20世紀少年再読⑯
第16巻どぇす。新ともだち=カツマタ君がヴァーチャルアトラクション(VA)で記憶をインストールするが、そのほとんどがどっからどう見てもフクベエ視点となっている。
ただ、この第16巻まで再読してあるひとつのことに気付いた。
それはフクベエの小学生時代の姿が、ヴァーチャルアトラクション(VA)内でしか出てきていないこと。第3巻・同窓会でのフクベエ(個人的推理ではこの人物はカツマタ君だと思う)の回想(サダキヨと出会うシーン)では後ろ姿のみ。第10巻・同じシーンのサダキヨの回想でもそう。第8巻VA内・首吊り坂の屋敷で初めて真正面の顔が出てきて、第14巻VA内・理科室お化け事件で、ドンキーに初名指しされてこの顔をした少年が初めてフクベエだと分かる。そして、この第16巻もVA内。何かがあるとしか思えないのだが・・・。
自分の推理だと、のっぺらぼう=カツマタ君だと思うので、フクベエ視点とカツマタ君視点が混在していると考えられるのだが、、、あくまで推理の域を出ない。。
ただ、突っ込んで大胆な推理をすれば、この少年フクベエはフクベエ本人の顔だが、中身はカツマタ君なのかもしれない。フクベエの顔を借りたカツマタ君・・。それが混在の理由。
以下VA内の世界・・・
1969年。
フクベエはケンヂ、マルオ、ヨシツネ、オッチョらと同じ4年3組。漫画を読みに家に遊びに来たケンヂたちが、よげんの書や秘密基地について話しているのを聞く。
こっそり秘密基地へ忍び込むフクベエは、そこに同じくこっそりやって来たナショナルキッドのお面をつけたサダキヨと出会う。
サダキヨ「友達になってくれる・・・?」
フクベエ「いいよ。ただし、二度と僕の名前を呼ぶな。僕はフクベエでもなければハットリでもない。僕はただの“ともだち”だ(=カツマタ君?)。」
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<注>このシーンは、第10巻でのサダキヨの回想と全く同じシーン。、、のはずなのだが、10巻ではサダキヨが小5で転校してきた時、つまり1970年の記憶として描かれているのに対し、今回のシーンは1969年となっていて、どう考えてもこれは矛盾している。
もし、1969年に2人が出合っていたのであれば、サダキヨが転校してくる前に2人はすでに知り合いだったことになる・・。いや、このシーンで名前をすでに知っていたということはそれより前から顔見知りだったことになるのだが・・。
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フクベエが文集に書いた大阪万博のことに飛びついたケンヂ。その話がクラスに広がり、万博の話で持ちきりになる。してやったりのフクベエ。
1970年。
大阪万博。
夏休みの間中、ずっと大阪の親戚の家から万博に通っているというウソをつき通すため、サダキヨからお面を借りることにするフクベエ。
その際フクベエはサダキヨにこんなことを言う。
「隣の学校でイジメにあって、今学期に僕らの学校に転校してきて、それでもやっぱりイジメられてるような気持ち悪い奴なんだ、お前は。僕はそんなお前と一緒にいてやってるんだぞ。“ともだち”と呼んでもいいって言ったけど、まだ友達なんかじゃないからな。僕がこの夏休み、東京にいることを隠し通すことができたら、本当の友達って認めてやるよ。」
このお面を貸した後、コマ割り・場面が繋がっているようでいて、実は繋がっていないのでは!?
ナショナルキッドのお面を借りたフクベエと思われる少年は、お面をつけて漫画を買いに行く。が、その途中で隣校の生徒にサダキヨと思われてボコボコにされてしまう。
そして、暑すぎてお面をとった少年(服はフクベエの)がガラス戸を見ると顔がのっぺらぼうになっている。。→やはりカツマタ君か?
8月11日。家の部屋の鏡の前にナショナルキッドのお面をつけた少年。
お面を外して、「顔、、あるよな。君は、誰?サダキヨ?くく、、違うよ。君は、、カツマタ君?くくく、違うよ。じゃあ、君は誰?君は誰だ?」と呟く。→これはつまり自分がカツマタなのかフクベエなのか混在してしまって自分でも分からないということを示しているのでは。
、、とハットリくーーん!と外で呼ぶ声が。「ま、まさか、、ケンヂ!?」
が、サダキヨだった。しかも怪我をしている。どうやら隣校の生徒にカツアゲされたらしい。
退屈を持て余すフクベエは、何か面白いことはないのかとサダキヨに言う。すると、サダキヨは、首吊り坂のお化け屋敷に幽霊が出るらしいことを告げ、2人で行くことに。フクベエはお面をかぶって行く。
フクベエ「幽霊なんていやしないさ。人間は死んだら、誰でもなくなるんだ。」
屋敷に忍び込んだフクベエは妙案を思いつく。シーツを持ってきて、顔のないテルテル坊主を作ってお化け代わりにしようというのだ。
夜、2人が張り込んでいる屋敷に若いカップルが忍び込んできて、のっぺらぼうを見たと言って逃げていく。(が、これはテルテル坊主を見て驚いたのではなく、その前の廊下にある鏡に映った自分を見て驚いた。)
廊下の鏡に映ったフクベエの顔がのっぺらぼうになっている。ということはこれもカツマタ君??
8月28日。ケンヂがフクベエの家にやって来る。大阪の万博に行っていることになっているフクベエは居留守を使う。どうやら、ケンヂたちは首吊り坂の屋敷の幽霊を夜中12時(8月29日)に見に行くらしい。
フクベエ“ケンヂが、僕の作ったあれを見てビックリするところを見たい!”
決心したフクベエは、ナショナルキッドのお面を付けて(サダキヨと思われるから大丈夫と考え)先回りして屋敷に行こうとするが、途中でケンヂと出くわしてしまう。
ケンヂ「お前、お面なんか取れよ。」
フクベエ「あ、ああ、、、あの、僕、さっき、万博から帰ってきたんだ・・。」
が、誰も(フクベエを含めて8人)気にかける様子がない。
フクベエ“誰も気にかけてない、、、夏休みの間中、万博に行ってる僕がここにいるのに、誰も、、、僕がここにいるのに・・・”
屋敷に忍び込むケンヂたち。
が、しかし、ただのバカでかいテルテル坊主に一同爆笑!
フクベエ、愕然、、失敗だ。失敗だ。失敗だ・・。
皆帰っていく中、何かがスーッと横切るのを見たケンヂとオッチョが階段を昇っていく。
フクベエ“サダキヨが見つかってしまう、、、あいつが全部しゃべっちまう!!”
サダキヨを見つけたフクベエは、「いいかサダキヨ、これはお前が全部一人でやったことだからな。お前のせいだからな!これかぶって僕一人でやりましたって言うんだ。おまえ、なんでこんなことしたんだって聞かれたら、うるさいな、なんだっていいだろって答えるんだ。それ以外一言も言うな!いいか、このことは絶対にしゃべるなよ。もししゃべったらもう友達じゃないからな。もししゃべったら、殺すぞ。」と一方的に言う。
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このシーンは第8巻で、小泉響子がヴァーチャルアトラクションで聞いているがその時の会話とは微妙なズレがある。
その時は、サダキヨらしき少年が「おまえ、なんでこんなことしたんだよ。」と言っている。
それに対しフクベエらしき少年が「うるさいな、なんだっていいだろ。」と答えている。あとはほぼ同じ。
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、、と戻ってきたヨシツネが階段下にいる。すると、2階の奥から一目散に駆け下りてくるケンヂとオッチョ「出たあ!本物の幽霊を見たー!!」
その隙にフクベエとサダキヨも逃げるが、全員いなくなったのを見計らってまた戻る。
2階の奥へ進む。そこには鏡が。。
と、サダキヨが鏡の前に立っているフクベエを見て、のっぺらぼうだぁーっと叫びだして、逃げて行く。鏡の前に立つフクベエは「君は、、誰・・?」と呟く。→これも上記と同様に、自分がカツマタかフクベエか分からないということ。
2学期の始業式。サダキヨがフクベエに何も言わずに転校している・・。
そして、万博の話で盛り上がることを期待していたフクベエだったが、首吊り坂の屋敷で幽霊を見たというケンヂやオッチョの話で盛り上がり、誰もフクベエに万博の話を聞きにくる人はいない。。
秋、、、。
いかさま露天商をしている万丈目と話をしている山根。
山根「ひ、久しぶりだね“ともだち”、、、あの、、もう“絶交”解いてくれるかな、、」
フクベエ「それよりさ、山根くん。このおじさんが悪い奴で、ビールスを運ぶセールスマンだったら・・・」
山根「面白いよそれ。やっぱり“ともだち”が一番だよ。」
フクベエ「でも山根君、きみはおしゃべりすぎるからな。僕らの秘密を平気でオッチョにしゃべったりするから(しんよげんの書のことか)。僕がやること信じないしさ。手品とか言うしさ。」
そして、万丈目の売り物のスプーンを曲げてしまうフクベエ。
1971年、、、
理科室でしんよげんの書のビールスについて話し込んでいるフクベエと山根。
フクベエ「僕の予言は当たるから、山根くんが頑張らないと人類は滅亡するよ。」
山根「僕、大学院でビールスの研究するよ。すごいよ。僕たち、本当に人類を救うんだ。」
フクベエ「僕は普通じゃないのかな。」
山根「普通じゃないよ。人間以上だよ。君のクラスで給食のスプーンが全部曲がっちゃっただろ。」→この会話と次に続くシーンから、給食のスプーン曲げ事件は1971年の春先に起こったと推測される。
、、と理科室にナショナルキッドの少年(カツマタ君か?)が入ってくる。
山根「サダキヨ・・・?」
フクベエ「転校先でもやっぱりイジメられたのか?もう一回仲間に入る?“ともだち”は僕しかいないんだ。」
桜咲く春。
しんよげんの書にある“彼は一度死んで蘇えるだろう”とある奇蹟を今度の夏休みの最後の日に見せると言うフクベエ。
夏休み、最後の日(8月31日)、、、。
理科室に入ってきたドンキーが窓から飛び降りて逃げていった後、、、首吊りのトリックの仕掛けが外れてしまう。
し、、死ぬ、、、。
ドンキー殺害や、ピエール一文字殺害、赤ん坊のカンナを抱き上げるシーンなどがオーバーラップする。
と、そこに「おまえがこんな風に死ぬとは思わなかったよ。」とケンヂらしきシルエットが言うイメージ(これは21世紀少年上巻でともだち=カツマタ君が死ぬ場面でケンヂが言うシーン)が現れ、ハッとヴァーチャルアトラクションから目覚める“ともだち”世界大統領ことカツマタ君。
「すべて過去の記憶のはずだ、、。それなら、あれはなんだ?最後に出てきたあのイメージは・・・。」
現在、ともだち暦3年、、、。
壁によって隔離された東京の街の中は昭和3,40年代のノスタルジー漂う街並みの世界になっている。
そこに暮らすサナエ、カツオの姉弟。彼らの家の物置に、2年以上本州一帯を歩き回っていたオッチョが隠れていて、彼らがかくまってあげる。
サナエによると、反ともだち組織は、ゲンジ一派(ヨシツネ)と、冷酷な氷の女王(カンナ)が率いる一派があるらしい。
深夜、テレビ放送が終わって砂嵐画面になるが、テレビを消そうとしたら女性の声で「8・20・午前0時武装蜂起せよ」という声がかすかに聞こえてくる。
翌日テレビが故障していて、リヤカーにテレビとオッチョを入れて淀橋テレビセンターに修理しに行くことに。オッチョは新宿の歌舞伎町教会に行くのだという。
センターに行くと、ともだち親衛隊が張り込んでいて、夜中、テレビ放送終了後に何か聞いたかと執拗に尋ねてくる。
と、リヤカーのテレビがいきなり燃え出して、その隙にオッチョが2人を連れて逃げる。
どうやら放送終了後テレビが受信状態のままだと、故障するようになっているらしい。
途中で、ボウリング(ガッツボウル)を見つけて中に入ると、そこには神様が。
神様「ともだちは、オモチャ箱をしまおうとしている。地球ごと・・・」
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