夢のシネマパラダイス558番シアター:韓流、運命の出会い
デイジー
出演:チョン・ジヒョン、チョン・ウソン、イ・ソンジェ、チョン・ホジン
監督:アンドリュー・ラウ
(2006年・韓国・125分)2006/06/16・MOVIX仙台
評価★★★★/80点
内容:オランダのアムステルダムで暮らす画家の卵、へヨンのもとにいつも届けられる差出人不明のデイジーの花。見知らぬ贈り主を白馬の王子様だと信じ込むへヨンだったが、ある日、広場で肖像画を描く彼女の前にジョンウという男が客として寄って来て、一目見た瞬間に、彼こそ探し続けてきた運命の相手だと確信する。しかし、実はジョンウはインターポールの刑事で、プロの殺し屋パクウィを追っていた。そして、パクウィこそ本当の贈り主だったのだが・・・。
“黒いチューリップがフツーに届けられてきそうな「猟奇的な彼女」だったチョン・ジヒョンが、清楚で可憐な花に生まれ変わったというインパクトだけで125分付き合う価値は十二分にある。”
舞台はオランダ、監督は「インファナル・アフェア」シリーズでお馴染みの香港のアンドリュー・ラウ、キャストは韓国、音楽は日本の梅林茂ということで、韓国映画の恋愛ものにありがちなコテコテ感が良い意味で薄められていたのは買いだった。
女1:男2の三角関係というのは、特に韓国ドラマ十八番の王道パターンだと思うのだけど、残酷な運命のすれ違いと暴力の悲劇という緊張感と、異国情緒あふれる穏やかな時間の流れという静謐さのバランスが、間を大切にした非常に丁寧なつくりの中で、全然無理なく自然に描き出されていて、韓国映画では考えられないほど色彩感覚豊かな繊細な味に仕上がっていたと思う。
脚本のクァク・ジェヨンは、「猟奇的な彼女」や「ラブストーリー」「僕の彼女を紹介します」を監督兼任で手がけており、ストーリーテリングの才は比類なきものがあるのだが、今回はシナリオのみに専念し、監督は外注するという形になっている。
韓国が舞台だったらそのままクァク・ジェヨンが監督も兼任してたのだろうけど、異国オランダが舞台ということでそういう形になったのかは分からないが、結果として今回、香港監督アンドリュー・ラウとのコラボレーションはものの見事にうまくハマッたといえるのではないだろうか。
なにより香港映画十八番のノワールテイストがうまくブレンドされたのがこの映画を味わい深いものにしていると思うし。
韓国十八番の甘ったるい王道ラブストーリーと香港十八番の香港ノワールがオランダ生地の中で見事に融合したというのは言いすぎだろうか。
とにかくオイラはすごく気に入ったな。
ラストの雨宿りのシーンが今も胸に残ります。
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私の頭の中の消しゴム
出演:チョン・ウソン、ソン・イェジン、ぺク・チョンハク、パク・サンギュ
監督・脚本:イ・ジェハン
(2004年・韓国・117分)DVD
評価★★★/65点
内容:建設会社の社長令嬢スジンは不倫の恋に破れて傷心していたが、そんなある日、コンビニでチョルスという男性と出会う。やがて2人は恋に落ち、結婚、甘い新婚生活にひたる。が、いつの頃からかスジンの物忘れが度を越したものとなっていき、病院で若年性アルツハイマーと診断されてしまい・・・。
“オイラの頭の中のソン・イェジン”
まるで吉永小百合を思い起こさせるような古典的な純愛メロドラマで、文法としてははっきりいってあざとくて古臭いとしか言いようがない。
が、これがソン・イェジンの手にかかると一転して新鮮に映えて大きな強みになるのだから恐れいる。
現在と35年前の2つの淡い初恋を1人2役で演じ分けた「ラブストーリー」(2003)でも、35年前の主人公の母親役で清楚な花のごとく鮮烈な印象を与えたことは記憶に新しいが、物語がオーソドックスかつクラシカルであればあるほど本領を発揮するのがソン・イェジンの特質なのだろう。
そして観終わった後に残るのは彼女の頬をつたう涙と、はにかんだ可憐な笑顔のみという、、、これほど女優冥利に尽きることもない。
でもオープニングのケバケバ姿にはド肝を抜かれて思わず前のめりにブッ倒れちゃうところだったけど、え゛っ?これってソン・イェジン・・・??てかんじで。
ストーリー展開としては、同じアルツハイマーを扱っている「半落ち」「明日の記憶」などテーマの重さが前面に押し出されている映画に比べると、今回の映画はソン・イェジンとチョン・ウソンの出会いと恋愛への過程を前半のほとんどを割いてことのほか丁寧に描いているのが特徴的で、その点でもまさに純愛路線まっしぐらという言葉がピッタリな展開。
しかし、その前半部分がやや淡白な気もしないでもなく、彼女が若年性アルツハイマーに侵されていく後半部分は見応えがあっただけに、前半もうちょっと押しが強くてもよかったかも。
ま、なんだかんだいって今回もソン・イェジンの魅力に牽引されて映画に見入ってしまい、彼女の穏やかな表情がくっきりと脳裏に焼きついてしまったけど、逆に言えばただそれだけという感も否めずこの点数。
あと、そいえばBGMでNHK朝ドラ「あすか」のテーマ曲が流れてたんだけど、あれはいったい・・・。
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私たちの幸せな時間(2006年・韓国・124分)WOWOW
監督:ソン・へソン
出演:カン・ドンウォン、イ・ナヨン、カン・シニル、ユン・ヨジョン、キム・ジヨン
内容:3度目の自殺を図って病院に運ばれた元歌手のユジョン。死刑囚との面会に赴き神の赦しを教える奉仕活動をしている修道女の叔母は、ユジョンを一緒に連れて行くことにする。そしてユジョンは、3人を殺した罪で死刑となった男・ユンスと出会い、毎週木曜日の10時から13時までの間、同じ時間を過ごすようになり、心を通わせていくのだが・・・。
評価★★★/60点
う~~ん、、もの凄い重いテーマを扱っているわりにはちょっと味が薄っすいかなぁ。。
良家の令嬢と親に捨てられたみなし子。この“天国と地獄”という対照的な構図の中で人生に対する絶望を共有するわけだけど、例えば時代背景とか社会のあり方みたいなものがもっと見えてくればよかったんだけど、そこまで掘り下げているようにも見えず。
となると、役者2人の演技によるところが大きくなってくると思うのだけども、これまた役不足な感が否めず。。
フツーに見られるのはたしかだけど、そこにプラスアルファされるものがほとんどなかったかな、と。韓国映画にしては意外に薄味だったような、、、もっと辛味を加えてもらいたかったな。
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ピアノを弾く大統領(2002年・韓国・93分)WOWOW
監督・脚本:チョン・マンベ
出演:チェ・ジウ、アン・ソンギ、イム・スジョン
内容:女子高の女性教師ウンスは、問題児ヨンヒの目に余る態度を注意しようと、彼女の保護者宅に電話をする。が、どこでどう間違ったのか、電話は大統領の執務室につながってしまうのだが・・・。
評価★★★/60点
優香と志村けんのバカ殿様コントをマジ~メにやればこうなるってかんじ!?おいおい。。
まぁ、無難な映画で、肩の力を抜いて見られるラブコメ作品ではあるのだけど、韓国映画でこういうのを見せられるとちょっと肩透かしをくらっちゃうかなぁ。。
あるいはもっと権力や権威に対するシニカルな面を強調して描いてくれれば味わいも違ったんだろうけど、まぁ、チェ・ジウの映画にそこまで求めちゃうというのは畑違いか、ウン。。
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