夢のシネマパラダイス554番シアター:時をかける少女
監督:細田守
(2006年・日本・100分)2007/01/05・盛岡フォーラム
評価★★★★/80点
内容:高校2年生の紺野真琴は、優等生の功介とちょいワルな千昭と3人でつるんで楽しい毎日を送っていた。そんなある日、真琴は、自転車で坂道を走行中にブレーキが壊れてそのまま踏み切りに突っ込んで電車に激突・・・とその瞬間、真琴は時を駆け戻った。その話を和子叔母さんにすると、彼女は意味ありげに、それは「タイムリープ」といって年頃の女のコにはよくあることだと説明するのだった。それを聞いた真琴は、最初は半信半疑だったが、これが実に便利な能力であることを知るとすっかり調子に乗りタイムリープを使いまくってしまう・・・。
“映画を観終えて連れの妹が吐き捨てたひと言・・・”
男子キャラが全然ダメ!だってさ・・・。
チャラリラリラリラリラララ~ゴッドファーザーのテーマがオイラの頭ん中で鳴り響いちまったよ・・・。
「俺、そんなに顔も悪くないだろ。」って千昭も豪語しとったやん。
いや、そういう問題じゃなくて、言うとった話とちゃうやんけ!
えーーっ、、、オイラなんも言ってないじゃん。
、、、と、彼女が今度短大に入学する妹に「この監督さんって宮崎駿の後継者なんだって。」と吹聴しまくってたらしく、、、そりゃ大地に根を張ってたくましく生きてて、あげくの果てに飛行機から逆さにぶら下がって女のコを空中で抱きかかえちゃう芸当まで披露するパズーやら、主食は美女の心臓という女殺しの美形の魔法使いで、タラリラランと空中散歩までできちゃうハウルやら、凛々しい顔立ちの色白の少年でなななんと背中に好きな人を乗せて飛ぶこともできるハクやら、飛べない豚は、、省くとしてもだな、それらと比べたら、そりゃ今回の飛べない男子高校生はモサッとしてるヘタレキャラなのかもしれないけど・・・。
でも、ちょっとよう考えてみいや。宮崎アニメの男キャラは基本的に“マザコン”、しかもロリコンもちょっと、、いや相当入っているのだっちゅうことを忘れちゃいけんよ(笑)。
あ、そっか、、、それが母性本能をくすぐるのかい?ってんなアフォな・・・。
まぁとにかく妹はんは宮崎駿の後継者と聞いて宮崎アニメそのものを期待しちゃったようで、それならゲドゲホッ戦記でも見てりゃええわけで、、、でも、その肝心のゲホッ戦記もツマラない言うとるんだから(笑)。。。
引退しないで下さい宮崎さん、、それしか方法はないよ。。
しかし、今回の「時をかける少女」は、絵柄的には背景美術が宮崎アニメと同じスタッフということで、細密な背景描写は宮崎アニメと通じるものがあったと思う。
簡単に骨折しちゃいそうなほど人物の線がゆるゆるだったのはちょっと違和感が無きにしもあらずだったのだけど、ほのかに陰影をぼかした暖色の背景画に彩られた世界観と、ポカリスエットのCMにそのまま転用できちゃいそうなくらい爽快で抜けるような夏の青空の下で躍動するストーリーと、ブッ飛び転げまくり駆け回りつづける真琴の姿に、自分の青春時代にタイムリープしちゃいそうな感覚をもって一気に映画の中に吸い込まれてしまった。
特に真琴の快活バカ娘っぷりは特筆もので、これを主人公にもってきたのがまたイイ。
千昭に「バカにチャージされてよかったよ。」と言われるくらいロクなことにしかタイムリープを使わない真琴。プリンや鉄板焼きを食べたいがために、はたまたカラオケ10時間ブッ通しで歌い続けるためだとか真琴の周囲5メートル圏内の身近な日常にもっぱらタイムリープが費やされていく。
坂本龍馬を暗殺したのは誰なのか!?とか邪馬台国はどこにあったのか!?とか知りたくないのかよっ、、と数学のテストで9点取っちゃう真琴に言うのは筋違いってもんか(笑)。
とにかく快活バカ娘の真琴に終始視点を寄り添わせて描き、フツーの女子高生にとっての日常の複雑な問題をきっちりと切り取っていく。それは微妙な三角関係であったり、恋を自覚する一歩手前であったり、将来の進路であったり、プリンを食べれるか否かであったり。
SFという破天荒な世界よりは女のコの青春という普遍的な内面世界を描き出しているのが個人的にはビビビッときたかんじだ。
しかも真琴に終始視点を寄り添わせて描いているわりに決して閉鎖的な物語になっていないのは、真琴が自らの意志で自分の人生をつかみ取ろうと突っ走りつづけるポジティブさにあるのではないかと思う。
20年前のヒロイン芳山和子はひたすら恋人を待つ女性だったが、真琴は魔女おばさんをして、待ってる人が来なかったら走って迎えに行く子でしょと言わせしめるような女のコなのだ。
それがまた時代の違いを反映しているというか今風でイイんだよね。
あみんの“待つわ”の時代じゃないんだもんな。倖田來未の“WIND
”はたまた“Hot Stuff
”の時代なんだ。「つかみ取るのは自分次第!」ってね。
ヨッシャ、いっつつけぇええーーーツ!!!
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時をかける少女(1983年・東映・104分)NHK-BS
監督:大林宣彦
出演:原田知世、高柳良一、尾美としのり、津田ゆかり、岸辺一徳、根岸季衣、上原謙
内容:ある日の放課後、理科室の掃除当番だった芳山和子は、実験室でラベンダーの香りに包まれて気を失った。それ以来、和子は時間を往き来するようになってしまう。不思議な体験を繰り返した和子は、それを同級生の深町に相談するが、彼は取り合ってくれない。納得のいかない和子だったが、深町の家の温室で再びラベンダーの香りをかぎ、気を失う・・・。筒井康隆の同名小説をもとにしたSFファンタジー。
評価★★/45点
細田守の傑作アニメの方を先に見ていたので、いわゆるオリジナルはどんなもんかと思ってたのだけど、なんてったって映画監督の中で最も性に合わないのが大林宣彦だからねぇ・・・。
よくまぁカビの生えたような青臭っさい映画を恥ずかしげもなく撮れるもんだよと逆に感心しちゃうわ。ノスタルジーもヘッタクレもあったもんじゃない。
こういう映画は観たときの世代・年齢とかももろに関係してくると思うんだけど、当時幼稚園児だったオイラには原田知世など眼中にあるわけもなく・・(笑)。
今みればただの大根アイドルだし、、おいおい。。
岩井俊二あたりに撮らせてくれれば全っ然違くなると思うんだけどなぁ・・・。
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