夢のシネマパラダイス549番シアター:鉄道員&自転車泥棒
鉄道員
出演:ピエトロ・ジェルミ、エドアルド・ネヴォラ、ルイザ・デラ・ノーチェ
監督:ピエトロ・ジェルミ
(1956年・イタリア・115分)NHK-BS
評価★★★★/80点
内容:50歳になる鉄道機関士アンドレアは、末っ子サンドロから英雄のように思われているが、長女や長男にとっては頑固親父でしかなかった。そんなある日、アンドレアは、衝突事故を起こしかけ、格下げになってしまう。しかし、彼の鉄道に対する想いは誰よりも強かった。その気持ちを長女と長男も察し、父親に尊敬のまなざしを向けるのだった・・・。
“イタリア版ひとつ屋根の下”
「ニュー・シネマ・パラダイス」や「ライフ・イズ・ビューティフル」はたまた「自転車泥棒」など心にいつまでも残る名子役を輩出するイタリア映画のこれは伝統なのか、いたいけな子供をダシにして周りの世界を瑞々しく詩情豊かに描く手法は昔から連綿として継承されている。
この映画のサンドロ少年も記憶に残る名子役といっていいだろう。だって、このサンドロがいなかったら、この家族って絶対崩壊してまっせ(笑)。
酒(ワイン)とギターをこよなく愛する頑固一徹親父はサンドロにとっては憧れのヒーローだし、その父親に反発しゴロツキ連中と関わりを持ってしまう長男と、親父の知らぬ間に妊娠してしまう長女はサンドロをいたく可愛がっているし、良い意味でサンドロ少年が家族の緩衝材としての役割を担っている。
最初のクリスマスの夜、長女ジュリアの流産という不幸から幕を開けた家族劇は、家族に降りかかる様々な問題から崩壊していく絆が1年後のクリスマスイヴの夜に父親マルコッチの安らかな眠りとともに平安を取り戻すに至るという、なんとも哀切きわまりない物語となっている。
しかし、ラスト、マルコッチがいなくなった一家のある朝、父親の遺志を継いで鉄道員になった長男マルチェロはしっかり出勤していき、サンドロもしっかりと前を向いて学校へ登校していく。
家族愛に包まれながら成長した彼らの人生が確固としてこれからも続いていくのだろう。
哀愁を誘う音楽がまたいい。
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自転車泥棒
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
(1948年・イタリア・88分)NHK-BS
内容:戦後間もないローマ。長い失業の後、ようやくポスター貼りの仕事を得たアントニオは、仕事に必要な自転車を盗まれてしまう。彼は息子とともに自転車を捜すが、犯人らしき男を見つけても自転車は取り戻せなかった。思いあまったアントニオは自転車を盗もうとし、捕らえられてしまう・・・。イタリアン・ネオ・リアリズムの代表作といわれており、アカデミー特別賞などを受賞。ちなみに泥棒役の役者以外は大半が演技素人の一般人である。
評価★★★☆/70点
泣けない笑えない怒れない弾めない情けない、、、映画としてはつまらない。
しかし息子の目線や、親父の悲哀や苦悩と絆などのエピソードに対する細やかな目配りが、さりげない。
ようするに、上手い。映画として、上手い。
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