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2008年11月 3日 (月)

夢のシネマパラダイス546番シアター:トンマッコルへようこそ

Welcome_to_dongmakgol 出演:シン・ハギュン、チョン・ジェヨン、カン・へジョン、イム・ハリョン、ソ・ジェギョン

監督:パク・クァンヒョン

(2005年・韓国・132分)2006/12/06・仙台フォーラム

評価★★★★/80点

内容:朝鮮戦争がつづく1950年代。山の奥深くに、他の土地から隔絶し自給自足の生活を送る不思議な村トンマッコルがあった。そんな平和な村にある日、アメリカの連合軍スミス大尉の偵察機が不時着する。その後、韓国軍の脱走兵2人と、朝鮮人民軍の兵士3人も村に現れ、3組は武器を手に一触即発の事態に。しかし、武器さえ見たことのない村人たちはそんなこと気にする素振りも見せず、、、いつしか兵士たちも打ち解けていき、友情を育んでいくまでに至るのだが・・・。

“ファンタジーを描く土壌が今までなかったはずの韓国映画がリアリズムの極致にある戦争と武器を見たことがない人々が住むユートピアというファンタジーを何の違和感もなしに結び付けてしまった、、、恐るべし韓国映画。”

トンマッコル村の入り口の山道に置かれた石像なんかを見ると思わず宮崎駿の「千と千尋の神隠し」を思い浮かべてしまったり、しかも音楽が久石譲だし。

また、久石譲の音楽が近年ではベストの部類に入る良さなんだわこれがまた。

そういうジブリ臭がプンプンしたもんだから、緑あふれる中に白い蝶が飛び交っているという世界観はすんなり受け入れられた。ていうかフツーに好きだな、こういうの。

爆弾の雨あられがポップコーンの雪に、手榴弾の安全ピンが指輪に、ヘルメットが洗面器に、銃が木の棒に、そして彼ら村人が1番恐いのは戦争でもなければ人間でもない。畑を荒らすイノシシなのだ、、、そんな純真無垢な人々が暮らす村トンマッコルに迷い込んでしまった韓国軍2人、人民軍3人、連合軍1人の計6人の兵士たち。

トンマッコルという究極の第三者的空間に放り込まれた彼らの滑稽な姿が鮮やかすぎるほどにあぶり出されていく様は、はっきりいって痛快そのものだし、憎悪の対象者同士が次第に心を通わせていく過程は見ていて心地が良い。

平和な時でさえ仮想敵を作らなければならないような国家という名の下のイデオロギーを身にまとい、憎しみ合い争いつづけることのバカバカしさをこれほど愉快痛快に皮肉って描いた映画はそうはない。それぞれの軍服を脱ぎ捨て、トンマッコルの村の衣服を身にまとった彼らに武器は似合わない。

が、映画はここで終わらなかった。

普通ならここでハッピーエンドでもいいと思うのだが、そこは現在まで厳然として続く朝鮮半島の歴史のリアリズムに裏打ちされた韓国映画の成せるわざなのか、終盤に大きく現実ベクトルへ舵を切った。その点でいえば、この映画の結末には賛否分かれるかもしれない。

村の象徴ともいうべき少女ヨイルが撃ち殺され、トンマッコルを守るために武器をとってしまう、とらなければならない状況に追い込まれた6人の兵士たちは死地へと向かっていく。

結局、平和を守るために武器は必要なのだという結論とも解釈できるのだけど、ただ戦う相手が米軍というのがミソで、ここでもちゃっかりアイロニーを織り込んでいるのは巧いと思う。

う~~ん、、ファンタジーを描かせても韓国映画は凄かった。。

頑張れ日本映画(笑)!!

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(おまけ)

遠くの空に消えた

20070913225555 出演:神木隆之介、大後寿々花、ささの友間、小日向文世、鈴木砂羽、伊藤歩、チャン・チェン

監督・脚本:行定勲

(2007年・日本・144分)WOWOW

評価★★★/65点

内容:一面に麦畑が広がる田舎の馬酔村。都会から転校してきた楠木亮介は、転校早々クラスのガキ大将の公平に目をつけられるが、取っ組み合いのケンカをするうちに意気投合、たちまち親友になっていく。そんな2人は、父親をUFOにさらわれたと言う少女ヒハルと出会う。一方、亮介の父親は、村に持ち上がった空港建設計画の責任者として反空港運動を繰り広げる村人たちに強引な買収工作を仕掛けるが、それがかえって火に油を注ぐ結果となり・・・。

“ここにも居った20世紀少年。。。”

時代背景はおそらく浦沢直樹の漫画「20世紀少年」と同じく70年代くらいの日本だろうし、UFOと交信しようとするヒハル(大後寿々花)なんてサダキヨじゃん(笑)。ともだちマークみたいな旗も出てきよるし。

ま、それはさておき、オリジナル作品にこだわった姿勢は買いたいが、突拍子のないエピソードを別個に羅列していく構成からは本筋がなかなか見えてこず、少々とまどいながら見ざるをえなかった。

しかし、韓国映画の「トンマッコルへようこそ」に出てくる、ここではないどこかにある子供のように純粋な村を想起させるような雰囲気の空間を作り出すことには成功していたと思うし、観終わった後も映画を見たというよりはむしろ舞台劇を見た感覚に近いものを感じて、なんか不思議な感慨にひたれてしまう作品だった。

あえてストーリー性を無視して、夜空にきらめく星々のごとくエピソードを散りばめることで寓話的な要素を抽出しようとしたのかもしれないが、そういう観点から見れば一応やりたいことはやり切った映画にはなってるんじゃないかな。

まぁ、シナリオにもうちょっとメリハリがあったらもっと良かったんだろうけど、ビミョーなところだね。

そういえば、スチュワーデス役の女優さん、オイラ的にビンゴだったんだけど、どっかで見たような見てないような、、、名前が分からん。。誰か教せーて!

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