弥次さんに不安を訴えるのだった。そこで喜多さんを治すため、何でも願いを叶えてくれるというお伊勢参りへとチョッパーのバイクで旅立つことにするのだが・・・。

評価★★/40点

“リヤルにわからねぇ・・・。”

こう言っちゃなんだけど、WOWOWのドラマWでやるレベルじゃない?

あるいは、三谷幸喜のパパパパパルコ歌舞伎見参!「決闘高田馬場」に対抗して、クドカンの下北北北北北北沢までキターッ歌舞伎見参!「東海道中ビバ眉毛」とか・・・。大人計画とこのメンツで(笑)。

でも、、中村勘三郎のタケちゃんマンは凄かったな。

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ジム・キャリーはMr.ダマー(1994年・アメリカ・110分)Video

 監督・脚本:ピーター・ファレリー

 出演:ジム・キャリー、ジェフ・ダニエルズ、ローレン・ホリー、カレン・ダフィー

 内容:リムジンの運転手をしているロイドは、一目惚れした社交界のレディが忘れたスーツケースを届けようと、同居人のハリーと車で追跡。が、中味は誘拐された彼女の夫の身代金だったため、凶悪犯に狙われるハメに・・・。

評価★★☆/45点

なんとしてもあの84年型の“犬”には乗ってみたいゾ!

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ボーイズ・オン・ザ・サイド(1995年・アメリカ・117分)NHK-BS

 監督:ハーバート・ロス

 出演:ウーピー・ゴールドバーグ、メアリー・ルイーズ・パーカー、ドリュー・バリモア

 内容:レズのブルースシンガー、ジェーン(ウーピー)、エイズ・キャリアを持つOLのロビン(メアリー・ルイーズ・パーカー)、恋人を殺害してしまうほど男運は最低だが恋が生きがいの女の子ホリー(ドリュー)という全くタイプの違う3人がひょんなことから旅に出ることに・・・。旅を通して逆境を乗り越えて友情を深め成長していくさまを描く、男は完全に添え物の女性映画。

評価★★★☆/70点

“その日見終わってからずっとカーペンターズのアルバムをかけ続けてました

暴力男・病気・無二の親友、、、歌う・笑う&ささやかなウソ・闘う。。。

メアリー・ルイーズ・パーカーとウーピーの3大イメージ。この映画もその例にもれず。

それにしても角刈りマコノヒー、、似合わねぇ(笑)。

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八日目(1996年・ベルギー/仏・118分)DVD

 監督・脚本:ジャコ・ヴァン・ドルマル

 出演:ダニエル・オートゥイユ、パスカル・デュケンヌ、ミュウ=ミュウ

 内容:ダウン症患者の施設にいるジョルジュは、母親に会うために愛犬を連れて施設を抜け出した。しかし、彼の愛犬をエリート銀行員アリーが運転する車がはねてしまったことから、アリーはジョルジュの面倒をみるハメに・・・。ダウン症候群の青年との奇妙な友情を通して、エリートビジネスマンの男が人生の本当の意味を学んでいくヒューマンドラマ。

評価★★★☆/70点

ジョルジュの唐突の死で終わるあまりにもなラスト、、ハリウッド映画だったら試写の段階で速攻ボツになってただろうな(笑)。

変な贖罪っぽいやり方で始末をつけられてそれを見せられるという放置プレーは、正直いって一気にげんなりくる・・。

せめて、「八日目に神はてんとう虫をつくった。」となってほしかったなぁ。

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ファーザーズ・デイ(1997年・アメリカ・99分)NHK-BS

 監督:アイバン・ライトマン

 出演:ロビン・ウィリアムズ、ビリー・クリスタル、ナスターシャ・キンスキー

 内容:元恋人コレットから息子の存在をほのめかされた弁護士ジャック(ビリー・クリスタル)だが、その息子が家出したので探してほしいと頼まれる。一方、デイル(ロビン・ウィリアムズ)も元恋人コレットから全く同じ内容の話を聞かされ、息子を探す旅の道中で出くわした2人は行動を共にすることに・・・。

評価★★★/65点

“もしあの2人の男に、お前の父親だと言われても断固拒否します!”

だって頭突き男と、運転中にしばしば人を轢いたと錯覚する男でっせ(笑)。

2009年1月27日 (火)

夢のシネマパラダイス42番シアター:狙撃はオレに任せろ!?

ザ・シューター 極大射程

20071015_241547 出演:マーク・ウォルバーグ、マイケル・ペーニャ、ダニー・グローバー、ケイト・マーラ

監督:アントワーン・フークア

(2007年・アメリカ・126分)2007/06/01・盛岡フォーラム

評価★★★/60点

内容:米海兵隊随一の狙撃手スワガーは、アフリカの小国エリトリアでの極秘作戦で相棒を亡くしたことから一線を退き、ワイオミングの山中に隠遁していた。そんな彼の前にある日、CIAのジョンソン大佐が現れ、大統領暗殺が企てられていて、それを阻止するために協力してほしいと依頼する。スワガーは、豊富な経験から犯人が狙撃を計画している都市をフィラデルフィアに絞り、現場でも監視に当たるのだが・・・。

“的の中央を寸分違わぬ正確さで射抜いたかと思えば、的に全く当たらない弾を平気で撃つ乱調さにどこかスッキリしない。そんな映画。”

銃描写やシューティングシーンといったアクションはもちろんのこと、撃たれて負った深手の傷を治すために応急処置して、天然水に塩や砂糖を混ぜて点滴しちゃうところとか、それらを店で買う時に顔がバレないように電気線を切って停電させちゃうところとか、そういう細かいディテールに異常なまでに神経使っていて思わず見入ってしまう。

、、、ところが、だ。

雪山でせっかくの証拠をおさえたレコーダーを保身のために焼き捨てちゃう不可解な行動、またその後、法に委ねといてあっさり却下されたあげく、必殺仕事人のごとく小屋ごと悪代官と越後屋を爆破してしまうくだりなど後半から終盤にかけてのストーリー展開は無神経極まりない雑さで、同じつくり手が作ったとは思えない両極端な作品に仕上がっている。なんか観終わっても違和感がありあり。。

まぁ、アクション映画としてはフツーに見られるし、9.11後ネオコン政治家に牛耳られた狂った祖国アメリカに真っ向勝負を挑む真の愛国者スワガーのキャラクターや、腐敗は人間の本質で銃では絶対に解決できないというセリフなど、見るべき点も多い。

そういう意味では、スワガーが容赦なく首謀者を片っぱしから殺戮していくのも、作り手の姿勢として伝わってくるものがないわけではない。

しかし、と同時にこれも指摘しておかなければならないだろう。

この殺戮の鬼と化すスナイパーを育て作ったのも、またアメリカ自身なのだと。

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デスペラード(1995年・アメリカ・103分)Video

 監督・脚本:ロバート・ロドリゲス

 出演:アントニオ・バンデラス、ホアキン・ド・アルメイダ、サルマ・ハエック

 内容:流れ者のマリアッチはギャングに恋人を殺されたあげく、手を撃たれ音楽家の道を絶たれる。復讐に身を焦がした彼は、やがて黒いギターケースを提げた伝説の名ガンマンとして名を轟かすようになる。そして恋人を殺した麻薬王ブチョを蜂の巣にするべくメキシコ国境の町サンタ・セシリアに乗り込んでくる・・・。アントニオ・バンデラスがアクション映画に初挑戦した記念すべき一品。

評価★★★/65点

思い出し笑いってする方じゃないんだけど、助っ人2人組の大仰なパフォーマンスとオチを思い浮かべただけで1人でニヤけてしまうオレ。。

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レジェンド・オブ・メキシコ(2003年・メキシコ/米・102分)WOWOW

 監督・脚本:ロバート・ロドリゲス

 出演:アントニオ・バンデラス、サルマ・ハエック、ジョニー・デップ、ミッキー・ローク

 内容:「エル・マリアッチ」「デスペラード」に続く、R・ロドリゲス監督の“エル・マリアッチ”シリーズ第3弾。恋人を亡くし、ひっそりと暮らしていた伝説のガンマンが、クーデターの鎮圧に乗り出す。

評価★★/40点

なんだろ、、、中濃ソースを水で薄めたかんじ。。。

これだけ濃ゆい~メンバー集めるだけでも至難の業だと思うんだけど、無駄に風呂敷広げちゃったよなぁ。もったいない。

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ジャッカルの日(1973年・アメリカ・142分)NHK-BS

 監督:フレッド・ジンネマン

 出演:エドワード・フォックス、ミシェル・ロンダール、デルフィーヌ・セイリグ

 内容:舞台はフランス。アルジェリアの独立が認められて以来、軍部を中心にした保守過激派OASは、常にド・ゴール大統領の命を狙っていた。何度も暗殺に失敗し、追い込まれてきたOASは、暗号名ジャッカルというプロの殺し屋を雇うことにする。フランス公安当局はOASの不穏な動きを察知して捜査を始めるが、ジャッカルは巧みに公安の目をくぐり抜け、ド・ゴールの身辺に迫っていく・・・。

評価★★★/60点

1つ1つのエピソードを丹念に積み上げていく描写には好印象。

しかし人物描写は非常にドライで、内面までは入っていけない。まるで殺し屋完全攻略マニュアル本の上級編をはたからペラペラめくって見ているかんじ。。

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暗殺者(1995年・アメリカ・133分)NHK-BS

 監督:リチャード・ドナー

 出演:シルベスター・スタローン、アントニオ・バンデラス

 内容:リチャード・ラスは、狙った標的は確実に殺す暗殺のプロ。それに対し、暗殺者ミゲル・ベインは、暗殺の頂点に立つためにラスの命を狙うが・・・。

評価★★☆/50点

自分で自分のことをナンバーワンだと言うヤツほど胡散臭いものはない。ましてナンバーワンとして生きるのはツライぜ!なんて、まるでスタローン自身のことを言ってるみたいで、ちょっとイタイ・・。

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ジャッカル(1997年・アメリカ・125分)WOWOW

 監督:マイケル・ケイトン・ジョーンズ

 出演:ブルース・ウィリス、リチャード・ギア、シドニー・ポワチエ

 内容:FBIとロシア情報局に恨みを持つ男が、殺し屋ジャッカル(B・ウィリス)を雇い復讐に乗り出す。FBIは獄中の元IRA幹部(R・ギア)に、釈放と引き換えにジャッカル追跡を要請、壮絶な戦いが始まる・・・。ウィリスのお茶目な七変化が唯一の見所、、、かも。。

評価★★★/55点

せっかくの2大スター共演なのに中途半端なすれ違いじゃ何の意味もない。。

しかもさぁ、タイマンでケリつけろよな。

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スネーク・アイズ(1998年・アメリカ・99分)仙台日之出劇場

 監督:ブライアン・デ・パルマ

 出演:ニコラス・ケイジ、ゲーリー・シニーズ、ジョン・ハード、カーラ・グジーノ

 内容:ボクシングのタイトルマッチ中の巨大スタジアムで国防長官が狙撃される。小悪人たる汚職刑事が、騒然となる1万4千人の観客を足止めし捜査を開始するが・・・。デ・パルマならではの冒頭13分ノンストップ・ワンカットは一応見どころ。ちなみに音楽は坂本龍一。

評価★★★/60点

デ・パルマの遊び心爆弾炸裂に一時興じるものの、ほとぼりが冷めてみるとただの子供ダマシにしか見えなくなっていくのは、自分の映画を見る目が肥えたからなのか、それともただ気付くのが遅かっただけなのか・・・。

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スターリングラード(2000年・アメリカ・131分)WOWOW

 監督・脚本:ジャン・ジャック・アノー

 出演:ジュード・ロウ、ジョセフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、エド・ハリス、ボブ・ホスキンス

 内容:実在の伝説的スナイパー、ヴァシリ・ザイツェフにスポットを当て、1942年のスターリングラードをソ連側から描くが、戦争の行方よりも男と男の意地のぶつかり合いやロマンスを重点的に描いた一品。

評価★★★/65点

徹底的にドクトル・ジバゴにするか、徹底的にプライベート・ライアンにするかどっちかにしてもらいたかった。。

その中間をとったら、あらまぁOK牧場の決斗じゃぁあ~りませんか、、、あれ?戦争は何処へ??

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スパイ・ゲーム(2001年・アメリカ・126分)DVD

 監督:トニー・スコット

 出演:ロバート・レッドフォード、ブラッド・ピット、キャサリン・マコーマック、スティーブン・ディレーン

 内容:冷戦時代が終わった90年代前半。CIAのベテラン情報部員ネイサンが、中国で捕らえられた若い相棒トムを助けるため、自分の最後の任務として壮大な作戦を実行する・・・。レッドフォードとブラピの初共演作。

評価★★/40点

自慢げな思い出話や、チンタラと内勤してる場合かよっつうお話・・。

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S.W.A.T.(2003年・アメリカ・117分)2003/10/08・MOVIX仙台

 監督:クラーク・ジョンソン

 出演:サミュエル・L・ジャクソン、コリン・ファレル、ミシェル・ロドリゲス、LL・クールJ

 内容:銀行強盗事件の現場に投入された警察特殊部隊員のストリートは、人質に怪我を負わせ左遷される。半年後、新しい指揮官ボンドーのもと、彼は特殊部隊に復帰するのだが・・・。

評価★★/45点

描く能力がないのか、描く意欲がないのか分からんが、愛情も友情も皆無な映画が下手に七人の侍をパクるのはやめれ!

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恋人はスナイパー劇場版(2004年・東映・112分)CS

 監督:六車俊治

 出演:内村光良、水野美紀、田辺誠一、竹中直人、いかりや長介

 内容:ある日、首相官邸に日本の全国民1億3千万人を誘拐したため5千億円の身代金を求める脅迫電話が入った。そして翌日、全国各地で一般市民が相次いで狙撃される無差別テロ事件が発生。国民が震撼する中、警察上層部は香港の刑務所に懲役250年の刑で服役している天才スナイパー、王凱歌を超法規的措置で日本に呼び戻すことを決断する・・・。テレ朝系で放映されたTVシリーズの続編として映画化したサスペンスアクション。

評価★★★/60点

武闘派の雪乃さんも、、、恐いくらいにイイ。。

2009年1月25日 (日)

夢のシネマパラダイス332番シアター:アーサーとミニモイの不思議な国

アーサーとミニモイの不思議な国

Arthur 出演:フレディ・ハイモア、ミア・ファロー、ペニー・バルフォー、ダグ・ランド、マドンナ(声)、デヴィッド・ボウイ(声)

監督・脚本:リュック・ベッソン

(2006年・フランス・104分)WOWOW

評価★★★★/75点

内容:10歳の少年アーサーは、4年前に失踪した冒険家の祖父が残した古い書物を読み漁り、冒険家になることを夢見ていた。しかしある時、家の借金返済日が2日後に迫っており、立ち退きの危機にあることを知らされる。そんな中、アーサーは裏庭に宝物が隠されていることを示す地図を発見。そこには体長2ミリのミニモイ族が住む地下世界があり、アーサーは祖父と家族の危機を救うため、その未知なる世界に入っていく・・・。

“ミクロ・キッズとスター・ウォーズを足して4くらいで割ったかんじ。。”

監督・脚本がリュック・ベッソンなだけに、どれだけキワドイB級ファンタジーになるかと斜に構えていたら、思わず膝が抜けてしまうほどの真っ当なキッズ向けファンタジーに仕上がっていてビックリしてしまった。

キワドいという意味では、マドンナとデヴィッド・ボウイを起用した声優陣くらいなものだけど、これも意外にしっくりきていてよろしかったし。ある意味キワドいミア・ファローも全然ばあちゃんに見えないところがまたいいしね(笑)。

続編、、ありなんじゃないスか。

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ミクロキッズ(1989年・アメリカ・93分)NHK-BS

 監督:ジョー・ジョンストン

 出演:リック・モラニス、エミー・オニール

 内容:発明家の変人サリンスキーが作った物体縮小機をイタズラした子供たちが、身長6ミリに縮んでしまった!狭い自宅の庭が、凶悪な怪獣の住む大ジャングルに変貌し、そこに迷い込んでしまった子供たち。庭に特設の吊り具を設置、庭に落っこちて子供たちを圧死させないように宙ぶらりんで子供探しをする変なオッサンに隣人も呆然・・・。

評価★★★☆/70点

CGでは醸し出すことのできない温かな手づくり感がすごく好き。懐かしき80年代の輝きをしっかりと放っております。

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ジャイアント・ベビー/ミクロキッズ2(1992年・アメリカ・89分)NHK-BS

 監督:ランダル・クレイザー

 出演:リック・モラニス、マーシャ・ストラスマン

 内容:前作で子供たちをミクロサイズにしたサリンスキー博士。今回は末息子を34メートルのジャンボサイズにしてしまう!乗用車をミニカー代わりにして遊んだり、ダダをこねたり、街は大混乱!

評価★★/45点

赤ちゃんがデカくなる!

それがどうした!!

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スモール・ソルジャーズ

2 出演:グレゴリー・スミス、キルスティン・ダンスト、トミー・リー・ジョーンズ(声)、フランク・ランジェラ(声)、アーネスト・ボーグナイン(声)

監督:ジョー・ダンテ

(1998年・アメリカ・110分)WOWOW

評価★★/40点

内容:見てくれは悪いが優しいモンスター“ゴーゴーナイト”と戦闘部隊“コマンドー・エリート”は、おもちゃ会社が米軍使用の軍事用チップを埋め込んで開発したニュータイプのフィギュア。グレゴリー少年は発売前にモンスター達を手に入れ仲良くなるが、彼らを倒すために戦士達がやって来て戦火の火蓋が切って落とされる・・・。

“トイ・ストーリー版スモール・ソルジャーズこそ本家本元だ!”

この映画みたいに人間と同じ目線と世界観で描かれてもなんにも面白くないし、血の通っていないただの置き物にしか見えない。アニミズムを抱いてしまうような玩具としての親しみが湧かないんだよね。

グレムリンみたいに技術にまだ稚拙さやレトロ感が残っていればまだしも、この映画における造型やら動きなんかを見るとハリーハウゼンもびっくりの出来栄えだから、それがかえって余計に観る側との間に硬質な壁を出現させてしまうんだよね。

なんか「トイ・ストーリー」と、大コケした「ファイナル・ファンタジー」の歴然とした違いを想起させるような。。

そう、トイ・ストーリー版スモール・ソルジャーズをこそ、オイラは観たい!

2009年1月23日 (金)

夢のシネマパラダイス46番シアター:トンでもファミリー!しかし最後は家族愛!

フォーチュン・クッキー

00000555090l 出演:ジェイミー・リー・カーティス、リンジー・ローハン、マーク・ハーモン

監督:マーク・ウォーターズ

(2003年・アメリカ・97分)NHK-BS

評価★★★★/75点

内容:お堅い精神科医の母テスとロック好きの娘アンナは、いつもケンカばかり。ある晩、仲直りのしるしにフォーチュン・クッキーを食べると、翌朝、二人の身体は入れ替わっていた!

“思わぬ見っけもん!”

母と娘の身体が入れ替わってしまうという単純極まりないストーリーだが、これがなかなかどうしてのめっけもん。

15歳のロッカーな青春を強靭なフィジカルで嬉々として演じるジェイミー・リー・カーティスと、それを受けるリンジー・ローハンも土屋アンナを彷彿とさせていて見応えがあるし、なによりも見ていてずっと笑える映画って最近ほとんどお目にかかれていなかったので、うれしい驚きだった。全米では1億ドル突破の大ヒットらしいけど。

しかし、このリンジー・ローハン。実生活の方では相当にヤバヤバなロッカー生活を送っているようで、アル中にコカイン所持に飲酒運転にと、あのブリトニー・スピアーズをも凌ぐトラブルメーカーと揶揄されているとか・・。

あと、映画の邦題にもなっているフォーチュン・クッキーって、友人の話によるとアメリカの中華料理屋では食後に必ず出てくるものなのだそうだ。

さらに、クッキーの中におみくじが入っているのだけど、もともとの由来は中国なのかと思いきや、なんと日本なのだそうで。もともとは煎餅だったそう。へぇ~~。

、、、で、なぜ中華料理屋に広まったんだ??

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ファミリービジネス(1989年・アメリカ・114分)NHK-BS

 監督:シドニー・ルメット

 出演:ショーン・コネリー、ダスティン・ホフマン、マシュー・ブロデリック

 内容:ニューヨークに根を下ろした犯罪一家の祖父、息子、孫の3世代が繰り広げるファミリードラマ。

評価★★/40点

ヴィトーっていうから、どうしても「ゴッドファーザー」を思い浮かべてしまうじゃんかよ。。

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アダムス・ファミリー(1991年・アメリカ・100分)CS

 監督:バリー・ソネンフェルド

 出演:アンジェリカ・ヒューストン、ラウル・ジュリア、クリストファー・ロイド、ダン・ヘダヤ、クリスティーナ・リッチ

 内容:当主ゴメス、妻モーティシア、子供たちウェンズデーとパグズリー、お祖母ちゃんグラニー、物言わぬ執事ラーチと這いずり回る“手”。このアダムス・ファミリーの財産を狙う顧問弁護士は、金貸しの息子をゴメスの生き別れの兄フェスターとして屋敷に送り込むのだが・・・。

評価★★★/65点

フェスターのニターッとした笑顔が、ときどき恐い。。。

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刑事ジョー/ママにお手上げ(1992年・アメリカ・88分)NHK-BS

 監督:ロジャー・スポティスウッド

 出演:シルベスター・スタローン、エステル・ゲティ、ジョべス・ウィリアムズ、ロジャー・リース

 内容:やり手の刑事のもとに超過保護なママがやって来る!オムツ姿まで披露するスタローンにおサブい同情までしたくなる哀しい一品。。

評価★★★/55点

誰かスタローンの前に立ち、あなたの映画の中でこの映画が1番好きです!と言うアポなし突撃企画をやってくれ。

目が据わった笑顔で握手した手を握りつぶされそうな悪寒・・・。

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アダムス・ファミリー2(1993年・アメリカ・94分)CS

 監督:バリー・ソネンフェルド

 出演:ラウル・ジュリア、アンジェリカ・ヒューストン、クリストファー・ロイド、クリスティーナ・リッチ

 内容:アダムス一家にピューバートという赤ちゃんが加わり、一家の破滅を企む女殺人鬼と闘うことに。。

評価★★★/60点

子供のときに見た時はそうとは気付かなかったが、今見てみるとちょっと度を越したブラックユーモアにしばし唖然・・・。

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ジャック(1996年・アメリカ・114分)Video

 監督:フランシス・フォード・コッポラ

 出演:ロビン・ウィリアムズ、ダイアン・レイン

 内容:細胞分裂が恐ろしく速く、通常の4倍のスピードで成長し、10年後には中年の体になっていたジャック。そんな彼が小学校に通うことに。外見はオッサン、中身は10歳の少年ジャックの懸命な生きざまに脱帽!?

評価★★★/60点

どうあがいても50歳の地のロビン・ウィリアムズにしか見えない・・・

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ぼくが天使になった日(1999年・アメリカ・108分)NHK-BS

 監督:シャーリーン・マクレーン

 出演:アレックス・D・リンツ、ゲイリー・シニーズ、キャシー・ベイツ、ジェニファー・ティリー

 内容:女装癖のあるブルーノは10歳の男の子。学校では、黒人少女シャクニだけが理解者のいじめられっ子。過食症で入院した母の代わりに面倒を見る祖母は、ブルーノの行動に驚くが、次第に彼を理解し始め、周囲の人間も一蹴するようになる。そんな時、ブルーノが交通事故に遭ってしまい・・・。

評価★★★/60点

欠陥だらけ穴だらけの映画なのだけど、子役の可愛さに大甘★3っつ。

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電話で抱きしめて(2000年・アメリカ・96分)WOWOW

 監督:ダイアン・キートン

 出演:メグ・ライアン、ダイアン・キートン、リサ・クドロー、ウォルター・マッソー

 内容:電話での会話でかろうじて結びつきを保っている、すれ違いだらけの家族。しかし父が急病で入院したことで、改めて本当の家族の絆に気づいていく・・・。父役を演じたW・マッソーの遺作となった。

評価★★/40点

“電話で起こされて”

自分んちの電話が鳴ったと思って立ち上がること3回、、、

どないしてくれんねん(笑)。

だって、10年後くらいにまた観たときに、うわーっ、この頃の電話ってデカイなぁと笑って見るくらいしか見所がないもん。。

2009年1月22日 (木)

夢のシネマパラダイス9番シアター:往年名作劇場8番館

美女ありき(1941年・イギリス・128分)NHK-BS

 監督:アレクサンダー・コルダ

 出演:ローレンス・オリヴィエ、ヴィヴィアン・リー

 内容:18世紀末、ナポリ駐在のイギリス大使ハミルトン卿夫人エマは、イギリスから派遣されてきた提督ネルソンに情熱を捧げる。ネルソンが戦闘で片目片腕を失ってもこの不義の恋は続き、やがてイギリスに隠遁した2人に幸福の日々が訪れる。だが戦争の暗雲は再びネルソンに出征を迫り、トラファルガー海戦に勝利しつつ彼は戦死してしまうのだった・・・。トラファルガー海戦においてナポレオン艦隊を撃破しイギリスの危急を救ったネルソン提督と、その愛人エマの恋を描くメロドラマ大作。

評価★★★☆/70点

ヴィヴィアン・リーとオリヴィエ2人が画面におさまった時の荘厳さは筆舌に尽くしがたいものがある。

ああいう重みと美しさは今では出せないでしょ。ちょっと今の役者さんでは思い浮かばないな。。

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無法松の一生(1943年・大映・89分)NHK-BS

 監督:稲垣浩

 出演:阪東妻三郎、園井恵子、川村禾門、月形龍之介、長門裕之

 内容:北九州・小倉の名物男、乱暴者だが侠気のある人力車夫である富島松五郎の生涯を描いた人情劇。病床の伊丹万作が脚本を手がけ、彼に代わって稲垣浩が監督、阪妻が名演を見せて大ヒット、三者の代表作となった。また、本作は戦時中に軍部の検閲により最大の被害を被った作品としても知られている。後に稲垣浩は1958年に三船敏郎主演で再映画化し、ヴェネチア国際映画祭で作品賞を受賞した。

評価★★★/65点

軍部の検閲によって映画がいくらズタズタにされようとも、阪妻だけは外圧を寄せつけないオーラを燦然と放っている。これこそフォースの力だ

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カビリアの夜(1957年・イタリア・111分)NHK-BS

 監督:フェデリコ・フェリーニ

 出演:ジュリエッタ・マシーナ、フランソワ・ペリエ、アメディオ・ナザーリ

 内容:フェリーニが名コンビのジュリエッタ・マシーナを起用して、人を疑うことを知らない純真無垢な心を持つ娼婦の姿を描いた物語。

評価★★★★/80点

オイラが保証する。カビリアならどんなことが起きても大丈夫さ!

と思いたい。いや、思おう。そう思わなければ。

なんかカビリアには女としての強さというよりも、母としての強さみたいな、母性のようなものを強く感じたな。マリア様では決してないけれど、厳しい現実世界における母としてのイコンはまさしくカビリアのような人じゃないかなと。

日本でいえば森光子みたいなかんじかな。。

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地下鉄のザジ(1960年・フランス・93分)NHK-BS

 監督・脚本:ルイ・マル

 出演:カトリーヌ・ドモンジョ、フィリップ・ノワレ、ヴィットリオ・カプリオーリ

 内容:田舎からパリに遊びに来た10歳の少女ザジが一番楽しみにしていたのは、地下鉄に乗ることだった。ところが地下鉄はストライキの真っ最中で、ザジは伯父のガブリエルと一緒にパリの街めぐりをする。翌朝、ひとりで勝手に街に出たザジは、刑事と名乗る中年男と出会い・・・。ドタバタ喜劇の要素を取り入れ、子供の目がとらえたパリの街を斬新な映像で描き出すルイ・マルの監督第3作。

評価★★☆/45点

ザジのお遊びに90分付き合ってられるほど暇じゃないんだけどさ、仕方ないから付き合ってやったよとことん(笑)。正直、途中からウンザリしてきちゃったけどね。。

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日曜はダメよ(1960年・ギリシャ・92分)NHK-BS

 監督・脚本:ジュールス・ダッシン

 出演:メリナ・メルクーリ、ジュールス・ダッシン、ジョルジュ・ファウンダス

 内容:アメリカから古代ギリシャ研究のためにピレウスの港町にやって来たホーマーは、陽気な売春婦イリヤに出会い、すっかり彼女に惚れこんでしまう。イリヤが毎週日曜日に商売を休んでギリシャ古典悲劇を見に行くのを知ったホーマーは、彼女に本式の教養を詰め込もうとするが・・・。

評価★★☆/45点

“風俗に行けば真実の探求ができる!”

もの凄い格言だw。。

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男性・女性(1966年・フランス・110分)NHK-BS

 監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール

 出演:ジャン=ピエール・レオ、シャンタル・ゴヤ、ブリジット・バルドー

 内容:雑誌社で働く青年ポールは、歌手志望の少女マドレーヌと知り合い付き合うようになる。2人は結婚も考えるが、生活に追われて仲たがいも絶えなかった。そんなある日、街に出かけた2人は、胸を見せてお金を稼ぐ少女の姿や、青年がナイフを突き立ててお金をゆする光景を目の当たりにする・・・。

評価★★★/60点

ただ一つ言えること。

間違いなく“121本”の映画たちの中でオンリーワンだ!残りの120本は知らないけど・・

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夜霧の恋人たち(1968年・フランス・101分)NHK-BS

 監督・脚本:フランソワ・トリュフォー

 出演:ジャン=ピエール・レオ、クロード・ジャド、デルフィーヌ・セイリグ

 内容:「大人は判ってくれない」「二十歳の恋」のアントワーヌ・ドワネル少年を主人公に作ったトリュフォーの自伝的シリーズの第3作。兵役を終えたアントワーヌは夜警の仕事に就くが、ミスをしてクビになってしまう。知人の紹介で新たに私立探偵の職に就いた彼は、被害妄想に悩まされる靴店の主人タバールの調査にとりかかった。しかし、アントワーヌはタバールの奥さんに恋をしてしまう・・・。

評価★★★/60点

アントワーヌの迫り方が、、キモイ。。

2009年1月19日 (月)

レアル・マドリー狂想曲第55番:カルデロン辞任後の試合、レアルvsオサスナ

Photo レアルのクラブ総会で票の不正操作疑惑をもたれていたラモン・カルデロン会長が16日に突然辞任!

投票権を持たないソシオや非ソシオ(なかにはアトレティコ・マドリーのファンも混じっていたそう)を総会に紛れ込ませて、カルデロンに有利なように賛成投票させたというのだが、カルデロンは、自身は関知していないがそういう事実はあったと認めちゃったので、まぁ事態を早期収拾するためにはもう辞任するしかなかったのかなと。

なんかカルデロンを貶めるために裏で糸を引いてる派閥がありそうな感もするけど、これでシーズン終了後の今夏に会長選挙が1年前倒しで行われることになった。

Photo_2 それまでは、暫定として、副会長のビセンテ・ボルーダが会長職に就くことになった。

とにかく、チームに悪影響が及ばないようにしてもらいたいけどね。

会長選挙では、銀河系でお馴染みの元会長ペレスが虎視眈々と復帰を狙っているとされ、ペレスと反ペレスのファン・パラシオスあたりの対決になるのではないかと思われるけど、まずは後半戦ガンバってタイトル獲って欲しいわな。

といっても、バルサが超独走しているリーガは難しいので、、ってチャンピオンズ・リーグしかないやん!ハァ~~。。おいおい・・

Realmadridvsosasuna さて、そんな騒動があった直後の試合となったリーガ第19節オサスナ戦。

レアルの布陣は、、、

            ラウル       イグアイン

  スナイデル                        ロッベン

             ラス         ガゴ

 エインセ                            Sラモス

           カンナバーロ      ぺぺ

                 カシージャス

前節と同じメンバー。

しかし、試合は前半、ロッベンを完全に封殺され、エインセの左サイドにボールを持たせるという、定石通りのレアル対策をとってきたオサスナにリズムを握られっぱなしで何もできず・・。あげくの果てに19分に先制されてしまう。

Photo_3 ←疑惑の判定その1..ガゴがファンフランをボックス内で倒してしまった、と思いきやシミュレーションで逆にファンフランにイエロー。まぁこれはねビミョーだったんだけど(笑)。後半どエライことに・・。

前半は、とにかくラテラルの上がりも皆無に近く、運動量でもオサスナに押されっぱなしだったのだけど、どうもレアルの左サイドに難があるというか、守備面では良いのだけど攻撃面でリズムを作れないんだよなぁ。

相手チームとしては、とにかくエインセにボールを持たせるように追い込んでいけば、リズムを崩せるしそんなに怖くないので押さえ込めるということだろうけど、最下位のオサスナでさえ前半レアルをシャットアウトしちゃったわけだから、ファンデラモスもそれに対抗する対策を立てないといずれはヤバくなっちゃうな。

それを今日は後半、スナイデル→ラフィ、カンナ→フンテラールを入れて、SラモスをCBに、ラスを右ラテラルに移動させて、ガゴを底にラフィ&ラウルで中盤のバランスを取り、前線フンテラール&ロッベン&イグアインというサプライズ的な選手交代を見せ、力づくで点を取りに出た。システムとしては4-3-3ぽかったのかな。

Photo_5 この圧力と布陣変更にたじろいだオサスナに対し、さっそく後半4分にSラモスが強烈なミドルを叩き込み、反撃ののろしを上げる!

さらに、18分にはロッベンの斬り込みからイグアインがつめて逆転。

そして残り15分で、イグアイン→マルセロを入れて、しかもマルセロはラテラルではなくサイドハーフで使って、4-4-2に戻す。

ファンデラモスはマルセロをラテラルとしては計算していないことがこれではっきりしたけど、守備に難があるマルセロの使い方としては面白いかも。ドレンテみたいに一直線ドリブルするタイプじゃないし、リズム作れるタイプだと思うので。

Photo_6 ←今日最大のポイント。疑惑の判定その2.

ぺぺがボックス内でファンフランの足を踏んで倒してPK、、かと思いきや、線審が旗を上げなかったことを見た主審はファンフランに対しシミュレーションのイエローを出し、2枚目イエローで退場となった。

前半にもシミュレーションを取られたファンフランには敵ながら思わず同情しちゃったけど。特にこのシーンは、、ねぇ(笑)。。。

まぁしかし、後半終了間際に、ロッベンがダメを押して3-1ということで、無かったことに・・

内容としてはお寒いものだったけど、まずは勝ってよかった。

でも、左サイド左サイド左サイドどぎゃんかせんといかんぞ。。

2009年1月17日 (土)

夢のシネマパラダイス325番シアター:往年名作劇場7番館

或る夜の出来事

24 出演:クラーク・ゲーブル、クローデット・コルベール

監督:フランク・キャプラ

(1934年・アメリカ・105分)DVD

内容:富豪の娘エリーは結婚を反対され、単身夜行バスに乗り込んだ。そこで失業寸前の記者ピーターと隣り合わせ、2人はトラブルばかりの旅を続けるうちに気持ちを通わせていく・・・。長距離バスに乗り合わせた新聞記者と家出娘が恋に落ちるまでを描いたソフィスティケーテッド・コメディの傑作。アカデミー賞の主要5部門を初めて独占した映画としても有名。

評価★★★★★/100点

“賞味期限∞!!”

ピーターとエリーの間にはラストまで「ジェリコの壁」が立ちはだかっているが、この映画と観客の間には始めから終りまで何の壁もない。

幾世代にも渡ってこの映画を見る側との間にはいかなる障壁も存在しないだろう。これから先も。

永久不滅の偉大な映画とはこのことよ!

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誰が為に鐘は鳴る(1943年・アメリカ・130分)NHK-BS

 監督:サム・ウッド

 出演:ゲイリー・クーパー、イングリッド・バーグマン、エイキム・タミロフ、カティーナ・パクシヌー

 内容:スペイン動乱を背景に、紛争へ身を投じたアメリカ人教授とスペイン娘の冒険と恋愛を描く文芸メロドラマ。スペイン人民戦線軍に参加し峡谷の鉄橋爆破の指令を受けたジョーダンは、ジプシーのゲリラ部隊のもとで働くマリアと出会う。2人は激しい情熱に突き動かされるが、ジョーダンには恋に酔っている暇はなかった。やがて爆破決行の折、足を撃たれたジョーダンはマリアたちを後方に送らせ、1人敵軍に銃口を向けるのだった・・・。

評価★★★/60点

大学でスペイン語を教えている教授がなぜにスペインでベラベラ英語を話すねん(笑)。

あと、イングリッド・バーグマンを美しく見せようというのは分かるけどさ、顔がアップになった時のありがちなライティングはこの映画ではどうなんだろう、、と。同年公開の「カサブランカ」でならまだしも。

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三つ数えろ(1946年・アメリカ・110分)NHK-BS

 監督:ハワード・ホークス

 出演:ハンフリー・ボガート、ローレン・バコール

 内容:私立探偵フィリップ・マーロウは老将軍から末娘カーメンへの恐喝の調査依頼を受ける。だが恐喝犯は殺され、第2第3の事件を生んでいった。マーロウはカーメンの姉ヴィヴィアンの夫が行方不明になっている事件が関係していると考え、意外な事実にたどり着く・・・。ハードボイルド作家レイモンド・チャンドラーの原作を映画化した探偵映画。主演のボガートは、「マルタの鷹」(1941)と本作によりハードボイルド演技の典型を確立したといわれている。

評価★★/40点

ひとーつ、小説棒読みしてるだけ・・

ふたーつ、それゆえ世界が広がらない・・

みーっつ、意味なしキャラが多すぎる・・

よーっつ、映画と呼べるのか・・

、、結局だんだん眠くなる

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旅愁(1950年・アメリカ・105分)NHK-BS

 監督:ウィリアム・ディターレ

 出演:ジョセフ・コットン、ジョーン・フォンテイン、ジェシカ・タンディ、フランソワーズ・ロゼー

 内容:ローマからフランスへ向かう旅客機上で、米国人技師デヴィッドとピアニストのマリナは親しくなり、途中寄ったナポリで名所見物に熱中してしまい飛行機に乗り遅れてしまう。ところが、その飛行機が墜落事故を起こし、2人は死亡したものとされる。彼らは新たな人生を共に生きようと決意するが、デヴィッドの妻が子供を連れ、事情を確かめにやって来て・・・。

評価★☆/35点

ハリソン・フォードの「ランダム・ハーツ」(1999)の原版を見たかんじ。はっきりいって真っ二つに割っちゃいたい気分。。

まやかしの愛が嫌なら、終盤2人であの世に道行きすればよかったのに。それこそ永遠の愛が成就されるやろ。

あるいは、「ファイナル・デスティネーション」(2000)みたいに死の運命から逃れられない恐怖を描くホラーにすればよかったのに(笑)。

あまりにもデヴィッドの妻がかわいそうすぎる。ていうか、あのラストの後、デヴィッドは妻と息子とのところに戻るのか?虫が良すぎるっつうの。

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(1954年・イタリア・115分)NHK-BS

 監督・脚本:フェデリコ・フェリーニ

 出演:アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・ベイスハート

 内容:粗野な大道芸人ザンパノは、純粋無垢で少し頭の弱い娘ジェルソミーナを伴ない、旅から旅への暮らしを送っていた。ある時、ジェルソミーナはサーカスで出会ったイル・マットと呼ばれる青年から慰めを受けるが、イル・マットを嫌うザンパノは彼を殺し、泣いてばかりのジェルソミーナも捨ててしまった。数年後、老いたザンパノは彼女がよく口ずさんでいた曲を耳にする・・・。ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞、アカデミー外国語映画賞ほか多数受賞したフェリーニの名を世界に知らしめた記念碑的作品。

評価★★★★/80点

“チャップリンよりもチャップリンらしい、その名はジュリエッタ・マシーナ。”

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死刑台のエレベーター(1957年・フランス・92分)CS

 監督・脚本:ルイ・マル

 出演:モーリス・ロネ、ジャンヌ・モロー、リノ・ヴァンチュラ、ジョルジュ・プージュリ

 内容:土地開発会社の技師ジュリアンは、社長夫人のフロランスとひそかに愛し合い、邪魔者の社長を亡き者にしようと完全犯罪のチャンスをうかがっていた。ジュリアンは計画を実行に移し、自殺に見せかけて社長を射殺するが、一度ビルの外に出てから社長室の窓にロープを忘れてきたことに気付き、再びエレベーターに乗り込む。ところが、ビルの管理人が電源を切って帰ってしまったため、ジュリアンを乗せたエレベーターは、階の途中で止まってしまった・・・。当時25歳のルイ・マル監督デビュー作。

評価★★★☆/70点

“エレベーターとエスカレーターの区別が完璧につくようになったのは、この映画のおかげだ!!”

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大人は判ってくれない(1959年・フランス・97分)DVD

 監督:フランソワ・トリュフォー

 出演:ジャン=ピエール・レオ、クレール・モーリエ、アルベール・レミ

 内容:ヌーヴェル・ヴァーグの旗手トリュフォーの記念すべき長編デビュー作で、主役の少年を演じたジャン=ピエール・レオとの共同作業となっていく“アントワーヌ・ドワネル”シリーズの第1作。12歳の少年アントワーヌは、毎日が嫌なことの連続だった。その日も学校で立たされ宿題を課せられていたが、親子3人暮らしの狭いアパートへ戻れば日課の掃除が待っており、口やかましい母親と妻の顔色をうかがう父親とあわただしく食事をするだけで、宿題をやるヒマさえない。そんなアントワーヌは結局悪友のルネと悪事を重ねていき、ある時、タイプライターを盗んだことで警察に捕まり、両親にも見放され少年感化院に入れられてしまう・・・。

評価★★★/65点

判ってやれないそんな大人になりつつある自分は、少年時代に持っていたいろいろな世界をポロポロと落としてきてしまった。

その世界とは何だったのかさえ今では忘れてしまったそんな大人に・・・。

2009年1月14日 (水)

夢のシネマパラダイス10番シアター:世界の黒澤シネマスタイルズvol.1

生きる

07101801 出演:志村喬、日守新一、田中春男、千秋実、小田切みき、山田巳之助、藤原釜足、小堀誠

監督・脚本:黒澤明

(1952年・東宝・143分)NHK-BS

評価★★★☆/70点

内容:30年間無欠勤の模範的な役人である、市役所の市民課長・渡辺勘治は、ある日、自分が胃ガンのために余命いくばくもないことを知った。早くに妻を失ってから男手ひとつで育て上げてきた息子にも冷たくされ、渡辺は絶望のあまり街をさまよう。生きることの意味を考え始めた渡辺は、翌日から人が変わったように遮二無二働き出し、貧民街の環境を改善してそこに小さな公園を造ることに情熱を注ぐのだった・・・。

“黒澤明の「残酷狂時代」”

定年間近の生ける屍、渡辺課長よりは若く健康でブラックホール並みの胃袋を持つ事務員、小田切みきの方にどこからどう見たって近いだろうと自負できるオイラにとっては、単純に渡辺さんみたいなお方には付きまとわれたくないなという感想しか浮かばなかった・・・。

異様に光った鬼気迫る瞳で、「いや、そ、そんな、私は、ただ、、、私は、、、君、、、私は、、もうすぐ死ぬんだ、、、君は、どうして、そんなに、その、活気があるのか、君を、その、見ていると、何か、何か、、温かくなる。。」なんて切実に訴えられたら、そりゃはっきり言ってキモイ以外の何ものでもないわな(笑)。

1枚のレントゲン写真から幕を開けたこの物語は、後半1枚の遺影を前に集まった人々が、故人について語るドラマへと飛躍し、そして語る彼らの本性が1枚1枚レントゲンに写し出されるように暴かれていき、ラストに至ってはこの映画を観る側の本性さえも暴かれてしまうわけで、この点についてはさすが世界のクロサワだなと感嘆してしまう。

しかし、映画のつくりに感嘆はできても、肝心の物語の核心にまで個人的になかなか入っていけないもどかしさがあって、それはやはり渡辺課長という人物が、自分にとっては何かまだ遠い存在だったということが大きな要因なのかもしれない。

しかし、物語には入り込めなくても映画のつくり自体には感嘆したのと同様、渡辺課長には観てるこっちの方が疲れてきても、それを演じた志村喬には脱帽してしまう。

とにかくあの瞳は、、、恐いです。なんか、「アバウト・シュミット」のJ・ニコルソンの死んだ魚の目を思い出しちゃった。

あと、あの鬼気迫る目を見て、ふとチャップリンを思い浮かべてしまったのだけど、この映画が喜劇にも通じるユーモア要素を兼ね備えていることを考えると何かどこかで繋がっているのかもしれない。奇しくも1952年度のキネ旬の邦画第1位が「生きる」で外国映画第1位が「チャップリンの殺人狂時代」だったり。

チャップリン映画の3大要素といえば、“愛する”“働く”“食べる”と言っていいと思うけど、「生きる」も見事なまでにそれを貫いている。

やはりこの映画は、黒澤明の残酷狂時代ともいうべき傑作なのかもしれないな、なんてことをふと思ってしまいました。

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羅生門(1950年・大映・88分)DVD

 監督・脚本:黒澤明

 出演:三船敏郎、京マチ子、森雅之、志村喬、千秋実

 内容:戦乱と天災地変と疫病の続く平安の乱世、都に近い山科のやぶの中で旅の侍・武弘の死体が発見される。検非違使は関係者である武弘の妻・真砂と盗賊・多襄丸を取り調べ、巫女を使って武弘の霊からも証言を得るが、彼ら3人の陳述はすべて食い違っていた。事件を目撃した杣売(そまうり)は、この様子を羅生門の下で旅法師に語りながら怖れおののき続ける・・・。芥川龍之介の小説「藪の中」に材をとり、人間のエゴや不信感、不条理などを抉り出す心理ドラマ。戦後、日本から初めて正式出品されたヴェネチア映画祭で作品賞受賞。後にアカデミー名誉賞(後の外国語映画賞)も受賞し、クロサワの名を世界に知らしめると同時に、日本映画黄金期の到来を告げる記念碑的作品となった。

評価★★★★★/100点

“死闘と呼ぶにふさわしい多襄丸と侍の斬り合いが目に焼きついて離れない。あれは殺陣ではなく、まさに殺人だった。”

「用心棒」でのラグビー並みの斬り合い肉弾戦も、「椿三十郎」での0.3秒瞬殺斬りも非常に印象的だが、それらとは対照的なこの映画の型も何もあったものではないヘッピリ腰バトルが1番好きかも。

両者のジリジリしたにらみ合いの最中のんきに首スジを掻く多襄丸。と思ったらヘッピリ腰同士ヒィヒィ息をあげて、時には野獣のごとき叫び声をあげながら、のたうち這いずり転げ回り足を引っ張り合いながら斬り合う両者。

土に突き刺さる剣、切り株に刺さったまま抜けない剣、そして侍に突き刺さる多襄丸の投げた剣。

死闘から生還してへたり込む多襄丸に覆いかぶさるように鳴り響くセミの声がまた印象深い。

人を一人殺めるってこういうことなんだという実感を眼前で見せられたような気がしてしまった。

ドシャ降りの豪雨と焼けつく太陽の生々しい陽光の下で繰り広げられる人間模様もまた実に生々しかった。

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用心棒

Ph_s 出演:三船敏郎、仲代達矢、山田五十鈴、東野英治郎、加東大介、志村喬、藤原釜足

監督:脚本:黒澤明

(1961年・東宝・110分)NHK-BS

評価★★★★☆/85点

内容:2人の親分が縄張り争いを続ける宿場町に、桑畑三十郎と名乗る浪人がやって来た。男は両方の親分に自分を売り込み、高く買ってくれた方に用心棒として味方につくと持ちかける。浪人は、腕も立つが頭もよく切れる男で、巧みな策略で双方を戦わせていくが・・・。アクションの切れ味に加え、ユーモアたっぷりの黒澤演出が冴えわたる娯楽活劇。

“傑物黒澤と怪物三船が暴れまくる娯楽劇。これを見ずしていつ死ねる!”

日米安保問題など激しい政治闘争が渦巻き、やがてカラーテレビ放送など経済成長への端緒を開いた節目となった時代、世の中のパッションがそのまま反映された映画は数多い。

日本映画が最も輝いていた時代だ。

その中でもこの「用心棒」は、娯楽性という面で翌年公開の続編「椿三十郎」とならんで珠玉の中の珠玉ともいえる一本だ。

砂じん吹きすさぶ中、悠然と立ち構える三船敏郎、イギリス製のマフラーを首に巻きつけ拳銃を携えた、いったいどこぞの時代やねんという仲代達矢、棺おけ担いでそそくさそそくさ東野英治郎、アホ丸出しの剛力男・加東大介、紅一点の司葉子、そしてどこまでもヘッピリ腰なヤクザたち。

このメンツでルパン3世撮れるだろ(笑)。

それくらい魅力的なキャラクターたちが入り乱れるシマ争いは、ユーモアも満点、しかし命がけ・・・。

高見の見物を決めこむ三十郎が物見はしごを降りて地上に降り立ったとき、一陣の風の中、怪物の疾風怒濤の大立ち回りのもと、辺りは地獄絵図と化す。

拳銃を向ける卯之助(仲代達矢)にズッズッと近寄っていく三十郎(三船)の凄みたるや、思わず卯之助が躊躇して後ずさりしてしまうのも分かるほどのリアリティが画面から伝わってくる。

このシーンを観る側に力づくで納得させてしまうこの映画は、やはり正真正銘のホンモノだと言うほかない。

一度斬っただけでは人は死なないということから生まれた衝撃の2度斬り3度斬りの殺陣、そしてドスッバツッという効果音。舞い上がる砂じんには砂以外に塩ときな粉が混ぜられていたという演出の凝りよう。

伸び伸びと楽しんで撮ったと黒澤は語っているが、役者は相当に大変だったようだ。

暴れるだけ暴れまわったあげく、「あばよ!」と捨て台詞を残して後片付けもせずにさっさと町を去っていく三十郎の後ろ姿は、これが娯楽だ!見たかお前ら!と言わんばかりのやりきった黒澤明の颯爽とした自信の表れとダブって見えてしまう気がしてならない。

傑物黒澤と怪物三船が暴れまくる娯楽劇。これを見ずしていつ死ねる!

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姿三四郎(1943年・東宝・97分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:藤田進、大河内傳次郎、月形龍之介、志村喬、轟夕起子

 内容:明治15年、修道館・矢野正五郎の闇討ちで柔術と柔道の闘いに直面した三四郎は、柔道に誠実な矢野の門下生となった。己の力量に慢心する三四郎は矢野の教えを受け、心身共により鍛えられていく。様々な対戦者に打ち勝った三四郎は、柔術派の檜垣の挑戦を受け、右京ヶ原の決闘に挑む。。原作の出版広告を見た黒澤が自ら企画、脚色した監督デビュー作で、同じ年にデビューした木下恵介と並んで、優れた新人監督に贈られる山中貞雄賞を同時受賞した。

評価★★★★/75点

“笑撃の黒澤柔道ダンス”

柔道とは思えない、まるでジャパニーズ・ダンスと呼んだ方がしっくりくるようなダイナミックさにまずは度肝を抜かれるというか、それはもう漫画の世界で思わず笑っちゃうくらいなんだけど、黒澤映画が黒澤映画たるゆえんの「面白い映画を作るんだ!」という意気込みや躍動感が作風としてすでにデビュー作から感じられるというのは正直驚いた。

黒澤明は最初っから黒澤明だったんだ。やっぱスゴイ監督さんなんだな。

お寺の境内に上がっていく石階段で、ヒロインの娘の下駄の鼻緒を三四郎が手ぬぐいですげ替えてあげるシーンのカット転換のなんと美しいことよ。藤田進と轟夕起子の淡い恋はなんともカビの生えたような古風な恋愛劇だったけど、あのシーンはホレボレしちゃった。

間の作り方が恐ろしいほど巧いんだよなぁ。

そして、敵役の月形龍之介の洋装風のシャレた出で立ちは後の黒澤映画でおなじみの悪役、仲代達矢にもつながると思うんだけど、ラストの右京ヶ原の対決なんかも黒澤映画の原点を見ているようで見ていて興奮してしまった。

強風吹きすさぶ中、駆けるように流れる白い雲と揺れ動くようにさんざめくススキ野の群れ、そこに睨み合いながら佇む2人の男。ビリビリと震えがくるようなシーン、、、監督1作目で撮れねぇよフツー。。しかも戦時中だってさ。

黒澤明、、、神っス。

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続姿三四郎(1945年・日本・83分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:藤田進、月形龍之介、河野秋武、轟夕起子、森雅之、大河内傳次郎

 内容:前作で檜垣源之助を倒した三四郎に、今度は檜垣の弟で復讐に燃える空手家・鉄心&源三郎兄弟が牙をむく!

評価★★★/65点

“弟、、、怖っ。。”

公開が昭和20年4月ということらしいけど、東京大空襲の翌月に映画なんて観れたのかという疑問はさておき、雨あられと降り注ぐ爆撃の中でこういう娯楽映画を作ってしまう黒澤はやはり初めっからただ者ではなかったということなのだろう。

アメリカ人ボクサーとの異種格闘技戦、そして空手の使い手である檜垣鉄心・源三郎兄弟との決闘など画面の荒さはあるものの見応えのあるシーンがつづくし、前作で三四郎が打ち破り病床のふちにある檜垣源之助と三四郎、小夜との哀しい三角関係のシーンも非常に印象に残る。

また、能装束を纏った言葉を発しない源三郎の造型はモノクロ画面の中ではかなり不気味で、一方、鉄心の方は江頭2:50とオッパッピーを掛け合わせたような動きでこれまたかなり滑稽で、それを考えると、もっと檜垣兄弟をクローズアップさせてほしかった気もする。

しかし、、あのご時世にどうやってあんなに外人集めたんだろ。。

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どですかでん(1970年・東宝・126分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:頭師佳孝、伴淳三郎、井川比佐志、田中邦衛、三波伸介、渡辺篤、三谷昇

 内容:電車バカの六ちゃんは、毎日、電車の走る音を「どですかでん」と口マネしながら、町内を回っている。六ちゃんの住む集落には、暗い過去を背負ったり、苦しい現在に打ちのめされ悩んだりしながらも、優しい心を持って懸命に生きている人たちがたくさん住んでいた・・・。黒澤映画初のカラー作品。

評価★/20点

日本はもとより、世界に通用する映画を世に送り出そうと結成された四騎の会の企画作品がこれかよ。。何も言葉が浮かんで来ん・・・。

夢のシネマパラダイス7番シアター:世界の黒澤シネマスタイルズvol.2

天国と地獄

Kurop22 出演:三船敏郎、山崎努、仲代達矢、香川京子

監督:黒澤明

(1963年・東宝・黒澤プロ・143分)並木座リバイバル上映

評価★★★★★/100点

内容:横浜の高台に豪邸を構える勢靴会社の重役権藤の子供と間違えられ、あろうことか権藤のお抱え運転手の子供が誘拐されてしまう。権藤は悩みぬいた末に3000万円の身代金を払い、子供を救い出す。やがて、警察の捜査線上にある一人の青年が浮かび上がってくるのだった・・・。エド・マクべインの「キングの身代金」が原作。新幹線を借り切って撮影された現金受け渡しのシークエンスは有名で、これを模倣したと思われる誘拐事件が実際に起きるなど、さまざまな反響を呼んだ傑作。

“こらーーそこのもがき苦しんでる女ーッ、トタンの壁をキリキリかきむしるなーーッ”

ホントにやめてくださいよ。マジで。耳に残るんだから・・・。

といってもあのドヤ街はスゴイ。梶原一騎もビックリだ。

さらに山崎努の無表情の踊りはスゴイ。オイラは爆笑だ。緊迫場面であれはないでしょホント。今でも笑いがこみ上げてくるっつーに。

しかし医者を目指そうという男がああいう事件を起こすのかねえ。。

権藤の息子が似てるってのもオカシな話だし。権藤の奥さんも見分けがつかないっていうのは、もう双子としか考えられない・・・はっ!ま、まさか・・・そういうことだったのか・・・。

(ここからはオイラの妄想です。。)

け、警部。権藤はEDだったんですよ。満たされない奥さんは愛人の青木と関係を持ち、身ごもったんです。

青木のことを愛していた奥さんは悩んだ。

しかし、身ごもっているのが双子だということが分かり、彼女は決意するのです。

彼女は権藤に妊娠を打ち明ける。

不思議に思いながらも喜ぶ権藤。

彼はまさか双子とは思いもよらない。青木もまたしかり。

つまり、生まれてきた子供のうち一人は権藤の息子として、もう一人は青木の息子として育てられてきたのです。

そして、青木とその息子真一くんと一緒にいたい奥さんは青木を運転手として雇い入れた・・・真相は奥さんのみが知る。

金を出すことを渋る権藤をまさに悲壮ともいえる執着をもって説得する奥さんの行動もこれで理解できる。

警部、この双子の行く末こそまさに天国と地獄なのでは。

いかがです、警部。

仲代警部「・・・・・。」

黒澤先生ゴメンなさ~い。もう賞賛され尽くしているので、わたくし何も言うことがございません。このような妄想で話を広げることしかできませんですた。。。

でも凄いんです、この映画はホントに。

実は実際のロケ地を見ると、権藤邸の方が、下町よりも下の方にあるという恐るべき事実をテレビを見て知り、注意してみたんですが、、、上に建ってるように見えるーーーッ。

く、く、黒澤天皇は現人神だったんじゃーー。合掌。

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悪い奴ほどよく眠る(1960年・東宝・150分)NHK-BS

 監督:黒澤明

 出演:三船敏郎、森雅之、志村喬、三橋達也、香川京子

 内容:汚職事件の犠牲となった父の仇を討つべく、その遺児が悪徳政治家に復讐していく姿を描いた黒澤プロの第1回作品。

評価★★★/55点

予想のつかない展開に持っていったのはそれなりに引き込まれるが、なんつーか1つ1つのプロットに土台無理がある。新築の家を建てたのはいいが、そこかしこから雨漏りしちゃってます、、この映画は。

もうちょっと重厚なものを期待していたのだけど、昭和初期の少年探偵物でも読んでるような稚拙さには思わず失笑・・・。

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素晴らしき日曜日(1947年・東宝・108分)NHK-BS

 監督:黒澤明

 出演:沼崎勲、中北千枝子

 内容:雨の日曜日、恋人同士の勇造と昌子は敗戦直後の焼け跡がまだ残る街へ出かける。持ち金はたったの35円。やがて2人は無人の野外音楽堂へ歩を進める。そして、聴き損なった交響曲コンサートを始めようと勇造は舞台に立ち、昌子は幻の観客に向かって自分たちへの拍手を求めるのだった・・・。D・W・グリフィス監督の「恋と馬鈴薯」に触発された黒澤監督が、当時無名だった2人を主役に、隠し撮りを多用して仕上げた一品。

評価★★/40点

“この2人にはついて行けません、、黒澤先生”

これが戦争が終わって、復興の礎を築こうとしている古き良き時代の恋人のあるべき日曜日の姿なの?思わず笑っちゃったんですけど・・。

特に後半。これはもう喜劇です。

おそらくあのご婦人はいまだ処女。接吻さえ頑なに拒否する貞節なご婦人。古き良き時代のよくある設定。

が、男の方は欲求不満。まぁそうやろ。

前半は浮浪児と良家のボンボンの対比や、動物園で男が豚などの動物をブルジョアに例えて風刺する場面など、一見すると社会批評はたまたいざ立ち上がらんプロレタリア青年、、といきたいところだが、この男その気配もなく、戦争帰りとはいえ鬱々としていてやる気もない。

後半、その謎が解ける。

なんだ、欲求不満なんじゃん・・・(笑)。

男が住む下宿屋でご婦人に迫る男。下宿屋を飛び出していくご婦人。が、戻ってきて服を脱ごうとして泣き崩れるご婦人。と、なんと彼女ににじり寄って一緒にすすり泣くバカ男。

な、なぜ泣くこの男はーー。オイラも泣かなきゃいけんのかい・・・。ムリだっつうの。

結局何も起こらず、2人でまた外に出て行く。

そして満月の夜。月に向かって“まんまるお月さま”をオペラ調で歌う男。ここでブランコに乗ってるのは「生きる」(1952)につながってるのかしら。

とはいえ、ちょっとおかしくなってる男。

そして午前中のデートで交響曲の演奏会を見ることができなかった2人は闇夜で誰もいない野外音楽堂へ。

何するかと思いきや、「僕が指揮者になる。君は観客。必ず未完成交響曲が聴こえてくるよ!」と男が言う始末。聴こえるわけないやんと思いつつ半ば男に圧倒されて頷くご婦人。意気揚々と指揮者になりきろうとする男。が、しかしあえなく崩れ落ちる男、、、「ぼ、僕にはできない。」(テレビの前で爆笑するオイラ

ご婦人のもとへうなだれて来る男。指をくわえて悔しがるご婦人。「あなたならできるわ!」(腹抱えて笑っているオイラ

やる気を出す男。半狂乱で指揮棒を振り上げる男。

と、ご婦人も幻聴で頭がおかしくなり男のもとに走り寄り、接吻

その後、駅での別れ際。「また来週の日曜日ねん」とご婦人。妙に艶かしい目つき。

来週ヤッタるぞーーッと意気込む男。(まだ笑いが治まらないオイラ)

チャンチャン。満月の夜は何かが起こる、、、黒澤先生どう観ればよろしいのですかーーー。。。

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酔いどれ天使

Kurop07 出演:志村喬、三船敏郎、山本礼三郎

監督:黒澤明

(1948年・東宝・98分)DVD

内容:闇市の住人を診療する酔いどれの医者真田は、顔役・松永の銃傷を治療して以来、彼の肺病の心配をするようになる。松永の病は進行していたが、彼は真田の忠告を受け入れようとしない。しかし、兄貴分の岡田が出所した頃には、松永は極道の世界は空しいものだと認め始めるのだった・・・。

評価★★★☆/70点

「結核ほど理性のいる病はない。」

口酸っぱく志村喬が仰せになっているが、薬用のアルコールを水で薄めてまで飲むオッサンに言われたくねーよ。と思いつつ三船敏郎演じる松永を見てるとまさに言い得て妙なわけで。

とにかく三船敏郎の存在感が凄い。たしかこれが映画出演2作目、しかも初主役。いやはや驚く。

特に兄貴分・岡田との鬼気迫る格闘シーンは見もの。

鈍い光を放つナイフ。生への執着。白いペンキ。生きるか、死ぬか。ドロドロとした渇望。だって死にたくねーーもん俺ぁよーという切実な息遣い。

「羅生門」(1950)での森雅之との格闘とともに必見のシーンだろう。

本物の悪には染まっていない、すなわち理性がまだ僅かに残っていた松永。そういう中途半端さというかある種の悲哀がうまく表現されていたし、それを引き出した志村喬がまたイイ!

松永に幾度となく引っぱたかれながらも奴等と対等以上に我を通すオッサン。

やはり黒澤―三船―志村。セットで真の黒澤映画なのだな、と自分で納得。

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野良犬(1949年・東宝・122分)NHK-BS

 監督:黒澤明

 出演:三船敏郎、志村喬、淡路恵子

 内容:上着のポケットに拳銃を無造作に入れたままバスに乗っていた刑事の村上は、そのバスの中で拳銃を盗まれてしまう。必死になって拳銃を探す村上、だがしかしその盗まれた拳銃が使用された強盗事件が発生してしまう・・・。拳銃を盗まれてしまった若い刑事が必死に犯人を追う姿を描いたサスペンス。

評価★★★★/80点

“みんな野良犬だった。あの時代を生き抜くために。そしてときに野良犬は狂犬になる。”

冒頭、野良犬の顔。

鋭くささくれ立った眼光。口から這い出すザラザラした赤い舌。獲物を嗅ぎ分けるヒクヒク動いている鼻。むさ苦しい呼吸。いつ襲ってくるともしれない危険な臭い。

この冒頭から一気に引き込まれてしまう。

そして、東京の雑踏。飯を必死でむさぼりガッツキ食う人々。うだるような暑さ。村上の目。犬小屋並みのバラック小屋。密閉空間にひしめき合う人々。じわじわと滲み出る汗。虚ろな目で無心に呼吸する踊り子たち。

凄まじいまでの東京の風景。こいつらたしかに野良犬だ。

みんな生きるのに必死なのだ。

恐ろしいまでの黒澤の観察眼にただただ唖然とするばかり。

しかし、その中で登場人物でただ一人だけ浮いている男がいる。奥さんと3人の子供、くつろげる家。志村喬演ずる佐藤警部、彼だけがいわば正常といえよう。

映画の中におけるその絶妙な配置とバランス。

村上だけではこの作品は成り立たなかったのは言うまでもない。

しかし、村上という男はホントに野良犬だ。なにせ、あいつから吐かせるまで食いついて離れません!と怒り狂った土佐犬あるいはドーベルマンのような顔つきで言われちゃあね・・

佐藤警部と行動をともにするうちにだんだん飼い馴らされていくとはいっても、やはり戦争に行き復員してきた村上とそうではない佐藤との世代間対立といったものも浮き出てきて興味深かった。そういった社会背景までも取り込むこの映画はやはりスゴイ!

夢のシネマパラダイス5番シアター:世界の黒澤シネマスタイルズvol.3

七人の侍

Kuros_simage02 出演:三船敏郎、志村喬、加東大介、木村功、千秋実、宮口精二、稲葉義男、藤原釜足

監督・脚本:黒澤明

(1954年・東宝・207分)1998年・東北大学講堂

内容:戦国時代、野武士たちの襲撃を受けていた貧しい農村では、村を守るために用心棒を雇うことにする。長老の命で侍を探しに出かけた農民たちの代表は、勘兵衛という頭の切れる侍と出会い、彼の協力によって7人の個性的な侍が集められる。村へ向かった一行は、農民たちにも即席の訓練を施し、野武士を迎え撃つ!

評価★★★★☆/85点

ホントに必死でつらそうな、しんどそうな菊千代の一瞬の顔を見たとき、これはホンモノの映画だと思った。そして思わず熱いものがこみ上げてきた・・

マルチカメラ方式のなせる技であるといえばそれまでだが、しかしオイラはそうは思いたくない。

泥にまみれ地べたに這いつくばり、必死で馬上の野武士に立ち向かっていく姿。その一瞬。

百姓出の菊千代の思いをたしかにオイラは受け取った。と同時に、この映画から一瞬たりとも目を離してはいけないと真摯に思った。

撮影中、三船敏郎は痛風にかかっていたと聞いたことがあるが、そんなことはどうでもいい。菊千代がそこにいたのをオイラは確実に見たのだから。

いや、菊千代だけではない。皆必死だ。侍、百姓はもちろん野武士でさえも。

群雄割拠、興隆没落が繰り返されていた時代。武士が巷にあふれ宮仕えもままならなかった時代。

必死に生きようとする者たちの思いが画面からヒシヒシと伝わってくる。

本当にスゴイ映画だと思う。

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デルス・ウザーラ(1975年・ソ連・161分)NHK-BS

 監督:黒澤明

 出演:ユーリー・ソローミン、マキシム・ムンズーク、シュメイクル・チョクモロフ

 内容:1902年秋、地誌調査のために沿海州ウスリーにやって来たアルセーニェフは、密林の中で少数民族ゴリド人の猟師デルスと出会う。彼は突然襲ってきた吹雪からアルセーニェフを救ったり、苛酷な自然の変化を敏感に察知して、探検隊を何度も助けるのだった・・・。黒澤明がソ連のモスフィルムに招かれて監督し、モスクワ国際映画祭作品賞とアカデミー外国語映画賞を受賞した人間ドラマ。30年間構想を抱いてきた帝政ロシア時代の軍人アルセーニェフの探検記を、準備期間と撮影に2年半を要して映画化した。

評価★★★☆/70点

ドストエフスキーの「白痴」(1951)、マキシム・ゴーリキーの「どん底」(1957)、シェイクスピアの“マクベス”「蜘蛛巣城」(1957)、エド・マクベインの「天国と地獄」(1963)、シェイクスピアの“リア王”「乱」(1985)と、外国の文学を日本に置き換えて描くことにかけても稀有な才を発揮してきた黒澤明。

その中で唯一、オール現地ロケで撮ったのがロシア文学を原作にしたこの「デルス・ウザーラ」なのだが、聞くところによると「姿三四郎」(1943)を撮っていた頃に、舞台を北海道に変えて映画化しようとしていたらしく、結局途中で頓挫してしまい、1975年の本作で30年ぶりにその構想は実現したのだという。

日本など足下にも及ばない雄大かつ厳格な大自然を70ミリフィルムに収め、自然と人間の対峙という普遍的なテーマをセミドキュメンタリータッチとでもいうべきシンプルな映像で描ききったという点では、オールソ連ロケによって作られた本作は大成功だったといえよう。

日々移りゆく自然と会話しながらシンプルに生きてきたデルス・ウザーラは、例えていえばマンガ版風の谷のナウシカに出てくる“森の人”そのものだと思うのだが、シンプルに生きられなくなった外部の文明人と交わったことで、森の人としての純粋無垢な資質が次第にはがれ落ちていく。

森の守り神として敬っていたトラをなんなく撃ち殺してしまった自分に愕然とするデルス、そして焚き火と会話していたはずのデルスは、殺風景な都会の部屋の中で暖炉をうつろに見つめるだけの抜け殻のような存在になってしまう。

そして、文明の最先端をいく最新式の銃をもらって森に帰って行ったデルスを待ち受けていた残酷な運命・・・。

なんと物悲しい英雄譚だろう。。

一番偉い人・太陽、次に偉い人・月を日々の中で見上げることさえ忘れてしまい、怒ると怖い人・水と火をスイッチひとつで何気もなく使っている現代人。そんな我々が気にもとめずに忘れかけている大切なものを考えさせてくれるという意味では、この映画は最も豊かな映画ともいえるのかもしれない。

黒澤はやはりスゴイ!

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影武者

89e95908ed2_2 出演:仲代達矢、山崎努、萩原健一

監督:黒澤明

(1980年・東宝・179分)NHKーBS

評価★★★/60点

内容:徳川家康攻めの折に被弾し、この世を去ってしまった武田信玄。その弟信廉は信玄死すの噂を打ち消すために信玄の影武者を立てようとする。しかし、白羽の矢が立ったのは、なんと盗人だった・・・。当初主役だった勝新太郎は監督とのいざこざから途中降板。一応カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作。

“馬とオイラはだませない!”

もともと黒澤映画のカラーものはそんなに好きじゃなくて、やっぱりこれもそう。

黒澤のオーラや神通力が全く感じられないのです。

それに加えて静かすぎるんです。

仲代達矢のコメディリリーフとしてのオトぼけぶりはまだいいとして、まわりの脇役に生気が無い。

必死に生きようとしてるの?アータたち。

何か操り人形みたいなんだよ。親方様が死んで、仕方なく影武者にしたのは分かるけど、それでもやる気出せよっつう話。

さらに何なのラストの長篠の合戦シーンは。。

あの撮り方は反則でしょ、レッドカードでしょ、退場でっしょ、いっったいどうなっちゃってるわけぇぇ(石橋風)。

これに腹を立てたスピルバーグが「プライベート・ライアン」の冒頭に力を入れたんじゃ。。。ウソ。

黒澤映画はやっぱり白黒だ!三船だ!志村だ!藤原だ!千秋だ!左ト全だーッ!

(追記)

「どうして人間という存在は、お互いに戦い合うんだろうか。殺し合うんだろうか。人間が生きている限り、憎悪は消えないものなんだろうか。」ということを真っ直ぐに悩む黒澤は、この映画のクライマックスで戦闘シーンをほとんど映さず、殺傷され、のた打ち回る大量の人と馬で戦争の残虐さを表現したのだという。

そっか、こういう撮り方もありってことなのね。♪~( ̄ε ̄;フッ

、、って世界のクロサワになんて口を叩くんだアータ(笑)。

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虎の尾を踏む男達(1945年・東宝・59分)NHK-BS

 監督:黒澤明

 出演:大河内伝次郎、榎本健一、森雅之、志村喬

 内容:歌舞伎の「勧進帳」の映画化で、源義経と弁慶一行の安宅の関越えを描いている。

評価★★★☆/70点

“エノケンで笑い、ミュージカル仕立てで爆笑!”

エノケンとナイナイの岡村がダブった。。エノケンの笑い声、、、イッちゃってるよね。

あと大河内伝次郎、何しゃべってんだか分かんないんだけど。。

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生きものの記録(1955年・東宝・113分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:三船敏郎、東郷晴子、志村喬、千秋実、清水将夫

 内容:黒澤明が原水爆の恐怖というテーマを取り上げ、核兵器反対のメッセージを明らかにしたヒューマン・ドラマ。鋳物工場を経営し、相当の財産を持っている中島喜一老人は、原水爆の脅威におびえるあまりにノイローゼになり、地球上で最も安全だと信じる土地ブラジルに家族を連れて移住する計画を立てていた。それを実行に移そうとした喜一は、移住に反対する妻や子供たちから準禁治産者に指定される訴訟を起こされる。目先の財産にとらわれている子供たちに絶望した喜一は、やがて工場に火を放つのだった・・・。

評価★★★/60点

“この世で1番怖いもの、、、水爆、雷、火事、親父!!”

原水爆の放射能の恐怖から自分と家族を守ろうと財産をスッてまで秋田の田舎に地下施設を作った親父は、さらに何をトチ狂ったのか地球で安全な場所は南アメリカしかないとブラジル移住を強行しようとするという、トンでもなお話。。

戦争の影がまだ色濃く残っていた戦後10年足らずで作られた本作を、当時見るのと戦後60年以上経った今見るのとでは、この映画から感じるものは異なってくるのだろうかというところは興味があるのだけど、例えば原水爆に対する肌に伝わってくる恐怖というのはやはり当時の方が実感としてあったんだろうし。

しかし、はたしてあの親父に感情移入できる奴なんているんだろうか・・・。

それでもオレは日本で生きていく!と宣言して、どこぞの党に入党して活動したりだとかすればいいのに。ブラジル移住というのはただの逃避でしかないわけで、やはり権力者がすることはいつも同じ投げ出しなのか、、、あげくの果てに工場に放火までして、後に残された労働者たちの嘆きを聞いた親父、、、本格的に狂ってしまいますた(笑)。。なんじゃこりゃ。。

どうもこういう話を正面切って大マジメにやられても、逆に真に迫ってこないというか、例えばこの話を過剰なブラックユーモアで完璧にカリカチュア・深化させたのがキューブリックの「博士の異常な愛情」(1964)だと思うのだけど、あっちの方が結局伝わってくるものは大きいんだよね。

そこらへんがかなり物足りないところではあったけど、しかし親父がラストで精神病院の隔離病棟で太陽を指さして「地球が燃えとる!」と叫ぶシーンはさすが黒澤というべき出色のシーンだったと思う。

三船敏郎も実年齢と倍近い年の差を感じさせないエネルギッシュな老人を印象的に演じていたし。

うーん、、、「お父さんが思ってる不安は、日本人みんなが不安に思っていることでもありますよ。」というセリフがあったけど、核爆弾積んだ米軍の艦隊が日本に寄港しようとも、自分んちの周囲200km圏内を原発に取り囲まれようとも不安が実感として押し寄せてこないオイラ、、、の方こそ正真正銘狂っているといえるのかもしれない・・・。

そんなオイラにとって怖いのは、、、やっぱり地震、雷、火事、バルサ!!レアルの宿敵ね・・

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どん底

Kurop17  出演:三船敏郎、山田五十鈴、香川京子、中村雁治郎

監督・脚本:黒澤明

(1957年・東宝・137分)NHK-BS

内容:四方を囲まれ陽も当たらず、荒れ果てた長屋には、様々な境遇の落ちぶれた人々が住み着いていた。しかし、外見の惨めさに反して、この長屋には自堕落で楽天的な空気が漂っている。ある日、この長屋にお遍路の老人が舞い込んできた。この世の荒波にもまれてきた老人は、長屋の連中にいろいろと説いて回り、長屋の雰囲気が変わっていく・・・。マキシム・ゴーリキーの同名戯曲に材をとり、陽の当たらない場末の長屋に住む人々の人間模様を描いたヒューマンドラマ。

評価★★★★/75点

どんな上質な舞台劇よりも圧倒的な舞台劇を見せられたようなかんじで、何しゃべってるか聞き取れないところが多々あるんだけど、あっという間の140分だった。

役者陣の熱いコラボレーション、パンフォーカスを印象的に使った映像、歪んだ長屋のセット。それらが渾然一体となり人々の貪欲な生のほとばしりをものの見事に映し出していたと思う。

でもやっぱりなんといっても、村木与四郎の美術とセットだよなぁ。

宮崎駿は「自分たちの生きているところに真っ直ぐなものはない。だからまっすぐを定規で描かなきゃいけないみたいなことは、この世界では初めから捨ててよろしい」と言ってるけど、まさにそれを実写の世界で体現してしまったかのような曲がり方(笑)。どう見たって斜めにゆがんでるからね、あの長屋。

みすぼらしいセットを作ることほど難しいものはないと思うけど、シナリオ、美術、照明、撮影、音楽、演技などそれぞれが極めて高いレベルで結びつき合った作品。それが黒澤映画の黒澤映画たるゆえんなのかもしれない。

やっぱり黒澤明は凄かった・・・。

ただ、、、香川京子のあの狂い方だけはなんとも解せなかったな。若い女性を描くことだけは苦手だったりして。。

夢のシネマパラダイス1番シアター:世界の黒澤シネマスタイルズvol.4

蜘蛛巣城

Kumonosu_2 出演:三船敏郎、山田五十鈴、志村喬、千秋実

監督:黒澤明

 

(1957年作品・東宝)NHK-BS

評価:★★★★/75点

内容:時は戦国時代。蜘蛛巣城主、都築国春に仕えていた戦国武将鷲津武時(三船敏郎)は、僚友三木義明(千秋実)とともに反乱を平定するが、城に帰る途中で物の怪ババアに出くわす。そして、この妖しげなババアは「武時はやがて城主になれる」という予言を聞かせるのであった。そして武時は妻・浅茅にそそのかされ主君を殺害してしまうのだった・・・。

“高校生の時に、友達と黒澤映画で話が盛り上がっていた時に1番盛り上がったのがこの「蜘蛛巣城」だった。”

「だって、森が動くんだゼーーッ」「矢がシュポッて刺さるとこなんか最高だよ」とかしゃべくりまくってたなぁ。。懐かすぃ。

全般的に何か舞台劇でも観てる印象。例えば物の怪バァさんと出会う場面とかそのまま転用できるんじゃなかろうか。舞台といえば森と城と館くらいなもんだし。三船敏郎のあの動きはどう見ても舞台劇だよね。

大殿が北の館にお忍びでやって来ることを知ってビックリ仰天する動きとか、奥さんにそそのかされる場面とか。魅き込まれちゃうんだよなあ。

2時間という長さも全く感じさせないし。

えっ、こんな単純な話2時間も観てたの?ってかんじ。

まあテレビの音量上げてもセリフ聞き取れなかったから一生懸命聞こうと集中してたせいかも・・。

でも、映像からくる何とも言いようのない恍惚感ってやつ。森を疾走する場面なんか、まるでガソリンの臭気をかんでウットリするようなかんじが、、ヤバッ

あと間の取り方とか独特な緊張感も同様に来まくります。

大殿の柩とともに城に入城するシーンなんかホントにゾクゾクする。

ああ、黒澤映画は白黒にかぎるな、ウン。

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わが青春に悔なし

Wagaseishun 出演:原節子、藤田進、大河内伝次郎

監督:黒澤明

(1946年・東宝・110分)NHK-BS

内容:1933年、京大の八木原教授は学園から追放され、教え子の野毛は左翼活動へ身を投じる。数年後、野毛は反戦運動に没頭し、八木原の娘幸枝と同棲を始めるが、第2次大戦が始まるとスパイ容疑で検挙されてしまう。八木原は野毛の弁護に立つ決心をするが、野毛は獄死してしまうのだった・・・。戦前戦中の反戦運動を主題とした黒澤監督の戦後第1作。

評価★★★☆/70点

「自由の裏には苦しい犠牲と責任がある。」

八木原教授が繰り返しおっしゃるお言葉。良家の娘であり、昔は何でもふざけて考えていた(が内心では考えている)という幸枝を絶望から立ち直らせるこの言葉にはやはり重みがある。

“8月15日終戦、日本敗戦の日、自由への飛翔”というテロップが示すとおり、半ばアメリカの民主主義の強制注入により言論や思想の自由は回復されていくわけだが、その裏には野毛のように獄死していった者があまたいるのだろう。

また、黒澤監督自身にとっても、映画という表現者としての自由を束縛されていたわけで、自分が書いた脚本が戦時統制によりほとんどお蔵入りになるわ、なんとか作った「姿三四郎」(1943)でさえ、そのての機関に英米的だと批判されるわ、かなりの鬱憤というかやり切れなさはあったのだろう。

それが解き放たれた時の開放感、活力感といったものがこの映画からは感じ取ることができる。

野毛と幸枝たちが森を駆けるシーンがあるが、まさに自由に飛翔していてとてもよく出来ている。森を駆けるというのは黒澤映画にはよく出てくる代名詞みたいなシーンだけどね。

この映画から感じ取れる活力感といったものはいわば黒澤明の映画を作るゾ!というヤル気であり、喜びなわけだ。

幸枝という女性を主人公にしたのも意外といえるが、幸枝が婦人運動に生きがいを見出し、野毛の意志を継ぐのと同じように、黒澤監督も野毛の意志を継いだといえるのではないだろうか。映画の世界で。

自分の理論に裏打ちされたことをただやるだけ、しかし徹底してやるという野毛の信念は黒澤の信念ともいえる。

完全主義者としての野毛と黒澤が重なって見えるのも非常に興味深かった。

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静かなる決闘(1949年・大映・95分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:三船敏郎、志村喬、三條美紀、植村謙二郎、千石規子、中北千枝子、宮崎準ノ助

 内容:軍医の藤崎は野戦病院で中田上等兵を治療した際、中田が患っていた梅毒に感染してしまった。終戦後、藤崎は父にも内緒で治療を続けながら、診療所の医者として地域の人々に尽くしていく。彼には結婚を約束した美佐緒という恋人がいたが、彼女のためを思い、婚約も破棄せざるを得なかった・・・。

評価★★★★/75点

“三船に感情移入はできないが、千石規子には感情移入できる。”

オープニングの野戦病院でのドシャ降りの豪雨とクライマックスの赤ん坊の泣き声は、まるで次作の「羅生門」(1950)を想起させるインパクトがあるし、志村喬と三船敏郎の父子というのも新鮮で見応えがある。

しかし、この映画はなんといっても千石規子だろう。彼女の成長物語がしっかり縦のラインとして確立しているからこそ、世代も年代も全くかけ離れた自分でもわけなく見れてしまうのだと思う。

たけしくん、ハイ!やDr.コトー診療所のバアちゃん役しか知らない自分にとっては、この映画における人間味あふれた看護婦という役柄はものすごく心に残った。

黒澤といえば男キャラの力強さが売りなだけに、今回の苦悩にあふれる、まさに静かなる男を向こうに回して啖呵を切る千石規子は非常に印象的だったといえる。

あとはラストの志村喬演じる父親のセリフ。これも凄い。

主人公・藤崎(三船敏郎)は聖人だという評に対し、「さあ、それはどうだろう。あいつはただ自分より不幸な者のそばに身を寄せて、癒されて希望を取り戻そうとしているだけなんですよ。もし幸せだったら、あいつはただの俗物(=凡人)だったかもしれません。」だって。。

ウガーーッ!!深すぎる~~(笑)。。

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白痴(1951年・松竹・166分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:森雅之、原節子、三船敏郎、久我美子、志村喬

 内容:ドストエフスキーの原作を、ロシアから北海道へ移し替えて映画化した野心作。有力者・赤間の愛人である妙子と政治化の娘・綾子は、てんかん性痴呆症だという亀田に惹かれていた。4人の間で様々な想いが錯綜し、赤間が妙子を刺して亀田と同じ精神病院へ送られる・・・。当初4時間25分の作品として完成した本作は、製作会社から大幅なカットの要請を受け、結局2バージョンの短縮版が一般公開された。

評価★★★/65点

“原節子の目が怖い”

原作を読んだことがない中で、この2時間以上カットされている支離滅裂な、それでも2時間46分もある映画を観せられるのは普通なら苦痛でしかないのだが、黒澤の絵力に吸い寄せられるようにフツーに最後まで見れてしまうのだから、やはり黒澤映画は恐ろしい。

体感温度が一気に下がってしまうかと思われるほどの冬の札幌の情景、揺らめくロウソクの炎、汽車の煙に包まれる人物。

たしかなカメラの力点にグイグイと引き込まれていく。

そしてラスト、妙子(原節子)の刺殺死体の視点にカメラを据えてロウソクの灯りの前で繰り広げられる毛布にくるまった三船敏郎と森雅之の精神崩壊への妖しい序曲や、原節子vs久我美子の女の意地の対峙など役者で見せるシーンも連続する。

特に、「サンセット大通り」(1950)のグロリア・スワンソンの眼力を思わせる原節子の怪演ぶり、そしてジェラール・フィリップの目を思わせる森雅之は出色。

大仰な所作や展開に次第に喜劇に見えてきてしまったのだが、パルコ劇場あたりで舞台劇で見たいようなかんじだったな。

夢のシネマパラダイス11番シアター:世界の黒澤シネマスタイルズvol.5

赤ひげ

Kurop23 出演:三船敏郎、加山雄三、山崎努、団令子、桑野みゆき、香川京子、内藤洋子

監督・脚本:黒澤明

(1965年・東宝・185分)NHK-BS

評価★★★★★/95点

内容:江戸の小石川療養所の医師、赤ひげの破天荒だが慈愛にあふれる生き様を、あるエリート青年医師の目を通して描くヒューマニズム巨編。「病気の原因は社会の貧困と無知によるもので、これには治療法がない」というのが口癖の赤ひげだが、それでも人の命を救うため黙々と働き続ける。その姿に、最初は彼に反発していた青年医師だが、次第にエリート意識を捨てて敬意を抱くようになる。黒澤絶頂期の大力作。

“映画の8割は人間の悲しみと不幸で溢れている。しかし、映画を観終わった後は自分の心の中が希望と嬉しさと幸せであふれ返っている。この映画を通して自分も赤ひげ先生に心を診断されたようだ。”

身体を診断するのと同時に心も診断してしまう赤ひげ。

しかし、忘れてはならないのは、例えばおとよにしても彼女の悲しみ、傷、不幸はいくら赤ひげの手にかかっても完全に消し去ることはできないということだ。

家族もなく、12歳で売春させられていたおとよの悲しみと傷は一生消えることはない。

同じことは毒を飲んで一家心中したがなんとか生き残った小ねずみにもいえる。

家族で親兄弟話し合って死ぬことに決めたというのはあまりにもむごく残酷だ。

これらがいわば赤ひげの言うところの貧困と無知に対する闘い、貧困と無知が起こらなければ病気など起こらないということにつながるのだが、一方ではおとよ自身、小ねずみ(長坊だっけか)自身自分の力で生きていかなければならない。多少癒えはしても消え去ることはない悲しみと傷を背負って生きていかなければならない。

その自分自身で生きる力を取り戻す手助けを赤ひげ、そして保本は施していくわけだ。

そしてそこで重要なのがいかに相手と心を通わせ合うかということになるわけだが、この映画では保本の変化と成長を通してその過程を描いていく。

この映画の白眉はまさにここにあると思う。

長崎に留学していたエリート新人である保本。彼は療養所に来るまでは最新の西洋医学書にのみ頼ろうとしていたわけだが、赤ひげやおとよと接していくうちにだんだん変化をみせ、しまいには口調まで赤ひげと同じになっていく。

そこまでに至る描写が実に素晴らしい。

特に印象的なのが、蒔絵師のジイさんの臨終シーンから目を背け、ただ醜悪なものとしてしか見られなかった保本が、病人の人生における内に秘めた悲しみや不幸を知った時、臨終シーンが赤ひげの言っていたとおり荘厳に見えてくるところだ。

それはなにも病人に対する保本の同情がそのように見させたのではないだろう。

その病人がとてつもなく大きな悲しみ、不幸を抱いていてもなお生きていく力を今までしっかり持っていたという真の強さを認識したときに荘厳に見えたのだと思う。

だからこそ病人の苦痛や死のすさまじさから目をそらしてはいけないのだと赤ひげは言うのだと思う。

これはなにか現代にも通じるものがあると思う。

おとよの世話疲れから、また赤ひげに言わせれば“世の中”を急激に見たための知恵熱でぶっ倒れた保本。

そう、現代の世の中もいつも人間の不幸で覆われているではないか。

そして人生は喜びよりも悩み、苦しみの方が圧倒的に多い。それでもしかししっかり地に足をつけて生きていかなければならない。

別々のシーンで赤ひげと保本は同じことを言う。「わしは実にイヤなやつだ。下劣な男だ。」「わたしは実にダメなやつなんです。わたしは下劣なやつです。」と。しかしそれを分かっているからこそ、それでも療養所で医者として生きていく赤ひげとその決心をする保本。

この映画は時代劇という枠をかる~く超越してしまっている。

考えてみればこの映画、刀が出てこない。チャンバラシーンもない。赤ひげは素手で闘う。療養所のオバさんたちは刀のかわりに大根1本で女郎の頭をぶっ叩く。

相手は死なない。

医者も看護師も人を殺すことなどできるはずがないのだ。

だから刀など必要なかった。必要なのは言葉であり、現実を直視する目であり、無知と闘う頭であり、強さと優しさを併せ持つ心である。ようするにいっぱしの人間なのだ。

そして彼らは命の尊さ、真の力強さを知っている。

今の医者はどうだか知らないけど・・・(笑)。

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Kurop27 出演:仲代達矢、植木等、隆大介、原田美枝子、ピーター、寺尾聰、根津甚八

監督・脚本:黒澤明

(1985年・日/仏・162分)NHK-BS

内容:シェイクスピアの「リア王」を下敷きに、3本の矢の逸話で知られる毛利元就の3人の息子の物語を組み合わせて描いた戦国絵巻。70歳になる一文字家の領主・秀虎は、ある日、3人の息子に家督を譲り、城を1つずつ与えて引退すると告げた。真っ直ぐな性格の三男・三郎は父の弱気を批判し、その場で秀虎に追放される。一方、長男・太郎の正室・楓の方は、親兄弟を秀虎に滅ぼされ、略奪された形で嫁になったことから、長男を軽んじた秀虎の態度に不満を覚えていた・・・。

評価★★★★/75点

体裁としては、「蜘蛛巣城」(1957)のカラー版というかんじで、原田美枝子が山田五十鈴、仲代達矢が三船敏郎、盲目の野村萬斎が怪かしの妖婆といったふうにリンクしている。

また、映画のつくりも「蜘蛛巣城」と同じく演劇・舞台を意識した様式美で彩られており、アカデミー賞を受賞したワダ・エミの黄・赤・青・白を人物に当てはめて使った装飾衣装から、どこまでも果てしないロングショットに至るまでかなり徹底していて、むしろ「蜘蛛巣城」よりも静と死に深くこだわった作品になっているように思う。

黒澤映画の醍醐味が動と生にあることは誰も異論はないだろうが、このいつの世も繰り返される人間の悪行、そして安らぎよりも悲しみと苦しみを奪い合う人の世への無常観漂うレクイエムを自覚した今回の作品は、まさに壮大な舞台劇を見ている錯覚に陥ってしまう。

しかし、この壮観さがハンパないんだわ(笑)。

向こうの山の尾根に敵軍がズラリと並んでいるシーンや、燃えさかる城から仲代達矢が出てくるシーンなど、80年代死に体にあった日本映画界にあって巨匠黒澤の底力を見せつけられたような、そんなスゲェ映画だった。

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(1990年・日/米・121分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:寺尾聰、倍賞美津子、原田美枝子、いかりや長介、マーティン・スコセッシ、笠智衆

 内容:夢をモチーフにした8話の短編から成るオムニバスドラマ。日照り雨の日に狐の嫁入りを見てしまった5歳の“私”が主人公の第1話「日照り雨」を皮切りに、次第に成長していく私が見た「桃畑」、「雪あらし」、「トンネル」、「鴉」、「赤富士」、「鬼哭」、「水車のある村」の計8話から成る夢を、様々なスタイルで描きながら、文明社会への批判と自然とのかかわりの重要さが語られる。

評価★★★/60点

黒澤明の頭の中はいったいどうなってるのかと覗いてみたら、テリー・ギリアムやティム・バートン、デヴィッド・リンチ、クローネンバーグなどの混沌とした世界とは似ても似つかない理路整然とした夢で、あれれ、、てかんじ。。

しかもオチもなんにもないんだもん。ただの説教臭いメッセージの羅列になっちゃっててイマイチ楽しめず。

まぁ、このとき御年80歳のお爺さんだったことを考えると、こういう作りになるのもしゃあないのかなぁ。

でも、手榴弾くくりつけた犬=“犬死に”の暗喩とか、どぎつい赤富士と放射能汚染、動き出すゴッホの絵など随所に印象的な造型の具現化が見られるのもたしかで、これはこれでお見事な映画なのかもしれない。

ただ、1スジ(シナリオ)2ヌキ(映像)3ドウサ(演技)を重視するオイラとしては、2ヌキだけの映画ってのはどうもイマイチ、、ねぇ、、複雑。。。

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まあだだよ(1993年・東宝・134分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:松村達雄、香川京子、井川比佐志、所ジョージ、油井昌由樹、寺尾聰

 内容:随筆家・内田百閒とその門下生たちとの心の触れ合いを様々なエピソードで綴った黒澤明の遺作。昭和18年の春、百閒先生は作家活動に専念するため旧制高校を去ることを教え子たちに告げた。生徒たちは「仰げば尊し」を歌って敬愛する先生を送る。しかし退職後も先生と門下生の交流は続いていくのだった。

評価★★☆/50点

“正直、、「もういいよ。」って早く言ってほしかった・・・(笑)。”

夏目漱石門下の随筆家・内田百閒とその門下生との交流を、人情味オンリーで描ききった作品で、所ジョージや、若かりし頃から黒澤映画に出続けている香川京子の好演などほほ笑ましく見ていられる映画ではある。

、、、のだが、逆にこれが黒澤映画だと思って見ると途端にツマラなくなってしまうわけで・・・。

往年のダイナミックさもなければ「夢」などの絵画的美しさも見受けられず、社会風刺もなければゲージツ的でもない、そういう損得勘定の一切皆無な映画の中で、善人100%の師弟関係とドンチャン騒ぎ、、、正直気持ち悪い、、もとい、こっ恥ずかしい。。

ツッコミ役のいない映画見るのがこれほどツライものだとは思わなかったわ・・・。

だからぁ、北海道から鹿児島まで各駅を暗誦してるオッサンに誰かツッコんでやれよ(笑)。気になってしかたなかった。

でも、先生だけは最後までちゃんと聞いてるんだよな。

優しい映画だ。しかも度を越した優しい映画だ・・・。ダウンタウンの松っちゃんが提供する優しさライセンスを無条件で差し上げたい気分です。

ようするに、、、映画としてイマイチ。。

でもでも、オイラにとっての映画のお師匠は黒澤先生にほかならず、これからも黒澤映画を見続けていこうと考えておるわけであります。黒澤映画ほど素晴らしい映画体験をすることはできないのだから。

オイラにとって黒澤明は「まあだだよ」なんだよね。

まだまだです。

2009年1月12日 (月)

夢のシネマパラダイス163番シアター:オイラは、裁判員になりたくありましぇん・・

HERO

Hero 出演:木村拓哉、松たか子、大塚寧々、阿部寛、勝村政信、小日向文世、八嶋智人、松本幸四郎、森田一義、中井貴一、イ・ビョンホン

監督:鈴木雅之

(2007年・東宝・130分)2007/10/01・盛岡フォーラム

内容:山口から東京地検城西支部に戻ってきた久利生公平(キムタク)は、ある傷害致死事件を担当することに。が、被告が初公判で犯行を全面否認、無罪を主張し思わぬ事態に陥ってしまう。しかも相手弁護士は刑事事件無罪獲得数日本一の蒲生一臣(松本幸四郎)だった。さらにこの事件の裏には、久利生と過去に因縁のある大物政治家・花岡練三郎(森田一義)の存在もあり・・。事件の鍵が韓国にあることを突き止めた久利生は、事務官の雨宮舞子(松たか子)と共に釜山へ向かう。。

評価★★★★/75点

TVドラマから欠かさず見てきたオイラにとっては久方ぶりに城西支部の面々を見れたというだけで満足。

映画としてはボリュームを出すためにシナリオがかなり雑になってしまった感は否めず、まるでキムタクのためだけにあつらえられた茶番劇の様相を呈しているけど、それもキムタクの法廷での名演説ですっかりチャラに。

人間愛に徹したクッサイ台詞をサラリとなおかつ堂々と正面切って言えちゃう、そしてそれが絵になる男キムタク。うらやますィぜ・・・

当たり前のことを当たり前にできない、当たり前のことを当たり前に言えない時代だからこそ、こういう真っ直ぐかつ真っ当な映画は大事なのかもね。

映画じゃなくていいから、また続編製作を期待したいっス。

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死刑台のメロディ(1970年・イタリア・125分)NHK-BS

 監督・脚本:ジュリアーノ・モンタルド

 出演:ジャン・マリア・ヴォロンテ、リカルド・クッチョラ、シリル・キューザック

 内容:アメリカ裁判史上最大の汚点といわれたサッコ&ヴァンゼッティ事件の映画化。1920年、労働運動に参加していたサッコとヴァンゼッティは密告者の通報により強盗殺人という身に覚えのない罪で逮捕された。公判で検察側の証人は次々と偽証を重ね、力づくで2人を有罪にしようとする法廷の力学の前に、ムア弁護士は挫折して引退してしまい・・・。

評価★★★/65点

冤罪が晴れるまで50年を要したということは、この映画が作られたときもまだ彼らは有罪のままだったんだ、、なんという悲劇。そしてなんという恐怖。国家権力って怖い・・。

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運命の逆転(1990年・アメリカ・112分)NHK-BS

 監督:バーベット・シュローダー

 出演:ジェレミー・アイアンズ、グレン・クロース、ロン・シルヴァー

 内容:イギリス貴族のクラウスは、大富豪の妻の殺害を企て植物人間に追い込んだ罪で有罪判決を受けた。クラウスは無罪を主張し、上告審の弁護を大学教授アランに依頼する。アランは彼に不信感を抱きつつ、裁判に勝つ確証を得ていくが・・・。アメリカ上流階級のスキャンダルとして知られるフォン・ビューロー事件を、弁護人側の視点からとらえたミステリードラマ。ジェレミー・アイアンズがアカデミー主演男優賞を受賞。

評価★★☆/45点

グレン・クロースのだぶだぶのパンツしか印象に残らない・・。

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推定無罪(1990年・アメリカ・127分)WOWOW

 監督・脚本:アラン・J・パクラ

 出演:ハリソン・フォード、ブライアン・デネヒー

 内容:ラスティと同僚の検事補であり不倫相手だった女性が何者かに殺された。捜査線上に浮かび上がったラスティは、無実の罪を着せられて皮肉にも被告として法廷に立つことに・・・。

評価★★★/60点

浮気男に三くだり半突きつける時に、これ見せれば相当な効果があると思うで・・。

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ア・フュー・グッドメン(1992年・アメリカ・137分)DVD

 監督:ロブ・ライナー

 出演:トム・クルーズ、ジャック・ニコルソン、デミ・ムーア、ケヴィン・ベーコン

 内容:キューバのアメリカ海軍基地で、海兵隊員のサンチャゴが就寝中に襲われて死亡する。同じ部隊の2人の海兵が逮捕されたが、内部調査部のギャロウェイ少佐(デミ・ムーア)は、事件の背景に規律を乱す者への暴力的制裁を意味する“コードR”の存在を感じ、2人の被告の弁護を申し出る。しかし、弁護人にはハーバード大学出身で法廷経験のないキャフィー中尉(トム・クルーズ)が任命された・・・。

評価★★★★/75点

ジャック・ニコルソンvsその他大勢という図式が成り立つだけではなく、彼の凄さは映画のもつ作品世界とタイマンを張れるということ。

「バットマン」のジョーカー役などでもそれは実証済みだけど、なかなかいないっしょ、こんな役者さん。まさに大物!

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ザ・ファーム 法律事務所(1993年・アメリカ・154分)NHK-BS

 監督:シドニー・ポラック

 出演:トム・クルーズ、ジーン・ハックマン、ホリー・ハンター、エド・ハリス

 内容:ハーバード大学をトップの成績で卒業したミッチは、破格の高収入を約束されて税務専門の法律事務所に就職。しかし、その事務所では4人の弁護士が謎の死を遂げていた・・・。

評価★★★★/80点

アメリカ南部を舞台にしている映画は、ことごとくその土地のアクの強さを前面に出しているが、この映画もご他聞にもれず。実際には行ったことがないのにアメリカ南部というだけですでに斜に構えている自分がいる。。

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父の祈りを(1993年・アメリカ・133分)NHK-BS

 監督:ジム・シェリダン

 出演:ダニエル・デイ・ルイス、エマ・トンプソン、ピート・ポスルスウェイト

 内容:1976年にロンドンで実際に起きた冤罪事件の映画化。北アイルランド、定職も持たずに遊んでいるジェリー・コンロンは、ロンドン郊外で起きた爆破事件の容疑者として逮捕された。彼の父ジュゼッペや叔母一家も同様に逮捕され、官憲の暴力に屈したジェリーは、白紙の供述書にサインをしてしまう。そしてジェリーは無期懲役の判決を受け投獄されてしまうのだった・・・。

評価★★★★/80点

自由と平等を謳う近代民主主義の下で、その自由と平等をあっけなく奪われてしまう恐さと絶望は計り知れない。

しかもそれを取り戻すための闘いは、えてして尋常ではない時間と壮絶な苦しみを伴なう。

命を賭したその生命の残光が胸に突き刺さる。

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陪審員(1996年・アメリカ・117分)CS

 監督:ブライアン・ギブソン

 出演:デミ・ムーア、アレック・ボールドウィン、アン・ヘッシュ

 内容:彫刻家のアニーは、11歳の一人息子と暮らすシングルマザー。ある日、彼女はマフィアがらみの殺人事件裁判の陪審員に選ばれる。しかし、アニーは息子を盾に取られ、無罪評決に持ち込むよう脅迫される・・・。

評価★★★/60点

この頃からデミ・ムーアの顔がマイケル・ダグラスに似てきた、、、えらの張り方なんてクリソツじゃん(笑)。まるで男性ホルモン投与しとるような。。

まぁ、この翌年に「G.I.ジェーン」で海軍特殊部隊に入るのも分かるわな・・・。

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英雄の条件(2000年・アメリカ・127分)WOWOW

 監督:ウィリアム・フリードキン

 出演:トミー・リー・ジョーンズ、サミュエル・L・ジャクソン、ガイ・ピアース、ベン・キングスレー

 内容:中東での市民虐殺容疑で軍事裁判にかけられることになったチルダースは、元戦友のホッジスに弁護を依頼した。狂気の無差別殺人か、それとも正規の軍事行動か。緊迫の裁判を軸に野郎同士の友情を描いた大作アクション。

評価★☆/35点

有罪同士が罪をなすりつけ合う茶番劇・・・。全員ギルティ!!!

2009年1月 7日 (水)

夢のシネマパラダイス145番シアター:蟲師

T0004950 出演:オダギリジョー、江角マキコ、大森南朋、蒼井優、りりィ

監督・脚本:大友克洋

(2006年・日本・131分)2007/04/03・盛岡フォーラム

評価★★☆/50点

内容:100年前の日本。そこには動物でも植物でもない妖しき生き物“蟲”がいた。ときに蟲は人間に取り憑き不可解な自然現象を引き起こす。そして蟲の姿を見ることができる者は蟲師と呼ばれ、蟲に取り憑かれた人々を癒す能力を持っていた。そんな蟲師の一人であるギンコは、雪深い山の庄屋で4本の角が生えた少女と出会う・・・。

“オイラは貞子を見に来たんじゃないやい!”

ぬい(江角マキコ)の成れの果てが井戸から出てきた貞子そのものじゃないか。なんだあれは。。

原作マンガを読んだことない人がこれ見たら、ホラーマンガだと絶対に誤解しちゃうよ。最悪。そんなんじゃないのに。

映像化するにあたって視覚的にインパクトを出さないとダメだとかいう制約があったのか知らんが、そんなん蟲師には必要ないっちゅうの。ホントに原作読んだんだろうな大友は。。

しかも、ぬいとギンコの関係をストーリーの主眼に置くことからして解せないというか、ギンコが何者かってのははっきりいってどうでもいいことで(笑)、そこの描写はボカしちゃってもよかったと思うんだけど。

なんか全てに答えを出そうとして、かえってドツボにハマッてしまってわけが分かんなくなっちゃってるような・・・。あげくの果てに貞子だし。ガックリ。。

蟲師を一言で言い表すなら、日本昔ばなしにファンタジーをふりかけたような世界観の中で、人と蟲が織り成す悪役の出てこない悲劇と、あまりにもか細く消え入りそうな人と人とのつながり、人と自然とのつながりの再生を描いているといえると思うのだけど、そういう点では父と子、母と子、夫と妻といった家族の物語を軸にして描かないと良さが伝わりにくいと思うんだよね。

だからギンコはぶっちゃけ狂言回し的な立ち位置でいいんだよ。なのにそれを主軸にもってくるから中途半端な尻切れトンボになっちゃうんだ。

その点でこの映画は、ストーリーの構成にかなり難があると言わざるをえない。

映像面は蟲師の世界観を崩さないかなりの出来だっただけに、かっなり残念な映画になってしまったと思う。残念

ちなみにアニメ版の方は最っ高の出来です。

夢のシネマパラダイス13番シアター:のだめカンタービレを探せ!

アマデウス

Ama 出演:F・マーレイ・エイブラハム、トム・ハルス、エリザベス・ベリッジ

監督:ミロス・フォアマン

(1984年・アメリカ・160分)NHK-BS

評価★★★★★/100点

内容:1823年冬、ウィーンの精神病院で、かつてオーストリア皇帝ヨーゼフ2世の宮廷に仕えていた作曲家のアントニオ・サリエリは、「モーツァルトを殺したのは私だ」と意外な告白を始める。その昔、天才を鼻にかけて傍若無人に振る舞う下卑た青年のモーツァルトと宮廷で出会ったサリエリは、彼の才能への嫉妬から、モーツァルトに対して復讐を開始する・・・。35歳の若さでこの世を去った天才作曲家モーツァルトの死の謎に迫ったピーター・シェーファーの戯曲の映画化。アカデミー作品賞をはじめ8部門を獲得した。

“映画の聖典に挙げてもいいくらいの傑作。”

憧れ、祈り、失望、嫉妬、憎しみ、怒り、呪い、羨望、偏愛、歓喜、後悔、、、およそ人間が持つ根源的な感情と逃れられないサガと弱さを、重厚な美術と軽妙洒脱な旋律とけたたましい高笑いにのせてスクリーンという名の五線譜の上で奏でていく超一級娯楽作品。

要らない音符や小節はひとつもない完璧な作品である。

また、神への帰依から復讐、裏切り、そして贖罪へと続いていく宗教色の強い演出スタイルも映画に重みを与えていて良い。

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神童

T0005109 出演:成海璃子、松山ケンイチ、手塚理美、甲本雅裕、西島秀俊、貫地谷しほり、吉田日出子、柄本明

監督:萩生田宏治

(2006年・日本・120分)WOWOW

評価★★★★/80点

内容:13歳の中学生・成瀬うたは、周りから神童と呼ばれるくらいのピアノの天才少女。が、学校では球技禁止、いつも手袋着用という生活に息苦しさを覚え、ピアノも好きかどうか分からなくなっていた。そんなうたは、ある日、音大を目指して浪人中の和音(ワオ)と出会う・・・。

“神童成海璃子に垂涎

まずもって落ちこぼれ音大生のワオ(松山ケンイチ)の出すピアノの音色と、天才少女うた(成海璃子)の出す音色に明らかな違いがあった(と感じた)ところで、この映画に一気に引き込まれてしまった感が強い。

さらにその音色が、朴訥で愚直なワオと13歳にして完成された才を持つがゆえの孤独を内に抱えるうたという人物キャラクターにも繋がっていて、ストーリーに十分な説得力をもたせていたと思う。

とにかく耳に流れてくるクラシックの旋律がとても心地良く、ラストのワオとうたの連弾も何か映画が終わってほしくないというような深い余韻を与えてくれた。

そして、やっぱりなによりも成海璃子の当時14歳だったとは到底見えない存在感たっぷりの神童ぶりには驚かされる。

14歳の初主演がこれってどうよ(笑)。

宮沢りえの14歳の時と比べたりしても、ちょっと図抜けているというか。早熟の天才で終わることはまずないだろうけど、今後の出演作選びも含めて目が離せない女優さんだと思う。

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ミュージック・オブ・ハート(2000年・アメリカ・123分)DVD

 監督:ウェス・クレイブン

 出演:メリル・ストリープ、アンジェラ・バセット、アイダン・クイン、グロリア・エステファン

 内容:ハーレムにやって来たバイオリン教師のロベルタは、人種も個性も違う子供たちに音楽と触れ合う喜びを教えていく。しかし、市の教育委員会からの資金が打ち切られ、教室は存続の危機に・・・。

評価★★★/65点

“実話を映画化する難しさなのか。観る側の心が離れていく寸でのところで必死につかまってしがみついてくる。。”

へぇ~~弓って馬の尾毛でできてるのかぁ。初めて知った、、というトリビアは置いといて、肝心の映画はそれなりに感動はできる。それなりに・・。

というのも、実話ゆえの難しさなのか、1つ1つのプロットに掘り下げがない。それだけで完結してしまってるんだよね。

ただの事実の羅列にしかなっていない。先生の家庭での生活と教室風景を交互交互に羅列してるだけ。

そんでいつの間にか上手くなってるんだよなぁ、あいつらのバイオリン

はっきりいって映画としては旨味に欠けるといわざるを得ないと思うけど、メリル・ストリープほか出演者とバイオリン、そして財団に与して許しまひょ。

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ドラムライン(2002年・アメリカ・119分)DVD

 監督:チャールズ・ストーン3世

 出演:ニック・キャノン、オーランド・ジョーンズ、ゾーイ・サルダナ、レナード・ロバーツ

 内容:音楽プロデューサー、ダラス・オースティンの実体験を下敷きにした青春ドラマ。スポーツ競技のハーフタイムにパフォーマンスを行うマーチングバンドを題材に、大学の名門バンドに入部した天才ドラマーの挫折と成長を描く。NYのハーレム出身のデヴォンは、アトランタAT&T大学のマーチングバンドのリー監督にドラマーとしての才能を見出され入学する。が、その勝ち気で自信過剰な性格から次々と衝突を繰り返してしまう・・・。

評価★★★☆/70点

“青森ねぶたと盛岡さんさ踊りで殴りこみをかけたい気分!”

勝つ自身はあるで(笑)!

映画としては、このての映画の定型的なリズムから決して逸脱しないありふれたものだったけどね。

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五線譜のラブレター(2004年・アメリカ・125分)WOWOW

 監督:アーウィン・ウィンクラー

 出演:ケビン・クライン、アシュレイ・ジャッド、ジョナサン・プライス、ケビン・マクナリー

 内容:実在の作曲家コール・ポーターの人生を、彼を支えた妻の愛と音楽で綴る。始まりは1920年代のパリ。ポーターはリンダと出会い、やがて結婚。世に数々の名曲を送り出していく。ナタリー・コールやエルヴィス・コステロらミュージシャンが多数出演。

評価★★☆/50点

全く同じテンポと形式の繰り返しからなるこの映画は、まるでどこまでも交わることのない5本一組の等間隔な五線譜のようにきっちりしすぎている。

しかも、そこにはリズムとアクセントというものが全く書きこまれていないのだ・・・。

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歓びを歌にのせて(2004年・スウェーデン・132分)DVD

 監督・脚本:ケイ・ポラック

 出演:ミカエル・ニュクビスト、フリーダ・ハルグレン、ヘレン・ヒョホルム

 内容:世界的な名声を得る天才指揮者ダニエルは、しかし、想像を絶するプレッシャーと過酷なスケジュールのため、心身ともに限界に達していた。そんなある日の演奏中にブッ倒れてしまった彼は、第一線から退くことを決断し、幼年期を過ごした北部の小さな村に移り住むことに。が、やがて地元の聖歌隊を指導してほしいと頼まれて・・・。

評価★★★★/80点

“ハリウッドだったら絶対ありえないであろうまさかの結末になんか消化不良なかんじも・・・。”

ハッピーエンドで終わらせてほしかったなぁというのが本音だけど、ああいう結末だったからこそラストの大合唱が映画史上屈指の名シーンになりえたのかもね。しかし、、、ステージに上がる前に意気揚々とサイクリングして心臓に負担かけるバカがどこにいる(笑)。

あと、スウェーデンだけあって、脱ぎっぷりはさすがだったね

っと、冗談はさておき、純粋に良い映画だったと思います。ハイ。

登場人物がみんな不器用なせいもあって、映画そのものもどこか不器用なかんじは否めなかったけれども、映画が奏でる旋律は真っ直ぐに伝わってまいりますた。素直な良い映画です。

2009年1月 6日 (火)

うたばん狂想曲第24番:第17回オイラ的日本レコード大賞/2008年の記憶

さぁさぁやって来ました!オイラが勝手に選ぶ2008年の音楽シーン総決算、第17回オイラ的日本レコード大賞ーーッ♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:

ということで、2008年度月間ランキングをレッツゴー!

1月

 1位 大塚愛                 ポケット

 2位 竹仲絵里           真っ白な雪、真っ白な未来

    TRIPLANE              モノローグ

 3位 中孝介                  花

    レミオロメン          Wonderful&Beautiful

     ZARD              グロリアス・マインド

2月

 1位 大塚愛                 ポケット

 2位 一青窈                「ただいま」

    中孝介                 路の途中

 3位 いきものがかり           茜色の約束

    BENNIE K             モノクローム

     ERIKA            Destination Nowhere

3月

 1位 チャットモンチー         ヒラヒラヒラク秘密の扉

 2位 中孝介               言葉はいらない

    宇多田ヒカル             Stay Gold

 3位 安室奈美恵             NEW LOOK

    安室奈美恵           WHAT A FEELING

4月

 1位 いきものがかり           帰りたくなったよ

 2位 Salyu                   iris

     melody               遥花~はるか~

 3位 山下達郎               ずっと一緒さ

    ゴスペラーズ               青い鳥

5月

 1位 Superfly                Hi-Five

 2位 中孝介                   春

    ケツメイシ               出会いのかけら

    Superfly                 愛と感謝

 3位 MY LITTLE LOVER        ラビリンス

    Superfly               愛をこめて花束を

6月

 1位 宇多田ヒカル          Prisoner Of Love

 2位 MY LITTLE LOVER       イニシャル

    竹仲絵里                シャリラリラ

 3位 いきものがかり           最後の放課後

    手蔦葵                    虹

7月

 1位 清水翔太                アイシテル

 2位 伴都美子                message

 3位  AI                   大切なもの

    青山テルマ                何度も

8月

 1位 元ちとせ                  蛍星

 2位 福耳                 夏はこれからだ!

 3位 倖田來未              Moon Crying

    Mr.children               ギフト

9月

 1位 サザンオールスターズ   I AM YOUR SINGER

 2位 いきものがかり           ブルーバード

    TRIPLANE             夏が終われば

 3位 TRIPLANE             ココロハコブ

    鬼束ちひろ                 蛍

10月

 1位 大塚愛               クラゲ、流れ星

 2位 Mr.children             HANABI

    川嶋あい                 カケラ

 3位 福井舞                 アイのうた

    大塚愛                雨の粒、ワルツ

11月

 1位  AI                   おくりびと

 2位 伊藤由奈            BREEEEEZIN!!!

    いきものがかり           プラネタリウム

 3位  alan                RED CLIFF

    倖田來未                Always

     YUI                 Oh My God

12月

 1位 アンジェラ・アキ             手紙

     alan                  恵みの雨

 2位 青山テルマ              守りたいもの

     一青窈                 はじめて

 3位 小田和正              今日もどこかで

    宇多田ヒカル              Eternally

つづいて各賞の発表っス!

師勲章  alan

         TRIPLANE

         青山テルマ

敢闘賞 大塚愛

         中孝介

         Superfly

特別賞 安室奈美恵

 大賞 いきものがかり  

優秀曲 大塚愛              ポケット

         いきものがかり       帰りたくなったよ

         大塚愛           クラゲ、流れ星

         中孝介             路の途中

          alan            RED CLIFF

以上が、オイラが独断と偏見で選んだ2008年の結果だす!

大賞は、まさかまさかのいきものがかり

いきものがかりがNHKのスタジオパークに出たときに偶然TVで見てたら、めちゃくちゃエエ奴らで(笑)、長く歌い継がれていくような歌を作っていきたいという言葉に共感してから一気にオイラの中で株を上げていったんだけど、遂に花開きましたがな。文句なしの大賞ですた。

3rdアルバムも買ったドーーっ!いきものがかり初入荷。

言い方は悪いかもしれないけど、細く長く続いていって欲しいバンドだな。

でも、細く長くといえば、安室奈美恵やなぁ。オイラが高校生の時だから、1995年くらいか。97年に“CAN YOU CELEBRATE?”で紅白の大トリを務めて1年の産休に入ってから、宇多田ヒカルや浜崎あゆみなどの台頭に遭い、影が薄くなっていった感はあったんだけど、ここからがしぶとかった(笑)。

00年代に入って小室音楽から脱却してからジャネット・ジャクソンなどの洋楽系へシフト転換して、本格感漂う音を聴かせてくれるようになって、まだやっとるなぁと思いつつ8年間。

なんかヒットとか大衆受けとか度外視で自分のやりたい音楽を一貫してやってる印象はあって、小室とやってた時はアイドルというかんじだったけど、今や完全に大人の女性アーティストに変貌したような。アブリル・ラヴィーンからジャネット・ジャクソンへみたいな。一方、アユは完全にマドンナ路線だけどね。

とにもかくにも、08年は3曲入りシングル“60s70s80s”と、ベストアルバム“BEST FICTION”で大爆発

この00年代を生き永らえた生命力は伊達ではなかった。。2010年代も歌い続けてそうだな。

さて、他に常連さんというと、大塚愛、宇多田ヒカル、ミスチルといった面子は今年も相変わらず安定株だったし、竹仲絵里も相変わらず好き

新顔では、中孝介、青山テルマ、福井舞、清水翔太などいるけど、やっぱなんといってもSuperflyだなぁ。デビューは07年で、1stの“ハローハロー”はランクインしてたんだけど、08年オイラの中で一気にブレイク!

キャロル・キングとかジャニス・ジョップリンなど6,70年代の音楽・ファッションのヒッピーカルチャーからの影響を受けている越智志帆のセンスが抜群にイイし、ラブ・サイケデリコよりもポップで耳に馴染みが良くて好きだな。5月発売の1stアルバム“Superfly”もジャケットがまんまジャニス・ジョップリンでかっこ良かったし、今年1番のアルバムだった。

あとは、TRIPLANEだね。北海道発のバンドで、デビューは02年らしいけど、オイラが聴くようになったのはここ数年かなぁ。いまいち全国区にならないけど、やっぱどうしてもミスチルに激似していることがアダになってるのかな。

そして、年末にかけて一気にオイラの中で大発見となったのが、三国志の映画化で大ヒットを記録した「レッド・クリフ」の主題歌を担当しているalan

生まれは中国四川省のチベット族出身で、エイベックスが行った中国オーディションで発掘され、07年11月に日本デビュー。

そして、08年は6枚ものシングルを精力的に発表してたんだけど、オイラが知ったのは「レッド・クリフ」の時だったので、11月くらいに初めて知ったんだけど、とにかく声が凄いのね

チベット独特の高音のフェイクとか、スケール感っていうのがあって、さらにめっちゃ美人だし。

WOWOWのライブWで歌ってるとこ見たけど、最高ですた。今後が楽しみ。

そして08年なによりも忘れてはいけないのがサザンオールスターズだね。5月に無期限休止宣言を発表して大ニュースになった後、8月には30周年記念ライブでまたもや大ニュースに。オイラもWOWOWで見ましたがな。

ウチの社長なんて、これ見たいがためにWOWOW加入したくらいだからな(笑)。

オイラの1番好きなバンドなので、また復活してくれることを願っています。

2009年1月 5日 (月)

レアル・マドリー狂想曲第54番:新年あけおめ!レアル×ビジャレアル

2009年が幕を開けましたーッ!イエーイ;:゙;`(゚∀゚)`;:゙!!

レアルにとって良い1年になりますように。

さて、そんな今年1発目の試合となったベルナベウでのビジャレアル戦。

Realmadridvsvillarreal 布陣は、以下の通り。

 

レアル:4-4-2      カシージャス

            ぺぺ        カンナバーロ

 Sラモス                            エインセ

         ラサナ・ディアッラ     ガゴ

  ロッベン                        スナイデル

            ラウル       フンテラール

 VS     VS     VS     VS     VS     VS

ビジャレアル:4-4-2

            ニハト       ロッシ

  ピレス                         カソルラ

           エグレン    マルコス・セナ

 カプデビラ                        アンヘル

           ゴディン      ゴンサロ

               ディエゴ・ロペス

Photo なにはともあれ、冬の移籍で獲得したフンテラール(前所属アヤックス)とラサナ・ディアッラ(ポーツマス)通称“ラス”の2人を先発で持ってきたのには驚いた。

フンテラール、ラスともに11月に足を負傷してピッチを離れており、フンテラールに関してはファンデ・ラモス監督もまだ100%のコンディションではないと言っていたので、先発はないんじゃないかと思ってたんだけど、イグアインが扁桃腺炎で離脱したので、急遽出番が回ってきたということらしい。

とはいえ、新戦力がどれだけやれるのか興味津々で見入ってしまった今日の試合。

まず、ニステルの代役としての仕事を期待されているフンテラールは、まずは顔見せといったかんじで、まだ万全の状態ではなさそう。ポストプレーでもまだ踏ん張れていなかったし。ただ、1回決定的なチャンスがあったんだけどねぇ。次に期待しまひょ。

Photo_2 そして今日、最大の驚きを提供したのが、今季絶望の本家ディアッラから背番号6番を引き継いだラス!

相手ボールを狩るわ狩るわ。ピレスやロッシにまったく仕事をさせないディフェンスは特筆ものだった。

これは、、、マケレレの再来だーーッ!!!

ガゴとの相性もそんな悪くはなさそうだし、今日は守備専だったけど、リスクを負って前に出て行けるまでに順応すれば、かなりチームにとってプラスになりそう。

いやぁでもホント、マケレレみたいなかんじで、これからが楽しみやわぁ。

Photo_3 ←そして、忘れてはならないキレまくりロッベン!前半31分、右サイドから内に切れ込み、左足で巻いたシュートがゴール左上に突き刺さる。まさにゴラッソですた。

ていうか、完全にロッベン頼みの攻撃だったけど、3人に取り囲まれてもグイッ、スッと抜けていくドリブルはもはや誰にも止められない!

止まるとしたら、自爆による怪我だけだな・・(笑)。。

Photo_4 ←あとは、クラシコあたりから調子をググッと上げてきた聖カシージャスが今日も降臨

中盤ソリッドな守備から、素早いサイド攻撃というのがファンデラモスのサッカーだとすれば、ベースにある中盤守備はラスの加入でかなり計算が付く算段になりそう。DFラインもぺぺとエインセが戻ってきたし。怪我さえなければなんとかなりそう。

攻撃面は、ロッベンは絶好調としても、今日で言えば左サイドのスナイデルかなぁ。個で突破はできないタイプだから、左ラテラルにエインセじゃなくマルセロの方が連係がとれていいと思うんだけども。ただ守備がねぇ・・。

まぁ、いずれにしても内容としては、けっこう良かったんじゃないかなと思う。完全にシュスターからの脱却を図って、ファンデ色に染まっていきそうな予感。吉と出ることを願います。

4強との戦いを2勝2敗で終えたレアル。一方、バルサは4連勝で一気に独走態勢に・・・。

Real_madrid_2 こっからレアルの逆襲じゃーーッ!オーーーーッ!

アッラ・マドリー!

2009年1月 3日 (土)

夢のシネマパラダイス489番シアター:かもめ食堂

200605042 出演:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、ヤルッコ・ニエミ、マルック・ペルトラ

監督・脚本:荻上直子

(2005年・日本・102分)DVD

評価★★★★/80点

 

内容:フィンランドのヘルシンキの街角にかもめ食堂という小さな食堂をオープンした日本人女性サチエ。看板メニューはズバリ、おにぎり!が、開店1ヶ月でやって来たお客は、ガッチャマンの歌詞を訊きに来た日本のアニメ好きのオタク青年だけ。そんなある日、サチエは訳ありな2人の日本人女性と出会う・・・。

“大人にとってある種理想的なファンタジーを提供してくれる空間。それがかもめ食堂。”

カメラと人物、人物と人物との遠すぎず近すぎずの適度な距離感が心地良い不思議な空間、かもめ食堂。

それは例えばサチエさんがなぜフィンランドで食堂を開くまでになったのか、サチエさんの目的は何なのかが一切明かされないことからも分かるとおり、他人のテリトリーにズケズケと入っていかない、あるいは入っていく必要がない距離感であり、ある種のファンタジー空間ともいうべき世界観を創出している。

しかし、それを実体として表現するには日本が舞台ではあまりにも現実離れしている。

そういう点でもフィンランドという日本から遙かかけ離れた異国を舞台にしていることによって物語に説得力をもたせているといえよう。

また、サチエさんの世間とのしがらみから隔絶されたような人生に対する達観も普通に考えたら森の奥深くに住む仙人みたいなものであり、しかし森の中ではこれまた現実離れしているので、その点でもフィンランドという異国設定は絶妙だったといえる。

さらに、機能性とシンプルさを重視し、余計なものをそぎ落としていくところに独特な美を生み出していく北欧のインテリアデザインが、サチエさんの生き方とダブって見えるのも巧い。そこに小林聡美の肩の張らない演技が加わり、まさに穴のない完璧な世界観を生み出していたと思う。

巧い映画です。

考えてみたら、目をつぶって世界地図を指差したらたまたまフィンランドだったからやって来たというミドリ(片桐はいり)も、両親の介護から解放され、フィンランド人に憧れていたからとりあえずやって来たマサコ(もたいまさこ)も確固とした目的意識を持ってフィンランドに来たわけではなく、他人とのしがらみ、社会とのしがらみ、日常とのしがらみから逃れるために流されるようにたどり着いた場所がフィンランドのヘルシンキにあるかもめ食堂だったのだろう。

しかし、しがらみという毒がなければ生きていけないのもまた人間。

毒をデトックスして自然体を取り戻したミドリとマサコは、いずれかもめ食堂から旅立っていくのだろう。

それでも途切れることなくやって来るであろう訳ありなお客さんたちを、かもめ食堂はこれからも優しく包み込んでいってくれるでしょう。

サチエさんの「いらっしゃい」とおにぎりの温かさで。。

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(おまけ)

白い花びら(1998年・フィンランド・78分)NHK-BS

 監督:アキ・カウリスマキ

 出演:サカリ・クオスマネン、カティ・オウティネン、アンドレ・ウィルム

 内容:フィンランドの片田舎。自分たちの作ったキャベツを町外れの市場に売りに行き、生計を立てている夫婦ユハとマルヤ。キャベツは飛ぶように売れ、幸せな日々を送っていた。そんな2人のもとに光り輝くオープンカーに乗って、カサノバ風の男が現れ、マルヤを誘惑する・・・。

評価★★★/65点

映画自体は別段どうでもいい内容だけど、音楽は一考の価値がある作品。

どう聴いても映画と音楽のミスマッチが最初の方は気になっていたが、なんか観ているうちにこの音楽が気に入ってしまった。

しかし映画と音楽の距離が一向に縮まらないのね、これ(笑)。それがちょっと惜しいな。

音楽の方にもっと映画の内容が近寄っていくようなかんじだったら、もっとオイシイ異色作になってたんだろうなと思うけど。

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めがね(2007年・日活・106分)WOWOW

 監督・脚本:荻上直子

 出演:小林聡美、市川実日子、加瀬亮、光石研、もたいまさこ、薬師丸ひろ子

 内容:透き通る海に面した南の島。そこに何かを求めて旅しにやって来たタエコは、地図を片手にハマダという小さな宿にたどり着く。そして宿の主人ユージや常連客のサクラにおもてなしを受けるが、彼らのマイペースさに耐えきれなくなり、別な宿に移ることにするのだが・・・。

評価★★★/60点

北国育ちの自分にとって、ある種特有のゆったりとした時間が流れているイメージがある南の島には憧れを抱いてしまうのだけど、この映画見るとそこに身をゆだねるのも2時間が限界のようだ

カキ氷とかBBQは食べたいしメルシー体操も楽しそうだけど、不思議とここに行きたいと別段思わなかったのはなぜだろうww

思うにそれはこの映画がマッタリとした世界観だけで成り立っていて、人間関係がことのほか稀薄だったからではないか。それは例えば宿泊客が一緒に農業体験をする薬師丸ひろ子が主人の宿を胡散臭いものとして描いていることからも分かる通り、よけいな干渉はこの映画では煩わしいものなのだ。“たそがれ”には無用の長物だということらしい。

しかし、映画としてはそれだとやはり押しが弱くて、見終わったあとの印象は薄い。

何もしないことが最高の贅沢とはいうけど、旅行となると他人より大きなトランクを抱えて行ってしまう自分にはまだまだそういう断捨離の境地には達しえていないということらしい・・w

でも、たま~にこういうのほほんとした雰囲気の映画見るのも一服の清涼剤としてはいいのかもね。

2009年1月 2日 (金)

夢のシネマパラダイス143番シアター:時代劇にかぶれちゃったりして・・!?

雄呂血(1925年・日本・75分)NHK-BS

 監督:二川文太郎

 出演:阪東妻三郎、環歌子、森静子、関操

 内容:善意による行動をことごとく誤解されて、すっかり世をすねた武士が義侠を売り物にしている侠客の家に身を寄せる、、、が、この男、トンだイカサマ男で、武士の初恋の女を手込めにしようとしていた。これを知った武士は遂にブチ切れて、多勢を相手に大乱闘を演じる。

評価★★★/65点

日本映画の神話時代に恐る恐る足を踏み入れた拙者・・・って、なあんだぁ、肩肘張って観ることもねぇな。

主人公はストーカーだし、チャンバラは群舞に見えてくるし。

はては「俺さまの強姦癖は病なのだ!」と言う始末。。

、、って、現代よりヒドイじゃないか(笑)。

エッ、、阪妻この時22,3歳ですか。これだけはちと驚きだぞ。。

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雨月物語

1176587398 出演:京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、小沢栄

監督:溝口健二

(1953年・大映・97分)NHK-BS

内容:戦国時代、琵琶湖畔に住む陶工の源十郎は、義弟の藤兵衛を連れて戦火をくぐり町に出た。戦乱に乗じて金儲けを企む源十郎は、焼き物を買いにきた美女の屋敷で歓待される日々を過ごすが、旅の僧にその女は死霊であることを告げられる。一方、藤兵衛は大将の首を拾って侍に出世するが、出世欲のために捨てた妻が遊女に落ちぶれた姿にめぐり合い、欲に憑かれた愚かさを思い知るのだった・・・。

評価★★★☆/70点

“物欲・肉欲・食欲・出世欲、あなたはどれが1番?”

さあ、倍率ドン!!さらに倍!

8、20、4、12、、、さあ、どこに何点!

、、というのはさておくとして。。

黒澤映画に比べるとやや緊張感に欠けるし、人間臭さもないけど、人間の本質を鋭くえぐることにかけてはこっちの方が上かな。

また、映像面も特筆もので、実は死霊だったというオチの京マチ子と田中絹代の妖しげな魅力は、幽玄の怪談話に十分な説得力をもたせていて、昔の映画ながら何気に最後まで見入ってしまった。

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幕末太陽傳(1957年・日活・110分)NHK-BS

 監督・脚本:川島雄三

 出演:フランキー堺、石原裕次郎、南田洋子、左幸子

 内容:明治維新まであと5年の文久2年、佐平次は無一文のまま品川遊廓で大尽遊びをして“居残り”(金を払えないので、人質となって店に居残ること)となる。宿には高杉晋作など勤皇の志士たちも居残りとなっていた。佐平次は遊廓の仕事を要領よくこなし、高杉と仲良くなったり遊女たちの世話をするなどして、たちまち廓の人気者となっていく。

評価★★★/65点

なんか寅さんの若かりし頃を見ているような気がしてならなかった。

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大菩薩峠

200505170 出演:三船敏郎、仲代達矢、中谷一郎、加山雄三、伊吹新

監督:岡本喜八

(1966年・日本・120分)NHK-BS

評価★★★★/75点

内容:殺気みなぎる残忍な剣士・机竜之助(仲代達矢)は、奉納試合で立ち会う予定の宇津木文之丞(中谷一郎)の妻・お浜(新珠三千代)から勝ちを譲ってほしいと懇願される。が、竜之助はお浜を強姦し、試合でも文之丞を殺害する。2年後、お浜を連れて江戸へ向かった竜之助は、島田虎之助(三船敏郎)の道場で文之丞の弟・宇津木兵馬(加山雄三)を見かけ試合を申し込むが・・・。

“机竜之助の眼が恐い・・・。”

剣は血を吸い、血は剣を求める、、、文字通りそんな映画だった。

冷血人間というより冷血動物といった方がしっくりくる机竜之助の大殺戮シーン、そして島田虎之助の豪快な10人斬り。

この殺陣だけ見ても必見の価値ありな映画なのだけど、この映画はやはり仲代達矢の鬼気迫る熱演に尽きるのではなかろうか。

人間臭い三船とクールでニヒルな仲代というライバルの構図は黒澤映画でもおなじみだが、今回はとにかく仲代の圧倒的な悪役造型を前面に出してきて、犯して斬ってキレまくる。それはもはや病的な殺人狂というレベルにふさわしい。

願わくば仲代vs三船のバトルをぜひとも見たかったことだけが惜しまれるが、それを忘れさせてしまうくらいのラスト15分間の地獄絵図、そして亡霊が乗り移ったかのような竜之助の魔性の剣が頭にこびり付いて離れない。。

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心中天網島(1969年・日本・103分)NHK-BS

 監督・脚本:篠田正浩

 出演:岩下志麻、中村吉右衛門、小松方正、藤原釜足、加藤嘉

 内容:生と死が隣り合わせになった純粋な愛の世界を描く近松門左衛門の浄瑠璃の映画化で、美とエロの極致が表現された篠田監督入魂の代表作。

評価★★★★/80点

伝統と前衛が見事に融合した今までに見たことのないような映画。オンリーワン

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竜馬暗殺

B00005qyoz 出演:原田芳雄、石橋蓮司、中川梨絵、松田優作、桃井かおり

監督:黒木和雄

(1974年・日本・118分)NHK-BS

評価★★★★/75点

内容:幕末の動乱を駆け抜けた坂本竜馬の、慶応3年に暗殺されるまでの最後の3日間を描いた時代劇。幕府の刺客から命を狙われる竜馬は、勤皇の主流派である薩摩の連中からも狙われ、さらに盟友の中岡慎太郎からさえも内ゲバをかけられていた。勤皇派もまた権力意志で動いているにすぎないと見抜いた竜馬は、薩長による維新が成功した後に、さらにより下層の人民の力を結集した革命を実行しなければならないと考えていたが・・・。

“ちょっと見方を変えると、、、”

高2の夏が勝負だぜよ!!童貞卒業だぜよ!!と意気込む田舎のヤンキー高校生が、他校との血で血を洗う縄張り争いを繰り広げながらソープランドの泡姫にうつつを抜かす。これぞまさに男の青春

こういう輩には“ごくせん”のヤンクミをつけて再教育させるしかないな(笑)。

「いいか、お前ら、よぉっく聞いとけ!!男だったら何かを守るために戦わなきゃいけない時が必ず来る。そんときに腹据えてどこまでやれるかでテメエらの価値が決まるんだ。ケンカの基本は素手でのタイマンだ!ケンカっていうのはな、大切なものを守りたいっていう熱いもんでするもんだ!なのにお前ら刀引っさげて顔を白塗りして女装して、しかも坂本ぉーっ!お前、拳銃持って何やってるんだ。お前らホントいい加減にしろよ!中岡、お前ホントはいい奴なんだろ。右太もウダウダしてないで、、、、ってお前ら今のは笑うところだぞ。ったく手ぇ焼かせやがって・・・。」

っていう、、そんなヤンキー映画なんです、これ。。

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SF サムライフィクション(1998年・日本・111分)1998/08/13・シネラセット

 監督:中野裕之

 出演:風間杜夫、吹越満、布袋寅泰、緒川たまき、藤井フミヤ、夏木マリ、谷啓

 内容:親に勘当され、しばらくの間、江戸で武芸修行に励んでいた長島藩士、犬飼平四郎。ようやく親の許しをもらい国に帰るが、風祭という浪人男に藩の宝刀を盗まれ、とんでもない騒ぎになっていた。平四郎は父親の制止を振り切り、幼なじみと風祭を追うが・・・。全編モノクロの新感覚時代劇。

評価★★★☆/70点

SF、、、サムライ、、、フィクション、、、

何が言いたいッ!!

つかみどころのないテンポとスタイル。たしかに新鮮で斬新だったことは認めよう。しかし、このスタイルが通用するのは一遍こっきりやでアータ。

今度は地に足のちゃんとついた作品を撮りぃ。

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雨あがる(1999年・東宝・91分)NHK-BS

 監督:小泉堯史

 出演:寺尾聰、宮崎美子、三船史郎、吉岡秀隆、原田美枝子

 内容:故・黒澤明が山本周五郎の短編をもとに書いた遺稿を、黒澤組のスタッフたちが再結集して映画化。時は享保年間。剣の腕は立つものの士官の道がなかなか開けない浪人の三沢伊兵衛とその妻は、放浪の旅を続けていたが、長雨のため安宿に居をかまえた。ある日、若侍の果し合いを素手だけで難なく仲裁した三沢を、たまたま通りかかった藩主・永井和泉守は藩の剣術指南番に迎えようとするが・・・。

評価★★★/65点

黒澤映画と思って観るとたいしたことないが、フツーの日本映画と思って観るとフツーの良作であるとはいえる。。

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御法度(1999年・松竹・100分)盛岡フォーラム

 監督:大島渚

 出演:松田龍平、ビートたけし、武田真治、浅野忠信、崔洋一

 内容:幕末の京都。幕府の非常警察として抗争に明け暮れる新撰組に、惣三郎という新人が入隊する。妖しい魅力を放つ美少年・惣三郎に対し、次第に心を惑わす血気盛んな剣士たち。やがて鉄の結束を誇っていた隊内は、嫉妬や羨望を交えた不穏な空気に包まれていく・・・。

評価★★★/55点

淡白、、何もかもが淡白、、いろんな意味で淡白、、御法度って映画のテーマじゃなくて映画の出来栄えをとやかく言うのを禁じるという意味だったのかもね・・。

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巌流島 GANRYUJIMA(2003年・東宝・75分)DVD

 監督・脚本:千葉誠治

 出演:本木雅弘、西村雅彦、田村淳、吉岡美穂、金子昇、筧利夫

 内容:慶長17年。剣客・宮本武蔵と巌流の使い手である剣の達人・佐々木小次郎。当代屈指の剣豪2人が雌雄を決する世紀の決闘が舟島(巌流島)で行われようとしていたが・・・。宮本武蔵の「五輪書」に巌流島の決闘が記されていないことから、これは細川藩の陰謀であり、小次郎を倒したのは武蔵ではなかったとの仮説をもとに、斬新な映像と大胆なストーリー展開で描いた異色時代劇アクション。

評価★★/40点

馬鹿もほどほどにしろ(笑)。。

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