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2008年10月12日 (日)

夢のシネマパラダイス526番シアター:SAYURI

Sayuri 出演:チャン・ツィイー、渡辺謙、ミシェル・ヨー、役所広司、桃井かおり、工藤夕貴、コン・リー

監督:ロブ・マーシャル

(2005年・アメリカ・146分)2005/12/22・盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

内容:昭和初期。貧しい漁村に生まれ、9歳で祇園の花街の置屋に売られ女中として働く少女・千代(大後寿々花)。花街一の売れっ子芸者、初桃(コン・リー)の猛烈ないじめに希望を見失いかけていた千代は、ある日、会長さんと呼ばれる立派な紳士(渡辺謙)に声をかけられる。この一瞬の出会いが千代に希望をもたらし、以来、芸者になって会長さんにもう一度会いたいと夢見る千代は、花形芸者・豆葉(ミシェル・ヨー)の後ろ盾のもと、さゆり(チャン・ツィイー)として芸者の道を歩み始める。。

“総工費8500万ドルのカリフォルニア産オリエンタルミュージアムに入館料1800円払って恐る恐る足を踏み入れたオイラは、しかしその魅力的な夢のような世界観に思わず酔いしれてしまった。”

日本が生んだ世界に誇る最強の日本食、それはお寿司であろう。

いきなり何の話かって、いやいや、いまや欧米を中心に世界各地で食されているお寿司、もちろん、アメリカでも寿司は大人気でどの都市にも必ずといっていいほど寿司屋がある。しかし、日本人の口に合う寿司を出してくれるお店を探すのはホントに難しいのだ。

しっかり事前に下調べをしておかないと、偶然通ったところにある店にパッと入ったもんにゃ、とんでもない目にあうことは必至(笑)。そして、アメリカ人の握ったSUSHIというのはやはり日本人の握った寿司とは味も形もどこか似て非なるものなんだよね。

もともとアメリカでは生の魚も海苔などの海藻類も食べる文化ではないそうだけど、そんな中でアメリカ人寄りに様々に形を変え進化して欧米文化のフィルターを通した“SUSHI”という新たな文化となって定着してきているのだと思う。

映画とは関係のない話が長くなっちゃったけど、要は何が言いたいのかというと、西洋人が日本を含めた東洋世界を創造し表現すること、あるいはその逆もまたしかりだけど、100%完璧に相手の文化の色に染まって表現できるなど土台無理があると思うのだ。やはりどこか奇異なところは出てきてしまうものだし、それは仕方のないことだと思う。

例えば、日本人が西部劇を日本で撮ったとしても、あるいは18世紀ヨーロッパを日本で撮ったとしても同じことだと思う。

もちろん一定以上の基礎と土台と、そのための勉強と努力は必要だと思うけど、それよりも重要なのはそこで何を創造し作り出すことができるのか、ということだと思う。

そういう意味では、アメリカ人が日本を舞台にした映画をつくるというのは、オイラとしてはそのチャレンジ精神も含めてとても嬉しく思ってしまう。

ポップコーンとボリュームと濃い味好きのあちらの人々から見れば、侘びや寂びの境地などまるで正反対で神秘的に映るであろう異文化を、はたしてどれほどの器量で創造し表現してくれるのかワクワクしてしまうのだ。もちろん、どこか恐いもの見たさもあるが。。

とうことで、ようやく本作なんだけど、、、

正直、かなり驚いた。フジ系のお正月のかくし芸大会でやる外国語劇レベルか、はたまた寿司でいえば、カリフォルニアロールとかクリームチーズロールみたいなバリバリ創作料理を頭に思い描いていたのだけど、オイラが甘かった。

コイツら本気だ。本気で勉強して努力している。それがありありと伝わってくる。

もちろん100%完璧なホンモノの日本というにはどこか日本以外の、まるでウォン・カーワイ的なオリエンタルムード漂う奇異なところもあるにはあったが、オイラは純粋にこの映画で描かれた世界を歩いてみたくなった。それほどこの映画の世界観に魅かれてしまった。

ストーリーはアメリカ人にも通用するような雑魚レベル、しかし花街の街並みや家屋、衣装、調度品や雨降りのときの湿気感に至るまで1コマ1コマが見事なまでの美的感覚の質で創造され、アメリカならではのボリューム感も日本的な繊細さとうまく融合していて魅力ある雰囲気の画になっていたと思う。

ここまで作り込まれているとは予想外だった。。

また、どうしても欧米文化のフィルターを通した視点で表現されてしまう完全アウェイでの闘いで大奮闘した大後寿々花、コン・リー、チャン・ツィイーをはじめとするアジアの錚々たる役者陣、J・ウィリアムスの音楽、撮影の冴えなど演出面の水準も相当に高い。

そしてそれらが1つの独特な世界観と様式美を表出し、雑魚レベルのお話を支えているのだ。

オイラが甘いのかもしれないけど、1本の映画としては十分すぎるほどの出来だと思う。

日本を舞台にした映画としてもこれは十分ありなのではなかろうか。相撲をあれだけちゃんと描ける映画ってそうざらにはないと思うし。なんてったって第30代木村庄之介本人まで出てくるんだから。

唯一、“パンプキン”くらいかな、赤点だったのは。

とにかく、どっぷり浸かるとともにあっという間に過ぎていった有意義な2時間半だった。

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