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2008年11月25日 (火)

夢のシネマパラダイス350番シアター:善き人のためのソナタ

10180 出演:ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲデック、セバスチャン・コッホ、ウルリッヒ・トゥクール

監督・脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク

(2006年・ドイツ・138分)2007/06/18・盛岡フォーラム

評価★★★☆/70点

内容:1984年。東ドイツでは、反国家的・反社会主義的な動きを許さないため、国民の全てを監視する体制を作り上げた。そんなある日、国家保安省(シュタージ)のエリート局員ヴィースラー大尉は、世界的に高名な劇作家ドライマンとその同棲相手の舞台女優クリスタを監視し、反体制の証拠をつかむよう命じられる。さっそくドライマンのアパートに盗聴器を仕掛け、徹底した監視を開始するヴィースラー。しかし、芸術を語り合い、深く愛し合う彼らの世界にヴィースラーは知らず知らずのうちに共鳴していくのだった・・・。

“邦題からイメージしていたのとはだいぶ異なる印象”

わずか20年ちょい前の話ということにまずは驚くが、いやちょっと待てよ。盗聴先進国アメリカに比べたらこんなのお子ちゃまレベルかもしれないな。

というのはさておき、東ドイツというとオイラがイメージするのは浦沢直樹のマンガ。例えば「MONSTER」に出てくる、子供の人格を改造する悪魔の実験場511キンダーハイムや、「MASTERキートン」に出てくる東ドイツの抵抗運動に身を投じた老貴婦人の「この国は間違った方向に向かっている。」という言葉などが思い出され、統制国家の恐怖政治という負のイメージを抱いてしまう。

その中枢ともいうべき機関であり、反体制分子を監視し粛清するシュタージの忠実な執行人ヴィースラーが主人公の今回の映画では、抱いたイメージに違わぬ陰鬱な重い雰囲気に支配された東ドイツ社会が描写されている。

そしてそれを象徴するような冷徹なキャラクター、ヴィースラーもまんま浦沢直樹のマンガに登場してくるようなかんじ。

その中で例えばドライマンとクリスタの激しい愛の交わりをヘッドホンで聴いた後、自宅に小デブwの娼婦を呼んで無味乾燥な肉欲にふけるキモさなど、ドライマンとは対照的な無機質な人間性が浮き彫りになっていたのも印象的だったが、本人の意志とは関係なく人間一個人として生きる歓びを次第に取り戻していってしまうという、まるで人間本来持っている本能のようなものが目覚めてしまうヴィースラーの変調が描かれていくのは面白かった。

とはいえ、その変調をきたす要因となった肝心の曲“善き人のためのソナタ♪”がかなり抽象的な旋律だったのはちょっと説得力に欠けたかなと。

しかしなんといっても、それを補ってあまりある説得力をもたらし、映画たらしめたといえる価値ある存在感を出したのがドライマンの恋人クリスタだろう。

はっきりいって「マレーナ」(2000)のモニカ・ベルッチよりもエロエロ感漂うフェロモンをスクリーン内にまき散らしていて、それはもう後ろからむしゃぶりつきたいようなかんじだったんだけど、そりゃ鉄の精神を持ったヴィースラーも折れるわなぁ(笑)。

なんか“善き人のためのソナタ”というよりは“クリスタの24Hナマ映像ネット無料公開”に矢も盾もたまらなくなる孤独な中年親父といったところが本質なのではなかろうか。それくらいクリスタという女性の存在は映画にとってもそしてヴィースラーにとっても大きかった。

原題はそのものずばり「他人の生活」だしね、他人の生活をのぞく快楽や欲望が嫉妬や同情・共感というような人間的感情を取り戻す入口になったとするならば、原題の方がこの映画を言い得て妙だろう。邦題からすると、なんかノスタルジックなかんじをイメージしてたのだけど。

でも、芸術や自由な表現をも抹消・抹殺しようとしたシュタージが、20年後に映画という芸術作品になり、その中で語られるのだから、「グッバイ、レーニン!」(2003)なんかもそうだけど、やはり映画の力、芸術の力というのはホントにスゴイんだなというのは実感したね。

よーし、これからもいろいろな映画を観ていくぞーっ、、、てこんなオチでええのんか・・・。

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