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2008年5月14日 (水)

夢のシネマパラダイス413番シアター:大鹿村騒動記

大鹿村騒動記(2011年・東映・93分)NHK-BS

 監督:阪本順治

 出演:原田芳雄、大楠道代、岸部一徳、松たか子、佐藤浩市、瑛太、石橋蓮司、でんでん、三國連太郎

 内容:長野県は南アルプスの麓にある人口千人余りの大鹿村。この小さな村では300年もの間、大鹿歌舞伎とよばれる村歌舞伎を継承してきた。そして今年もその上演が5日後に迫っており、シカ料理店を営む花形役者・風祭善も稽古に励んでいた。ところが、18年前に家を出ていった女房の貴子が、駆け落ち相手で幼なじみの治とひょっこり帰ってきた。しかも貴子は認知症を患っており、面倒を見きれなくなった治は貴子を善に返すと言い出すのだが・・・。

評価★★★/65点

監督・阪本順治、主題歌・忌野清志郎、キャスト・ムダに豪華w、の面々から想定されるイメージからは最もかけ離れたこじんまりとした町おこし映画になっていて、正直なところ肩透かし。。

妻を奪った岸部一徳と奪われた原田芳雄が“~ちゃん”付けで名前を呼び合うようなおかしげなユルさが全編にそこはかとなく漂っていて、不倫や認知症、性同一性障害から老いに過疎といったシリアスなテーマに至るまで良くも悪くも中和している。

個人的には騒動っていうんだから、もっとドタバタというかクドカンなみにブッ飛んでいてもよかった気がしてちょっと物足りなかったけど、たまにはほのぼの味のするも悪くないし、ああいう年の取り方をしたいなぁとは思った。

P.S. 三國連太郎と佐藤浩市の共演作ということでも見どころはあったけど、同じフレーム内に収まったシーンを見たかったな。

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フラガール

065c006e 出演:松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、山崎静代、岸部一徳、富司純子

監督・脚本:李相日

(2006年・日本・120分)盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

内容:昭和40年、炭鉱が次々と閉山する中、福島県いわき市の炭鉱町ではレジャー施設の建設を計画。売りは炭鉱娘たちのフラダンスショーだった。が、フラダンスの先生として招聘されたSDK出身のまどか先生は、ど素人の田舎娘たちの踊りを見てこれは絶対に無理だとさじを投げそうになる・・・。彼女たちの奮闘を軸に北国が楽園へと再生するさまを描く、常磐ハワイアンセンター(現スパリゾート・ハワイアンズ)の誕生秘話を実話をもとに映画化。

“安田大サーカスと張り合えるくらいベタベタなお涙頂戴映画に大いにハマる”

最強の泣かせ映画といえば、自分の場合はいの一番に「火垂るの墓」で、これは開演数分で涙腺決壊という、いわばこれはもうパブロフの犬みたいなもんで、おなじみの場面が出てくると条件反射で涙を堪えきれなくなるというお決まりのパターンに我が身が陥ってしまう最強ハリケーン映画だ。

次が「リトル・ダンサー」。これもロイヤル・バレエ学校に行く主人公ビリーと家族との別れのシーンで決壊、、、延々まぶたを腫らせっぱなし。。

また、おそらく今まで生きてきた中で1番号泣したのがブラッド・レンフロ&ジョゼフ・マゼロの「マイ・フレンド・フォーエバー」。亡くなったジョゼフ・マゼロのお棺に自分の靴をさりげなく入れていくレンフロの後ろ姿に突如涙腺ダムが決壊して自分でも驚いてしまうほど集中豪雨したのを覚えている。

他にも涙腺をゆるませる映画は数多あれど、、、と、なぜ泣ける映画を挙げたかというと、今回の「フラガール」も完全無欠の泣かせ映画名誉会員に推挙するにふさわしい作品だからだ。

廃れていく一方の炭鉱町が舞台なのは「リトル・ダンサー」と共通しているし、踊ることを反対する親が結局最後は1番の味方になってくれるというのも共通していて、炭鉱夫の兄貴も出てきて、、、ようするにほとんど同じってことじゃん(笑)。

だから泣けるのかぁとも思ったりするけど、いやいやチョット待ってくれ。

今回の「フラガール」は、え゛っ?なんでこんなところで涙が突然ブワーッとあふれ出してくるんだ?と、まるで何の前触れもなくピンポイントで襲ってくる通り雨のように唐突にあふれ出してくる涙に我ながら驚いてしまったのだが、そのような状態は今まで味わったことのない現象なのだ。。

はたして三十路にさしかかろうとするオイラの涙腺のしまりが悪くなったのだろうか、と勘繰りたくもなったが、どうやらそういうことではないらしい。

この映画の裏表のない王道泣かせ演出にまんまとしてやられたようだ。

いや、推測ではなく断定していいのかもしれないが、だってこの裏表の無さというのがとにかくハンパないのだから。

もうどこかで見たようなベタもベタベタなお涙頂戴シークエンスの積み重ねといってもいい今回の映画は、話の展開がまる見え見えで、例えばしずちゃんの父親が落盤事故に遭ったという報せが届き、舞台を中止にして帰り支度を始めようというその時に「私、踊ります!」と意を決するしずちゃんに一同一致団結。しかし、舞台を終えて帰ってきたらやはり定石通り父親は亡くなっていて、死に目に立ち会えなかった悲しみの中で舞台に立たせたまどか先生(松雪泰子)に批判の矛先が向けられ、、、というくだりは、あまりにもベタな展開とベタな演出に思わず失笑してしまうようなところなのだけど、ここでフツーにウルウルきてしまうのがこの映画のスゴイところなんだよね。。

この映画の根幹をなす裏表のない王道泣かせ映画は、言葉をかえれば安田大サーカスと張り合えるくらいのベタな展開とベタな演出によるお涙頂戴映画と言い換えることができると思う。

しかもこのベタベタさには、何の奇も衒いもない安易でお粗末な演出がつきもので、それがどこかであざとさとなって露骨に表れてきてしまうものなのだ。

しかし、今回の映画は恥ずかしげもなく前面にそういうベタベタ演出を出し切ること、そして登場人物および役者陣のアツイ本気度が充満する熱意とパワーによってあざとさを打ち消してしまっているのだ。

アメリカ映画なんかはこういうのをお得意とするけど、日本映画がこれをスクリーンの前面に出し切ってリアルな形にしたというのはちょっとした事件だと思う。

例えば、映画の中盤、紀美子(蒼井優)がフラダンスの練習をしていることを知った母親(富司純子)が紀美子に猛烈なビンタを食らわせるシーンがあったけど、オイラはここでいきなりウルッウルッウルウルッときてしまい、えっなんでこんなとこで涙腺がゆるむんだと我ながらビツクリしてしまった。

しかし、このシーンでの富司純子と蒼井優の本気度100%の迫力ある母娘のやり取りに圧倒されてしまい、この映画はフラブームに便乗した単なるお遊び感覚の映画じゃなくて、真摯に本気な映画なのだと襟を正して受け取ることができた。映画の中に完全にのめり込ませる分岐点となる重要なシーンだったと思う。

ベタベタ演出に徹した監督の力量はそれはそれでスゴイけど(笑)、やはりこの映画は役者陣の迫力と出来によるところが大きい。

「花とアリス」で紙コップをシューズ代わりにしてバレエを踊った蒼井優は今回も心に迫る踊りを披露してくれたし、都落ちしてきたといってもいいまどか先生の嗄れたような飲んだくれ姿をリアルにさらけ出した松雪泰子。深く厳しい年輪を刻んできたおっ母さんを迫力満点で演じた富司純子。立ちション姿などがやけにさまになっていたトヨエツ。大いに泣かせてくれたしずちゃんetc...皆ただそこにいるだけで十分すぎる存在感をスクリーンに焼き付けてくれた。

ちびまる子ちゃんのお父さんだったはずの高橋克美までもが強烈な存在感の親父になっちゃってたりして、、、とにかく役者魂ともいえるオーラを全員が出していて素晴らしかった。

現在日本に残っている炭鉱はたったの1つのみというリアルな現実(夕張に引っ越していった早苗のその後がすごく気になる・・・)がスクリーンの外に厳然として横たわっている。そんな寂れていくだけの炭鉱町で自分たちの未来を見出すことができない中、ある者は明日への扉をこじ開けようと、ある者はヤマの歴史を守り抜こうと、それぞれの想いの中で懸命に情熱をかけて生きる人々のリアルな姿は胸に迫るし、「ウォーターボーイズ」的なユーモアが程よく織り込まれているのも、この映画を味わい深いものにしている。

そういう点では何かイギリス的というか「リトル・ダンサー」とか「フル・モンティ」なんかに通じるものがあると思う。

そして、忘れてはならない大きな要素である方言がまた良いんだよねえ。

本当に心から素晴らしいと言える映画だった、と思います。

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同胞(1975年・松竹・127分)WOWOW

 監督・脚本:山田洋次

 出演:倍賞千恵子、寺尾聰、岡本茉莉、下條アトム、市毛良枝、渥美清

 内容:過疎化が進む岩手県松尾村。ある日、村の青年団長の斉藤高志のもとを、統一劇場職員の河野秀子が訪ねて来る。彼女は、統一劇場のミュージカル公演を青年団主催でやってほしいと依頼する。が、公演費用に65万円かかると聞かされた青年団は二の足を踏むのだが・・・。

評価★★★★/80点

昭和53年生まれで岩手育ちの自分にとっては、当時の盛岡の風景や農村の風土、そして美麗にそびえる故郷の岩手山の変わらない姿を見られただけで大満足。

映画の方も田舎の若者たちが演劇公演を実現成功させるために奮闘するという正直どうでもいいような話でありながらw、地元住民も多く出演するセミドキュメンタリータッチが平凡な群像劇にリアリティとほとばしるような熱をもたらしていて、見応えも十分。実話の持つ強度がフィクションを軽々と飛び越えて良い方向に昇華した好例だといえよう。

そして、それを実現させた山田洋次の温かな人間賛歌に拍手

でも、根本的なところでピンとこなかったのが公演費用にかかる65万円っていう額なんだけど、昭和50年の65万ってそんな二の足を踏んでしまうような金額だったのだろうかw

赤字になったら牛を売るっていうくらいだから、相当なもんなのかな??

まぁ人口7200人でチケット850枚売るって、村をあげての一大イベントであることはたしかだけどもね。。

でも倍賞千恵子演じる劇団の営業って、、一部押し売り入ってるよね

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