夢のシネマパラダイス381番シアター:火サスは昼に見る!
チャイナタウン
出演:ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストン
監督:ロマン・ポランスキー
(1974年・アメリカ・131分)NHK-BS
評価★★★★/80点
内容:ロスに事務所を構える私立探偵ギテスのもとに、ミセス・モーリーと名乗る女がやって来る。しかし、それは町を牛耳る大物ノアと対立しているモーリー氏に仕掛けられた罠だった。本物のモーリー夫人がギテスの事務所を訪れた直後、モーリーの溺死体が貯水池で発見される。調査を始めたギテスは、事件の背後に潜むノアがダム建設に絡む汚職の中心人物であると突き止めるが・・・。ポーランド人監督のポランスキーがアメリカで製作したハードボイルドの名作。
“フィリップ・マーロウが卑しい街の高潔な騎士と呼ばれているなら、ギテスはさしずめ卑しい街の狡猾な一匹狼といったところか。”
なぜに東欧の異邦人ポランスキーがハードボイルドの王道をいとも簡単に撮れちゃうんだろう・・・。
まぁもともとストーリーテラーではなく、シンボルやメタファーといったものを投影させていく映像表現と、特にモダンホラーで才を発揮する日常の演出描写とそこから滲み出てくる独特な雰囲気作りが不気味なほどに上手い監督だからなぁ。ハードボイルドは型が決まっているから逆にやりやすかったのかもしれないな。
個人的にはポランスキー映画は“女”で決まると思っているので、フェイ・ダナウェイの良し悪しがこの映画を左右するキーマンだと思ってたのだけど、その点でみるとフェイ・ダナウェイは二重丸。文句の付けようがありませんでした。妖しく孤独、そして悪魔的な狂気をはらんだ女性をフェイ・ダナウェイらしさも忘れずにうまく表現していたと思います。
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理由
出演:ショーン・コネリー、ローレンス・フィッシュバーン、ケイト・キャプショー
監督:アーネ・グリムシャー
(1995年・アメリカ・102分)DVD
評価★★★/60点
内容:8年前、少女誘拐犯として死刑判決を受けたボビーの祖母が、死刑反対論者のポールに手紙を渡したことから意外な事実が判明する。的確な判断力とキレの良さで次々と謎を解いていくポールだったが・・・。予想をことごとく裏切る展開に目が点!?
“理由がどうであれ後味は、悪い。”
冒頭の討論会で博士はこんなことを言っていた。
白人が黒人を殺したケースと、黒人が白人を殺したケースとでは後者の方が7倍死刑になっていて、これは人種差別が背景にあるからだと。
そこで待ってましたといわんばかりに依頼が舞い込んでくる。しかも、黒人が白人を殺したケースである。
そしてここからハリウッドのお決まりパターンにはまっていくのかと思いきや・・・。そうなんだ(苦笑)。。。
だってハリウッドのこのての映画では、残忍で悪意をもった白人たちとその中で孤軍奮闘する善良な白人、そして社会的に虐げられたり疎外されたりしている貧しく貧相な黒人が助けを求めているというポジション配置が典型的パターンじゃん。
ま、要はこれをチャラにしたらこんなん出ましたぁということですかね。
その典型的パターンの映画を観すぎちゃってるからなぁオイラ・・・。
これが黒人が白人を殺したケースではなく、白人が黒人を殺したケースだったらまた別な感想を抱いたのかもしれませんが。。
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半落ち
出演:寺尾聰、柴田恭兵、原田美枝子、吉岡秀隆、鶴田真由、伊原剛志
監督:佐々部清
(2003年・東映・121分)2004/01/18・仙台フォーラム
評価★★★/60点
内容:半年前に若くしてアルツハイマーを発症した妻・啓子の看病のため刑事を辞職していた群馬県警の元捜査一課警部・梶聡一郎が、妻を自宅で絞殺したと警察署に出頭してくる。梶は、自分が自分でなくなる前に殺してほしいと妻に懇願され殺害に及んだのだと自白するが、広く敬愛されてきた梶の取り調べにあたった捜査一課の志木も困惑を隠せない。その上、梶は自首するまでの2日間について固く口を閉ざし続ける“半落ち”の状態。志木はこの完落ちしない梶の空白の2日間にこだわりつづけるが、スキャンダルに揺れる県警幹部は調書の捏造で事件の幕引きを謀ろうともくろむ・・・。
“半捨て”
ネタの半分は余計で捨てた方が良いという新業界用語、、ってか。ハハ。
ていうか、梶の周りを取り囲む検察、メディア、警察、親族の人間み~んな梶を助けたい一心!
なのに肝心の当の本人だけがどこ吹く風の知らんぷり状態。
配役も含めてこんな出来レース見たことない(笑)。
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激流(1994年・アメリカ・112分)Video
監督:カーチス・ハンソン
出演:メリル・ストリープ、ケビン・ベーコン、デビッド・ストラザーン
内容:離婚を考えるゲイルは家族との最後の旅、リバーツーリングに出かけた。そこに現れた逃走中の凶悪犯。人質となった彼らの前には生存率10万分の1の激流下りが待ち構えていた・・・。
評価★★★☆/70点
言うことを聞かないイタズラ好きの悪ガキをケビン・ベーコンとジョン・C・ライリーが好演。さすがのストリープ母さんも手を上げるわよ!
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ゴスフォード・パーク
出演:マギー・スミス、マイケル・ガンボン、ボブ・バラバン、クリスティン・スコット・トーマス、ライアン・フィリップ、クライヴ・オーウェン
監督:ロバート・アルトマン
(2001年・アメリカ・137分)2003/01/09・恵比寿ガーデン
評価★★★/65点
内容:1932年イギリス。上流社会のパーティがウィリアム卿の邸宅であるゴスフォード・パークで行われ、ゲスト達は階上でお楽しみを満喫する一方、宴を支えるメイドたちは階下で多忙を極めていた。しかし、2日目の夜、主のウィリアム卿が何者かに殺されてしまう・・・。英国上流社会をシニカルに描いたアルトマンの群像劇。アカデミー脚本賞を受賞。
“殺人事件を扱っているのに、殺人が起こる前の方が断然見応えがある。”
はっきりいって殺人もその犯人捜しも決してこの映画の中で主ではない。どう見ても従の方だ。
一癖もふた癖もある35人もの登場人物をハウス・パークという限られた空間の中で動かすことが主であるわけで。
それゆえ、殺人が起こった後の展開には少し行き詰まり感も。
殺人という大きな転回点があった割りには尻を据えすぎで、もっと露わな人間関係をむき出しにしてヒートアップさせてほしかった。
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