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2008年12月26日 (金)

夢のシネマパラダイス296番シアター:ドリームガールズ

ドリームガールズ

Dreamg 出演:ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディ・マーフィ、ジェニファー・ハドソン、ダニー・グローバー

監督:ビル・コンドン

(2006年・アメリカ・130分)2007/02/27・盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

内容:1962年、デトロイト。エフィー(ジェニファー・ハドソン)、ディーナ(ビヨンセ)、ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)の3人は、音楽での成功を夢見てドリーメッツというグループを結成し、オーディションへの挑戦を繰り返していた。そんな彼女たちに目を留めたマネージャーのカーティス(J・フォックス)は、大スターのジェームズ・アーリー(エディ・マーフィ)のバックコーラスとして彼女たちをデビューさせる。さらにリードボーカルをエフィーからルックスの良いディーナに交代させる。すると、彼女らのステージは注目を集め、スター街道を歩み始めていくのだが・・・。

“悪魔的キャスティングの妙”

いまやアメリカの音楽シーンはブラック・ミュージック抜きでは語れないどころか、アフリカ系アメリカ人が牽引しているといってもいいほどの影響力を持つまでになっている。

その点でこの映画は、黒人音楽が白人向きのいわゆるポップスに組み込まれ変容・浸透していく歴史の源流を見られるという点でも興味深く見られるし、その中でソウルを捨ててポップスに衣替えするプロデューサーのカーティス(J・フォックス)と新しいリードボーカルの座にすわることになったディーナ(ビヨンセ)、そしてブラックミュージックの魂であるソウルを全身にまとい表現する体現者でありながら成功街道から放り出されるエフィー(J・ハドソン)の葛藤と対比も面白い。

華やかなショービズ界の裏にあるシビアな栄枯盛衰や容赦のない生々しい人間ドラマがソウルフルかつゴージャスな歌曲とともに見られる、非常に見応えのある音楽映画になっていると思う。

ダイアナ・ロスが在籍したシュープリームスをモデルにしたというゴージャスなショーパフォーマンスや、エフィーのソウルパワー全開の咆哮はもちろん、グループに亀裂が入り、他のメンバーやカーティスを相手に文字通りの四面楚歌になってしまったエフィーの壮絶な言い合いゲンカならぬ丁々発止の歌合戦にまで至ると、これはもはや日本映画なんかでは到底太刀打ちできない芸当であり、本来アメリカ映画の十八番であるミュージカル映画の本場の底力を如実に見せつけられる圧巻の作品だったと思う。

自分の思いや主張を伝えるための手段、そして生きる力をダイナミックに伝えるという、歌が本来持っている力をこれほどまで純粋に表現し感じられる映画もそうはないと思う。

また、キャスティングの妙もこの映画の見所のひとつ。

70年代を飾ったディーバがダイアナ・ロスだとすれば、80年代はマドンナ、90年代はマライア・キャリー、そして00年代がビヨンセと続くわけだが、カーティスの操り人形と化し、ソウルを捨て去るかわりに名声のかぎりをつくすに至るディーナにビヨンセをあてたという、これほど現実的かつ暗に皮肉めいた辛口のキャスティングというのもスゴイ。

同じことがアーリー役のエディ・マーフィにもいえると思うけど、ショービズ界の光と闇を描くには絶妙のキャスティングだったといえるだろう。

ジェニファー・ハドソンについては言わずもがな。いやはや、10年後にも語られるであろうもの凄いおデブさんだよ(笑)。

そして10年後にも語られるであろう映画ですた。

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今宵、フィッツジェラルド劇場で(2006年・アメリカ・105分)WOWOW

 監督:ロバート・アルトマン

 出演:メリル・ストリープ、リリー・トムリン、ギャリソン・キーラー、ケヴィン・クライン、リンジー・ローハン

 内容:ミネソタ州セントポールのフィッツジェラルド劇場。30年続いた公開ラジオショウが最後の放送の日を迎えた。下ネタいっぱいのカウボーイシンガーやカントリー・デュオなどの出演者たちは、そのことを知りつつも、名調子の司会者のもとでいつもと変わらずパフォーマンスを披露していく・・・。名匠アルトマンの遺作。

評価★★★/65点

“この映画に出てきた登場人物のような人生の達観にたどり着くにはオイラはまだ若すぎる・・・。”

30年続いたラジオショウの最後の公開生放送の様子を、舞台裏の楽屋で繰り広げられる人間模様と舞台上でよどみなく続けられるシンガーたちのパフォーマンスを紡いで織っていく。

しかも、この両者の垣根を取っ払った形で描いていくのがこの映画のキモとなっていて、楽屋に満ちた終焉=死の要素と、舞台上に満ち満ちている歌=生の要素が対になるのではなく地続きになっているというイメージが、例えば客席から舞台袖まで神出鬼没に歩き回る白いドレスのブロンド美女=死を導く天使というビジュアルで示されていて、ちゃんとした映画体験として見せていく手法はさすがアルトマンだなと思わせる。

そしてそれに則ったように映画に出てくるベテランシンガーたちも終焉=死をありのままに受け入れ、ありのままの生の中で歌い続ける。

そこに歌があるかぎり。。

アルトマンの遺作にふさわしい作風の映画になっていると思う。

しかし、この人生に対する達観というのは、人生のベテランの域に達して初めて理解できることだと思うねんな。

まだ四半世紀かそこらしか生きてないオイラには正直いって半分分かっても残りの半分はまだ分からないんだわなぁ。

その点ではこの映画、全くと言っていいほど起伏がなくて、ちょっと飽きが襲ってきた感も否めず・・・。

唯一の若手であるリンジー・ローハンが最後に元気ハツラツぅに舞台を締めてくれたのが救いだったかな。

30年後にもう一回見るか。ウン。

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ビヨンドtheシー~夢見るように歌えば~(2004年・米/独/英・118分)NHK-BS

 監督・脚本:ケビン・スペイシー

 出演:ケビン・スペイシー、ケイト・ボスワース、ジョン・グッドマン、ボブ・ホスキンス、ブレンダ・ブレシン

 内容:37歳でこの世を去った実在のエンターテイナー、ボビー・ダーリンの生涯を映画化。幼い頃の病気が原因で「15歳まで生きられない」と宣告されたボビーは、やがてショービズ界で成功するが・・・。

評価★★★☆/70点

ケビン・スペイシーと音楽映画って全然結びつかない印象があって、これってどうなの、、とかなり身構えて見ちゃったんだけど、フタを開けてみたらあらビックリ、歌うっまーぃ!踊り軽っろやかー!と、ケビン・スペイシーのオールラウンダーぶりには思わず舌を巻いてしまった。

さらに、淡々と時系列に沿っていつも同じ展開で進む伝記映画があまり好きではないオイラにとっては、ボビー・ダーリンという人物よりも音楽そのものの方に傾倒したミュージカル調の構成になっていたので、リズム感があって無理なく見ることができた。

また、ボビー・ダーリンをほとんど知らない中で、まるでケビン・スペイシー自身を投影させて揶揄したようなオッサン像はかなり印象的で、ケビン・スペイシーの伝記でも見ているような気になってきてしまう。

ケビン・スペイシー、、やはり一筋縄ではいかない男だ。

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