夢のシネマパラダイス455番シアター:男はつらいよ第3章/寅さん純愛慕情(8)~(19)
第8作・男はつらいよ 寅次郎恋歌
出演:渥美清、倍賞千恵子、池内淳子、志村喬、中沢祐喜、穂積隆信
公開:1971年12月/観客動員:148万人
舞台:岡山県備中高梁
内容:博の母親が死去し、お葬式の際に博の父である老哲学者から「一家の団欒こそ真の幸福である」と諭された寅さん。柴又帝釈天前に開店した喫茶店の未亡人ママ・貴子に入れ込んだ寅さんは、真剣に幸福な家庭を築くことを夢見て、彼女の息子の自閉症を治してやるまでに奮闘するが・・・。
評価★★★★/80点
“超強力ハリケーン寅ネード本州横断!!”
寅さん映画の中でも群を抜いてトゲトゲしい寅さんが今回は大いに暴れまくる。
また、受難の連続で悲痛の表情を浮かべっぱなしの妹さくらを見て、これほどいたたまれない気持ちになったこともない。
そして志村喬の「バーーッ」伝説は必見!
今回のMVPは、髪をふり乱しながら寅さんに最後の咆哮を挑み続けた、おいちゃんこと森川信に決定!
2時間という長さを微塵も感じさせない喜怒哀楽に富んだ至福の一品。
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第9作・男はつらいよ 柴又慕情
マドンナ:吉永小百合
出演:渥美清、倍賞千恵子、吉永小百合、宮口精二、松村達雄
公開:1972年8月/観客動員:189万人
舞台:石川県金沢
内容:“寅さんの憧れの人”ファン投票で1位になった吉永小百合をマドンナに迎えた作品。この年死去した森川信に代わり、松村達雄がおいちゃん役でレギュラー陣に参加。北陸を旅する寅さんは、そこで出会った娘・歌子に思いを寄せる。小説家の父親とその愛人との板ばさみで悩みながらも、ひたむきに幸せを求めようとする歌子を、寅さんはトンチンカンな言動で見守っていく・・・。
評価★★★/65点
“吉永小百合歓迎パーティー”
下ネタ大乱舞にとらや全員笑い死に。
そして御前様のネタをさも自分のネタであるかのように使いまくる寅。あげくの果てに悪徳不動産に<とらや>接収!?
今回のMVPは、土手を歩く後ろ姿がなんともいえない味を醸し出している歌子の父、宮口精二に決定。
映画自体は、なんか吉永小百合を物語の中でどう転ばしていくかについて持て余しちゃってるようなかんじで、イマイチ盛り上がりに欠ける。
歌子がとらやに遊びに来たけど、いざ皆で席に着いたら会話が続かないあの雰囲気そのままみたいな。
吉永小百合マドンナ参戦に対する映画スタッフ一同のおもてなしで終わっちゃったような気がする。だから再び「寅次郎恋やつれ」でマドンナに起用したのかなぁ。
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第10作・男はつらいよ 寅次郎夢枕
出演:渥美清、倍賞千恵子、八千草薫、米倉斉加年、田中絹代
公開:1972年12月/観客動員:211万人
舞台:山梨県甲府、長野県奈良井
内容:死んだテキヤ仲間の墓参りをして柴又へ戻った寅さんだったが、自分の部屋は大学教授に間借りされていた。むくれた寅さんの前に幼なじみで美しくなった千代が現れ、淡い恋心を抱くが、大学教授も秘かに好意を抱いており・・・。
評価★★★★/80点
“今回は頭が冴え渡る寅さん、たったひとつを除けば、、、冗談じゃないよ~~とこっちがヘタリ込みたくもなってしまう罪作りな一品。”
デカラッキョ&チビラッキョにニセ寅出現と思いきや、寅さん映画でなななんとマクスウェル理論!?どうなる<とらや>!!
そして、関東一円でその名を轟かすマカオの寅VSタバコが主食の東大理学部インテリ助教授のナンセンス対決の火蓋が切って落とされる。
今回のMVPは、問答無用にこの作品を名作にまで高めてしまったお千代坊に決定。
亀戸天神でのお千代さんの寅さんへの逆プロポーズシーン。
寅さんに冗談にゃにゃいよ~~と片付けられたお千代さんがひとり遠ざかっていく時に2回寅さんの方を振り返ってるわけなのよアータ!!寅さんに「ちょっと待ったぁ」と呼び止めてもらいたかったに決まっとるやんけワレー!寅のバカーー
消化不良、、、でも、ゆえに心に残ってしまう作品なのでした。。。
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第11作・男はつらいよ 寅次郎忘れな草
出演:渥美清、倍賞千恵子、浅丘ルリ子、織本順吉、江戸屋小猫
公開:1973年8月/観客動員:239万人
舞台:北海道網走、釧路
内容:柴又に帰ってきた寅さんは、悪気はないのに法事の席をめちゃめちゃにして、とらやの面々と大喧嘩のあげく放浪の旅に出た。北海道へやって来た寅さんは、網走の街で安キャバレーを回っている歌手のリリーと知り合ってすっかり意気投合。やがて柴又に帰った寅さんを訪ねてリリーが突然とらやにやって来て・・・。歴代マドンナの中でも最高の人気を誇るリリーが初めて登場。その後、第15作「寅次郎相合い傘」、第25作「寅次郎ハイビスカスの花」、シリーズ最終作「寅次郎紅の花」と4度にわたって登場している。
評価★★★★★/100点
“「また来ちゃった」ととらやを訪れるリリーとそれを迎える寅さん。ああ、やっぱりこの2人が1番お似合いなんだよ。”
ご先祖様の仏壇を前にしてバカ騒ぎを繰り広げる寅さんをお天道さまはちゃんと見ていた!バチ当たりの寅、ついに過労死か!?
そして衝撃の事実が判明!なんと寅さん職安に行く&満男の初キスはリリーだった!
今回のMVPは、とらやの手にも負えない激しい気性でさすがの寅さんもタジタジの松岡清子ことリリーに決定!
花言葉「純愛」を身にまとった孤独な渡り鳥リリーと天下一の放浪人寅さんの運命の絆の扉が今開かれる。
忘れな草、、花言葉は「真実の愛」。
さくらもこんなこと言ってたっけ、、
「カラーテレビもステレオも持ってないけど、お兄ちゃんはお金で買えない素晴らしいもの持ってる。人を愛する気持ちよ。」
P.S.歌手をやめて堅気になったリリーの結婚相手が寅さんのように顔が四角くて似ている毒蝮三太夫なのは笑えるw
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第12作・男はつらいよ 私の寅さん
出演:渥美清、倍賞千恵子、岸恵子、前田武彦、津川雅彦
公開:1973年12月/観客動員:241万人
舞台:熊本県
内容:柴又に帰った寅さんはある日、小学校時代の友だち・柳文彦と再会。彼の家で妹で独身の美しい女流画家・りつ子と出会うが、のっけから大喧嘩になってしまう。しかし、病気になったりつ子の看病に訪れるうちに彼女のことが好きになってしまった寅さんは、ゲージュツを鑑賞しようと足しげくアトリエに通うようになるのだが・・・。
評価★★★★/80点
“ミッション・インポッシブルin寅さん”
酒の飲みすぎであまりの茹で上がり具合に恐れおののいた茹でダコ社長、勢いあまって入水自殺か!?
一方、恋の重病にかかった寅さん改め熊さんがついに強行手段に打って出る!ななんと虫捕りの網で女を次々に捕獲!?
そして、さくらに魔の手が忍び寄る・・・。
今回のMVPは、この作品の中で最も心に残るせつないシーンで流れる「別れの曲」を作曲したショパンに決定!!
男はつらいよシリーズ史上最大の作戦、その作戦名は、、“お留守番”。寅さんの新たな一面が露わになる貴重な一品をとくとご堪能あれ。
「君の名は」で待つことにかけては右に出る者がいない岸恵子をマドンナに配しているのもなにか意味深なかんじがして面白い。
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第13作・男はつらいよ 寅次郎恋やつれ
マドンナ:吉永小百合
出演:渥美清、倍賞千恵子、吉永小百合、高田敏江、宮口精二、泉洋子
公開:1974年8月/観客動員:194万人
舞台:島根県
内容:寅さんは夫に蒸発されて苦しむ女性を助けたりで忙しい日々を送っていた。そんなある日、山陰の津和野で以前、片想いの相手だった歌子と再会。夫に死別した彼女の力になり、偏屈な父親との和解を仲介することに・・・。吉永小百合が「柴又慕情」に続いて登場。
評価★★★☆/70点
“恋やつれと命名しておきながら実は恋愛話がメインじゃないというのはいったい・・。”
ホレたハレたの年じゃない寅さん、世紀の重大発表に柴又大激震!!しかし結婚前の大事な体に傷をつけられた寅さん大暴走で<とらや>文字通り血の海に・・。
そして2年ぶりの再会をはたした歌子のやつれ顔を見て寅さん危篤状態に、、さらになぜかその責任をとらされて博も切腹!!
どうなる!とらや!?
今回のMVPは、未亡人という言葉に異常な反応を見せたと思いきや、歌子と父親の和解シーンでは大泣きしたりと、最後の意地を見せた松村達雄おいちゃんに決定!
歌子の孤独を和らげ、彼女の進むべき道にポッと明かりを灯して背中を押してやる、そんな寅さんの無償の愛を堪能できる大人な一品。
歌子・吉永小百合の黒子に徹した寅さんもそれはそれで一興か。
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第14作・男はつらいよ 寅次郎子守唄
マドンナ:十朱幸代
出演:渥美清、倍賞千恵子、十朱幸代、上條恒彦、春川ますみ、月亭八方
公開:1974年12月/観客動員:226万人
舞台:佐賀県唐津、群馬県磯部温泉
内容:旅先で見知らぬ男に赤ん坊を押し付けられ、背中におぶってなんとか帰京した寅さん。結局赤ん坊はとらや一家が育てることになるが、ある日、高熱を出した赤ん坊を連れて行った病院で美しく親切な看護婦・京子と出会って一目惚れ。彼女が参加している合唱サークルへ乗り込んでいって大騒動になってしまう・・・。
評価★★★★/80点
“寅さんの辞書に新たな文字が加わった。”
それは「貯金」と「キューピッド」だぁっ!
今回は衝撃づくし。
大黒柱の寅、なななんと貯金を始める!そして柴又を震撼させるさらなる衝撃が!!!
今回のMVPは、男は顔じゃないことを証明し、シリーズの中でも屈指の名シーンに数えられるであろう告白を見せた髭男爵・上條恒彦こと大川弥太郎に決定。
ドタバタあり笑いあり涙あり歌あり絆あり哀愁あり温もりあり、そして愛があり、ようするに味わいのある濃厚な一品。見なきゃ損損。
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第15作・男はつらいよ 寅次郎相合い傘
出演:渥美清、倍賞千恵子、浅丘ルリ子、船越英二、岩崎加根子
公開:1975年8月/観客動員:200万人
舞台:北海道
内容:うだつの上がらない蒸発男・兵頭と旅をしていた寅さんは、北国の田舎町でキャバレー歌手のリリーとばったり再会。彼女は夫と離婚して、またドサ回りをしていた。ケンカと仲直りを繰り返す2人は結局柴又へ戻り、とらやの面々は2人の結婚を画策するのだが・・・。
評価★★★★★/95点
“波打ち際で寅さん、リリー、パパ(兵頭)が夕日に優しく包まれる場面をはじめとして名場面を挙げ出したらきりがない「青少年に及ぼす影響も大きい」(by御前様)傑作。”
オープニングは上條恒彦&米倉斉加年も出てくるオールスターキャストで送るパイレーツ・オブ・タイガーン!なんとエリザベス女王も友情出演!?
一方、とらやではメロン戦争勃発!冷え症のリリー最強本音爆弾投下により、チェリー連合軍の圧勝、海賊タイガー無残に敗走す。
今回のMVPは、会社では窓際族、家では濡れ落ち葉、渡り鳥である寅さんとリリーは持ちえることができない、身を定める所があることゆえの悲哀を絶妙な味わいで表現したパパ兵頭謙次郎こと船越英二に決定。
リリーのために足を温める、ことはしなかったが朝風呂を沸かす寅さん、リリーのために涙を流す寅さん、リリーのために夢を語る寅さん、リリーのために歌う寅さん、パパとさくらが話しているリリーとの結婚話にうれし笑いが止まらない寅さん、、、さくらが言うようなホントに仲の良い友だち止まりだったとしたらあまりにも悲しすぎる、せつなすぎるよ・・。
「アイツは渡り鳥よ」と言う同じ放浪者である寅さんだからこそ分かることなのか?「オレみたいなバカとくっついて幸せになれるわけねえだろ。」なんて・・・。
ああ゛ーーっ~ため息が。。(×д×;)↓↓ズーン↓・・
しかし、ラストでキャバレーの従業員の慰安旅行で温泉に行くバスに寅さんが乗り込んで終わるけど、第25作「ハイビスカスの花」のラストでは、寅さんがバス停でバスを待ってると、温泉に向かうバンドが乗ったマイクロバスが通りかかってリリーと寅さんが再会して終わるんだよね。
この2人の物語はずっと続いていくんだなぁ。しみじみ。
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第16作・男はつらいよ 葛飾立志篇
マドンナ:樫山文枝
出演:渥美清、倍賞千恵子、樫山文枝、桜田淳子、小林桂樹、大滝秀治
公開:1975年12月/観客動員:213万人
舞台:山形県寒河江、静岡県
内容:かつて想いを寄せた人の娘の面倒をみるうちに学問の大切さが身にしみてきた寅さん。ちょうど<とらや>に御前様の姪で、大学で考古学の助手をしている礼子が下宿することになったことから、寅さんは彼女を家庭教師役にして猛勉強する。と同時に彼女を好きになってしまう寅さんなのだったが・・・。
評価★★★/65点
“寅VSインテリ仁義なき戦いテキサス決斗篇!”
<とらや>バージニア州に移転か!?
さらに寅あらためタイガーキッドに隠し子発覚!!なんと四角い顔のトンビが鷹を産んでいた・・・。
今回のMVPは、団子を口にほお張り、お茶を飲みながらタバコを吸ってしまうという荒技を見せる田所教授に決定。
今回はお高尚なお話のためなのか、マドンナが恋愛に対して全くの無関心状態で、ややあっさりしすぎている感も。
寅さんの心の中に16年間行き続けていたお雪さんとの思い出話の方が心に残る。
大のインテリ嫌いだった寅さんがインテリになろうと悪戦苦闘するさまがなんともほほ笑ましい1作。
寅VSインテリは恋愛指南で圧倒的勝利を収めた寅さんの勝ち!にしても勉強のしすぎで寅さん、鼻声か・・・?
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第17作・男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け
出演:渥美清、倍賞千恵子、太地喜和子、宇野重吉、岡田嘉子、寺尾聰
公開:1976年7月/観客動員:168万人
舞台:兵庫県龍野
内容:飲み屋でみすぼらしい老人が無銭飲食するところに出くわした寅さんは、お金を払ってあげてとらやに連れて帰る。ところがこの老人、日本画の大先生・池ノ内青観だった。青観の生まれ故郷・龍野へ旅のお供をした寅さんは、地元の美人芸者・ぼたんにひと目惚れ。しかし彼女がレストランの社長にダマされて200万円を巻き上げられてしまい・・・。
評価★★★★/80点
“寅さーーん、この幸せ者っ!”
男はつらいよシリーズ史上最も凄惨な幕開けに少々面食らうも、さらなる事件が<とらや>を襲う。
なんと<とらや>、団子屋から宿屋に衣替えか!?さらに第一次七万円戦争で身も心もすさんだ<とらや>の面々にさらなる追い打ちをかけるように勃発する第二次二百万円戦争!
寅さんの怒りもついに頂点に達するが、寅さんのけなげな心が世界を、<とらや>を、そしてぼたんを救う!
今回のMVPは、実人生の生き様そのものから滲み出る存在感を見せた宇野重吉&岡田嘉子に決定。
そして、実はリリーの上をいく相性の良さを垣間見せる寅さんとぼたん。播州龍野で所帯をもった二人はおそらく今も幸せに暮らしていることでしょう。
そう思わせてくれる幸せな一品。
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第18作・男はつらいよ 寅次郎純情詩集
マドンナ:京マチ子
出演:渥美清、倍賞千恵子、京マチ子、壇ふみ、浦辺灸子
公開:1976年12月/観客動員:172万人
舞台:長野県別所温泉、新潟県六日町
内容:満男の担任の先生にのぼせた寅さんだったが、彼女の母親・綾を見てそっちの方に鞍替え。。綾は寅さんの幼なじみだったが、今では未亡人で病気がちの身だった。心配性の寅さんは身を固めて花屋になろうと決心するが・・・。シリーズ中で唯一マドンナが死んでしまう珍しい作品。
評価★★★★/80点
キレる博、母娘に手を出す寅さん、爆裂演技!京マチ子。
MVPは、おめかししたタコ社長に決定!
笑いと哀しみのペーソスが見事に融合しているシリーズ中でも上位に入るであろう佳品。
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第19作・男はつらいよ 寅次郎と殿様
マドンナ:真野響子
出演:渥美清、倍賞千恵子、真野響子、嵐寛寿郎、三木のり平、平田昭彦
公開:1977年8月/観客動員:140万人
舞台:愛媛県
内容:例によってとらやの面々とケンカした寅さんは愛媛へ。お墓参りのわけありの美しい未亡人と出会って慕情がつのる寅さん。そして、大洲城18代目当主だというヘンな老人と知り合った寅さんは、その老人に死んだ息子の嫁を東京で探してほしいと頼まれ・・・。
評価★★★★/80点
民主主義とウナギが好きだと豪語する博。
姫を訪ねて三千里、苦悩の旅を続けるゲンナリ寅さんとご乱心お殿さま。
MVPは、とらやの庭に糞をたれた愛犬トラあらためポチに決定!
寅さんの健気で純真な思いやりに胸打たれること請け合いの一品。
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