夢のシネマパラダイス400番シアター:少女、思春期のココロ
がんばっていきまっしょい
出演:田中麗奈、清水真実、葵若菜、真野きりな、久積絵夢、中嶋朋子
監督・脚本:磯村一路
(1998年・東映・120分)DVD
評価★★★★/80点
内容:四国・松山を舞台に、ボートに青春をかけた少女たちの姿をみずみずしくとらえた青春映画。1976年春、ボートに魅せられていた悦子だったが、入学した伊予東高校には女子ボート部がなかった。悦子は友人を4人集めて女子部を発足するも、新人戦に惨敗。これを機にメンバー全員にやる気がわいてくる。元日本選手権メンバーの晶子をコーチに迎え、5人はボートに情熱を注いだ。悦子は幼なじみの関野への想いも胸に秘めつつ、晶子の指導を受け、仲間たちと再び新人戦に挑む。
“漫画の連載で最初とラストの主人公の顔かたちが変わっていることがよくあるが、この映画もエツ姉の表情にオープニングとラストで雲泥の差がある。そういう映画に出会えるのは稀だしうれしい。”
オープニングは防波堤に座って海を見つめるシーン、ラストも合宿所の前の砂浜に立って海を見つめるシーン。
しかし明らかにオープニングとラストではその受ける印象はちがう。
ラスト、エツ姉という人間に命がしっかり吹き込まれた凛とした佇まいにエツ姉の人間としての強さと成長、そして過ぎ行く青春時代の限りなく純粋な一瞬を感じ取ることができる。
当時はまだあどけなさの残る新人・田中麗奈だからこそ、その一瞬をフィルムに焼き付けることができたのかもしれない。
脇役陣もまた素晴らしい。
一見の価値あり。
P.S.
ラスト近くまでずっと「がんばっていきまーーす、、、勝利!」だとばかり思ってたけど、「がんばっていきまっっっしょい」なのね(笑)。ていうか題名見ろよ。。。
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花とアリス
監督・脚本:岩井俊二
(2004年・東宝・135分)2004/03/29・仙台東宝2
評価★★★★/80点
内容:花(鈴木杏)とアリス(蒼井優)は同じバレエ教室に通う中学生の仲良し2人組。花は高校生の宮本に秘かな想いを寄せており、彼を尾行しては隠れて写真を撮りまくっていた。やがて花とアリスは宮本と同じ高校に入学、花は宮本と同じ落語研究部に入部する。が、ある日、シャッターに頭をぶつけて転倒し記憶喪失に陥ってしまった宮本に「あなたの恋人だったんだけど。。」と恋人のフリをしてしまう花。一方、アリスは街でタレント事務所にスカウトされ・・・。
“我愛文電影。再看!”
花とアリスのみにマジ本気なのは分かるが、それを際立たせるためになにもアジャ・コングや虻川や叶姉妹で遊ばなくても・・・(笑)。吉岡秀隆の声だけ出演もどうよってなかんじだけど。
隠し手鏡でのぞき見するロリ男は教授であれ誰であれ犯罪だが、映画監督としてカメラからのぞけばご立派なお仕事になっちゃうからねぇ!っっだ。よっ、パンチラ監督ぅぅ~。
なぜか訳も無くささくれ立っているオイラなのだった・・・。ただ単に羨ましいだけやん。。。
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わたしのグランパ(2003年・東映・113分)NHK-BS
監督・脚本:東陽一
出演:菅原文太、石原さとみ、浅野忠信、平田満、宮崎美子、波乃久里子
内容:中学1年の珠子は五代家の一人娘。ある日、13年ぶりに祖父の謙三が刑務所から出所して来る。仁義を重んじる昔カタギな祖父の力は絶大で、珠子への学校でのいじめはなくなり、不良グループによる校内暴力も沈静化。また、珠子の両親の不仲も改善されていく。が、そんな中、珠子の家の前をヤクザがうろつくようになり・・・。
評価★★★☆/70点
“たま子といえば・・・”
名作ドラマ「北の国から」で、東京で働いていた純くんが孕ませちゃう女のコの名前がたま子だった。しかも彼女の叔父さん役が菅原文太だったのだ。。
「誠意とは、何かね。誠意って、、、一体何なんだね。」という名セリフと圧倒的存在感が際立っていた。
叔父貴だろうがグランパだろうが、菅原文太の凄みと存在感は消えうせることはない。
ああ、オイラもああいうジジイになりたいな。グランパとは呼ばれたくないけどね(笑)。
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害虫
監督:塩田明彦
(2002年・日活・92分)2002/03/20・ユーロスペース
評価★★★/65点
内容:母の度重なる自殺未遂に不登校。。。13歳の中学1年生・北サチ子は、小学校時代の担任と恋愛関係にあるが、不安定な現実に抗うように街をさまよう。町のチンピラ少年や中年の路上生活者と行動をともにするうちにいつしか笑顔を取り戻したサチ子は、クラスメイトの夏子の尽力もあり、学校に戻っていくのだが・・・。
“泣か(け)ない女の目は恐い。”
宮崎あおいの目の力と眼差しがこの映画を引っ張っているのは確かだが、あまりこの映画を解りたくない自分がいるのも確か。
でも、解っちゃう自分がちょっと恐いんだよね・・・。宮崎あおいVS蒼井優の見えない火花も恐かったし。
ま、オイラ的には泣ける夏子の方が分かるし好きだけど。
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下妻物語
出演:深田恭子、土屋アンナ、宮迫博之、篠原涼子、阿部サダヲ、岡田義徳、樹木希林
監督・脚本:中島哲也
(2004年・東宝・102分)2004/06/23・テアトルダイヤ
評価★★★★/80点
内容:茨城県下妻市。田んぼのあぜ道を闊歩する、ロココ調のロリータファッションに身を包んだ高校生・桃子(深キョン)。同じく原チャリで爆走するレディースのヤンキー娘・イチゴ(土屋アンナ)。2人はひょんなことから意気投合してしまい、友情を育んでいくことに。。。
“牛久大仏が激揺れしてるゼヨ!”
オープニングの深キョンがスクーターに乗って爆走するシーンで牛久大仏が激しく横揺れしているカットが映し出されるが、そこでまさにドツボにハマってしまいました。ゴーーーンンンンンン(鐘の音が・・・)。
田んぼ、牛、原チャリ、舗璽威帝劉、バアちゃんの眼帯、ハエの素手つかみ取り、ジャスコで買った¥1980の服、ピー音、一角獣、生瀬勝久、大仏、社長さん、イチゴ飛び蹴り桃子卒倒、シベリア超特急、、、、すべてが、キターーーってかんじ。
50ccの原チャリを追い越さんばかりのスピードでオイラは下妻の田んぼを走りぬけたのだった。ドヒューーッッ、、、あ、ウンコ踏んじゃった。。。
といっても、この映画から何を得たかといわれるとちょっと困るけど。。
しかし、オイラはオイラの道を行くでぇ。
その後DVDでこの映画を観ているオイラをウチのオカンとバアちゃんが奇異な目で見ていたが、そんなのどうでもいい。年がら年中NHKをつけっぱなしにして満足してるアンタらとはちゃうんでえぃ(笑)。
もう誰にも負ける気がしねえぜw。
というオイラも田舎人さ。。。
田舎の特徴番外編:なぜか田舎の家はNHKに異常なほど心酔しきっている・・・。また、なんの躊躇もなくハエを手でわしづかみにできるオバハン=名人が多い。ウチのオカンね(笑)。
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サイドカーに犬(2007年・日本・94分)CS
監督:根岸吉太郎
出演:竹内結子、古田新太、松本花奈、ミムラ、鈴木砂羽、樹木希林、椎名桔平
内容:不動産会社に勤める30歳の薫の記憶の中に生きる憧れの女性ヨーコさん・・・。薫が小4の時の夏休み、父親とケンカの絶えなかった母親が家出。それから数日後、家にヨーコさんがやって来た。ドロップハンドルの自転車に颯爽と乗るヨーコさんは母親とは対照的な人で、薫にも友人として対等に接してくれ、薫にとっては夢のような日々だったが・・・。
評価★★★☆/70点
母親の家出、怪しげな中古車販売をしているうだつの上がらないダメ親父、子供たちの世話をしに家にやって来る親父の若い愛人。
10歳の少女がぶち当たるには十分すぎるヘビーな家庭環境なのだけど、それをサラリとなおかつノスタルジックに描いているのがこの映画のミソ。
普通ならばドラスティックになるところを、懐かしい小道具の数々で80年代テイストを醸し出すとともに、徹底して子供目線で描写することで大人の事情をカムフラージュし、独特な世界観、つまるところ子供時代の記憶の中にしまいこまれた宝物のような世界観を引き出すことに成功している。
そして、このひと夏のヘンな日常が人の優しさや温もりを思い起こさせてくれ、ほんわかとした気持ちにさせてくれるのだ。
ヨーコ役は竹内結子よりは木村佳乃じゃないかなぁとも思ったんだけど、総じて役者陣はイイ味出してたし、こういう心温まる良質な短編映画がどんどん出てくればいいのに。
そしたっけ、映画の中でヨーコさんが太宰治の小説「ヴィヨンの妻」を読んでるシーンがあったんだけど、本作の後にこの映画化のメガホンを取ったというのも何か浅からぬ縁があったんだろうね。このシーンはまったくの偶然だったそうだから。
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ゴーストワールド
出演:ソーラ・バーチ、スカーレット・ヨハンソン、ブラッド・レンフロ、スティーブ・ブシェミ
監督:テリー・ツワイゴフ
(2001年・アメリカ・111分)2001/09/13・恵比寿ガーデン
評価★★★/65点
内容:口は悪いけど根は優しいイーニド、金髪で美人の辛辣なレベッカ。高校を卒業した2人は進路も決めないまま、毎日のようにダイナーに入り浸り。ある日、出会い系広告でどうしようもない中年男がやって来た。騙されたと気づき店を出て行った彼のことを2人は尾行するが・・・。
“ゲロダサい!しかしちょっと切ない。。。今だかつてこんな映画見たことない。”
今だかつて見たことないというのは、イコール=イーニドのような女性を見たことない=付き合ったことがない=たぶん無意識のうちに自分から避けてきたということに重なるわけで。。
評価が3点なのも要はイーニドとは傍から怖いもの見たさで見ているぶんには面白くていいけど、実際問題自分から関わりをもつのはチョット(怖くて)・・・というのがやはり本音なので。
だからこの映画とも無意識のうちに壁と距離を作ってしまい、映画の核心に触れることができなかったことがこの評価しかできなかった所以なのだな。
だからオイラなんかはバスに乗っていくあのラストは、あての無いどこぞやの街に旅立っていった、まだ飛ぶには未熟なツバサで。しかしそれでもゴーストワールドたるイーニドの地元の街から半ば強制的に巣立っていったというふうに単純に解釈してしまいました。
しかし、後に友人から、あれは三途の川を渡って行ったということなんじゃないの?と指摘されてアポーンしちゃいました。
オイラのようなある程度の距離をもった見方では絶対出てこない解釈。さすが映画バカ。勉強になりました(笑)。
でも、レベッカには共感できてもイーニドにはチョット無理だなという自分の中での深いところにある本音は変わりようがないなというのはやはりあって、これは正直どうしようもない。
でも機会があればイーニドみたいな女性と友達になってみたい気もする。男友達にはそういう奴もいないではないけど、、、ってそれってもしかしてこっちに問題ありなのか・・。あ、、オイラって絶対嫌なヤツだわ・・・。
P.S. 自分にとってのこの映画のゴーストワールドはブラッド・レンフロにまったく気付かなかったことです。。
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小さな泥棒(1988年・フランス・109分)NHK-BS
監督:クロード・ミレール
出演:シャルロット・ゲンズブール、ドミニク・ブラン、シモン・ド・ラ・ブロス
内容:1950年、フランス中部の小さな町。16歳の少女ジャニーヌは、母親と離れて伯父さん夫婦のもとに預けられて暮らしていた。しかし、彼女は退屈な学校生活や日常を紛らわすために、学校の授業を終えるとワンピースに着替え、ハイヒールを履いて街で米兵からタバコを頂戴したり、洋服店で万引きしたりする毎日を送っていた。が、万引きがバレてしまったことから家を出なければならないハメになってしまい・・・。フランソワ・トリュフォーが残した遺作シナリオを、弟子にあたるクロード・ミレールが映画化。
評価★★★★/75点
“大人になるためには死ぬほど長い階段を昇らなければならないのだと思う。自分の経験からいっても。。一足飛びには昇っていけないのだ。”
大人の階段昇る 君はまだシンデレラさ
しあわせは誰かがきっと 運んでくれると 信じてるね
少女だったと いつの日か 想う時がくるのさ
少女だったと なつかしく 振り向く日があるのさ(by H2O)
ジャニーヌにもいつの日かなつかしく振り向ける日が来ることだろう。
ラストはそう語っています。
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