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2007年9月30日 (日)

夢のシネマパラダイス334番シアター:韓流人間ドラマ選

ペパーミント・キャンディ

Jp000907 出演:ソル・ギョング、キム・ヨジン、ムン・ソリ、パク・セボム、ソ・ジョン

監督:イ・チャンドン

(1999年・韓国・129分)2000/11/01・テアトル池袋

評価★★★/60点

内容:ある工場の労働組合の集まりで、20年ぶりに集まり旧交を温める仲間たち。が、宴もたけなわ、長い間消息不明となっていた男キム・ヨンホがふらりと現れ、鉄道の高架橋に登って近づく列車の前に立ちはだかるなどして場は白けムードに。「昔に帰りたい!」と叫ぶ彼は過去の半生を振り返り始めるのだった・・・。1999年春に始まり、3日前、94年、87年、84年、80年そして79年まで、1人の男の人生を時間をさかのぼりながら描く人間ドラマ。

“強烈なエッセンスのみを抽出しフィルムに焼き付けていく。それはまるで写ルンですで撮った写真のフィルムをビーーッとのばして光りにかざして見ているようなかんじ。”

そのフィルムを回り灯籠にペタッと貼り付ければホンマもんの走馬灯になるんだけど・・・。

ま、どうなんだろう、個人的にはこの映画にはフィルムとフィルムとのあいだの行間を読み取るようなゆとりに欠ける、いわば間がないと感じました。

しかも抽出されたエッセンスはどれもこれも一様にキレキレの刃のごとく鋭利かつ暴力的。

それをパッパッとスライドで映していかれても、そこに含まれるコノテーションを感じるにはあまりにもエッセンスが濃すぎる。

それが監督の狙いだとしたら、たぶん自分とは性が合わないということなんだろうけどね。だってあまりにも突き放したような容赦のなさなんだもん。

話のつくりとしては奇をてらっていて面白いのだけど、描こうとしている中身のバランスが非常に偏りすぎてて、次第に話のつくりそれ自体が浮いてきてしまうと感じました。

惜しいというか、、まぁ単純に自分とは合わないってことなんだろうなぁ・・・。

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八月のクリスマス

38944232

出演:ハン・ソッキュ、シム・ウナ、シン・グ、イン・ハンウェイ

監督・脚本:ホ・ジノ

(1998年・韓国・99分)NHK-BS

評価★★★/65点

内容:ソウルの街角で写真館を経営する青年ジョンウォンは、店に訪れる美しい女性タリムに惹かれ、2人は恋に落ちるが・・・。韓国で大ヒットした感動のラブストーリー。

“冷静と情熱のあいだで笑うことしかしないジョンウォンにやはり映画として物足りなさを感じてしまう。”

死と向き合うことはしても結局彼女と向き合うことはしなかった彼。

挙句の果てに愛を胸に秘めたまま旅立たせてくれた彼女にありがとうと言いたいときたもんだ。ものスゴっ自己満足の世界やんけ。しかも究極の自己完結でもある。

へたすりゃとんでもない自慰映画になるところなのだが、感傷を極力排しているのがなんとか救いとなってはいる。

その点でいえば小津映画に通ずるところでもあるのだが、小津映画にはあの淡々とした中にも人間の本性がときおり無言の圧力となって画面に表れることがある。原節子の鋭い眼光とかね。

しかしこの映画は、そういう人間の抑えきれない本性みたいなものまで排されてしまっている気がしてならない。

ロボットじゃないんだからさ。それとも敬虔な儒教の国ではありなのか・・・。

絶対的な死というのを前にするともう笑っちゃうしかないのかな。

でもやっぱ笑ってごまかすなよな、という気持ちがどうしても強くなってしまうオイラなのでありました。。。

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イルマーレ

4988105919525 出演:イ・ジョンジェ、チョン・ジヒョン

監督:イ・ヒョンスン

(1997年・韓国・97分)WOWOW

評価★★★/60点

内容:’97年、海辺の一軒家「イル・マーレ」に引っ越してきたハンは、見知らぬ女性キムから奇妙な手紙を受け取る。2年後の日付が記されたその手紙には半信半疑だったハンだったが、ある出来事をきっかけに手紙の内容を信じるようになり・・・。

“ムダ描写 塵も積もれば 山となる”

すごい繊細な映画だと思うのだけど、微妙に余計な描写が多い。

具体的にどこがといわれるとちょっと困るんだけど、例えていうならばコンマ数秒のフライングをしまくっているといったところか。

さらにそれを直球ベタベタ音楽が強調してしまい、それが積もり積もっちゃって映画の評価がどうしても低下してしまう・・・。

この監督さんって新人かあるいは相当に若い人だと思うな。バカ正直というかね。

余計なタイムパラドックスもなくストーリーは必要最低限に抑えていて好感がもてる内容だっただけにちょっと残念。演出の方でムダな贅肉をつけてしまったなという印象を持ちました。

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友へ チング

4988013399204 出演:ユ・オソン、チャン・ドンゴン、ソ・テファ、チョン・ウンテク

監督・脚本:クァク・キョンテク

(2001年・韓国・118分)DVD

評価★★★/65点

内容:1976年韓国の釜山。家庭環境は異なるが大の仲良しの幼なじみの4人組、優等生のサンテク・ヤクザの親分の息子ジュンソク・葬儀屋の息子ドンス・お調子者のジュンホは同じ高校に進むが、そこから4人の人生模様は大きく変わることになる。歳月が流れ、街に戻ってきたサンテクが目の当たりにしたのは、高校で番長と右腕として君臨していたはずのジュンソクとドンスが2つの組織に分かれて対立している姿だった・・・。

“韓国のTVメロドラマにハマッているおかんと妹と家で見た。口をあんぐり開けながら、これは韓国じゃないとつぶやく2人の姿が最も印象的だった。。”

冬ソナなどのコテコテのTVドラマによってつくられたものだけが韓国のすべてじゃないだろうに・・・(笑)。

まぁそれを入り口として韓国の文化なり歴史なりを知ろうとするのは大変よろしいことなのだろうけども。世のオバさん方はそこらへんちゃんと分かっているんだろうか・・・?

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二重スパイ

Dvf58 出演:ハン・ソッキュ、コ・ソヨン、チョン・ホジン、ソン・ジェホ

監督:キム・ヒョンジョン

(2003年・韓国・123分)DVD

評価★★★★/75点

内容:北朝鮮スパイのビョンホは、亡命を装い、韓国国家安全保障局内にある韓国分析センターに潜入。次第に信頼を勝ち取り、2年後には正式な要員となったが、そこに北朝鮮からの指令が下った。連絡員はラジオDJのユン・スミ。しかし2人は恋に落ちてしまい・・・。

“何を勘違いしたのか38度線にいきなりシティ・オブ・ゴッドが割り込んできやがった・・・。”

北の人間を主人公にした意欲と問題意識は十分理解できるし、同じ民族が共有する哀しみをより際立たせることに繋がっていることは確かだ。

しかし、それオンリーであって一人の人間イム・ビョンホを描くまでにはついに至らなかった。スパイ、イム・ビョンホのままで終わってしまった。

そこにやはり物語の進め方として限界を露呈してしまっていることもまた確かなのだ。

南の人間を主人公にして主観的に介在させ、心の葛藤や情、憎しみや哀しみを具体的に突っ込んで描いた方がよかったのではないかとも勘ぐってみたくなるが、、それだとシュリになっちゃうか・・・。

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おばあちゃんの家

Pim0001 出演:キム・ウルブン、ユ・スンホ、ミン・ギョンフン、イム・ウンギョン

監督:イ・ジョンヒャン

(2002年・韓国・87分)NHK-BS

評価★★★/65点

内容:サンウは母親と2人でソウルに暮らす7歳の少年。夏のある日、サンウは失業中の母が新しい仕事を見つけるまでの間、今まで会ったこともない田舎のおばあちゃんの家へ預けられることになる。だが都会暮らしに慣れてしまっているサンウにとって、ド田舎の生活はあまりにも退屈だった。その上、おばあちゃんは話すことも読み書きもできないため、サンウはバカにして何かと不満をブチまける始末。しかし、腰の曲がったおばあちゃんは、孫の言うことを聞いてやろうと心を砕くのだった。。

“87分間クソガキを観続けなければならない労苦。”

あの村にはガキ大将はいないのか。いっぺんガツンとやっちゃれ、、、と思ってたら暴れ牛か。行け行け突っ込めとついアツくなってしまいました。。

でもあのおばあちゃん無言で包丁研いでたら怖そう(笑)。

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春香伝(2000年・韓国・120分)NHK-BS

 監督:イム・グォンテク

 出演:チョ・スンウ、イ・ヒョジョン、イ・ジョンホン

 内容:李朝時代の朝鮮。地方長官の息子李夢龍は、芸妓の娘、春香と恋に落ちる。2人は結婚の約束をするが、当時の身分制度では許されぬことだった。やがて、夢龍が都へ転勤で行っている間に新長官が春香に言い寄るが、夢龍を信じる春香はそれを拒んだため、投獄され死刑を宣告されてしまう・・・。韓国で最もポピュラーな古典物語を韓国の伝統芸能であるパンソリの歌声をフィーチャーして映画化した作品。

評価★★★/65点

こういう映画がちゃんと観られてこそ真の韓流と呼べるのではないかな。

2007年9月26日 (水)

レアル・マドリー狂想曲第38番:レアル好調な滑り出し

90318566631dc2659e9e184a178fc9f3 リーガが開幕して4試合が経過。

現地権利元の骨肉の放映権争いが尾を引いて、レアルはもとよりバルサのホームゲームなどがスペイン以外の海外に配信されない状態が続き、WOWOWでも放送できない異常事態が続いていたけど、ここ2節はなんとか放送されている。

昨シーズンもスペイン側とWOWOW側で放映権交渉価格の折り合いがつかず第1節の放映が間に合わなかったり、ビジャレアルが放映権料配分額に難癖をつけてホームゲームが放送されない時期があったり、なにかとスペインはゴタゴタがついて回っちゃうんだよねぇ。

スペイン人気質って“情熱的”というのもあるけど、“いい加減”ってのもあるからね。

それはさておき、我が愛しのレアル・マドリーはリーガ4試合、チャンピオンズリーグ(CL)1試合を戦って4勝1分。

上々の滑り出しをしたといえるだろう。

基本フォメは、

               カシージャス

          カンナバーロ    メッツェルダー

 Sラモス                           エインセ

                ディアッラ      (ドレンテ、マルセロ)

                (ガゴ)

      ロビーニョ              グティ

                スナイデル

            ラウル

                    ファンニステルローイ

で、サブ要員にサビオラ、イグアインといったところ。

プレシーズンに評価を高めていたぺぺは最初スタメンだったけど、開幕早々に負傷離脱し、メッツェルダーにスタメンの座を奪われた形になった。が、そのメッツェルダーもCLブレーメン戦で膝を負傷し、戦線離脱。一昨日のバジャドリード戦はカンナバーロ&SラモスというCBで臨んだが、右ラテラルに今季初出場となったサルガドが目も当てられないパフォーマンスを見せてしまったので、やはりSラモスは右で固定し、今回のようにぺぺとメッツェルダーが離脱で使えないときはエインセをセンターに回した方がいいように思う。

バティスタ、ソルダード、また昨シーズンカペッロに見出されたトーレスあたりはちょっと戦力外っぽいけどね。

開幕3連勝、CLもスペクタクルな勝利でこれ以上にないロケットスタートを“魅せる”レアルの軸も見えてきた。

W杯時の安定感を戻してきたカンナバーロ、中盤の底で相手攻撃の芽を摘みコンダクターとしての舵取りも見せる門番ディアッラ、ディアッラの擁護を受けながら中盤低めの位置で攻撃のタクトを振るうグティ、そしてリーガ3試合出場で4得点と脅威の得点力を誇り、中盤を縦横無尽に走り攻守に貢献するスナイデル。

この4人は特に外せない中心軸だろう。ことグティ&スナイデルのダブル司令塔(グティが低めの位置で、スナイデルがトップ下に近い位置。いわば縦の関係)はレアルの大きな強みになりつつある。

前節バジャドリード戦は試合過多のスナイデルを温存して戦ったが、グティに相手のプレッシャーが集中することで今までのように試合を形作ることが難しかったことを鑑みてもやはりグティ&スナイデルは鉄板コンビとみていいのではないかと思う、というか確信だねもう。

この中盤が安定すれば、ニステル、ラウル、サビオラを軸とするFW陣も相当楽に点に絡めるはず。

攻守のバランスもいいし。

ただ問題点は、、、ロッベン!

コンディションが整わず、リーガ開幕から3試合は欠場し、次のCLブレーメン戦でレアルデビュー。一昨日のバジャドリード戦でリーガデビューとなったがいずれも途中出場という形。

なにせロッベンがいない間にチームの形が一気に出来上がってきちゃっただけに、ロッベンの入るところが・・・。絶対的な個の力を有しているがゆえにチームバランスを崩しかねない面もあるからね、ロッベンの場合は。

まぁ中盤左サイドとか、ラウルのところ(セカンドトップ)とかになるのかなぁ。。

このロッベンをどう組み込んでいくかが今後シュスターの腕の見せ所になるでしょう。

なんてったって今のところ首位ですからね。

この座は誰にも渡さん!!

アッラ・マドリーー!!

                                  

2007年9月14日 (金)

夢のシネマパラダイス324番シアター:13階段

13階段

Pcbg50447 出演:反町隆史、山崎努、田中麗奈、笑福亭鶴瓶、クドカン、宮迫博之

監督:長澤雅彦

(2003年・東宝・122分)2003/02/19・渋東4

評価★★★/65点

内容:ケンカ相手を誤って殺してしまい、3年の刑に服していた三上(反町隆史)が仮釈放された。まもなく三上のもとに服役していた刑務所の刑務官・南郷(山崎努)がやって来る。南郷は、老夫婦を殺害した容疑で逮捕された死刑囚の冤罪を晴らすための調査に三上も協力してくれるよう依頼する。被告・樹原亮(クドカン)は事件直後の事故で記憶をなくしてしまい、犯行を否認することもできずに死刑が確定してしまったという。死刑執行まで3ヶ月。躊躇する三上だったが、被害者への慰謝料の支払いに苦しむ家族を思い、1000万円という報酬に惹かれ引き受けるのだったが・・・。

“なぁんかうま~くはぐらかされた気がするんだよなぁ。。ともかく少なくとも計13作品からパクッているようなかんじのする映画だった・・・。”

物語が重層的な構成をなしているといえば聞こえはいいけど、その物語がチープだったら何の意味もないばかりか、ただのツッコミどころ満載の映画に成り下がってしまう。

この映画はまさにそんな映画。

死刑制度というバカ重くてバカ深いテーマをぶち上げておきながら、それを真正面から取り上げることはしていない。

それどころかこの死刑制度というテーマ。映画を観ていくと完全な撒き餌であることが分かる。観客をおびき寄せるための餌にしかなっていない。

撒き餌をパラパラとばら撒き、枝葉末節をとにかく詰め込む、詰め込む、詰め込む。

そして詰め込むだけ詰め込んで今度は風呂敷をどう首尾よくたたもうかというところで、いきなりレイプという有無をも言わせぬ切り札を使って打ち止め。

「デッドマン・ウォーキング」をいざ掲げるとみせかけて「グリーン・マイル」やら「トゥルー・クライム」も入れちゃえ!あ、どうしよう、、どうやってケリつけようか、、あっそうだ!「評決のとき」で締めちゃおうぜ。同情票も入るだろうし、、、てなかんじ?

とにかくちょっと詰め込みすぎちゃいましたな。

映画観たぜーーッという感慨深さは全くなく、なんか観たな~~というかんじ。なんかね。なんだろう・・・。

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ザ・ハリケーン

Hurricane 出演:デンゼル・ワシントン、ビセレス・レオン・シャノン、ジョン・ハンナ

監督:ノーマン・ジュイソン

(1999年・アメリカ・145分)DVD

評価★★★★☆/85点

内容:冤罪で終身刑となったボクサー、ルービン・“ハリケーン”・カーターの実話をもとに描かれた作品。最強のボクサーとして君臨したカーターだったが、黒人差別の刑事の謀略によって殺人の罪を着せられてしまう。獄中のカーターは、無実を証明するため、孤独な戦いを決意するが・・・。

“ルービン・カーターの50年にわたる苦闘をまさにハリケーンのごときテンポで描ききるこの映画は、最終ラウンドまで懸命に戦い演じきったD.ワシントンの演技力に救われ、そして勝利したといっても過言ではない。”

この映画は実話を基にしているというが、一緒に同乗していた黒人のことも、奥さんとのことも描かれないばかりか、カナダ人3人衆の奇妙ともいえる同居生活も掘り下げて描かれることはない。

カーター以外は妙に浮いた存在になってしまっていることは否めない。

さらに、新事実にたどり着くまでもまるでいとも容易いように描かれている(ように見えてしまう)し、法廷シーンも少ない。

もちろん実際には何年もの追求の蓄積が背景にあることは分かるが、映画の中ではそれがリアリティとして滲み出てこないのだ。相当端折っているなということは薄々感じることができるし、非常に映画的にアレンジされているという印象を受ける。

しかし、これらの映画的虚構からくる印象を一手に引き受け、そしてハリケーンのように吹き飛ばしてしまうのが、ルービン・“ハリケーン”・カーターだ。

彼だけが真にリアルだ。

面会に訪れた彼の弁護人に彼が言う言葉。「俺はもう50歳だ。そして俺は今まで生きていた中で30年も監禁されつづけてきたんだぞ。30年だぞ!、、、、俺をここから出・し・て・く・れっ!」という言葉では表せないような切実な願い。

自分自身そういう状況になったら閉所恐怖症も手伝っておそらく発狂してしまうのではないだろうかと思う。

冷え切った牢獄の鉄扉がガチャリと閉められる瞬間、そして音。

イヤだ!

このどうしようもできない、壁を拳でぶち続け咆哮してしまうような彼の気持ち、感情は真にリアリティといえるんじゃないだろうか。

少なくとも自分はそのように受け止めた。

そしてそれを演じきったD.ワシントンに心から敬意を表したい。

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トゥルークライム(1999年・アメリカ・127分)WOWOW

 監督::クリント・イーストウッド

 出演:クリント・イーストウッド、ジェームズ・ウッズ、デニス・レアリー

評価★★★/70点

内容:死刑執行まであと12時間という黒人受刑者を取材したアル中で女たらしの記者スティーブ。勘で冤罪の匂いを嗅いだスティーブ。彼の人生で最も長い12時間が始まる・・・。

“自分の愛する人を残して死ねっかよ!自分がもしあの死刑囚だったらと思って見るだけで、マジで直視できなくなる家族の叫び。”

あざといといえばあざといし、死刑論にまで昇華させるところまでいっていない(ていうか昇華させようという意図がもともとなさそう)普通のベタなハリウッド映画ではある。

しかし、そうはいっても自分の感情を刺激する部分は多かったし、イーストウッドの演出もこなれていて、最後まで飽きずに観られた。

「心配するな。一足先に神様のところへ行くだけだろ。」

泣かせるねぇ・・・

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私は死にたくない(1958年・アメリカ・121分)NHK-BS

 監督:ロバート・ワイズ

 出演:スーザン・ヘイワード、サイモン・オークランド

 内容:1952年、カリフォルニア州で老婦人が殴り殺され、バーバラを含む3人の前科者が逮捕された。彼女には麻薬中毒の夫と口論したアリバイがあったが、夫の行方が知れず証明できない。新聞記者モンゴメリーは彼女の無罪を確信するが、再審請求は受理されなかった・・・。最後まで無罪を主張しつつ死刑に処せられた実在の女性囚バーバラ・グレアムの手記を、エドワード・S・モンゴメリーの報道記や種々の記録などを照合して映画化した社会派ドラマ。アカデミー主演女優賞を受賞。

評価★★★/60点

スーザン・ヘイワードの圧倒的エナジーが死刑論や裁判といった問題をも良くも悪くもことごとく吸収してしまっていて、観終わったあと不思議と何にも残らない。。

スーザン・ヘイワードの完全燃焼を目に焼き付けるのみ。

2007年9月 9日 (日)

夢のシネマパラダイス321番シアター:豹変するオトコども。。。

マラソンマン

Marathon_man 出演:ダスティン・ホフマン、ローレンス・オリヴィエ

監督:ジョン・シュレシンジャー

(1976年・アメリカ・125分)NHK-BS

評価★★★/60点

内容:大学生のベイブの兄ドグは、ナチスの生き残りの宝石商ゼルの運び屋をしていた。しかし、ゼルはダイヤを持ち去って裏切ろうとしたドグを殺害し、さらにダイヤのありかを知っていると思われるベイブを誘拐する。ベイブは拷問にかけられたが、何とか逃げ出すことに成功し、恋人のエルザの助けを借りて郊外に逃げ込んだが・・・。ユダヤ人とナチの因縁を軸に、宝石の密売をめぐるサスペンスを描いたアクション。

“だから歯医者は嫌いなんだってばぁっ。。”

ウィ~~~――ン、、キュイーーン、、キュルルルルルル、、、、ガリガリガリ・・・

イヤーーめーーてーーくれーー

ガハッ・・・。

しかしこの映画、マラソンに例えていうと、道の真ん中を堂々と走っていけば無難だと思うのに、なぜか道の端へ端へとまるで日陰へ逃げ込むかのように寄っていく。

目立とうと思えば目立てる映画なのにもかかわらず敢えてそれをしていない。

なんかはぐらかせはぐらかせされているうちに映画が終わっちゃったかんじがするな。

そのため、ちょっと個人的には物足りなかったし、痛いところだけが際立ってほんとにイタかったわ。。グフッ。。

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アンフォゲタブル(1996年・アメリカ・117分)Video

 監督:ジョン・ダール

 出演:レイ・リオッタ、リンダ・フィオレンティーノ、ピーター・コヨーテ

 内容:検死官のデビッドは、襲撃されたドラッグストアで犯人の遺留品を発見した。その遺留品である紙マッチは、検事補だった妻が殺害された時に現場に落ちていたものと同じものだった。一向に事件捜査に進展がないことに業を煮やしたデビッドは、他人の脳髄液と特殊な誘発剤を投与することで記憶を移殖するという脳医学者マーサの研究に目をつける。そして妻の記憶をもった脳髄液を自らの身体に投与するデビッド。しかし、誘発剤には強烈な副作用があり・・・。

評価★★★/60点

“この映画にかぎらず、あぶら汗をかいているときのレイ・リオッタはマジでヤバイ。”

しかし同名だからってナット・キング・コールの「アンフォゲタブル♪」をこれ見よがしにエンディングで流すかねぇ。

凄惨な映画とはあまりにもかけ離れてると思うんですけど。。

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ブリキの太鼓(1979年・西ドイツ/仏・142分)NHK-BS

 監督:フォルカー・シュレンドルフ

 出演:ダーフィット・べネント、マリオ・アドルフ、アンゲラ・ヴィンクラー

 内容:大人の世界を拒絶するために3歳で成長を止めてしまった少年の目を通して、ドイツの近代史を見つめたカンヌ国際映画祭作品賞受賞作。1927年、3歳の誕生日を迎えたオスカルは、これ以上大人になるのをやめようと決心し、地下の倉庫に自ら落ちて成長を止めた。やがてドイツではヒトラーが政権を取り、オスカルの住む街にもハーケンクロイツがたなびくようになる・・・。

評価★★★/60点

“ガキの頃にこれ観たおかげでエロエロな大人になってしまいました。どうも、ボクです。”

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トッツィー

Mp213 出演:ダスティン・ホフマン、ジェシカ・ラング、テリー・ガー、ダブニー・コールマン

監督:シドニー・ポラック

(1982年・アメリカ・113分)NHK-BS

評価★★★★☆/85点

内容:演技派の俳優マイケル・ドーシーは、口の悪さが災いしてプロデューサーに嫌われ、ちっとも仕事がもらえない。ある時、テレビドラマで女性マネージャー役を募集していると知った彼は、女装をしてオーディションに参加。そこで男勝りのイメージが役柄にピッタリだと合格してしまい、女優ドロシー・マイケルズとしてデビューした彼(彼女)は人気街道を驀進していく。しかし、私生活はてんやわんやの大混乱に陥り・・・。

“最強の口説き文句!”

「だって僕たち女友達だったじゃん!」

ラストのマイケルのジュリーに対する開き直り告白。

あれにNo!と言える女はいないだろ、たぶん。思わず苦笑いしてOK!っしょ。ジュリーみたいに。

女装か、、、あのヤロー(笑)。

ダスティン・ホフマンに個人的アカデミー賞贈呈します。

「お熱いのがお好き」なんかを思わせる程よいコメディ感がまたヨロシイ。

2007年9月 5日 (水)

夢のシネマパラダイス319番シアター:アジアの宝石、チャン・ツィイー

初恋のきた道

B00008nx58_09_lzzzzzzz 出演:チャン・ツィイー、スン・ホンレイ、チョン・ハオ、チャオ・ユエリン

監督:チャン・イーモウ

(2000年・中/米・89分)2001/03/27:ル・シネマ

評価★★★★/75点

内容:都会からやって来た若い教師に恋心を抱いた18歳の少女。想いを言葉にできない彼女は、料理を作ることで彼に愛を伝える。結局恋は成就するが、時代の波が押し寄せ、2人は離れ離れになってしまう。。単館系で24週間という大ヒットロングランを記録したチャン・ツィイーのデビュー作。

“監督の特権であるとはいえ、撮影現場でモニター越しに四六時中チャン・ツィイーを覗き見していた監督を、オイラはマジに嫉妬するっ!”

、、とともに、よくやった、とも思う。。

絶対的な予定調和、しかも息子のナレーション解説付きというはた迷惑すぎるともいえるご親切さ。

それでも1本の映画たりえた、1本の映画として見れたのは、チャン・ツィイーの絶対的な存在感ゆえであるし、その存在感を余すところなくスクリーンに描写した監督の功績はやはり大きい。

彼女の顔へのクローズアップ、ロングショット、またアップ、またロング、、、という繰り返しは常套としても、ときには音楽どころか風の音などの自然音までも排除してしまうスゴさ。

彼女への入れ込み方は半端じゃありません。

おかげでチャン・ツィイー以外の人物の顔など、観た翌日にはもうすっかり頭にない。。。

彼女の魅力を思う存分堪能できればそれだけでよいとも受け取りかねない。ていうかそう受け取っちゃったけどさオイラは・・・。

家の戸口で先生を出迎える彼女の姿は一生記憶に残りそうです。

でもさぁ、、18歳であんな純な恋愛なんてできっこないよなぁ・・・。

ってオイラの汚れた過去と照らし合わせるなって、か・・・。。

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オペレッタ狸御殿(2004年・日本・111分)WOWOW

 監督:鈴木清順

 出演:チャン・ツィイー、オダギリジョー、薬師丸ひろ子、由紀さおり、平幹二朗、美空ひばり

 内容:美も富も名声も全てにおいて1番を求める「がらさ城」城主の安土桃山(平幹二朗)は、ある日、手下の預言者・びるぜん婆々(由紀さおり)の予言を聞いて愕然とする。それは、嫡男である雨千代(オダジョー)がまもなく父の美しさを凌ぐというものだった。そこで安土桃山は、生きて帰れないという霊峰へ雨千代を棄てることを目論むが、当の雨千代は唐の国から狸御殿に招かれている美しい狸姫と出会い、たちまち禁断の恋に落ちてしまう・・・。

評価★★/40点

下北沢の小劇場でやってくれなはれや・・。

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ジャスミンの花開く(2004年・中国・129分)NHK-BS

 監督・脚本:ホウ・ヨン

 出演:チャン・ツィイー、ジョアン・チェン、チアン・ウェン

 内容:1930年、映画スターを夢見る写真館の娘、茉<モー)。1950年、茉の娘、莉<リー>。1980年、莉の娘、花<ホア>。茉莉花(ジャスミン)から一字を取って名前を付けられた祖母、母、娘。上海に生きる母子3世代の女性が運命に翻弄されながらも力強く生きる姿を描く。その3人をチャン・ツィイーが一人三役で演じ、その母親や祖母役をジョアン・チェンが務めた。

評価★★★/60点

3世代を演じ分け喜怒哀楽を体現してみせるアジアの宝石、チャン・ツィイーを、ほのかに色づく色彩がかった映像で引き立たせ輝かせるという点においては何も言うことはないくらい素晴らしい。

が、悪くいえばただそれだけというかんじで、日本軍の侵出や文化大革命といった時代背景が別段深く関わってくるわけでもなく、ただひたすら男女のすったもんだと男運のない血筋の女性の妊娠劇を見せられてるだけで、この手の年代記を見た後に得られる感慨というのがほとんど湧いてこないのはイタイ。

3世代に渡って描き分けた意味があまり感じられないというか、いったい何を描きたかったんだろうというのが正直なところ・・・。

まぁ、チャン・ツィイーを2時間延々と見続けていられるという点ではお釣りが来るくらい満足できることは確かだけどね。。気迫の出産シーンも見れたし。。ってそこかよっ

2007年9月 3日 (月)

レアル・マドリー狂想曲第37番:フィエスタ!フィエスタ!フィエスタ!

強い!強い!強いレアルが戻ってきた!

A6c4ff4b26e000f410d89a52350b72bbs 昨シーズンから18戦負けなしのビジャレアルにアウェイのエル・マドリガルで5-0の完勝!

前半39分にスナイデルの1本のミドルレンジパスをラウルがつま先で押し込み先制。

前半はビジャレアルにレアルの左サイドから何度も決定的シーンを作られたが、カンナバーロ&メッツェルダー、カシージャスらレアル守備陣が健闘し、逆に1点先制するという幸運ともいえる前半となった。

しかし、まさか後半にフィエスタが訪れようとは。。

なにより後半3分のスナイデルの直接FKとその2分後のファンニステルローイの冷静なゴールで後半早々に試合を決めちゃったことが大きかったけど、その後の試合運びも巧く、何か相手が一人少ないような印象をも抱いてしまった。

後半28分には流麗なパス回しからグティの折り返しをまたまたスナイデルが右のアウトサイドで技ありゴールを決め、35分にはグティがミドルレンジから左足一閃でゴール左隅に決め5-0!

まさに完璧!!

第3節は、国際Aマッチデーを挟むため1週空いてしまう。

待ちきれねぇ~~。。

2007年9月 2日 (日)

夢のシネマパラダイス317番シアター:風の谷のナウシカ

Drwhhymo 声の出演:島本須美、永井一郎、辻村真人、八奈見乗児、納谷悟朗、松田洋治

監督・原作・脚本:宮崎駿

(1984年・東映・116分)

評価★★★★/83点

内容:産業文明が崩壊して約1000年後、地表には有毒菌類がはびこり巨大な蟲たちが棲息する“腐海”が刻々と広がっていた。ある日、小国である風の谷に、世界征服を企むトルメキア軍が到来し、巨大生物兵器・巨神兵を発掘して生育する。これに対し敵国ペジテは、王蟲の群れを暴走させて風の谷もろともトルメキア陣営壊滅をもくろむ。風の谷の族長ジルを亡くした娘ナウシカは、風の谷の人々を守るために王蟲の暴走を止めようとする・・・。

“宮崎駿のあまりにも壮大な棄て戦。”

少なくともこの映画を見たことだけで宮崎駿を分かったような気になるのはいささか本末転倒だし、おそらく宮崎駿自身も本意ではないだろうと思う。

そう言い切れるほどこの映画はあまりにも上っ面であり、あまりにも未熟だ。

しかしながら一方で、この映画はあまりにも壮大であるとともに、そこに孕むテーマはあまりにも深遠だ。

そこいらの映画など足下にも及ばない。

それゆえ★4っつとしたが、以下はこの作品に対する批判に徹することにする。

ではなぜこの映画はあまりにも上っ面であまりにも未熟であるといえるのか。

個人的な感覚かもしれないということを断っておくが、映画ナウシカを劇場で初めて観た小学1年の時から約20年後の今日に至るまで、この映画に対する感覚、感想が、「なんか凄っげぇ感動した」という毎度同じ一言で片付けられてしまうという、何ら自分の中でこの映画が深化していかないという(あくまで個人的な)問題があった。

作品のテーマ、世界観が深く大きいがゆえになおさらこれは問題である。

しかし、その感覚は映画を観る自分に問題があるというよりは、むしろ映画の方にこそ問題があるのではないか、という考えに今では至っている。

その最も大きい理由は、映画「風の谷のナウシカ」の原作である宮崎駿自身の手による作品、マンガ版「風の谷のナウシカ」の存在である。

映画ナウシカと原作ナウシカは、ストーリーも設定も異なっていることは周知の事実だが、ストーリーも設定も変えなければ約2時間という映画に収めることができなかったというのが実際のところだろう。

なにせ映画公開は1984年、一方原作は全7巻で1982年から1994年まで連載(中断が何回かあった)。

なんと完結まで12,3年かかっているのだ・・・。

巻数でいえば原作の2巻くらいまでを映画が描いているといったかんじだ。

しかし連載途中でアニメ映画化するという例は数多くあるが、ナウシカという作品は少年ジャンプや少年サンデーを映画化するのとはわけが違うのは自明の理だろう。

なぜならテーマや世界観はもちろんとして1番の問題は、人間宮崎駿自身にあるからだ。

ナウシカのテーマ(ひと括りにできるものではないほど複雑多岐に渡るが、最も主要かつ端的な)である人間と自然との関わりについて考え答えを出していくにあたって、宮崎駿自身がぶち当たっていくあまりにも大きすぎる壁。

それは彼の思想的な考えや世界観・理念といったものと、人間の歴史がもっている業、そして人間の文明が生み出してきた様々な力との間における葛藤と行き詰まりに他ならない。しかもそれはどうあっても避けられるものではない。

そして付け加えておくならば、その葛藤と行き詰まりはそっくりそのまま観る側の我々自身にも迫ってくるものなのだ。

一体全体答えは出せるのか、解決できるのか。

はたしてその過程で立ちはだかる葛藤と行き詰まりの行き着く先には、未完という絶望的観測が待ち受けている。

だがしかし、その葛藤と行き詰まりの中での絶望的ともいえる宮崎駿の原作における闘いには凄まじいものがあった。

これは原作マンガを読めば分かるだろうが、本当に凄まじい。

特に終盤からラストに至る6,7巻は筆舌に尽くしがたい。ほとんど絶句状態といってもよかった。それくらいスゴイ。

まさに“絶望”、いや“希望”に満ちた“絶望”へとたどり着いたとでもいおうか。

そして原作におけるそんな凄まじい闘いを見せつけられるにつけ、映画の強引さと安易さ、稚拙さが逆に際立って見えてしまうのだ。

映画化に際しての弊害は予想以上に大きかったというべきだろう。

強引さとはつまり映画の落としどころ、結末への持っていき方であり、安易さ稚拙さとは、その結末から見えてくるあからさまなご都合主義と救世主像である。

結末への持っていき方でいうならば、この映画は決して避けては通れない大きな壁を強引に回避してラストへと進んでいく。作り手宮崎駿は映画ナウシカにおいては闘いを完全に捨てているといっても過言ではない。

もとから闘いを捨てている棄て戦なのだ。

葛藤と行き詰まりとの闘いをはなっからする気がないのだから、その行き着く先にある未完という絶望的観測もそこにはない。自分の手心をちょっと付け加えるだけで簡単に結末を作り出すことができるのである。

そのようにしてできたのが、映画ナウシカであるといえる。

また、例えばCinemaScapeなどの映画掲示板でよく見受けられるナウシカに対する萌え的な見方も自分は好きではないが、はっきりいって大アリである。ぶっちゃけ正統な見方だ。

なぜならばキャラ的にいってもこの映画は救世主ナウシカだけにスポットライトを照射し、その対となるはずの人間クシャナは完全にポイ捨てしているからだ。ナウシカのキャラが一人歩きするのも自明の理である。

また、トルメキア最精鋭部隊であるクシャナの第3軍団が風の谷のジジババたちに手こずってしまうくだりなどはまだ笑えるが、なんといってもラスト。

腐海は結局人間が汚した大地を浄化して再びきれいな大地、人間がマスクをせずとも生きていける大地へと再生してくれるより良い自然だったのだ!しかも救世主青き衣の者、その名はナウシカが大地に降臨した!青き衣の者には腐海の王である王蟲でさえもひれ伏す!クシャナもこれに懲りて撤退!平和バンザイ!風の谷もこれで一生安泰!ハッピーエンド!??????ホントに?そうなの?

、、、そう、問題は何も解決されていないじゃありませんか。

結局腐海とはどうやって付き合って生きていくの?現状維持?まず焼き払うことはあきらめたとはいえ、そして救世主が現れたとはいえそんなのお構いなしに腐海は次々に都市や国家を飲み込んで広がっていくんですよ。

風の谷さえよければそれでいい?ペジテは?トルメキアは?平和は一時的なものでは?人間の歴史が抱える業ってそんなに簡単に単純に断ち切れるものなの?克服できるものなの?

映画ナウシカにそれらに対する答えは、、、、無い。

だからこの映画ナウシカは、あまりにも上っ面であまりにも未熟なのだ。

が、それだからこそまた原作マンガのもの凄さも際立つ。

宮崎駿は12,3年という時間をかけ(ていうか2時間じゃムリ!)真っ向から闘いを挑み、そしてなんと、、勝った。勝っちまった。奇跡。すごい。

それしか言葉が浮かばない。

読んでいない人は一度ご覧遊ばせ。

ちなみに映画ナウシカに対する批判と同じような理由で「もののけ姫」は不支持です。2回目は許されませんで2回目は。

2時間じゃムリムリ!

これが言いたかったんだぁっ。ハァ~~ァ。

夢のシネマパラダイス315番シアター:元祖大作至上主義作家デイヴィッド・リーン!

戦場にかける橋

Senjyounikakeruhashi 出演:アレック・ギネス、ウィリアム・ホールデン、早川雪洲、ジャック・ホーキンズ

監督:デイヴィッド・リーン

(1957年・アメリカ・155分)NHK-BS

評価★★★/60点

内容:第二次世界大戦下のタイ=ビルマ(現ミャンマー)国境近くの日本軍捕虜収容所を舞台に、日英両軍兵士の人間愛を描いた戦争大作。日本軍捕虜収容所に収容されている米海軍少佐シアーズらは、激しい労役に脱出の機会を狙っていた。ある日、収容所にニコルソン大佐を隊長とする英軍捕虜の一隊が送られてくる。所長の斎藤大佐は教養の深い武人だったが、タイとビルマを結ぶ泰緬鉄道完成のため捕虜全員に即時労役を命じた。ニコルソンはジュネーブ協定に違反すると将校の労役従事を拒否するのだが・・・。アカデミー賞では、作品・監督・主演男優など7部門で受賞。

“はっきりって甘ったるい。。”

アレック・ギネスのたしかな演技力とデイヴィッド・リーンのたしかな腕前でかろうじて支えを保っていた映画という「橋」。

しかし、戦争の愚かさが凝縮されるラストシーンで流れる音楽にはさすがに絶句、とともに「橋」崩壊。

3時間近くつきあった甲斐は、正直なかった。

ドラマを描きたいのか、それとも娯楽としてのエンタメを描きたいのか、どうも針が行ったり来たり揺れていて映画に入っていくのが難しかった。

「大脱走」のように完全に娯楽寄りになれとは言わないけど、どちらかにもっと寄ってほしかったかな。

まぁこの時代の戦争映画の典型的な描き方をしている映画だとは思うけどね。

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アラビアのロレンス

Arabia_0001 出演:ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ、アレック・ギネス、アンソニー・クイン、ジャック・ホーキンス、クロード・レインズ、アーサー・ケネディ

監督:デイヴィッド・リーン

(1962年・アメリカ・226分)NHK-BS

評価★★★★/77点

内容:第一次世界大戦中、ドイツの同盟国トルコに対し、アラブの反乱を組織した冒険家T・E・ロレンス。監督デイヴィッド・リーンは、ヨルダン、モロッコ、スペインに延べ2年に渡る大ロケーションを敢行、ロレンスの生涯を映像化した。壮麗なスペクタクル大作でありながら、壮大な理想の中で自身の精神的弱さと政治的駆け引きの狭間で自己を見失っていく男の悲劇としても見られる人間ドラマも秀逸。アカデミー賞では作品・監督をはじめ8部門で受賞。劇場公開時には202分、リバイバル時に187分版が作られたが、現在一般的に見られているのは、1989年に復元されたロンドンでのロイヤル・プレミア時の版をほぼ再現した完全版226分である。

“カメラ全開360度!!”

自分の回り360度が見渡す限り地平線まで海というのを体験したことがあるだろうか。

オイラは自慢じゃないがある。

小学生の頃、グアム・サイパンに船で行ったことがあるのだが、まさに見渡す限りの大洋のただ中にポツンと置かれているような感覚。

デッキに寝転がって空を見上げたときの感覚、上一面は青い空、横一面は青々とした大海原、オイラは地球と一体化している、、、と妙に感動してしまったものだ。

その壮大なスケール感。

さすがに砂漠にはまだ一度も行ったことがないのだが、この映画を観てあの大海原が真っ先に思い出されたわけで。

とにかくこの映画は冒頭30分につきる。

モーリス・ジャールの音楽をバックに広大な砂漠を進んでいく壮大さから砂漠の蜃気楼をとらえた美しさまで、226分観続けるのがつらい、ダレる、めんどくさい、眠くなるという人は冒頭30分だけでも観て損はないと思う。それでこの映画を観たってことになりますから7割方は(笑)。とにかく必見の30分。

残りの3割が人間ロレンスの人物像。

計算された完璧なカメラ位置から撮られた映像は180度ではなく360度の大俯瞰として我々には体感される、そんな凄まじい映画体験ツアーです。

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ドクトル・ジバゴ

517z50rzhrl 出演:オマー・シャリフ、ジュリー・クリスティー、ジェラルディン・チャップリン、トム・コートネイ、アレック・ギネス、ロッド・スタイガー

監督:デイヴィッド・リーン

(1965年・アメリカ・194分)NHK-BS

内容:ロシアの名門家庭に生まれながら、幼い頃に両親を失ったジバゴは、成人すると医師でありながら繊細な感情を持った詩人となり、育ての親の娘トーニャと結婚する。しかし、第一次世界大戦が勃発。従軍医として戦場に駆り出されたジバゴは、かつてその危機を救ったことのある娘ラーラと再会した。ジバゴは、戦場で苦楽を共にするうちに淑やかな妻にはないラーラの奔放な魅力に強く惹かれていく。敗戦後、十月革命の混乱と狂気の中でジバゴは三度ラーラと再会し、運命の荒波に翻弄されていく・・・。

1957年にソ連の詩人ボリス・パステルナークがイタリアで出版した小説「ドクトル・ジバゴ」は、翌58年にノーベル文学賞を受賞したが、当事のソ連政府がこの小説を反革命的とみなしたため、パステルナークはノーベル賞を辞退した。このいわくつきの小説をイタリアの名プロデューサー、カルロ・ポンティが製作にあたり映画化。スペインやカナダで撮影された本作は結果的にはアカデミー賞で5部門を受賞するなど成功を収めた。

評価★★★★☆/85点

“「アラビアのロレンス」よりも個人的には好きな作品。”

「運命のいたずら」という言葉がこれほど似合う映画もないだろう。

デイヴィッド・リーンといえばいの一番に「アラビアのロレンス」を思い浮かべるが、凍てつく酷寒の大地と激動の歴史の荒波の中で繰り広げられる人間の愛憎劇と、壮大な大河メロドラマにただただ酔いしれてしまう「ドクトル・ジバゴ」の方が好きだ。

なによりも運命の女性ラーラがいるかいないかは大きい(笑)。

「アラビアのロレンス」では無限の砂漠をゆらめく蜃気楼が印象的だったが、本作の果てしない大雪原を照らす青白い月も忘れがたい。

革命という動乱と男女の三角関係の中で揺れ動く情動がよりドラマチックに引き合い、それを力強くそして詩情豊かに描き出したデイヴィッド・リーンの手腕に心酔するほかない。

寒さは感じない。

ただただ人間の生きる逞しさと強さ、そしてアツさに圧倒されるのみだ。

、、、オマー・シャリフの顔立ちがもともと暑苦しいってのはナシよ(笑)。

でもよく考えてみたらエジプト人だからなぁこの人。「アラビアのロレンス」にも族長役で出てるし。

いやしかしこれぞ映画を観たぞーーッ!という気分にさせてくれるホンモノの映画だと思います。

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ライアンの娘(1970年・イギリス・195分)NHK-BS

 監督:デイヴィッド・リーン

 出演:サラ・マイルズ、ロバート・ミッチャム、クリストファー・ジョーンズ

 内容:海辺の寒村キラリーは、反英蜂起が失敗してからアイルランド独立運動の秘密の拠点になっていた。村の教師チャールズと結婚したロージーは、居酒屋の娘で、貧困と偏見、無知と因習が蔓延する村への不満を結婚で解消しようとしたのだが、物足りなさは相変わらず。。やがてロージーは、たまたま村にやって来た新任の英軍守備隊指揮官ランドルフと不倫の恋に落ちる・・・。

評価★★★/55点

夫婦にとって夜の生活は大変に重要なのだという壮大なお話、、ということでいいんですよねw。。

2007年9月 1日 (土)

夢のシネマパラダイス314番シアター:黄泉がえり

Tdv2728d 出演:草彅剛、竹内結子、石田ゆり子、哀川翔、伊東美咲、長澤まさみ、市原隼人、RUI、伊勢谷友介、田中邦衛

監督:塩田明彦

(2002年・東宝・126分)2003/02/01・渋東1

評価★★★★/75点

内容:九州・阿蘇のとある地方で、死んだ者が死後も自分のことを想い続けてくれた人の前にある日突然現れるという驚くべき現象が頻発する。しかも死んだ当事のままの姿で。。最愛の人との再会に喜ぶ家族や恋人の一方で困惑する周囲の人々。そんな謎の現象“黄泉がえり”の解明に厚生労働省の川田平太が生まれ故郷である現地に赴く。そこで川田は、死んだ親友・俊介のフィアンセだった橘葵と再会。葵もまた忘れられない恋人の黄泉がえりを待ちわびていたが、川田は彼女に密かに想いを寄せていた。。。

“あのさぁ、、、ファイナルファンタジー10をパクッたでしょ。許してあげるから正直に白状なさい。ちょっと拝借しましたって。。”

正直にさぁ言っちゃいなよ、、、ってオイラもしつこいね。

ま、それを考慮に入れても★4っつというわりと高評価にしたんだけど。

しかしこの映画、あれだけのメンツを揃えているわりにはすごくさっぱりしてるんだよね。

しかもあらを探せばきりがない。まるで映画の中で描かれたきらめき漂うホタルのような無数の魂のごとく至るところにあらが漂っている。

そこを見て見ぬふりできるか、許せるか許せないかで評価も分かれるのではないかな。

例えば相当な人数がよみがえっているのに、このことは外部には漏らすなってどう考えたって無理な話だし、重力異常を起こしたクレーターはいったい何だったのか最後まで明かされないし。

前者でいえば、メディアが出てこないのは最たる典型で、自殺した少年の葬儀にちょこっと出てくるくらい。

これはもうジャンルでいえば完全なるファンタジーだよね。

そして開けっ広げにでっかく大風呂敷広げてるわりに描かれてることはもの凄く制限されているというか、意図的にそうしているのがこの映画のミソだと思う。

あえて言わさせてもらえば、TVの再会番組の見せ場である感動の再会場面だけを取り上げたダイジェストをずらずらと並べ立てて垂れ流してるだけといっても過言ではないっしょこれって。あとRUIのミュージックビデオね(笑)。

あえて言ったけど。それでも★4っつなのですわ。

おそらくもっと狭く深く描くこともできただろう。例えば自殺した少年と想いを寄せていた少女にのみスポットを当てるとか、あるいはハリウッドだったら題名を出すまでもなくデッカイ見せ場に向かって、それはこの映画でいえば竹内結子の死に、深く潜行していったんじゃないかな。

しかしこの映画は、さっきも述べたように完全なるファンタジーです。

深く潜ることもできるところで海底に潜ることをせず、海面近くでフワフワ浮かんで漂っているのがこの映画の立ち位置なのだと思う。

そういう点でいえば、オープニングのフワフワ上空に漂っていた無数の光という描写は象徴的だったね。

まぁ結局はこの映画の立ち位置というものを観る側が受け入れられるか受け入れられないかということがこの映画に対する至上命題なわけで、そういう自分はすんなり受け入れられちゃったと。

なぜそれがすんなり受け入れられちゃったのだろうといえば、作り手が何を描こうとしているのか、どれは描かないで捨てるのか、その取捨選択があまりにもはっきりしていて、それは作り手の意思表示でもあるわけだけども、それがとにかく明確だったことがまず1点。

そして、これが肝なのだけど、そのはっきりとした意思表示をした前提で危険ともいえる大風呂敷を潔く広げちゃっていることが2点目。

姑息な手を使わない潔さがこの映画にはあって、そのことが個人的には心地よくてこの映画にすんなり入っていくことができた。

そして隠れた3点目。

大風呂敷広げた上で、描いていることは意図的に制限していると言ったけど、これは要するに何を制限しているかといえば、距離感ということになるのではないかと思うわけで。

竹内結子と草彅くんが、おでん屋でとりとめもない話をしているうちに死んだ俊介(伊勢谷友介)のことをふと思い出すシーン。

あのシーンってけっこう長かったけど、あのおでん屋での2人の距離感がこの映画のスタンダードだと思うのです。

そしてこのスタンダードな距離感というものをびっくりするほどにほとんど逸脱しないわけだよね、この映画は。

死者・よみがえった者と生きている者の距離感でさえほとんど変わっていないわけで。なんてったってよみがえった者と家族写真まで撮ってんのよ(笑)。

田辺誠二が「実は私の妻なんです。」と言うシーンなどもあわせてちょっと笑えちゃったんだけど、でもそれは決してあきれ笑いではなくて完全に許せちゃう微笑ましい笑いなんです。

この映画におけるスタンダードな距離感を逸脱しないで描くことに徹したことについては、良いか悪いかを抜きにしてもオイラは評価したいッスね。

そしてそれに徹したことから自ずと何を描こうとしていたのかが見えてくる。

それは首吊り自殺した少年に想いを寄せていた少女の、ラスト近くでの告白に全てが集約されているのだけど、愛する想いを寄せていた人と一瞬でも心が通じ合う、そして少しの間でも一緒にいれること、ただそれのみなんだよね。

そこに向かってゆっ~たりと潜行していく。

そしてそれを描くためには、さっきも述べた距離感を逸脱することはできなかった、と。

大風呂敷広げていると見せかけといて全くそうではなかったというオイラにとってのささやかなオチでチャンチャンてなわけだけど、いや、、でもこの映画ホントよく考えられとるわ。うん。

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